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4月1日(日)
桜・サクラ・さくら……と呟きながら佐吉と散歩。エエ桜がない…。写真集や画集を山ほど見たけどやっぱりない。自分で形を考えなしゃあないかなあ…と思ってたらアッタア!なんと週刊誌に出ていた東北電力の宣伝写真の桜!これは完璧!なんと言っても形がエエ。二層になった枝振りが最高。『忠臣蔵』これでイコ。花を愛する侍は太く短く生きるべし…。晩飯映画劇場はなぜかタランティーノの『パルプ・フィクション』。長女が惚れ込んでた映画でDVDを置いてたけど気が進まずこれまで見なかった。そういう感は当たるな。映画のリズムがたるい。この映画がアカデミー脚本賞を取ったとは思えへん。もっと映画のヒヤリングができたら面白いのかもしれんけど…。

4月2日(月)
国立競技場のスポーツ博物館に寄って玉木塾の研修に協力していただいた御礼を言ったあと『忠臣蔵』打ち合わせのため三枝事務所へ。舞台監督の小栗さんも加わっていただいてスケジュール・キャスティング・舞台装置・衣装等の話し合い。東北電力宣伝写真の桜は反対意見なし。調べてもらったら福島県田村市船曳町字堂前にある「小沢の桜」という有名な染井吉野らしい。それにしても『オペラ忠臣蔵改訂版』の話は大きく広がりそうで初演出をさせていただく者としては少々ビビッタがビビッタそぶりは微塵も見せず「海外公演やりましょう!成功しますよ!」と言っておいた(笑)。その後「スポーツ・ヤァ!」元編集長H氏と久々に対面。いまも新たなスポーツ雑誌作りに奔走してはる。偉い!ほんまに偉い!何でも協力しまっせ。いろいろ興奮してしまったので「213」へ行って旨い生ビールで頭を冷やす。

4月3日(火)
溜まりに溜まった原稿を処理。いやそうではない。一所懸命になって書く。「原稿がたまる」という言い方は「溜まる」と書くより「貯まる」と書いたほうがエエのんかなあ…。

4月3日(火)つづき
久しぶりの晩飯モンロー映画劇場は『バスストップ』。昔の感激今いずこ?悪い映画ではないけど時代の波には残されたかな。しかしアメリカの阿呆さかげんがよくわかった。ブッシュに見せてやりたい。もう遅いか(笑)。そのあと関テレの『あるある大事典』検証番組を見る。西武裏金問題もここまで検証してほしい。「公共のスポーツ」を使ってるのんやから。

4月4日(水)
朝6時50分起きで文化放送新番組『吉田照美ソコダイジナトコ』のコーナー「7時のリアルドクトリン」に電話出演。これから毎週1回は早起きやな。8時15分からはRKB毎日放送『中西一清のスタミナラジオ』に電話出演。こっちの電話出演は番組が変わったりもしたが20年くらい続いてる。「継続は力なり」という言葉が俺は大嫌いや(続けりゃエエちゅうもんやないから)けど続けるというのは気持ちの良いもんではある。それに酔わずに中味で勝負しなあかんのやけどね。

DVD
『パッチギ』

『パッチギ』

4月4日(水)つづき
原稿1本仕上げてから新宿へ。井筒監督の新作『パッチギLove&Peace』の試写会。さすがに話題作だけあってマスコミがずらり。中味は井筒監督の苦労が忍ばれる作品。これだけしんどいテーマを娯楽作品に仕上げるには脚本・撮影・編集の各段階でメチャメチャ苦労があったはず。日本人の若者には是非とも見てほしい作品。試写会場を出たところでスポーツライターの金子達仁さんに呼び止められる。パッチギ第1作の大ファンで見に来たとか。帰宅すると長男が帰ってたのでメシ食ってCD聴きながらジャズ談義。そもそもビバップは…ハードバップは…コルトレーンは…マイルスは…でアッという間に午前2時。長い一日。

