ナンヤラカンヤラ
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6月1日(水)
朝RKBラジオ『中西一清のスタミナラジオ』生電話出演。テーマはスポーツ基本法。昨日議員立法が国会に上程されたのに報道はほとんどナシ。いつもタイミングが悪い。以前は自民党政権時で解散総選挙にぶつかって民主党に政権交代。法律の内容もトップ選手強化中心からピラミッドの裾野のスポーツクラブ重視になったとされるが読んでもかわりばえせず。そもそも日本の国家戦略としてのスポーツの憲法制定のはずがマスコミ報道からこれほど無視されてはアカンわなぁ。とほほ。うわっ。飛鳥新社から新刊『大相撲八百長批判を嗤う』が送られてきた。うん。やっぱり自分の本が出版されるのはいつも本当に嬉しい。特に今回は緊急出版で根岸敦生さんや荒井太郎さんらの全面協力を得ての出版だけになおさら。宮崎学オヤブンも『週刊ポスト』で『週刊現代』より古くから大相撲八百長取材を続けている鵜飼克郎さんも御協力ありがとうございました。早速読み始めるとオモロウて止まらへん。うむ。悪くない出来です。さっそくナンデモカンデモのトップに写真を入れてもらいましたが表紙も面白いでしょ。皆さん!買うて下さい!この本を読まずして大相撲の「八百長」は語れません!いや!日本文化は語れません!…と言うほどの意気込みでつくりました。ヨロシク!夜久々にザック・ジャパンを見る。メディアがペルーを「格下」と読んでる。ホンマカイナ。3バックはギクシャクやなあ。後半の前半は良かったけど…ムムムム。スコアレスでも楽しめる日本代表を見たことで満足…というのはJSL時代からの日本サッカーを知ってる老人の甘さでしょうか?深夜FAXで送られてきた雑誌の校正。佐渡裕サンのベルリン・フィル・デビューについて。海外旅行は帰ってきてからが大変。そのことを久しぶりに思い出す。トホホ。

DVD
『恋するベーカリー』
『恋するベーカリー』

6月2日(木)
ほんの5日間ベルリンへ行っただけやのにその間に溜まった手紙やらメールの処理がまだでけん。とほほ。なかには返事を書くのを失念してる人がいるかも。この場を借りて陳謝。昼から語るに落ちる馬鹿馬鹿しい政局劇場をTVで見てしまう。現馬鹿首相(そう呼んでしまってもいいだろう)が武蔵野市議選初立候補時に清き1票を入れた人間として言わせてもらえば「政治」なるものを職業にしてる者はホンマに阿呆やね。他人との駆け引きや話し方など上辺を取り繕うことばっかり憶えて仕事がサッパリでけん。仕事の仕方を知らん。だからできるヤツ(官僚?)に仕事は任せて自分は大所高所から戦略を…というのが古い政治家像やったのを自ら仕事ができると勘違いしてる市民運動出身の政治屋は度し難い。ところが今回も政治屋同士の駆け引きに勝利。阿呆臭うて日本の未来は真っ暗…と思いながら必死になって事務処理。夕方までかかって雑務はよーやく一段落…かな。秘書がほしいなあ。若く美人の…(笑)。晩飯映画劇場はメリル・ストリープ主演『恋するベーカリー別れた夫と恋愛する場合』。なんちゅう阿呆臭いタイトルや…と思いながら見るとナカナカ面白い喜劇タッチの熟年の大人の恋。ハリウッドはこーゆーオトナモノの映画作りは巧い。それに較べて日本映画は餓鬼っぽくなったなあ。原題は『It's Complicated』。『複雑な事情』くらいの翻訳でエエ のに…。

6月3日(金)
朝起きて血圧計ってパン食ってクスリ飲んで翌朝用の毎日新聞コラム1本仕上げる。ルーティンは大切。ハハハ。原稿が調子よく書けたらこんなもんや。物書きの気分なんて原稿が書けるか書けんかで決まる。野球選手の気分が打者は打てるか打てんか投手は打者を抑えられるか抑えられんかで決まるようなもんやな。ならばサッカー選手の気分は?少々複雑やな。オーケストラの指揮者の気分は?野球選手も含めて皆対人関係で成り立ってるのか…。物書きにはそれは苦手やな。バルザックが「人間嫌い」やったのがようわかる。話がオーバーやな…と思いながら午前中に2本目のコラムも完成。今日は好調。昼飯食って大船駅前の島森書店へ。飛鳥新社から『大相撲八百長批判を嗤う』という本を出しますので売って下さいと営業活動。「いいところに平積みするよう店長に言いましょ」といつものカウンターのおばさんが快く返事してくれる。以前(もう10年以上前)某大出版社に招かれてライターとして出版社への要望を喋らされたとき「とにかく書店の現場で本を売る努力を…」と言うたところがふんぞりかえった営業の年上の男から「だったらキミはオレたちにリュックに本を詰めて書店をまわれと言いたいのかね」と言われたので「はい。そうです」と笑顔を返したら苦虫を噛み潰したような顔をされた。下町の電器屋の息子として育ち松下幸之助の商売の仕方を手本として見習わされた俺の意見は一流大学卒一流出版社のエリート社員には理解できなかったようだ。書店の帰りに長女の誕生日のケーキを買う。「蝋燭は何本?」と訊かれたので「長いのを3本」と答える。30本は並ばんもんね(笑)。夜サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの『くるみ割り人形』のDVD見ながら食事。「オレここに座って佐渡さんの指揮するベルリン・フィル見たんやで」「はいはい。御飯こぼしてまっせ」(^_^;)

BOOK
松井良明『近代スポーツの誕生』(講談社現代新書)
松井良明『近代スポーツの誕生』(講談社現代新書)

6月4日(土)
朝からバタバタと事務処理。馬鹿娘のために買ってきた誕生祝いケーキを一切れもらって新幹線で大阪へ。テレビ大阪の番組は初出演。『たかじんNOマネー』VTR撮り。たかじんは2本撮りだったらしく1本目に出演したデーブ・スペクターさんと久しぶりに逢う。「ゆっくり話したいけど今日はこれから八百長の打合せがあるので…」と相手に合わせたジョークは相変わらず。大谷昭宏さんと須田慎一郎さんともバッタリ。また東海TVで仕事しましょうよと須田さんと一緒に大谷さんにプレッシャーかけて7月の佐渡さんの『こうもり』を誘う。小生出演のテーマは「ボクシングとカネ」でゲストは小生のほか亀田興毅さんと輪島公一さん。レギュラーが真鍋かをりさん(昔TBSでテリーさんと番組やってたとき以来5年ぶり?)と水道橋博士さん(博士にさん付けはおかしいなあ・笑)。司会はもちろんたかじんさん。ボクシングのことをイロイロ喋らせてもらって愉しかった。亀田は24歳やのにしっかりしてるなあ。輪島さんとも久しぶり(今や廃刊になった『月刊現代』でロングインタヴューさせてもらって以来15年ぶりくらい?)。よく話を聞くと(笑)面白いこと言うてはる。放送は今月25日(土)午後1時。ネット局が少ないので亀田のしっかりした人間性は首都圏には伝わらへんのやろなあ。往復の新幹線で手塚治虫『どろろ』全2巻読了。昔所々読んでたのを思い出しながらやっぱり映画よりオモシロイと納得。映画化された水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』がオモロナイのとおんなしかな?

