「SARSのときもそうでしたが、新型コロナ・ウイルスも、夏が近づき湿度が高くなる6月下旬頃には、消えてなくなりますよ。7月下旬のオリンピックは間違いなく開催できます。大騒ぎしないほうがイイですよ」
COVID19の世界的感染拡大が騒がれ、日本の対応の鈍さが問題になり始めた3月下旬。私が出演したTV番組の控え室で、感染症の専門家の医師は、笑顔でこう語った。
その医師がゴールデンウィーク後も平気でテレビに出続け、「緊急事態宣言が解除される県が出てきたとは言え、まだまだ世界のパンデミックの終息には程遠く、身を引き締めて感染を防がなければ……」などと真顔で語る姿を見ると少々鼻白む思いがする。
が、冒頭の言葉は、「私は、いつも楽観的な人間ですから」と断ったうえでの「楽屋話」だから、ここで実名を挙げて責任問題を追及する……などという野暮なことをヤル気はない。
思い返してみれば、中国武漢が大変なことになり、フランスや北イタリアにも飛び火して、アメリカも……と騒ぎ始めた頃は、多くの専門家も楽観的で、症状は風邪に似て若い人の重症化例はほとんどなく、手洗いとウガイを徹底すれば……と強調する程度だった。
建設重機を大量動員して、新型コロナ専門の病院を突貫工事で新たに数多く建設している武漢の様子を横目で見ながら、多くの人々は(政府関係者や医療関係者も?)、横浜に停泊しているクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号での感染者を押さえ込めば、我が国の医療体制なら大丈夫と思っていたようだった。
それが今では……とは詳しく書くこともない。小さい布製のマスク2枚と一人10万円の配布に、いったいどれだけ時間を費やするのか知らないが、政府や公機関の対応の遅さには唖然とするほかなく、今後も数多くの零細企業、町工場や飲食店や旅館が倒産するだろう(おまけに持続化給付金の「中抜き疑惑」などウンザリさせられますね)。
そのような対応の遅れの一因として、7〜8月のオリンピック・パラリンピックを「完全な形で開催したい」という気持ちが政財界に強く働いていたからかどうか。将来この事態を再検証するときには、是非とも「五輪の悪影響の有無」を徹底的に調べてほしいものだ。
それはさておき、ワクチンの完成と実用化は早くても秋以降と言われるなか、「経済の建て直しも人命を救う行為」という掛け声のもと、「出口戦略」を求める声が高まり始めた。
たしかに倒産や生活苦による自殺者の増加を考えるならそのとおりだろう。が、では「スポーツ界の「出口戦略」は、どのように考えればいいのだろうか?
プロスポーツは、もちろん経済行為の一環で、たとえば競馬などのギャンブル・スポーツは、ネットでの馬券購入ができるので、無観客開催に踏み切った。
が、昨年秋から今年春にかけてのラグビーのトップリーグやバスケットボールのBリーグはリーグ戦途中での打ち切りが決定。夏場所(五月場所)の初日2週間延期を決めていた大相撲も開催中止を決定。名古屋場所(七月場所)を東京国技館での無観客開催にすることも決めた。
プロ野球は、6月19日の開幕を(おそらく無観客で)目指しているが、Jリーグは5,6月の試合が延期。再開日程は未定だ(ったが、6月27日のJ2、J3開幕と、7月4日のJ1開幕が無観客で決定した)。
インターハイ(全国高校選手権)の中止が決まり、夏の甲子園大会も中止。各県大会(予選)の開催は(各県によって感染状況も異なるので)各県の高等学校野球連盟に判断を任せることになるという。
このようなスポーツ状況のなかで、スポーツライターの小林信也氏が、素晴らしい意見を披露してくれた。それは、毎日(月〜金・午後6〜7時)ネット配信されている『ニューズ・オプエド』(主宰は上杉隆)の月曜日、小生がアンカーを務めているスポーツ特番でのことだった。
5月11日配信の番組にリモート出演した小林氏は、こう言ったのだ。「コロナに打ち勝って、スポーツも早く元の状態に戻りたい、と言う人が多い。が、それは違う。せっかく(日本の)スポーツのあり方を考え直す機会が与えられたのだから、元の状態に戻るのではなく、コロナ後の新しいスポーツの状態を創らなければ…
…」
彼は次のように言葉を続けた。小学校から大学までの学校の9月入学制度への改革を唱える声も出ている現在、高校スポーツや高校野球も9月入学制度に変更されたらどうなるのか、高校生や大学生、中学生や小学生のスポーツにとっては、9月入学制度がいいのかどうか、そういうことも検討すべきだ。
私も彼の意見に大賛成だ。
この機会にいっそのこと高野連を高体連に吸収させ、職業監督の規制に乗り出すのもるのも一案だろう。
また、オリンピック・パラリンピックも、ただコロナを避けて1年延期するだけではなく、経費削減という目的のためだけでもなく、これを機会に様々に改革すべき点に手をつけることもできるはずだ。
聖火リレーはIOCが(スポンサーのために?)創った規則のままに「一筆書きコース」でなければならない(聖火を分けてはいけない)のか?
開会式に参加する人数は減らすことも可能なはずだ。いや、現在のように競技種目数の多い、出場者数も多い、肥大化した大会でなければならないのか? ……等々改革できることは山ほどあるはずだ。
この番組にリモート出演していた野球解説者の青島健太氏も、コロナをきっかけにしたスポーツ改革に大賛成で、プロ野球の試合時間短縮のための7イニング制の導入と、日本シリーズやオールスター戦は9イニング制といった具合に使い分ける案なども、「コロナ」をきっかけに考えてみるべきだ、と言った(それは小生の持論でもあり、大賛成だ!)。
コロナ後のスポーツは、おそらく「SNSメディアに強いスポーツが生き残るだろう」という意見でも一致。
とにかく、日本のスポーツ界にも世界のスポーツ界にも、改革すべき点、改善すべき問題点は山ほどある。その改革に手をつけるのは、今でしょ! |