9月17日から12日間にわたって、アテネ・パラリンピックが開催される。
世界中の140の国と地域から、約4000人の選手が参加、というのは過去最高の規模。
日本人選手も160人が参加し、これまた過去にない最多の数字。
そのなかから、9月11日(午後10時〜11時半)にNHK教育テレビのETV特集『極限への挑戦 〜パラリンピックの世界〜』で紹介される選手を中心に、何人かの日本代表選手を紹介したい。
オリンピックよりも素晴らしいパラリンピック! さあ、みんなで応援しよう!
▼加藤裕司さん(視覚障害者柔道)
内股が得意で、全盲の加藤さんは、右手(釣り手)の感触で相手の動きを読み、相手の動きを封じる。
▼鈴木孝幸さん(四肢欠損競泳)
左右で力の異なる腕を巧みに操ってバランスをとり、短い足を舟の櫓のように動かしながら推進力を得る独創性にあふれた泳ぎでメダルを狙う。高校3年生のスイマーは、泳ぐたびにタイムをあげている。
▼女子車椅子バスケットボール・チーム
高橋美香さんはシドニー大会でのアシスト王。上村知佳さんはアメリカのプロチームで活躍(アメリカのNBAやNWBAのプロチームは、ほとんどが車椅子バスケットボールのチームも所有している)。シドニー大会では銅メダルだったが、アテネでは金を目指す。
▼成田真由美さん(頸椎損傷競泳)
成田さんは、過去のパラリンピックで金メダル6個、銀メダル1個と大活躍をしている世界的スイマー。シドニー大会のあと、障害からの合併症で入院というアクシデントもあり、治療のために20キロも体重が増えた。が、ダイエットに成功して、再び世界の頂点を目指す。
▼河合純一さん(視覚障害者競泳)
シドニー大会で金メダル2個、銀メダル3個と大活躍をした河合さんは、さらに素早いターンの練習を重ね、シドニー以上の数のメダルを狙う(視覚障害者競泳でのターンは、コーチに棒で頭を叩いてもらってターンのタイミングを知る)。
▼土田和歌子さん(車椅子マラソン)
プロの車椅子レーサーとして活躍する土田さんは、車椅子マラソンの世界最高記録保持者。冬季大会でも金メダル(アイスレッジ)を獲得し、前回のシドニー大会では銅メダルで、日本で唯一の夏冬両大会でのメダル獲得者だが、今回は、もちろん金を目指す。アテネのマラソン・コースはオリンピックのコースとほとんど同じで32キロ地点までの急な上り坂が終わると、ゴールまでは下り坂。外国人選手に較べて体重の軽い土田さん(下り坂が不利)は、オリンピックでの野口みずきさんと同様の25キロ地点でのスパートをかけることができるか?
▼廣道純さん(車椅子マラソン)
小生のスポーツ・ジャーナリスト塾夏期集中講座に特別講師として参加していただき、素晴らしい講演をしてくれたプロの車椅子レーサー。長渕剛の大ファンで、桜島コンサートに行って、「腕を振りあげるときも、右20回のあとは左20回とトレーニングのことを考えてますねん」と大阪弁をまくしたてるオモロイ人物。200m、400m、800m、マラソンと陸上多種目にエントリーしているだけに、どの種目で体調をベストに持っていくか(どの種目の金を狙うか)が難しいところ。どれもこれも・・・と欲を出して失敗しないよう注意してほしい(と、老婆心ながら思ってしまう)。
▼南浩一さん(頸椎損傷アーチェリー)
右手の感覚がない南さんは、右腕でアーチェリーの弓を引いたあと、右手の甲を少し動かすことによって弓を放つ装置を開発し、シドニー大会に挑んだ。が、それでは若干のぶれが生じてしまい、準々決勝で敗退してしまった。そこで今回は、口にくわえた管でかすかに息をすることによって弓を発射する装置を開発。腕で弓を引いたあと、ここぞと思ったときに口にくわえた管を噛む。その装置で、アテネの風をものともせず、メダル獲得に挑む。
▼佐藤真海さん(片足欠損走り幅跳び)
競技用義足は、走っている状態の脚の形(つま先立ち)をしたものだから、通常の歩くときよりも長くなっている。その長い義足を、筋力を鍛えて押しつけるようにして反発力を利用すると、好記録につながる。佐藤さんは、最初のうちは長い義足を使いこなせなかったが、猛練習で筋力アップに成功し、どんどん義足の長さを伸ばした。それとともに記録も伸び、アテネでのメダルが期待される。義足づくりの名手(臼井二三男さん)と協力し合ってのアテネへの挑戦だ。
▼浅井三恵子さん(ゴールボール)
ゴールボールという球戯は、アイマスクをし(全盲の選手と弱視の選手の差をなくし、全選手がまったく視覚を使えない状態にして)、3人1チームでアイスホッケーのゴールをうんと横に長くしたようなゴールの前に立ち、ボールを転がし合って、相手のゴールに入れて得点する、というゲーム。ボールはバスケットボールほどの大きさで、重さが1キロ以上。内部に鈴が入っていて、その音で、ボールの位置を判断し、身体を横に投げ出してゴールを守る。ボールは時速70キロで転がり、身体に当たると相当の衝撃があるため、かなりハードで、勇気の必要な球戯。しかも、鈴の音を消すような投げ方をしたり、カーヴやシュートの変化球もある技術の勝負でもある。練習で顔面にボールが当たって唇を切ってもがんばる浅井さんのガッツに期待したい。
▼シッティングバレーボール・チーム
脚を欠損した選手や、先天性麻痺で脚が動かない選手が、座って行うバレーボール。ボールに触れるときは必ず臀部が床に着いていること、というのがルール。座ったまま手を使って素早く身体を移動させ、主に片手でボールに食らいつく。世界チャンピオンはイランだが、「つなぎ」をモットーとする日本チームはヨーロッパ・チームの一角を崩し(ドイツに勝つことが目標)、なんとか銅メダル獲得をめざす。
もちろん、以上のほかにも数多くの種目で日本人選手の活躍が期待されています。
オリンピックだけがスポーツじゃない! いや、パラリンピックこそ、本物のスポーツマンシップにあふれた素晴らしい大会であり、障害者スポーツこそ本物のスポーツである、と確信している小生は、皆さんとともに、パラリンピック日本代表選手を心から応援したいと思っています。 |