11月1日(木)
コラム2本書いて日本シリーズ。アッタマに来た。これが野球か!?野球の醍醐味はどこへ消えた!?ナンデ完全試合の山井を変えるねん。Wシリーズでもたった1回の記録をナンデ潰すねん!野球の最も美しい瞬間を消したのは誰や!スポーツに対する冒涜や!これが野球やというのであれば俺は野球ファンをやめる!これが落合野球やというなら…。日本一になったんやからサッサと辞めてほしい。午前中に中日新聞に優勝予定稿のコメントを電話で送っていたが急遽電話して削除してもらう。100年に1度あるかないかの凄い興奮の瞬間よりも53年ぶりの優勝を確実にしたかったというならナント小心な夢のない野球か!本当に気分が悪い。
11月1日(木)つづき
フジテレビの「スポルト」に出た落合監督が話してた。「今だから話せるけど」山井に「豆ができた」んやって。そやから「投手コーチの判断は早かった」んやって。そうか。「日本シリーズ完全試合」を断念するほどの「豆」やったんやね。そらシャーナイわな。それほどの「豆」やったんならシャーナイわな。「日本シリーズ完全試合」を断念せんとアカンような「デッカイ豆」で「痛い豆」ならシャーナイわな。投手コーチが判断したなら監督としてはシャーナイわな。しかし俺の気分は…。俺の気分くらいドーデモええけど絶対に二度と見られないと断言できるほどの最高に美しい野球の瞬間が消えたことは…。そうか。「豆」やったんか。それは俺の「価値観」では理解できん。「価値観」が違うんやからドーデモええワ。一所懸命応援した自分が虚しい。「日本シリーズ完全試合」に興奮した自分が阿呆やった。それだけのこっちゃ。
11月1日(木)深夜
午前4時。気分がむしゃくしゃして眠れへんので書く。スポーツには必ず勝利と敗北がある。勝利を喜び敗北を悲しむのは「関係者」だけである。しかしスポーツには勝利と敗北に関わりない人々の心をも動かす瞬間がある。その瞬間こそ尊くスポーツが多くの人々に愛されている理由といえる。勝利と敗北だけが全てならそのスポーツは卑小な存在に留まるだろう。まぁ「豆ができた」んやからシャーナイけどね。しかし「金儲けをしてどこが悪いんですか」と嘯いた守銭奴の言葉が思い出されてならない。世の中おかしいで。いや邪推は止めよう。本当に「豆」で投げられなかったのだ。仕方なかったのだ。投げられないほどの「豆」だったのだ。それを事実と信じないと来年から野球を楽しめなくなる…。ダルビッシュは美しかった。もちろん山井も岩瀬も。
11月2日(金)
朝起きて友人からのメール。MSN産経ニュースというところが小生のHPを見たらしく『落合采配に玉木氏も激怒「中日新聞への寄稿やめる」』というタイトルでニュースを配信してるらしい。これはちょっとニュアンスが違う。「寄稿」というと「原稿を書く」こと。小生はドラゴンズ優勝の喜びの輪の中に入る気になれなかったからあらかじめ電話で喋っていた「優勝コメント」(中日のスカウト陣の素晴らしさが優勝の一因…等)の削除を電話で申し出ただけ。原稿を書いたり書こうとしたわけではない。「落合采配」にはテレビでもいろいろ「賛否」両論出てるけど「豆」やったらシャーナイで。投げられへんほどの「豆」やったら…。
11月2日(金)つづき
なぜか(理由はわかってますが)このHPへのアクセスが激増しているらしい。野球の話にばかりカッカとせずに右のコンサート情報やオペラのDVDの情報等も見てくださいね。スポーツまで世知辛くなった世の中ですから(笑)。
11月2日(金)つづき
じつは昨夜気分回復のためにDVDで映画『フラガール』を見る。悪くない映画やけど「賞総ナメ」はデキスギやろ。他にエエ映画はなかったんかな…と思いながらも元気づけられる。朝大阪へ。野球の最も美しいシーンが潰れた寂しさ悲しさを『ちちんぷいぷい』で思いっきり熱を込めて話させてもらう。でも中日ファンは喜んでるんやな。気持ちはわかるけどタイガースが同じシチュエーションで藤川を最後に出しても同じことを話したやろな。往復の新幹線で『大清帝国と中華の混迷』読了。いい本です。勉強になりました。現在の日中関係だけを見ていてもわからないことがよくわかりました。そのまま帰宅。「中日ファンの優勝の喜びに水をさしたくないので」明日の『スーパーサタデー』生出演はドタキャンを申し入れ了承していただく。スタッフキャストの皆さんほんまにスイマセン。とにかく今シーズンの野球は終わった。さぁ今年中にもう一冊新書を書こう。タイトルは『スポーツ・ジャーナリズム』。
