東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出の統括責任者・狂言師の野村萬斎氏など7人の総合演出チームが解散することになった。
五輪開会式の7か月前(20年12月23日)新型コロナの感染が第三波を迎え、日本も医療崩壊寸前とされたときのことだった。
五輪開催が可能かどうかはともかく、過去の五輪の開閉会式では、1万人近い人々や子供たちが、競技場に溢れ出て走り回った。
そんな演出を行うには最短でも2年前から計画を練り、1年前から人材を募集、遅くとも半年前から練習の繰り返しが必要だ。
が、現在のコロナ感染状況では、それはまったく不可能で、開閉会式も縮小となり、野村氏の他に映画監督やミュージシャンやCMディレクターなどを加えた演出チームの解散もやむなしと言えるだろう。
もっとも、私はこの演出チームには、元々不満と不安を抱いていた。
まず野村萬斎氏だが、私の見た限りでは彼の狂言の舞台や映画から創造的な感銘を受けたことがなかった。
また主要なスタッフのCMディレクターはクライアント(依頼人)の意に沿った作品を創るのが仕事。その結果リオ五輪の閉会式に安倍総理がマリオの姿で出現。五輪には絶対許されない選挙運動もどきの政治家が登場する演出が施された。
このときの「クライアント」は元総理で五輪組織委の森喜朗会長。彼はバッハIOC会長の許可も得たと自著に書いているが、五輪が政治の介入を戒めていることを思うと、安倍総理の五輪閉会式への登場は、五輪史の汚点と言うべきだろう。
日本には他にも有能なクリエーターや映画監督が大勢いいるはずだが、原発反対の人などは選ばれなかった。
「誰かがやらなければ」と記者会見で語った新統括責任者のCMディレクター氏には、再度の政治化の登場だけは御免蒙りたいものだ。
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