8月1日(月)
終日原稿書き。毎日暑い。シャワーを浴びようと思ったらギャアアッと声がして今度は風呂場からガタロが出てきたかと思ったら次女だった。「おったんか?」「明日からモンゴルへ行くのでちょっと寄った」「勝手にせい」船で上海、鉄道で北京へ。万里の長城を見てからウランバートルへ。そのあと馬でゲルを転々とするから「馬のはなむけをよこせ」という。そんな言葉だけは知っとるんやな。今日働いた原稿料がパアになる。トホホ。何のために働いてるのか・・・。あっ、7/31の本欄にも登場したガタロとは川太郎の大阪弁で河童のことです。
8月1日(月)つづき
女子も北朝鮮に敗北。「サッカー文化を育てる誇り」が「祖国のために闘う」と思う気持ちに常に勝てるようになるのはいつ?
8月2日(火)
近所の人が亡くなってお通夜。暑いときには必ずこういうことも。
8月3日(水)
メンバー総替えの日本サッカーも見たかったけど、三枝成彰氏のコンサートを聴くためサントリーホールへ。面白かった。新ウィーン楽派もどきの若いときの習作は、まあどうでもよかったけど、『六声のためのマドリガル』はなかなかの聴きモノ。『忠臣蔵』の2幕への間奏曲につかえるかな・・・。ロック音楽という以上にトランスというべき『ラジエーションミサ』も面白かった。日本のDJやVJはこういう音楽があることを知らんのやろな。サッカーは中国と引き分け。中味は知らんけど休んだメンバーが次の韓国戦にきちんと勝てばええ。野球は阪神も中日も負け。「今年は勝たんでもええで」という気持ちと「監督替わってほしいなあ」という気持ちのどっちが大きく噴出するかで優勝の行方が決まるのかいなあ・・・。
8月4日(木)
明徳の甲子園出場辞退問題についてメディアから電話が相次ぐ。「煙草も体罰も大なり小なりどこの野球部にも存在するもので、そもそも高野連の存在とやり方自体のほうに大きな問題がある。日本の野球界はプロから少年野球までを統括する統一組織をつくり(高野連は解体し)、高校生を大人が利用している(選手の身体を壊し学校の宣伝と主催新聞社の宣伝にばかりに利用されている)夏の甲子園大会の廃止もふくめた大改革をするべきである」と答えるが、どのメディアにも載らないでしょうねえ。ただ一つの通信社だけは、なんとか小生のコメントを載せようと努力してくれたので、FAXのやりとりを繰り返し、少々発言内容を弱めた形で了承する。
8月4日(木)つづき
せやけど高校野球の主催者(高野連と朝日新聞)は、なんでわざわざクソ暑い場所と時間を選んで高校生に試合をやらせるんやろ?決勝の1試合でもわざわざ午後1時プレイボール!そんなふうに選手を潰してまで狂気を煽って盛りあげて(高校卒業したら)あとは知らんで・・・という大会のどこが「教育」といえるんやろ?
