7月1日(日)
やらんとあかんことは山ほどあるけど気分が…。というときはテレビを見てしまう。『新婚さんいらっしゃい』のあとフジテレビの神奈川県立神田高校野球部のドキュメンタリーを見てしまう。高校の課外活動としての野球部は(もちろん他のスポーツ部も)エエなあ。早よう「有名校プロ」と切り離すべきやな。部屋の掃除をしたあと晩飯映画劇場はテレ朝の『明日の記憶』。映画としての完成度や台本としては不満だらけやったけど大滝秀治がすべてをまとめてくれた。渡辺謙は役者として絶好調。とはいえそれ以上に我が身を考えさせられましたな。そのあと教育TVで島田正吾の名舞台を緒方拳の解説で楽しむ。70歳代後半の『一本刀土俵入り』の駒形茂平も80歳代後半の後白河法皇での歌右衛門との共演も90歳代の『荒川の佐吉』での勘三郎と共演もすべてお見事!というか感服。若年アルツハイマーの映画のあとに90過ぎまで舞台に立った怪人物にチャンネルを合わせた俺のアンテナは鈍ってへんで(笑)。
7月2日(月)
原稿1本書いて晩飯映画劇場は宣伝につられて買うてしもたDVD『武士の一分』。昨晩は若年アルツハイマーのサラリーマンの映画。そして今晩は毒味役で毒にあたって盲目になったサラリーマン武士。二晩続けて同種のテーマ。それだけに武士の世界が現代性に欠ける印象。これは時代の問題ではなく脚本(原作?)の問題やな。キムタクの敵役の描写がいかにも平板。「武士の一分」という言葉(台詞)が何度も繰り返されたことにも少々うんざり。長時間TVドラマの域を出なかった『明日の記憶』よりも映画作品(映像の美しさやカメラワーク)としてはコッチのほうがずっと上やけどテーマの掘り下げも人間の描写も浅い。けどマァこのくらいのほうが娯楽映画としては人気が出るのんやろな。
7月3日(火)
原稿1本。嫁さんと長女が買い物を終えてメシを食うというので「213」へ。フリーターもどきでいつまでもふらふらしてる長女に説教してやろうと意気込んで行ったものの結構しっかりしてるので一緒に楽しく飲んで食っておしまい。丸め込まれたんかいなぁ。まぁエエわ。
7月4日(水)
原稿書きに追われて都庁記者クラブでの「電動車椅子W杯」の記者会見は欠席。岡ちゃんが出席するので万事うまくいくはず…と思ってたら予想通り大反響やったとか。よかったよかった。
7月4日(木)
昨日の記者会見の様子が日経・読売・日刊スポーツ・サンケイスポーツ等のネットで報道されてることを確認して京都へ。全車両禁煙N700系に初めて乗る。喫煙室は3人(詰めれば4人)で満員。行列ができてる。けどマァこんなもんでエエ。煙草がますます美味しく感じられる。六道珍皇寺でお盆先取りのお経をあげてもらう。工事の音が大きいと思たら我々のお墓のすぐ隣に7階建てのマンションが建つとか。条例改正前の駆け込み建設らしい。まいったなぁ。これからは墓参りする目の前にベランダがそそり立って布団干しを見ながらお参りか…
7月4日(木)つづき
祇園の酒肆『G』でMBSの西アナウンサーとディレクターのN君と待ち合わせ。博物館のような古いバーで『電動車椅子サッカーW杯』の資料を渡して一杯食前酒をひっかけたあとグリル『金星』へ。鱧も近江牛も相変わらず旨かった。『G』へ戻って飲んでたら『鳥居本』の大将(女優の田畑智子さんのお父さん)が(いつものように)出現。「ちちんぷいぷいにまた呼んでやってや」と娘の宣伝。エエお父さんや。西クンにもNクンにもdeepなGIONの夜を満喫してもらえたようで小生も満足。
7月6日(金)
朝4時45分起床。6時40分に建仁寺へ行って暁天座禅会のあとの緑陰講座で講演。昨晩の酒も残らず気持ちよく話ができた(と思う)。しかし話し終えてから眠気に襲われる。そのあと祇園商店会の会長さん(『いづ重』の大将)らと祇園祭宵々山イベントの打合せをしてから大阪へ。MBS『せやねん』のスタッフと昼食をとりながらアメリカ野球取材のアドバイス。俺も連れてってほしいなぁ。そのあと『ちちんぷいぷい』4時間生出演。さすがに疲れたけど中味がオモロカッタので睡魔には襲われず。神戸製鋼ラグビー部のエースいや日本代表のエース大畑さんと初対面。おれがスティーラーズを取材してたのは大畑さんの活躍する前か…。俺も平尾も歳とったで。しかし最高にオモロカッタのは『第1回世帯陸上選手権』!『世界陸上』にひっかけたイベントで旦那が嫁はんを抱えて(逆も可)競走するらしい。フィンランドで行われてるレースのパクリらしいけどネーミングが最高。名前のオモロサだけで盛りあがる。番組を終えて名古屋へ。さすがにホテルに着くなりバタングウウウー。
