5月1日(月)
ベッドへ改めて氏原英明『甲子園という病』(新潮新書)読み直す。高校野球の現場からの鋭い指摘の数々。この本と著者をなぜもっと早くキチンと取りあげられなかったのかと少々後悔する。とはいえ発行日が2018年8月。はっきり言って東京五輪で甲子園どころではなかったのだ。しかし小生も『真夏の甲子園はいらない』を上梓した今となっては氏原さんに心を込めて連帯の挨拶をくりましょう。来週は彼と『ZAIEN』での対談を実現。高野連と朝日新聞の大人たちによる「High school Ballplayer Abuse(高校球児虐待)」とメディアの「Journalism Loss(報道放棄)」と「Make Drama(嘘八百)」をやっつけましょう!ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。五月晴れは気持ちが良いですなぁ。終日デスクワークは『ニュー・メディア』に寄稿した10年前の「甲子園批判」の原稿を校正。朝日新聞社発行の『月刊ジャーナリズム』から執筆を依頼されながらボツにされてしまった原稿に注釈を付けて復活させたモノ。まさに「捨てる神あれば拾う神あり」ですな。晩飯は神奈川TVで吉本新喜劇を見ながら。今日の芝居の出来はイマイチかな。しかし定番ギャグでレベル・キープですね。
5月1日(月)つづき
右側のナンデモカンデモの『真夏の甲子園はいらない』の下に『九大の100冊』があってクリックすると九州大学の教授たちが選んだ100冊を見ることができます。もちろん小生の『スポーツとは何か』(講談社現代新書)が選ばれていrのが自慢で掲載したのですが(エッヘン)他に選ばれた本もなかなか面白く参考になりますよ。
5月2日(火)
世の中はゴールデンウィークの中休み。ベッドのなかの読書は筑摩書房の月刊誌『ちくま』5月号。蓮實重彦氏のエッセイ『「科学技術」という言葉を耳にしたらおよそいい加減な話だと確信して黙って聞き流せばよい』は面白かった。「科学Science」と「技術Technology」はまったく別物なんですね。Scienceは究極の真理を追究するけれどTechnologyは様々な理由(金銭や政治等々)で妥協する行為なんですね。斉藤美奈子氏の連載『世の中ラボ156「異次元の少子化対策」は有効なのか』も鋭かった。社会学者赤川学氏の『これが答えだ!少子化問題』(ちくま新書)を取りあげて《赤川は〈福祉支援・経済対策を少子化対策の名のもとに行うことを〉やめ〈誰もが等しく幸せに生きられ社会〉を目指すべきだという。人口減少を「国家存亡の危機」だとか少子化対策の「最後のチャンス」だとか煽るのはむしろ逆効果だと(略)政府が示したくだんの「私案」を見直すと「危機感」思いっきり煽ってます。そして政府の内容にさほどの目新しさはない。上へ上へと向かってきた結果が今日の少子化だとしたら「そこそこの幸せ」でよしとする方向に意識を変えないと問題は解決しないのかもしれない。花火だけ打ち上げてもまあダメでしょうね》そもそも「異次元の」なんて形容詞を使うモノは少子化対策も金融政策も「およそいい加減な話だと確信して黙って聞き流せばよい」のかもしれませんね。我々の住んでる四次元の社会とは異なる「異次元の」世界の話なんですからね。「〜感をもって」なんて言葉も嘘八百ですね。野球で盗塁を狙う走者に「スピード感をもって走れ」なんて言っても早く走れませんからね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。青空に青葉に響く鳥の聲。五月晴れはGWでなくても気持ちいいですね。ワン。終日いろいろデスクワーク。晩飯はNHKーBS1スペシャル『伝説の晩餐会(ディナー)へようこそ/ゴルバチョフ冷戦終結をめぐる秘話』を見ながら。面白かったしディナーのメニューも良かったけどアメリカの戦略をもっと知りたかったですね。プーチンはゴルバチョフのロシア民衆の不人気とエリツィンの無能とオルガリヒのカネと右派の台頭の中から生まれた怪物なんでしょうがウクライナを利用して彼の神経を突いたアメリカにも利用されたのかな?あ。斉藤美奈子さんに『真夏の甲子園はいらない』を贈っておこうかな。
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産経新聞取材班『20世紀かく語りき』産経出版 深みに欠ける新聞記事…ではあるけれど20世紀を通読できる意味は小さくないです
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『イエスタデイ』 このダニー・ボイル監督の「ビートルズ映画」は、小生にとって「ウェストサイド物語」と「ブルース・ブラザース」に並ぶ素晴らしい三大音楽映画となりました。
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5月3日(水)憲法記念日
戦前の大日本帝国憲法が改正されて新憲法が施行された日。交付された日は11月3日。なぜか明治節(明治天皇誕生日)を引き継いだ日。今日の憲法記念日には海上自衛隊の艦船が満艦飾(旗をいっぱい飾ること)で祝うことになっているけど相当の右傾化社会になってもやるのかな?なんて思いながらベッドから出て黒兵衛と散歩。ワン。五月晴れの爽やかな住宅街の憲法記念日。日の丸を掲揚している家はゼロ。我が家にも国旗はありません。朝のテレビで憲法記念日を取りあげた番組はなかったようですね。戦前の軍国主義社会を反省して非武装不戦の憲法を手に入れた歴史を振り返ってもイイのに…と思いながら午前中にチョイと仕事を済ませて昼飯はNHK-BSで『アウシュビッツに潜入した男』を見ながら。ナチスの収容所にはユダヤ人だけでなく多くのポーランド人も収容されて強制労働と酷い環境の中で虐殺され続けたのですね。続けて『トレイン・スポッティング』のダニー・ボイル監督の『イエスタデイ』という映画をやっていたので見てしまう。これがメッチャ面白かった。交通事故で意識不明となって入院した売れないシンガーソングライターの男が目覚めてみると世の中が別世界に変わっていてソコは誰もがビートルズを知らない世界。そこで男は記憶に残っているビートルズの曲を自分の作詞作曲した作品として発表。大ヒットを記録して世界中で馬鹿売れするが…。いやぁサスガにボイル監督だけあって素晴らしい映画に仕上がってました。最後の最後にはジョン・レノンのそっくりさんのような人物なども出てきたが単なる喜劇映画以上の深みのある面白い作品に感激。しかしビートルズの作品が次から次に出てきたビートルズの音楽の凄さにも感激。続けてNHK-BSでビールズ来日公演のドキュメンタリーを『アナザーストーリー』の再放送でやっていたのでこれも見てしまう。公式カメラマンとして素晴らしい写真集を残した浅井愼平さん大活躍。若かったですね。チョイと仕事したあと晩飯はNHK-BSドキュメンタリー『ヒトラーとスターリン』を見ながら。独裁者で年齢も近い二人はよく似た権力者になったのですね。続けてワイン飲みながらピカソの絵画が世界を渡り歩いてピアニストのホロヴィッツからブリジストン美術館に来たドキュメンタリーも見る(番組タイトルは失念)。テレビ・ドキュメンタリー三昧の一日(ダニー・ボイルの映画もビートルズのドキュメンタリーみたいだったですからね)。高齢者のGWとしては悪くないかな?最後にチャンネルを回すとモスクワ・クレムリン上空でドローンが爆発(迎撃?)。真偽のわからないニューズが蔓延るのが現代なんですね。あ。ホロヴィッツはウクライナ生まれなんですね。
