福岡ソフトバンク・ホークスの王貞治監督が、今季(2008年)限りでの引退を表明した。
独特の一本足打法で美しいアーチを量産した現役選手時代、そしてジャイアンツ、ホークスを率いたうえ、一昨年第一回WBCでの代表監督としての優勝まで、半世紀にわたってプロ野球を牽引してきた大人物に、心の底から本当に御苦労様でしたと申しあげたい。
思えば日本のプロ野球は、半世紀という50年間ものあいだ、「ON」という二人のスーパースターにおんぶされ、抱っこされて発展してきた。その二人が、グラウンドから消える意味は小さくない。
過去にプロ野球は何度も「危機」を迎えた。そのとき球界関係者が口癖のように繰り返したのが「ONのようなスターが現れてほしい」という言葉だった。
その度に私は違和感を覚え、だったらどうして球界関係者は、自ら運営するプロ野球の素晴らしさをもっとアピールしないのか、と思った。
スター選手の出現を「待つ」だけでなく、より楽しく素晴らしいプロ野球になるよう、運営者は常に改革に着手し、努力するべきはずなのに、自球団の勝利は目指しても、球界全体の魅力向上にはほとんど手がつけられなかったのではないか。
そして「スター選手」は次々とアメリカへ渡り、今年オフのドラフトで1位指名が確実な日本石油のエース田澤投手は、日本のプロ野球を「避けて」メジャー入りを表明した(そして本当にアメリカへ行っちゃいましたね)。
ONに並ぶとはいえないまでも、日本のプロ野球にもスター選手は数多く出現した。その輝きを薄めるほどONの存在が巨大だったとはいえ、プロ球界の「ON依存」(そして巨人依存)の体質こそが新たな「スター」の輝きを消したともいえるのではないか(イチローは7年連続首位打者を獲得しても、アメリカへ渡るまで日本ではマイナーな人気でしたからね)。
さて、そのONが姿を消した現在、日本のプロ野球の運営者たちは、はたしてどんな将来のヴィジョンを描いているのだろう?(各球団の運営者はいても、リーグや球界全体の運営者や組織が存在しないことこそ問題といえるでしょうね) |