9月1日(木)
永竹由幸『決定版オペラと歌舞伎』(水曜社)読み進む。小生が以前読んだのは丸善ライブラリーで1993年に出版された新書版。この決定版は2012年5月出版で永竹氏の死とほぼ同時に出版された。決定版は相当に内容が詳しくなって面白い。小生が永竹氏に初めてお会いしたのは拙著『オペラ道場入門』を出版した直後(2000年の夏頃)で「読んで面白かったから飯でも食ってオペラの話をしようよ」と電話がかかってきて美味しい江戸前を奢ってくださった。そのとき永竹さんのことを詳しく知らずオペラ評論家だと思い込んで南座の歌舞伎を見て育った話をして永竹さんはそのとき喜んでくれたけど後で永竹さんが歌舞伎にも精通どころか歌舞伎の世界にドップリ浸かっておられた方だと知って2度目にお会いしたときに前回の失礼を詫びた覚えがある。永竹さんは笑っておられたけど思い切り冷汗をかいた。その後オペラの会場やイタリアから授与された勲章の記念パーティなどで何度もお会いしてサッカー選手の長友がインテルに入ったときはオペラとサッカーのツアーを企画しようよと言われたけど実現しなかったのは残念だった。しかし永竹さんの教養は本物で凄い人だったですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。今日から9月なのに暑さがぶり返したのは腹立たしいですね。イロイロ雑用や連載の下調べや「甲子園大会廃止論」の単行本化の打ち合わせ等々…昨日の夜は本欄に書かなかったけど琵琶湖で行われた鳥人間コンテストをチラチラ見ました。メディアの盛りあげ方は甲子園大会と同じで見世物としては面白く消費されるのでしょうが残念ながらイタリアのオペラや日本の歌舞伎のようなカルチャー(文化)とは言えないですね。市川中車は歌舞伎役者になりきれないコンプレックスが暴発したのかな?
9月2日(金)
永竹さんの本はちょっと横に置いて週刊誌の新潮&文春を次々と読む。旧統一教会と政治家とりわけ自民党の政治家がこれほどにズブズブの関係にあったことに改めて驚く。何よりも不思議なのは自民党右派の政治家が明らかに日本を馬鹿にして見下しているような教義を掲げている宗教団体と懇意にしていた(いる)こと。政治家になりさえすれば(なれさえすれば)何でもいいのですね。しかし一番興味深かったのは朝日新聞社を襲撃した赤報隊事件と旧統一教会との関係を書いた文春の記事だった。朝日は旧統一会系団体と「手打ち」をしたのか?嗚呼。自民党も酷いけど野党も酷い。そして一番情けないのはジャーナリズムですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。少し蒸し暑いのは残暑の季節で仕方ないのかな?シャワーを浴びたあとFORUM8のPR誌『Up & Comming』の連載コラム『スポーツは教えてくれる』第21回を執筆。野球はベーブ・ルースの登場で打者の狙い打ち(プレイスメント・ヒット)からホームラン中心の近代野球へと価値観が変わりスポーツは「強さ」を争っていた時代から産業革命で「速さ」を競うように価値観が変わり…現代はクルマ(カーレース)や身体(陸上競技)を制御(コントロール)することに価値観が変わってきた…てなことを書く。チョイと難しかったけど夕方には完成して送稿。晩飯はBSフジ『プライムニュース』を見ながら。浅田彰と先崎彰容両氏の話は面白かったけど根本的に宗教法人として認めるには宗教団体であることの定義に当て嵌まらないとダメなはずで当て嵌まらない団体は宗教を隠れ蓑にした利益団体のはずですが宗教団体の定義が曖昧だとドーショーモナイですね(>_<)そのへんをキチンとしようという政治家はいないのかな?村上50号!凄いですね。虎は勝利を溢して巨人は逆転する力なし。どっちも燕のような強さに欠けますね。
9月3日(土)
永竹由幸『オペラと歌舞伎』読み続ける。歌舞伎の女形論とオペラのカストラート論が面白かった。《女形の魅力とは何だろう。女らしく美しくなければいけない。女としての花がなくてはいけない。芝居を見て帰った客の心に女形の余情が残るようでなければいけない。しかしそれが現実の生身の女のようであってはならない。しかし能のような象徴ではない。非常に現実的な女の美を正面きって出さなければならない。つまり女の性の象徴ではなく美の象徴なのである》《女形の美しさは雌としての女の魅力に立脚した美しさでありながらその雌の部分を切り離した文化としての女の美の芸術的昇華なのである。よって美しい女の姿でありながらそれがタンジブルな動物としての雌の女ではないというところがミソなのだ》ナルホド。女形の存在そのものが虚実皮膜間にあるのですね。以前MBSの『ちちんぷいぷい』で愛之助さんと御一緒したとき女形の話になって小生が「女形は現実の女性の仕種や動作とは違うんですよね」と言うと「ハイ。そうですね」と簡単に笑顔で同意されたのが楽しかった。そのとき同席していた若い女性が「おやまって何ですか?」と言ったので二人で吹き出してしまったのもある意味楽しかった。彼女が本欄を読むと「タンジブルって何ですか?」と訊くのかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。タンジブルな女性への興味が強かった中車はだから歌舞伎役者になりきれなかったのかな?ワン。終日デスクワーク。途中メディアの記者からいろいろ電話。情報交換。五輪収賄疑惑事件で森元総理の名前が飛び交うようになりましたね。事件発覚直後にある人物がこの事件は上には進むが横には広がらない言っていた通りになってきたかな。あるいは横に広がるべき人物が情報を提供して自分は逃れたかな?晩飯は『ブラタモリ』で石見銀山の素晴らしさを見ながら。終わってチャンネルを回すとJリーグ。ウワッ。お見事!湘南が川崎に試合終了直前に見事なゴールで逆転勝ち!なかなか素晴らしい攻守の攻防でした。
9月4日(日)
永竹由幸『オペラと歌舞伎』は本当に面白い。明治の文明開化で江戸時代の歴史的事実を無視した歌舞伎が批判に曝されたことを逆批判。《頭で考える芝居に面白いものはない。ちゃんとした歴史が知りたいなら本を読めばよい。芝居の楽しみは美しい役者と調子のよい名ぜりふ。豪華な舞台に美味しい弁当。帰りには大川端の料亭で綺麗どころと乙に一杯であって歴史的に誰がどうしたって町人の知ったこっちゃない。(略)要するに道楽に勉強をひっつけられては酒もまずくなる》《イタリア人でモーツァルトに夢中になる人は少ないがヴァーグナーに夢中になる人は多かった。モーツァルトは怖ろしい人で道楽としてのオペラではなくイタリア・オペラ・ブッファの形式を借りながら人間の本質的な性を描くというとんでもないことをやってくれた人だがヴァーグナーは"道楽"を神棚に祭り上げた好色爺さんで本質的には帝国主義的音楽道楽者で自己破滅的オッサンなのだ。音楽で世界制覇を企むヴァーグナー。その本質は強烈な快楽主義者》いやはやその通り!しかしこーゆー鋭すぎる分析は歌舞伎やオペラを頭で考える学者先生には嫌われたのでしょうね。だから俺は好かれたのかな?メトロポリタン来日公演でつまらない酷い舞台だなあ…と思ったときに隣に座っていた永竹さんから「飴ちゃん食べる?」と菓子の入った袋を差し出されたことがあった。「いただきます」と言って1個抓んだら「もっと取りなさい。先は長いから」と言われて笑いを堪えるのに苦労した。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。ゆっくり過ごす日曜日。昨日録画したTBS『報道特集』を見る。金平キャスターはレギュラーでなくなるのか…。民放唯一の報道番組の切れ味が鈍くならないことを願いたいですね。晩飯は最近大好きになって仕事のBGMでよく聴くヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』を見ながら。1967年のイタリア・オペラ来日公演。ギャウロフ&カップチッリ&リッチャレリ。なるほどソプラノのリッチャレリは高音は綺麗けど中音域に力がないですね。だからスカラの観客に嫌われたと永竹さんが書いていた通りですね。