7月7日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。裁判員制度の難しさを話して岡島がMLBオールスター戦に選ばれたことを喜んで7連覇を逃した日本人のホットドッグ早食い競争がちょいとスポーツとはいえない理由を話して…。しかし世の中参院選。与野党逆転とかいろいろ言われてるけど今回の参院選で選ばれる議員の任期は6年。ということは憲法「改正」の発議に関わる人を選ぶことになる。こっちのほうが重大やで。番組のあと大谷昭宏さんの62歳の誕生日とかでケーキをご相伴。最近の60歳代は若いという話で盛りあがる。よし。オレは頑固爺になってやる。新幹線読書は林俊雄『興亡の世界史02スキタイと匈奴遊牧の文明』(講談社)。このシリーズは相変わらずオモロイ。
7月7日(土)
名古屋から新横浜へ帰って長男の音大の音楽祭へ。腕はプロ級か知らんけど成長しとらへんな。まぁこんなもんかな。「仲が良すぎるのはイカンのとちゃうか」と長男に言うと「いえてるな」との返事。わかっとるのんやろけど最近の若いモンはみんな優しいなぁ。いらついとらへんなぁ。オレがオレが…という奴もおらんみたいやなぁ。人間ができとるんかなぁ。まぁそれでエエのんかもしれんなぁ。暑いなか関西名古屋のドサ周りの荷物を運びながらの移動で汗だく。そんなときは「213」へ寄って生ビール!グビグビグビプッハアアア〜!旨い!家に帰って久しぶりに佐吉と夜の散歩をしたあとバタングウウ〜。
7月8日(日)
よし今日は原稿を書くぞ。と思った次の瞬間。今日は日曜日やないか。と気づいたらやる気が失せるというのはフリーランサーも社会人の一員である証拠でありましょうか。そんなところへお隣のフランス人さんが帰国してるとの報。いつもワインやシャンパンやチーズをいただいているお返しをしなければ…と原稿をサッサと1本仕上げて「もり山」へ。英語とフランス語と日本語のチャンポンで頭の中はぐじゃぐじゃ。鮨に舌鼓を打ったあと是非とも見てほしいビデオがあるので自宅へ招く。小生が東フィルを指揮したビデオを見せたあとにミュージカル『プロデューサーズ』。ナチスとヒットラーを茶化したユダヤ系アメリカ人の映画を良識派のフランス人はどう見るか知りたかった。「数多くの人々を虐殺した人間をこんなふうな笑いのなかでは語れない。ヨーロッパでは人気は出ないでしょう。50年くらい経ったらサルコジをこんなふうに描く映画が生まれるかもしれないけれど…」なるほど。世界にはいろんな考え方があるのだ。ちなみに先のフランスの大統領選は「ワル」と「アホ」の闘いでうんざりしたとか…。
7月8日(日)つづき
お隣のフランス人さんが返ったあと久しぶりにイギリスF1を見る。そういや先週のフランスも見たな。佐藤琢磨とチーム・アグリの調子が良かったときは見んかった。残念。そのあとU-20のナイジェリア戦の前半だけ見て就寝。彼ら「調子ノリ世代」のパフォーマンスで「弓を射る動作」があったけどアレはやっぱりアフリカのマサイ族のような仕種でなく『勧進帳』の弁慶の那須与一を模した舞の所作でやってほしかった。ほかにも「石投げの見得」とか「元禄見得」とかあるのも勉強してください。日本人なんやから。
7月9日(月)
昨日ナイジェリアと引き分けてグループリーグ1位通過した「お調子軍団」が相撲の指呼のパフォーマンスを披露したとか。よっしゃよっしゃ。昨日の白鵬の不知火型の土俵入りもよかった。「日本一!」のかけ声もよかった。
7月9日(月)つづき