BOOK
松井良明『ボクシングはなぜ合法化されたのか』(平凡社)
松井良明『ボクシングはなぜ合法化されたのか』(平凡社)
DVD
『冷たい月を抱く女』
『冷たい月を抱く女』
BOOK
佐渡裕『僕が大人になったら』(PHP文庫)
佐渡裕『僕が大人になったら』(PHP文庫)
CD
『佐渡裕:ベルリン・フィル・デビューLIVE』
『佐渡裕:ベルリン・フィル・デビューLIVE』

6月5日(日)
我が家のダイニングルームの主人の席(俺の席のこと・エッヘン・笑)のすぐ後ろの出窓の真ん前にある柘植(つげ)の木の枝にツグミと思しき小鳥が巣を作った。うわっ。カーテンを少し開けると目の前で可愛い小鳥がどうも卵を温めている様子。ただしカメラを構えると飛んで逃げてしまう。なんせ窓のすぐ前やから目と目も合う。カメラを構えてすぐにシャッターを押すつもりでいてもカーテンを開けた途端に飛んでしまう。カメラを構えていないと飛ばない。頭のエエ奴っちゃ。我が家に家族がまた増えた感じ。もうすぐ小鳥も増えそう。朝『題名のない音楽会』を見る。佐渡裕さんベルリン・フィル・デビュー。これは最終日の映像。凄いなぁ。やっぱり泣くわな。けど佐渡さんはライヴの人やね。録音とか録画ではワン・ランクだけレベルが落ちる。当たり前やわな。それが音楽やっちゅうことなんやから。来週の武満が楽しみやな。これは録音や映像とコラボできる楽曲やから。落ち着いた一日もエエと思て午後は読書。松井良明『ボクシングはなぜ合法化されたのか〜英国のスポーツ近代史』(平凡社)『スポーツと政治的なるもの〜英国法からの問い』(叢文社)。うむ。スポーツの歴史の勉強は面白い。スポーツ基本法を作ろうとしてる政治家はどのくらいスポーツの勉強をしてるのか?いや。最近の議員どもや大臣どもの動向や顔つきを見てると税金泥棒としか思えなくなる。あ〜あ。。

6月5日(日)つづき
晩飯映画劇場は『冷たい月を抱く女』。ニコール・キッドマン主演というので娘が録画していた映画。と言うだけのものかと思たらジョージ・C・スコット(『パットン大戦車軍団』でアカデミー賞を拒否した凄い俳優)やアン・バンクロフト(『卒業』のお母さん役でメル・ブルックスの奥さん)など大物役者が出てる。B級サスペンス・ドラマとしてはよくできててオモロかったけど超A級役者が可哀想か…まあ基本的に映画とはこういうものでしょう。夜原発事故のNスペ見て日本のエリートどもに改めて腹立ててTBS(毎日放送)佐渡ベルリン・デビュー・ドキュメント見て癒やされる。佐渡さんの新刊本『僕が大人になったら〜若き指揮者のヨーロッパ孤軍奮闘記』(PHP文庫)に次のような一節がある。《僕は最近まで「自信」とは自分を大きく見せることだと錯覚してた(けど)自信とはありのままの自分を信じられること》……小生は以前「カラヤンの仮面とバーンスタインの素顔」という文章を書いたことがあるけどこの佐渡さんの文章は彼が「カラヤン側」から「バーンスタイン側」に完全に移った宣言みたいなもんやね。とは言うても「仮面」も 「素顔」も英語で言えば「MASK」なんですけどね(笑)。しかし良かった。ほんまに素晴らしいベルリン・デビューやった。あ。そういえば昨日avexから早くも佐渡裕指揮ベルリン・フィルのライヴCDの見本盤を送ってきてた。凄いなあ…って商魂のことやのうて音楽のことですよ(笑)。皆さん!是非聴いてみてください。佐渡さんとベルリン・フィルの両者の最もすばらしい暖かい一面が音楽に現れた素晴らしい演奏ですよ。

6月6日(月)
先月下旬以来の佐渡さん&ベルリン・フィーバーの仕事も一段落。今日はちょっとボケーッとしたれ…と思いながら読書&柘植(つげ)の木の枝に巣を作った鶫(つぐみ?)の観察。こんな一日がたまにあってもええやろ…と思いながらもバタバタと残務整理してたら洗濯機の修理に来たメーカーの男性がコンプレッサーを交換したとか。ナニィ!買うて3年でソレはないやろ!おまけに交換の説明不十分やで…と思てたら長女がBF連れて来て本家に孫を見せに行ってた次女も帰ってきてワイワイのうちに晩飯。マアこんな一日があってもエエやろ。

BOOK
ドナルド・キーン『日本語の美』(中公文庫)
ドナルド・キーン『日本語の美』(中公文庫)
ドナルド・キーン『日本人の美意識』(中公文庫)
ドナルド・キーン『日本人の美意識』(中公文庫)

6月7日(火)
朝からいろいろ校正やってコラム書いて午後から読書と鶫(ツグミ)の観察。読書はドナルド・キーン『日本語の美』中公文庫。ふ〜ん。安部公房は外国語が全然ダメやったけど外国人とコミュニケーションができたんや。ところで本日の午前と午後のどっちがイイか…と考えもシャーナイことを考えてしまう。生活のための午前と自分のための午後…というのは違いますね。どちらも相互に入り組んでますな。ソレがフリーランサーの生活ですな。うむ。と思いながら新宿へ。ベルリン旅行で世話になった旅行代理店の(株)ソフィアさんに御挨拶。佐渡さんがヴァルトビューネで指揮するときもヨロシク(笑)。その後オーチャードホールへ。ダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ公演マーラー交響曲第4番他を聴く。ソプラノはモイツァ・エルトマン。とにかくオケが上手い。木管なんか滅茶滅茶上手い。コレで弦にもう少し潤いがあったらベルリン・フィルやで…と言いたくなるほど。しかもハーディングのドライヴが見事。マーラーの20世紀的狂気の美しさを存分に味わう。金聖響さんとも会場で逢ってイロイロお話。帰り際に青澤隆明さんや永竹由幸さんとバッタリ。やっぱりイタリア・オペラだけと違て凄いコンサートは聴き逃さあらへんなぁと感心。帰宅して日本vsチェコ戦。隔靴掻痒の試合運びでスコアレスドロー。。とはいえ本番前はこのくらいでエエのんと違うかなぁ。問題点が出るほうがエエで。

6月8日(水)
朝RKB毎日放送電話生出演。大相撲の力士たちが被災地を回った話。白鵬が山田町で土俵入りをしたあと余震がピタッと止まったという話を某スポーツ紙が書いていた。そこまで書かなくても…とは思うけどそれが日本の相撲だとも思う。基本は神事ですからね。それを西洋近代スポーツや近代合理主義や近代民主主義の論理で語るなという話から少々拙著『大相撲八百長批判を嗤う』の宣伝をさせていただく。皆さん買って下さい(汗)。午前中に大船へ出て銀行でイロイロ痰壺(=カネ)の処理(カネは貯まるほど汚い…と誰かが言いましたからね。トルストイやったかな)。島森書店に寄ってチョイトオモロイ本を購入。『いんちきおもちゃ大図鑑〜中国・香港・台湾・韓国のアヤシイ玩具』(社会評論社)。副題で中味はわかりますよね。しかし日本も昔は同じことしてたけどね。1940年の東京五輪開催決定後のPRアニメを見たらミッキーマウスからベティちゃんまでわんさか無許可で出してたもんな(笑)。もう一冊も同じような本『ニセドイツ≒東ドイツ工業製品』(同)。帯に書いてあることが面白い「ゲルマン職人魂+ボルシェヴィズム=ニシモノっぽい!」中味は少々古い話題(共産主義全盛時代やから当然か)けど共産主義の馬鹿さ加減と頽廃がよくわかる。もっとも資本主義(ニシモノ)と融合する新たな社会主義は別の道があるはずやけど…。午後チョイト仕事して晩飯野球劇場はダルビッシュの快投を堪能。なるほど。すごいピッチャーはすごいなぁ…とひたすら感心。しかし中日チェンも素晴らしかった。NHK-BSで『タケシのアート・ビート』で北野武と辻井伸行クンの面白いコラボを見てこれまた堪能。辻井クンのピアノ弾き歌い『津軽海峡冬景色』は見事でした(笑)。