9月5日(月)
永竹由幸『オペラと歌舞伎』読了。素晴らしい一冊でした。《オペラは声ではない。芝居なのだ》《オペラは音楽じゃない。音符付きの芝居なのだ。音符にそって話す芝居なのだ》だから歌舞伎も同じ。悪声とも言えるカラスが「天性の役者(オペラ歌手)」として美声のテバルディよりも素晴らしかったのは当然なのですね。そしてカラヤンの『ラ・ボエーム』は《会話になっていない。音楽として鳴っているだけ》なんですよね。カラヤンはカラスの歌った『ルチア』とシュヴァルツコップの歌った『薔薇の騎士』以外オペラはダメですね。本書の最後は日本の政治批判。東大卒の《成績だけ優秀な官僚》批判。彼らを使いこなせない政治家批判。《官僚試験に必ずオペラと歌舞伎を出して外題の読み方を書かせたりオペラのアリアを聴かせて題名を当てさせたりでもしたら天下りばかりを考える鎌倉幕府の地頭のような官僚が少なくなること間違いなしだ》そうなったら俺も財務省に入れたかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。秋風は爽やかでも秋の太陽は紫外線の強いことが体感できますね。ワン。コロナが蔓延していなければ今日は北海道の稚内で仕事のはずだったのに残念。代わりに『ニューズ・オプエド』にリモートMC出演。ゲストは尚美学園大教授で産経客員編集委員の佐野慎輔さんと五輪アナリストの春日良一さん。20〜30歳代の頃に何度もプロ野球キャンプを一緒に取材した佐野さんと村上選手の素晴らしさをさんざん喋ったりしたあと東京五輪組織委の高橋元理事を中心とした贈収賄疑獄を取りあげ話し合う。春日さんは高橋元理事の「やり方の古さ」を批判。佐野氏と二人とも「徹底的に膿を出してアスリートが政治家になるのではなくアスリートの運営するスポーツ界の誕生」を期待。はてさてカルロス・ゴーンの逮捕まで捜査を導いた東京高検の森本宏検事はAOKI→大広→KADOKAWAに続いてK氏M氏の逮捕まで突き進むことができるか?番組を終えて吉本新喜劇を見ながら晩メシ。最近ちょっと脚本の不出来が目立つのは役者に力がないからか?
9月6日(火)
ベッドのなかの読書は三島由紀夫の戯曲シリーズに戻る。『癩王のテラス』読み出す。面白い。言葉の美しさと舞台の迫力を考えた構成は巧みですね。幕開き早々が王の凱旋と民衆。『ボリス・ゴドゥノフ』の幕開きのようでそのままオペラになりそうですね。三島の作品は黛敏郎作曲のドイツ語訳の『金閣寺』しかオペラ化されてないのかな?そう言えば永竹由幸さんが生前「金色夜叉の名台詞をオペラ化できなかったことが日本のオペラの限界」とおっしゃってましたね。?来年の今月今夜のこの月を僕の涙で曇らせてみせる…ブラーヴォ!という世界は訪れてないですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。蒸し暑い晩夏。風が吹くと秋を感じるけど本格的な秋はあと2~3個颱風が通り過ぎてからかな?終日デスクワーク。東京五輪の収賄疑獄に関してメディアからいくつか電話。ある新聞記者がスポンサー料が闇の中で決められるのは組織委のなかに誰か公開を要求する人はいなかったんでしょうか?と訊かれたので大手新聞社は全てスポンサーになったけど金額は公表してませんよ。まず隗より始めよでしょ…と答える。こーゆー部分をメディアがどこまで報道できるかな?札幌冬季五輪招致に小生は大賛成!今回の事件をきっかけに招致の費用等の公開を誰もが要求して招致の内実がわかりますから…と思っていたけど…どうなるか?晩飯は野球とともに。村上は相変わらず凄いですね。巨人の山本耀司デザインの黒のユニフォームは…イマイチ…としか言い様がないですね。まず着こなせる肉体を持った選手がほとんどいないこと。それにホームでは白を基調にすべきでしょう。全身真っ黒というのはヴィジター用ですよね。しかし野球の試合時間は長いなあ…。
9月7日(水)
『癩王のテラス』読み続ける。商業演劇的面白さも盛り込んでの展開は流石ですね。読んでも面白い戯曲は安部公房&別役実&宮本研&ピンター&ウェスカー&ワイルド…ハハハ知ってる劇作家を並べただけですね(^_^;)ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。バドミントン世界大会での日本の出場登録ミスとU-15野球世界大会の球数制限違反で勝っていたキューバとの試合が没収試合となって負けてしまったことを取りあげる。どちらもスタッフのミスですね。スポーツ選手にどう言って謝るのかな?かつてオリンピックで選手登録ミスをして選手が4年に1度の大会に出られなくなったときは即刻JOCの職員が即座に辞表を提出したと春日良一さんは言っていました。ある意味当然ですよね。ただ硬式野球でU-15の大会などはやる必要がないですね。
9月7日(水)つづき
来週月曜の『ニューズ・オプエド』のゲストは『亡国の東京オリンピック』(文藝春秋社)の著者である後藤逸郎さんと『東京オリンピック1964の遺産』(青弓社)の編著者である一橋大名誉教授の坂上康博さんに出演していただき今週に続いて東京五輪収賄事件を語り合うことにしたり五輪アナリストの春日良一さんと雑誌『ZAITEN』で対談を行いこの問題の本質を徹底的に話し合うことを決めたり…原稿執筆の合間にそんなことをやってたら某雑誌社の記者から面白い電話。「何故玉木さんは最近テレビ局から呼ばれなくなったのでしょう?」苦笑いしながら答える。「さぁわかりません。テレビ局に訊いてみてください」まぁメディア批判を繰り返すようになった人間をメディアは使い難いのでしょうね…と思っていたら関西の某テレビ局から明日のZOOM取材の申し入れ。テーマはもちろん五輪収賄疑惑。地方局は問題ないのかな?(笑)喜んで出ますと返事。高橋某がスポーツ・ビジネスを始めたなどという間違った考えは訂正しておかなければなりませんからね。彼はスポーツ・ビジネスを始めたのではなくスポーツを利用して自分が儲けるビジネスを始めただけですからね。しかし日本のスポーツ界は「スポーツが儲かるビジネス」ではなく「スポーツで儲けるビジネス」ばかりですね。またその違いをはっきりわかっている人が少ないのも問題ですね。プロ野球や高校野球は親会社や主催者が儲けるビジネス。Jリーグはサッカーが儲かるように努力しているビジネス。この違いを誰もがまず認識すべきでしょうね。
9月8日(木)
『癩王のテラス』読了。美貌の国王が重病に…&恋狂いの王女が嫉妬から殺人未遂&美貌の第二の王女の王への献身&裏切りの母親の殺人と改心&裏切りの臣下の殺人クーデターの失敗…etc…三島の戯曲は極めてオペラ的&オペラ向きですね。カンボジアへ『豊饒の海』の取材に行ってアンコール・トムでこの戯曲のアイデアを得たらしいけど最後の幕で若き肉体と成熟した精神(老いた肉体)が会話するところなどはオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』が頭にあったのではと思えますね。しかし三島の戯曲は読んでオモシロイ。ワン。ベッドを出ていつもの通り黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。永竹由幸さんの文章のなかにギリシャ神話の王女メディアが現在の(マスメディアなどの)メデイアの語源と書かれていたのでいろいろ調べてみたが不明。ラテン語のメディアムの複数形だし子殺しの魔女メディアとは無縁とも思えるが…パゾリーニ監督マリア・カラス主演の映画『王女メディア』を見直せば何かわかるかな?それともバーンスタイン指揮からシュシュ厭悪ケルビーノのオペラ『メディア』を聴き直せば…?などなどと思っていたら某メディアの知人のデスクから原稿依頼。アノ人が亡くなりそうなので亡くなったときはよろしく…とのこと。小学生のときからの大ファンで物書きになってからも何度かインタヴューさせていただき本まで上梓した方ですから喜んで…と思っていたら東京五輪の贈収賄事件ではアノ人の事情聴取も始まりましたね。春日良一さんとの対談の日程も雑誌の発売日(来月1日)決まったのでそこで思い切り話し合いましょう…と思っていたらエリザベス女王逝去の報。カルト宗教との関係が濃かったとも言われる元首相の国葬どころの話ではないですね。そもそも民主主義へのテロなどではなく親を奪われた恨みから発した事件でしたからね。