日本−カタール1対1で引き分け。送りバントばっかりでタイムリーの出ない試合。まぁサッカーちゅうもんは1−0で勝ちゃあええもんで日本の1点は見事やったけど最後は凡ミスで引き分け。しかしそれ以上にひどいのはアナウンサーと解説者とインタヴュアー。暑さも湿度も風も芝の長さもすべて日本にだけ不利かのような言い方。なんでそこまでマゾヒスティックでペシミスティックにならんとあかんのやねん。国の“威信”と“誇り“を賭けた“闘い”やと(テレ朝が)いうのであればもっと堂々と“威信”と“誇り”に充ちた中継をせんかい!しかも戦術面の解説はゼロ。こんな中継ばっかり見せられてたら日本人のサッカーの見方はいつまで経っても成長せえへんで。おまけに極めつけはオシム監督へのインタヴュー。いやインタヴューなんてもんやない。何も訊かへんのやから。インタヴュアーは質問をせんかい!自分の目で見た疑問をぶつけんかい!状況説明をすれば相手が勝手に話すとか相手に勝手に話させるようなやり方はやめにせい!それは(日テレのベテランアナが巨人戦で20年以上前に始めたやり方やけど)自分の勉強不足と思考停止の言い訳にすぎんだけ。質問する考えを放棄して逃げてるだけ。あ〜あ。けどまぁアジアカップの先は長い。オシム監督がいうてたように日本のサッカーは強い。あとはペシミスティックでマゾヒスティックな根性を払拭して相手を見下ろす気概を持つことやな。その足を引っ張ってるのはメディアかもしれんな。
7月10日(火)
雑用だらけで原稿書けへん。まぁいつものこっちゃ。久しぶりの晩飯映画劇場は500円で買うたジョン・フォード監督『真珠湾攻撃』。アメリカ陸海軍の宣伝映画で笑うたり不愉快になるところも多かったけどさすがはジョン・フォード。最後の台詞「銃で支配しようとするものは銃で滅びる」はアメリカ人に聞かしたりたいな。
7月11日(水)
MLBオールスター戦。ジェット戦闘機は必要ないけど盛り上げは巧いな。開会式を見てから仕事。原稿1本仕上げて再び見たらイチローの史上初のinside the park homerun。エエ勘してるで。9回裏のスリリングな展開も面白かった。日本人選手の素晴らしいのは改めてわかった。あとは日本の野球界の糞爺たちの責任やな。MLBみたいな素晴らしいイベントをやれへん(やる気がない)のなら早よう引退してほしい。若い人にまかせなさい。
7月11日(水)つづき
夜六本木で三枝成彰さんや日比野克彦さんらと『忠臣蔵外伝・討ち入り心中』の打合せ。いろいろ難題山積やけどガンバルほかありまへんな。ほかにオペラ談義が面白かった。そうか。現代音楽作曲家はわかりやすいメロディで音楽をつくることに(三枝氏を除いて)抵抗感があるのんや。バーンスタインはミュージカルというジャンルで成功し武満も最後はミュージカルを書きたいなんていうたんや。タン・ドゥンもメトのプロデュースに引っ張られてワカリヤスイ『始皇帝』を書いたんやろけど発展しすぎる(前衛になりすぎる)というのも難しいモンやな。三枝氏にいわせるとワーグナーとプッチーニはヌカ六やり続けの音楽でR・シュトラウスは知性派寸止めの連続。なるほど。しかしシュトラウスは延々と続く女性のオルガズムともいえるかも。1時過ぎまで痛飲。タクシー代自前。予算ないしなぁ。オペラはカネかかるな(苦笑)。
7月12日(木)
そうかU-20はチェコに残念な負け方をしてしもたな。けど将来へ向けてはこれでエエのかもしれん。原稿に疲れたあとの晩飯映画劇場はマルクス・ブラザースの『A Day at the Races(マルクス一番乗り)』。やっぱりマルクス兄弟はメチャメチャ面白い。グルーチョのマシンガントークもチコのピストルショット・ピアノもハーポのハープ演奏もお見事!最高のスラップスティック・コメディ。全部無直しとなった。
7月13日(金)
なかなか仕事がはかどらへんなぁ。晩飯オペラ劇場で飯を食いながら『コジ・ファントゥッテ』(昨年ザルツブルク音楽祭公演)を徹底分析。なるほど照明の美しさで観客を魅了できるんや。
7月13日(金)つづき
アジア杯日本3−1UAE。高原の2点目は見事。あの足の振り抜きの速さは釜本のメキシコ五輪でのゴールを思い出させた。日本にも頼れるフォワードがやっと生まれたかな?オシムは作戦を変えて成功。インタヴュアーは作戦を変えずに失敗。オシムもちょっと意地が悪いけどモウちょっとは質問を考えたら?とはいえ10人の相手にナンデあんなにあわてて点をとられるねん。中継アナと解説者のあわてた口調は視聴率アップのためやろけど合わす必要はないで。
