闘病記(1) 4月19日(日)〜5月12日(火)
1週間の入院と2週間のリハビリを経て帰宅。病名は脳出血。マイッタナァ。19日の午前中トイレへ行こうとしたら足が立たなくなってそのまま救急車で病院へ。意識は大丈夫。喋りもマトモ。問題は右足と右手。とはいえホトンド問題なし。今日(5/12)は自宅の後始末やらナンヤラカンヤラで少々大忙しのうえコンピュータを打つのは疲れるので病院でのオモロイ話は明日以降にご報告させていただきますがとにかく無事に「死地」より帰還。やっぱり原因は飲み過ぎかなぁ。明日からまた真面目に仕事しよ。
闘病記(2) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院最初の2日は絶対安静。食事はなし。とほほ。検査するのみ。出血したのは左脳の視床という場所。病名は視床出血で出血量は5cc。手の出せない場所らしく「ハラへった」などとゴタクを並べることができるのはラッキーだとか。アホ長女は救急車呼ぶのに大活躍。バカ次女もドーショーモナイ長男も駆けつける。おまえらちとオーバーやで…といえるのは意識があったからか。
闘病記(3) 4月19日(日)〜5月12日(火)
3日目から脳損傷箇所のチェックも兼ねてリハビリ開始。右足を引きずるのと右手中指薬指の動きが悪くキイボードが打ちにくい。それと字がまともに書けん。ミミズが這うとるで。けどマァその程度の後遺症で終わったことを喜ぶべしやな。すべてはリハビリ一所懸命やったら治るらしいからあとは血圧を下げることやな。
闘病記(4) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院1週間で救急治療病院からリハビリ病院へ転院。大島渚さんも利用してはったことのある病院で江ノ島と湘南の海が見えて天気のエエときは富士山まで見える。飯もまずまず。しかし量が少ない。酒抜き。煙草抜き。当たり前か。その結果大便が出にくい。ウンウンとトイレで格闘。これで頭のセンがまた切れたらモトもコもないで。せやからビールを少々…と看護師さんに主張すると座薬を所望してくださりドバーッと1キロほどもウンチが出る。最高の幸福感。ハッハッハッハ。酒を忘れはじめる自分が怖い。煙草は…忘れたな。
闘病記(5) 4月19日(日)〜5月12日(火)
いろいろと事情を察した友人や仕事仲間が見舞いに駆けつけてくれる。カテーテルやMEDの販売会社の社長をしてる朋友のSにはいろいろ感謝。入院前ギリギリまで原稿を書かせて完成して万歳飲み会したK談社のAクンは申し訳なさそうに2度も。アンタのせいやおまへんがな(笑)。その本『未完成から悲愴まで〜ロマン派の交響曲』の共著者の金聖響さんもmimura夫人と一緒に来院。神奈フィル常任就任のお披露目コンサートに行けずスンマヘン。ロバート・ホワイティング氏もmachiko夫人と一緒に来院。「ボクノ本ノ翻訳ガ影響シマシタカ」「それも一因でっせ」で大笑い。ほかに論スポのH編集長が2度来院。岡ちゃんのインタヴュー原稿はまかせます。夏のスポジャー塾は可能やろ。『ちちんぷいぷい』のプロデューサー。雑誌『ミセス』のO編集長。雑誌『ZAITEN』のK編集者。中日栄文化センターのM親分。元スポーツジャーナリスト塾塾生のKクン。それに『213』のマスター。『鮨処もり山』の大将夫妻。みなさんアリガトウ。あんまり病人らしくなくてスイマセン。それに本欄を読んで電話やメールをくださった方々にも感謝。倒れる直前に一緒にバカ飲みした皆さんも気にせず連絡ください。アンタのせいやおまへんから(笑)。必然的自業自得以外の何物でもおまへんでぇ。