6月9日(木)
朝チョイト仕事をしたあと新幹線で大阪へ。毎日放送『ちちんぷいぷい』生出演。桂南光さん出演するもAKB48の総選挙の話題はナシ(笑)。去年この話題を取りあげて「悪徳商法」と看破されたのがネットの大話題となったけど今年は無視。まぁ特に素晴らしい歌をうたってる団体でもないですからスルーしていいでしょう(笑)。欧州の大腸菌大流行の話題には少々ぞぞぞぞっと背中に冷たいものが…。先月ドイツに行った人間としては…。まぁドーモないと思うけど…。しっかし政局の話題はサイテーですね。誰一人として総理大臣の「顔」をした人がいない。まぁ政治だけやなくて財界人やジャーナリストとして「世界」に通じる人がいるかどうか。歌手としてエンターテイナーとして通じる人がいるかどうか…を考えると政治家ばかりのレベルダウンを責めるわけにも…とも思うがサッカー選手や野球選手や宇宙飛行士や音楽家や芸術家の活躍を見ていると…やはりレベルの低いのは政財界人とジャーナリストか。スポーツ・ジャーナリストは…?『ぷいぷい』3時間出演のあと1時間休んで『ぷいぷい』特番『リアル世界クン』のVTR収録。司会は西クン。スタジオには角さんや堀ちえみさんやトミーズ雅さんや小生と同じ大学で教鞭を執ってる涌井雅之先生や経営コンサルタントの小宮一慶さんなど。たむけんさんも出てたのでマネージャー氏と来月の桐蔭横浜大学での第2回特別講座を最終調整。第1回の乙武さんとの特別講座に続いて7月14日にたむけんさんと小生で第2回目の特別講座をすることに!学生諸君乞御期待!お笑いと焼肉チェーン店の話は絶対面白いはず…というのはさておき『ぷいぷい特番』はBRICSについて。ブラジル・ロシア・インド・中国…の歴史のある国が西欧近代合理主義社会の次にどんな社会を作る?難しいテーマを楽しく大阪的に話して放送は1週間後(かな?)。収録後でビール。美味い!6時間くらいスタジオ出演してよう喋ったのにも関西の番組はあまり疲れず。うん。これでいいのだ。大阪泊。

6月10日(金)
朝新幹線で帰鎌。そもそも帰鎌という言葉があるのかと考えて帰京や帰郷があるなら帰鎌もええやろ…と思てるうちにぐっすり眠る。本が読めなかったのは悔しいけど眠るのは悪くない。最近パヴァロッティも時差ボケ解消に服んだというメラトニン(ホルモンの一種。睡眠導入剤のようなもの)を服むようになったがあまり効果なし。というか熟睡できるが若い頃のように8時間も眠り続ける力がなくだいたい5〜6時間で眼が覚める。それでエエのかなぁとも思うがもっと力強く寝たい。新幹線のなかでは1〜2時間ながら力強く眠れる。線路と車輪の揺れがエエのかな。校正その他の仕事であっという間に晩飯映画劇場はフランス映画『モリエール〜恋愛は喜劇』。なかなか面白い人間喜劇。『タルチュフ』を下敷きにモリエールの半生がフィクショナブルに描かれてる。そういや演劇を目指した高校生の時にモリエール・コルネイユ・ラシーヌなんか読んだなぁ。シェイクスピアもジャリもピンターもウェスカーも近松も唐十郎も清水邦夫も演劇目指すなら読まなあかんと思てオブセッション(強迫観念)を感じながら必死に読んだ。友だちがマルクスを読むように俺は演劇を読んだ。ワケわからんでもいつかワカルと思て読んで頭に詰め込んだ。いま演劇目指してる若者も読んでるのかな?それとも三谷幸喜しか読んでへんのかな?それでもやっていけるのかな?歴史がどこかで断絶したから…大相撲のように…という意味がワカラン方は拙著『大相撲八百長批判を嗤う』をお読みください。宣伝でした。失礼。

6月11日(土)
朝から校正イロイロ雑務イロイロ…とはいえゆったりした土曜日。昼飯時に久しぶりにパヴァロッティ主演ヴェルディの『アイーダ』(スカラ座)のDVDを見たりもする。最近70歳のドミンゴの歌声に驚嘆感激したけどやっぱりパヴァロッティ全盛期の声はテノールとして別格。午後も雑務のあと震災関係のNHKスペシャル見ながら夕食。復興の壁に直面してる現場自治体に対して官房長官が具体策や期日を何も喋れずNHKキャスターも突っ込めない。ジャーナリストが弱い。それに夕方新宿での反原発デモをニュースでやらないのはなぜ?シリア・ダマスカスのデモを報じるくらいなら新宿に集まった大勢の人々を報じるべきでしょう。夜10時から佐渡裕さんベルリン・フィル・デビューのドキュメンタリーとコンサート。こういう番組はサスガNHKというべきか巧い。とはいえ「フィルハーモニー」の特徴(王立オペラ座管弦楽でないこと=大衆的であること)の説明と「ベルリン・フィル」の解説(インターナショナルであること)は少々不十分。ま。小生の仕事を残してくれてるのかな(笑)。リハーサル風景や団員の声はわかりやすく面白かった 。しかも演奏はやはり見事。収録はベルリンでは「堅かった」との声も少なくなかった初日だったがやはり見事。久々に午前1時過ぎまで起きてテレビを見てしもた。今夜はメラトニンがいらん。ZZZZZZ…。

BOOK
高橋秀実『からくり民主主義』(新潮文庫)
高橋秀実『からくり民主主義』(新潮文庫)
CD
『ジョン・ウィリアムス:スター・ウォーズ組曲&未知との遭遇』
『ジョン・ウィリアムス:スター・ウォーズ組曲&未知との遭遇』

6月12日(日)
朝『題名のない音楽会』で佐渡裕サン@ベルリン。武満徹From me flows what you call timeを聴き直す。そうやんなあ。この音楽はどことなくジョン・ウィリアムスの『未知との遭遇』の五つの音とも似てるのんやねん。しかしジョン・ウィリアムスのは大名曲です。武満の音楽もハーモニーとか非常に美しい名曲やとは思うけどサテこの曲を進んで自分から聴きたいかどうかというと…。そのあたりが現代音楽の問題点かなぁ。次女に言わすと「ただの効果音の連続」。うん。何の効果を出してるのか…考えてみる価値あるな。散歩と読書。日曜日らしい一日。高橋秀実『からくり民主主義』。『おすもうさん』が見事に面白かったので同じ作家の作品を読み出す。これも確かに面白いノンフィクション。しかし前の世代の作品とは明らかに異なる。怒りのないノンフィクションとでも言うか…。そういえば解説を書いてる村上春樹も怒らない小説家と言えるかもしれない。スマートに嘆く。泥臭さは流行らないのかも。しかし本質は衝いてる。悪くないけど隔靴掻痒。夕方から大船に出てNHKの某番組担当者と打合せ。統一球と引き分け制度を中心に久しぶりにプロ野球のことを思い切り喋らせていただく。サテ番組として成立するかどうか…。日本の野球をきちんと語るとどうしても讀賣朝日NHK批判になりますからね。そこまで踏み込まなくても面白い番組になるとは思うけど…。晩飯映画劇場は『TRICK霊能者バトルロイヤル』…あまりのつまらなさにウンザリ。何でこんな映画が流行るのかなあ。ホンマに流行ったのかなあ…。

DVD
『ずっとあなたを愛してる』
『ずっとあなたを愛してる』

6月13日(月)
サア頭の中をマーラーに戻し始める。昨年末から『マーラーの交響曲』の原稿を書き始めて年表・家系人脈図・まえがきと仕上げて交響曲の「1番巨人」から「5番」まで書きあげ「6番」を書いている途中で大相撲八百長メール事件勃発。それで大忙しになりTV出演や飛鳥新社の緊急単行本出版『大相撲八百長批判を嗤う』が重なったところで東日本大震災と福島原発事故が勃発。テンヤワンヤのうちに単行本出版の目処を付けて佐渡裕サンのベルリンフィル・デビューでドイツ行き。帰国して単行本出版。そしてようやく振り出しに戻るようにしてマーラーに戻る…。まだ被災地へ足を運ぶ…という仕事が残ってるけど阪神淡路の時と違って親戚知人がほとんどいないのでそれはマーラーの合間に近々…しかし頭の中がナカナカ戻らんなぁ…と思いながら朝から机に齧り付いてる自分に気付き夕方のなって運動不足解消の散歩がてらに『鮨処もり山』さんへ。メシは食わずに本を届けただけで出かけていた次女と餓鬼を迎えて帰宅。晩飯映画劇場は『ずっとあなたを愛してる』。これは最高に素晴らしい映画でした。じつに素晴らしい!物語も脚本も映像も構成も役者の演技も…すべて見事!日本語タイトルからは想像できないストーリー。息子を殺して15年の刑期を終えて出所した姉と彼女を迎える妹とその家族の物語。フランス語原題は「IlyalongtempsJet'aime」(直訳は「それは私が貴方を愛する長い時間」)。素晴らしい作品(アート&パフォーマンス)は見る人を黙らせる。それは映画も絵画も音楽もスポーツも同じ。この映画には観客を黙らせる力があった。武満徹の『音、沈黙と測りあえるほどに』とはそういう意味でもあったのか。