7月14日(土)
京都の祇園町商店会の関係者から電話。明日に予定されていた祇園祭宵々山のイベントが台風のため中止になったとか。せっかく高台寺の和尚さんと楽しく話そうと思てたのに(ほんまはマタ祇園で飲めると喜んでたのに)残念やな。まぁしゃあない。なんやら時間がぽかっと空いた気がしたので保阪正康『あの戦争は何だったのか』(新潮新書)を一気に通読。大川周明『英米東亜侵略史』(佐藤優『日米開戦の真実』)を読んだあとやったから第二次大戦のことがようわかった。けど社保庁を初めとする今の官僚も政治家も昔の陸海軍と変わってへんのやなぁ。続けて早坂隆『世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)を拾い読み。笑いっぱなし。
7月14日(土)つづき
大阪で予定されていた電動車椅子サッカー日本代表チームの強化合宿も台風のため中止。台風には勝てん。しかしTVのニュースで初めて知ったけど沖縄に台風が上陸しても日本に上陸した台風としてはカウントされないとか。別に他意はないのんやろけどナンヤラ釈然とせん。米軍が沖縄上陸したときも…?と考えてしう。晩飯オペラ劇場はアムステルダム音楽劇場の『神々の黄昏』第2幕と第3幕。照明がスゴイ。本物の火までボウボウと燃やしとる。カネがあるからできること…というだけやないな。
7月15日(日)
ホンマやったら祇園祭宵々山イベントに参加するため京都へ…のはずが台風のため新幹線ではなく自宅で読書。井沢元彦『逆説の日本史14近世爛熟編・文治政治と忠臣蔵の謎』。忠臣蔵の部分のほとんどは週刊ポスト連載時に読んでたけど読み直すと改めてオペラの舞台のアイデアが湧く。井沢氏のこのシリーズのことを「他人の説の引き写し」と批判する声を聞くけどそれは当たってない。このシリーズがなかったらアカデミズムと我々歴史学に疎い一般人をつなぐパイプがなくなる。というか一般人がメチャクチャ沢山の歴史書を読まなければならなくなる。井沢氏はジャーナリストとしてアカデミズムと一般人の橋渡しをしているのだ。だから週刊誌連載なのだ。スポーツ学にも同じことがいえるんやけどほとんどのスポーツ・ジャーナリストはアカデミズムと接点を持っとらへん(本を読んどらへん)。アカデミズムは一般人と接点を持っとらへん(オリンピックやW杯の問題で体育学の大学教授がTV出演なんてないもんな)。そこの仕事をしてきたつもりやけどそろそろ若いスポーツジャーナリストが出てきてくれよ。夜はお隣のフランス人の奥さんがヴァカンスで帰省してきたので一緒に「もり山」へ。台風は何処へ消えたんじゃ!
7月16日(月)
佐吉と散歩のときに周囲がえらく静かだと思ったら今日は祝日。「海の日」の意味を日本人の何パーセントくらいが知ってるのんやろ…と思いながら机に向かったら2階にある仕事部屋がグラグラ。いつもと揺れ方が違う(ゆっくり長い横揺れ)と思うたら新潟と長野で震度6強。台風に続いて地震。被災者の皆さんにはがんばってくださいとしかいいようがないけれど日本はまさに災害列島。それに負けずにわめかず騒がず(暴動一つ起きず)しっかり自然と共生していることは世界に誇れる日本人の素晴らしさといえるに違いない。
7月16日(月)つづき
日本4−1ヴェトナム。完勝。ヴェトナムも決勝トーナメントに進出できて本当によかった。しかしコレまでぼんやり見て聞いていた朝日新聞のサッカーに託(かこつ)けたPRはヒドイ!戦争も止めたことがある「サッカーはスポーツを超えたかもしれない」やと?阿呆か。それがスポーツの本質というもんやないけえ。スポーツをバカにするな!それでサッカーを称えてるつもりなら大間違い!以前リーグ優勝4連覇をしたプロ野球の監督を「この方は一流会社の社長もできるくらい素晴らしい人で」と紹介した阿呆な(野球の監督をバカにした)ニュースキャスターがいた。弁の立つ五輪代表の体操選手を「体操選手にしておくのは惜しい」とコレまたスポーツをバカにする発言をしたニュースキャスターもいた。それらと同じ。スポーツと無縁な人生を過ごしてきた(机に向かって受験勉強ばっかりしてきた)インテリはすぐにそういう失言をしてスポーツを心の底で蔑んでいる気持ちを露呈させる。朝日の宣伝もそれと同じ。サッカーは素晴らしいスポーツなんですよ。サッカー以外のスポーツも素晴らしいスポーツなんですよ。サッカーだけが素晴らしいんじゃないんですよ。でも朝日新聞社主催の全国高等学校野球選手権大会はスポーツでなく体育でもなく矛盾を孕んで歪んでるんですよ。朝日のインテリの皆さん。そこに気づいてください。