4月5日(木)
昨日は試写会に行ってる最中にいくつかのメディアからコメントを求める電話が相次いだらしい。テーマはもちろん西武ライオンズの「裏金問題」に関する調査委員会の中間報告について。新聞とネットと友人の記者への電話等で情報収集。予想以上の「暗部」に切り込んだ内容に少々驚く(喜ぶ)。池井教授も吉永みち子さんもガンバッタな。しかし他球団やアマ野球関係者のコメントはひどい。この問題は西武一球団の問題やないはずやで。はてさてプロ野球を支配する読売と高校野球を支配する朝日がどこまで調査委員会の報告を支持できるか?はっきり言うて新聞記者も含めて誰もが知ってることやのに口をつぐんでただけやからね。昔は新聞記者も新人の獲得やトレードで動いて「裏金」もろたという噂まであった。俺にも「球団がほしがってる選手をトレードで引っ張ってきたら最低百万はもらえるぞ」なんて囁いた「関係者」もいたもんな(昭和63年春のことです)。元オリックスの関係者はすべてが表に出たらプロ野球が潰れると言うたらしいけど一旦潰してプロ野球も高校野球も作り直さなあかんようになるくらいの最終報告を調査委員会には期待したいな…というようなことを明日の毎日新聞朝刊スポーツ面のコラムに書きました。ここに書いたのよりもう少し柔らかいですが(笑)。

4月6日(金)
そうか。西武ライオンズには裏帳簿がなかったらしい。「裏金」の金額も渡した相手の名前も「表」にすべて書かれていたらしい。悪いことをしてるという意識もルール違反をしてるという意識もなかったんやな。それとも前の強権的独裁者に「裏」があることを知られるのが怖かったのか…。ともかく「XX選手・契約金5億円」とか「XX大学監督・手数料5百万円」とかすべてわかったらしい。これって国税の問題でもあるのんとちゃうの?

4月6日(金)つづき
五嶋節さんと新書の打ち合わせ。5月20日に『「天才」の育て方』という題名で発売される予定です。担当者である講談社のAクンとちょっとイッパイのあと名古屋へ。そうや。今日は俺の誕生日やったんや…。

4月7日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。プロ野球「裏金問題」は「関係者なら誰もが知ってること。どんなに痛みがあっても洗いざらい出さないと次に進めないはず…」。帰りの新幹線は一緒にテレビ出演した二木啓孝さんと箱乗り。ノンフィクション・ライターを育てる塾を魚住明さんなんかと一緒に計画されてるらしく小生のスポーツジャーナリスト塾の過去の経緯について参考までにお話しする。しかし物書きには冬の時代やな…。夕方某メディアから「裏金問題」について電話取材。いろいろ話したあと「おたくの先輩記者なんかで球団からカネもらった人もいるんやないの?」というと「いえ。そういうことは書けませんので」正直すぎる記者やで。

4月8日(日)
朝テレビを見て思わず吹き出してしまう。プロ野球界の大ボスが「過去のことをほじくりかえしても仕方ないからこれからどうするかを話し合うべきだ…」。そうか。裏金も脱税もチャラにして美しい未来へ…というわけか。こんな甘ったれたことばっかり続けてきたから日本の野球界は自立でけへんのやな。喝!しっかし「スポーツ文化とは何か?」とか「ナンデ野球をやるのか?」といった命題にこの人たちは答えを持ってへんのやな。『あるある大事典』があれだけ問題になったのは『公共の財産(電波)』を使ってウソをやったからでプロ野球も『公共の財産(スポーツ』を使ってるという意味がわかってへんみたいやな。

