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2003年 11月12月

BOOK
『中島敦全集全3巻』ちくま文庫
『中島敦全集全3巻』ちくま文庫
この3冊は小生の宝です

2月1日(火)
中島敦『弟子』読む。これも素晴らしい作品ですね。孔子の弟子になった子路の話。しかし孔子を(偉すぎて)あまり好きではない小生としては老子か荘子を小説にしてほしかったと思う。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。『スポーツゴジラ』の新連載『走』第1回を書く。「速く走る」ということに人間はどんな意味を見出したか。またどんな意味を付与したかを考える企画。オリンピックのモットー「より速くCitius」という意味を考える。これって産業革命以後の高度成長的価値観なんですよね。晩飯前に書きあげて送稿。速報ニュースで石原慎太郎氏が亡くなったことを知る。都知事時代に2016年の五輪招致のシンポジウムに招かれたあと彼の秘書から電話が入りオリンピックとスポーツについてさらに話を聞きたいと言われて京王プラザのレストランへ行ったことがあった。1時間くらいスポーツに関するレクチャー(と言える話)をさせていただくと「場所を変えよう」といわれてバーへ。夕方から高級赤ワインを振る舞われてさらにスポーツの話。石原都知事は大場政夫やファイティング原田などボクシングの思い出話とヨットレースの話。2人でボトル2本空けて楽しい一時でした。ヒトラーとクーベルタンと五輪の関係なども話したけど聞く耳を持った方でしたね。その時はまだ知らなかったけど(2020の五輪招致に成功したあと出版された講談社文庫『文学者たちの見た世紀の祭典東京オリンピック』で知りました)石原氏は次のような文章も残してたんですね。《優勝者のための国旗掲揚で国歌吹奏をとりやめようというブランデージ(IOC会長=当時)提案に私は賛成である。国が持っている原爆の数が金メダルの数に比例するような昨今のオリンピックでは参加国のユニットを国家という形で考える限り政治性というものを完全に脱色する訳にはいくまい。ベルリンのオリンピック以来オリンピックを「民族の祭典」と呼ぶ人がいるがその小姓はまだ今日ではいろいろな誤謬を招きやすい。私は以前日本人に希薄な民族意識祖国意識を取り戻すのにのにオリンピックは良き機会であるというようなことを書いたことがあるが誤りだったと自戒している。民族意識も結構ではあるがその以前にもっと大切なもの即ち真の感動人間的感動というものをオリンピックを通して人々が知り直すことが希ましい》せっかくの石原氏との楽しい3時間のときにこの文章を知らなかったのは残念。知っていたら今でも同じ考えですよね?と訊き直したのに…合掌。

2月1日(火)つづき
本欄で石原慎太郎氏とワインを飲んだ時の想い出を書いていたら思い出した話が二つ脳裏に現れたので書いておく。2002年のサッカー日韓W杯の対ロシア戦の前に石原氏が北方四島返還交渉のためにもロシアに勝ってほしいと言っていたことを取りあげて勝っても北方四島返還には無関係でしたねと言うと石原氏はそうかもしれないけど負けてたらショックは大きかったさ。スポーツは負けないために勝とうとする。それだけのことだろ。これは素晴らしい言葉だった。それと…市川崑監督の映画『穴』のなかで見事にジャズを歌っておられるのを絶賛すると相好を崩して俺は昔から弟よりもずっと歌が上手いんだと言われた。そのときの笑顔は20才歳下の小生でも可愛いと思えた。合掌。

BOOK
講談社編『文学者の見た東京オリンピック』講談社学芸文庫
講談社編『文学者の見た東京オリンピック』講談社学芸文庫
2021年の大会に較べて1964年の東京五輪がいかに素晴らしかったか…がよく理解できます
DVD
オッフェンバック:オペレッタ『美しきエレーヌ』
オッフェンバック:オペレッタ『美しきエレーヌ』
トロイ戦争を下敷きにしたオペレッタ。水着姿にミニスカをまくり上げるスッチーのダンス!凄い演出です!

2月2日(水)
ベッドのなかで『文学者たちの見た世紀の祭典東京オリンピック』(講談社文芸文庫)石原慎太郎氏の文章を中心に読み直す。彼はやはり文学者でしたね。政治家じゃない。東京五輪で国歌吹奏に反対したことでもそれがわかります。本人も言っておられました。「政治屋が政治をするからオカシクなるんだ。ポーランドにはピアニストの大統領もいたしチャーチルはノーベル文学賞受賞者だ。いろんな職業の人間が政治をすりゃいいんだ」右翼タカ派的言動や弱者差別的言動には賛成しかねますが結構正論も口にされましたね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと本HPの原稿をまとめて経産省のHPへ。コロナによるフリーランサーへの補助金だか助成金の申し込みの容量を調べるがよーワカラン。わざとワカランようにしているのかとイライラ。こーゆー作業は面白くないですね。晩飯映画劇場は市川崑監督の異色ドタバタ喜劇ミステリー・サスペンス映画『穴』を見直す。1958年の作品。面白い!京マチ子二役七変化で大活躍。石原慎太郎がキャバレーでジャズを歌ってます。「作家が面白くないから最近は歌うたってるんですよ」なんて台詞を言って。しかし市川崑という人は天才的映画職人でしたね。脚本の久里子亭という名前は市川崑さんと夫人の和田夏十さんの合作ペンネームですね。

DVD
『トロイ』
『トロイ』
大スペクタクルで映画的にゴージャスな戦闘シーン。ハリウッドがカネをかけただけの映画?

2月3日(木)
朝ベッドのなかで中島敦『弟子』読了。聖人というべき孔子よりも素直な俗物「弟子」の子路の人間性のほうが何度目読んでも面白いですね。勢いで『李陵』も読み始める。新しい本を読むより過去に感激した古典を読み返すほうが面白く感じる歳になったみたいですね。漱石・中島敦の次は谷崎かな?ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。昨日と一昨日の本欄に書いた石原慎太郎氏とワインを飲んだエピソードを話す。テレビのワイドショウなんかでも取りあげられてたけどオリンピックでの国歌吹奏に反対されたことや映画『穴』にジャズシンガーとして出演してたことは紹介されなかったみたいですね。ワン。ラジオを終えて黒兵衛と散歩のあと終日イロイロ仕事。昼飯の時に映画『トロイ』を30分だけ見る。トロイ戦争はオッフェンバックのオペレッタ『美しきエレーヌ(ヘレナ)』のほうが面白いかな…などと思いながらも続きを録画。イロイロ仕事して晩飯は近々フランスへ帰国されるお隣さんと『鮨処もり山』へ。久し振りに美味に舌鼓。帰宅すると北京冬季五輪が始まりましたね。パラレルワールドでの出来事にどんな意味があるのか?考え直したいですね。