7月16日(月)つづき
そうか。次はオーストラリアか。ジーコ・ジャパンとオシム・ジャパンの違いがようわかってエエな。しかしナンデ豪州がアジアやねんと思う人も多い。それはまぁレベルの低いオセアニアを抜けてレベルが少しでも高い場所で試合をしたかったオーストラリアの都合らしいけど東アジア共同体構想での中国と日本の立場を考えるならオーストラリア(とニュージーランド)には(東)アジアの一員でいてもろたほうがよさそうな気も…。まぁサッカーとは関係ない国際政治の話やけど中国主導ではない“空気”はつくれるわな。
7月17日(火)
ナカナカ仕事に集中できひんなぁ…というわけで(もないが)晩飯映画劇場は久しぶりに忠臣蔵シリーズ。深作欽二監督『赤穂城断絶』。映画としては面白くなくもなかったけれど日本のサム・ペキンパーも忠臣蔵ではこの程度か…と思ってしまったのは井沢元彦さんの本を読んだからやろう。吉良上野介は何も悪いことをせず浅野内匠頭を「バカ殿」としてきちんと描く映画は誰がいつつくるのんやろ?『四十七人の刺客』も見とかんとあかんのんかいなぁ。
7月17日(火)つづき
うわ。もうすぐヒット数が2888888になる。と驚いてみたけど別に意味はない。しかし意味があるように思えるところからピタゴラス学派なんてのが生まれたんやろな。ほんで結構凄い発見も生まれたんやろな。けどオレは琴光喜の右の腕(かいな)の絞りのほうに感激した。あの白鵬を牛耳ったんやからな。オレは数学者と違うというこっちゃな。やっぱりスポーツライターなんやろな。
7月18日(水)
朝の文化放送とRKB毎日放送で「災害とスポーツ」をテーマに話す。スポーツは平和で平穏な世の中でしかやれん文化なんやからスポーツマンは災害時にもっと「恩返し」をしなければ。ロベルト・クレメンテは偉かったなぁ。とはいえ原稿の仕事が進まん。くそっ。こういうときは朋友に電話。有朋自近方来不亦楽乎。一緒に「213」へ。結局飲んどるだけやけど朋友との酒は美味い。話は楽しい。朋友は今日が誕生日とか。「55やで。昔やったら定年で隠居や」たしかに。みんな若なった。あの農水大臣を見てると幼なったともいえる。アンナモンで大臣が務まる日本はアカンで。オレはクソジジイになったる!しかし仕事が進まんなぁ。こっちのほうが困ったもんや。
7月19日(木)
今日も部屋に籠もって原稿書き。窓の外に選挙カーの声が響く。「XXXXをよろしくお願いします。2枚目の投票用紙にはXXXXの名前を。XXXXの名前が一票でも増えるようよろしくおねがいします。XXXXでございます。お騒がせしております。2枚目の投票用紙にXXXXの名前を…」なるほど。政策も政党もさっぱりワカランけどXXXXの名前だけは憶えた。ゼッタイに入れたらへんぞ。
7月19日(木)つづき
今朝の『日刊スポーツ』2面の見出しは『12球団オーナーがNHKに「メジャー報道自粛して」』ところが記事を読むと「自粛して」と申し入れたわけでなく会議でただ「八つ当たり」的に「NHKのメジャー中継は多すぎる」と話題にしただけ。まぁ日本放送協会がいつからアメリカ文化帝国主義拡張政策の手先になってしまったのかという懸念はあるけど日本のプロ野球も情けない。その構造は昭和10年代とおんなじやで。
7月19日(木)つづき
AVEXからサックス四重奏団トルヴェール・クヮルテット結成20周年記念CD『シャル・ウィ・サックス?』が送られてくる。あまりの面白さに原稿の手が止まってしまう。モーツァルト・メロディ山盛り満載の一曲(モーツァルトはなべてこうしたもの)やR・シュトラウスの『ツァラトゥストラ』のファンファーレからチャイコフスキーの『くるみ割り人形』のメロディに続くなどこういうパロディ精神は大好きやで!