8月5日(金)
オモロなってきたでえ政局が。アメリカ資本主義の手先が「改革」と抗弁してるだけのエセ改革と、既得権益を守りたいだけのユービン圧力団体の闘いなんかどうでもええけど、自民党が壊れるのはエエことです。社会党だけ壊れたのでは55年体制を破壊するうえで中途半端(ホンマは「片手落ち」という日本語を使いたいのですが、使ってはいけないそうですので使いません)。小泉がホンマに「公約」どおり自民党をぶっ壊すかどうか、オモロイ局面になりましたなあ。
8月5日(金)つづき
クソ暑い一日で溜まりに溜まった郵便物の整理をしたら『新しい世界地図』(アートン出版)という本が出てきた。ギャハハハハハ。どのページを開けても呵々大笑するほかない。世界にはイナリ、トロ、イカ、ブリ、ギョク、シャリ・・・という地名があるそうな。さらにポン、チー、リーチ、アンカン、ハンチャン、ロンダネ・・・なんて地名も。オランダのスケベニンゲンは北杜夫の『どくとるマンボウ航海記』で高校生のときから知っていたけど、バース、オマリー、ハウエル、ブライアント、クロマーティ・・・と並べられるだけで笑える。「きっとお好みに合うかと思い・・・」という手紙とともに送られてきたが、心のなかを見透かされたようでコワイ(笑)。これは編集者の勝利!ケッサクの一冊です。1200円というのもリーズナブル。一緒に送られてきた同じ出版社の『ゲルマン』という本もサイコーだった。ドイツのゴールキーパー「カーン」は「小舟」という意味だそうな。「ブッフバルト」は「本の森」。ニュースを見ながら自民党潰れろ!と思いながらも読める本で、ドイツ語の勉強をしてしまった。なんとバイエルン・ミュンヘンのあの素晴らしきミッドフィルダーの「シュヴァインシュタイガー」は「豚に登る人」という意味だそうです。
8月6日(土)
ある新聞社の記者から「甲子園の開会式で広島代表の高校キャプテンが原爆投下の8時15分に黙祷することを出場校の選手に呼びかけたところが、高野連が禁止した。そのことについてコメントを・・・」との電話。事情がよくわからないので詳しく訊くと「高野連の幹部が『原爆は広島のことだから、広島の高校だけが黙祷すればいい』といった」とか。「そこまで取材したなら、高野連との関係など気にせず、あなた自身が高野連を批判する記事を書くべきでしょう」と答える。もしも小生のコメントを使うなら「私は高野連の存在と言動自体をナンセンスなものであると否定しており、どんなにバカなことをいおうがやろうが驚きません」としてください、と答える。まあ、このコメントも使われへんやろう・・・。けど、高野連はサイテーやで。自民党とおんなしでぶっ潰さんとあかんで。
8月6日(土)つづき
広島の「平和コンサート」のことや「なでしこジャパン」のがんばりについて書こうと思ったけど、そのあとテレビ東京が『美の巨人たち』で山田かまちのことをとりあげたのを見て、何もかもがぶっ飛ぶほどガーンとショックを受けてしまった。やっぱり、この大天才は凄かったんや!ビートルズに触発された『プリーズ・ミスター・ポストマン』の絵の線と色の凄いこと!動物や恐竜の絵もナイフを自分に向けた自画像も言葉にならないほど凄い!ピカソ、クリムト、ダリ・・・以上に未熟なダイナミズムと無意識に磨かれたテクニックがこれほど自然に融合している絵は初めて見た。テレビの番組でこれほどショックを受けたのは・・・記憶にない。インターネットで『山田かまち』を検索する。寝られへん。
8月7日(日)
仕事をほっぽり出して高崎へ。「山田かまち水彩デッサン美術館」を訪れる。来て良かった。昨日TVを見て受けたショックが綺麗に消える。小学3年の時の動物の絵はじつに素晴らしいと思ったが、他の作品は自分の青春時代を思い出させてくれるのみ。いい絵ですけどね。未成熟のまま終わった早熟の天才の姿に50歳を過ぎた小生は90歳過ぎまで生きて『ファルスタッフ』をつくったジュゼッペ・ヴェルディの見事な成熟を思い起こす。生まれて初めて「長生きしてもっと成長せんとアカン」と思う。その意味で山田かまちに感謝。ついでに青春時代の恋人と一緒に高崎観音を見て帰鎌。鮨処『もり山』で食事をして帰宅。韓国に1-0で勝利。素直に喜ぶ。
8月8日(月)
