最近のプロ野球は大きく変身した。といっても、いわゆる「改革」のことではない。プレイの中味が変わってきた。送りバント(犠打)の数が、激減してきたのだ。
16年前の1989年、12球団780試合で1539本(1試合平均2本)もあった犠打数が、今年は交流戦もあって試合総数が96試合増えたにもかかわらず1014本(同1・2本)に激減した。
なかでもヒルマン監督率いる北海道日本ハム・ファイターズの54本、バレンタイン監督率いる千葉ロッテ・マリーンズの56本と、外国人監督の送りバントの少なさが際だつ。が、両リーグを通じて最も犠打数の多かった横浜ベイスターズ(牛島監督)でも119本(同0・8本)で、1989年に中日ドラゴンズ(星野監督)が記録した174本(同1・3本)を大きく下回っている。
プロ野球に犠打が増え始めたのは川上監督率いるV9巨人からで、それ以前は1チームにつき2試合に1回程度だった送りバントが、1試合に最低1度は行われるようになった。
「石橋を叩いても渡らない」といわれたほど慎重な川上野球は、ドジャースの「ゴーゴー(GOGO)ベースボール」をパロッて「コーコー(高校)ベースボール」などと揶揄されたが、その後も送りバントは増え続け、1985年に優勝した阪神タイガースは、バース、掛布、岡田などの活躍でシーズン219本塁打のセ記録を樹立しながらも141本(同1・1本)もの犠打を記録した。
そんな過去の時代に対して、今シーズン象徴的だったのがパのプレイオフ最終戦で、福岡ソフトバンク・ホークスに1対2とリードされた千葉ロッテは、8回表無死一二塁のチャンスで送りバントをしなかった。結果はサブロー凡退のあと里崎が逆転二塁打。
野村克也氏(来季楽天監督)がテレビ解説で「わからない」と評したとおり、以前なら絶対に送りバントの場面だった。が、強打の千葉ロッテが2005年の王者に輝いた。
監督の采配から選手の力と技へ・・・。日本のプロ野球は確実にダイナミックで面白くなっている。
この変化に球界のお偉方は気づいてるだろうか? |