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『シャレード』 ヘップバーン主演のミステリー。最後の劇場のシーンは面白いですね。スタンリー・ドーネン監督の秀作…傑作ではないな
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5月4日(木)みどりの日
荒俣宏『奇想の20世紀』(NHK出版)がメッチャ面白かったので(一言で言えば20世紀には「未来があった」という話)続けて産経新聞取材班の『20世紀かく語りき』を読み始める。1901年から順に「20世紀の事件」を記述。日露戦争では漱石の『三四郎』の広田先生の台詞を紹介。「いくら日露戦争に勝って一等国にかなっても駄目ですね」と言う広田先生に対して三四郎は「然しこれから日本もだんだん発展するでせう」と言うと先生は「亡びるね」と答える。漱石が『草枕』や『趣味の遺伝』などで日露戦争を批判していたのは知っていたが『三四郎』にここまでの記述があるのは忘れていた。おまけに『原始女性は太陽だった/文芸誌「青鞜」発刊』の項目に《三四郎を悩ませる里見美禰子は平塚らいてうがモデルという説もある》との記述。知らなんだ。孫文が神戸で行った「大アジア主義」の「有名な演説」も知らなんだ。《日本は功利と強権を欲しいままにする「西洋覇道の番犬」となるのかそれとも公理に立った「東洋王道の城」となるのか》ナルホド。20世紀初頭には日本の「危うい未来」を見通していた人もいたんですね。70歳を過ぎて気付くことも多いですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。五月晴れ。今日が「みどりの日」と知っている日本人は何%?それが何の日だか知ってる人は何%?ワン。ちょこちょこ仕事して午後のNHK-BS映画はヘップバーンの『シャレード』。好きな映画だけど隅々まで知っているので読書とパソコンの掃除。夕方からヨメハンの指示に従って庭掃除。「大事なことは俺がやる。何が大事かはヨメハンが決める」と言ったのは誰だったかなあ?野球イロイロ見ながら晩飯。朝見るメジャーと較べてプロ野球は時間が間延びしてかったるく感じるようになりましたね。それにイイトシ晒した大の大人がスタジアムの客席で歌うたって手を振って野球を見ないのが信じられない。戦前から戦後にかけてヤクザに場内秩序を任せたプロ野球は応援団に占拠されることを容認したわけですね。嗚呼。
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『ブルース・ブラザース』 30年ほど前に「私の選ぶNo.1映画」として朝日新聞に書くと、真面目に書けよと「注意」した先輩がいました。阿呆な先輩ですね
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5月5日(金)端午の節句
『20世紀かく語りき』はいかにも新聞記事で面白みに欠けるところを感じる(大西洋横断飛行を果たしたリンドバーグや自動車王フォードとナチスの関係などが書かれてませんからね)とは言え基本情報でも驚くことは多い。スターリンがグルジア(ジョージア)出身だとは知っていたけどトロツキーもウクライナ(ヘルソン)出身で2人とも非ロシア人なんですね。レニングラード出身のプーチンは「ロシア意識」が強いのかな?ワン。ベッドから出て今日も五月晴れのなか黒兵衛と散歩。朝チョイと仕事して昼飯食って昼寝から覚めると石川県で震度6強の地震。「天災は忘れた頃にやってくる」と言ったのは漱石の弟子で『吾輩は猫である』の水島寒月や『三四郎』の野々宮宗八としても登場している寺田寅彦らしいけど最近は「天災は忘れる暇なくやってくる」ですね。その寺田寅彦はこう書いてます。《戦争は是非とも避けようと思えば避けられなくはないであろうが天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない》そこで《政府は敵国に対する国防策は既に熱心に研究されているであろうが(略)天然の敵を四面に控えた国では陸軍海軍の他にもう一つ科学的国防の常備軍を設け日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかと思われる》たしか三島由紀夫は自衛隊の半分は国連軍にして残り半分を災害を含む国土防衛隊にと書いていた。さぁどうするキシダ?過剰と思える防衛費を災害対策費に回しませんか?夕方から庭の大掃除。多くの枝を伐採。捨てやすいように短く切ってビニール袋に詰めていると「切る」という作業の面白さに目覚める。「切る」は「破壊」ではなく「整理整頓」なんですね。人事で「切る」のも同じかな?今日は金曜なのに「チコちゃん」がないので映画『イエスタデイ』のビートルズの音楽シーンだけを飛ばし見しながら晩飯。これは素晴らしいミュージカル映画だと納得すると『ブルース・ブラザース』を見直したくなったのでこれまた音楽シーンを飛ばし見。ただしカーチェイスでクルマが次々と破壊されるシーンはもちろんカットせずに見ました。これはミュージカル映画のダンス・シーンをクルマが踊ってるわけですからね。地震のニュースをチェックしてベッドへ。
5月6日(土)
『20世紀かく語りき』のなかで映画が取りあげられている。大きく取りあげられているのは『カサブランカ』『第三の男』『ライムライト』『勝手にしやがれ』の4本。チャップリンの1本は『独裁者』は《ナチスのところで既に紹介したから》との断りがある。これらを20世紀の代表映画とするならテーマは戦争と平和と戦後の個人主義と言うことになるのかな?『第三の男』はオーソン・ウェルズの有名な台詞が引用されている。《イタリアでは30年の圧政の下にミケランジェロやダビンチやルネサンスを生んだ。スイスでは同胞愛と500年に及ぶ民主主義と平和が何を生んだか?鳩時計さ》これを《戦後を覆った平和主義や民主主義への見事な風刺になっている》と産経新聞の記者は書いてあるがソレは違う。この台詞はウェルズ演じるハリー・ライムという凶悪な犯罪者の平和や民主主義をそんな風にしか捉えられない曲がった心を鋭く表したものというべきですよね。それを《戦後を覆った平和主義や民主主義への見事な風刺》と「解釈」するのはいかにも産経記者のやり方かな?この台詞はグレハム・グリーンの原作にはなく凶悪犯罪者を演じたウェルズの創作らしいけどサスガの台詞ですよね。ワン。ベッドから出てチョイと仕事したあと黒兵衛と散歩。美しい五月晴れも今日までらしいけど美しいモノは消えるのも早いものなんですよね。チョイと仕事したあと午後からは昨日に続いて庭整理。隣家に伸びてる枝を全部伐採&掃除。枝を切りながら以前剣道の世界選手権に出場する剣士が試合前にスランプに陥ったとき毎日道場を雑巾掛けの拭き掃除に専念して実力を回復させたというドキュメンタリーをみたことがあったのを思い出す。掃除にはそういうパワーもあるのかな?まぁ小生には無縁で掃除が一段落するとサッカー見ながらビール。うん。肉体労働のあとのビールは美味い。少々長い原稿を書きあげたあとのビルが美味い。と言うことは執筆活動というのは肉体労働かな?