11月3日(土)
文化の日。久しぶりに朝寝。ちょっと風邪気味かも。ゆっくりした一日を過ごそうと決意。読書(リサ・ランドール『ワープする宇宙』)しながらマーラーを一番(ムーティ指揮フィラデルフィア管)二番(アバド指揮ベルリンフィル)三番(バーンスタイン指揮ニューヨークフィル)と順番に聴いているところへ某週刊誌から電話。「落合監督の非情采配を批判されてますが…その件について…」「私は非情采配だなんて言ってないしそんなこと思ってもいませんよ」「だったらあの投手交代は…?」「それが勝つための采配だというなら筋は通ってますよ。おまけに投手の指に豆までできたんでしょ」「だったら何を批判されたのですか?」「私の大好きな野球というスポーツの最も美しく興奮する最高のシーンを見せてくれなかったからです」「山井の完全試合を見せてくれなかったから…?」「完全試合ができたかどうかわかりませんよ。でもそれが生まれるかどうかの瞬間を見せてほしかった」「でもそういう無理をさせて中日が逆転されたら落合監督は非難されますよね」「私は非難なんかしません。美しい野球を愛する素敵な監督だと評価します。かつての西本監督のように…」「西本監督ってどこのチームの監督だったんですか?」「……」マーラーに戻る。
11月3日(土)つづき
マーラーを順に聴くのは止めて『大地の歌』の聴き較べ。イヴォンヌ・ミントン(ショルティ指揮)の歌はええな。ルネ・コロがちょっと荒っぽいのが残念。クリスタ・ルートヴィヒとフリッツ・ヴンダーリヒ(クレンペラー指揮)は最高。意外とよかったのがプラシド・ドミンゴとボー・スコウフスの組み合わせ(サロネン指揮)。バリトンの歌唱ならディースカウが完璧(バーンスタイン指揮)ハンプソンも優しくて悪くない(ラトル指揮)と思ってたけどそれらに比肩する素晴らしさ。ブーレーズの指揮はオモロイけどテノール(シャーデ)が弱いな。クライバーは海賊版やけどホンマにクライバーの指揮かな…。久しぶりに何もしない一日。毎年自由に書かせてもらってる『山下洋輔ニューイヤー・コンサート』のパンフレット原稿のアイデアが浮かぶ!クククククッ。これはオモロイぞ。夜は朋友のSと久しぶりに『との山』へ。「男の嫉妬(ジェラシー)」について語り合う。そうか。Sもやっぱり嫉妬せん男なんや。それで話が合うのんやな。HBS(ハーバード・ビジネス・スクール)がスポーツマーケティング担当専任助教授を置くことになったという情報も教えてもらう。すごい。レッドソックスの影響かな。名古屋大学も真似すりゃエエのに…。
11月4日(日)
東芝フィルハーモニーの定期コンサートを聴きに川崎ミューザへ。演目は『ルスランとリュドミラ序曲』。ちょっとリズムが重いのはアマオケやしシャアナイな。ベートーヴェン『4番』。木管大活躍。ベートーヴェンは2・4・8がオモロイ。ムソルグスキー『展覧会の絵』。弦が少なかったのは残念。けどアマ・オケのコンサートとしては大満足。川崎ミューザ(のアリーナ)は音が堅く乾いて響くのが好きやったけど4階は音が相当にまろやかに響くこともわかった。演目によって座る位置を選べば面白い。そのまま品川に出て大阪へ。
11月5日(月)
関テレ『痛快!エブリデイ男がしゃべりでどこが悪いねん』生出演。日本シリーズは話題にならず。愛知万博程度の問題か。少々残念。小沢辞任のほうが大問題なんやな。小沢は民主党が万年野党ではアカンと思たんやろな。サブローさんがNYマラソン出走のためお休み。見事完走されたらしい。凄い!いつも赤福食べて走ってたのに今回はどないしたんやろ?新幹線で中村敏雄『近代スポーツの実像』(創文企画)読む。冒頭の数字に少々誤りがあるのは残念やけど中村先生の著作はやはりどれも素晴らしい。考えさせられる。すべてのスポーツライターにとっての必読本。いやスポーツ関係者は全員読むべきやな。今年6月から『中村敏雄著作集』も刊行が始まった。
