西武ライオンズは球団創設4年目、ダイエーホークスは11年目にリーグ優勝と日本一を手にした。ならば東北楽天ゴールデンイーグルスの9年目、3・11大震災から3年目での栄光は早かったのか? 遅かったのか?
その評価は難しい。が、イーグルスの勝利が素晴らしく美しいものだったことは、誰の目にも明らかである。
スタートにつまずきながらも、エース田中を軸に夏場以降首位を走り続けたペナントレースも見事だった。クライマックス・シリーズでロッテを一蹴した後の日本シリーズでは、ともすれば人気の翳りが囁かれるプロ野球界全体に渇を入れるほどの魅力あふれるスリリングな試合の連続で、球場外にまで押し寄せた東北のファンだけでなく、全国の野球ファンを感動させた。
そしてイーグルスの勝利は、被災地の人々に大きな勇気と喜びを与えた。これこそスポーツのレゾン・デートル(存在理由)である。プロ野球は、親会社の宣伝や販売促進のために存在しているのではないのだ。
日本シリーズでは田中投手の起用法を巡って、星野監督の采配を批判する声も聞かれた。が、プロの選手が納得ずくでやったことを非難する必要はない。このような連投は、むしろ将来のある高校生こそ絶対にやってはならないことで、田中投手の活躍を「高校野球のような……」と形容したメディアこそ、その無知と無神経を非難されるべきである。
イーグルスは、今季東北のファンへの責任を一つ果たした。しかし、これで終わったわけではない。
5年後、10年後のイーグルスは、どんな球団に発展するのか? 本拠地のスタジアムはどんな球場に変貌し、東北全域との関係や2020年東京五輪との関わりは……等々、取り組むべき課題は多く存在する。
毎年のペナントレースで優勝を目指すだけでなく、そのような未来の青写真を示し、それに向かって歩むことこそ、被災地東北を本拠地とするイーグルス球団の次の使命と言えるだろう。 |