6月14日(火)
朝からいろいろ仕事。合間に高橋秀実『からくり民主主義』読了。一昨日は「怒りのないノンフィクション」と書いたけど「単純に怒ることのできない複雑な現実をきちんと見据えたノンフィクション」と言い直した方が良い秀逸な一冊…ではあるけどかつての「団塊の世代系単純に怒るノンフィクション」と違うてマスメディアは取りあげにくいやろなぁ。うむ。マスメディアのほうが見方を変えなければ…。ふ〜ん。そうか。ecologyは因果応報の英訳か。なるほど。昨日素晴らしい映画『ずっとあなたを愛してる』のフランス語原題「Il y a longtemps Jet'aime」の直訳を「それは私が貴方を愛する長い時間」と書いたらフランス語に詳しい(と思われる)人物から次のようなメールをいただいた。《(訳は)「昔から私はあなたを愛してる」のほうがより正確です。Il y a lontempsは昔話の冒頭に使われる「昔々」のことです。さらにいえば、Il y aは、時間の表現を続ければ「〜前」を意味する前置詞句のようなものですので 、Je t’aimeという現在時制の文の中で使われているIl y a longtempsは、昔から、というくらいにするのがよいと思います》なるほど。YTさん。御指摘ありがとうございます。なにしろ大学で蓮見重彦のフランス語授業に一度出ただけの小生の知ったかぶり逐語訳…とはいえOnce upon a timeともEs war einmalとも異なる仏語独自の表現を読者にわかっていただくためには…とすぐにいいわけを思いつくのがモノカキの悪い癖…(汗)。こーゆー指摘を受ける度に勉強をやり直さなければ…と常々思い続けてきた大学中退生ももうすぐ還暦。よし。来年あたり復学するか。あ。俺。学生やなくて教授やったんや(笑)。と思ううちに晩飯映画劇場はジャイケル・マクソンの…いやマイケル・ジャクソンの『GHOST』。40分弱の長いM-clipかな。ふ〜ん。かつての俗界の寵児が成金をふんだんに使った今様国際的歌舞音曲。いや既に古様となったか?主役と脇役が常に同じ振付なのが残念…というのは年寄りの感想?

CD
ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』
ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』
ワーグナー『ワルキューレ』
ワーグナー『ワルキューレ』

6月15日(水)
今週はなぜかNHKの朝の連ドラ(正しくは「連続テレビ小説」)「おひさま」を毎日見ている。台詞過多・思わせぶりだがわかりやすい演技・一方向のメッセージ…等特徴は3度も見れば理解できるが続けて見ているとあることに気付く。これは「(過去の)時の流れ」の表現であり視聴者もまた「(現代という)時の流れ」に生きていることを気付かされるのだ。 せやからどないやちゅうねん…と言われてもタダそれだけのこととしか言えませんが武満の音楽みたいなものでFrom TV-drama flows what you call time.というわけですね。しっかし何故「連続テレビ小説」なのか?「テレビドラマ」とどう違うのか?そもそも「テレビ小説」というジャンルはどんなものか?「連続新聞小説」は誰も読まないのに続いているが「連続テレビ小説」は(まだ)多くの人に見られているのは何故か?結構いろいろテーマは考えられるけどそれを取材し考え文章にするにはまず「連続テレビ小説」を見なければならないというのがネックやなあ(笑)。連ドラのあとRKB毎日放送でプロ野球の統一球と飛ばないボールと飛ぶボールについて話してチョイト仕事のあと昼鎌倉芸術館小ホールへ。次女の同級生でもあるピアニストの川田健太郎クンのコンサートを聴きに行く。モスクワ音楽院に留学していただけあってオール・ロシアン・プログラム。小生の好きなリャードフが面白かったけどムソルグスキーの『展覧会の絵』は見事。しかしアンコールの『ノクターン』を聴くとホンマはショパンのほうが得意かな…と思う。地元でのコンサートで「親子室」付の会場だったためか次女も含めて赤ん坊連れの客が多かったのが微笑ましかった。こういうコンサートも絶対アリやな。CアーツのS社長に教えたろ(笑)。午後頭をマーラーに戻す作業進まず。東芝EMIから生誕125周年記念企画のフルトヴェングラーのCD『フィデリオ』『ワルキューレ』『トリスタン』が送られてきたので聴いてしまったせいか。SACD(ハイブリッド)盤用リマスタリングでCDプレイヤーで聴いても音がメチャメチャ良くなってる。マア音質よりまず演奏が凄いのですけどね。歌手も!(特に小生の大好きなバス歌手ゴットローブ・フリックのフンディンクの凄いこと!)とはいえSACDプレイヤーもほしなったなぁ。晩飯ドキュメンタリー劇場は録画してたNHK-BS長友佑都イタリアを翔る。なるほど実力も人気も要は性格の問題ですね。こういう文字を長く書くという ことは文字を書く仕事が上手くいってない証拠やね。トホホ(涙)。

DVD
『ユキとニナ』
『ユキとニナ』

6月16日(木)
朝から仕事。早く目覚めるのはサマータイムになったからではなく歳とったから。まぁ早く寝てるせいもあるんですけどね。いったん区切りで散歩のあと何気なく次女の読んでいる赤ちゃん子育て雑誌をパラパラ見てるとギョエッ!!目が点になったのは読者の赤ちゃん投稿写真の名前を見たから。舞花(まいか)海人(かいと)和奏(わかな)なんてフツーで「心結・小奈月・天希・凱士・朗萬・璃璃亜・瑠璃愛・萌萌・羽琉人・流羽歩・陽彩・煌・煌羅・夢奏・奏音・音空・星流・美音・羽珠・心琴・望愛・花華・純愛・奈絆・天昇・乙姫・璃音蘭…」なんて名前が並んでる。皆さんスゴイ名前をお付けになりますねえ。よその子供のことやからドーデモエエことやけど…読めます?正解は「こころ・こなつ・あまの・かいと・ろうま・りりあ・るりあ・もも・はると・るうあ・ひいろ・きら・きらら・ゆめな・かのん・おとあ・せり・みおん・うた・みこと・のあ・ふらわ・じゅんな・なづな・そらと・いつき・りおら…」オマエはいったい何人や!…なんてことは言いません。親御さんが愛するわが子のために考え抜いた名前を見るとその苦労と努力に涙が出ます。呉智英という人物は「読めない漢字の名前が多い大学は偏差値が低い」なんて言ったそうですが私はそんな失礼なことは言いませんがくれぐれも「心太」「昇天」はつけないでください。「しんた」「のぼる」とは絶対に読めませんので。あ〜あ。しんど。あ。一昨日書いた蓮見重彦という名前は蓮實重彦の誤りでした。失礼しました。ウィキペディアには小生がこの大仏文学者の弟子であるかのような記述があるそうですがそんなオソレオオイことは断じて事実と違いますので御注意を。

6月16日(木)つづき
赤ん坊子育て雑誌を読んで最近の日本が大きく変化していることを知る。外国人のような日本人のミス・インターナショナルも英語をぺらぺら喋る断じて日本人には見えない舞子もムベナルカナ。大相撲だけは「日本のまま」でいてくれよ…。晩飯映画劇場は…あ。外出時間が来てしもた。続きはのちほど…。失礼。

6月16日(木)つづきのつづき
外出時間が来て…と本欄「日誌」を書くのを中断したのは6月17日(金)のこと。そして16日(木)の記述を再開した「今」は19日(日)。こういうのを古き関西弁常套句では「赤児の小便」という。「ややこしい」。しかし何故World Wide Web上の日誌のことをブログというんやろと思て調べるとWebLogが短くなってBlogになったらしい。ちなみにlogには海事用語で航海日誌なんて意味もある。そやからどないやちゅねん…と言われれば日曜昼間に3日前のことを書く作業だけに横道に逸れやすい…ということ。そういえば小生が本欄で取りあげる映画や書籍は封切りや新刊が少ない。多分クラシックなものが好きなんですね。流行よりも不易を求めて。で晩飯映画劇場は(これは16日の晩飯のことです)フランス映画『ユキとニナ』。母親が日本人・父親がフランス人の子供ユキ。両親が離婚しそうでフランス人の友達ニナと一計を…てなわけですがどうしてこうも気取るのかなあ。映像は美しいし子供たちは可愛いし日本の風景も悪くないけど…難しく芸術映画にする必然性はないと思うけど…。