11月5日(月)つづき
晩飯映画劇場は『パフューム』。冒頭は腐った魚や血まみれの赤ん坊のシーンで晩飯食べながら見る映画やない(笑)。映画としてようできてるけど原作の迫力には劣る。音楽が香り(パフューム)を邪魔してる。音楽まで作曲した監督(トム・ティクヴァ)の才能が邪魔したかな。音楽の演奏はラトル指揮ベルリン・フィル。そういえばマルセル・カルネの名作『天井桟敷の人々』も音楽の演奏は凄かったはずと思って最近500円で買うたDVDの冒頭を見てみるとなんとシャルル・ミュンシュ指揮パリ音楽院管弦楽団。こっちは音楽も効果的。ジャン・ルイ・バローのパントマイムだけでもほれぼれする名画。
11月6日(火)
そうか。小沢辞任か。中に入って自民(と公明?)を潰そうとしたんやろけど理解はされへんしプッツンしたんやな。紅旗征戎非吾事でもないけど終日部屋の大掃除。次の仕事の準備のためやけど片付かんな。晩飯映画劇場はジャン=ピエール・メルヴィル監督『仁義』。アラン・ドロンもイヴ・モンタンもカッコイイ。男の映画やね。『地下室のメロディ』と並ぶピカレスク・ロマン。台詞はここまでカットできるんや…と感心した脚本も見事。そういえば最近のドラマはしゃべりすぎやもんな。『サムライ』も見なければ。
11月7日(水)
部屋の大掃除が全然進まん。『ワープする宇宙』に興奮しながらの掃除は無理やな。午後から東京へ。某金融機関幹部の皆さんと密談(笑)。オペラや映画への援助もお願いしたいけどこのHPも援助してほしいな(爆)。あかんかな。銀座山野楽器へ。DVD買い込み。うわっ。ゼッフィレッリの『ムッソリーニとお茶を』もマーロン・ブランドの『サヨナラ』もある。中味は隅から隅まで知ってるのに持っていたいので買ってしまう。こういうソフト所有欲はいったいナンヤロ?もちろん資料価値・再視聴価値・再勉強価値はあるけど心の奥に所有欲を感じる。晩飯映画劇場は久々に最近の映画で『クィーン』。いやぁ面白かった。エリザベス女王(ヘレン・ミレン)やブレア首相やフィリップ殿下のソックリさん演技に思わず爆笑。そしてつくづく感心。役者って凄い。どんな政治的pressureやback-upやintensionがあったのかは知らんけど映画としてようでけてる。ドラマを楽しんだ満足度は高い。
11月8日(木)
防衛省スキャンダルでついに逮捕者。数日前の朋友Sとの会話。「それにしても防衛省の役人って暇なんやなぁ」「そら戦争しとらへんもん」なるほど。ナベツネの大連合シナリオが崩壊。巨人をグチャグチャにしてしもたのはアホやなで済むけど日本を無茶苦茶にしたら承知せえへんで。ちょいとコラム書いてアジアシリーズをちょっと気にしつつも晩飯映画劇場は最近の映画第2弾!『バベル』これは見事な映画。アイデアはガルシア=マルケスやリョサの中南米文学あるいはクンデラあたりからひっぱったんやろけど映画でなければ描けへん手法が素晴らしい。そうか。原案監督はメキシコ人か。納得。日本人助演女優賞ノミネートばっかりが騒がれたけどホンマは恐い映画。しかし美しい救いのある映画。東京の夜景がバベルの塔だと見事に喝破。感激しました。あらゆる意味で素晴らしい映画です。銃は恐い。
11月9日(金)
さぁ新しい仕事に取りかかろうとしてかけたCDがマズかった。『服部良一〜生誕100周年記念トリビュート・アルバム』面白すぎて頭が音楽でいっぱい。福山雅治の『東京ブギウギ』も関ジャニ∞の『買い物ブギ』も井上陽水の『胸の振り子』もゴスペラーズの『銀座カンカン娘』も東京スカパラの『青い山脈』も一青窃の『東京の屋根の下』もどれも面白かった。アレンジが見事。なかでもベストは小林桂『午前二時のブルース』と松浦亜弥・日野皓正の『ラッパと娘』かな。しかしヘイリーの歌う『白バラの歌』も素晴らしかった。こんな歌知らなんだ。3枚組CD『日本のポップスの先駆者たち服部良一〜僕の音楽人生』にも入ってへん。なるほどまるでシューベルトの歌曲や。原曲歌うたのは高峰三枝子か。聴いてみたいな。しかし最近の日本人男性の声はなんでこんなに高うなったんかな。晩飯映画劇場は筒井康隆原作『日本以外全部沈没』。これはアカン。こういう阿呆臭い作品こそ最高級の作り方をせんとアカンのにNOVAの先生みたいな外国人の素人では最低やで。原作読むだけでええ。