2月4日(金)
中島敦『李陵』読み進む。中国の難字の連続に註釈と照らし合わせながら。しかしこの硬質の文体は見事ですね。おまけに漢の武帝の強権独裁に習近平を擬(なぞら)えてしまう(笑)。中国4千年歴史は今も続いてるのですかね。ベッドから出て黒兵衛と散歩。帰宅すると黒兵衛が庭で何か食べてる。昨晩「鬼は外」「福は内」と少しだけ撒いた豆を食った。まぁエエか。終日デスクワーク。『週刊現代』の仕事もしている近藤大介さんに「昭和偉人伝」の企画で市川崑のエピソードをイロイロ電話で伝えたあと午後からは確定申告の準備や事業復活支援金の手続き。収入が相当減りましたからね。ところが何度PCを操作しても上手くいかない。お世話になってる税理士さんに相談してつまらないミスを発見。全てやり直し。疲れる。マイッタナ。明日に持ち越し(>_<)。晩飯で映画『トロイ』を途中まで見て風呂に入ってテレビで北京冬季五輪の開会式。チャン・イーモウの演出はやっぱりサスガに見事とも思うけど政治色満載祝賀資本主義のオリンピックは最早素直に楽しめなくなってしまいましたね。台湾の入場の時習近平の顔を映したのはIOCの子会社のカメラマンの撮った国際映像なのかな?バッハIOC会長が国連の五輪休戦決議に触れていたけどコレもロシアのクリミア侵攻を認めずウクライナのロシア系住民地域の分離独立を認めない中国の後押し?なんて思ってしまう。ウイグルやチベットの分離独立に繋がるのは中国はイヤでしょうからね。

2月5日(土)
中島敦『李陵』読了。これは凄い小説ですね。少数精鋭で匈奴と闘って死線を彷徨う負傷のあと捕虜となった漢の武将李陵が母国皇帝と官僚の悪政や家族全員が処刑されたことに絶望して匈奴に寝返る心の移り変わりを描いた見事な作品。彼を擁護して宮刑(男を男でなくす刑罰)に処せられ恥辱に耐えながらもも「史記」を書き続けた司馬遷と匈奴に捕らえられながらも断固として匈奴に寝返らず北方の僻地で飢えのおなかでも母国漢に身命を尽くした旧友蘇武を周囲に配して李陵の心の動きを見事に描いた最高の作品。久し振りに読んで(40年以上ぶり?)昔読んだ時も感激したのは憶えてるけどこれほど凄い作品だとは思わなかった。マイッタ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。と言っても確定申告の書類作りその他の事務処理。まったくウンザリ。まるまる一日かかっての雑務。おまけにコロナと反五輪の態度で(笑)収入は激減。まぁ春の来ない冬はなく朝の明けない夜はないと信じて頑張りましょう。晩飯とその後は北京冬季五輪を見ながら。アイスホッケー・スマイルジャパンがスウェーデンに続いてデンマークを大差で破ったのは見事でしたね。しかしスキーやスノーボードやスケートのように楽しいスポーツを楽しめなくしているのは4年に一度しかないという長い期間と国の代表という幻想を定着させたオリンピックの罪ですね。主催者の金儲けの手段としては上手い!!としか言い様がないですね。

2月6日(日)
中島敦『わが西遊記 悟浄出世』読む。これは面白い小説ですね。「我とは何?」と悩んだ沙悟浄が妖怪(ばけもの)たちのなかの賢人を求めて旅する中で様々な「哲学」に出逢います。「生ある間は死なし。死到れば我なし。又何をか懼れん」「波にさらわれる者は溺れるが波に乗る者は之を超える」「時の長さを測る尺度がそれを感じる者の実際の感覚以外にないことを知らぬ者は愚かじゃ」「眼は一切を見るが自らを見ることは出来ぬ。我とは所詮我の知る能わざるものなり」「人生は徳にあり。徳とは快楽」…妖怪の哲人の会話は面白すぎて目が冴える。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。終日今日も確定申告のお金の計算。やっとイロイロ書類が完成。しかし収入減の補助金の申請が上手くいかない。日曜はダメよ…なのかな。メリナ・メルクーリの映画があたに浮かぶ。確か彼女は晩年ギリシアの大臣になりましたよね。ふうううう。年に一度の雑務。あとはヨメハンと税理士さんに任せて早く雑務から逃げて映画『トロイ』の続きを見る。トロイの木馬が最後に登場。ハリウッドがこの映画創った意味がよくわからなかったけど映画は一気にまとめてみないとダメですね。晩飯は女子アイスホッケー日本vs中国戦を見ながら。延長の後PK戦。初めてアイスホッケーの日本リーグを見た時もPK戦となってその迫力に大興奮した。スマイルジャパンは惜しくもPK戦で負けたけど準々決勝進出。続いてみた小林選手のジャンプ優勝も見事。しかし女子ジャンプ女子モーグルと表彰台を逃した選手もいる。?勝った負けたと騒ぐじゃないぜ〜なんて歌があったなあ。4年に1度の大騒ぎにはどんな価値があるのかなあ?

2月7日(月)
中島敦『悟浄出世』読了。面白かった。最後に観世音菩薩摩訶薩が登場。「世界は概観による時は無意味の如くなれども其の細部に直接働きかける時無限の意味を有(も)つのじゃ」ナルホド。真理は細部に宿るですね。「時とは人の作用(はたらき)の謂(いい)じゃ」というわけで沙悟浄は通りかかった三蔵法師や孫悟空や猪八戒と共に天竺への旅を始める。以下続編『悟浄歎異』を読み始める。親鸞の「歎異抄」の「歎異」とは「素晴らしいと感心すること」なんですね。『悟浄歎異』の註釈で初めてキチンと知りました。「善人なほもて往生をとぐ。言はんや悪人をや」ですね。猪八戒の本名が「天蓬元帥猪悟能」であることも註釈で知りました。と言うことは三蔵法師の付き人3人は孫悟空&猪悟能&沙悟浄で「空を悟り」「能を悟り」「浄を悟り」何かを「悟った」者ばかりなんですね。初めて気付いた。ワン。黒兵衛と散歩のあといろいろデスクワーク&『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは中国の専門家である近藤大介さんと五輪の専門家の春日良一さん。かつて胡錦濤&温家宝路線の時は経済の資本主義化の次に政治の民主化もオリンピックを利用して企てられていたという近藤さんの話は興味深かったですねえ。習近平で完全に共産党体制毛沢東路線に戻ってしまったわけですね。近藤さんの中国ルートの質問から春日さんがIOCの于再清副会長との密な関係を吐露したのも興味深かったですねえ。今でもメッチャオモシロイ話題が聞けるので『オプエド』にアクセスしてみてください。https://op-ed.jp/

2月7日(月)つづき
『オプエド』リモート出演の後TV神奈川で『吉本新喜劇』を楽しみながら晩飯。関西人なら見てしまいます。そのあとは北京冬季五輪の今日のダイジェストやジャンプの男女混合団体戦。高梨沙羅が見事な大ジャンプ!と思ったらジャンプスーツの規定違反で失格!これは何度説明聞いても意味不明。太腿部分で2pオーバーって円周のこと?直径のこと?ドイツやオーストリアやノルウェーなど女子ジャンパーの違反者だけが続出。これは明らかに計測者(審判員)の個性(計測方法)の結果(問題)に思えますね。その名前と所属国を明らかにしてその人物がどのような計測をしたのか(男性ジャンパーの計測をした審判員と共に)キチンと発表するべきでしょうね。審判員も開会式で「宣誓」をしているのですからオカシイという声が出ればそれに答えるべきでしょうね。