4月8日(日)つづき
午後から五反田ゆうぽーとへ。東芝フィルハーモニー管弦楽団(TPO)のコンサート。「213」のマスターもバーテンダーもお客さんも客席に。ベートーヴェンのV協独奏はウィーンフィルのアシスタント・コンサートマスター。音色はもの凄く綺麗やったけどソリストとオケの一員の決定的な「差」を感じる。最後のチャイコフスキーの4番は熱演やった。客席はほぼ満員。企業の力もあるやろけど日本の音楽界の構造はスポーツ界と似てる。けどチャイコフスキーはやっぱりエエなあ。「鮨処もり山」に寄って誕生祝いをしたあと家に帰って飲み直しながらチャイコフスキーの4番4楽章と5番2楽章の聴き較べ。ゲルギエフ・ムラヴィンスキー・デュトワ・カラヤン・ストコフスキー・バーンスタイン…。俺はバーンスタインの臭い演奏が一番好きやな。面白さではストコフスキーやろけど。パッパーノの新譜をまだ聴いてへん。買わねば。

4月9日(月)
連載原稿を仕上げようとしたら野暮用ができてしまって…。原稿お待ちの皆さんスイマセン。

4月10日(火)
連載2本書きあげて東京へ。日本橋の「室町福徳塾」で島田雅彦さんと一緒に「エンジン01」のトークイベント。テーマは桜。日本人の心の奥に残るアニミズムについて話す。そうか。近代登山の端緒はルネサンスのペトラルカやったんか。久しぶりの作家との対談はやっぱり面白い。トークが済んでからオペラ演出についてちょいと教えを請う。いつもならそのまま一緒に新宿へ…だが次女がBFと一緒に小生の4日遅れの誕生祝いをしてくれるというので帰宅。どこの「スターウォーズ・ショップ」で買うたんか知らんけど小生への誕生日プレゼントはデッカイR2-D2のゴミ箱とチッチャイR2-D2のラジコン。スターセイバーのボタンを押すとピョロピョロと音を出してR2-D2が動きまわる。俺はガキか。まぁデッカイ箱を運んでくれただけでも感謝やな。長女はプレゼントを贈るというメールだけでまだ届かん。エエ加減な奴っちゃ。長男には期待もせんけど(笑)。晩飯はシャンパン抜いて筍と山菜ずくし。京都の姉から送ってもろた筍はやっぱり旨い。

4月11日(水)
朝7時から文化放送8時過ぎからRKB毎日放送連続電話出演。眠い。昨日銀座の山野楽器に寄って買うたパッパーノ指揮サンタチェチリア管弦楽団のチャイコフスキー『交響曲4・5・6番』を聴く。音楽評論家の平林さんも言うてたけどパッパーノは面白い。自分の音を持ってる。チャイコがイタリア旅行をしたあとの音楽をロシアの大地の匂いを抜いて演奏した名演。『ボエーム』も『トリスタン』も良かったけどパッパーノはええで。

4月12日(木)
松坂ボストンで好投。しかしマリナーズのヘルナンデスのほうが上回って敗戦投手。けど野球はやっぱり投手がしっかりしてると面白いなぁ。長谷川の解説とインタヴューはエエなぁ。城島は凄い奴っちゃなぁ。野球が見となった。横浜球場行こ。

4月13日(金)
『ちちんぷいぷい』出演のため大阪へ。4月から少々模様替えがあって司会は西靖クン。トミーズ健ちゃんはかわらへんけどラサール石井さん生田智子さん(中山ゴン夫人)と一緒は初めて。企画も少々変わって仰山食べ物が出て全部食べてしもて満腹。出されたものは残したらあかんと親から教えられたもので…。往復の新幹線で小田島雄志『シェイクスピアの人間学』(新日本出版社)読了。相変わらず小田島先生の本はオモロイ。

4月14日(土)
昨年冬から京都での生活を始めた友人のS’クンが久しぶりに帰ってきたので朋友のSも一緒に「213」へ。S’クンは「京都人」にならず(なれず?)観光客としての態度を貫き今や「京都のプロの観光客」になったとか。これの態度はオモロイ。感服。京都人になるにはイケズと闘って自分もイケズにならんとあかんもんな。久々の京都の話題で弾みすぎて京都の筍の旨さを絶賛し関東のソレをボロクソに言ってしまう。それも野菜ステーキを食べながら。「213」のマスターすいませんでした。「213」の筍入りの野菜ステーキだけは抜群の美味しさです。