5月7日(日)
産経新聞取材班『20世紀かく語りき』(産経新聞社)読了。いつの世も激動の時代なんですね。日露戦争から冷戦の終結まで。戦争の時代は今も続くが改めて20世紀から21世紀に伝えるべき言葉を一つ選ぶとすると初めて宇宙から地球を眺めたガガーリンの言葉「地球は青かった」ということになりそうだ。なぜ地球が青いかというと大気と水で生命圏(バイオフィア)を形成しているから。《宇宙飛行士たちが地球の美しさをあまりにも強烈に感じたのは地球が見かけ上美しいというだけでなくその最も美しい場所に自分が所属するバイオフィアがあるのだという無意識のうちの認識が大きく働いていたようである》と立花隆さんも『宇宙からの帰還』(中公文庫)で書いている。その「青い生命圏(バイオフィア)」を散々汚している「月には水がありそうだ」などと言ってロケットを飛ばすのは根本的に間違っていると言うほかない。人類がそんな間違いを冒してしまうのは「経済活動」という幻で動いているからだろう。ワン。ベッドから出て小雨のなか黒兵衛と散歩。雨はイヤだけどバイオフィアを形成するためには仕方ないか。ワン。チョコッと仕事をして午後からは庭掃除が出来ないので仕事部屋その他の掃除と整理。網戸を拭いたり掃除機を当てたり…。掃除や整理はゴミを取るだけでなく心の整理にも…と昨日は思ったがソレはどうやら若い人に当てはまるものですね。歳をと心にまで効果が回らない心にまで効果が回らない。マァしゃーないですね。NHKのニュースやテレ朝のWBCを見ながら晩飯&酒。WBCは本当に野球の面白さを堪能させてくれたしマスメディアは大騒ぎするけどコレが「未来の日本野球の発展」につながるとは思えない。最新刊『真夏の甲子園はいらない』(岩波ブックレット)に小生はこう書きました。WBCの結果がどうあれ《日本の「野球文化」を広げよう……といった声はまったく出てこない》なぜなら……という理由はどうか拙著をお読みください。
5月8日(月)
明日の対談に備えて氏原英明さんの『甲子園という病』(新潮新書)頭に入れるために読み直す。小生と小林信也さんとの最新刊『真夏の甲子園はいらない』(岩波)とも共通するのは「甲子園が魅力的すぎる」ということですね。この「魅力的すぎるコト」(正)と多くの高校生に「多大な悪影響を与えていること」(反)どのように弁証法的に止揚する(合)かがテーマになるわけですね。理屈ではそうでもサテ実践はどうする?ソコが明日のポイントかな。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。雨が緩くなった間隙を突いたつもりがそうでもなくて合羽を羽織っていても結構Gパンの膝下が濡れる。雨(水)は大切な生命の源だから文句を言うまい。ワン。サッサと帰宅して明日の準備や週末のオペラ講座の準備。今朝の東京新聞朝刊一面の岩波書店の新刊広告に『真夏の甲子園はいらない』の広告発見。数日前に日本経済新聞にも広告が出ていたと近所の日経を取ってる人が教えてくれた。その方は早速amazonで購入してくれたとか。このあたりからザワザワと動きが起こってくれたら嬉しいけど…マスメディアにはスルーされるに決まってるから…見えない動きに期待したいですね。晩飯は神奈川テレビの「吉本新喜劇」を見ながら。スッチーさんの出演している舞台はいつもメッチャメチャ面白いですね。刑事が人質事件の4人もの犯人と対峙するシチュエーションで豚肉のバーベキューなどまったく意味のないナンセンスな会話の連続は関西版マルクス・ブラザースですね。満足。
5月9日(火)
ベッドでの読書は早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』(ちくま文庫)。スポーツとか野球について考えてる人間にとっては歴史関係の本は政治史の本や経済誌の本を読むよりも生活史の本を読むほうが参考になりますね。「鬼畜米英」という桃太郎の鬼退治のようなスローガンは戦後力道山に引き継がれたけど野茂英雄以来イチローを経て大谷に至る「米メジャー参戦」はどー考えれば良いのかな?これは日米同盟の象徴?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して昼過ぎに大船駅へ。東海道線で東京へ。地下鉄東西線で竹橋へ。財界展望社で氏原英明さんと雑誌『ZAITEN』用に対談。テーマはもちろん高校野球の甲子園大会。高校球児の健康を守るにはどうすればいいのか?どうすればまともな高校生の大会になるのか?プロのような見世物にならないようにするにはどうすればいいのか?だが最初に甲子園大会の素晴らしさを話し合うと開会式前に集合した出場校の高校生たちの最高に明るい笑顔が素晴らしいということで意見が一致。ただし入場行進が始まったとたんにその高校生たちの明るい笑顔が険しく暗い表情に一変するのですよね。そんなことも含めて2時間近く甲子園大会の悪い面や指導者(監督)の問題点などもたっぷりと話し合う。対談に纏めて発売は来月(6月)1日です。乞御期待。地下鉄→JRで帰宅。ロシアのナチスドイツ相手の戦勝パレードのニュースを見ながら晩飯。かつての冷戦時代の「雪解け」の時期より現在のほうが世界は平和から後退しているかもしれないですね。
5月10日(水)
早川タダノリ『神国日本トンデモ決戦生活』読み続ける。第二次大戦中の様々な雑誌が『米本土大空襲』とか『大東亜縦断鉄道旅行』『八紘一宇で決起せよ』と勇ましい言葉をぶち上げる以上に婦人雑誌が『一億総特攻の生活』『敵米英の母に勝て』『台所戦争に勝利せよ』『台所を要塞化せよ』『決戦ブラウスの作り方』なんて特集記事を連続するほうが軍国主義に支配された戦時下の社会の恐ろしさを感じますね。ワン。黒兵衛との散歩は後回しにしてベッドを出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマはカタールのドーハで行われている世界柔道を取りあげて武術と武道とスポーツについて話す。武術(柔術)は殺人技で武道は精神と身体の鍛錬の技。つまり武道=スポーツなんですねという話。武道は武士道だと言う人もいますがスポーツにもスポーツマンシップがあり騎士にも騎士道がありますからね。新渡戸稲造の『武士道』もシュバリーchivalry(騎士道)と書いてますからね。そんな話をする前にスタジオの田端竜介さんと田中みずきさんがラジオの聴取者からの小生の『Catch up』の話が面白いとの声を紹介してくれました。こういう声は本当に嬉しいモノですね。あ。武道(柔道や剣道)がスポーツだと言う話はしましたけど新渡戸稲造までは話さなかったのでマタ改めて。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。五月晴れは気持ちいいですね。今日のデスクワークは週末の中日文化センターでのオペラ講座モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』のレジュメ作り。『ドン・ジョヴァンニ』はあらゆるオペラのなかでも最高峰に位置する大傑作ですよね。小生の好きな五大オペラは『ドン・ジョヴァンニ』の他ヴェルディの『ドン・カルロ』ワーグナーの『ワルキューレ』プッチーニの『ラ・ボエーム』R・シュトラウスの『ばらの騎士』ですね。晩飯はロシアの戦勝パレードの解説や日本の白昼強盗や青少年刺傷事件のニュースを見ながら。世の中殺伐たる時代になってきたのかな?
5月11日(木)
早川タダノリ『神国日本トンデモ決戦生活』は戦時中の普通の人々の生活が当時の雑誌の記事や新聞の広告などでイロイロと描かれていて驚くことばかり。戦車の絵の横に《キャラメルも戦ってゐる!》というのは森永ミルクキャラメルの宣伝。英語追放の時代にミルクキャラメルはイイのかな?とチョイと首を傾げたが何より驚いたのは『婦人倶楽部』昭和17年2月号の記事。《空き地利用の薬草栽培》と題して家庭菜園での「罌粟(けし)の栽培法」と「阿片の作り方」が紹介されている。《罌粟から採る阿片は重要な薬用の原料ですが事変以来民間も軍需も非常に利用が増加し入手がだんだん困難になって来ましたので政府では大いに力瘤を入れてゐるのです。種子は府県の衛生課に申し込めば無料で頂けます》とは驚きだ!種を蒔いて育てて《花が散って罌粟坊主が出来たら時期を見て小刀で切傷をつけそこから出た汁を篦(へら)で掻き取り茶碗に集めるのです。これを日干しにして乾かし細かく砕いて缶に入れて貯蔵しますがこれがつまり阿片で…》大日本帝国では「大麻もヒロポンも合法で阿片は満州や樺太で国策として栽培していたという事実もある」という。大東亜戦争を振り返る日本人は知っておきたい事実ですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと今日のデスクワークは『スポーツゴジラ』の連載『走』の第6回。「皇居ラン」が始まるきっかけとなった1964年東京五輪マラソンでのアベベの快走と「銀座ホステス皇居一周マラソン大会」について書く。晩飯はボクシング元ミドル級世界チャンピオンの村田諒太が旅して案内するアフリカの「セネガル相撲」を見ながら。このドキュメンタリーは素晴らしかった。「強さ」を求めて世界王者にまでなった村田が満足できない苛立ちを感じて自分の求めていたモノが「自分の強さ」だったという間違いに気付く。本当の「強さ」とは「自分が強いこと」ではなく「他人を助ける強さ」のことだということに気付くのだがコノ結論は本当に素晴らしかった。おまけにセネガル相撲というのもメッチャ素晴らしかったですね。
5月12日(金)
早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』(ちくま文庫)読了。読後感の最高の褒め言葉として私は「面白かった」という言葉をよく使うのだが本書にその言葉は使えない。最高に面白い本だと感じつつも「大東亜戦争」の最後に婦人雑誌の『主婦之友』が《これが敵だ!野獣民族アメリカ》などという特集で《アメリカ人をぶち殺せ!アメリカ人を生かしておくな!》というスローガンを各頁に書き込んでいるのを知るととても「面白い」などとは言ってられない。ここまでやっていたのか…と呆れるほかなかった。最近の日本社会の右傾化について著者は「文庫版あとがき」にこう書いている。《戦後において戦前の〈日本イデオロギー〉群を真正面から取りあげて批判することが不徹底であったからではなかったか》そして《本書では「大東亜戦争」前後に当時の雑誌・広告・パンフレットの類が読者=オーディエンスに訴え押しつけようとしていた大日本帝国臣民にふさわしい「感情生活」や「意識諸形態」のありさまを重箱の隅をつつくように観察することを目指した。神は細部に宿り神国日本は紙くず系古本に宿る》なるほど。その通りですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して夕方から『ニューズ・オプエド』はゲストに小林信也さんと成城大学教授の山本敦久さんを迎えて「真夏の甲子園はいらない!出版記念第6弾!どうする?今年の甲子園大会」山本さんは小林さんと小生の共著『真夏の高校野球はいらない 問題だらけの高校野球』が岩波書店の岩波ブックレットから発行できるよう橋渡ししてくれた人物。同シリーズで『やっぱりいらない東京オリンピック』『東京オリンピック始末記』の2冊を神戸大教授の小笠原博毅さんとともに上梓されていた人物ですからね。その山本さんは我々の本がキッカケになって甲子園と高校野球の問題が広く語られるようになることを期待する多くの発言をいただきました。今も見ることができますからどうぞ。https://op-ed.jp/それに小林さんが甲子園問題を考えることから出発して日本のスポーツ界全体の問題を考える「日本スポーツ再興会議」のホームページも立ち上げられました。https://sposai.jp/about こちらも是非ともよろしく!