11月10日(土)
朝佐吉の散歩を済ましてチョイト仕事をして神奈川県民ホールへ。ドレスデン歌劇場来日公演『タンホイザー』。さすがに伝統あるオケの音と合唱の響きは美事。弦が美しい。木管は豊かで金管は迫力満点。歌手陣も水準以上。ワーグナーの豊穣な生サウンドに酔う。しかしコンヴィチュニーの演出は「?」。この美的センスゼロで虚仮威しだけの演出家がなぜ高く評価されるのか疑問。親の七光りかな?現代的舞台も衣裳も安上がりなんやろな。『サロメ』と『ばらの騎士』は演出家が違うので素晴らしいに違いない。少しだけパーティに顔を出して仕事の打合せのあと『もり山』へ。カワハギが旨いのについつい演出に対する愚痴が出てしまう。
11月11日(日)
佐吉の散歩のあと『澁澤龍彦幻想美術館』を見るため横須賀美術館へ。今年オープンしたばかりの海の見える綺麗な美術館で幻想に浸る。そうか。「澁澤龍彦」というコンセプトだけで日本中から作品を集めたらゴヤやフィニやアルチンボルトからダリやエルンストやピカソやルネ・マグリットまで…もちろん横尾忠則も四谷シモンも野中ユリも合田佐和子も集まるのんや。満腹の美術展。帰りにヴェルニー公園のレストランで食べたカレーも美味しかった。
11月11日(日)つづき
横須賀から戻って郵便物の整理。電動車椅子のスポーツライター平野誠樹さんから新刊『110センチの視野』(幻冬舎)が送られてきた。決死のアメリカ留学やアテネ・パラリンピックの話など。読まねば。進行性筋ジストロフィーでスポーツライターをめざした彼に俺のスポーツジャーナリスト塾の講義を聞いてもらえなかったのは残念。塾を復活しょうかな。金聖響さんからオーケストラ・アンサンブル金沢と録音したブラームス交響曲1番のCDも届く。すぐにプレイヤーで聴く。凄い!面白い!過度なロマンチシズムを排除したブラームスの等身大の清々しい音。オケとの熱い絆が感じられる美事な演奏。晩飯映画劇場は『幕末太陽傳』。これまた面白い!最高!評判を知りながら今日まで見なかった自分が情けない。フランキー堺が名演。芦川いずみ・南田洋子・山岡久乃・菅井きん等の女優陣も小沢昭一・殿山泰司・岡田真澄・石原裕次郎・小林旭・市村俊幸・梅野泰靖等の男優陣もお美事。しかしなんと言っても川島雄三のメガホンが凄い。カメラワークも編集も黒白の色彩も超一級。脚本も最高の出来。1957年の日本の社会にはエネルギーもヴァイタリティも現在の100倍近くあったんやな…と思ってしまった。
11月12日(月)
朝『論座』の書評を書きあげて頭の切り替えにマルクス・ブラザースの『我が輩はカモであるDuck Soup』を見る。このテンポで身体運動ギャグを放てる役者はもう出えへんやろな。午後毎日新聞『論点』の原稿を書きあげる。テーマは巨人。今週金曜掲載なので注目して下さい。晩飯映画劇場は『ALWAYS三丁目の夕日』。台詞が不要と思われる箇所が10カ所以上。このシチュエーションとこのストーリーでなんで漫画チックにせんとアカンのか。さらに脚本の不備やカメラ・アングルに対する不満を抱きながらも涙ぐんでしまう。まぁ悪くない映画。しかし昨日素晴らしすぎる映画を見たせいもあって不満も多い。肺病ながら朝日に向かって走ってゆくフランキー堺と誰もが夕日を見つめる三丁目の人々。そのパワーの違いは映画を作った時代の違いかな。ということは『ALWAYS』に描かれた昭和33年にはもっとパワーがあったはずやけど…
11月13日(火)
