2016年のオリンピック招致合戦に敗れた東京の石原都知事の発言が物議を醸しているらしい。
「大きな政治的力が…」
「ブラジルはフランスから戦闘機を買い…」
「ルラ大統領はアフリカ諸国にかなりの約束を…」
しかし、それは政治家の口にすることではあるまい。
1964年の日本には第二次大戦敗戦国を国際社会に復帰させようとする「国際的な政治的力」が働いた。東京の招致委員会も、柿右衛門の壺や象牙の根付けを当時のブランデージIOC会長に贈り、「大きな政治的力」を確実なものに引き寄せた(それによって敗れたデトロイトは、国内でのシカゴとの争いに勝って招致に名乗りをあげたのだった)。
東京の「プレゼント攻勢」については、ブランデージ氏も自伝に書き残している。
(石原都知事も十分におわかりだろうが)国際政治とはそういうものだ。
それを嘆く暇があるならIOC調査で都民の五輪開催支持率が何故55%と低かったのか、90%のマドリッドや77%のリオが何故高かったのかを考えるべきだろう。
ラテン系のノリの良さ、などで済ますことはできない。コペンハーゲンに顔を見せたブラジルのペレも、マドリッド育ちのラウルも、子供の頃から地元のサッカークラブでプレイした。
スペインは最近ハンドボールの宮崎大輔選手も加わったように、サッカーだけでなくバスケットボールもバレーボールも水球も、いろんな競技のリーグ(リーガ・エスパニョーラ)があり、多くの市民が参加しているクラブも多い。
2度連続五輪招致に立候補したマドリッドは、オリンピック施設を造ると同時に、そのクラブの施設整備も行っているのだから、市民が賛成しないわけがないのだ。
リオも、フラメンゴ、フルミネンセ、ヴァスコ・ダ・ガマ、ボダフォゴという世界的に有名なサッカー・チームの他、バレーボールやバスケットボールや格闘技等、多くのクラブが市民とともに運営されている。
一方、東京(日本)のスポーツは、学校体育か、企業内クラブか、プロ興行か、メタボ対策用会員制ジムか…。
だから五輪招致も、一部の人の支持しか得られないのだろう。
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