郵政法案参院大差で否決をテレビで見とどけてから帝国ホテルへ。北海道小樽グランプリ推進協議会がアメリカのチャンプ・カー・ワールド・シリーズを2007年に招聘し、日本で初の公道レース実現に向けて動き出したことの記者発表に参加。約50人の記者のなかからは「警察の許可を得るのは可能か?」の質問が出る。それがいちばんの問題なんやねんなあ・・・。
8月9日(火)
ペナントレースの最中に引退試合の花野球なんかしてもええのんやろか?東京を本拠地にするチームが仙台でホームゲームなんかしてもええのんやろか?炎天下の延長戦で180球以上も若い投手に投げさしてもええのんやろか?完投した投手にアイシングもさせずにインタヴューを受けさしてもええのんやろか?日本の野球はおかしなことだらけですなぁ。長崎の平和コンサートにチャンネルをまわしてるうちにタイガースがドラゴンズに逆転されとる。これは何もおかしなことではないですけど、宇宙飛行士の野口さんが決死の帰還というのにNHKが実況中継をせんかったのはおかしなことですなぁ・・・。
8月10日(水)
一日がかりで原稿を書きあげたところへお隣さんから「ワイン飲みませんか?」のお誘い。フランス直輸入のフォアグラと山羊のチーズとともにシャンパン、エクサン・プロヴァンスのロゼ、ボルドーの赤をいただく。きちんと仕事をするとエエことがあるもんやなぁ(笑)。
8月11日(木)
終日、明日と明後日のスポーツジャーナリスト養成塾の準備。3年目6度目の講義とはいえ、やっぱり気合いが入る。為末のように頑張らねば・・・。
8月12日(金)
朝10時から飯田橋の角川書店会議室でスポーツジャーナリスト養成塾第3期夏期集中講座を開講。まずは「スポーツを知る」「スポーツを見る」「スポーツを想像する」「スポーツを聞く」「スポーツを考える」「スポーツを表現する(書く)」というスポーツジャーナリストの仕事を説明。ビデオを使って「スポーツの見方」の講義。午後からは日本のスポーツジャーナリズムの歴史を解説。質疑応答が終わったところで午後5時。クタクタやで。
8月13日(土)
スポジャー塾2日目。「スポーツを聞く」というテーマで「インタヴューの仕方」「話の引き出し方」を解説。午後からは特別ゲスト宮崎学氏登場。ジャーナリズム論からスポーツジャーナリズム批判、橋田さんのイラク取材から小泉「改革」の欺瞞まで、話の中味はメッチャクチャ面白かった。さすがは狐目の男!宮崎氏の話のあと、原稿の書き方、塾生の原稿の添削、質疑応答・・・で終了は午後7時近く。疲れた・・・。けど、やっぱりこれはやらなきゃいかん仕事だと改めて自覚。終了後、いろいろ準備を手伝ってくれた第二期生3人、『スポーツ・ヤァ!』の編集長、編集部員らと反省会を兼ねて食事。よし!11月から第3期実践塾をやろう!けど、疲れた・・・。
8月14日(日)
一昨日と昨日でやっぱりかなり疲れたようで正午まで爆睡。仕事は無理なのでDVDでオペラ三昧の一日。とはいえ歌手の動作や合唱の動きや舞台装置や衣裳ばかりに目がいって音楽を楽しめない。スポーツも音楽も次々と趣味を仕事にしてしまって今度はオペラも・・・というのはちょっとシンドイ。けど、それ以外にできる仕事もないから、まぁしゃあないわなぁ。
8月15日(月)
日本無条件降伏60年目の記念日。3度の応召で中国戦線で戦った親父に何度も聞かされた戦争の話を思い出しながらニュースで見る靖国神社へ参拝する政治家とのギャップを感じる。小泉首相は千鳥ヶ淵墓園へ。選挙前のパフォーマンスが上手いなぁ。「政治屋」としては超一流やで。郵政から大蔵(現・財務省)への利権の移行(奪取)を堂々と「改革」という厚顔根性はたいしたもんやで。
8月15日(月)つづき
今日も疲れが残ってるのでオペラと映画のDVD三昧にしようと思っていたら、中国内モンゴルの旅から次女が帰国。ゲルで何泊かしたときに習った馬頭琴を弾き始めたためDVDどころではなくなった・・・。まぁ、自分も若いときは勝手なことばっかりしてたからしゃあないなぁ・・・。北京五輪グッズを土産に買ってきてくれた次女の報告によると「あんな汚いトイレしかない国でオリンピックは不可能」とのこと。あと3年。貧富の差が狭まるか・・・さらに広がるか・・・。狭める意識が中国共産党トップにあるのか・・・広めて他のことでごまかそうと考えてるのか・・・。まぁ、いつかまた「革命」が起こるのんやろな。中国の過去の歴史はそんなふうに続いてきたのやし・・・。けど、馬頭琴の響きは下手糞が弾いてもナカナカのものです。