5月13日(土)
チョイと早起きして黒兵衛との散歩を早く済ませて(雨中だったので黒兵衛も早く帰りたがったので)イロイロ準備して大船駅へ。東海道線品川経由新幹線で名古屋へ。栄中日文化センターでのオペラ講座のテーマは『ドン・ジョヴァンニ』。7月の兵庫県立芸術文化センターでの佐渡裕さんプロデュースのオペラに合わせてモーツァルトの大傑作を解説(蔵出し音楽を参照してください)。フランス革命前の『フィガロの結婚』に続く貴族批判のオペラとしても面白いしモーツァルト自身の父親コンプレックスとして見ても興味深いですね。ミロス・フォアマン監督の名作映画『アマデウス』のテーマですね。加えてジョセフ・ロージー監督のオペラ映画も素晴らしい出来映えですよね(小生はこの監督のアクション喜劇『唇からナイフ』が大好きです)。それにP・セラーズ演出の犯罪都市(だった)ニューヨーク・サウスブロンクスを舞台にしてNY市警の警視総監を殺害する双子のチンピラ黒人を主人公にした『ドン・ジョヴァンニ』や美人下着モデルが下着姿でワンサカ登場するザルツブルク音楽祭でのD・ハーディング指揮ウィーン・フィルの『ドン・ジョヴァンニ』もナカナカ面白い舞台と見護な演奏ですね。傑作オペラはどんな演出の舞台にも耐えられる根本的なドラマと音楽の強さを備えてますね…等々2時間イロイロ話したりビデオを見てもらったりして講座を終えて新幹線で小田原経由で帰宅。この小田原に停まるひかり号をもっと増やしてくれれば大船から名古屋や関西に通うこと多い小生としてはメッチャ便利で嬉しいのですけどね…と20年以上思い続けてます。JR東海さんリニアよりそっちをよろしく。帰宅してTBS『報道特集』見ながらビール&晩飯。LGBTQの特集が勉強になりました。企業はLGBTQに理解があって差別の解消に積極的なんですね。消極的なのは自民党とそのバックにある宗教団体ですね。
5月14日(日)
昨日寝る前に本棚を漁っていたら本棚の奥にクリストファー・シルヴェスター編『インタヴューズ』という文春学藝ライブラリー文庫3巻本が読まずにあるのを発見。思い出した!これは池袋の立教大学で大学院生相手に授業をしていた約0年前に池袋駅への帰り道の古本屋で発見して買ったけど500頁近い大部3冊なのでパラパラとめくるだけで読まなかったのだ。よし。読んでやるかという気になってベッドに持ち込む。T巻のインタヴューが「マルクスからトルストイまで」でエジソン&ゾラ&オスカー・ワイルド&セオドア・ローズベルトら29人。U巻は「ヒトラーからヘミングウェイ」でフロイト&ムッソリーニ&アル・カポネ&ガンジー&スターリン&フルシチョフ&ヒチコックなど35人。V巻は「毛沢東からジョン・レノン」でケネディ&マリリン・モンロー&ノーマン・メイラー&サッチャーなど22人。なるほど「現代史を一望」ですね。V巻のレノンから読み始める。そう言えば昨日名古屋の栄中日文化センターでオペラ講座を終えた後エレベーターに乗るとデッカいギターケースを背中に担いだ人などで満員。何かなと思うとビートルズのコピーバンドの講座を担当した人たちだった。そう言えば皆さん後期高齢者と思しき人たち。『イエスタデイ』という映画は面白かったですねえ…と短い会話は盛りあがったけどビートルズ世代も高齢化しましたね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。帰宅するとJリーグ30周年で30年前の開幕戦ヴェルディ川崎vs横浜マリノスの試合の再放送をしていたので見てしまう。当時はJリーグの仕事をしたり川淵三郎チェアマンと対談したり…で開幕戦は招待券をいただいて家族で国立競技場で観戦。だからテレビ放送を見るのは初めてでペレやボビー・チャールトンも出演してJリーグ開幕を盛りあげていたのですね。午後からJリーグ30周年記念番組名古屋グランパスvs鹿島アントラーズ。試合の前に小生の知らないバンドのラップのような演奏と若者たちのダンスで盛りあがったようだが高齢者には何を歌ってるのか歌詞がサッパリ聴き取れず…思わず30年は一昔…と呟いてしまう。確か『熊谷陣屋』での熊谷直実の台詞は「16年は一昔」ですから30年となると二昔ですね。光陰矢の如し。夢のまた夢…か。
5月15日(月)
昨日は「マルクスからジョン・レノンまで」のインタヴューを読み始めようと意気込んだが講談社現代新書編集部なから今月の新刊が送られてきた。畑中章宏『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』この希有な民俗学者の解説は是非とも読みたいですね。現代ビジネス編『日本の死角』これも「中国で見た日本衰退の理由」「なぜ若者は結婚しないのか?」「差別とは何か?」等の目次を見て読まねばと思いました。が先ず手にとってベッドに持ち込んだのは辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』。ウヨクもサヨクも間違って捉えている「戦前」という社会をキチンと捉え直そうという企図らしいが《ひとびとのプライドをできるだけ傷つけず速やかに西洋化を図った》のに《神武創業》という神話が利用されたわけですね。神武天皇=明治天皇の見事なドッキング。《「本来の姿に帰れ」という掛け声には何かやましいものが紛れ込んでいないか常に警戒心を持たなければいけない》のですね。「伝統とは起源の忘却」とミシェル・フーコーも言ってますからね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとデスクワークは『ZAITEN』連載「今月のスポーツ批評」第69回。メジャーのピッチクロックとピッチコムについて書く。バッテリー間とのサイン交換のためのピッチコム(無線装置)は1980年代に既に日本のスポーツ品メーカーM社が開発していたのですよね。しかしスパイ野球の全盛期にジャミング(妨害電波)で使えないと現場の監督やコーチに否定されたのでした。日本のプロ野球は試合時間の短縮などリーグ全体の発展を考えずに自分のチームが勝つことばっかり考えているから駄目なんですよね。晩飯は「吉本新喜劇」を見ながら。自分の住まいの天井裏や地下室に見知らぬ家族が闖入者として存在するというシチュエーションは安部公房の戯曲『友達』やシュニトケのオペラ『愚者との生活』と同じ発想ですね。ヨシモトの舞台も面白かった。