闘病記(6) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中は1日2度(約1時間×2)のリハビリ以外やることナシ。テレビは金曜の『ちちんぷいぷい』とNHKのニュースと若干の特番以外飽きる。仕方ないので読書。次女が自宅から持参したBOSEのミニコンポで音楽聴きまくり。そして長女のプレゼントしてくれたミニDVDで映画見まくり。ほかに見舞いの客の相手。とはいえ朝5時起床。夜8時就寝では時間がイッパイ。本読みまくり。音楽聴きまくり。映画見まくりの入院生活。
闘病記(7) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中に読んだ本。武田邦彦『環境問題はなぜウソがまかり通るのか3』洋泉社。井上ひさし『京伝店の烟草入れ』講談社文芸文庫。石田忠久『漢詩鑑賞事典』講談社学術文庫。拾い読みで漢詩に感激。水本邦彦『日本の歴史10江戸時代/十七世紀徳川の国家デザイン』倉地克直『日本の歴史11江戸時代/十八世紀徳川社会のゆらぎ』荒川章二『日本の歴史16一九五五年から現在/豊かさへの渇望』以上小学館。勉強になりました。『男道清原和博』幻冬社。ふ〜ん。『興亡の世界史20人類はどこへ行くのか』講談社。いま読んでる途中。歴史はホンマに重要やで。
闘病記(8) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中に聴いた音楽。ベッリーニ『カプレーティとモンテッキ』ファビオ・ルイージ指揮ネトレプコ他。ドヴォルザーク『交響曲9番新世界より』佐渡裕指揮ベルリン・ドイツ交響楽団。シューマン『交響曲2番/3番ライン』シューリヒト指揮ウィーン・フィル。シューマン交響曲全集。バーンスタイン指揮ウィーン・フィル。チャイコフスキー『くるみ割り人形』全曲。アンセルメ指揮スイス・ロマンド管。マーラー交響曲全集。バーンスタイン指揮ウィーン・フィル/ニューヨーク・フィル/コンセルトヘボウ管。アバド指揮ベルリン・フィルでもマーラーをじっくり聴き直す。それが入院中の最大の成果かな。ほかにヴィクター・ウッテンのEB。Mーunitのライヴ&椎名林檎の『平成風俗』も。音楽はどんなジャンルのものでもいつでもどこでも何をしながらでも楽しめる時代になりましたなぁ。
闘病記(9) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中に見た映画。『さくらん』これは失敗作やね。蜷川美花は親の七光り?旧ソ連映画『カラマーゾフの兄弟』233分の大作。重い。暗い。シンドイ。ミケランジェロ・アントニオー二監督『情事L'AVVENTURA』。さすがの筋書き。モニカ・ヴィッティが魅力的。吉村公三郎監督・新藤兼人脚本・京マチ子主演『偽れる盛装』。昔の京都祇園町が興味深い。溝口健二監督『雪夫人絵図』。昔の女性はこういう悩み方をするか。同監督・田中絹代主演『武蔵野夫人』。昔の女性の悩み方は美しくもあるなぁ。成瀬巳喜男監督・田中絹代主演『銀座化粧』。半世紀以上経つと女性の悩みも何もかも変わる。『北京の55日』エヴァ・ガードナーがなかなかの魅力。『ヘア・スプレー』ミュージカルです。『魔笛』モーツァルトのオペラを第一次大戦時に置き換えたもの。ジェイムズ・コンロンが音楽監督した英語版。モーツァルトの音楽は最高。しかし矛盾は解決せず。グレゴリー・ペック主演『アラバマ物語To Kill A Mockingbird』なかなか見応えあり。なるほど。アメリカの正義ですな。同じくペック主演『仔鹿物語』。アメリカ人の精神構造を知る。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督・ジャン・ギャバン主演『望郷PEPE LE MOKO』。ギャバンの魅力満点。ミレーユ・バランの魅力もたいしたもの。ジャン・ルノワール監督『大いなる幻影』。1937年の素晴らしい映画。見て良かった。関係ないけどリハビリ室に大島渚さんの直筆色紙が掲げてあった。墨痕鮮やかに「監督は映画の著作権者である」。ふ〜ん。