DVD
『Carlos Kleiber I am lost to the world』
『Carlos Kleiber I am lost to the world』
『カルロス・クライバー〜無への足跡:エリック・シュルツによるドキュメンタリー・フィルム』
『カルロス・クライバー〜無への足跡:エリック・シュルツによるドキュメンタリー・フィルム』
BOOK
『バルザック「人間喜劇」セレクション 幻滅−メディア戦記』(藤原書店)
『バルザック「人間喜劇」セレクション 幻滅−メディア戦記』(藤原書店)

6月17日(金)
午後から渋谷のNHKへ。その前に新橋の三菱東京UFJ銀行に寄ってベルリンで使い残したユーロを日本円に変える。それから地下鉄で渋谷へ。NHKに向かって歩いていると三菱東京UFJがあって換金も…チクショー…新橋に行く必要なかった…と自分に腹立てながらタワーレコードに寄るとカルロス・クライバーの大売り出しをやってたのでドキュメンタリーのDVD2本と海賊版と思しきバイエルン歌劇場管弦楽団との東京公演のライヴCDなど買い込んだあとNHKへ。某番組で大相撲八百長問題を名古屋場所に合わせて取りあげることが可能かどうか打合せ。ディレクター氏は拙著『大相撲八百長批判を嗤う』も読んでくれていた。その内容のようなこと(日本文化論)をテレビで話すのは結構難しいけど挑戦する価値あり。サアどうなる?打合せのあと関東甲信越地方番組審議委員会出席。連続テレビ小説『おひさま』のスタジオ見学。ふ〜ん…と安曇野の蕎麦屋さんのセットなどを眺めてたら突然「ホンバ〜ン」の声と共にスタジオの一角にある夫婦の小さな部屋で本番VTR収録が始まる。10人以上の委員と案内のNHK職員一同は唾を呑んでフリーズ (文字通り動かず喋らず凍りつく)。あ。旦那さん戦争で死なずに帰ってきて子供も産まれるんや…と驚きながらナマの演技とモニターの画面に注目。するとナント4つのカメラによる9分近くの連続収録。じっと立ちっぱなしは少々マイッタけど貴重な面白い体験。これだけ長回しで撮るのにカットの連続は役者さんが少々可哀想。会議室に戻っていろいろ番組について話したあと帰鎌。久々に大船の『213』で生ビール。小生のスポジャー塾の元塾生と逢って歓談。これが少々面白い元塾生でハーディング指揮マーラー室内管のモーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』のDVDやバルザックの『人間喜劇』(幻滅〜メディア戦記)なんて小説を貸してくれる。スポーツライターにはもちろん「サブ能力」が求められるけど映画と一緒で芸術作品に走るより商業主義を磨くほうがエエで…といった話をする。そうか。今はスポーツライターのレベルも落ちてるんやな。ということはチャンスのはずやけど…。

6月18日(土)
朝チョイト仕事のあと新横浜から新幹線で新大阪へ。梅田に出て阪急に乗り換えて西宮北口へ。兵庫県文化芸術センター大ホールでの佐渡裕指揮によるマーラー『交響曲第3番』を聴きに行く。少し早く着いてまず佐渡さんの楽屋へ。ベルリン以来の再開の挨拶。スタッフの人とかベルリンであった人とは全員「戦友」のような感覚を覚える。「あれ以来変わりました?」と佐渡さんに訊くと笑顔で(というか少々苦笑気味に)「いま自分の中で整理中かな。アノあともギッシリ仕事やし…あ。禁煙始めました」なるほど。バーンスタインもできなかった次のステップに新たな挑戦というわけか(笑)。ちょっと話してベルリン・フィルとの公演チケットとパンフレットにサインしてもらう。エヘヘ。役得役得。家宝がでけた。演奏は見事にロマンチックなマーラーに酔わせてもらう。マーラー室内管弦楽団とPACオケ(兵庫県芸術文センターオケ)の合同演奏はPACにとってめちゃめちゃエエ勉強になったに違いない。演奏前に佐渡さんがマーラー3番に関する短いトークで舞台に登場したところ客席から「ベルリンフィル・デビューおめでとう」の声が飛び大拍手。ホームタウンは素晴らしい。佐渡さんも「ホンマ。チケットも買わずにエエ音聴いてきまして…」と枝雀級のギャグで答える。いやざこば級か(笑)。演奏後楽屋で「戦友」の方々に挨拶。来月のオペレッタ『こうもり』で毎年恒例となってる名古屋中日栄文化センターの豪華ランチ佐渡さん挨拶付き団体鑑賞のお願いをしたあと帰鎌。帰宅すると最近の赤ん坊の「見事に難解な名前」に感激していた小生のために次女が雑誌から新たに「素晴らしい」名前の数々を書き出していてくれていた。「夢我・来智・玲土・醍寿・琉央・彩来・倖羽・仁菜・亜璃洲」皆さん読めますよね。「むが・らいち・れいと・だいじゅ・るお・さえら・こう・にいな・ありす」いやあ「素晴らしい」名前の彼女や彼が未来の日本を引っ張り支えてくれるかと思うと漢字を見ているだけで楽しくなりますね…。そういや小生と京都の予備校で同窓だった男のなかにも「綸斗」なんて名前があった。お父さんは京大文学部哲学科教授。子供に「カント」と名付けたらしい。その彼に「困った親やね」と言うと「いやあ俺なんかマシなほうでショーペンハウエルと名付けられた奴もいた」という「渉遍把得」と書くらしい。そういえば小生が高3で大阪万博のあった年(1970年)に産まれた子供に「万国博」と名付けた親がいたことを新聞やTVが報じていた。「まくひろ」と読む。はたまた小生が世話になってる税理士さんの名前は「二千六百年」。もちろん紀元二千六百年(昭和15年・西暦1940年)の生まれで現在も矍鑠としてお元気。「ふちむね」と読 む。「百姓」とはよく言ったものだが日本人の名前は「姓」も「名」も無限にありますな。

6月19日(日)
今日はちょっと休憩の一日。朝散歩して(佐吉に変わる犬が欲しいな)…『題名のない音楽会』で辻井伸行クンのラフマニノフを久しぶりに聴いて(エエなあ)…昨日の新幹線車中で読みふけったバルザックの『人間喜劇〜幻滅−メディア戦記』を読んで(久しぶりの文芸本はシンドイなぁ)…金曜日に国会で成立したスポーツ基本法の条文を読み直して(明日締切ですからね)…しかし金曜朝にチラッと見たテレ朝の『モーニングバード』で放送された福島原発のメルトダウンとメルトスルーの報道が気になって…ネットでYoutubeを見てみたらヤッパリこの「重大事件」の「考えられる最悪の現状」に関する報道はアップされていた。メルトダウンした核燃料はとっくに圧力容器も格納容器も突き破って建屋のコンクリートの床も突き破って…。知らぬが仏…いや言わぬが仏と言うべきか。とはいえ汚染水浄化装置が「汚染」ですぐに壊れた現状を聞くとオレ程度の原子力発電に対する知識の持ち主でもナンかアヤシイ…と思う。東電関係者や政府関係者は「本気」でどう思ってるのか?ここでオレが焦ってもシャーナイのでレーセイにオレはオレの仕事をしよ。しっかし『モーニングバード』を見なかった皆さんはYoutubeを見て下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=fjklBl0A9Kc
Nスペ『父は日本兵を殺した』沖縄戦のドキュメンタリーは凄かったなぁ。オレの親父の世代の戦争経験者はアメリカ人も戦争の悲惨さを語る。原発も原爆もNuclear energyならば今は戦時か…。