DVD
『冒険者たち』

『冒険者たち』

4月15日(日)
犬の散歩で青葉が目に染みる。エエ季節になったなあ…。そんな日曜やというのになんやらかんやら原稿と格闘。晩飯映画劇場だけは再開。モンローはほとんど見たのでヌーヴェルヴァーグ・シリーズを開始。まずは『冒険者たち』。若いときに見てかなり影響されたけど改めて見てこんなにエエ映画やとは知らなんだ。アラン・ドロンもジョアンナ・シムカスもエエ。リノ・ヴァンチュラが最高。ウソとハッタリに人間味があふれてる。金は儲けるだけのモンやなくて使うモンやという「常識!」もある。現代のヒルズ族の若者たちもこの映画を見るべきやな…。

DVD
『勝手にしやがれ』

『勝手にしやがれ』

4月16日(月)
そうか…。高校の野球部が解散か。選手は可哀想やな…と思たら6月までのことか。ナンヤ。形だけか。こんな阿呆なことを高野連と朝日新聞はいつまで続けるつもりやろ。ボタンの掛け違えは途中のボタンから直したところで直るもんやない。高校や大学は野球をするところやない。勉強するところのはずや。ほなどうしたらええのんか…というところから考えな何もマトモにならん。高野連や(プロのような)高校野球は早く潰してJリーグのようなクラブチームを作らないと…というコメントを某新聞社にしましたがボツですな。テレ朝のキャスターやコメンテイターもジャーナリストならそこまで喋らなあかんで。ハンカチ王子が東大に勝ったからどやっちゅうねん…なんてことを言うからスポーツの仕事が減ってしまうんやな(笑)。

4月16日(月)つづき
晩飯ヌーヴェルヴァーグ映画劇場はゴダールの『勝手にしやがれ』。若いころに見たときはJ・P・ベルモントやジーン・セバーグの格好良さと即興的なカメラワークやストーリーに感激したけど改めて見直したら脚本も台詞もカメラも物凄く計算されていることがわかって感激。即興的な印象は即興からは生まれへんのやな。

DVD
『気狂いピエロ』

『気狂いピエロ』

4月17日(火)
一日中『図説世界指揮者列伝』の校正(河出書房新社ふくろうの本/5月20日発売)。面白い本に仕上がった。共著者の平林さんと編集の刈部さんのおかげやな。アメリカで銃乱射。アメリカで銃規制ができひんのは内戦を想定してるからやろな。そこを考えるとアメリカとは「誰の国」「誰のための国」かということがわかってくる。晩飯ヌーヴェルヴァーグ映画劇場はゴダール『気狂いピエロ』。若いころはこういうメタシネマに興奮したモンや。映画監督を目指した友人たちもこういう8mmえいぞうばっかり撮ってたもんや。けど歳とってから見直すと…映像は美しい。まったく美しい。けど最後は「勝手にしやがれ」と思ってしまった。ひとつの時代やったんやな。

4月18日(水)
早朝7時の文化放送と8時すぎのRKBに電話出演したあと松坂の活躍を見る。エエ投球やったけど主審の判定・塁審の判定・バックの守備に足を引っ張られて敗戦投手。運がないな。こういうときもあるもんや。我慢ガマン。メジャーデビュー3試合のうち2試合で二桁奪三振はドジャースのバレンズエラ以来とか。バレンズエラはモントリオールでのプレイオフをナマで見た。巨人に入る前のクロマティをキリキリ舞いさせてたな。古い話や。しかし松坂は投球内容から心の動きが手に取るようにわかる。若いからシャアナイか。岡島ががんばってるな。あっという間に11時。仕事をせねば。

