サッカー日本代表が欧州でドイツとトルコに勝利……、エンゼルスの大谷が腰と肘の故障で今季を終えたが本塁打王はほぼ確実……、阪神タイガースが18年ぶりの優勝で「アレ」が流行語に……、惜しくもイングランドには敗退したがラグビー日本代表がW杯で大健闘……、連日熱戦の続くバレーボールW杯や大相撲……と、スポーツの話題は連日メディアを賑わせている。
が、そんななかですっかり忘れられてしまったのが、2030年札幌冬季オリンピック招致の話題だ。 いったいどうなっているのか?
報道によると先月21日に札幌青年会議所が公開討論会を開いたらしい。
が、地域振興と経済効果を強調する市長と、莫大な経費を問題視する市民が対立。招致の賛否を問う住民投票を「なぜ実施しない?」と問う市民に対して、市長は「実施しないとは言っていない」と言いながらも実施日は答えずノラリクラリ。
昨年3月に札幌市が実施したアンケートでは「賛成」と「どちらかといえば賛成」が約52%。その後の東京五輪汚職談合事件の影響を考えると、招致賛成の市民が今は過半数を割っている確率が高いか?
昨年までは他に有力な開催希望都市もなく、札幌の冬季五輪開催を支持していたIOC(国際オリンピック委員会)は、日本での東京五輪汚職「騒ぎ」の静まるのを待ち、開催都市の決定を何度も先送り。来年のパリ五輪開催時に行われるIOC総会で決定することにした。
しかしIOCも、札幌の盛りあがりの低さにウンザリしたのか、スウェーデンのストックホルムが30年冬季五輪の招致に手を上げたことを大喜びしている、というのが現状らしい(IOCがスウェーデンに立候補を要請したとも考えられる)。
と言うことは、賛否はともかく札幌の30年五輪招致は最早風前の灯火と言えそうだ。
そこで私が注目するのは元JOC(日本オリンピック委員会)職員で、五輪アナリストの春日良一氏が主張している「30年冬季オリンピックをウクライナで!」という意見だ。
改めて言うまでもなくオリンピック最大の目的(クーベルタンが近代オリンピック競技会を創始した理由)は、スポーツを通して「世界平和」を達成することだった。
ならば戦争の起きている国で開催することで、まず停戦を実現させ、そして休戦から終戦への道筋を模索し、見つけ出すべきだろう。
ウクライナも戦争前の21年9月には、30年冬季五輪の開催招致をIOCバッハ会長に伝えたこともあり、春日氏によれば、現在IOCは、冬季五輪大会を開催するくらいの「資金」は保有しているという。
最近は「商業五輪」に対する批判も強いが、そもそもIOCが「商業主義」に走ったのは、ボイコット等で何度も政治利用されたオリンピックを、国家権力や政治権力に頼らず自立し、開催できる「資金力」を身に付けるためだったはずだ。
ならば今こそ、その「資金力」を使って「真の平和運動としてのオリンピック」を、ウクライナに平和(休戦)を呼ぶなかで開催するべきだろう。
もちろんロシアもベラルーシも参加するなかで、札幌市も自分の都市の「経済効果」などを考えるのでなく、世界平和を目指すウクライナ冬季オリンピックを支持してはどうか?
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