仕事に集中でけへんなぁと苛ついてたら講談社から『ベートーヴェンの交響曲』の見本が届く。本が仕上がるのはやっぱり嬉しい。神棚と仏壇に祀る。少しの人にでも喜んでもらえる本をこつこつ書くのが俺の仕事やな。それが養老先生言うところの「社会の穴埋め」やな…と納得して極私的出版祝いのため『213』へ。原稿待ってる編集者の皆さんスンマセン。
11月13日(火)つづき
稲尾和久さん死去。一昨年のアジアシリーズのときに東京ドームで逢うて久しぶりに野球の話をしたのを思い出す。大下弘さんの13回忌のときに稲尾さん中西さん豊田さんらと博多でシンポジウムをさせていただいたときは楽しかった。豊田さんの「今日はチンポジウムですな」という話の中身を稲尾さんはにこにこ笑うて聞いてはったな。最後に皆さんが『西鉄ライオンズの歌』を歌わはったのに俺だけ歌えへんかったのは寂しかったし申し訳なかったな。小さなバッグの隅々まで荷物を詰めてる様子をキャンプ巡りの時に見てストライクゾーンを隅々まで使う投手ならではの行為と感心したこともあったな。優しい人やったな。合掌。
11月14日(水)
原稿が書けへん。仕事に一つ区切りが付いたときはいつもそうやな。野球選手のスランプみたいなもんや。そういうときは「待つ以外にない」と豊田泰光さんが小林秀雄に向かって喋ってた。その豊田さんの態度を小林秀雄がエッセイのなかで「名人の境地」と絶賛してたのを全集のどこかで読んだ記憶がある。校正と野暮用をこなすうちに晩飯サッカー劇場。2点リードしてもハラハラどきどき。しかし浦和レッズ見事!サポーターも見事!岡ちゃんがマリノスでACLに挑戦したときはこうはいかなんだもんな。レッズもいろいろあったけどこういう清々しい興奮こそスポーツやな。ベルマーレもいつかこうなってほしいな。そのためにはまずフロント改革やろな。
11月15日(木)
コラムを午前に1本午後に1本力尽くで仕上げて晩飯映画劇場は『ベートーヴェンの交響曲』の上梓を記念して『敬愛なるベートーヴェン』。アカン。この映画はアキマヘン。映画はどれだけウソをついてもイイと思うけどこのウソはアカン。映画作品としても低級。ベートーヴェンの生きてた時代の第九の演奏にハイティンク指揮コンセルトヘボウ管の演奏を使うのもナンセンス以下。評価外やで。
11月16日(金)
久しぶりに主治医のもとへ。相変わらず血圧は高い。血液検査は最高の結果。肝臓コレステロール血糖値等全て問題なし。無駄話して笑顔で薬をいただいてオシマイ。午後から渋谷へ。タワーレコードでDVDを買い込んだあとNHKへ。関東甲信越番組審議委員会に初出席。ちょっとキビシイこといいすぎたかな。委員会が終わるころに携帯に電話のラッシュ。オシム監督が脳梗塞で倒れたとか。顔も体つきも脳梗塞で倒れた俺のオヤジにそっくりやもんな。コメントのしようがないで。帰宅して晩飯映画劇場は三島由紀夫原作市川昆監督『炎上』。素晴らしいモノクロの映像美。しかし若者の普遍的な悩みを障害者の悩みに置き換えてからそれが普遍的な悩みであると表現しなければならなかった時代の映画。この課題は考え続ける価値有り。中村雁治郎と市川雷蔵の演技に感服。三島の原作を読み直しとうなった。そういえばNHKの『古寺巡礼』に島田雅彦さんと出演して金閣寺を訪れたとき思わず二人で「燃えたときは綺麗やったやろな」と口にした。もちろん放送ではカット(笑)。
11月17日(土)
朝早うに起きて東京から上越新幹線で新潟へ。「文化人」と呼ばれる胡散臭い仲間が100人も集まるエンジン01(ゼロワン)オープンカレッジ「新型、新潟。」に胡散臭い一人として参加。テーマは「笑い」。着いてすぐに田勢康弘さんの司会で高野孟さん森本敏さん中尾清一郎さん(佐賀新聞社長)と「笑える報道笑えない報道」というパネルディスカッションに参加。控え室で竹山聖さん川勝平太さん安部譲二さん安藤和津さん島田雅彦さん等と旧交を温めてるとすぐ横を田原総一朗さんと田中真紀子さんが通過。そういやTOTO法案審議の参考人で衆議院文教委員会に呼ばれたときは真紀子さんに「純粋なスポーツを賭け事にするのに賛成とは何たることですか!」とボロクソに言われたな。