2月8日(火)
中島敦『悟浄歎異』読了。三蔵法師・孫悟空・猪悟能(八戒)・沙悟浄の4人のキャラをこれほど端的に見事に描き切った短編は他にないだろう。法師に対する《男色的要素》にも触れて悟空の《闊達無碍の働き》を見ながら悟浄は《自由な行為とはどうしてもそれをせずにはいられないものが内に熟してきて外に現れる行為だ》と《思う》が《思う》だけで《行動者》になれない自分を嘆く。そして満天の星を眺めて永遠の高見から《何時かは来る滅亡(ほろび)の前にそれでも可憐に花開こうとする叡智(ちえ)や愛情(なさけ)やそうした数々の善きものの上に師父は絶えず凝っと憐れ身の眼差しを注いでおられる》と法師のことを思う。少々浪漫的過ぎるかとも思える最後だが途中のハードな心理分析のあとにはホッとしますね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事。『週刊現代』の市川崑特集のゲラが上がってきたので原稿チェック…などなど。北京五輪のフィギュアスケートを見ると羽生結弦が最初の4回転でスケートのエッジを氷の穴に取られて失敗。8位に終わってしまった。ソチ五輪の時の浅田真央と同じような立場に陥ったわけですね。あの後の浅田真央のフリーでのパフォーマンスを世界のフィギュアスケート史上最高の演技だったと思っている小生としては羽生にも同じようなパフォーマンスを期待したいですね。メダルや順位や3連覇などのオリンピックに付き物の「属性」はスポーツの素晴らしさとはまったく関係ないものですから。それに似た事件が…高梨沙羅がジャンプ混合団体で失格したことについて馬鹿や阿呆どもがネット上で非難しているとか。そんな馬鹿や阿呆どもの言葉に付き合う気は全くないがマスメディアもスポーツを「属性」で語ることをそろそろやめたほがいいですね。金銀銅のメダルとか表彰台とかさらにオリンピックを特別なものと捉えるとか…。優勝(1位)2位3位を金銀銅に置き換えて語るのはオリンピックをW杯や世界選手権よりも格上のものに見せて話題づくりをして商売をしたいIOCの陰謀とも言えますからね。スマイル・ジャパンがチェコにペナルティショットで勝った一戦は見事でしたねえ。それに感激して風呂のあと調子に乗って昼間録画したSF映画『遊星からの物体X』を見てしまう。まぁ酒の肴としては気楽に面白かったかな。

2月9日(水)
朝ベッドのなかで『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』の29巻『近現代詩歌』の頁をパラパラ捲っていたら岡本かの子の見事な三十一文字に出逢った。《力など望まで弱く美しく生まれしままの男にてあれ》これは凄い歌ですねえ。女性の強さも滲み出てれば男性の美しさも人間の素晴らしさも顕れていますねえ。マッチョ志向の男や金メダルを欲しがるオリンピアンや総理大臣になりたいと思ってる若者に聞かせたいですねえ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。岡本かの子は水泳を主題にして権力志向の男の見苦しさとそれに悩まされる女性の悲劇を描いた『混沌未分』という見事な小説もあったけど和歌も素晴らしいですね。《年々にわが悲しみは深くしていよいよ華やぐいのちなりけり》深い悲しみで命は華やぐんですねぇ。凄い。《はてしなきおもひよりほつと起きあがり栗まんじゅうをひとつ喰うべぬ》マイッタ。ワン。終日デスクワーク。オリンピックでは8位までが入賞としているなら表彰式にも8人を登場させるべきですね。とにかく1位や2位になった選手が凄いのは誰にもわかっているのだから他にもこんなに素晴らしい選手がいたんだと示すことがスポーツの主催者の役目であり勝者を絶対化するのではなく相対化することこそオリンピックの理念である「世界平和」につながるのでは?そう言えばヘミングウェイの小説のなかに『勝者には何もやるな』と題した短編がありましたよね。読み直さねば…。スノーボードのハーフパイプは楽しそうですね…スケートのショートトラックは運試しなんですかね…。

2月10日(木)
ベッドのなかで中島敦『文字禍』『虎刈』読了。古代メソポタミア&日本占領下の朝鮮と舞台は違うがテーマは同じ。文字による認識の不合理性を衝いた面白い作品。要するにオリンピックでのスポーツ競技の第1位の結果を金メダルと呼ぶような間違いを指摘しているわけですね。金銀銅と名前を変えた結果オリンピックの価値が増したような錯覚が蔓延するわけですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩の前にRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。高梨沙羅のジャンプスーツ計測法の不合理性と羽生結弦への金メダル以上のスケーティングへの期待を話す。イロイロ仕事しながら途中男子フィギュアスケートをTV観戦。羽生は美しかったですねえ。鍵山も宇野もチェンも素晴らしかったですねえ。それ以上に興味深いのはロシアのドーピング疑惑。ドーピング違反とされる薬物をWADAの規定の下にIOCも百種類以上認定しているがそれらの薬物を使用した結果スポーツ競技においてどのような結果がもたらされたのかということもキチンと発表しなければいけないのではないでしょうかねえ?晩飯は男子アイスホッケーを見ながら。スピードが速すぎてヨーワカランけど凄いことだけはわかった。スポーツ観戦の極意はすべて荘子の言うところの「知魚楽」ですね。「魚の楽しみ(楽しく泳いでいることを)知る」ですね。荘子のその言葉を聞いた弟子が「貴方には魚の気持ちがわかるのですか?」と訊いたところが荘子は「オマエにはわからないのか?」と答えたすです。この素晴らしい言葉を小生が初めて知ったのは湯川秀樹氏のエッセイでした。

2月11日(金)
中島敦の三十一文字『和歌(うた)でない歌(うた)』は面白い。「ある時はヘーゲルが如(ごと)万有をわが体系に統(す)べんともせし」「ある時はラムボーと共にアラビヤの熱き砂漠に果てなむ心」「ある時はゴーギャンの如逞しき野生(なま)の命に触ればやと思ふ」「ある時は西行がごと家をすて道を求めてさすらはむ心」「ある時は年老い耳も聾(し)ひにけるベートーベンを聴きて泣きける」「ある時は老子の如くこれの世の玄(くろ)のまた玄空しと見つる」「ある時はツァラツストラと山へ行き眼(まなこ)鋭き鷲と遊びき」…こんな三十一文字(もちろん「ある時は」だけでなく他の形式も。バス歌手のシャリアピンの歌声を讃える和歌などもある)や詩や漢詩が文庫本100頁近くも並んでる。飽きない。面白い。目が覚めたのでベッドから出て黒兵衛と散歩。「ある時は黒兵衛の如非人間執着(こだわり)なき魂(たま)に憧れ抱く」御粗末。仕事もそこそこに北京五輪のスノーボード・ハーフパイプ。これは昨日書いた荘子の「知魚楽」に気付かせてくれてその心を有り様を教えてくれるゲームですね。金メダルも点数もどうでもイイですけど平野歩夢選手のパフォーマンスは完璧に見事だったですね。ショーン・ホワイトはじめ「横乗りスポーツ」の選手たちはみんな明るく素晴らしくオリンピックの無意味な理念や馬鹿馬鹿しい国対抗の争いを軽く飛び越えて凌駕していましたね。晩飯の時に見た「氷上の囲碁(笑)」カーリングの日本vsカナダのゲームも面白かったですね。世の中連休。小生も仕事はちょっぴりの一日。

2月12日(土)
中島敦の三十一文字には音楽も山ほど登場することを発見。ヴァイオリニストとしてはハイフェッツ。《颯爽とさても颯爽と弾くものかな息もつかせずツィゴイネルワイゼン》他にシゲティ&ティボー&ジンバリスト…etc.ピアニストはケンプ。歌手はシャリアピン。《眉白く眼(まなこ)鋭どく鼻とがるシャリアーピンは老いしメフィスト》中島敦はヴァイオリンの楽曲が好きだったみたいですね。そう言えば以前パ・リーグの広報担当でドラフト会議でいつも司会を務めた大リーグ通のパンチョ伊東さんはハイフェッツの大ファンで来日公演を聴きに行かれたとか。「物凄く豊かな音に驚いた」と話してくださり『CDジャーナル』誌での対談ではエストニアにある墓参りをした話まで聞かせてもらった。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと来週久し振りに解禁となった講演2本のメモを作る。ようやくコロナのなかでも講演が可能になったかと思ったら雪が心配。大丈夫かな?と思いながらも準備は怠りなく。昼間カーリングでロコソラーレのデンマークに対する大逆転劇に感激。晩飯は小林陵侑の大ジャンプに喝采。ロコソラーレのROCに対する逆転劇も素晴らしかった。面白いスポーツを楽しんでるとついつい夜更かしが気にならないですね。オリンピックが素晴らしいのではなくスポーツが素晴らしいのですからね。間違えないようにしなければ。しかし判定に次々と疑問が噴出するのはオリンピックだから?「国家」がシャシャリ出るからでしょうね?