闘病記(10) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中に考えたこと。太く短い人生と細く長い人生の違い。結論=違いはない。人生とは所詮短距離走の繰り返し。俺はあと本を3冊。
闘病記(11) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中に一度だけ佐吉が見舞いに来てくれる。長女と次女が仕組んだもので次女のBFや京都から来てる甥っ子やヨメハンも加担してレンタカーを借りて実現。車椅子に座らされてどこか散歩かと思うと病院の玄関口で思いっきり走ってくる汚い犬に遭遇。佐吉は俺に逢う前に湘南海岸デビューも果たす。海に喜んで走り回る写真を見る。アニマル・セラピーというのは事実やな。長男は山下洋輔さんとの新宿Pitt Innコンサートがあったので後日GFと一緒にオモロイCD仰山持ってその報告も兼ねて来院。みんなThank You。
闘病記(12) 4月19日(日)〜5月12日(火)
リハビリは理学療法士さんと作業療法士さんによる1日に2回。人間の身体構造の不思議さを改めて学ぶ。問題は体幹。身体のコア。それとそのコアを支配する脳。なるほど長嶋茂雄さんは体幹が抜群に強いらしい。キム・ヨナのジャンプの美しさも体幹の強さと使い方の熟知によるものらしい。この指摘はメチャメチャ面白い。退院したらもう一度キネシオロジーを勉強し直そう。療法士の皆さんありがとうございました。ちょうどNHKの『クローズアップ現代』で脳とスポーツの関係をやってた。ゲストの脳学者の話は眉毛に少々唾をつけたけど脳と身体の関係の話は興味深い。俺の脳はどんなふうに回復するのんやろ。
闘病記(13) 4月19日(日)〜5月12日(火)
入院中の最後の日曜日に内緒で病院を脱走。次女に手を引かれて急な坂道の階段をゆっくり降りてキリスト教墓地を抜け江ノ電の鎌倉高校前駅まで歩く。駅は観光客だらけ。目の前にはきらきら光る湘南海岸。しばらく海と観光客を見て過ごす。かなり疲れたけど自信回復。まぁモウチョット人生に挑戦するか。
5月12日(火)
前日ヘアデザイナーのKIKUZOさんに病院まで来てもらって髪の毛をサッパリする。主治医の先生やら看護師さんやら療法士さんに見送られて退院。ヤッホー。長女と次女とヨメハンが荷物を運んでくれる。やっぱり家はエエなあ。煙草はもうエエけどビールはいつになったら飲めるんかなぁ。
5月13日(水)
早朝(というても入院生活体験者にとっては早よない朝やけど)福岡RKBラジオに電話出演。脳出血の話は無視して背泳入江選手の世界記録と水着の話を無難にこなす。舌ももつれず。明日のオペラ講座の準備と新聞連載コラム執筆。少々疲れる。仕事のキリがつくたびに血圧計でチェック。やっぱり身体に一番悪いのは仕事やでぇ。ビール飲みたいなぁ。朝青龍は終にホンマもんの横綱になれんまま引退か。WOWOWでサザンの桑田圭祐の一人紅白後半を偶然見る。オモロイ。そうか。桑田は歌手やったんや。G-Bs戦テレビ観戦。工藤は頑張ってるな。T-C戦延長途中で寝る。甲子園行きたいな。広島の新球場も。
5月14日(木)
朝ちょっとした準備をして昼からタクシーで東京へ。青山のJALシニアーズ・アカデミーでオペラ講座復活。冒頭で「じつは脳出血をしまして」とほんのギャグのつもりで言うとさすがに驚きの声。もう治ってまんがなと本題に入る。今日のテーマは歌手。中味はオペラ版紅白歌合戦。パヴァロッティからデル・モナコまで。グルベローヴァからカラスまでを楽しみながら解説。1時間半まずまず。しかし東京は何をみんなせかせかと動いとるんかと思いながらタクシーで帰宅。次は電車に挑戦かな。
5月15日(金)