7月19日(木)
晩飯オペラ劇場は昨年のザルツブルク音楽祭で最高の話題となったモーツァルト『フィガロの結婚』。アーノンクールの指揮による演奏は既にCDで聴いててこのテンポの遅さと間の空き方は舞台と一体化した演奏やなと思てたけどマイッタ。ホンマに素晴らしい舞台!天使(ケルビム)を黒衣のように使うアイデアはあざとくも見事でクラウス・グートの演出は(いろいろ文句をつけたいところや顔の表情で理解できないところもあるけれど)最高に面白かった。アンナ・ネトレプコ(スザンナ)も役にぴったり。ダルカンジェロのフィガロも素晴らしい。伯爵夫人がイマイチ…といった気持ちも階段を巧く使った舞台と鮮やかな照明で打ち消されてしまう。しかしモーツァルトのフィガロはなんと素晴らしい作品か!と思えたのはこの舞台と演奏のレベルが高かったからやろな。
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7月20日(金)
ユニヴァーサルから送られてきたフリッツ・ヴンダーリヒのドキュメンタリーDVDを見る。事故で早世した美声の名テノール。貧しい農家から育った純朴な一生はナカナカ面白かった。この美声の持ち主がくわえ煙草やパイプを吹かしてる映像もあった。そういえば美声のバリトン歌手フィッシャー・ディースカウもヘビー・スモーカー。戦後史の再勉強に読み直した北康利『白洲次郎 占領を背負った男』(講談社)にも白洲がヘビースモーカーと出てた。まぁどうでもええことやけど…。それよりディースカウが「メトロポリタン歌劇場ではアンプが使われてる」と堂々と喋ってるのが面白かった。白洲の発言では「新憲法のプリンシプルは立派なものである(略)。戦争放棄の条項などその圧巻である。押しつけられようが、そうでなかろうが、いいものはいいと率直に受け入れるべきではないだろうか」という言葉が面白かった。そのとおりやな。最近話がゴチャゴチャになる癖があるな(笑)。やっぱり一つの専門に徹したほうがエエのんかな。まぁそのほうが他人には理解されやすいやろな。夜はオールスター戦。選手投票を行わんようなって10年くらいになるかな。落合監督の1投手1イニングはかつて川上監督が試みたもの(たしかオレの記憶では延長戦になりそうになって8人目の投手に2イニング投げさせたはずやった)。その後近藤貞雄さんににこの戦法はペナントレースでも使えるのではないかと訊いたところが「面白いけど無理」との答え。理由は「9人もの投手をつかうとそのなかにその日に調子の悪い投手が必ず1人や2人は現れる」とのこと。なるほど。
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7月21日(土)
オールスター戦を見て山崎の一発に感激し田中の若さに納得し白鵬の未熟さに将来の成長を思い描いてたら万年躁状態の次女が誕生日とかでBFと一緒に来宅。友人とそのBFも来宅。続けて長女とBFも。さらに長男とGFも。総勢10人で大パーティ。バーネカウダーやら特製パテやら短角牛のステーキに舌鼓をうちながらアジア杯オーストラリア戦。完全にスポーツバー状態でレベルの高い試合内容に大興奮。高原はホンマに素晴らしい。川口はお見事!PK戦は大歓声で大騒ぎ。御近所の皆様けたたましくうるさくてすいませんでした。しかしPK戦で勝った監督に向かって「試合の分かれ目は何処でした?」なんて訊くインタヴュアーはサイテーやで。もうちょっと勉強せい。周りのスタッフも勉強会ぐらい開いてやれよ。
7月22日(日)
仕事したあとは心地よい疲れやけど遊んだあとはちょっと空虚な疲れが残る。仕事をしようとも思わない。しゃあないので読書三昧。夜は韓国vsイランのサッカー。最悪の気象条件とはいえ両チームとも下手やで。日本はレベル高いで。油断は禁物やけど。
7月23日(月)
原稿1本仕上げたあと晩飯映画劇場は今秋封切りの韓国映画『私の小さなピアニスト』。『冬ソナ』に10分で飽きた男としては仕事でなければ見なかった映画。そういや40年前以上に小学校の講堂で見た巡回映画にはこういう文部省推薦作品が多かったかな。深夜隣家の月下美人が大輪の花を開く。毎年のことやけど妖しくも不思議な美しさに充ちた自然の営みに感激(写真がタマキのオススメごちゃまぜ総集編2005年下半期にあります)。
7月24日(火)
