イングランドのプレミアリーグが「サッカー世界一決定戦を開催するから参加しろ」と宣言して、参加する国があるだろうか?
いま、メディアはWBCの話題で持ちきりだが、それがアメリカ・メジャーリーグ(MLB)の主宰だということを忘れてはならない。
「委員会」では日本も15人の委員中3票(日本プロ野球機構、選手会、アジア予選主催者の読売事業部)を持っているが、それはあくまでも「諮問委員会」で運営上の決定権はない(しかもMLBとMLB選手会は各2票、合計4票。韓国は2票で他の委員はMLBが指名できることになっている)。
第一回大会では、アメリカだけが有利な対戦相手(中南米の国と決勝トーナメントまで対戦しない)と有利なスケジュールを組み、アメリカ人のみの審判、利益配分のアメリカ偏重など、首を傾げたくなる点が多々あった。だから日本は不参加に傾いたくらいだった。が結果的に優勝し、今年の熱狂につながった。
第一回大会に敗退したアメリカは、さぞ不愉快だっただろうが、しっかり「実」は手に入れた。MVPの松坂はレッドソックスへ。準決勝の韓国戦で活躍した福留はカブスへ。
野茂が初めてアメリカへ渡ったときは、日本球界やファンに対する「裏切り」の声も出たが、今やそんな声はない。メジャーへ行っても日の丸を身につけることが可能になったのだ。
過去のアメリカ(MLB)の歴史からもわかるとおり、新たなフロンティア(マーケット)を求めての拡張政策(エクスパンション)は、今後も続くだろう。実際MLBジャパンは日本で開幕戦を行うほか、少年野球教室まで開くようになった。
そんなアメリカの進出に対して日本はどう対応するのか?
MLBに劣らない魅力あるリーグを作れるのか? MLBと比肩できる大きなマーケット(たとえば韓国、中国、台湾を巻き込んでのアジアリーグ)を構築できるのか?
そして日本がアメリカと同じ立場でWBCを運営できる日は訪れるのか?
サッカーのFIFAのようなプロ・ベースボールの世界組織はつくれるのか?はたまた、プロもアマも統一した日本の野球組織はつくれるのか?
まさか将来日本の野球がMLBに呑み込まれるとは思いたくないが、前回のWBCでの優勝が「真珠湾奇襲成功」に終わらないよう願いたい。
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