2月13日(日)
ベッドのなかで中島敦の最初期の短編『狐憑』読む。メッチャ面白かった。獣やら様々なモノに憑依された男がいろんなことを語り出す。そのうち聞く者たちがそのオモシロイ話を喜んで聞くがそのうちアレは男が勝手に喋っているのではないかという疑問が湧き出す。話はホメロスがユリシーズを語り出すずっと以前の話だというオチ。物語(小説)はこうして憑依現象から生まれた?『木乃伊(ミイラ)』:も面白かった。ミイラ取りがミイラになるという諺が小生はよくわからなかった(ピラミッドを盗掘してミイラを盗もうとして死んだところでその泥棒がミイラになるわけじゃないですからね)。しかしこの物語ではミイラと出逢った男がそれは生まれ変わる以前の自分であることを発見する。ということはそのミイラも自分のミイラを派遣したに違いない…というリインカーネーション(輪廻)の物語。物語とはこうでなくちゃと思える鮮やかな短編が冴えた文章で書かれている。小生が言うのも烏滸がましいがお見事。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと『ZAITEN』原稿書き。テーマはもちろん北京五輪。最近のオリンピックは「国対抗」の団体戦が増えましたねえ。これは「オリンピックは国家間の競争ではない」と明記された五輪憲章違反ではないの?という内容。晩飯食いながら北京冬季五輪があっても知人の息子さんが主役級を務める『鎌倉殿の…』を見ようと思ったがやっぱりジャンプを見てしまう。今年の大河ドラマは2月中旬でギヴアップかな?風呂のあとはロコソラーレを楽しく応援してベッドへ…。

2月14日(月)
ベッドのなかでの読書は最近完全に中島敦にハマる。ちくま文庫『中島敦全集全3巻』をアチコチ読んでいると「どのスポーツが好きか」というアンケートに答えた短文が出てきた。全文書き写すと《野球 中学の二年頃が一番上手でした。水泳 クロールは苦手。乗馬 習志野で少々習いました。剣道 悪剣だそうです。剣に於ける退廃派。スキー 穴をあけるだけ。蹴球(サッカー)ヘッディング(頭で球を受けること)をしようとして顔にぶつけて怪我をした程度》明治42年生まれの中島敦の昭和11年の文だから27歳のときに同人誌に書いたモノ。昭和17年に33歳で逝去している硬派の小説家だけど面白い文を残してますね。そうでないとあんなに面白い小説は書けないですね。ワン。黒兵衛の散歩は昨晩から我が家に泊まりに来て一緒に散々ビールを飲んだ長男に任せて久し振りにネクタイを締めて大船駅から東京へ。上越新幹線に乗り換えて熊谷へ。時事通信社の方が出迎えてくれてタクシーで近くのホテルへ。これまた久し振りに内外調査会の熊谷支部で講演会。コロナ対策で検温&ディスタンスのうえで「間違えてはいけない。オリンピックが素晴らしいのではない。スポーツが素晴らしいのだ!」というテーマで北京冬季五輪のジャンプ・スーツ問題やドーピング問題や東京オリンピックの問題点等々1時間半話す。講演を終えて帰宅。ROCのワリエワがドーピング陽性にもかかわらず五輪に継続出場できるというニューズに驚きながら『ニューズ・オプエド』リモートMC出演。今日のゲストはジャーナリストで元日刊スポーツの島沢優子さんと尚美学園大教授で元産経新聞の佐野慎輔さん。島沢さんのロシアのフィギュアスケートのコーチが若年スケーターを次々と金メダルを取らせている事実に疑問を呈したことやOECD諸国のなかで五輪のメダル獲得を喜ぶと答えた国民の多い国は幸福度が低いというアンケート結果は面白かった。また佐野さんの五輪(トップスポーツ)とスポーツの普及(スポーツの文化としての発展)には何の関係もないという指摘も素晴らしい。今も聞けますので『オプエド』にアクセスしてください。しかしトリメタジジンのようなミエミエのドーピング違反薬物を出したロシアのスポーツ界は今後の調査から何が出るか?騒動は続きそうですね。『オプエド』へのアクセスは→https://op-ed.jp/

BOOK
クーリエ・ジャポン編『海外メディアは見た不思議の国ニッポン』講談社現代新書
クーリエ・ジャポン編『海外メディアは見た不思議の国ニッポン』講談社現代新書
外国人の見る眼を気にする日本人は好きではないけど本書は面白い

2月15日(火)
中島敦はちょっとおやすみ。講談社から送られてきた現代新書の新刊クーリエ・ジャポン編『海外メディアは見た不思議の国ニッポン』を読み始める。日本の自殺率が高いのは何故?女性スポーツ選手にいつまでも女らしさを求めるのは何故?銀メダルで(金メダルを取れなかったことを)謝るのは何故?…等々面白いけど日本人というのは昔も今も外国の眼(どう見られているのかということ)を気にするのですね。あるアメリカ人から各国で発売されている「象の本」の話を聞いたことがある。フランスは「象の恋愛」ドイツは「象の哲学全25巻」中国「象の料理法」アメリカは「象が攻めてきた時の防衛法」そして日本は「象は日本人をどう見ているか?」まぁかつてヤン・デンマンという妙な外国人の日本評が週刊新潮に連載されたくらいですからこの本も売れるのかな?ワン。黒兵衛と散歩のあといろいろ仕事。しかしスポーツ仲裁裁判所の裁定も酷ければソコに持ち込んだIOCも酷いですねえ。トリメタジジンなんて真っ黒けのドーピング・ドラッグが出てきたというのにソノ選手を試合に出すのですからね。年齢的に若いからって…若い選手には余計に使っちゃいけないクスリのはずですよ。そりゃ発表が遅かったとか検査の不手際もあったけど真っ黒けの検査結果を無視して五輪出場を認めて勝っても表彰は先送り…なんて若い選手には余計に酷い処置ですよね。なぜIOCは即刻出場停止にしてロシアの女性コーチや(過去にドーピング実施で処分歴のある)医者の取り調べをすぐに開始しないのでしょうかねえ?これは「興行優先商業主義」以外の何ものでもないですよね。しかしロシアのフィギュア・スケートの選手は最後までよく演技をしましたね。日本の選手もよく頑張ったけどサテこの決着はどうなるのか?心臓病のあるお爺さんがトリメタジジンを飲んでいて同じコップを使ったからドーピング反応が出た…ってもう少しマシな言い訳は考えられなかったのでしょうか?バッハは何故出て来ない?責任者出てこーい!(って古いギャグですねえ。もう誰も知らないかな?)あ。パシュートの決勝での敗戦は残念でしたねえ。でも事故は仕方ないですねえ。素晴らしいスケーティングでした!