5月16日(火)
辻田真佐憲『「戦前」の正体』読み続ける。面白い。明治新政府(天皇)は大日本帝国憲法も教育勅語も皇室典範もすべて記紀神話に無理矢理結びつけて《国体論》を成立させたのですね。そして《国体論は細切れにされながら現在でもしぶとく生きている.右派が皇位継承者を男系男子にこだわるのはその典型であるし選択的夫婦別姓に忌避感を示すのもこれが関係しているのではないか。家族のまとまりが解体されれば家族単位で天皇家と結びつく「一大家族国家」という理想が崩れかねないからだ》ナルホド。欧米の「個人主義」に対して「万世一系の天皇」を中心とする「一大家族国家」を「国体の本義」とするならウヨクの皆さんははっきりとそう言うべきですね。現在の上皇様以来の現憲法と民主主義を守る姿勢を表す皇室なら「皇室を中心とする一大家族国家」に賛成する人が多いとも思えますが…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと原稿を送ったり校正をしたりしていると何やら身体が熱っぽく怠いので体温を測ると38.9度もある。ナンデヤネン。まさか名古屋往復でコロナかインフルエンザをもろてきたんとちゃうやろなぁ…と不安に思いながら晩飯抜き酒も抜きでベッドへ。酒もビールも一滴も飲まずに寝るなんて何年ぶりかな。トホホ。
5月17日(水)
12時間ベッドで横になったせいかカロナール(熱冷まし)のおかげか体温は少し高い(37,6度)が頭はシャキッとする。『「戦前」の正体』メッチャメチャ面白い。平田篤胤などの国学は幕末から明治にかけてどんどんオカルト染みてきて世界制覇を真面目に語るトンデモ学問になってしまったのですね。宮崎市の八紘一宇の塔は戦後平和の塔となり(八紘一宇のママですけどね)1964年東京五輪での宮崎県聖火リレーの出発点になったのですね。戦前は微妙に戦後に続いてるのですね。つい最近読了した早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』(ちくま文庫)と合わせ読むと《戦前》という社会のあり方がよくわかります。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは大谷選手の2度目のサイクルヒット惜しくもならず。メジャーでは3度記録した選手が3人日本のプロ野球でも1人いるのですよね。それより凄いサイクル記録はサイクル…ホーマーでソロ・2ラン・3ラン・満塁の4ホーマーを打つこと。ヤクルトのスコットという選手がダブルヘッダーで1日で記録したことはあるけど1試合ではメジャ主含めて一人もいないのですよね。惜しかったのは1994年ヤクルトのゴメス選手。ソロ・3ラン・2ランと3ホーマー打ったあと満塁で打席が回ってきたが力みすぎてか三振。85年のレオン(大洋=横浜)も惜しかったですね。満塁・2ラン・3ラン統治のコルはソロだけだったのに駄目だった…手な話を楽しくしたあと黒兵衛と散歩。ラジオで話す間はテンションが上がるけど体温も上がって38.2度。少々寝たあと午後から『ZAITEN』氏原英明さんとの対談速記録を原稿に仕上げる作業。思いっきり根を詰めて行うが午後6時で半分くらい書いてダウン。晩飯?き込んでカロナール飲んで寝る。明日朝には気力で風邪かコロナか知らんけど体温下げるぞー!
5月18日(木)
睡眠は百薬の長。酒も良いけどやっぱり睡眠ですね。で朝起きると体温も36.0度。元気に黒兵衛と散歩して色づき始めた紫陽花を見たあと体操して対談原稿の執筆にかかったら大ショック。亀治郎さんが否猿之助さん一家が事故。なぜ?インタヴューさせていただいて小生の単行本『天職人26人の仲間たち』(講談社)にも纏めさせてもらって彼がMCを務めるラジオ番組にも2度呼ばれてオペラやスポーツの話をさせてもらって一緒に盛りあがったり…いつかオペラの演出をと言ったりして…スーパー歌舞伎『新三国志』見せてもらったり…京都公演に母親も一緒にも招待してもらったり…歌舞伎座にも何度か…なのに……なんでやねん!?……何があったんやねん!?参ったなぁ。ショックやなあ……
5月19日(金)
小生は何より睡眠が大好きで熟睡できたほど幸せなことはない。気分転換にも熟睡が一番。この至福の熟睡で意見が一致したのは野村万之丞と平尾誠二と市川亀治郎だった。嗚呼。
5月19日(金)つづき
辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』(講談社現代新書)読了。メッチャ面白かったし戦前という時代が古代神話と結びついて虚構の物語のなかに存在していていたことがよくわかった。なるほど人間(国民)は物語(虚構)を必要としているのですね。宗教も虚構ですからね。そして「戦後」の終了した今日本人は次にどんな「虚構」と共に歩み出せばいいのか?折しもG7が広島で開催されている。「被爆国としての物語」を成立すべきかもしれませんね。それには戦前の「誤った神話解釈」を訂正し軍国主義の招いた悲劇を反省しなければなりませんね。それが広島平和公園の碑に刻まれた「あやまちはくりかえしませんから」という宣言なのでしょう。ベッドを出て綺麗に色づいてきた紫陽花を見ながら黒兵衛と散歩のあと『ZAITEN』氏原英明氏との対談を校正。タイトルは「大人たちは高校生に甲子園を開放せよ!」最近の夏の甲子園大会は相当に「崩れてきた」みたいでジャニーズ系とも見えるTVタレントが高校野球雑誌の表紙に使われているとか。高校野球の「天皇」とも呼ばれた故・佐伯達夫氏が高野連の会長のときだったら考えられないことですね。しかし高校野球はいつになったらプロ野球のような「見世物」であることをやめて高等学校のクラブ活動に戻るんでしょうね?夜は「チコちゃん」を見ながら晩飯。猿之助さんは命を取り留めたとか。両親を亡くして良かった…と言えるのか…?