9月9日(金)
ベッドのなかでの読書は三島由紀夫『椿説弓張月』。七五調の台詞と長唄の節回しが心地良い。源為朝の物語は曲亭馬琴の原典は読んでないけど平岩弓枝さんの小説で知っていたので三島の戯曲はひたすら七五調のリズムを楽しめる。もう三島のような教養溢れる作家は出ないのでしょうか?出ないのでしょうねえ。いや王貞治の本塁打記録を抜く日本人選手は現れないと思っていたら村上が出てきて抜きそうですから小説も戯曲も歌舞伎台本も書く小説家もいずれ現れるかな?ワン?ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。月曜の『ニューズ・オプエド』の準備と火曜の春日良一さんとの『ZAITEN』での対談のための準備として東京五輪贈収賄事件の資料を集めたり構成を考えたりしていたら某雑誌記者より電話。森喜朗元組織委会長の逮捕はあるのでしょうか?そんなのわかりません。森さんとは逢われたことがありますか?ええ3度ほど。御本人が御存知なのは1度だけでしょうが…痛いところを突くインタヴューをしてしまったのか何でオマエにそんなことを答えなきゃイカンのだ!と怒鳴られました(苦笑)。その他ここには書けない未確認情報についていろいろ問答。オモシロイ話ではあるけど…この事件は収拾するまでにまだ時間がかかりそうですね。仕事のBGMはバーンスタイン指揮ミラノスカラ座でのケルビーニのオペラ『メディア』主演はマリア・カラス。1953年レニー35歳。素晴らしく力強い演奏ですね。カラスも素晴らしい。晩飯はエリザベス女王のニューズや自民党と旧統一教会の関係のニューズや岸田首相の国葬答弁などとプロ野球をアッチコッチ見ながら。岸田首相はただ長くやっていただけの元首相に対して何故国葬儀なんて口走ってしまったんでしょうね…日本人として恥ずかしいですね…と思う小生は自民党のエライさんに言わせると馬鹿以下と言うことになるのでしょうけど…嗚呼。
9月10日(土)
『椿説弓張月』の続きを読もうと思ったけど昨日講談社から届いた現代新書のなかに牧野雅彦『今を生きる思想ハンナ・アレント全体主義という悪夢』があったので読み出すと止まらなくなった。《ナチスの暴政はユダヤ人や一部の少数者や反対者を弾圧しただけではない。ユダヤ人の抹殺にいきつく運動に多くの者を巻き込むことによって彼らの人間性そのものを奪ったのである。その意味においてナチスが行ったことは人間を人間として成り立たせている基盤そのものの破壊であった。そうした人間破壊の現象をアレントは「全体主義」と名づけたのである》なるほど。全体主義とは単なる独裁や専政や暴政とは異なるものなのですね。そんな酷いシステムが何故どのようにして生まれたのか?読まねば。映画『ハンナ・アレント』も見直したくなりましたね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。
9月10日(土)つづき
午後になって某スポーツ関係者から電話。スポーツと音楽をテーマにイベントを企画したいというので小生が過去に行った東京フィルとの『マーチ特別演奏会』や池辺慎一郎さんや八木沼純子さんと行った『異文化コラボレーション・スポーツと音楽』のプログラムを教えてあげる。古関裕而の『東京オリンピック行進曲』は文句なしに素晴らしい音楽(小生が東フィルを指揮しました!)ですが山本直純作曲の『白銀の栄光(札幌冬季五輪行進曲)』もいい曲ですね。サティの『スポーツと気晴らし』もゴルフや競馬やテニスの音楽があってオモシロイですね。それに落合博満さんが『オレ流クラシック』と題したCDを出してワーグナーやベートーヴェンやシューベルトやエルガーを紹介していたり元イングランドの監督エリクソンがイギリスや北欧のクラシックを3枚組のCDで紹介してることなどを教えてあげる。それに江本孟紀さんが以前『題名のない音楽会』でワーグナーの『タンホイザー』のアリア『夕星の歌』をドイツ語で歌ったことがあったことも教えてあげる。江本さんとは議員時代に国会でオペラのコンサートを企画して実現しなかったことがありましたね。晩飯は『博士ちゃん』を見ながら。信号機マニアの小学生兄弟もオモシロかった。続けて『ブラタモリ』。下北半島の恐山が素晴らしい場所でオモシロい場所で美しい場所だとよくわかりました。なるほど恐山には地獄と極楽があって死者と再会できるのですね。風呂のあと現代新書『ハンナ・アレント』を手にベッドへ。
9月11日(日)
『今を生きる思想ハンナ・アレント全体主義という悪夢』読み続ける。テーマはヒトラー・ナチスとスターリン・ソ連の「全体主義」が語られているのにタイトルに「今を生きる思想」とあるように安倍総理時代のモリカケサクラ問題や現在の旧統一教会と自民党の関係が語られているように思ってしまう。《事実は決して自明の事柄ではない。事実の証明は目撃者(略)記録・文書などの証言によって立証されるがこれらはどれも偽造を疑うことのできるものばかりである》そこに「全体主義」が生み出されるダム(民主主義)を壊す蟻の一穴が生じる隙が生まれるのだろう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。今日は9・11だけどツインタワーへのテロ事件は過去のモノになってしまったのかな?あのあとニューヨークへ行って現場を見て歩くことができたけど物凄い瓦礫の山に言葉をなくしました。仕事の合間に映画『ハンナ・アーレント』のメイキング映像をDVDで見る。このドイツ映画は監督(マルガレーテ・フォン・トロッタ)も共同脚本も衣裳もプロデューサーも(もちろん主役の女優バルバラ・スコヴァも)全員女性なんですね。「全体主義Totalitarianism」について監督も脚本家も凄く勉強されていて今読んでる本の参考になりました。トロッタ監督はスコヴァ主演で『ローザ・ルクセンブルク』の映画も撮っているとか。見なければ。今日から大相撲。横綱に対して霧馬山善戦。惜しかった。晩飯は『日曜美術館』で東独出身の現代絵画家ゲルハルト・リヒターの絵を見ながら。こんな凄い画家がいることをまったく知りませんでしたが彼のアウシュビッツ・ビルケナウ収容所を描いた連作にはTV画面を通してもショックを受けました。国立近代美術館へ実物を見に行かなきゃ。風呂のあとは酒呑みながらNHK-Eテレ『クラシック音楽館』プーランクのバレエ音楽『牝鹿』はオモシロかったですね。フランス人指揮者による『パリのアメリカ人』も小粋でしたね。N響トランペットのジャジーな演奏がよかったですね。
9月12日(月)
