横浜球場内野席を囲む金網のフェンスがなくなった、と聞いたので、観客として確かめたく思い、足を運んだ。
座ったのは内野A指定席の前から11列目。三塁の後方で少しばかり外野寄りだったが、そこからの野球の眺めはじつに素晴らしかった。
内野席の金網ほど野球が見づらく鬱陶しいものはない、メジャーの球場のように取り除けないものか・・・と、以前から主張していたが、実際に取り除かれて、これほど素敵なものとは思わなかった。
客席から三塁手や左翼手に手が届きそうで、そこへカクテル光線に照らし出されたライナーが白い尾を引いて飛んでくると、思わず自分もフィールドのなかへ駈けだしたくなった。
スタンドにファウルボールが飛んでくると、女性の黄色い声があがるなか、子供や男たちが席から立ちあがり、手を伸ばした。グラヴをはめた子供も少なくない。横浜球場ではグラヴの貸し出しも行っているという。
野球の愉しさを再発見し、気分よくプロ野球の醍醐味を満喫できた。
確率的には低いが、もちろん危険性がないわけではない。が、それはプロ野球のあり方の問題ともいえる。
プロ野球が親会社の利益のための「見世物」という興行であるかぎり、観客の安全性は、主催者によって厳格に確保されなければならない。そこで主催者は、金網を張りめぐらしたのだろう。
が、「おらが町のチーム」の「我等の代表選手」が試合するのならば、観客(サポーター)も一緒にプレイするのが当然で、グラヴを持参する人は増え、女性や老人は必然的にガードされるだろう。
金網の存在は、日本のプロ野球のあり方の不自然さ(親会社の宣伝媒体であり地域のクラブとして存在していないこと)を象徴的に表すものともいえるのだ。
ならば金網を取り除き、観客が野球に参加することから逆に、プロ野球のあり方を変えることも可能かもしれない。
後日フルキャストスタジアム宮城へ行ったが、ネット裏の「砂かぶり席」も、外野のファウルライン付近まで張り出した「フィールドシート」も、金網と支柱が邪魔でプレイが見にくかった。
おまけに「新しい試み」としてマスコミにも取りあげられた「砂かぶり席」は、スポンサーしか入ることのできないスペースで、一般には売り出されていない。
プロ野球には、すぐにでも改善できることが山ほどあるのに・・・。 |