8月16日(火)
本棚の整理。そして今日こそDVD三昧・・・と思ったら長男がGFを連れてきた。群馬出身ジャズ・ヴォーカリスト志望の学生とかで土産に持参してくれた『呑龍まんじゅう』が最高に美味かった。これは「まんじゅう」やなくて「パン」やで。フォアグラを載せたいなぁ。さらに長女がBFを連れてきて、そのBFがDJをやってるとやらでワケのワカラン機材やらスピーカーやらを何台も持ち込んできて家の中でトランス・ミュージックのコンサート。シャンパン空けて『呑龍まんじゅう』でワインと焼酎飲んで深夜2時まで踊りまくる。阿呆やで。御近所さん、やかましゅうてスンマセン。すべては夏の暑さのせいで・・・いや、子供が悪いので・・・いや、それって親のせいか・・・(苦笑)。けど、まぁ、盆踊りみたいなもので・・・。初盆やったさかい・・・。
8月17日(水)
昨晩の踊り疲れでぼんやりしている頭へ次々と電話。電話は仕事だけにしてほしい。選挙関係はご遠慮ください。ホリエモンとも田中県知事とも小生は深い関係はまったくございませんので。
8月17日(水)つづき
今度は次女がやって来る。BFは連れずに。「何の用やねん?」「明日からアメリカ行く」「おとつい中国から帰ってきたばっかりやないけえ」「コロラド大学でナーシングの夏期講習あるから」「知らんわ。どうでもええ。また馬のハナムケか」「サンキュー・ベリベリマッチ」「発音悪いで。英語の授業なんてわかるんかいな?」「モーマンタイ(無問題)」「勝手にせい」
8月17日(水)つづき
日本代表イランに快勝!ジーコ・ジャパンがドイツW杯でグループリーグを突破するには(川淵キャプテンがいったような)技術よりもスタミナをつけることかも・・・2002年の韓国のように。
8月18日(木)
終日原稿書きと読書と勉強。こういう日がもっとないとアカン・・・。
8月19日(金)
毎日放送『ちちんぷいぷい』生出演のため大阪へ。ナンヤテエ?ホリエモンは無所属で亀井の刺客やて?あの正直になんでも喋るホリエモンが(それだけに脇が甘いともいえるけど)記者会見では「ウソ」丸出し。顔が引きつってたで。まあ、政治の世界に入るということは、そんなふうにして「顔が悪くなる」ことなんやな。けど、ホリエモンと小泉が「合体」して何もかもがよく見えるようになった。あらゆる社会主義的政策をすべて捨て去るのが小泉自民。竹中アメリカ資本主義万歳なんや。それに対して冷戦ではアメリカに負けてしもたけど社会主義政策でエエもんは残そうというのがアンチ小泉自民。残す度合いによって国新、民主、共産、社民・・・とバラけるけど公明ってホンマは後者やなかったの?まあ、どっちも「利権」には変わりないんやけど・・・どの党もマニフェストにスポーツ政策文化政策を入れてくれまへんなぁ。レベル低いなぁ。大阪から名古屋へ。
8月19日(金)つづき
名古屋のホテルで久しぶりに『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」を見る。10年前くらいに英語専門雑誌にこの番組に関するエッセイを書いたことがあった。相変わらずオモロイ。いまや長寿番組やで。
8月20日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演のあと、司会の峰竜太さんや大谷昭宏さんと「優勝は中日か?阪神か?」で盛りあがる。阪神優勝のときは天変地異や大事故、中日優勝のときは政変(政権交代)が多いという無根拠のデータ(笑)を口にするとジャーナリストの二木さんが「政変はなさそう」と。ならば優勝は・・・どっちでもエエけど天変地異よりも政変が起こってほしいなぁ。
8月21日(日)
「紅旗征戎不有我事」というわけでもないがやっとDVD三昧の一日。1本目はルイ・エルロ演出のオッフェンバック『ホフマン物語』(ケント・ナガノ指揮リヨン国立歌劇場)。面白い演出やったけど、ちょっとやりすぎかなぁ・・・。ナタリー・デッセイの歌は完璧に凄かった!