2月16日(水)
この季節は受験問題や参考書などで文章の使用許可願いの連絡が多い。参考書の場合は安くても使用料が2千円とか3千円とか振り込まれるけど大学の試験問題に使用の場合は無料。使いましたという連絡のみで連絡がない場合もある。受験料だけで何億円もの収入があるマンモス大学でも使用料はゼロってオカシイですよね。かつて一大学だけ「原稿を使わせていただきました」という連絡と「試験という性格上事前連絡が出来なかった」という断りと共に御礼の品が贈られてきたことがあった。それは虎屋の羊羹が3本。重い宅急便に驚いたのを今も憶えているが誠意はありがたく美味しくいただいた。関西大学さんありがとうございました。他の大学や高校や中学も見習ってほしいと思っていたら某出版社から「著作物転載許可願」が届いた。それが「日本留学試験(EJU)を受験する方を対象とした模擬試験本」。拙著『スポーツとは何か』からの原稿使用で謝礼は数千円だけど何だかウレシイですね。日本留学を目指す外国人の皆さん!小生の拙文を読んで勉強頑張って下さい。ワン。朝黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して大船駅へ。東京上野ラインに乗って何故か映画『翔んで埼玉』を思い出して一人ほくそ笑みながら(笑)江戸川を渡って浦和へ。一昨日の熊谷に続いて時事通信社主宰内外情勢調査会浦和支部で講演。テーマは同じスポーツの話だけど同じ話を2度行うのも芸がないのでドーピングやオリンピックの話を詳しく。石原慎太郎氏が生前1964年の東京五輪を見て優勝者のための国歌斉唱はやらないほうがイイという文章を書いたことなども話して帰宅。イロイロ仕事のあと晩飯後は酒呑みながらカーリング。7対3でリードして断然有利だったロコソラーレが7対7に追いつかれても10対7と突き放して勝ったのは見事でしたね。オリンピックはイロイロ酷いけどスポーツは素晴らしいですね。

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『薔薇の名前』
『薔薇の名前』
中世カトリック修道院を舞台にしたウンベルト・エーコ原作の見事なミステリー。主演はショーン・コネリー

2月17日(木)
ベッドのなかで『海外メディアは見た不思議の国ニッポン』(講談社現代新書)読み続ける。『第5章平成日本と天皇―「アキヒトイズム」とは何か』は興味深かった。徳に目新しい情報はないのだが平成時代の明仁天皇(現上皇)を自民党右派や右翼論客のようなのような《天皇主義者ではない》《中道左派の平和主義者》と捉えて安倍首相が《落としたバトン(社会党総理の第二次大戦のアジア諸国に対する村山談話)》を《明仁天皇が拾ってつないだ》という指摘はその通りですね。ただ《明仁天皇が体現した美徳》である《平和主義・リベラリズム・科学の尊重といったものは別に世襲の皇室制度が支えなくてもいいものだ。そうしたものは別の場所すなわち議会やメディア・学会や市民社会で盛衰が決まるといっていいだろう》という指摘は確かにその通りなんだけど議会もメディアも学会も自民党右派の手によって「衰」となってしまった現代という時代に唯一天皇陛下が「中道左派平和主義」のメッセージを表明してくださったと言うことか。そう言えば内田樹氏は自らを「(平成以降の)天皇主義者」と称する著作を出されていますよね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。ロシア・フィギュアスケートの真っ黒けのドーピングについて話す。黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事をして午後からは兵庫県立文化芸術劇場の佐渡プロデュース・オペラのスタッフやプロデューサーの小栗哲家さんとZOOMで打ち合わせ。今年7月公演のプッチーニ『ラ・ボエーム』は一昨年上演予定だったのがコロナで中止となったモノ。それが今年にとなってメディア相手の記者会見は既に一昨年済んでいたため今年の記者会見は来週金曜に小生と佐渡さんの対談でいろいろ『ボエーム』やオペラの話を記者の前で披露しようということになったもの。オペラが如何に面白いものか…『ボエーム』がいかに素晴らしいオペラかというようなことを思う存分話し合いたいですね。とりわけ今回の演出をするダンテ・フェレッティは映画『ヒューゴの不思議な発明』や『スウィーニー・トッド』や『薔薇の名前』で美術を担当。アカデミー賞を受賞した人物。装置&衣裳もイタリア人がイタリアで製作。第1幕の屋根裏部屋のシーンは貧乏暮らしをする若者たちが船の上で暮らすところから始まるという。何やらメッチャ面白い舞台になりそうです。

2月17日(木)つづき
晩飯のあと北京冬季五輪。高木美帆選手の1000mの滑走は見事に美しかったですね。複合男子団体の日本チームの踏ん張りも見事。最後にドイツの選手に食らいついて3位でゴールした山本選手は本当に素晴らしかった!!そしてカーリングのロコソラーレは準決勝進出決定!!悔し涙が喜びの涙に!!……さして1日の最後は女子フィギュアスケート。ワリエワが可哀想すぎました。15才の少女に対してこれほど酷い仕打ちはないでしょうね。禁止薬物が発見されたのに出場させようと企んだ大人たちは全員今後一切のスポーツに対する参加資格を剥奪すべきですね。女性コーチと医者はすぐに法的に取り調べを始めるべきですね。罪状は未成年者への薬物使用虐待行為。そうしないとロシアの組織(国家?)がらみのドーピングはなくならないでしょうね。女性コーチは失敗を繰り返したワリエワに何故やる気がなくなったかと詰問したって本当?酷すぎますよね。2位に入った選手が女性コーチとのハグを拒否したとか…貴方は全部知っているといったとか…。これほど酷いシーンが世界中に映し出された最大の責任はオリンピックの最高責任者であるバッハIOC会長にもありますよね。

2月18日(金)
『海外メディアは見た不思議の国ニッポン』(講談社現代文庫)は意外と面白いと言うか勉強になります。日本に本格的なポピュリズムの政治家が存在しないとか日本の自殺率が高いのを精神面のケアを軽視して精神病を忌避する体質に結び付けたり…。考えさせられます。タイトルが《海外メディア「が」見た》となっていて《海外メディア「は」見た》ではないところがミソですね。ワン。黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事して夕方から東海道線で品川へ。新幹線に乗り換えて新大阪経由タクシーで某ホテルへ。明朝の朝日放送『正義のミカタ』出演のため大阪泊。晩飯は「厚切り豚カツ弁当」でビール飲んで寝よと思たらカーリング準決勝が始まってロコソラーレが次々と素晴らしいショットを展開!素晴らしかった!予選リーグで敗れたスイス相手に完勝!スポーツは楽しくて面白いですねぇ。ロコソラーレは北海道北見常呂町に美しく咲いた名花ですね。インターローカリズムは美しいですねぇ。次はイギリス戦!優勝などと関係なくガンバレ!

