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「走ることは、あらゆるスポーツの基本。だから、とにかく走れ。時間があれば、いつでも走れ」
中学高校とバドミントン部の活動に励んでいた私は、顧問の先生が口癖のように繰り返した言葉をひたすら信じて、言われるままに走っていた。
私だけではない。運動部に所属している生徒は、とにかく走らされた。
野球部でもサッカー部でも、、バレーやバスケやテニスや卓球部でも、練習の開始や終了時には、必ず列を揃えて、イッチニイ、イッチニイ……と、声も揃えて、とにかく走った。
スポーツライターの仕事を始めたとき、この「とにかく走る」という行為に疑問を抱くようになった。
というのは、欧米のスポーツ選手のトレーニングでは、集団で声を揃えて走る姿をまったく見なかったからだ。そこで、プロ野球のトレーニングコーチや日本代表クラスのスポーツ選手のコーチなどに、疑問をぶつけた。すると……
「ランニングは全身運動の基本で、身体の動きを整える効果があります。しかし集団で声を出して走るのは、チームの団結や一体感を醸成する行為で、身体の問題というより、むしろ心の問題ですね」
という答えが、異口同音に返ってきて納得した。しかし今も納得できないのは、私の息子が少年野球チームに入り、日曜の親子野球大会に参加した今から20年前くらいのこと。
集まった我々父親に向かって元高校球児の監督が、こう言ったのだ。 「では、まずグラウンドを3周走りましょう」
子供と野球を楽しむ休日に、何故!? と思いながらも我々父親たちは、苦笑いで一体感を醸成しながら、ハァハァ息を切らせて、とにかく走ったのだった。
日本のスポーツの指導者は、何故か、とにかく走らせるのが好きのようですね。
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