今年のタイガースの快進撃を見るにつけ、思い出すのは1985年の優勝である。
あれは、いったい何だったのか?
巨人のV9時代(65〜71年)に「万年2位」と呼ばれたチームが止め処ない低迷を続け、球団史上初の最下位(78年)まで記録し、最後の優勝(64年)から20年を経たとき、大阪阪神梅田地下駅の柱には、「甲子園へ行くな!」と書かれた檄文が貼り出された。
「タイガースを甘やかしてはいけない。我々は、もう応援するのをやめよう!」
それから約1週間後、バース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発が飛び出し、その壁新聞の存在は忘れ去られた。そして日本列島を覆ったタイガース・フィーバーの嵐。
もっとも、祭りの後の虚しさは強烈だった。
マスコミは「猛虎時代の到来」などと無責任に騒いだが、それが根拠のない絵空事であることをファン(と担当記者)は心得ていた。
「助っ人(バースとゲイル)が働いただけのこっちゃ」「三塁手を三人(佐野、掛布、岡田)も獲るような計画性のなさで連続優勝なんかできまへん」「よそから来たベテラン(弘田、長崎)が最後の花を咲かせただけ」「ボロボロの投手陣を、よそのチームが助けてくれただけ」「飛ぶボールとスパイ野球で・・・」
しかしタイガースは、ファンの覚悟をさらに下まわり、かつて「万年2位」と呼ばれたチームは「最下位が指定席」となった。
まさしく、アレは、バブルだった。
アメリカが仕掛けたドル安円高のプラザ合意(85年)から暴発した日本のバブル経済と同様、誰が仕掛けたのかは知らないが、それは紛れもないバブル(実体のないもの)だった(そのときは楽しかったですけどね・笑)。
その後のデフレまで日本経済と同じ。しかし今年は違う。いや、去年からは違う。来年からは違うはずや。有能なゼネラル・マネージャー(チーム作りの計画を立てる人物)が、初めてタイガースに出現したんやから・・・。
|