そのあと小生の司会で池田弘さん(アルビレックス社長)日比野克彦さん矢内廣さん(ぴあ会長)と「笑えるサッカー」と題してパネルディスカッション。夜は「夜楽」と称して割烹「秋やま」で植島敬司さん犬飼裕美子さん(レストランジャーナリスト)矢内廣さんと共に新潟市民の参加者30名ほどと歓談。そのあとかつて田中角栄が贔屓にしたという料亭で打上げ。猪瀬直樹さん秋元康さん河口洋一郎さん三枝成彰さん等と歓談。禁酒の誓いを破って新潟の旨い酒を飲む(註・ビールは食欲増進剤。焼酎系蒸留酒は消毒液。ワインは水がわりで酒ではありません)。ロシアンバーとかで行われた三次会は欠席。「文化人」はみんな元気やなぁ。しかしなかなか有意義な会ではありました。
11月18日(日)
朝上越新幹線で東京へ。仕事の打合せを一つ済ませて帰宅しようとするとナースを辞めてソムリエ修行中のハイパーテンション次女から連絡。BFも一緒に家族で逗子の音羽の森ホテルで昼飯を食べるので来いとのこと。朝冷たい雨の降る信濃川河口の日本海を眺めたあと昼過ぎに日本晴れ絶景の富士山の見える湘南海岸へ。ハンブルクで北海を眺めたあとプロヴァンスで地中海を見る気分。飯は新潟の和食も湘南の仏料理もどっちも旨かった。けど俺が呼び出されてナンデ俺が金払わなあかんねん。シャーナイな。夜はスカとやらいうジャンルの音楽バンドで稼ぎ始めたバカ息子も帰ってきてワイワイガヤガヤ晩飯。飲んで食っての二日間。まぁこういう日があってもエエやろ。
11月19日(月)
明日から少々慌ただしくなるのでコラム1本書いて週末のオペラ講座のための勉強と準備を済ませて晩飯映画劇場は市川昆監督市川雷蔵主演第2弾『ぼんち』。半年くらい前にNHK-BSで最後の45分くらい見ただけで感激した映画。全部見るともっと凄いことがわかった。最初から最後まで全ての会話の妙味に爆笑しながら感心しっぱなし。脚本の台詞がようでけてる。芸者のぽん太(若尾文子)が「二号の本宅伺い」でお家はん(毛利菊江)を訪ねたときの関西弁の会話なんぞ上品なくせに藤純子の啖呵よりも凄味があった。関西弁は怖い。最後の妾3人(京マチ子と若尾文子と越路吹雪)の入浴シーンも最高。原作の山崎豊子も凄い。『不毛地帯』と正反対の舞台の超一級の「戦争映画」ですな。雷蔵の演技も素晴らしい。そうか。「妾腹は御家の小柱」いうのんか。勉強になった(笑)。市川昆が編集した音楽と競馬のシーンが『東京オリンピック』につながることにも感激。最高でっせ。
11月20日(火)
原稿書きのあと東京へ。日生劇場で二期会『天国と地獄』ゲネプロを一幕だけ見る。演出は佐藤信。じつは学生時代に東京新聞のコラム「ヤングコーナー」で初めてインタヴューさせてもろたのが黒テント時代の佐藤信さんやった。原稿を仰山直されたなぁ。舞台はいろいろ勉強になったけど根本的に台詞を変えてほしかったな。でないと現代日本の客(二期会ファン以外の客)にはウケへんで。そのあと草月ホールへ。山下洋輔ニューヨーク・トリオを聴く。感激。コール・ポーター風ありフリージャズありでめちゃめちゃ楽しい。最近はジャズ系はバカ息子の録音ばっかり聴いてたのでレベル高さに驚く(当たり前か)。セシル・マクビーさんのベースはエエなぁ。フェローン・アクラフさんのドラムスは気持ちエエなぁ。さぁニューイヤーコンサートの原稿を書かねば。
11月20日(火)つづき
東京から帰ってきたら講談社の担当者から『ベートーヴェンの交響曲』増刷決定の通知。イェーイ!公式発売日に増刷決定なら100万部くらいいくかな(笑)。
11月21日(水)
文化放送とRKB毎日で『ベートーヴェンの交響曲』について喋らせてもろたあと大阪へ。『ちちんぷいぷい』生出演。水曜日の出演は初めて。これで『ぷいぷい』全曜日制覇!せやからなんやねん(笑)。月亭八方さんやら桂南光さんやらと楽しく話をしたけど京都大学の人間の皮膚からつくる万能細胞の大発見はものすごいことやで。特許とったら京大は永遠に国から予算もらわいで済むくらいになるで。けどナンデ癌遺伝子が関係してくるねん?ここらあたりが人間の遺伝子工学に対する神さんの警告かな?