牧野雅彦『今を生きる思想ハンナ・アレント全体主義という悪夢』(講談社現代新書)読了。少し小生の理解の及ばない難しい部分もあったけど非常に勉強になりました。《満員電車や都会の雑踏でわれわれが日常的に目にしている光景から貨車に押し込められて絶滅収容所へ送られるユダヤ人との間の距離はそれほどとくないかもしれない》という納得しながらも怖ろしい表現もありました。全体主義が怖ろしいのは大衆の間に《「世界」のリアリティの喪失》が起こることですね。《彼らは自分の目と耳を信頼せずただ想像力のみを信じる。彼らの想像力は普遍的で一貫しているものなら何でもその虜になりうる。大衆を納得させるのは事実ではないしデッチ上げられた事実でさえない。彼らがその一部となるだろうシステムの一貫性だけを信じるのである》「想像力」を「ネット情報」や「メディア情報(ジャーナリズムではない!)」と置き換えることができそうだ。犯人某の元首相殺害事件は「リアルな情報」から起きた事件で殺された首相の「国葬儀」は想像力を刺激するだけの出来事かも…。ハンナ・アレントの思考は様々な思考を刺激してくれますね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと今日の『ニューズ・オプエド』の準備と明日の雑誌『ZAITEN』の対談のための調べものと情報集め。今日の『オプエド』のゲストはジャーナリストの後藤逸郎さんと一橋大大学院名誉教授の坂上康博さん。東京五輪贈収賄事件を語り合い明日は五輪アナリストの春日良一さんと同じテーマで対談。坂上さんや後藤さんがオプエドで語ってくださいましたが大事なことはIOCの問題と日本のスポーツ界の問題を切り離して考えること。そして政治家がスポーツを支配するのではなくアスリート自信がスポーツを動かすシステムを構築することですね。そしてIOCは五輪の基本=NPOによる平和運動に戻ること。肥大化したオリンピックにそれが可能かどうかは難しいでしょうが…坂上さんも後藤さんもまだIOC(オリンピック)には期待したいとおっしゃいました。今回の事件をキチンと検証して東京五輪のレガシーにするべきということで意見が一致。日本のスポーツ界が第三者委員会等を作ってそれができるかどうか…そしてスポーツ界の改革に手をつけることができるかどうか…難しいでしょうが五輪スポンサーになったメディア(ジャーナリズム)自身がまず情報を全て開示するところから始めるべきでしょうね。『オプエド』のあとの晩飯は吉本新喜劇を見ながら。今日はオモシロかった。脚本も良かったけどスッチーさんが出ると舞台が締まりますね。
9月13日(火)
ベッドのなかに持ち込んだ丸善出版の季刊誌『學鐙』に出ていた内田樹氏のエッセイ『複雑な現実を複雑なまま語ることの効用について』と題したエッセイがオモシロかった。通常の考えとは逆に内田氏は《話は複雑にしたほうが話が早い》と書く。《現実はできるだけ現実そのものの大きさと奥行きと不可解さのまま扱う方がいい》と書き逆に《「話を簡単にする」方法の中で最も簡単なのは「問題を消す」こと》だという。そして《ナチスは紀元前から続く「ユダヤ人問題」の最終的解決(final solution)」とはユダヤ人を「消す」ことだという天才的なアイディアを思いついた》しかし《話を簡単にしようとしたせいでドイツ国民は半永久的に解決できない問題を抱え込んでしまった》というわけだ。ナルホド。他にも引用して多くの人に読んでほしい部分が山ほどあるが4頁のエッセイを全て書き写すわけにもいかないので興味を持たれた方は定価250円の『學鐙』をお求めください。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して午後から神田神保町の財界展望新社へ。五輪アナリストの春日良一さんと対談。元電通幹部高橋治之氏を中心とした東京五輪贈収賄疑獄事件についてたっぷり2時間語り合う。問題を2つに分けてIOCの商業主義オリンピックと日本のスポーツ界についてマスメディアの多くが誤解している部分を糾すと同時に日本のスポーツ界の間違えている部分を指摘し合う。中味を書き出すとこれまたスゴイ文字量になるので来月1日発売の雑誌『ZAITEN』をお読みください。2点だけ書いておくと1984年ロス五輪のやり方(政治の介入からスポーツを守るための商業化路線)は間違っていなかったこと&日本の企業スポーツ(プロ野球や企業所属のスポーツ部)のあり方はスポーツに対する認識として極めてえ幼稚なレベルと言うほかないということ。小生のスポーツに対する自論を補強するうえで春日さんに多くのことを教えられました。帰宅して晩飯食べながら映画『ハンナ・アーレント』を見出すと止まらなくなって2時間最後まで見てしまう。2度目ですが再感動。素晴らしい映画!ユダヤ人の大量虐殺を主導したアイヒマンを「凡庸な悪」と表現したアーレントは真の見る眼を持った哲学者で思想家なのですね。その表現に反発するユダヤ人との確執にユダヤ人であるアーレントはショックを受けながらも改めない。その意志もスゴイ。さらに考えよう(思考しよう)とするアーレントを描いた映画も見事。人間「考える」ことが一番大事ですね。うわっ。村上54&55号。これも凄い。それでも試合に負ける野球も面白い。《ベーブ・ルースと言えどベースボールより偉大なわけではない》という箴言は正しいですね
9月14日(水)
『學鐙』の上野千鶴子氏のエッセイ『ケアに唯一の「解」はない』も面白かった。理想の介護は?と訊かれると上野氏は「わたしのほしい介護」と答えるという。《「わたしのほしい介護」は「あなたのほしい介護」とは違う。つまり「理想の介護」なんてない》のだ。確かにその通り。《介護ロボットを導入しようという動きが大きくなってきた》しかし《育児のロボット化は決して唱えようとしない。なぜなら人は人のあいだでしか人とならないことをわたしたちはよく知ってるからだ。同じことは老人についても言えるはずだ。人は人とのあいだでしか老いていかない。なぜなら老いるという経験は「生きる」ことの重要な一部分だからだ。介護のロボット化には年寄りはその程度のもの》で《ロボットに代替させておけばよいという考えに結びつく》それは《介護する側もされる側をも貶める》ナルホド。しかし11月11日が「介護の日」だとは知らなかった。上野氏も《冗談のような話》と書いているが《一一一一を並べると介護の「介」の字なるから》だという。いったいどんな「介護ロボット」が考え出したのかな?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと『ZAITEN』の連載『今月のスポーツ批評』を書き出していると午後になって某通信社から電話。東京五輪の贈収賄疑惑で今日大きな動きがありそうなので夕方コメントがほしいと言う。続けて某週刊誌からも同じ電話。仕方ないので夕方からの出かける予定をキャンセルして待つ。「大きな動き」とはM氏逮捕か?と思いながら待っていると出版社KADOKAWAの角川歴彦会長の逮捕だった。ということは次は誰?記者や編集者とコメントというより情報交換の電話のあと録画しておいた大相撲を楽しみながら晩飯。宇良の伝え反りは見事でしたね。貴景勝の張り手はヤリスギ?報道ステーションでエリザベス女王の国葬の行進を見てベッドへ。日本の国葬儀は本当にやるのですね。
9月15日(木)
昨日書いた上野千鶴子さんのエッセイについて改めて考える。インドかどこかの話で赤ん坊の頃に狼に育てられた子供は人にならず四つ足で吠えて生肉を食べる狼に育ったという。だから「育児ロボット」の導入の話はないのだろうけどもしも育児ロボットに育てられた赤ん坊が大きくなったら「ワタシハろぼっとデス」とか言い出してコンセントに指を突っ込んだりするのかな??????ベッドでの読書は梅田孝太『今を生きる思想ショーペンハウアー欲望にまみれた世界を生き抜く』(講談社現代新書)ゲーテとカントとヘーゲルのあとの哲学者の生涯と思想。裕福な家庭のお坊ちゃまの生涯。なかなか面白い。要は王子様だった仏陀の悟りの世界でワーグナー以上にマーラーに影響を与えたのかな?そんなショーペンハウアーがモーツァルトやベートーヴェンの音楽と同時にロッシーニのオペラが好きだったというのが面白い。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。蝉の鳴き声が消えた。秋がやって来た気配ですね。終日デスクワークは『ZAITEN』の連載『今月のスポーツ批評』執筆。テーマは村上のホームラン54&55号。それでもスワローズが試合に負けているというのが面白いですね。「ホームランなんて無駄打ちが多く試合の勝敗には無関係なことが多い」と言っていた故・牧野茂ヘッドコーチの言葉が思い出される。しかし多くのファンはホームランに興奮するから野球規則には「試合の目的」として「相手チームより多くの得点を記録して勝つことを目的とする」なんてことが書かれてるのですね。原稿完成させて送ったあと大相撲。うわっ。37歳の玉鷲がメッチャ元気で強い!2度目の優勝があるのでは?ウクライナもロシアを負かし始めましたからね。大逆転のシーズンの開幕かな?