8月21日(日)つづき
2本目は『Ray』。小学4年の時からのレイ・チャールズ・ファンとしてはこの映画はロードショウの時以来(いろんな意味で)コワクて見る勇気が出なかった。でも、思い切って見た。やっぱり泣けた。なるほどジェイミー・フォックスの演技はレイ・チャールズそのもの。それ以上に監督のテイラー・ハックフォードの色づかいに感動。
DVD |
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『サヨナラ』
映画『SAYONARA』50年代に日本を舞台にマーロン・ブランド主演でこんな映画がつくられたとは! |
8月21日(日)つづき
3本目は『SAYONARA』。ジョシュア・ローガン監督マーロン・ブランド主演でジャズ・シンガーのナンシー梅木(梅木ミヨシ)がアカデミー助演女優賞を受賞した作品。『アニーよ銃をとれ』のアーヴィン・バーリンが音楽(劇中歌)を担当。朝鮮戦争時代の米将校と日本の女子歌劇団(マツバヤシ歌劇団=松竹?=SKD?)のスターとの恋。歌舞伎、能、文楽、友禅染、屋台、そして心中・・・と、あらゆる日本文化が画面に登場。なんというキワモノ映画・・・と最初は思ったが、なかなかよくできている。「サヨナラ」という日本語をアメリカに広めた映画らしいが、浜美枝の出演した『007』や『パールハーバー』よりよほど日本に対する理解が深く良心的。必見掘り出し物!ブッシュやライスやラムズフェルドにも見てほしいなぁ。しかし1日に3本見ると疲れるで。これも仕事?(笑)
8月22日(月)
「見る」と決めたら徹底的に・・・。今日はオットー・プレミンジャー監督の『黄金の腕』(フランク・シナトラ主演)とフランスの作曲家オネゲルのオラトリオを映画化したロベルト・ロッセリーニ監督の『火刑台上のジャンヌ・ダルク』(イングリッド・バーグマン主演)のDVDを見た。3本目の東映アニメ『わんわん忠臣蔵』を見ていたら(我ながら何という選択!)メディアから電話がジャンジャン。夏の甲子園で優勝した駒大苫小牧で暴力事件が発覚した(していた)とか。どこにでもある高校球界ならではの旧くてバカバカしい体質。そういう暴力も問題やけど、炎天下で試合をやらせたり投手に連投させたり100球以上投げさせたりアイシングもさせなかったり・・・ということもモノスゴイ暴力やで。「あんな野蛮な見世物をマスコミが騒ぐほうが問題」とコメントしたら「野蛮な見世物という表現はカットさせてほしい」といわれた。勝手にせい。
8月23日(火)
「見るぞ!週間」第3日(ナンノコッチャ)。まずはジャン・ピエール・ポネル演出ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』(バレンボイム指揮バイロイト音楽祭)。もう何十回も見た映像だが新たな発見があった。ポネルはホンマに凄い!2本目はヴェルナー・シュレーター監督『愛の破片』。よほどのオペラ・ファン以外には薦められない映画だが最後に幻の名歌手アニタ・チェッルケッティが若い頃の録音を聴きながら口パクをするシーンでは涙が出そうになった。ヴェルディの造った養老院のドキュメンタリー映画『トスカの接吻』と並ぶ名作。3本目に挑戦・・・と思ったら大船のライヴハウス『ハニービー』に「うめ吉」が出演するというので聴きに行く(右下の写真参照)。ナカナカの美人。都々逸から三味線ブギまで楽しむ。バックバンドの「おてもと社中」もなかなか。近々三遊亭小遊三師匠のトランペットとセッションするとか。日本人のDNAが騒いだ(笑)。
8月24日(水)
オペラや映画を見ている最中に駒大苫小牧問題でいろんなメディアからガンガン電話。所詮は「罰の体系」を教育と取り違えている高野連とジャーナリズムを放棄して主催者になっている朝日新聞の責任。某TV局からVTR出演を依頼されたので「高野連と朝日新聞の問題点を話せるなら」と答えると、真面目なディレクターが上司を説得してくれたらしいが、やっぱりダメとか・・・。まぁ、しゃあないな。このままでは永遠に「暴力」と「罰」と「隠蔽」が繰り返されるだけ。高野連と朝日が「暴力的」に高校生を見世物に使うてるんやから「下」は「上」を見習いますわなぁ。
8月25日(木)
