今年(2012年)は、オリンピック・イヤー。 7月27日から8月12日にはオリンピック、8月29日から9月9日にはパラリンピックが、イギリスの首都ロンドンで開催される。
が、ユーロ危機の煽りを受け、様々な計画が縮小。しかも、テロ対策や反グローバリズム・反格差社会のデモに対する警備が不十分として、アメリカ政府はFBI捜査官500人を含む1000人のテロ対策要員を送り込む。さらに、テムズ川に対空ミサイルを備えた駆逐艦の配備まで考えているとか……。
過去にも、国際政治に翻弄され、国家に利用され、テロの標的にされながらも、莫大な経済効果を生み出す「巨大イベント」として、オリンピックは開催され続け、未来の開催を目指す都市が(東京を含め)、今も次々と現れている。
舞台裏の国際政治の暗闘と、表舞台の華やかなスポーツの祭典……オリンピックの「過去・現在・未来」には「世界」のすべてが映し出される−−。マスコミでは語り切れないオリンピックのすべてを、スポーツライター玉木正之が、ビデオや映画の資料とともに語り尽くす!
第1回(4月28日)〜近代オリンピックの理想と現実
今年のロンドン五輪は、イラク戦争に反対したフランス(パリ)に開催させたくなかったアメリカの政治的圧力による結果(?)。 フランス人クーベルタン男爵が考案した近代オリンピック第1回大会がアテネで開かれたのも、ギリシア富豪の政治力。そんな近代オリンピックと国際政治の関係を、1936年ナチスのベルリン大会の記録映画を見ながら解説。
第2回(5月26日)〜1964年東京五輪は、なぜ大成功したのか?
1940年の五輪大会開催を第二次大戦のため返上した東京は、戦後1960年大会の招致合戦でローマに敗れ、1964年ようやく悲願の五輪開催を実現。市川崑監督の大名作『東京オリンピック』を通しても見えてくる、戦後日本がオリンピック開催を実現した「見事な政治的動き」を詳しく検証する。
第3回(6月23日)〜名古屋と東京は、なぜ五輪招致に失敗したか?
ソウル(韓国)との一騎打ちとなった1988年の五輪招致に、「名古屋圧倒的有利」の情報は誰が作ったのか? その間、韓国政府が行った作戦は? また2016年五輪招致で、オバマ大統領まで乗り込んだシカゴや、事前評価の最も高かった東京が惨敗した理由は?その背景にあるコリアン・ネットワークとラテン・マフィアの暗闘とは?
第4回(7月28日)〜2020年の「東京復興五輪」vsアラブ・オイル・マネー
2016年五輪招致に失敗した東京は、大震災からの復興を旗印に再び立候補。しかしドーハ(カタール)も立候補し、2006年アジア大会と同様、猛暑の夏を避けた12月開催の許可を、IOC(国際オリンピック委員会)から取り付けた。2022年サッカー・ワールドカップ開催も決めているカタールのオイル・マネーに、日本は太刀打ちできるのか?あるいはイスタンブール(トルコ)が、世界初のイスラム圏五輪開催の栄誉を手にするのか?
第5回(8月25日)〜オリンピックの未来1=カギを握るユース五輪&冬季五輪
プロ化、巨大化、拡大化の道を歩んできたオリンピックは、今や選手2万人以上、役員1万人以上、合計約3万人以上の人びとが参加する超ビッグイベント。さらに2010年からは、18歳未満のユース・オリンピック大会(シンガポール)が始まり、バスケットボール、バレーボールなどの室内スポーツを、すべて冬季五輪に移す案も浮上。オリンピックは何処まで拡大するのか?
第6回(9月29日)〜オリンピックの未来2=パラリンピックととドーピング問題
今年のロンドン五輪はオリンピックとパラリンピックの組織が完全に統合された初めての大会。義足選手や臓器移植選手がオリンピックに出場し、遺伝子レベルのドーピングも囁かれるなか、未来のオリンピックは……?未来のスポーツは……?未来の人類は……?サイボーグ(改造人間)化するのか?アンドロイド(人造人間)化するのか?
上記の映像以外(第3〜6回)にも、IOC公認の記録映像等を見ていただく予定です。 |