8月16日から28日まで中国の南京で開催されたユース・オリンピックに関する報道に接して、いくつかの疑問が頭に浮かんだ。
2回目を迎えた14〜18歳の選手による大会で(第1回大会は4年前のシンガポール大会)、日本は金7銀10銅6を獲得。そのことはNHKのニュース等のマスメディアで報じられた。
が、それが世界で第何位の成績かは報じられなかった。
ネットで情報を探せば1位中国2位ロシア3位アメリカ……等のデータも出ている。が、IOC(国際オリンピック委員会)は青少年への教育的配慮から、スポーツを国対抗の争いにする国別メダル獲得数の報道を認めず、メディアもそれに従ったという。
しかし「大人の」オリンピックにも18歳以下の選手が出場できる。そこでは国別メダル獲得数が堂々と報じられている。これはダブルスタンダードではないか?
そもそもオリンピックは国と国との闘いではなく、「IOCとOCOG(大会組織委)はいかなる国別のランキング表も作成してはならない」とオリンピック憲章第57条に銘記されている。
ならば世界中のマスメディアはオリンピックの根本精神(オリンピズム)に反しているわけで、むしろオリンピックもユース・オリンピックの報道姿勢に統一すべきなのだ。
またユース五輪は、若者たちにスポーツを通じた文化教育を実施することが目的で、南京大会でもオリンピズムの講座や美術展・芸術公演等57のプログラムが行われたという。
が、日本の若者たちがユース五輪で何を学んだか、ということは一切報じられず、6年後の東京五輪へつながるメダルの期待ばかりが語られた。
そういえば、「大人の」五輪大会での文化行事も、報じられることはない。
我々日本人は、学校での体育の授業でスポーツを学ぶため、今も「スポーツ=体育」と誤解している人が、まだまだ多い。そのうえオリンピズムにも無知なまま、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えていいのだろうか? |