「汚い手段を高貴に見せる。それが政治というものだ」これはモーツァルトがオペラ化もしたボーマルシェの戯曲『フィガロの結婚』のなかにある一節。エドゥアール・モリナロ(『Mr.レディMr.マダム』の監督)が監督した映画『ボーマルシェ/フィガロの誕生』が面白かった。ボーマルシェは貴族を大批判した人気劇作家でありながらルイ15世や16世に近づきアメリカ独立戦争がらみでスパイや武器商人までやった人物。映画にはフランクリンまで登場して大革命直前のフランスの様子がよくわかった。
8月25日(木)つづき
駒大苫小牧問題でさらにいくつかの電話。殴られて育った指導者は殴る。その連鎖を止めるにはスポーツという文化の本質と理念を理解すること。そして理念に基づく実践を行う以外にない。ということはスポーツの本質と理念から逸脱している夏の甲子園大会こそまず最初に大改革が必要といえるだろう。
8月25日(木)つづき
また週刊誌から駒大苫小牧に関する電話・・・と思ったら今度は「星野氏巨人監督就任要請について」だった。「巨人の人気凋落に歯止めがかかるでしょうか?」「巨人の目的は読売新聞を売ることと日テレの視聴率をあげること。日本の野球には関係ない話やから興味がないです」「プロ野球の人気凋落の歯止めには?」「プロ野球の人気は凋落なんかしてませんよ。よく調べてください!」
8月26日(金)
ガキが『オペラ座の怪人』のDVDを買ってきたので見る。時間の無駄。ストーリーも音楽もコケオドシだけのお子様ランチ。『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアでも『マイ・フェア・レディ』のイライザでも葛藤はもっと深かった。ロイド・ウェバーは『ジーザス・クライスト・スーパースター』が最高やね。やっぱし。ひとつ気づいたのはバッハのオルガン風の「怪人」のテーマはドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』のパクリ?バーンスタインの『ウエストサイド・ストーリー』もベートーヴェンの『皇帝』やワーグナーの『ニーベルンクの指環』からパクッてるからそれは別にええねんけど中味が・・・。
8月26日(金)つづき
駒大苫小牧問題でまだ電話。「暴力事件が事実とするなら優勝旗はどうするべきでしょう?」「高野連は優勝旗を返上させて公式記録としては優勝校ナシの大会とするべきです。そして優勝旗なんかどうでもいいことだと宣言するべきでしょう」「どういう意味ですか?」「たかが朝日新聞の旗とともに振り回す優勝旗なんかで若者たちがバーンアウトする(燃え尽きる)ことなく、もっと未来の様々な大きな目標を目指すべきだ、ということを主催者(高野連と朝日新聞)は高校生に指導するべきでしょう」このコメントもボツやろな・・・。
8月27日(土)
星野氏巨人監督就任についても電話。「賛成ですか?反対ですか?」「どっちゃでもええけど自社連合政権の村山内閣のあと社会党がどうなってしまったかということが思い出されますなぁ・・・」
8月27日(土)つづき
「見るぞ!週間」最終日。要するに夏休みだったんですけどね。朝から晩まで『忠臣蔵』と『赤穂浪士』のオンパレード。マキノ雅弘、溝口健二、松田定次、渡辺邦男、深作欣二・・・。片岡千恵蔵、阪東妻三郎、里見浩太朗、大河内伝次郎、萬屋錦之助、長谷川一夫、滝沢修、勝新太郎、松方弘樹、高峰三枝子、京マチ子、三田佳子、美空ひばり・・・。勉強するのも体力ですな。
8月27日(土)つづき
学校側(駒大苫小牧)と父兄が「和解」。そういう問題やったんか・・・。名古屋へ。ホームに降りた瞬間ヨネスケ師匠とバッタリ。「いやぁ御無沙汰してます」最近名古屋で人に会うことが多い。中日新聞栄文化センターで『オペラ講座』。テーマは「演歌とオペラ」。五木ひろしの歌うドニゼッティ(『愛の妙薬』の「人知れぬ涙」)や美空ひばりの歌うプッチーニ(『トスカ』の「歌に生き愛に生き」)やブライアン・アダムスの『オーソレ・ミオ』、それに都はるみ(1994年上賀茂神社大文字コンサート)を見まくり、聴きまくる。オペラも演歌も一緒やで。帰宅したら高野連の『処分』について感想を求める電話。ナンセンスの一言。せめて高校生にも発言させろよ。高校球児をいつまでロボット扱いするのか?いつになったら日本の野球界は「変わる」のか?嗚呼!