5月20日(土)
ベッドのなかの読書『インタヴューズV毛沢東からジョン・レノンまで』(文春学藝ライブラリー)のジョン・レノンへのインタヴューを読んで最後の言葉に驚愕仰天。『ローリング・ストーン』誌のインタヴュアー(ヤーン・ウェーナー)の質問「自分が64歳になったらどうなってるか(♪"When I'm 64"ですね)想像できますか?」に対して次のように答えている。「アイルランドの海の近くとかそういったところに住んでいる素敵な老人夫婦になっていたいと思うのです」これってダニー・ボイル監督の素晴らしい映画『イエスタデイ』でビートルズを誰も知らない世界に生まれ変わった主人公がビートルズの歌を歌って世界の人気者になったあと最後にメッチャマイナーだったリバプールのビートルズを知っていた老夫婦に言われるまま逢いにいった男(ジョン・レノンにめがねも顔もそっくりなジョン!)のことではないか!海のすぐ傍の家に静かに暮らす78歳の男!(レノンが生きていたら映画が作られたときの年齢!)。主人公に「愛」を語りビートルズの音楽のパクりに悩んでいた男を救うジョン(レノン)。ダニー・ボイルももちろん『ローリング・ストーン』誌に掲載されたこのインタヴューを知っていたのでしょうね。映画『イエスタデイ』がますます好きになりました。
5月21日(日)
ベッドのなかの読書『インタヴューズV』は大統領選の民主党候補者に選ばれる直前のJ・F・ケネディ1960年7月の記録。当時のドゴール仏大統領がソ連(ロシア)を味方に付けて中国と対峙すると主張していたのに対して「ソ連と西側の共通利害がソ連と中国の共通利害を上回るようになるには時間がかかる」と発言しているのは興味深いですね。フランスは文化的にもロシアに近いけど中国よりもスラヴのほうが時間がかかっても与しやすしと考えてたのかな?台湾問題については「中共」との境界線を《金門と馬祖で引いたのはまずかったと思います。あれは台湾防衛に不可欠ではない》との発言も興味深いですね。さらにインタヴュアーが「アメリカが台湾を手放すことができるか?」との質問に対して《何の見返りとして?》と訊き返しているのも面白い。政治家として凄いリアリストであると同時に《民主主は非常に繊細な植物です(だから丁寧に育てないと)》と理想も語る。やっぱり極めて優秀な教養溢れる政治家であったことわかりますね。G7で「核廃絶」を振り回すだけでなくほんの少しでリアリスティックな実践のメッセージが欲しいですよね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。紫陽花って本当に綺麗ですなぁ。ワン。午前中チョイと仕事したあと庭の木や草の剪定。俺を見ていた向かいの家のアーティストさんが少し手伝ってくださる。お礼にと言うわけではないけど絶対に喜んでいただけると思えるCD(本願寺の声明とグレゴリオ聖歌のコラボ&チベット佛教の超低音集団合唱の声明&櫻川唯丸の河内音頭)を貸してあげる。大船では「大船祭り」をやっていたけど庭掃除で疲れてパス。大相撲を楽しみながら酒&晩飯のあと「テニス界改革集団」の方々からの招待でテニス界改革の会議にリモート出席。日本テニス界の最大のイベントが「日本リーグ」だとは知らなんだ。いろいろ勉強。外部からの意見もいろいろ言わせていただいて。チョイと疲れてベッドへ。ゼレンスキー・ウクライナ大統領の来日はやはり意味深いとは思うけど岸田首相はヒロシマを利用しただけではなくチョットでも有効なメッセージを発してほしかったけど…
5月22日(月)
朝の読書『インタヴューズV』はJ・F・ケネディに続いてマリリン・モンロー。1960年8月の声。自殺する2年前。アーサー・ミラーとの幸せな日々を語っている。《私を知っている人なら誰でも私が嘘をつけないことがわかってる》なるほど。彼女の言葉を聞くと彼女が本当に真面目な女性で真剣に人生を生きていたことがよくわかります。続けて毛沢東。《核兵器は張り子の虎》と言った真意について。《核爆弾が民衆を殺せることは言うまでもない。しかし結局のところ民衆の力が爆弾を破壊するようになるだろう。そうなれば核爆弾も本当に張り子の虎になるのじゃないかね》このエドガー・スノーとのインタヴューは1965年2月。中国が1964年10月東京五輪の最中に核実験に成功した4ヶ月後の発言でヴェトナム戦争が泥沼化し始めたときのことですね。しかし「民衆の力」が「爆弾を破壊」してもその後中国がヴェトナムに攻め込んだりもした(中越戦争)わけですから為政者の言葉と行動は信じられませんね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。G7の指導者たちが原爆資料館(広島平和記念資料館)を見学して被爆者の話す言葉を聞いたのは悪いことではないでしょうけど次はプーチンと習近平と金正恩を招かなきゃ。ワン。終日いろいろデスクワーク。どの週刊誌が書いていたのか忘れたけど椅子に座り続けると寿命が縮むとか。週刊誌もネタがないのかな?アフリカのサバンナで暮らしている原住民よりも都会のオフィスでデスクワークをしているビジネスマンのほうが平均寿命が長いことをどう説明するのかな?マスメディアはジャニーズ問題の次は是非とも高校野球と甲子園大会の問題を取りあげてほしいですね。「メディアの責任/無責任」という点では結構共通点がありますからね。夕方から大相撲。明星が照ノ富士を破った一番は素晴らしかったですね。晩飯は吉本新喜劇を見ながら。新喜劇と吉本のTVタレントの違いは分析してみる価値がありそうですね。特に最近のお笑いタレントは「熊さん八さん」的立場を逸脱していますからね。
5月23日(火)
朝の読書『インタヴューズU』はアル・カポネ&ヒトラー&ムッソリーニ。どれもなかなか読み応えのある内容に考えさせられた。禁酒法を非難してこんな悪法は早晩廃止されると断言しつつ生産行為や商行為でなく金融行為で利益を得る大銀行を強烈に非難するカポネが大衆の支持を得たのも理解できる。莫大な金額の慈善行為も行ってましたからね。身についた暴力体質だけは肯定する気になれませんが…そのカポネが絶賛するムッソリーニはかなりの教養人だったことがわかった。彼はマキアヴェッリの信奉者でナポレオンに憧れながらも皇帝になったことを非難するのはベートーヴェンと同じ気持ちだとか。ナルホド。彼が古代ローマ(カエサル)と自分を結びつけたのは明治天皇(の側近たち)が神武天皇と結びついたのと同じ手法ですね。そのムッソリーニやり方を真似たヒトラーはもっとリアリスティックな政治家でヨーロッパ東部はドイツ第三帝国の植民地とはっきり断言していたのですね。ただ微妙なのはソ連との関係。カポネは金融資本主義と同時にボルシェビキ共産主義を完全に否定していたけどリアリストとしてのヒトラーは手を握ることも考えながら最後には国家社会主義の共産主義に対する優位を主張した(夢想した?)のですね。ナチス・ドイツは結局それで「失敗」したけど独裁政権というのはナチス(ヒトラー)もファシズム(ムッソリーニ)もギャング(カポネ)も結構シブトイものだいうことがとよくわかりました。プーチン&ルカシェンコ&習近平&金正恩…はどこまで続く?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。紫陽花が色付いたことを「満開」というのかな?何か違うような気がするなぁ。ワン。終日デスクワークは北國新聞の月イチ連載「スポーツを考える」第69回。投手大谷も使っているピッチコム(サイン無線伝送装置)について。日本のほうが早く開発してたのにスパイ野球合戦のジャミング(妨害電波)でお蔵入り。野球界の発展ために使うMLBと一部の球団が勝つために開発したNPBの根本的な違いがこんなところにも表れてますね。
5月24日(水)