9月16日(金)
梅田孝太『今を生きる思想ショーペンハウアー欲望にまみれた世界を生き抜く』(講談社現代新書)読了。学生時代からずっとプードルを飼い続けていたショーペンハウアーはその犬にすべて「アートマン」というインド哲学で「真の自我」を意味する名前をつけていたという。どうして「ブラフマン(宇宙=梵)」はつけなかったのかな?あ。ブラフマンは自分でプードルのアートマンと「梵我一如」を気取っていたのかな?でもそれって西洋的自我の主張になるのでは?やっぱり印度哲学(東洋思想)のほうが「我」を消すうえでは上位にあると言えそうかな?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。やっぱり犬の名前は黒兵衛とかスヌーピー程度の方がイイですね。ワン。『ZAITEN』連載の校正やらイロイロ仕事。ふ〜ん。竹田恆和JOC前会長も検察に任意の事情聴取を受けたのか…。フランスの検察は今も五輪招致委時代の竹田氏の「賄賂」を捜査しているらしく同額の「賄賂」を同じ人物に渡したリオ五輪の組織委会長で招致委会長だったヌズマン氏は禁固30年以上という有罪判決を受けてますからね。東京五輪疑獄事件はどこまで広がるのかな?春日良一氏との対談速記がナカナカ届かないので大相撲を見る。うわっ。横綱大関が全敗!翔猿の相撲は見事だったけど照ノ富士の膝は大丈夫かな?玉鷲は優勝へ一直線!?晩飯は『チコちゃん』を見ながら。文春&新潮を手にベッドへ。旧統一教会と自民党の癒着がこれだけ出てるのに…野党弱すぎですね。
9月17日(土)
昨晩遅くに『ZAITEN』編集部から届いた春日良一氏との速記を朝のベッドのなかで読む。しかし機械による自動書き起こしは間違いだらけで困ったものですナァ。昔は速記屋さんが丁寧に書き起こしてくれていたものですがコンナ機械任せをしていては日本人の能力がどんどん下がってしまいますね…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日対談原稿と格闘。イロイロ調べながらで時間がかかる。ま。連休だから明日もありますからね。今日の夕方は大相撲を楽しんで…うわっ。玉鷲が若隆景に土俵際で逆転される!好調すぎて逆転されたかな。御嶽海と正代は負け続け。ヤバイですね。膝を痛めてる照ノ富士はモンゴル組に助けられたかな。ま。大相撲とはこーゆーものです。良いことです。晩飯は『博士ちゃん』を見ながら。印度はスゴイですねぇ。左手で英語&右手でヒンズー語を同時に書くことを子供に教える教育とか二桁×二桁の九九を憶えさせる教育など素晴らしいですね。日本は教育でも経済でもドンドン「先進国」から遅れを取りそうですね。最もダメなのは政治でしょうけど…嗚呼。
9月18日(日)
ベッドでの読書は放棄して早朝5時目覚めたらすぐに仕事場の机へ。『ZAITEN』春日良一氏との対談をまとめ始める。途中朝食とって雨が小止みになった間隙に黒兵衛と散歩。再び対談原稿書き。ふううう。晩飯は録画した大相撲を見ながら。昔弱い大関が「クンロク(9勝6敗)大関」と揶揄されたことがあったが今の大関たちはどー呼べばイイのかな?『日曜美術館』を観て驚嘆。鉄の打ち出しで創ったカラスも1個の木材で廃品を創った木彫も蟹や海老をそっくりに創った造形も見事でした。朝早かったので早々にベッドへ。
9月19日(月)
敬老の日のお祝いは幼稚園に通う下の孫から届いた宇宙人のような似顔絵だけか。まぁよろしおすけど。今日もベッドでの読書は放棄して即仕事机へ一直線。『ZAITEN』対談原稿の完成の目処をつけて朝食。雨の小止みを狙って黒兵衛と散歩のあと原稿書きに戻って昼飯前に完成。仮のタイトルは『東京2020贈収賄疑獄の本質−IOCと日本スポーツ界に何が起きたのか!?』春日さんは高橋容疑者の一件を古い前時代的な最後の事件と語り二人で日本のスポーツ界の幼稚さの指摘でまとめる。そうですよね。スポーツを社会のカルチャーにせず企業の所有物としてオマケにメディアが野球等でそれを推進してるのですからね。スポーツ・ジャーナリズムが存在していないことをメディアは指摘しませんからね。困ったものです。昼飯と昼寝のあと原稿を読み直して編集部に送稿。スッキリした気分で大相撲。横綱と大関が全員黒星でも驚かなくなったのはマズイですね。晩飯はお隣さんのフランス土産のシャンパンで敬老の日を祝いながらウェストミンスター寺院でのエリザベス女王の国葬を見る。アングリカン・チャーチ(英国国教会)の聖歌(賛美歌?)は美しいけど馴染みがないですね。厳かな伝統にのっとった儀式に見えますが現代の今日的催しになっているところがより伝統的に見えるのでしょうね。京都の金閣寺や伏見稲荷の千本鳥居が昭和の産物なのと同じですね。伝統は現代が創るものなんですね。ドニゼッティの『アンナ・ボレーナ(アン・ブーリン)』のヘンリー八世の不倫オペラか『マリア・スチュワルダ』でエリザベス(イングランド)とメアリー・スチュワート(スコットランド)の確執オペラも見直しましょうか。いやドニゼッティの『ロベルト・デヴリュー』のバイエルン歌劇場の舞台はグルベローヴァ演じるエリザベス女王がサッチャー首相にそっくりの面白い現代演出で歌唱も最高に見事。イギリス王室は多くのオペラになってますね。すべてイタリア・オペラですが…イギリスにはシェイクスピアの演劇があるからイイのですね。
9月20日(火)
少々気になることがあったのでベースボールマガジン社が発行している『公認野球規則』をベッドのなかで読み始める。新書並みの文字量でどこを読んでも面白い。打順を間違えた場合やボールが審判や捕手のマスクに挟まったときにどうなるかまで書いてある(捕手のマスクはインプレイで審判のマスクはボールデッド)。一番面白いのは《試合の目的》が書かれていること。《各チームは相手チームより多くの得点を記録して勝つことを目的とする》と書かれている。ホームランを打ったからといってチームが試合に負けたら喜んでいちゃダメですよというわけだ。ルールブックを読め!と小生に教えてくれたのはV9巨人の名参謀と言われた牧野茂さん。「面白いから読め!」と言われたところが牧野さんの面白いところだった。《ファウルラインはフェア地域》なんて言葉などツッコミドコロも満載。明日のラジオはこの話で…と決めてベッドから出て雨が止んだ間隙を突いて黒兵衛と散歩。途中から予想通り降り出したと思ったら止まって青空が覗いたかと思ったらまた強烈に降り出して…ナンダコリャ。女心と秋の空か?ワン。終日週末のオペラ講座の準備。今回はヴェルディ『椿姫』。ヴィオレッタの「娼婦」ではない「花柳界」でもない「クルティザンヌ」の世界を復習。夕方から大相撲見ながらビールと柿の種。翔猿イイですねえ。大関が負けてももう驚きませんねえ。春日良一さんとの対談の校正が届いてきたので明日の準備をしてウクライナのニュースを見ながら晩メシ。プーチン後のロシア&ウクライナ戦争後の世界はどーなるのでしょうねえ…と考えるのが悲惨に思えてくる日本の政界ですが…何とかジャーナリズムだけでも覚醒してくれないと…それには最低スポーツジャーナリズムがマトモにならないと…という思いで春日さんと話し合ったので対談の掲載される『ZAITEN』来月号を御期待ください。