8月27日(土)つづき
次女から国際電話。「どこにおるねん?」「デンバー」「何の用や?」「用はないけど元気だから安心を」「それだけか?」「昨日マーケットでマラソンのQちゃんに会った」「話したんか?」「Qちゃんですよねといって握手してもらった」「阿呆か。俺の娘やったらスクープのひとつでもせんかい」「Not my business」「How about your study?」「モーマンタイ(無問題)」「勝手にせい」
8月28日(日)
明日からの平常業務復帰のため仕事場の大整理。夜巨人阪神戦をBSで見る。解説は星野仙一氏。星野氏に対してNHKのアナウンサーは明らかにツッコミ不足。「なんでも聞いてくれ」というてくれてはるのに何をビビットルねん。深夜TBSの『Jスポーツ』に緊急生出演。久しぶりの出演で司会の恵さんや槇原さんとは同窓会気分(笑)。星野氏巨人監督就任要請?について「呼べるもんなら呼んでみい」というスタンスで話す。せっかく日曜の晩飯のビールを我慢して行ったんやからもうちょっと話す時間がほしかったなぁ。
8月28日(日)つづき
コイズミは「自民党をぶっつぶす」といって郵政法案反対派を切り衆院を解散した。オザワは「自民党内にいては所詮自民党はぶっつぶせない」といって「政権交代(自民野党転落)こそ自民党(日本の政治)を根底から改革できる唯一の道」という。さてホシノ氏はどっちを選ぶ?
8月29日(月)
終日原稿執筆・・・と思ったら某TV局がENGを持って取材に来る。TV局の取材用カメラのことを「ENG」と呼ぶのは「Electric News Gathering」の略だと聞いたときは「IBM」が「International Business Machine」の略だと知ったときと同様のガッカリ感に襲われたものです。どうでもええことやけど。
8月30日(火)
終日やっと原稿書き・・・。こういう日がないとアカン。
8月31日(水)
甲子園へ。練習前に赤星選手とタイガース・ファンで指揮者の佐渡裕さんの対談をプロデュース。異文化対談はいつもメチャメチャ面白い。この中味は『スポーツ・ヤァ!』(9/22発売)に書きます。対談のあと佐渡さんと一緒に甲子園の一塁ベンチに座っていると元代打男の川藤さんがやってきて「うわぁ、佐渡さんやないですかぁ!」川藤さんは佐渡さんの指揮した『一万人の第九』を聴きに来て興奮して目を真っ赤にして楽屋を訪れて以来の佐渡ファンです(蔵出しコラム・ノンジャンル『』参照)。
8月31日(水)つづき
試合前までに時間があったので10月にオープンする兵庫県立芸術文化センターへ。芸術監督の佐渡さんは打合せ。小生はスタッフの案内で大中小のホールを見学。素晴らしい施設!近所に引っ越したくなった。
8月31日(水)つづき
甲子園へ戻って阪神中日戦。試合中スタジアムの内外を歩き回ってファンの声を取材。ファンが若返った。前売りだけで当日券がないせいか球場外は静か。1985年の優勝のときは外で酒盛りしてたファンが多かったけど・・・。試合結果は井川の乱調で阪神の惨敗(といっていいでしょう)。5試合多く試合を残している中日が断然有利になる。試合終了後岡田監督とバッタリ。意外と明るい笑顔(苦笑い)で「来てはったんですか。エースがアレではあかんわ」江夏豊さんと久しぶりに挨拶。「メシ食いながら野球の話でもしようや」「ええ。喜んで」
8月31日(水)つづき
甲子園で見る野球は楽しい。けど試合時間が長すぎる。問題は攻守交代と投手交代。最短約2分最長約4分平均約3分の無駄な時間が20回以上。それだけで約1時間。半減すれば(監督と選手がサッサと駆け足をするだけで)30分も試合時間が短縮できるのに・・・。試合終了後、佐渡夫妻の自宅近くの絶品焼き肉屋さんへ。神戸の肉はレベルが高い!佐渡夫妻は甲子園での阪神戦観戦試合初敗北とか。おれの仕事で申し訳ない。大阪泊。
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