11月21日(水)つづき
帰りの新幹線の静岡を過ぎたあたりからサッカー北京五輪最終予選のサウジ戦の情報を逐次入手。苛々して本が読めへん。荒俣宏『奇想の20世紀』(NHK出版)オモロイのに得点が気になって…。後半42分に帰宅。よっしゃ!五輪4大会連続出場は素晴らしい!青山のディフェンスは凄かったな。落ち着いたところで晩飯映画劇場。市川雷蔵シリーズ第3弾『好色一代男』。おもろい!サイコー!監督は増村保蔵。眠狂四郎や机龍之介以前の雷蔵の世之介の剽軽な関西弁演技は見事。感服。しかし西鶴という作家は凄い。江戸時代にここまでラジカルなストーリーを作ってたんやなと改めて仰天。そういや以前明石家さんまが世之介をやったTVドラマも忠臣蔵を引っ張り出したりして面白かった。大石は谷啓やったな。
11月22日(木)
コラム1本仕上げて墨田区のすみだトリフォニーホールへ(なんで最近は固有名詞に平仮名が多いねん)。チェコ・フィル演奏会。指揮はズデネク・マカル。最近までズデニェク・マーツァルと呼んでた人物。マーツァルのほうがチェコ語的やと思うけど…。プログラムはスメタナの『わが祖国』全曲。自家薬籠中の名演。弦も木管も綺麗でチェコ・フィルはさすがに聴き応えある。海外オケもいろいろ聴きたくなったのでパンフレットの宣伝を見てると来年のシカゴ響のS席は4万円。高!指揮者がハイティングやのにナンデヤネン。エッシャンバッハとフィラデルフィア管も3万5千円。高!フィラ管はオーマンディで聴いたことあるからエエわ(古!)ゲルギエフ指揮ロンドン響が2万7千円。アメリカは高いのかな。まさかブラスの巧いとこが高いというわけやないやろ。ケント・ナガノ指揮モントリオール響の1万7千円あたりがオトクかも。ちなみにチェコ・フィルは招待券でしたがS席1万2千円。これは絶対オトク。中味と値段は違うんやな。ボードリヤールが言うたとおりやな。
11月23日(金)
そうか。モーリス・ベジャールが亡くなったか。DVDと生舞台でぎょうさんの踊りを見たけど最高によかったのは20年以上前にNHKで放送された『エロス&タナトス』やったな。『アダージェット』も『ボレロ』も『春の祭典』の一部も組み込んだオムニバスやったけどヴェルディの『エルナーニ』の合唱やナポリ民謡の『恋する兵士』やハジダキスの『鳥』やクライスラーのヴァイオリン曲を使った面白い振付が山ほどあった。それにジョルジュ・ドンが既に歳をとってたので『ボレロ』をショナ・ミルクが踊ったのがよかったな。再放送してくれへんかな。
11月23日(金)つづき
神戸に住んでる女房の叔父が亡くなったのと前後して去年結婚した京都の姪に赤ん坊が出来る。輪廻転生みたいなもんかな。女房はそそくさと京都へ。晩飯映画劇場は気分を変えて『イースター・パレード』。ストーリーは他愛ないけどアーヴィン・バーリンの音楽とフレッド・アステアとジュディ・ガーランドとアン・ミラーの歌と踊りは流石。他愛ない男と女のストーリーも演出は巧い。こういう完成されたミュージカル作品のあとにさらに上を行くジーン・ケリーとデビー・レイノルズの『雨に唄えば』が生まれたのは凄い。おまけにその脚本を書いたアドルフ・グリーンとベティ・コムデンと組んでレナード・バーンスタインがさらに音楽的にその上を行く『オン・ザ・タウン』を作ったのは見事。ミュージカルの進化はそこまでやな。ロイド=ウェバーには新しさはないもんな。
11月24日(土)
佐吉の散歩と部屋の掃除のあと名古屋へ。早く着きすぎたので中日ビルのユーハイムでコーヒーを楽しく味わってから中日文化センターでオペラ講座。ほんまにゼッフィレッリの演出は凄い。何もしてへんようでものすごう細かく自然な動きを指示してる。そのうえにカラスのトスカとゴッビのスカルピアが歌うんやから現代ドイツ表現主義の演出の舞台なんかとは較べもんにならんで。講座が終わって控え室に戻ると久々に元塾生でこのHP制作委員の一員でもあるKクンが顔を見せる。テレビの仕事を始めたらしい。久しぶりやったので名古屋駅の銀座ライオンで一緒にえびすの大ジョッキをグビグビ。
11月25日(日)
世の中三連休。俺は佐吉の散歩。オマケに要介護猫フィガロの世話。仕事にならん。夕方から長女と次女が来てR・ホワイティングさん夫妻に誘われた食事会へ。朋友のSクン夫妻も参加。夫人のEちゃんに久々に会う。元気そうで何より。俺のヨメハンは実家に帰ってるので娘二人を伴ったのは田中角栄が真紀子を連れてワシントンを訪れるようなもんか。と冗談に思ってたら長女が真紀子級の爆弾発言。何言い出すねん。まぁ一座の座興。It's just a fan.とでも言わなしゃーないな。いろんな意味で楽しい食事会には違いなかった。家に帰ってから長女とじっくり飲み直し。
11月26日(月)