階段も上りは手摺りを持たずに上がれるようになる。回復状況良好。とはいえ今日の毎日新聞朝刊に書いた小生の原稿を読んだ人物(人生の先輩)2名から電話。「復帰が早過ぎる!脳はもっと休めなきゃならん。焦るな!馬鹿者!」そうかも知れんけどじっとでけん性分ですので今日も短いコラム1本書く。午後から雑誌『プレジデント』の撮影で編集者とカメラマンが来宅。脳出血の前の日に取材を受けて退院して撮影。こんなんアリか?おれより編集者が仰天。夜はせっかく切符をとってもらって長女と聴きに行く予定にしていたマウリツィオ・ポリーニの演奏会をパス。前から楽しみにしててメチャメチャ悔しいけど人混みはまだ怖い。それに夜遅くもなる。シャーナイな。長女に好きな人と行かせる。元看護師の次女に足を洗ってもらってメチャメチャ気持ち良かったけど夜ポリーニの生ショパンを聴き逃した悔しさで寝られず。スカイパーフェクTVでスティーヴン・キングの『ミスト(霧)』を見てるとコンサートを聴き終えた長女から電話。興奮した口調。アンコール5曲。ノクターンもエチュードもポロネーズもとにかく物凄い大興奮のショパンやったらしい。チクショー。血圧上げてふて寝。まぁ娘が喜んでるからエエか。
5月16日(土)
朝やっぱり5時半に目覚める。これを「健康的」というのでっしゃろか。ちょっと長いコラム(400時×4枚程度)を書く。やっぱり疲れるなぁ。早よ屁ぇこいて寝よ。
5月17日(日)
御近所さんに挨拶しよと思てた日曜日。大風大雨で外に出られず。朝6時前に起きると徹夜仕事を終えて風呂上がりの長女とばったり。ポリーニのショパン・コンサートが如何に凄かったかについて1時間演説を聞かされる。昼間昨日同様ちょっと長い原稿を完成させて疲れる。相撲見て晩飯食うたところへ次女が帰宅。若い頃のアナニア・シヴィリの『ドン・キホーテ』を手に入れたとかで見せられる。たしかにジャンプもスピンもアラベスクの静止も凄い。あ。これバレエの話です。しかし娘どもはギャアギャアと五月蠅い。俺の血圧を上げてるのはお前らやないけえ。ふて寝。屁ぇこいて寝る。
5月18日(月)
朝タクシーで新横浜へ。新幹線で大阪へ。次女もケアしたげると付添人2名で大名行列。関西で新型インフルエンザ発生のせいか新幹線はガラガラ。MBSロビーで事故後初めて姉と対面したあと『ちちんぷいぷい』3時間生出演。さすがに疲れたけど関門クリアー。脳卒中の大先輩角淳一アナに(彼の場合は脳梗塞やけど)いろいろ御教示を受ける。桂ざこば師匠は大仰天。なるみさんも寿美花代さんも最初は驚かれたけど話は普通に。番組の最後に角さんから「元気の出る歌は?」と訊かれて『僕らはみんな生きている』と答える。自分では好きな映画にひっかけたつもりやったけどちょっとヤリスギやったかなぁ(笑)。しかし『キッチンぷいぷい』のコーナーで食べたチーズ入り肉団子は美味かったなぁ。塩分制限もカロリー制限もナシやもんな(爆)。
5月18日(月)つづき
帰宅して新聞と友人からのメールでプロ野球の『記録の神様』で大恩師の宇佐美徹也さんが亡くなられたことを知る。大ショック。俺が倒れる直前が田村大五さんで復活した直後が宇佐美徹也さんか。マイッタな。合掌。
5月19日(火)
倒れて救急車で運ばれたのが4月19日。1か月記念か。まずまずの回復ぶりやな。朝佐吉の散歩をする長女の横を散歩。コースはショートカット。けどエエ気持ちや。昨日の疲れも残ってへん。午前は読者。午後はちょっとだけ仕事したあとヴェルディ『仮面舞踏会』のザルツブルク音楽祭DVD見る。豪華な舞台。指揮のショルティも主役のドミンゴもバーストウも流石。相撲見たあと食事。もうそろそろビール飲んでもええのんとちゃうかなぁ。とはいえ我慢我慢。この間しってる人知らない人を含めて多くに人からメールや電話をいただきました。すべてに返事はできませんがこの場を借りて御礼申しあげます。ありがとうございました。節制を続けます。モウチョットはね(笑)。
5月19日(火)つづき
講談社から『ロマン派の交響曲〜未完成から悲愴まで』送られて来る。完成して酒飲んで倒れた因縁の本。それだけに感慨は一入(ひとしお)ですね。売れてほしいな。買ってください!