9月21日(水)
夜が涼しくなったせいか爆睡。朝方トイレに立ってもベッドに戻ってすぐ寝てしまう。ということは本を読めず。三島の『椿説弓張月』で為朝が琉球に渡ったところで止まったまま。仕方ないですね。朝起きてベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。中味は昨日の本欄に書いた公認野球規則の面白話。打者がフライを打ち上げて走者がタッチアップできるのはいつ?との質問にMCの田畑さんは「野手が捕球した瞬間でしょ」と期待通りに間違えてくれる。昔のルールブックではそうなっていたのですが今の公認野球規則では《野手がボールに触れた瞬間》走者はベースを離れて走り出していいのですよね。昔のルールブックでは走者三塁で外野にフライが飛んだときに外野手がボールを捕らずバレーボールのようにグラブでトスし続けて内野まで歩いてきたため走者が走り出せないことがあってルールが変えられたのです。それに《捕手が打者の打撃妨害をしてはならない》というルールだった昔…走者三塁でスクイズのときに一塁手がダッシュしてバッターのバットの前で投手の投球を捕球してホームに走ってきた走者にタッチしたことがあって牽制球だと主張したたため打撃妨害をしてはならない選手を《捕手及びその他の野手が》と改められたのですよね。ハハハハハ。野球規則は面白い。ラジオのあと黒兵衛と散歩。終日デスクワーク。『ZAITEN』の春日良一さんとの対談を校正。タイトルは『2020東京オリンピック スポーツを食い物にした五輪と電通』となりました。あと週末のオペラ講座『椿姫』のレジュメを完成させて大相撲&ビール。翔猿と宇良の一番は良かったですねえ。もう大関はどーでもいいですね。優勝は何日か前に予想した通り玉鷲かな。関西大学野球部監督で獣医師の八木久仁子さんから『女子野球史』(東京図書出版)が送られてきた。横書きの本に少々うろたえるが面白そう。さっそく読まねば。
9月22日(木)
八木久仁子『女子野球史』は日本の女子野球の通史としておそらく初めて書かれた快著。読まねば。その前に『文藝春秋』今月号(十月等別号)の西崎伸彦氏のレポート『高橋治之・治則バブル兄弟の虚栄』を読む。東京五輪疑獄疑惑の弟は「長銀を潰した男」だったんですね。その長銀の資金繰りがショートしていいるのを最初に発見したのは小生も一員だった「グループ21」の仲間の一人で今は廃刊になった講談社の月刊『現代』でその事実を『長銀破綻』と題して最初に原稿にしたのは小生だったとは誰も知らないでしょうね。別にかまへんけど(笑)。しかし高橋治之という人物は「スポーツの文化的発展」など何も考えなかったのですね。ペレもW杯も五輪もみんな見世物として金儲けに利用しただけなんですね。そのあたりのことは来月1日発売の『ZAITEN』で春日良一氏との対談で明らかにしました。乞う御期待。ベッドから出て黒兵衛と散歩。短パンが寒さを感じるまでになる。季節の進むのは早いですね。ホームページ更新の原稿作り他終日デスクワーク。午後から大阪読売テレビ『す・またん』のZOOM取材を受ける。バスケットボールについて。いつ誰がどのようにして創作したスポーツか?という視聴者に答える回答を教えてあげる。調べればわかることですけどそーゆー疑問を抱くのはイイことですね。試合を見て勝敗を愉しんでいるだけではスポーツの本当の面白さはわかりませんからね。晩飯はビデオ撮りしておいた大相撲を見ながら。翔猿イイですね。。豊昇竜は首投げ!昔は横綱栃錦が何度かやりましたね…と言っても誰も知らんやろね。食後は日本酒を飲みながらフランスのTV局が創ったヒトラーとスターリンのドキュメンタリーをNHK-BSで見る。なるほど。ナチスドイツの独裁者は消えたけどソビエトロシアの独裁者が残ったことがよくわかりました。ゼレンスキー大統領が言ったとおりその伝統は今日のロシアに残っているのですね。そのあとの『報道ステーション』ではウクライナの映画監督が撮ったナチス・ドイツの旗を振ってユダヤ人をやっつけるウクライナ人のドキュメンタリー映画が紹介されたけど…確かにすべての過去の歴史や現在の情報をオープンにする国のほうが正しいマトモな国だと言えますね。
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ヴェルディ:オペラ『椿姫』 ロバート・カーセンの演出では闘牛士がラスベガスのショーのカウガール。枯葉がヴェルディの顔の描かれたリラ紙幣になります
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9月23日(金)
八木久仁子『女子野球史』読み始める。面白い。と言う以上によく調べられている。明治時代から「女子用ベースボール」の創作と普及に取り組んだ人がいたとか初めて知ることの連続です。朝ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと明日の名古屋栄中日文化センターでのOne Dayオペラ講座での『椿姫』講義のための予習。ドゥミモンド(半社交界≒花柳界)でのクルティザンヌ(高級娼婦)の歴史を永竹由幸氏の『椿姫とは誰か』(丸善ブックス)で学び直したあとドミンゴ指揮ボンファデッリ主演ブッセート歌劇場のDVDをチェック。このゼッフィレッリ演出の舞台はジェルモン役のブルゾンの名唱と相俟って本当に奇蹟的に素晴らしい舞台となりましたね。ほかにエクサン・プロヴァンスの野外劇場でナタリー・デセイ主演の名唱と名演技もチェック。明日の心配は颱風だけですね…というわけで大相撲見て玉鷲の優勝を確信して(心の底では高安に優勝を!と思いながら)晩飯食って風呂入ってキリンカップ日本代表サッカーはアメリカ戦。日本の守備は良かったですねえ。鎌田にはもう何度かあった少し早いチャンスで決めてほしかったけどマァいいか。後半出てきた三笘のドリブルからシュートはやっぱり惚れ惚れし直すほど見事。さあドイツ&スペイン相手にどう−なるか?現地に行っている大住良之さんに月曜の『オプエド』で訊くことにしましょ。
9月24日(土)
朝6時に目覚めると新幹線が三島−掛川間で止まってる。名古屋へは行けません。トホホ。仕方ないなぁと思っていたら栄中日文化センターの担当者からメールで小生の講座などゴゴイチの講座はすべて中止になったとの知らせ。シャーナイナァと思ってベッドへUターン。寝直しまひょ。
9月24日(土)つづき