6月20日(月)
長女のBFがレンタカーでやって来て次女と孫を連れてベビザラスとか言う外資の巨大子供用品店へ赤ん坊用品の買い物で出かける。ヨメハンはヘ美容院へ(最近はヘアサロンと言うべきなんでしょうか?)。一人家に残って仕事…となると昔は(若かった頃は)ヨカラヌコトを考えたり実行に移したりもしたがコノ歳になるとせっせと仕事オンリーの一日(笑)。たしか永井荷風がそうなってしまうと仕事のエネルギーも失せる…というようなことを書いていたけど仕事はけっこう捗って(「はかどって」と読みます)先週金曜に国会で成立したスポーツ基本法に関するコラム2本仕上げる 。そうか。2020年東京五輪招致立候補にも追い風か…。しっかし法律はスポーツと体育の区別も付けてないし…スポーツ省創設も遠慮気味…。震災からの復興五輪…といえば聞こえはよくて対抗馬のローマと争えそうだがフクシマの問題はそのころまでに解決するの…?夕食時になって子供の服やら玩具やらを手にした家族全員が戻ってきて録画してたBBCアースのギアナ高地の鷲の生態を見ながらビールと鮨。しかしニュースで福島原発の新たな情報はやらんなあ…と思て寝る前にメールチェックしたら高野孟さんのメールマガジン「insider」で昨日本欄で紹介したYoutubeの『モーニングバード』のフクシマ・メルトダウンとメルトスルーの報道が紹介されてた。加えてANNニュースも。なんでTVや新聞はこのニュースをもっと取りあげないのかなあ…と思いながら寝る。
http://www.youtube.com/watch?v=t3JI0vuIjdg

6月21日(火)
マーラーへマーラーへマーラーへ…と呪文のように唱えながら頭の中を方向転換…とはいえスポーツ基本法のことで連絡が入ったり2020年東京五輪招致立候補のことでメディアから意見を訊かれたり…。この状況はシャーナイな。本を仕上げる一番いい場所は監獄…と言ったのがドストエフスキーだったかチェーホフだったか(あるいはヒチコックだったか?)…は忘れたが社会状況と極めて関係のある本作りをしてる小生でもそんな言葉が頭に浮かぶ。ホリエモンにはパフォーマンスより思索と執筆の時のはず…とアドヴァイスしたいですね。夕方から東京市ヶ谷のルーテル・センター・ホールへ。ヨメハンと待ち合わせてチェコ・フィルハーモニー・ゾリステンの弦楽合奏(四重奏+コントラバス)聴きに行く。ナマの室内楽はほとんど聴かないけど隣人のフランス人フルーティストのモンティ夫人の堀中モンティ倫子が出演するので足を運ぶ。なるほど室内楽もイイモノですねえ。なるほどモーツァルトの初期や中期のピアノ協奏曲(12番)は室内楽として聴くほうが面白いかも。シューベルトの『鱒』をナマで聴いたのも初めてかな。アンコールの『浜辺の歌』にも感激。日本にはイイ歌がギョーサンあるなぁ。隣家のお付き合いでこんな高いレベルの豊かな音楽が聴けることに大満足。帰りの電車のビールが美味い。

DVD
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
CD
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』
ヴェルディ『椿姫』

6月22日(水)
朝RKB毎日『中西一清のスタミナラジオ』生電話。2020年東京五輪招致について。1964年の東京五輪は戦後復興。2020年は震災復興…となるか?そのときフクシマ原発は?チェルノブイリのようにコンクリート固め?とはいえ九州ではやっぱり少々遠い話題のよう。かつて立候補を考えた福岡は今では…?ここでクイズです。次回の五輪開催都市はイギリスの首都ロンドンですがイギリスでは何度目?もしも2020年が東京開催となったら日本では何度目?答えは明日。ラジオのあと夕方までかかって週末の中日栄文化センター『オペラ講座』のレジュメ作り。時間がかかったのはテーマがヴェルディの3回目『椿姫』だったから。好きなものには時間がかかる…時間をかける?久しぶりにクライバー指揮のCD(ヴィオレッタ=コトルバシュ/アルフレード=ドミンゴ/ジェルモン=ミルンズ)を訊く。イタリア的でないから(バイエルン国立歌劇場管弦楽団)あまり好きではなかったけど久しぶりに聴くとヤッパリこの切れ味は面白いなあ。とはいえジュリーニ指揮カラスのライヴ(演出はヴィスコンティ!)は凄いなあ。ライヴだけにカラスがメチャメチャ音程をはずしてるのも一興…などと思いながら夕方から久しぶりに墨田トリフォニー・ホールへ(何故か今日は久しぶりばっか)。このホールのオープニングのシンポジウムは俺も参加させてもろたなあ…と過去を思い出しながら錦糸町の駅が近づくと目の前にドッカーンと東京スカイツリー。こんな近くでデカイのを見たのは初めて。時代は動いてる…のかな。2日連続のコンサート。今日はダニエル・ハーディング指揮新日フィルでマーラーの『5番』。いやぁハーディングはやっぱりタダモノではないですよ。ロマンチックな迫力に満ちながら一音一音がこれほど際立つ演奏に感激。そういえば一曲目のワーグナー『パルジファル』の前奏曲でも聴衆に拍手をさせない力(!)はサスガ。終わってロビーに出るとダニエルが震災の募金箱を持って立ってたので挨拶。覚えていてくれてサンキューです。今日も帰りの電車でのビールが美味い。やっと頭の中がマーラーに戻ったかな?

6月23日(木)
なかなか『マーラーの交響曲』の本格再始動が始まらない。まあ一度エンジンを切ったものを再始動さすには機械の再点検が必要やから…と妙な理屈をひねりながら必死に再点検作業。新しい編集者はせっかく面白い原稿が『交響曲第五番』まであるのですから早く続きを…と励ましてくれるがコーユー励ましは嬉しい。そういえば最近某テレビ局アナウンサーと某ミュージシャンと某雑誌編集者から相次いで『「大相撲八百長批判」を嗤う』がメッチャメッチャ面白かったという感想メールをいただいた。コーユー感想もメッチャ嬉しい。けど感想を寄せてくれた人物の誰もが「大相撲大好き大人の常識人」であることを思うとコーユー玄人筋ウケするから売れ行きがイマイチなのかなあと思ってしまう(苦笑)。この本は大急ぎで作ったけれども「現在日本大相撲文化論」として決定版的自信作でもあるのでロングセラーを狙いまひょ。夜京都から甥っ子がやってくる。関西でフリーライターをしていたが来月から拠点を東京に移して本格活動を開始するという。状況が状況だけにシンドイとも思うけどソレはチャンスでもあるのでガンバレ。 酒呑む練習もせい(笑)…と晩飯食いながらTVつけるとサッカーのU22クウェート戦をやってた。本欄には書かなかったけど前の日曜に見たホームの試合。しっかし常にマゾヒスティックな日本のスポーツ・ジャーナリズムは何でホームで1点とられただけでヤバイと大騒ぎするのか?戦術も個人技も組織としての動きも日本のほうが圧倒的に上やないか。これでもしアウェーで負けたらそのドジさ加減を非難すればイイだけであって40度を超える気温とか悪いピッチを心配する必要なんかナイ。日本のサッカーは強いのだ。堂々と戦いモット強くなるべきでマゾヒスティックな論調はそろそろ止めにすべきだ……と思いながらTV中継は深夜なので寝る。どうせ日本が勝つわい!ZZZZZZZZZZ……。

6月24日(金)
早朝目覚めてネットを開くとナニィ!U22のアウェーでのクウェート戦で日本が負けたやないか!昨晩日本が勝つと本欄に書いたのに…。ん?1−2で前回のホームでの試合結果を加えた合計点は4−3。日本がロンドン五輪2次予選突破。うむ。記事を読めば先制したのは日本。前半1−0で折り返し。後半2失点か…。ドジ寸前?まぁ結果オーライ。ビデオを見てみまひょ。

6月24日(金)つづき
なるほど。これが「中東の笛」か…などと言うのはナンセンスでウズベキスタンのレフェリーは最後のPK以外はマトモやった。とはいえあのPKはちょっと非道いのは確かに思えるけど…。もしも「中東の笛」がハンドボールだけでなくサッカーでも事実とするなら(ハンドボールではハーフタイムに審判員を監禁してピストルで脅したという)単に嘆いたり騒いだりするだけでなくきちんと日本サッカー協会がアジアサッカー協会やFIFAに訴えるべきでメディアはそのような抗議がきちんと行われているかをチェックすべきだろう。あ。一昨日本欄で出したクイズの解答を書くのを忘れてた。2012年ロンドン五輪でイギリスの五輪開催は通算3度(すべてロンドン)。2020年の東京五輪招致が実現すれば日本の五輪開催は通算4度(東京×2+札幌+長野)。イギリスは雪が降りませんからね。2018年の平昌冬季五輪招致の(おそらく)実現と共にこういうデータは招致運動にはマイナス?ケープタウン(南アフリカ)が立候補を見合わせるのはプラスだろうけどライバルの2度目のローマは前回も東京を破って東京の1大会前の開催(1960年)に開催。なら ば今回もローマ→東京の順で…という国際(IOC)世論になるのか。それともイタリアとして日本と同じ五輪開催4度目(ローマ×2+コルチナ・ダンペッツォ+トリノ)でトリノとの間隔が短いから今回は東京→ロマの順で…となるのか?なんてことより問題は大震災が国際世論に同情されるかフクシマ原発が非難されるか…がポイントかも?