5月19日(火)つづき
頼近美津子さん逝去の報。まだ53やで。コンサートの舞台裏で何度か一緒になったなぁ。物凄く良い意味でいつも皇室の方と話してるような感じがした。そういえば俺の入院中に三木たかしさんも。以前五木寛之さんのトークショウでご一緒させていただいて感激したもんなあ。いま季節的に舟の出る時期なんやろか。合掌。ヨッシャ。俺は生きるぞ。あと本2冊!
5月20日(水)
朝ラジオ2本こなしたあと退院後初の診療。リハビリの人に少し引きずってる足が全力疾走できるメニューを依頼すると「足よりも血圧のほうが問題かな」といわれる。それくらい身体機能は回復した。病院への行きはタクシー。帰りは電車。杖がすっかり身につく。退院後の初電車が江ノ電とスカ線。エエ天気で海が綺麗。大船で少し買い物までして帰宅。ヴェルディのオペラ『オテッロ』(ムーティ指揮スカラ座。ドミンゴ&フリットリ&ヌッチ)を見る。なかなかエエ舞台。ナンヤテエ。入江の世界新の水着が非公認やて!原稿書き換えなアカンな。てなことで徐々に日常に戻るな。
5月21日(木)
朝校正1本処理したあと湘南電車とタクシーで東京練馬へ。故・宇佐美徹也さんの葬式出席。感慨深い。長嶋さん・王さん・野村さんの花に囲まれた宇佐美さんの笑顔を見ながら焼香。いろいろ山ほどありがとうございました。何人かの友人と会う。しかし宇佐美さんに物凄く世話になったはずのスポーツ雑誌の編集者は一人も現れず。そうか。通夜に来たんかもしれん…とも思うが…献花一つない。何が早稲田力や。くだらん企画で儲けるだけか。過去は切り捨てるだけか。佐瀬稔さんの葬式の時も宇佐美さんに誰一人挨拶しなかった若手編集者の存在を編集長に怒ったことがあったがその若手が編集長になったのか。このエリート意識だけ強い出版社はどーしょーもないで。
5月21日(木)つづき
昼から青山へ。JALシニアーズ・アカデミーでオペラ講座。皆さんと『ばらの騎士』を楽しんだあと帰宅。さすがに疲れた一日やったけどメールを開けて朗報。『ロマン派の交響曲〜未完成から悲愴まで』の増刷決定!早過ぎるでぇ。初刷りの部数の判断ミスやでと思いながらもブワンザーイ!これで次はマーラーいけるかな。
5月22日(金)
昨日はさすがに疲れたのか今朝は午前7時まで爆睡。最近のいつもより2時間も遅い。とはいうても夜中に2度トイレに起きてる。歳とったな。今日は一日ゆっくり過ごす。世界文化社のオペラ・シリーズ全10巻完結。最終巻にボーナスで付いていた映画『トスカ』を楽しむ。カヴァラドッシ役がロッサノ・ブラッツィ(『裸足の侯爵夫人』や『南太平洋』に出演)でなかなか面白い。もともとジャン・ルノワールが撮るはずやったのが脚本を完成した時点で第2次大戦勃発で助監督のカール・コッホ(監督に昇格)とルキーノ・ヴィスコンティが仕上げたらしい。トスカ役はよう知らんけどメロドラマを装ったネオリアリスモのレジスタンス映画。さすが永竹由幸さん監修だけあって凄い映画がついてた。相撲を見たあと(日馬富士は今一歩やな)夜はスター・チャンネルで『怒れる12人の男たち』リメイク版途中から見る。『パットン大戦車軍団』のジョージ・C・スコットとジャック・レモンが丁々発止。これは見直さねば。一日映画見っぱなしも疲れるなぁ。
5月23日(土)