佐吉の散歩を済まして蜷川幸雄演出シェークスピア『十二夜』を見るため団十郎襲名興行以来20年ぶりに歌舞伎座へ。鏡の使い方が見事。歌舞伎役者の芸達者ぶりもお見事。結局新劇もアングラ劇も歌舞伎に勝てなかったわけやな。当たり前のことやな。幕間に市川亀治郎さんに挨拶。『児雷也』『摂州合邦辻』以来の再会。オヤマ姿にドキッとしながらちょいとオペラの話をさせていただいて退散。しかし亀治郎さんのオヤマ「麻阿」役は美しく楽しくお見事でした。そのあと新宿へ。紀伊國屋書店でDVDを買い込んだあと新国立劇場へ。二期会モーツァルト『魔笛』のゲネプロを一幕だけ見学。実相寺昭雄氏演出の再演ヴァージョン。さすがウルトラマンを撮った人のためかカネゴンやらバルタン星人やらが出てくる。けど正直言ってワカラン。ユダヤの星が出てくるのもワカラン。大船まで帰ると嫁はんが夏祭りの看板描きに忙しくて晩飯がつくれないというので「213」でハンバーグ丼とステーキ丼をつくってもらっておみやげに。買ったばかりのDVDワーグナー『ワルキューレ』第3幕(オランダ・アムステルダム音楽劇場)を見る。音楽は素晴らしい。舞台は火も燃える。ヴォータンの歌声も悪くない。けどワルキューレのツバメのような羽根はワカラン。最近はワカラン演出が増えた。アイデアは大事やけどワカリヤスイほうが勝ちやと思うけど…。
7月25日(水)
朝のラジオ(文化放送とRKB毎日)で「日本らしいサッカーとは?=日本人とは?=日本とは?」というチョイト難しい話をして(結論は「まだわからん」けど「日本の若者がサッカーで示してくれるかも…」というもの)原稿1本書いたあと映画『小説吉田学校』を見て(白洲次郎は出てこんかった。政局というのはつまらんもんやな)サウジ戦の結果は2−3で残念無念。日本らしいサッカーは背水の陣のときの底力?ではないはず。日本の繊細なハイブリッドカーはまだまだ未完成でガソリン車に負けてしもた。まぁしゃあないな。日本のサッカーはまだトヨタに追いついてへんというこっちゃな。
7月26日(木)
暑い。クソ暑い。夏やから当たり前や。けど気象庁はまだ梅雨明けやないという。けど関係あらへん。気象庁の声で生活しとるんやないから。キイボードを叩いてても汗が噴き出す。夏やで。エアコン嫌いがスイッチを入れてしまう。嫌いなもんは嫌いやからちょっとでも涼しなったらスイッチを切る。また汗が噴き出す。シャアナイから仕事をやめる。これ以外に体調を維持する方法はない。
7月26日(木)つづき
暑うて仕事にならんので映画『スパイ・ゾルゲ』を見る。篠田正浩監督渾身の最後の作品。面白い。戦前の帝国主義列強の争いと大日本帝国の動きがよくわかる。ゾルゲと尾崎秀実の苦悩も…。じつはこの作品の企画を10年以上前に篠田監督自身から聞かされた。それは95年のユニバーシアード福岡大会で小生が連続シンポジウムの総合司会をして元早稲田大学競走部の篠田監督を講演に招いたときのこと。「尾崎秀実の役に作家のSクンを考えてるので紹介してくれないか」といわれた。その数ヶ月後Sと一緒に篠田監督に銀座で御馳走になり周辺に残されているゾルゲゆかりの建物を案内された。結局その役は本木雅弘がやることになったがそんな御縁があったので進捗状況も気になっていたがスケジュールどうしても合わず試写会もプレミア上映もロードショウへも足を運べなかった。それをやっと見ることができた感慨も伴い現在76歳の篠田監督の昭和に対するメッセージに思いを馳せる。いま昭和ブームらしいけど『三丁目の夕日』の時代が訪れる前の昭和も知らなければ…。夜まで暑いうえ嫁はんが夏祭りの看板描きのため晩飯つくれへんと言いよるので「213」へ。生ビール旨い。
7月27日(金)
今日も暑い。暑うて仕事にならん。おまけに嫁はんが夏祭りの看板の寸法を間違えたとかで騒いどる。しゃあないし机を離れてオペラ『魔笛』のDVDを見る。去年のザルツブルク音楽祭の舞台。綺麗な色で楽しい舞台。しかしそれだけ。新しい解釈なし。切れ味だけのムーティの指揮で音楽の美しさもイマイチ。カネはかかっとるな。もっと面白いことできるのに…。しゃあないし仕事に戻ろ。
7月27日(金)つづき
仕事にならんので参院選も近づいたことで(というわけでもないけど)ジャン・ユンカーマン監督『映画日本国憲法』を見る。『敗北を抱きしめて』(岩波書店)のジョン・ダワーやチョムスキーなどのインタヴュー構成による素晴らしい日本憲法(第9条)論。小生の買ったDVDの帯には「日本が世界一強力ですばらしい武器を持っていることを知ってますか。それは憲法9条です。『映画日本国憲法』をみて下さい。世界一の武器の秘密を教えてくれます。−−吉永小百合(俳優)』というコピーが書かれていた。たしかに。憲法9条を守るため…やなくて世界に広めるために立ちあがらんとあかんときが3年以内に来るのんやろな。しかしこのDVDがなんでAmazonのリストにはないのんやろ?(DVDではなく本のコーナーにありました。なんでやろ?)