6月24日(金)つづきのつづき
ダイニングルームのオレの席のすぐ後ろの出窓の横にある柘植(つげ)の枝に巣を作ったヒヨドリの卵が4羽孵(かえ)って母鳥は大忙し。間近に見てるとオモロイけど羽根の生えそろわない裸の赤ん坊ヒヨドリが焼き鳥寸前にしか見えない。我が家に猫がいなくてよかった(汗)。晩飯野球劇場は阪神巨人戦。飛ばないボールに四苦八苦してる昨年までの似而非長距離打者は少々情けない。本物の長距離打者(ルース・ジャクソン・中西・野村・王・長池・田淵…)はボールの質なんか関係ないというのが過去の常識やったんやけど…。阪神勝利。甲子園は相変わらず楽しそうやなあ。

BOOK
井上寛司『「神道」の虚像と実像』(講談社現代新書)
井上寛司『「神道」の虚像と実像』(講談社現代新書

6月25日(土)
朝テレビのモーニングショウを見ていて仰天。民主党の岡田幹事長がナカナカ辞めない権力欲丸出し無能総理大臣について「…の法案を通して…の目処を付けたいというのが総理の『思い』なんです…」と語っていた。一国の総理大臣の施策について「方針」「指針」「哲学」「信条」…と言った言葉を使わず「思い」などというワケのワカラン曖昧な言葉しか使わないのは幹事長が総理を馬鹿にして…と思ったがどうやらそうではなくマジにこの無意味な言葉を使ったらしい。言葉が死ぬ(意味を失う)と人間の営み(文化)も死ぬ。日本政界は世も末です。財界もマスコミ界も?午後から新幹線で名古屋へ。中日栄文化センターでオペラ講座は『椿姫』。前奏曲と幕開けは佐渡裕指揮パリ管(03年エクサンプロヴァンス音楽祭。演出はムスバッハ)。1幕の乾杯の歌と幕切れヴィオレッタのアリアまではロペス=コボス指揮マドリッド王立歌劇場(アンセルムのヴィオレッタ。演出はピッツィ)。第2幕のヴィオレッタ(ボンファデッリ)とジェルモン(ブルゾン)の二重唱とジェルモンのアリアから幕切れはドミンゴ指揮トスカニーニ財団管。ゼッフィレッリ演出でヴェルディの生まれ故郷ブッセートでの小オペラ座(キャパ500人!)によるライヴ。2幕第2場のパーティはヴェニス・フェニーチェ劇場でのロバート・カーセン演出によるラスベガス・カウガールによるエロチック・ダンス・ヴァージョン。いろんな舞台と演奏がありますね…ということで最終幕はAKB48に対抗して受講者の皆さんによる総選挙で(こちらは無料です・笑)ということにしたらやっぱりドミンゴ指揮ゼッフィレッリ演出の舞台になった。当然でしょうね。往復新幹線で井上寛司『「神道」の虚像と実像』(講談社現代新書)読む。うむ。融通無碍の多神教…か。それに国家が介入するとオカシクなる。大相撲と一緒やで。

CD
『太平洋序曲』
『太平洋序曲』
『太平洋序曲』
『太平洋序曲』
『Pacific Overtures』
『Pacific Overtures』
『ディズニー・オン・ブラス』
『ディズニー・オン・ブラス』
BOOK
ベルクソン『笑い』(岩波文庫)
ベルクソン『笑い』(岩波文庫)
井上寿一『戦前昭和の社会』(講談社現代新書)
井上寿一『戦前昭和の社会』(講談社現代新書)
DVD
『ウソから始まる恋と仕事の成功術』
『ウソから始まる恋と仕事の成功術』

6月26日(日)
朝『題名のない音楽会』で延々と「歌謡曲」を楽しむ。日本の「歌謡曲」はその美しさでもその量の多さでも世界一と違うかなあ…と思いながら以前都はるみさんの話した言葉を思い出す。「演歌といわれてもピンと来ないんです。私がデビューしたころ歌は全部歌謡曲と呼ばれてましたから」午後から新しくオープンした神奈川芸術劇場のこけら落とし公演へ。ソンドハイム作詞作曲宮本亜門演出『太平洋序曲』。幕末のペリー来航黒船大騒ぎのミュージカル。う〜んんんん。心に残る美しいメロディのなくラヴストーリーもないミュージカルというのは微妙やなあ。ソンドハイムの『スウィニー・トッド』も音楽よりティム・バートンの映像とジョニー・デップでもってたようなもんやし…。おまけに開港した日本が明治天皇のもとで軍事大国化して戦争に突入して原爆落とされて大震災に見舞われて…しかし昔は海に浮かぶ美しい国だった…とサリヴァンのミュージカル『ミカド』や『メリー・ポピンズ』によく似たメロディのアメリカン・ミュージカルでいわれてもなあ…困ったなあ…場内の拍手は多かったけど小生にはこのミュージカルが何を言いたかったのかようわからん。原題『Pacific Overtures』を『平和(へ)の(いくつかの)序曲』とでも訳すなら…ますます頭が混乱してくる。八嶋智人・山本太郎・桂米團治などの役者陣はがんばってたけどミュージカルの歌を聴かせる声も技量もないのは残念。彼らのせいではないけどミスキャスト。しかしこの作品でソンドハイムは「何」を言いたかったのか?単なるエンターテインメントにしてはメッセージ色が強すぎる…けどそのメッセージがようワカラン…と思たのは小生だけ?佐渡裕指揮シエナ・ウィンド・オケによる『ディズニー・オン・ブラス』のCDを聴き直しとなった。ミュージカルはこうでないと…。

6月26日(日)つづき
『太平洋序曲』を見た帰りに横浜スタジアムの横で開かれていた東日本震災支援バザーに寄って東北の酒を探すが売ってなかったので岩手産の鶏と卵のつみれや福島産の菓子を購入して帰宅。晩飯映画劇場は『ウソから始まる仕事と恋の成功術』(原題は『The Invention Of Lying 嘘の発明』)。ウソの存在しない世界の映画会社(従って過去の歴史的事実しか脚本化できない)に務めている三流脚本家が「ウソ(をつくこと)」を発明して大成功する話。なかなか面白い良質ハリウッド・コメディ。ウソの存在しない(誰もがホントに思ってることしか口にしない)世界の話だから当然宗教は存在しない。そこで「ウソ」を発明(発見?)した主人公は「天の上の人」の話をモーゼのように話して多くの人々の耳を惹き付ける。その「10の話(ウソ)」をピザハットのボール紙のピザケースにモーゼの十戒の石版のように書いて見せるところなんぞ笑える。もっともハリウッド・コメディだから深くは掘り下げない。そこがまた良い。『太平洋序曲』はその間合いを読み違えたな。ウソのない世界は広告も嘘をつかない。だからペプシの宣伝が「コカコーラのない時に飲むコーラ」というのには笑ってしまった。単純で無意味な笑いは(カントやベルクソンに御高説を賜らなくても)きわめて貴重で重要ですよ。すべてを忘れさせてくれますからね。