朝起きて颱風の雨が小止みなった間隙を縫って黒兵衛と散歩。関東地方は東京や北関東や横浜で激しく降ったらしいけど神奈川東南部はさほどでもなかったですね。散歩のあと名古屋行きがキャンセルになった事情を利用してヨメハンと一緒に久し振りに掛かり付けのお医者さんへ。血圧は安定してるけど酒をもう少し控えるようにと注意される。酒なくて何の己が人生か…毎日ビール500ccロング缶2本とワイン300ccか日本酒3合程度で全く酔ってませんよ…と言うと「多いよ」と言われた。そんなものか。血液検査やクスリを待つ間で『女子野球史』読み続ける。メッチャ面白い。大正時代の大流行と昭和初期の低迷。文部省の女子競技として適当か?という「注意?疑問?」から自己規制してしまったのですね。本書は長田渚左さんや溝口紀子さんや島沢優子さんや星野恭子さんや小松成美さんにも推薦しなければ。午後帰宅して読書&当HPの原稿作りのあと大相撲。明日の高安vs玉鷲が楽しみですね。そのあと金平氏がキャスター最後というTBS『報道特集』。コレからも何度も顔を出して下さい。でないとテレビから真っ当な報道番組が消えてしまいますから。旧統一教会への金平氏の鋭い質問(ある意味最近無くなってきたジャーナリストとしての当然の堂々とした質問)も良かったけど東京五輪組織委元職員への取材も良かった。ただし元職員の中にオリンピックをアマチュアリズムと表現していた人物がいたことに驚愕。そんな全く時代遅れの古臭い感覚と認識で五輪の仕事を行っていた人物がいたことにショック。現在のスポーツや世界のスポーツ界をキチンと理解していた職員は組織委にどのくらいいたのでしょうね?そう言えば小生の書いたコタラムに森組織委会長が立腹したのか2人の職員に呼び出されて注意を受けたときに逆にスポーツのことを質問したところが彼らは二人とも「バレーボールという言葉の意味」も知らなかったですからね。その程度のスポーツへの理解と認識だからスポーツを食い物にして銭儲けに走る連中も出たのでしょう。嗚呼。晩飯はビデオに入れてた『さかなクンの魚スター』の鰻特集と『ブラタモリ』の下北半島特集を見ながら。どっちもメッチャ面白かった。俺が見るテレビ番組はNHKばっかりか?
9月25日(日)
『女子野球史』読み進む。素晴らしい内容。次のような記述もあった。《新聞雑誌メディアはただスポーツの結果を報じるだけでなく娯楽性を加味した大衆的な紙面づくりをして読者を取りこむために話題性のあるスポーツ行事を自ら企画創出するマッチポンプの役割も果たした》小生はメディアのスポーツ支配を散々批判し続けてきたが《マッチポンプ》という言葉を使ったことはなかった。そうなのだ!甲子園大会も選抜も読売ジャイアンツも箱根駅伝もメディア(新聞社)のマッチポンプなんですね。ところがマッチで火を点ける(イベントを盛りあげて煽る)だけでポンプで水をかけて消すこと(スポーツジャーナリズムとして機能して間違っている点を指摘し是正すること)をしていないことこそ最大の問題なのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。颱風は猛スピードで駆け抜けたみたい。ワン。そう言えばコロナ直前に井筒和幸監督の紹介で日本の女子野球の映画化を企画している女性監督と脚本家に会って小林信也さんも一緒に食事したことがあったなあ。あの人たちにも『女子野球史』の本は紹介しなければ!終日デスクワークのあと夕方から大相撲。玉鷲強い!高安はまたまた準優勝。次は何とか初優勝を。ニューズや『ダーウィンが来た!』でチータのドキュメンタリーを見ながら晩飯。なぜか小学生の時に映画館で見たディズニー映画『百獣の王ライオン』を思い出す。それがアフリカと出逢った初めての体験でしたね。そのあとスワローズvsベイスターズで燕のルーキーによるサヨナラ勝ち優勝を見る。良い投手戦でしたね。そのあと能楽『安宅』を堪能。やはり小生は旦那の囲碁・能楽&丁稚の将棋・歌舞伎で丁稚派ですが勧進帳の元ネタ安宅を堪能しました。ギリシア悲劇から(庶民の)オペラが生まれたように能から歌舞伎が生まれたのがよくわかりました。それにしても能楽師の皆さんの発声(素晴らしい声!)と身体の動き(素晴らしい姿勢)は見事でした。
9月26日(月)
『女子野球史』読み進む。面白い。昭和の女子野球のマトメとして《「プロ」とは銘打ってはいたものの球団はタニマチ的な個人の所有物だった》これは男子も変わらないことで「プロとは銘打ってはいるものの企業の所有物」なのですよね。東京五輪贈収賄疑惑で捜査を受けた駐車場経営のパーク24も柔道部を「所有」していますが本来の姿なら独立した柔道クラブを企業がスポンサーとしてサポートすべきなんですよね。いつになったらそーゆー企業が所有するのではないサポートするスポーツの姿が日本に生まれるのでしょうね…それにはメディアが「まず隗より始めて」スポーツチームやスポーツ大会を所有している姿を改めないとダメでしょうね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。すっかり秋ですね。季節の進むのは早いですね。イロイロ準備して夕方は『ニューズ・オプエド』。今日のゲストはドイツ・デュッセルドルフで取材中の大住良之さんとアメリカ帰りの福島良一さん。サッカー日本代表のアメリカ戦快勝はチェルシーに所属のアメリカのエースを欠いていたとはいえ高評価。三笘を後半から起用することも大住さんは作戦的に高評価。火曜のエクアドル戦ではガラッとメンバーが替わって南野や古橋が出て最終的にメンバーが決定するだろうとのこと。そしてW杯第1戦はドイツを引き分けて…と言うと最初から引き分け狙いはダメと叱られた(>_<)そうですね。勝ちに行かなければ。福島さんはアメリカで170キロの豪速球を投げるベン・ジョイス投手を見る予定が見られなかったのが残念。彼は大学選手権に出ずにエンジェルスのマイナーに所属しているとか。来季は大谷と2人エースで活躍?大谷のMVPは残念ながらやっぱりヤンキースの全国人気もあってジャッジが有利とか。大谷があと2勝して最後の試合でノーヒットノーランでもすれば…だが…彼ならやりかねないですよね。オプエドのあとは神奈川テレビで吉本新喜劇を見ながら晩メシ。明日は国葬反対のデモ集会に出たいけど原稿の締め切りか…(>_<)
9月27日(火)
『女子野球史』読み進む。面白いけど問題の核心はやっぱりプロから子供たちまで統一した「野球の組織」が存在しないと言うことになりますね。その点をどう分析しているのか…日本球界の分断を読売朝日毎日のメディアが推進していることが日本野球最大の不幸なんでしょうが…『女子野球史』最後まで読みましょう。ワン。今日は何の日?国葬の日。「開かれたインド太平洋」というキャッチコピーだけが評価されてアベノミクスやロシア外交の失敗や国会軽視の乱暴な答弁にモリカケサクラは宙に浮いたまま。岸田総理の国会無視の国葬決定はいかにも安倍元総理に相応しい非民主主義的行為だと小生は思いますね。菅元官房長官の言葉は国葬で口にする挨拶ではなかったですね。そのくらいの苦労話や美談は誰にもあるもので改めて誉め称える必要のない人こそ国葬に相応しい人物のはずですからね。たとえばイタリアのルチアーノ・パヴァロッティやフランスのシャルル・アズナブールの国葬ように。国葬に唇寒し秋の風。ワン。終日連載の原稿書き。北國新聞&連合通信。一日がかりでやっつける。晩飯はBS-TBSの『報道1930』を見ながら。保阪正康氏の意見に全面賛成。日本の国葬は天皇陛下だけで良いと思いますね。サッカー日本代表はエクアドル戦。前半相当攻め込まれたけど後半の修正は見事でしたね。PKを止めただけでなくダニエル・シュミットのキーパーの働きは良かったですね。三笘はやっぱり大住良之さんが言っていたように後半の切り札起用が良さそうかな。相馬もOK。いつの間にか良い選手がイッパイですね。さあドイツとスペインとコスタリカに勝ちましょう!