朝ベッドでの読書『インタヴューズU』はヨシフ・スターリン。スターリン(鋼鉄の人)は言わば芸名(政治家名?)で本名はヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・ジュガンヴィリというグルジア(現ジョージア)人。彼を「人類最大の裏切り者」と考えているインタヴュアー(エミール・ルートヴィヒ)の鋭い質問「この国の恐怖の政策は多くの人々に恐怖の念を抱かせていると思われます/国民は長い苦しみのなかで服従することに慣らされている」にもまったく動じず「あなたは誤解しています」と淡々と答えるソビエト高級官僚の自己正当化の回答は本当に面白くない。官僚の言葉は共産主義社会も資本主義社会もツマラナイですね。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは最近のメジャー野球もプロ野球も審判への抗議がなくなったという話。野球規則にあるアンパイアのジャッジは最終決定というルール(規則8・02)を厳格に守るようなったこと(抗議する選手は退場)とVTR検証がルール化された影響ですね。さらにアンパイア(判定者)とレフェリー(仲介依頼を受けた人物)の違いなどを話す。日本語ではどちらも審判ですが意味は全然違うのですよね…テニスやバドミントンや野球のようにボールの「正邪(フェア・ファウル)」や選手の「正邪(セーフ・アウト)」を(あまり)移動せずに判定するのがアンパイア。選手と一緒に移動して選手の行為の「正邪(正当行為・反則行為」の判定行為を下す依頼を受けた人物がフットボールやボクシングやレスリングなどのレフェリーなんですね。サッカーのレフェリーのユニフォームが黒いのは昔ピッチの外で判定していた人物が着ていたフロックコートの名残なんですね…いろいろ話したあと黒兵衛と散歩。紫陽花はますます綺麗に色付く。終日デスクワークは昨日送稿した北國新聞のコラムの校正や連合通信の連載「スポーツ博物館」執筆。スポーツにおける電子装置はどこまで進化するかという話。夕方から大相撲。朝乃山は明星から勝ち星を拾ったけど照ノ富士との優勝決定戦なんてのになると面白いですね。
5月25日(木)
『インタヴューズU』の読書はスターリンの2本目。1934年でインタヴュアーは何とSF作家のH・G・ウェルズ。世界史の著作もあるからもちろん聞き手としては適任者。ローズヴェルト大統領のニューディール政策やフォードの大量生産ベルトコンベアシステムと社会主義の相違点の有無をウェルズは質すがスターリンは資本家の搾取構造について官僚的原則論を答えるばかり。ウェルズが「どうやら私のほうがあなたよりよほどずっと左寄りですね」と言ったのには笑ってしまったが当たってますね。相手はロマノフ朝からマルクス朝に代わっただけの皇帝(独裁者)ですからね。続けてパブロ・ピカソに対するインタヴューを読んでホッとする。やはりヒトラー&ムッソリーニ&スターリンという独裁者で支配者の言葉よりもアーティストという必然的に被支配者の側に立って作品を世に出している人物の言葉のほうがずっとヒューマニスティック(人間的)だし優しい。《私の絵は象徴とは無縁だよ。シンボルを用いたのは「ゲルニカ」だけだ。/私はシュールレアリストではない。常に現実のエッセンス(現実のリアルさ)に関わってきた》ゲルニカの雄牛はファシズムの象徴ではなく暗闇と野蛮さの象徴だというピカソに対してインタヴュアーは「ファシズムは暗闇と野蛮さをもたらすからやはりファシズムの象徴と言えますね」と言う。ピカソは「それはあなたの解釈だよ」なるほど。多くの解釈を許すピカソはアーティストですね。ワン。連合通信の原稿を完成させて送稿。明日の『ニューズ・オプエド』のゲストに小林信也さんの紹介で都立高校野球部を甲子園に導いた長嶺功さんを招くのでその準備などいろいろしていたら大相撲で宇良が翔猿相手に「頭捻り(ずぶねり)」を決める。面白いですね。明日は相撲ジャーナリストの荒井太郎さんにも電話で話を聞くことにしましょう。
5月26日(金)
朝のベッドでの読書は送られてきた『週刊文春』『週刊新潮』の猿之助さんに関する記事を読む。少しは「事件」の詳細がわかったところで凄い役者を失うかもしれない残念な気持ちが解消するわけではない。それ以上にニュースとして興味があるのはジャニー喜多川氏の性犯罪に関する記事。コレは絶対に性犯罪スキャンダルで終わらせるべきではなく日本のマスメディアの自己批判(ジャーナリズム以上に事業=金儲け体質が露骨なことや新聞とテレビが結びついたクロスオーナーシップの問題)へと進んでほしいですね。スポーツ(オリンピックや高校野球)とメディアの関係も同根ですから。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。紫陽花が様々な色に一段と色付く。紫陽花は多様性の象徴と言えるかもしれませんね。虹色に似た紫陽花もありますからね。ワン。イロイロ準備して『ニューズ・オプエド』の前に大相撲をチェック。朝乃山はイマイチ必死さが足りないのか相手力士に対する研究不足か。国技館から電話出演で相撲ジャーナリストの荒井太郎さんにいろいろ解説してもらったあと後半の特集のゲストは元都立高校の教師で野球部監督として高校野球研究会を創って指導者の勉強会に尽力した長嶺功さん。教え子の監督が都立城東高校を率いて2度の甲子園出場を果たすなど都立高校の私学野球校に対する可能性を示した人物の言葉は重かった。高校野球は高校生の教育だから練習は1日3時間以内。必ず練習休みの日をとって野球部員は野球以外の部活動も行うべし!という意見は私学高校の専任監督にも聞いてほしいですね。いや一番聞いてほしいのは高野連と朝日新聞かな。オプエドを終えて久し振りにヨメハンと一緒に『鮨処もり山』へ。フランスから帰ってきた隣人と楽しく美味しくワイワイガヤガヤ。今回の日本滞在は長いらしい。総理大臣の息子が阿呆なことをする程度の低い国ですが楽しく過ごしましょう!
5月27日(土)
ベッドでの読書は『インタヴューズU』からマハトーマ・ガンディとニキータ・フルシチョフ。独立運動の倫理的指導者と硬直したスターリニズム的共産党の改革に手を付けた2人は教条的でなく人間的で政治家とは言い難いところがある。それだけに話す内容は面白い。とりわけフルシチョフの地方分権論は後のバルト3国や中央アジアのイスラム諸国の独立につながる要素がありますね。またフルシチョフに対して「ソ連の新聞はあなたを批判する権利があるのですか?」との問いに対して「あります」ときっぱり答えている姿勢は後のゴルバチョフのグラスノスチにも通じますね。だからガチガチの共産主義者(と言うより独裁者)からは否定され追放の憂き目に遭ったのでしょうね。続けてアルフレッド・ヒッチコックのインタヴューも読む。面白い!《私は謎解きの手法は使ったことがない。それは絵空事と結びつくしサスペンスを拡散させ焦点をぼかしてしまう。/私はすべての事実をできるだけ早く観客に知らせるべきだと信じているんだよ》だから小生はヒッチコックの大ファンでアガサ・クリスティなどの探偵モノが大嫌いなんですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。色々な紫陽花が色々咲き誇っている。色という漢字に似合う花ですね。何色くらいあるのかな。ワン。ヒッチコックが広島に原爆が投下される前にウランを題材にしたスパイ映画『汚名』を構想しマンハッタン計画の幹部に取材していたというのは面白い。岸田G7のほとんど意味のないヒロシマ・ビジョンよりもよほど核の恐怖を示してるかも…しかしそれとは別にヒッチコックの卵嫌いには笑ったなぁ。映画『泥棒成金』ではグレース・ケリーに茹で卵の黄身にタバコを押し付けて消させるシーンがあるとか。憶えてないから見直そう。ヒッチコックへのインタヴューが読みやすくて面白いと思ったら文末に【和田誠・訳】とありました。さすがですね。ヒッチコックの魅力に当てられて『トリュフォー/ヒッチコック映画術』(晶文社)を引っ張り出して読んだり…仕事はチョイとだけの土曜日でした。夕方から大相撲。照ノ富士は強いですなぁ。録画しておいた日本のテレビで唯一の報道番組TBS『報道特集』見ながら晩飯。NHK『ブラタモリ』で屋久島を楽しんだり世界卓球を見たり…でチビチビ酒を飲むのは楽しいモノです。早田ひなの準決勝敗退は残念でも準々決勝フルセットのジュースの繰り返しで中国の王芸迪に21−19で勝った試合は凄かったですね。
5月28日(日)
