財団法人日本相撲協会の2年ごとの理事改選選挙に、貴乃花親方が立候補を表明し、二所ノ関一門が紛糾しているという。
相撲協会の理事は、現在理事長(武蔵川)を出している出羽海一門が3名、立浪一門と二所ノ関一門が各2名、時津風一門と高砂一門が各1名、他に親方でない外部理事が2名で構成されている(二所の関一門は3名だったが、真垣親方の弟子に対する暴力事件が発覚し、辞任したしたまま欠員になっている)。
その勢力図は時々に異なるが、二所ノ関一門は元々保有していた3名の枠を守りたいようで、現理事の二所ノ関親方(元関脇金剛)と放駒親方(元大関魁傑)に加え、鳴門親方(元横綱隆の里)も立候補の予定だ。
そこへ貴乃花親方が割って入れば票が割れるので「勝手なことするなら二所ノ関一門を出て行け」「いや、民主主義なら誰でも立候補できるはず」と紛糾。結論は一月八日の一門会に持ち越された。
親方(元力士)中心の理事会が民主的かどうかはさておき、騒動がテレビで報じられたときの相撲ファンの反応に驚いた。
「協会理事には若すぎる」「その前に関取を育てろ」といった意見が相次ぎ、貴乃花親方がどんな方針や改革案を持っているかは、誰も問題にしなかった。
相撲に限らず日本のスポーツ界にはこのような「経験主義」がファンの間にまで根深く蔓延し、本来別個に独立して評価されるべき現役選手時代の成績と指導者としての能力や経営者としての才能が、ごちゃ混ぜにして語られることが多い。
その結果、元スター・プレイヤーの指導者としての失敗や経営者としての無能さが、指摘されたり批判されることもあるが、重要なのは優秀な人材が道を閉ざされることのほうだろう。
貴乃花親方の理事(運営者)の才覚の有無は知らない。が、それ以外の理由で道が閉ざされることのないように願いたい。
喉元過ぎて熱さを忘れているのが、角界の現状かもしれないが、“年寄り”連中だけで乗り切れるほど安穏な未来など存在しないのは確かだから。
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