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『ザ・フライ』 「ハリウッド版カフカの変身」と言った人がいたけど誉めすぎかな?
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9月28日(水)
八木久仁子『女子野球史』(東京図書出版)読了。終盤に読み物と言うより資料的になりすぎた部分が生じたのは少々残念だが本書は確かに女子野球の資料として多くのスポーツ関係者に読んでほしいと思う。「野球もできるコンパニオン」として出発した日本の女子野球がスポーツ組織としてキチンと成立するにはプロ野球&社会人野球&高校野球などの男子野球との合体が必要だろうがそれには読売朝日毎日の自己改革が必要でナカナカ難しい問題とも言える。日本のメディアがスポーツ・ジャーナリズムの体を成していないことが最大の問題なのだが…Jリーグが生まれたとき当時の川淵チェアマンが「日本の野球界の組織のあり方をを反面教師にした」と言っておられたことが思い出されますね。ワン。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。東京2020組織委職員が「オリンピックはアマチュアリズム」と語ったことを取りあげアマチュアリズムが肉体労働者をスポーツ界から排除しようとした貴族や資本家(ブルジョワジー)たちの差別思想だったと解説。それが明治時代にスポーツを受け入れた東京帝国大学のエリートたちによって受け入れられてしまったのですよね。ワン。ラジオを終えて黒兵衛と散歩。すっかり秋ですね。終日デスクワークは明日の打ち合わせの準備。岩波書店とNHK。高校野球廃止とマラドーナ。ナンノコッチャ(笑)。晩飯は久しぶりに映画を見ながら。『ザ・フライ』ハリウッド版カフカの『変身』と言った人もいたけど誉めすぎですね。昔のリメイク前の『恐怖の蝿男』のほうがカフカ的かも…。
9月29日(木)
ベッドで三島由紀夫の『小説家の休暇』と題した日記風エッセイを読んでいると音楽に関する面白い文章に出会(でくわ)した。《私はレコードの一枚も蓄音機の一台も持たない。理知と官能の渾然たる境地にあって音楽をたのしむ人は私にはうらやましく思はれる。音楽会へ行っても私にはほとんど音楽を享楽することができない。意味内容のないことの不安に耐へられないのだ、音楽がはじまると私の精神はあわただしい分裂状態に見舞はれベートーヴェンの最中にきのふの忘れ物を思ひ出したりする。音楽といふものは人間の暗黒な深淵のふちのところで戯れてゐるもののように私には思はれる。かういふ怖ろしい戯れを生活の愉楽にかぞへ音楽堂や美しい客間で音楽に耳を傾けてゐる人たちを見ると私はさういふ人たちの剛胆さに驚かずにはゐられない。こんな危険なものは生活に接触させてはならないのだ》この繊細な神経が音楽の聴こえない冷感症の女性を主人公にした精神分析小説『音楽』を生んだのでしょうね。ATGの映画『音楽』を見直したくなりましたね。三島はこうも書いてます。《私はピアズレエの描いた「ワグネルを聴く人々」の驕慢な顔立ちを思ひ出さざるにはゐられない》そう書きながら三島原作監督の映画『憂国』での二・二六に参加できなかった青年将校の切腹シーンのBGMには延々とワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が流れていましたね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。秋風爽快でも汗はかきますね。ワン。午前中チョイと仕事して午後から東京へ。八重洲の喫茶店で小林信也さんと出版社の編集者と『甲子園大会を廃止せよ!』の出版打ち合わせ。そのあと東京駅内の喫茶店に場所を移してNHK『ザ・プロファイラー』のマラドーナに関する打ち合わせ。そうか…Jリーグが生まれるまで日本のサッカーなどまるで人気がなかったことをもう知らない人も多いのですね。打ち合わせのあと東海道線で缶ビール飲みながら帰宅。メシ。フロ。ネル。
9月30日(金)
三島由紀夫全集第28巻はメッチャ面白い。無人島へ持って行きたい本一冊を選ぶというアンケートが昔流行ったがいまもそれがあれば迷わず選びたい一冊だ。雑文集と言っては失礼だろうが「洋服オンチ」「日本人の乞食根性」「ジャン・ジュネ」「女優」「私のペンネーム」「男といふものは」「馬-わが動物記」「女ぎらひの弁」「ボクシングについて」「芥川龍之介について」「花鳥とは何ぞ」「ゴジラの卵」「葵上」「浮気は巴里で」「無題」……等と題した1~3ページのの短文が200本近く並んでいるのだ。飽きない。三島由紀夫という人物と会話をしている気分になれるうえ昭和30年代前後の日本社会の空気にも触れることができる。読書で得られる最高の娯楽かもしれませんね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。秋風に落ち葉がやっと濃い黄色。酷暑は忘れましたね。ワン。黒兵衛とのお散歩から帰ると必ずNHK-BSで今日の大谷をチェックしているけどナナナナナント今日は5回までノーヒット・ピッチング。走者は1回の四球のみ。見てしまうが8回に遊撃手強襲ヒットを打たれる。しかし凄い選手ですね。MVP争い注目ですね。終日デスクワークは本HPの原稿作り。もうすぐ更新されます。晩飯は『チコちゃん』を見ながら。ウクライナ情勢はどーなるのかな?国葬後の岸田政権はどーなるのかな?野党はどーすれば強くなるのかな?ジャーナリズムはどーすればマトモになるのかな?三島が生きていたら憂國以上の言葉を紡ぐでしょうね。
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