2月19日(土)
朝大阪のホテルで目覚めて歩いて朝日放送へ。『正義のミカタ』スタジオ出演。北京冬季五輪でのロコソラーレの素晴らしいプレイを讃えたあとスポーツは面白くてもオリンピックはサイテーという話をする。中国贔屓の判定やロシアのドーピングなどなど…結局はIOCが五輪憲章に違反する「国家間の競争を煽るような国別団体戦」の種目を増やしていることが元凶だという話と共に「団体競技」と「チームプレイ」の違いを話す。スケートのパシュートはチームプレイですけどフィギュアスケートの国別団体戦は団体競技。IOCが推進している団体競技は下品なナショナリズムを煽るだけの五輪に不要な種目ですね。他にロシアの専門家の筑波大の中村逸郎さんとロシア軍事専門家の小泉悠氏がロシアのウクライナ侵攻についてプーチンは最近相当頑固になり親欧米穏健派のラブロフ外相と不仲になっているという話やロシアはベラルーシ側からベラルーシ軍と共にウクライナへ侵攻するという話は興味深かった。また尖閣諸島周辺の海洋調査を実施した東海大学の山田吉彦氏と中国専門家の近藤大介氏による尖閣諸島のゴミ処理で上陸せよ!という話も面白かった。いつもの司会者である東野幸治さんがコロナのため関ジャニの中間淳太氏が見事に代役をこなして藤井聡さんや高橋洋一さんともイロイロ話をして有意義に勉強させていただき番組終了。新幹線で昼飯食べながら帰宅。夜はスイスVSスウェーデンのカーリングをたのしみながら晩飯&酒&風呂&ネル。

2月20日(日)
『不思議の国ニッポン』読み続ける。面白い。《日本の老舗の生存戦術―創業1000年京都の餅屋に学ぶ》《ヤクザ稼業から足を洗った男たち―極道「大量離脱」の理由》《科学分野の女性比率はなぜ低い?》《会社員を縛る「義理チョコ」という集団心理とは》…会社員ではない小生は笑いながら読む部分もあるけどテーマがどれも我々日本人の自虐趣味をくすぐるようなモノでなくどれも外国メディアがキチンと取材していて日本人にとっても勉強になりますね。ワン。黒兵衛と散歩のあとロコソラーレvsイギリス。イギリスが次々と良いショットを放つのにロコソラーレのメンバーはイマイチ調子が出なかったのは残念。見ている我々よりやってる選手のほうが悔しかっただろうけど決勝進出の2位は立派ですね。午後は今週から来週にかけて原稿の締め切りが続くのでその整理や下書きやら…で晩飯食べながら『ダーウィンが来た』で動物いっぱいのイングリッシュ・ガーデンを楽しんだあと『鎌倉殿の13人』。結構面白く感じたのは竹宮恵子の『マンガ日本の古典 吾妻鏡』(中公文庫)を最近読んでいたからかな?しかし頼朝政子の二人のキャラは違うように思えますが…急いで風呂に入ったあと北京冬季五輪閉会式。スポーツに興じた若者たちもビッグイベントを仕掛けたバッハIOC会長も五輪を思い切り政治利用した習近平中国国家主席もみんなウイグルや香港やチベットや内モンゴルの人権問題やロシアとウクライナの戦争寸前の危機とは無縁でスポーツは面白くてもオリンピックが世界平和に寄与するとはまったく思えないですね。五輪の未来はどうなるのかな?明日月曜の『オプエド』では『亡国の東京オリンピック』(文藝春秋)の著者の後藤逸郎さんと神戸親和女子大教授の平尾剛さんと共に五輪の未来を話し合います。

2月21日(月)
『不思議の国ニッポン』読了。なるほど女性蔑視の最も過激な形で残っているのは皇室かもしれませんね。《名門進学校「開成学園」運動会―「棒倒し」を続ける理由》という小生にとって興味深いテーマもあったが「棒倒し」の歴史に触れた記述で海軍兵学校依頼の関係しか書かれていなかったのは残念。明治の自由民権運動の壮士達が集会等を禁じられるなかで「壮士運動会」を開き「圧政棒倒し」「自由の旗奪い合い」という競技を始めたことも書いてほしかったなあ(大修館書店『最新スポーツ大事典』「運動会」の項目より)。小生の出身高校でもかつて「棒倒し」は行われていて小生は高3のときに絶対に負けない「棒倒しの守備法」を考え出したけど雨天中止にで実行できなかったのは残念でした。それはまず棒の中心部を肩車した6人(上下3人ずつ)で棒を握り締めて守る。そしてその外側を肩車した12人(上下6人ずつ)で外向きの守り上になった人は足で敵を蹴れるようにする。さらにその周囲を棒を固めるのではなく遠巻きに円陣を組みその内側に遊撃隊として喧嘩に強い奴らを数人配置して円陣を突破してきた敵をやっつける。棒に近寄れた敵がいても二階建ての足蹴り防御は強いはず。如何かな?高?の時にこんなことを一生懸命考えてました。ワン。黒兵衛と散歩のあと『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは昨日の本欄に書いたとおり平尾剛さんと後藤逸郎さん。カーリングやらノルディック複合などスポーツの面白さを存分に味わえた競技もあったがドーピングにホームタウン・ディシジョンや人権問題等オリンピックの問題続出。IOCバッハ会長が閉会式でオリンピックではすべての人が平等とウイグルも香港も忘れる習近平へのゴマすり脳天気発言はいいのかな?日本人の我々は札幌冬季五輪招致の前に東京大会の総括と反省をまずキチンと行うこと&選手達が五輪の素晴らしさも問題点も何でもいいから競技以外のことでも声を出す(意見を言う)ことを今日の番組の結論にしました。アクセスしてみてください。https://op-ed.jp/

BOOK
『織田作之助(ちくま日本文学35)』ちくま文庫
『織田作之助(ちくま日本文学35)』ちくま文庫
『夫婦善哉』以外にもオモシロ作品イッパイありまっせ。将棋の坂田三吉から語る文学論も面白い

2月22日(火)
織田作之助でも読むか…と昨晩ちくま文庫をベッドに持ち込むと『猿飛佐助』があったので読み出す。面白くて止まらない。痘痕顔の佐助が選任から忍術や飛翔術を学び桃山伏見城の大屋根の上で石川五右衛門と出逢ったり…。かつての大日本雄弁会講談社の講談本のタッチ。親父が昔沢山読んだと言ってたなぁ。ワン。黒兵衛と散歩のあと北國新聞連載『スポーツを考える』執筆。北京冬季五輪で種目が増えた話。とくの「団体戦」が増えたこと。団体戦はチームプレイとは違いますからね。団体戦はチームの選手が同じことを繰り返して結果を足し算して勝敗を決める。チームプレイは選手が同時に異なることを行ってチームとしての力を発揮する。日本の学校の体育教育ではそこのところをごっちゃにしていることが多いですよね。プロ野球のキャンプで全員揃ってイイッチニイイッチニイ…と声かけて走るのは団体行動でチームプレイじゃないですよね。そこのところの説明にチョイと苦労。もう1本原稿書きの予定が晩飯&酒の時間になってしまう。1日に2本の原稿はシンドイ年齢になってしまったのか…怠け癖がついたのか…。1970年代のNHKスペシャルで二・二六事件の反乱軍の電話通信を盗聴して録音したドキュメンタリーを見ながら晩飯。70年代にはまだ二・二六事件のt当事者やその親族や関係者が多数生きておられたのですね。北一輝の声とされるモノが偽だったとわかったのは残念でした。案内役の三國一郎氏が若かったなぁ。

