プロ野球選手会事務局長の松原徹氏にインタビューしたとき、彼は次のような言葉を口にした。
「我々選手会は、プロ野球の抜本的な構造改革を行いたいわけです」
そこで私が、「だったら来年も、今年と同様セパ12球団2リーグ制でペナントレースが行われることになっても、問題の解決にはならないですよね」というと、松原氏は、「そのとおりです。巨人中心というか、そもそも巨人に頼らなければ運営できないような構造そのものを改革しなければ」といった。
選手会の言い分は正論である。
先週の16、17日に行われたストライキはファンの圧倒的支持を受け、将来の「1リーグ化」へ向けての来季の「球団数減少」だけは阻止できる方向へ動き出したようだ。
もっとも、経営者側が突然「来季もセ6球団パ6球団」といいだしたのは、選手会を支持する圧倒的なファンの声に、これ以上自分たちの横暴を押し通すことができないと判断したからであり、さらに、自分たちが許容できる会社(楽天?)を「用意」することができたからといえる。
つまり選手会が「改革」したいと考えている「巨人中心の構造」を維持できる体制が整ったからであり、プロ野球の根本的な問題は何も解決していない、といわざるを得ない。
とはいえ、選手会側にとって(ファンにとっても)成果がなかったわけではない。経営者側は選手も交えてのプロ野球構造改革協議会(仮称)を設置し、ドラフト制度などを見直すことを約束した。
以前から選手会は、ウェーバー制(下位球団から選手指名)のドラフトやセパ交流試合、選手年俸の多い球団に対する贅沢税の導入、テレビ放映権の一括管理・・・等を主張している。新設される協議会では、それらの施策が当然議題にのぼるはずで、今年は「巨人中心の構造を改革する」第一歩を踏み出したといえる。
メディアが球団を所有し、ジャーナリズムが敵に回るなかで選手会の闘いは苦労が多いが、一歩一歩前進してほしい。 |