散歩の距離を伸ばす。ちょっと疲れる。午前中にコラム原稿一本。散歩より疲れる。しかしパソコン打つ指が動きやすくなったことを実感。こういうモンかな。午後はデュダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オケの今年のザルツブルク音楽祭公演をDVDで見る。『展覧会の絵』もメチャメチャ良かったけどマーラーの『巨人』の解説付きリハがオモロかった。まだ20代の指揮者の解説に興奮。演奏も凄いことは来日公演で知ってるけど解説も抜群にオモロイ。日馬富士快勝。優勝かな。しかし朝青龍は腰がどんなに痛うても土俵に礼くらいして退場せんとアカンで。
5月24日(日)
雨。散歩はやめて短い原稿を書く。煙草なしでも書けるもんやな。ビールなしで食事できるのとおんなしか。午後からビデオ・アワーはグラインドボーン音楽祭2002のアンネ・ゾフィー・フォン・オッター主演『カルメン』。さすがに歌が上手い。煙草吸いながらの演技も見事。しかし顔がちょっと美人すぎるかな。フィリップ・ジョルダンの指揮が良かった。かなり意気がった棒振りで思わず笑たけど鳴ってる音は鋭くてエエ。このとき歳いくつかな。かなり若いな。読書のあと相撲。日馬富士優勝。悪くないですね。WOWOWで映画『バブルへGO!』やってたので見てしまう。漫画映画として楽しむ。飯島愛の映像がちょいと痛々しい。飯島直子も。
5月25日(月)
多くの励ましの手紙やメールをありがとうございます。すべてに返事できませんがホンマに感謝しています。朝原稿書き。&BC工房という家具屋さんが手作りの椅子を持って訪ねてくれる。ヘア・デザイナーのKIKUZOさんの紹介。座りやすい椅子ばっかり。仕事用の椅子を一つ注文。すべては10年以上愛用した椅子が壊れたことから始まったんやもんなあ。ここはハリこんでエエ椅子を作ってもらお。午後映画『いぬ』。ジャン・ポール・ベルモンド主演ジャン・ピエール・メルヴィル監督フィルム・ノワールの傑作。さすがに白黒の映像の美しさも10分近い長まわしも圧巻。夕方甥と佐吉と長女とちょっと長い散歩。長女から歩くときの注意を受ける。足が伸びきってないのに着地するから蹴りが弱くて足を引きずるらしい。なるほど。納得。メシ食うて屁ぇこいて寝る。BC工房のHPはhttp://www.bc-kobo.co.jp/
5月26日(火)
朝久々に元気。退院後初。短時間でも嬉しい。何のコッチャ。調子に乗って朝のうちにコラム原稿1本仕上げる。午後から鎌倉芸術館へ。俳優座劇場プロデュース・マキノノゾミ作『東京原子核クラブ』見る。第2次大戦中の東京の安アパートの住人とそこに暮らす理研の研究者の話。戦時中軍部の原爆開発と若者の物語。面白いけど物語感覚は多分に戦後。それに長い。1幕2幕各30分合計1時間はカットでける。夕方からA新聞のN氏が見舞いに訪れる。夜講談社の担当者より『ロマン派の交響曲』3刷増刷決定の知らせ。ヒャッホー。もっと売れろ!1か月間の治療費入院費薬代リハビリ代自宅階段トイレ風呂場手摺り取付工事代稼がなアカンもんな。トホホ。ボクシングは…まぁこんなもんやろ。プロの経験の有無の差だけで決まった勝負やな。
5月27日(水)