2月23日(水)
織田作之助『猿飛佐助』読了。講談本を読む調子で楽しむ。多田道太郎氏の解説によるとオダサクの小説は『猿飛佐助』が講談本(立川文庫)パロディなら『夫婦善哉』の夫婦の「浮気男・柳吉&日陰者の女・蝶子」も浄瑠璃の『艶容女舞衣(あですがたおんなまいぎぬ)』の「三勝半七」のパロディだという。戦時中にパロディで世相を笑い飛ばしたオダサクはやっぱりタダモノではなかったですね。大阪難波の「自由軒」の卵入り「混ぜカレー」が食べたくなった(オダサクもよく通ったらしく夫婦善哉に出てきますからね)。オダサクとは無関係ですが多田道太郎氏が梅棹忠夫氏と梅原猛氏と3人で出版した野球論は面白かったですね。40年前くらいに何度も読み返しました。タイトル忘れた。本も誰かに貸したままなくなった。残念。ワン。黒兵衛と散歩のあと通信社の連載コラム&笹川スポーツ財団のネットページのコラムを執筆。夕食前までかかって2本の原稿を仕上げる。ふうう。ロシアがウクライナへロシア系住民を救うため「平和部隊」を進めるとか。かつてナチス・ドイツはドイツ系住民を助けると言ってチェコスロヴァキアに侵攻しましたね。歴史は常に繰り返すのか?!そう言えばロシアのドーピングも別人のコップから薬物が混入したというのも過去に例がありましたね。言い訳(の歴史)は繰り返すと言うべきか。嗚呼。

2月24日(木)
戦争が始まってしまいましたね。まだ国連で全世界各国一致で決議された「オリンピック停戦」の期間中(北京冬季パラリンピック終了まで)であることを誰も指摘しないですね。オリンピックの平和運動ってそんなものなんですね。嗚呼

2月24日(木)つづき
朝起きてRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。北京冬季五輪で「国別対抗戦」ばかりが3種目も増えたことを指摘。これって「オリンピックは国家間の競争ではない」と規定してある五輪憲章に違反する行為をIOCが率先して行っていることですよね。IOCはプーチンを非難できない。いやバッハIOC会長はプーチンと昵懇ですよね。習近平とも…と嘆くのは小生がアメリカの核の傘の下で暮らしているからでしょうか?黒兵衛と散歩のあと明日のPAC(兵庫県立技術文化劇場)での仕事の準備。芸術監督の佐渡裕さんと今夏のオペラ公演『ラ・ボエーム』について記者会見として対談をするのだ。いろいろ校正のためのメモを書いて頭に入れるが途中で放棄。詳しく段取りを作ってもどーせ佐渡さんと話し出したらアッチ跳びコッチ跳びするのは当然ですからね。適当に基本データを頭に入れておくだけで終了。しかし演出をするイタリア人のダンテ・フェレッティという人物は相当の人ですね。ハワード・ヒューズを描いた映画『アビエータ―』(デカプリオ&ケイト・ブランシェット主演)や『ヒューゴの不思議な発明』(ともに)スコセッシ監督)や『スウィニー・トッド』(ティム・バートン)監督でアカデミー美術賞に選ばれ小生の大好きなウンベルト・エーコ原作の『薔薇の名前』(ショーン・コネリー主演)の美術もやってるのですからね。イタリア映画オペラ界のヴィスコンティ→ゼッフィレッリ→フェレッティの流れは際立ってますね。夜はロシアのウクライナ戦争開始のニュースを見て明日が早いので早く寝る。

BOOK
内藤正典『なぜイスラームと衝突し続けるのか―文明間の講和に向けて』明石書店
内藤正典『なぜイスラームと衝突し続けるのか―文明間の講和に向けて』明石書店
イスラームは元来平和的で千夜一夜の国は元来豊か出た惜しいはずですよね
『ちくま』筑摩書房
『ちくま』筑摩書房
斎藤美奈子、金井美恵子、吉見俊哉、蓮實重彦各氏の連載が110円で読めるPR誌です

2月25日(金)
筑摩書房のPR誌『ちくま』は毎月読んでいるが2月号の斎藤美奈子さんの「世の中ラボ142なぜタリバンが勝利したのか考えてみる」も興味深かった。中田考『タリバン復権の真実』(ベスト新書)内藤正典『なぜイスラームと衝突し続けるのか―文明間の講和に向けて』(明石書店)佐藤和孝『タリバンの眼―戦場で考えた』(PHP新書)の3冊を取りあげ《19世紀には大英帝国を20世紀にはソ連をそして今度はアメリカを追放したアフガニスタン。たいしたもんだよ》と書く。アフガニスタンとの戦いに敗れた欧米諸国がその後成立したタリバン政権に向かってあれをしろこれをしろ命じるのは筋が通りません》確かにそうだけど結局は戦争には勝たねばならぬということか。とにかくウクライナ頑張れと言うほかない。早く起きていつもより1時間早く黒兵衛と散歩。そう言えばソ連時代のロシアに旅行したときレニングラード(現サンクトペテルブルク)の蚤の市で1週間滞在を延ばせば高さ1メートルのマトリューシュカ(内部が入れ子になっている人形)でイワン雷帝からエリツィンまで続く人形の入ったモノが手に入ると言われた。滞在を延ばすわけには行かなかったので買うことは出来なかったがロシアの人々にとってはモスクワロシア公国以来ボリス・ゴドゥノフもピョートル大帝もエカテリーナもニコライ2世も共産党のレーニン&スターリンからゴルバチョフ&エリツィンまですべて「支配者」として存在したと言うことか?巨大マトリョーシュカの代わりに買ったレーニン&スターリン&コスイギン&ゴルバチョフ&エリツィンの人形の入ったマトリョーシュカは今も本棚に飾っている。今ロシアに行けばプーチンの人形もイワン雷帝の末裔&ロマノフ朝の皇帝としてマトリョーシュカとして売られているのかな?

2月25日(金)つづき
黒兵衛と散歩のあと急いで準備して大船駅へ。東海道線で品川経由新幹線で新大阪へ。再び東海道線で西宮へ。タクシーに乗ってPAC(兵庫県立芸術劇場)へ。芸術監督の佐渡裕氏とトークしながらの記者会見で今夏のオペラ公演『ラ・ボエーム』の宣伝広報に一役。その前に支配人の林信光さんやプロデューサーの小栗哲家さんに持参の『美空ひばり映画主題歌集』というCDを見せて『お針子ミミーの日曜日』なんて『ボエーム』をアイデアにした曲がある(木下忠司・作詞/黛敏郎・作曲)と話したら林さんが「木下忠司は映画監督の木下恵介の弟でお兄さんの映画の音楽を沢山手掛けた人物」と教えてくださった。あとで調べてみると『カルメン故郷に帰る』や『喜びも哀しいも幾年月』(?おいら岬の灯台守は…の歌詞で有名な歌)から『木枯らし紋次郎』までの音楽を手がけている。スゴい!それはともかく佐渡さんと二人で30分くらいのトークと1時間くらい40人くらいの記者の質問&フォトセッションをこなして終了。小生が『ラ・ボエーム』に素晴らしい日本語タイトルがついていたら『椿姫』『蝶々夫人』よりも人気のあるオペラになったはず…と言うと佐渡さんに「どんな日本語タイトルがエエのん?」と突っ込まれて答えられず「青春の…」「若者たちの…」「愛の…」「パリの…」と詰まり…佐渡さんも「長(なご)なるなあ」と一緒に苦笑。楽しく記者会見を終える。毎日放送の『ちちんぷいぷい』の後番組『4ちゃん』のディレクターから『ボエーム』にはポーランドやジョージア出身の歌手も参加しているけどウクライナが戦争状態のなかでの公演をどう考えるか?と質問されりもしたのでどんなときにも文化はやることが大事。ショスタコーヴィチも第二次大戦中の戦火の中で交響曲第7番レニングラードを作曲演奏しましたからねと答えたけど反スターリンだったショスタコーヴィチが現在も生きてたらウクライナのために曲を作ったでしょうね。チョイと疲れて新幹線でビール飲んで爆睡帰鎌。『チコちゃん』に間に合って晩飯食べながら楽しんだあと風呂&酒&ウクライナのニューズ。完全な戦争状態でこうなるとツァーリ(皇帝)プーチンを引きずり下ろすにはロシア国内の反戦運動に期待するほかないのかな?

