先月(2011年11月)27日、宮城県石巻市で開催された「2011武道フェスティバル石巻」というイベントに参加した。
東日本大震災で甚大な被害を被った石巻だが、被災直後に略奪や暴動等の事件も起こらず、被災者は協力し合って整然と苦難の時を乗り越えた。
それは長く培われた日本人の精神、礼節を重んじる「武道の精神」にも通じることから「武道の町・石巻」を宣言し、今後は子供たちへの武道教育を通して復興を目指す、というのだ。
私は「武士道とは何か? 武道をこれからの社会にどのように役立てるか?」というテーマで講演させてもらったが、柔道、剣道、空手、テコンドーのトップ選手も招かれ、子供たちへの実技指導や模範演技も行われた。
このような活動を繰り返し継続するなかで、2020年の東京オリンピック招致に協力し、それが実現したときには正式種目の柔道やテコンドーは無理でも、剣道、弓道、空手、合気道……等々の武道の試合を東京復興五輪のエキジビジョンとして石巻で開催する、というのが目標だ。
東京が16年の五輪招致でリオデジャネイロに敗れたのは、地元住民(都民)の支持率が全立候補都市中最低だったことが最大の原因ともいわれている。今回も「復興五輪」をテーマに掲げながら「その実体は?」「本当に復興と関係あるの?」と首を傾げる人も少なくない。
が、石巻を初めとする被災地の人口流出は続き、特に子供の流出が大問題と聞いた。それを食い止める……という以上に、石巻などの被災地を子供たちの元気な声であふれさせるには「武道の力」「スポーツの力」がけっして小さくないはずだ。
そして「武道の町・石巻」の活動が継続し、東京復興五輪が開催され、聖火が東北の被災地各地に輝けば、どんなに素晴らしいことだろう! それでも東京都民の皆さん! 五輪招致に反対ですか?
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尚、小生の講演『武士道とは何か』の中味は(一言でいってしまうなら)……過去には、物部vs蘇我の闘いや坂上田村麻呂の東北遠征以来、源平…戦国…徳川…そして明治……と、それぞれの時代々々で様々な「武士(もののふ)」「武士道(武道)」(に対する考え方)が存在した。が、震災後の復興五輪で、新たな素晴らしい「武道」に対する考え方を築いてほしい……というものでした。 |