DVD
『運動靴と赤い金魚』
『運動靴と赤い金魚』

6月27日(月)
早朝から原稿書き。朝食前に仕上げる予定が朝飯前とはいかず少々難航。アサメシマエという言葉は最近死語になったか?…と思いながら午前中に完成。昼飯映画劇場のつもりはなかったけどNHK-BSをつけると『運動靴と赤い金魚』という映画をやっていたので見てしまう。イラン映画を見るのは初めて。母親が病気で父親も満足な仕事のない貧しい家庭の小学生くらいの兄と妹がボロボロの運動靴を交代に履いて学校へ通う(イスラム圏では女子と男子で授業時間が異なっているようだ)。ある日長距離走の大会があって3位になれば運動靴がもらえるというので兄は妹のために出場する。ところが必死に走って競り合って優勝してしまってもっとよい商品を得るが運動靴は逃す。がっくりと肩を落として帰宅し自宅近くの噴水のある池で泣きながら脚を冷やしていると何匹もの金魚が疲れて傷ついた脚にまとわりつく。そのとき庭師の仕事を始めて報酬を得るようになった父親は野菜や食料品と一緒に運動靴を買って自宅へ…。兄と妹の純な心を美しく語りすぎることなく描いた秀作。イランの低所得者層の生活や町の様子が垣間見れたこともよかった。高所得者層との激しい二極化が存在することもわかった。映画は多くのことを教えてくれる。アジア映画イスラム圏映画をもっと見なければ。夜『鮨処もり山』へ。元西武球団代表坂井保之さんと『新潮45』連載「プロ野球血風録」最終回のためのプロ野球談義。うむ。やっぱり寿司屋は味わうのも話をするのもカウンターに限るかな。有意義盛り沢山の話に満足して帰宅。世界ランク4位で優勝を狙う女子サッカーの対ニュージーランド戦。同点にされても焦らずきちんとFKで突き放す。2-1。勝ち点3。見事。アナウンサーと解説も男子の中継のようにアブナイアブナイ引キ分ケデハ先ガナイ…などとマゾヒスティックにならなくてよかったと思う。そう。堂々と闘えばい いのだ。日本のサッカーは強いのだから。

6月27日(月)つづき
イラン映画『運動靴と赤い金魚』で一つ書き忘れたことがあった。映画の日本語訳字幕では長距離走の競走に「マラソン」という言葉を使っていたけど本当に映画で「マラソン」という言葉が使われてたの?ペルシア語だかアラビア語だかよくわからんけどイラン(昔はペルシア)は大昔にアテネ(ギリシア)と闘って「マラトンの戦い」に敗れた国。だからパーレビ国王時代にテヘランで開かれたアジア大会ではマラソンをわざわざ正午スタートにして当日になって暑すぎるから中止とやめてしまったくらい。イスラム原理主義になって以来のイランではマラソンが解禁になった?知ってる人がいたら誰か教えて。

DVD
『チベットの女イシの生涯』
『チベットの女イシの生涯』

6月28日(火)
暑い。まだ6月か。しゃーないな。仕事にナランからエアコンつけよ…という気にはなかなかナラン。別に節電意識があるからでなくエアコンは贅沢という意識が植え込まれてるから。そういや子供時代に電器屋店主の親父は自宅にエアコンをなかなかつけなかった。古くは電気洗濯機も電気冷蔵庫もテレビも売り物だけで自宅にはなく「医者の不養生」「紺屋の白袴」「髪結いの乱れ髪」「坊主の不信心」という言葉を早くから覚えた(親父が笑いながら口にしていた)。テレビは店頭で見ることができたから無問題(モーマンタイ)だったが冷蔵庫は長い間電気でなく氷屋の配達する氷を使ってた。あの時代(昭和30年代)日射病という言葉はあったが熱中症という言葉はなかった。言葉がなかったということは事実もなかったということでどんなに夏が暑くても誰もが元気に生きていたように思う。身体が暑さに弱くなったのはひょっとしてエアコンが普及したせい?熱中症を防ぐためにエアコンをつけましょう…というトートロジーに根拠はないけど現代社会にはよく見られる現象に思える。あ。仕事にナランうちに晩飯映画劇場は『チベットの女イシの生涯』。チベットの美しい自然のなかでの波瀾万丈の女の一生。女の生涯の苦しみは孫娘も。女の一生は万国共通のテーマ。女の一生からチベットが見える。イイ映画でした。

6月29日(水)
うわっ。昨日より暑い。まだ6月やで…と思いながら朝RKB毎日放送生電話。MCの中西一清さんが昨日『大相撲八百長批判を嗤う』を読了されてメチャメチャ面白かったとかでもう一度取りあげていただく。ありがたいこってす。とはいえ大相撲の八百長に頭から湯気を立てて怒っていた人はどこに消えた?もう怒ってないの?先の技量審査場所での白鵬に魁皇が勝った一番には怒らないの?(もちろん小生は怒ってませんが)それにしても暑いなあ。バス停まで歩くのも汗だくになりそうなのでタクシーで大船駅へ。一応テレビ出演なもんで…と自分に言い訳しながら横浜駅乗り換えで東神奈川新横浜でも歩いて汗かくのが辛いので品川まで行って新幹線で新大阪駅へ。暑いとカネ使う。ということは暑さは日本経済にプラス?そこがようワカランのやけど個人がカネ使て家庭経済が疲弊したら日本経済は潤うの?それが廻りに廻って家庭経済にもプラスになるの?経済はようワカラン…と頭を捻りながら毎日放送へ。『ちちんぷいぷい』生出演。放送前に司会の角さんから「佐渡さんのベルリン・フィルのテレビ放送見たんですけどアノ武満徹とかいう人の音楽はイイですねえ」と話しかけられる。ウチの娘は「効果音の連続」としか言わなかったけどヤハリお年を召された方には心に響くものがあるらしい。それにプラスして拙著『大相撲八百長批判を嗤う』も「宮崎学さんとの対談とかイロイロ面白かった」と感想をいわれる。若い人も読んで下さいね(笑)。

6月29日(水)つづき
往復の新幹線で井上寿一『戦前昭和の社会1926ー1945』読了。二極化社会・家電ブーム・エログロナンセンスなど現在とソックリ置き換えられるところに驚く。特に政治(二大政党政治)のナンセンス。《政友会、民政党の両党とも、抱懐する思想に於いて孰(いず)れが保守、孰れが進歩と名づける事は出来ぬ。且(かつ)孰れも有産、無産の階級代表でもない。只(た)だ政権争奪の為めの甲、乙両組に過ぎぬ。其れを世間で政党なりと思って居る。主義も利害も同一であって、其れで争いをしようというのであるから……此れが世間で云う泥仕合というものである》民主・自民もまさに同じ。帰宅すると長男も帰ってきて久しぶりに基本家族6人揃って食事。柘植の木の枝の巣にいたひよどりの子供たちはいつの間にか飛び立ったという。成長が早いなあ。あ。書くの忘れてたけど仙台で被災された有機農業の鈴木有機農園さんからお米とトマトをいただいた。ほんのわずかのお見舞いに過分のお返し。恐縮です。お米はかろうじて水に浸からなかったものでトマトは残った苗から実ったものだとか。美味しかった。がんばってください。
http://suzuki- yuukinouen.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/06/

6月30日(木)
雑務雑務雑務…を午前中にこなして午後から雑誌の原稿…相撲名古屋場所について…う〜ん書けん…。そもそもアノ八百長騒ぎは何だったのか!?テーマがくだらんと原稿は書きにくい。八百長は許せん!とマスコミで騒いだ連中は先場所(技量審査場所)千秋楽の白鵬魁皇戦をなんで批判せんのや?あれは白鵬が明らかに力を抜いた「人情相撲」(片八百長)ではないのか?もちろん小生はそんなことを非難しようとは思わないがつまらん相撲であることは確か。そんなことしてたら今に大相撲人気が…あ。それを書こ。書き方に展望が見えると腹が減る(笑)。原稿の完成は明日にまわして晩飯映画劇場はレバノン映画『ボスタ!踊る幸福の赤いバス』。タブケというレバノンに伝わる民族的ダンスを新しくアレンジしたショー・ダンス集団(デジ・タブケ)が内戦後に残されたダンス学校のバスを赤く塗り直して国内ツアーを行う。『踊るムトゥ・マハラジャ』の音楽のようなリズムに乗って若者たちの世代間対立・恋愛の悩み・テロと戦争による悲劇…等が描かれる。同じところも似たところもあれば違うところもあるアラビア語圏の世界が垣間見れた。レバノンで記録的大ヒットした2005年の作品らしい。映画作品としては未熟だがなかなか面白かった。

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