2020年のオリンピック・パラリンピック招致合戦もいよいよ大詰め。9月7日の最終投票が行われるブエノスアイレスでのIOC(国際オリンピック委員会)総会まであと3週間となった。
この時期はライバル都市の動向を探ったりIOC委員の最終意志を確認するため、様々な怪情報が乱れ飛ぶ。
リオデジャネイロに決定した2016年大会の投票直前も、オバマ大統領の演説でシカゴ有利、大逆転か?!との情報が聞こえてきた。
しかしシカゴは、最初の投票で18票しか集めることができず、22票の東京よりも先に落選。だから今の時期の情報分析は難しい。
今回も、今になって、「マドリッドが最有力に浮上!」との最新情報が飛び交っている。
マドリッドは2024年のパリ五輪百周年記念開催がほぼ決まっているため、パリに近すぎて不利とか、国家財政危機で開催不可能(したがって、東京とイスタンブールの一騎打ち)といわれていた。
が、トルコ国内の反政府デモの激化でイスタンブールに代わってマドリッドが浮上。ローザンヌでのIOC委員へのプレゼンテーションや、バルセロナで行われた世界水泳でのロビー活動で、スペインのフェリペ皇太子の活躍が際立ち、多くのIOC委員の心を掴んだとも言われている。
おまけにスペインの財政危機はEU全体のユーロ危機でもあり、ギリシアの轍を踏ませないためにも、マドリッド・オリンピックを成功させ、スペイン経済を好転させようという意見が、EUの総意として、またヨーロッパ全体の意見としてまとまったというのだ。
なかなかリーズナブルな意見で、それを裏付ける欧州IOC委員の声もあるという。
さらにある情報筋による1回目の投票の「票読み」は、東京35票(プラス2、マイナス5)、マドリッド38(プラス5、マイナス3)、イスタンブール25(プラス2、マイナス1)との「情報」も流れている。
ならば最終決選投票で、東京とマドリッドが、イスタンブールの獲得した投票を奪い合うことになるが……。
もしもマドリッドの2020年開催が決まると、2024年パリ開催が危うくなる。ならば東京はパリ(フランス)と手を結び、2024年のパリ開催を保証すると同時に、2020年の東京への投票を促す作戦に出るのか……。
しかし2024年は、ロサンジェルスが3度目の開催を目指すとの声もある。最大のテレビ放映権料を支払っているにもかかわらず、オバマ大統領の力を入れたシカゴが冷たくあしらわれるなど、最近までIOCとの関係のギクシャクしていたアメリカが、その関係をロンドン大会期間中に修復させることに成功し、IOCもアメリカ開催を積極的に支援するというのだ。
ならば日本はフランスと組んでも、さほどの得票にはつながらないか……?
オリンピックで行われる競技はスポーツだが、オリンピックは国際政治。開催地の決定にも、あるいは競技種目の決定にも、その政治的力関係が強く働く。政治ならば一寸先は闇。
2度目の東京五輪を何とか実現してほしいと願うが、たとえ結果がどう転んでも、日本のスポーツ界の健全な発展と、それによる豊かな社会作り、そして被災地の復興は、大きく前進させてほしいものだ。 |