朝夕二度の佐吉の散歩に要介護猫フィガロの世話。これが日常というものか。昼はカップラーメン。最近のインスタントの旨さは格別やなと妙に感心。とはいえ夜は『鮨処もり山』へ。しかしいつものように飲みまくらず早く帰宅して映画劇場。ハンフリー・ボガードの『殴られる男』。亀田問題がメディアでさかんに論じられたときに思い出したくて思い出せなかった映画。見たのん20年前くらいやもんな。結末でスポーツライターのボガートが書く「ボクシングは法律で禁じるべし」という一文には賛成でけんけどオモロイ映画。ロッドスタイガーも出てたんや。シドニー・ルメット監督の『質屋』を見直しとなった。
11月27日(火)
朝刊一面を見て仰天。オシムの後任に岡ちゃんってホンマ?応援したいけど朝日は5年前にサッカーで大誤報やっとるしなぁ…。いろいろ電話がかかってくるけど本人への電話は我慢。忙しいやろしな。
11月27日(火)つづき
何やら世の中「見知らん」とかいうタイヤ屋のつくった本で騒いでるらしい。阿呆か。「見知らん東京」ってか。見知らんで何を言うねん。できるもんなら「見知らん京都」とか「見知らん大阪」を作ってみい。絶対にでけへんぞ。京都は一見さんお断りやし大阪の旨い「けつねうろん」を知ってる人は教えへんねんから。江戸前もホンマはそのはずやけど…。そういやイタリアンも無視か。「見知らんフランス人」のしたことに騒いでもシャーナイで。
11月27日(火)つづき
朝佐吉の散歩から帰ってTVのスイッチをひねるとNHKで栗林慧という昆虫写真家のドキュメンタリーをやってた。面白いので思わず見てしまう。虫の飛んでる姿や飛び立とうとする姿をセンサーでストロボとシャッターを連動させて写し撮る。面白い写真ばっかり。植物が種を弾く瞬間とか屁っぴり虫が屁をこく瞬間とかもオモロかった。いろんなことに熱中する人がいるんやなぁ。原稿が書けず夜もTVをつけるとNHK-hi特集で日本画家の石踊達哉のドキュメンタリー。これも面白かった。改築なった金閣寺の方丈の杉戸に絵を描く。その杉戸が樹齢800年の杉の一枚板。ちょっとデザイン化されすぎかとも思う絵やけど美しい。見飽きない迫力。見事。大画家やのに「絵を売ってる」ことにも感激。NHKの番組審議委員になったから言うのんやないけどエエ番組してるで。あ。ハプスプルグ家のドキュメンタリーはビデオに入れたまま見てへんな。夜は女房を迎えがてらに「213」で晩飯。
11月27日(火)つづき
岡ちゃん日本代表監督決まりそうやな。けどサッカー協会が交渉中に公表したのは岡ちゃん気分悪かったんとちゃうかな。コーチの人選や合宿スケジュール等の要求は仰山したいやろに断れへんようなるもんな。
11月28日(水)
次の仕事の準備運動開始(ナンノコッチャ)。結構アイドリングに時間がかかるタチやな。晩飯映画劇場はコール・ポーターの伝記映画『五線譜のラブレター』。気楽にミュージカルを楽しもと思て買うたDVDやったけどかなり内容は濃かった。大金持ちの家に生まれたゲイの一生を見事に映画化。音楽の使い方も編曲も見事。シェリル・クロウが短調で歌うた『ビギン・ザ・ビギン』に感激。エルヴィス・コステロとナタリー・コールの歌もよかった。ケヴィン・クラインとアシュレー・ジャドの演技にも感服。歳とったコール・ポーターの猿の惑星並みのメイクにも驚嘆。衣裳もバッチリと思たらジョルジョ・アルマーニやった。それにしてもコール・ポーターの音楽は凄い。『キス・ミイ・ケイト』をもういっぺん見となった。
11月29日(木)
わっはっはっはっは。来年1月の山下洋輔ニューイヤーコンサートのパンフレット用原稿を書いたぞぉ!毎年パロディで洋輔さんの肘打ち迫力演奏に負けんようガンバッテ書いてるけど今年もバッチリ(自画自賛・汗)。浜の真砂は尽きるとも世にパロディの種は尽きまじ。このケッサク原稿はコンサートが終わったら本HPで公開しますね。乞御期待。晩飯映画劇場は昨日のコール・ポーターとの関連でヒュー・グラントとドリュー・バリモアの『ラブソングのできるまで』(ヨメハンか娘が買うたモノ)。アイディアだけあってコンピュータの脚本作成ソフトを利用すれば完成するような映画。それだけにツボが完璧に押さえられてて勉強になった。音楽の使い方も男女の台詞もくだらんけど巧みであざとくも完璧な商品としての映画。作品としてはドーデモええけどこれが映画の基本なんやろな。音楽の力と役者の魅力の引き出し方が巧いもんや。
11月30日(金)
朝から(正確には昨夕から)朝青龍と亀田大毅の記者会見の件で電話の連続。ドーデモエエと思いつつも見とかなアカンと思いTVチェック。こういうスポーツマンとはやっぱりお付き合いしたくないですね。夜名古屋へ。
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