朝の読書は『インタヴューズU』から1930年のジグムント・フロイド。《70歳を過ぎると謙虚に人生を受け入れることができるようになった》と語りナチスから逃れてアメリカにやってきたフロイトは《死と愛はひとつがい》ということについて語る。《死と愛が手を組んで世界を支配しています。最初精神分析は愛が一番重要であると仮定しました。今日我々は死も等しく重要であることを知っています。内部でどれほど激しく生命が燃えていても生物学的にはあらゆる生き物は涅槃に憧れています。”生きるという熱”の停止に憧れています。天国で安らかに眠ることに憧れています。この欲望は様々な回り道によって偽装されたりしますが生命の究極の目的は己の消滅なのです》確かに。昔大学のトイレの落書きに《エロス+タナトス=ジャズ》と書いてあるのを発見したことがある。何日か後に《ジャズ》が消されて《ロック》と訂正されていた。音楽がまだ大きなパワーを持っていた時代の落書きですね。今では音楽も精神分析もパワーがなくなったかな。それにしてもフロイトの語る言葉が面白いと思ったら文末に《岸田秀・訳》と書かれていた。『ものぐさ精神分析』は面白かったなあ。読み直すかな。続いて1958年のアーネスト・ヘミングウェイ。小生の大好きな『老人と海』について(この小説はスポーツの本質論すなわち人生のすべてを書いた名作ですよね)…いやヘミングウェイの言葉は鮫と酒の話に終始。サスガはハードボイルド作家ですね。キューバ革命直前のハバナ近郊の自宅で元気だった彼もやがて《涅槃への憧れ》に導かれてしまうのですね。ソフトボイルド(半熟卵)作家なら長生きしたのかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと終日庭仕事。タマの肉体労働を疲れるけど気持ちイイですね。千穐楽の大相撲を楽しんでニュースを見たあとTBSでやってた甲子園のホームラン王を見てみる。何の批判精神もない高校野球垂れ流し番組。まぁテレビのタレントトークに文化的批判精神を求めるのは八百屋で魚を求めるようなものかな?『日曜美術館』で左官屋さん出身のアーティストの見事な作品を見る。写真家の佐藤健寿さんい『世界奇界遺産』がメッチャ面白か続けて続けて仁左衛門の『松浦の太鼓』。京都祇園町出身の小学校の先輩(関係ないか(ーー;)の演技は実に美事でした。獅童の大高源五も素晴らしかった。歌舞伎の素晴らしい舞台を見るとどうしても最近の事件が頭に過ぎり少々寂しい気持ちになります。
5月29日(月)
朝の読書は筑摩書房のPR誌(と書くと安っぽく聞こえるが)『ちくま』6月号(定価110円のこの冊子は毎月読む価値が高い)の斉藤美奈子さんの連載『世の中ラボ157回』はやっぱり興味深かった。テーマは『「ジャニーズ問題」が暴き出したもの』。毎回3冊の本が選ばれて紹介される。今回は@稲垣足穂『少年愛の美学−A感覚とV感覚』河出文庫A丹尾安典『男色の景色』角川ソフィア文庫B高原英理・編『少年愛文学選』平凡社ライブラリー。それぞれに紹介されている帯の文章を読むだけでオモシロイ。@A(アヌス)感覚はV(ヴァギナ)感覚とP(ペニス)感覚の分化に先立ち宇宙的郷愁を伝えてくれる。A万葉集・世阿弥・琳派・三島・川端−日本文化史を艶に彩る男と男のいる風景。B国家的暴力・家父長的暴力へのアンチテーゼとして生まれた少年愛の文学。Bの帯文に従うと「ジャニーズ事件」は新たな「家父長的暴力による強制的男色」で時代に逆行する行為と言えるわけですね。斉藤美奈子さんの解説も面白かったが芸能産業と結びつきジャーナリズムを放棄したマスメディアの問題に触れられてないのは残念。次の機会によろしく。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。雨垂れポツポツのなかの散歩で黒兵衛の雲古が済むと早々に退散。紫陽花は梅雨の雨によく似合う。ワン。終日デスクワークはフォーラム8の機関紙『Up and Coming』の連載『スポーツは教えてくれる』第23回でメジャーの「ピッチクロック(投球時間制限)」と「ピッチコム(サイン伝送無線電子装置)について詳しく書く。ピッチコムは日本のプロ野球(スポーツ用品メーカー)によってメジャーより30年も早く開発製造されていたのに「スパイ野球」と「妨害電波」のためにお蔵入りしてしまったのですね。メジャーはファンのために利用が始まった。プロ野球は自分のチームが勝つために悪用しようとした。そこがMLBとNPBの最大の相違点ですね。晩飯は吉本新喜劇を見ながら。関西人には楽しいひとときです。続けてNHK『映像の世紀バタフライ・エフェクト』は『ベトナム戦争マクミランの誤謬』。データの数字ばかりを信用した天才は大失敗したわけですね。今もデジタル社会では誰も彼もが数字で動いて失敗している?
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『くたばれヤンキース』 一番有名なドーネン映画は『雨に唄えば』でしょうが、これもドーネン監督。振り付けはボブ・フォッシー。流石ですね
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5月30日(火)
朝の読書は昨日届いた『ZAITEN』7月号(財界展望社)。もちろん小生の連載『今月のスポーツ批評 日本のプロ野球が米メジャーの下部組織(マイナー)になる理由』や氏原英明氏との対談『大人たちは高校生に甲子園を解放せよ!』も掲載されているが『佐高信氏の賛否両論』で元参議院議員の平野貞夫氏を迎えての連載対談『維新の裏に統一教会あり/統一教会問題は終っていない』が強烈だった。今回の選挙は《(平野)地方の統一教会の組織はもの凄い力があるということが分かった選挙でした/やっぱり維新と統一教会のつながりは強いものがある》《(佐高)維新は安倍を党首に担ごうとしていた。清和会はイコール統一教会ですから清和会と維新が手を組むということは維新の方が自民党以上に統一教会なんですね》《(平野)今度の選挙でそれまで自民党を支えていた統一教会が維新へ移った》《(佐高)維新はカジノ利権にすがろうとしていて…》《(平野)はい。維新は様々な問題で警察検察が内偵しているしているという情報が…》全部書き写せないのが残念ですがマスメディアの報道ではわからないこと満載でした。平野貞夫さんは何かのパーティで偶然お会いしたときに「日本で最初に野球をやった人間は絶対にジョン万次郎ですよ」などと話しかけられて楽しく話をさせていただきました。ワン。ベッドを出て梅雨の合間のような天気のなか黒兵衛と散歩。終日デスクワークは最近書いた原稿の校正など色々。そー言えば昨日は晩飯前にスタンリー・ドーネン監督のサスペンス映画『アラベスク』を見ました。昼間40分見て晩飯前に録画早送りで見た映画の感想など書けませんがソフィア・ローレンは素敵でした。ドーネン監督は『雨に唄えば』や『シャレード』が一押しですが『くたばれヤンキーズ』なんてモノのメガホンも取ってるんですね。今日の晩飯のあとはこれまで唯一未視聴だった『グッドモーニング・べトナム』。ヴェトナム戦争を肯定も否定もしないまま戦争批判は見事です。イイ映画でした。ロビン・ウィリアムスの演技もいいですね。監督のバリー・レヴィンソンは『レインマン』も創ったのですね。サスガ。
5月31日(水)
朝の読書は『ちくま』6月号。小生は森田真生氏の文章を読むのが大好きで『数学する身体』(新潮社)で足し算をするときは脳の視覚野が左から右(引き算をする右から左へ右から左)へと動くモノを追うときと同じ動きをするという一文を読んだだけで目から鱗がボロボロ落ちた。だから魚や動物の図鑑の絵は頭がほとんど左にあるのですね(魚や動物の体を左から右へと足し算で目を動かすほうが引き算よりもラクなんですね)。陸上競技等が左回りなのも近くで動くモノを左から右へと足し算で目を動かすほうが(動くモノを追う)ほうがラクだからですね。『ちくま』の連載『僕たちの「センス・オブ・ワンダー」第11回』も《この惑星では夜空と青空がくり返されていく》という一文を読むだけで太陽系の不思議さと宇宙の素晴らしさを感じますよね。これは科学者の文章ですね。森田氏の肩書きは《独立研究者》。スゴイ。かつて養老孟司氏が肩書きに使っていた《フリーの解剖学者》ほどの怖さはないですが凄さでは並びますね。ワン。黒兵衛との散歩は後回し。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマはプロ野球の交流戦をキッカケに野球のトリヴィア。かつて大日本東京野球倶楽部と名乗っていたチームがアメリカ遠征で神武天皇の金の鳶から「東京ゴールデンカイツ」と名乗ろうとしていたところが「カイト(鵄)」には隠語で詐欺師の意味があるとわかって困っていたところへアメリカ人がジャイアンツにしろと言われた結果球団名が日本書紀(金鵄)から旧約聖書(巨人ゴリアデ)に代わったとか…かつて南海ホークスが南海コンドルズという球団名を付けようとしたところが和名が「ハゲワシ」当時の社長の頭髪を考慮してホークスに代わったとか…ジャイアンツの帽子に「TG」(現在はYG)というマークを付けたのはニューヨーク・ヤンキースの帽子の「NY」がニューヨークの略だと知らなかったから(ニューヨーク・メッツの帽子もNYですからね)…大阪タイガースが帽子にOと付けていたのが正しいのですよね…なんて話をいっぱいしたあと黒兵衛と小雨の中を散歩。颱風はどーなるかな?颱風は台風よりコワソーですね。ワン。終日色々デスクワーク。ふうううう。
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