CD
ムソルグスキー:オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』
ムソルグスキー:オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』
アバド指揮ベルリン・フィルの綺麗な演奏はロシアの土臭い香が消えてますね

2月26日(土)
『ちくま』2月号の吉見俊哉氏の連載『敗者としての東京―巨大都市の「隠れた地層」を読む9女工たちは語ることができるかU』が面白かった。繊維工業で親元を離れて大勢働いていた「若い女工たち」の風紀の乱れから労働運動に発展し経営者側も福利厚生に力を入れて多くの工場にバレーボール部が誕生。《同じ工場に勤める多くの女子従業員たちが自分たちのチームを熱狂的に応援し代表的な工場のチームはどんどん強くなっていきます。このプロセスは戦後も続きついに1964年東京オリンピックで大日本紡績貝塚工場の代表チームが「東洋の魔女」の呼び名通り金メダルを獲得して世界制覇するのです。つまり「東洋の魔女」は偶然の産物ではなく1930年代くらいからの紡績工場の女工と中産階級の子女との文化的階級闘争の帰結でした》(そう言えば新雅史『「東洋の魔女」論』(イースト新書)に大学の女子バレーボール部が繊維工場のバレーボール部と試合するときは「女工なんかに負けるな」と励まし合ったとの記述がありました)《雇用主にとってバレーボールが女工たちが労働組合運動へのめり込まないように管理する有用な文化装置でもあったことの帰結でもありました。1964年に多くの日本人を熱狂させた「東洋の魔女」は日本の紡績女工たちの最終的に辿り着いた到達点であったと言えるでしょう》ナルホド。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとフォーラムエイトの機関誌『Up & Comming』の連載原稿の構成を考えたりウクライナ情勢とプーチンの野望を考え直すためにプーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』(岩波文庫)をパラパラ読み直したり…。BGMはやっぱりムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』だけどクラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルの演奏はあまりロシアのドロドロした香りがしませんね。やっぱり『ボリス』はネステレンコが主演したボリショイ・オペラのDVDが最高ですね。コレを見ると前の皇帝の息子を殺して帝位に就いたロシアの独裁者の悩みや凄まじい権力争いのロシアの奥深い病床が理解できるけどボリスのほうがプーチンよりもよっぽど人間的かな…?いや…それは文学者(プーシキン)の視線かな…。プーチンは俺と同い年だけど左半身(左手と左足)の動きがちょっとオカシイですね。それがツァーリ(皇帝)の頑固な精神にも影響してるかな?

2月26日(土)つづき
あ。ロシアの大指揮者のワレリー・ゲルギエフがプーチンと極めて懇意な関係のプーチン支持者であることでニューヨーク・カーネギーホールでのウィーン・フィルの指揮を楽団員から拒否されたとか。ミラノ・スカラ座でのチャイコフスキー『スペードの女王』の指揮も降ろされたとか。ゲルギエフにはサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場を訪れた時(ワーグナーの『ニーベルンクの指環』を見に行った時)に面会させてもらったけど…確かにプーチンとは気が合いそうな鼻息の荒さは感じましたね。

BOOK
プーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』岩波文庫
プーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』岩波文庫
皇太子を殺害して帝位に就いたボリスを死んだはずの皇太子を名乗る男がポーランド&リトアニアと組んで倒します。ロシア暗黒史を知ることのできる名作

2月27日(日)
ベッドのなかでプーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』読む。岩波文庫120ページほどの薄さ。1957年初版の古い翻訳だけど面白く感じるのはムソルグスキーのオペラであらかじめ筋書を知っているからでしょうね。しかしイワン雷帝からプーチンまで続くロシア(ルーシ)ツァーリ(皇帝)1000年の歴史として捉えないと…あるいはキエフ大公国(キエフ・ルーシ)以来1200年の歴史を考えないとプーチンのウクライナ軍事侵攻は正確に理解できないかもしれませんね。ただロシア民衆の抑圧された歴史と支配者(ツァーリ)の権力争いの酷さはオペラや小説の『ボリス・ゴドゥノフ』で理解できます。ワン。黒兵衛と散歩のあとフォーラムエイト『Up & Comming』の連載原稿書き。昼も夜もウクライナのニュースが気になってほとんどのTVニュースや特番を見たけど夜のフジテレビ『Mr.サンデー』のウクライナ報道が秀逸でしたね。ロシアは戦術小型核を使うのでしょうか?明日月曜の『ニューズ・オプエド』は歴史家の井沢元彦さんとスポーツライターの小林信也さんをゲストに迎えて「政治・戦争とスポーツ」について話し合います。

BOOK
吉見俊哉『検証コロナと五輪:変われぬ日本の失敗連鎖』河田新書
吉見俊哉『検証コロナと五輪:変われぬ日本の失敗連鎖』河田新書
そうですね。東京五輪なんてあったの?と思う人が多い存在感希薄な大会でしたねぇ

2月28日(月)
昨日筑摩書房から『ちくま』3月号が送られてきたので昨晩ベッドに持ち込んで開くと斎藤美奈子さんが連載〈世の中ラボ143〉で『東京五輪という敗戦』という書評のなかで本間龍さんの『東京五輪の大罪』(ちくま新書)をとりあげ《「ちくま」1月号の載った玉木正之氏によるこの本の書評がおもしろかった》とお誉めの言葉をいただいた。その書評は「蔵出しコラム・ノンジャンル編」で読めますので是非とも皆さん御一読を。斎藤さんは他に吉見俊哉『検証コロナと五輪―変われぬ日本の失敗連鎖』(河出新書)とジュールズ・ボイコフ『オリンピックに反対する側の論理―東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動』(作品社)を取りあげられている。どっちも五輪を考えるうえでの必読本と言えるが「オリンピックは素晴らしい!」と主張する素晴らしい本が存在しないのがオリンピックの限界を表しているのかも…ワン。黒兵衛と散歩のあと土日で書いた笹川スポーツ財団とフォーラムエイトの原稿を読み直して送稿。午後からは今日の『ニューズ・オプエド』の打ち合わせと準備。午後6時からの本番はメインのテーマが「戦争とスポーツ」。ゲストは作家の井沢元彦さんと小林信也さん。北京五輪ボイコットを主張していた井沢さんだがテレビ放送は結構楽しまれたとか。「オリンピックは麻薬ですね」なるほど。麻薬は絶対に烈しい後遺症に襲われるはずですから注意しましょう。小林さんは五輪をIOCから引き離せと主張。小生も大賛成ですが次は具体的方法論を話し合いたいですね。ロシアのウクライナ軍事侵攻に対してはIOCも強いロシア排除の姿勢を見せたけどバッハ&プーチンの蜜月関係はどうなる?…イロイロ有意義な話をしたので見てみてください。https://op-ed.jp/

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