7月27日(金)つづき
仕事にならんことと映画づいたうえに裁判員制度も近づいたことで(というわけでもないけど)晩飯映画劇場は三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ脚本の『12人の優しい日本人』(中原俊監督)。面白かった。ヘンリー・フォンダ主演シドニー・ルメット監督の『12人の怒れる男』のパロディは筒井康隆大先生の傑作笑説『12人の浮かれる男』もあるけどこの映画もなかなかのものでした。最後のオチ(日本人の問題を個人的問題にすり替えたこと)は単純でもうちょっと違う流れもあるかなと思たけど途中の会話も役者の演技もナカナカ。仕事が進まんかった一日の憂さ晴らしには爽快
7月28日(土)
名古屋へ。栄中日文化センターでオペラ講座。テーマはエクサン・プロヴァンス音楽祭。ピーター・ブルックの演出(ドン・ジョヴァンニ)について喋れただけで嬉しかった。何しろ(たった数ヶ月間の)学生時代にロイヤル・シェークスピア劇団の『真夏の夜の夢』を見て以来の憧れの人物やったから。急いで帰宅して日韓戦。勝っても全然嬉しくないと(おそらく)多くの日本人が思てたとおりにきちんと負けた日本代表の選手たち(日本人)は優しい。それを惻隠の情というのかどうかはともかく日本人の美徳の一つであることは確か。こういう試合に勝ちたいのなら(江戸時代の)武士や侍でなく(戦国以前の)モノノフやツワモノが出現せんとあかんのやろな。どれも日本人の資質のはずやけど…。PKをはずしたのがオシムの愛弟子やったのは象徴的。トルシエやジーコが同じ内容と結果やったら大批判が巻き起こったかも。けどマァしゃあない。それより試合後のインタヴュアーを代えてくれ。日本代表が日本人総体の結果とするならアノくだらん質問のほうが問題やで。
7月28日(土)つづき
往復の新幹線で小野俊太郎『モスラの精神史』(講談社現代新書)読了。メチャメチャ面白かった。ゴジラとモスラは日本の戦後史を語るうえでの必須アイテムなんや。
7月29日(日)
佐吉の散歩のあと選挙へ。メディアが予想を出すのはどうかと思うが…。まぁ今回ばっかりはいろいろ変わるのんやろな。夕方から隣人のフランス人夫妻と一緒に鎌倉芸術館へ。松竹大歌舞伎巡回公演。メインは『仮名手本忠臣蔵一力茶屋の場』。小学生のときに親父に連れられて南座へ行って見せられて以来のナマで見る七段目。ガキの時はさっぱりワケがわからずに歌舞伎が嫌いになった記憶しかなかったけど今回は涙が出そうになるほど素晴らしいと思えた。歳とったのかな。吉右衛門の由良之助は貫禄。芝雀のお軽も美しい。けど染五郎が前座の舞の『玉兎』もふくめてこんなにエエとは思わなんだ。終わってから『との山』で焼き鳥と焼酎。フランス人のPさんが「スバラシカッタ。デモ観客は何故少ししか拍手をしない?」「200年以上毎日どこかでやってることですからね」という答えでよかったのかな?
7月29日(日)つづき
隣人宅でフランスから御持参直輸送のワインを少々いただいたあと自宅へ帰って選挙結果を見る。なるほど。予想以上の自民大敗。まぁ日本人の我慢もぼちぼち限界やからな。年金…領収証…原爆…絆創膏…。最近どこかがおかしくなり劣化してるように見える日本社会と日本人の頂点に言葉だけを弄ぶ頭が悪いとしか思えない政治家が鎮座ましましてるのんやからね。そんな構造を変えるには政権を(何度も)変えんとしゃあないもんな。
7月30日(月)
コラム1本仕上げて昨日につづき連チャンで鎌倉芸術館へ。小澤征爾音楽塾塾生による『カルメン』ダイジェスト。独唱者はプロ。オケと合唱と指揮者が塾生。プロのルーティンの演奏会よりも若者たちの懸命な演奏のほうが緊迫感があってエエ。けどもうちょっと遊びがほしいな。技術は巧いんやから。それにしても指揮者は腰の落とし方も背中の丸まり方も小走りの歩き方も髪の毛のスタイルまで師匠にそっくり。似るのはシャアナイけど…もっと格好いい指揮者を真似たら?というのはいいすぎかな。
7月31日(火)
安倍首相は政権を継続するそうな。エエこっちゃ。これで「自民党をぶっ壊す」と言うてた前首相の「公約」も「戦後レジームからの脱却」と言うてた現首相の「公約」も果たせることになりそうや。ソプラノ大岩千穂さんの初録音CDのライナーノーツを仕上げたあと晩飯映画劇場は小林正樹監督『東京裁判』前編。これは日本人なら見といたほうがエエ映画やな。山形での出張法廷で「東条とは意見が異なったそうだが?」と訊かれた石原莞爾が「私には思想も意見もあるが東条には思想も意見もない。だから異なりようもない」と答えたというのが笑ってしまった。まぁ笑うてられへん映画やけど。
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