早朝2本ラジオの仕事のあと七里ヶ浜近くの病院へ。血圧とリハビリチェック。時折足がふらっとする以外は大丈夫かな。早く走れるようになりたい。海見ながらの江ノ電は気持ちエエ。電話取材の仕事2本こなして夕方から映画。ビリー・ワイルダー監督『サンセット大通り』をCSでやってたので見る。W・ホールデンとG・スワンソンの大名作。ちょっとヒッチコック調やけどワイルダーの優しさにあふれてる。続けてニュースをチェックしたあとサッカー。本田圭佑バツグンやな。いっぺんにファンになった。チリは本気とはいえ選手揃てへんのやしヌカ喜びはアカンで。でも気持ちエエ試合でした。
5月28日(木)
コレを書いてるのは日曜日(31日)。ちょっとばかり間が空いて(別に確たる理由はありません)そそっかしい友人からまた頭に出血でもしたのかと電話。大丈夫ですのでご心配なく。この日は午後から東京青山NHK文化センターJALアカデミーでオペラ講座。ヴェルディ『椿姫』(ブッセート劇場)プッチーニ『ボエーム』(ブレゲンツ音楽祭)のいずれも第2幕を楽しむ。その後近くの喫茶店でインサイダーの取材。テーマは『ロマン派の交響曲』。宣伝してや。土砂降りの雨のなか結構疲れて帰宅。
5月29日(金)
朝WOWOWで映画『いちご白書』見る。あまっちょろけた子供の青春映画という印象は今も昔も同じ。コノ人たちも今は60歳前後。そういやNHKで以前安田講堂に立て籠もった元全共闘のインタヴューやってて「あの当時は生き甲斐があった」とかなんとか話してたのを聞いて唖然とした。あんたらのやったことはその程度の個人的事情やったんかえ。アホクサ。昼から原稿1本。夕方からまたWOWOWでジャック・ニコルソンの『恋愛小説家』見始めるが電話やら何やらできちんと見られず。こらDVD買わなシャーナイな。
5月30日(土)
朝佐吉と久々に散歩。気分よし。御近所さんとも会話。入院中に自宅に届いていた緊急でない郵便物の整理がいよいよ大詰め。雑誌単行本等の封を開けると山下洋輔さん編集の『蕎麦処山下庵』(小学館)があった。蕎麦がテーマのオムニバスの一冊で林家正蔵師匠と洋輔さんの蕎麦とジャズにまつわる話のほか筒井康隆大先生・相倉久人・浅井慎平・挟間美帆・林英哲・村松友視・茂木大輔・やくみつるとズラリ30人の「蕎麦者」によるコラム集。小生も「そばは京都にかぎる」という文章で(倒れる前に)参加させていただいた。いつ送ってこられてのか知らないが(発行日は6月2日)退院してから手にして感慨深い蕎麦話。夜はメシを食いながらWOWOWでジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの『最高の人生の見つけ方』。名優ご両人の演技力が見所。悪い映画ではない。
5月31日(日)
朝早く目覚めてしもたのでNHK-hiでサンクトペテルブルクの建都何周年たらいうコンサートを見る。チョイト古い何年か前のゲルギエフの指揮のオペラとバレエのガラ。客席にはプーチンもシラクもブレアもいる。ネトレプコやルネ・フレミングも歌たけどオリガ・ボロディナが凄い。それ以上に凄かったのはバレリーナのナントカノワたらちゅう人。このドンキホーテはアナニアシヴリと争うで。『題名のない音楽会』で金聖響さんのピリオド奏法版「運命」聴いて佐吉と散歩。あと一日中原稿書き。日常に戻ったのかな。
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