4月18日(水)つづき
夕方から渋谷のUSENスタジオへ。「I40-昭和チャンネル」の『コロッケの「歌の昭和人」』でゲストに呼ばれ2時間以上もコロッケさんとの談笑を収録。テーマは古関裕而さん。昨年小生が東フィルを指揮した『東京オリンピック行進曲』の録音を流してもらう。うわっはっはっは。指揮者として放送デビューもしたぞ!しっかしコロッケさんとの話は面白かった。話題が飛びに飛んで前川清・ちあきなおみからオペラまで…ガキのころに食べたミカンの缶詰から高級バナナまで…。楽しい一時でした。放送は5月毎週火曜にUSENで流されるそうです。

4月19日(木)
早起き続きで7時に起きて新幹線に乗って新大阪経由宝塚へ。田宮緑子さんが主宰している『宝塚教養学校』でセレブな奥様方を相手にオペラ講座。結構みなさん興味を持って話を聞いてくださった。これなら『ドン・ジョヴァンニ』で黒人歌手がブリーフ一枚になるシーンなどもお見せしてもよかったかも(笑)。http://www.takarazuka-sc.com/

4月19日(木)つづき
行きの新幹線でサッカーU22日本代表が2−0でシリアを破った記事を読む。サッカーの結果というのはサッカーを何も表してないことに改めて気づく。野球は結果だけからでもいろんなことがわかるけどサッカーは試合を見ないと何ももわからん。帰りの新幹線で山田永『日本神話とアンパンマン』(集英社新書)読了。長男が「おもろい」と言ってたけど確かに面白い本。長男は「日本神話はオモロイんやな」と言って小生の本棚から『口語訳古事記』(三浦佑之・訳注/文藝春秋)を盗んでいきよったけど小生にはアンパンマンの解説と解釈が面白かった。

4月20日(金)
いろいろ雑用を片づけて新宿にあるデザイナーの水谷武司さんの事務所へ。5月20日に発売される音楽評論家の平林直哉さんとの共著『世界指揮者列伝』(河出書房ふくろうの本)の最終チェック。素晴らしい本に仕上がったのは水谷さんと平林さんと編集者の刈部さんのおかげ。ヴィジュアル中心の本を出せるというのは活字中心のホントはまた違う嬉しさがある。

4月20日(金)つづき
時間があったので西新宿にある水谷さんの事務所から歩いて明治神宮を抜けてNHKへ。来年放送予定の番組取材の打ち合わせ。こういうところがNHKの凄さなんやろな…。連日の外出で少々疲れたので疲労回復のために「213」へ。最近クラシック音楽に目覚めたバーテンダーのクロちゃんのためにダニー・ケイ指揮ニューヨーク・フィルのコンサート映像とTシャツ姿のグルダのピアノ弾き振り『皇帝』とバーンスタインのピアノ弾き振りベートーヴェン1番の映像をプレゼント。いや「感動の押しつけ」。俺の「感動の押しつけ」にハマルと大変やで。それがイヤで子供はみんな逃げ出しよったくらいなんやから(笑)。

4月21日(土)
秋田犬純粋種のブリーディングをしてる近所のかかりつけの獣医さんのところでまたトラの秋田犬が生まれた。これがメチャメチャ可愛い。こんな可愛い子犬は見たことがないくらいに可愛い。けど成長したらゴッツウなるんやろなぁ。人間と一緒か…。

DVD
『エレベーターを降りて左』

『エレベーターを降りて左』

4月21日(土)つづき
晩飯洋画劇場はヌヴェールヴァーグの在庫が早くも底をついたのでフランス映画の『エレベーターを降りて左』。以前誰かに(誰だか忘れた)もらったDVDでほったらかしにしてたのを引っ張り出したけどコレが抜群の面白さ。フランス版エスプリの効いたニール・サイモン。女優も美人揃い。男優は達者揃い。けどこの誤解と嫉妬のパターンはどっかで見たことがあるなぁ…。

4月22日(日)
渋谷オーチャードホールへ。佐渡裕指揮東京フィルの演奏会。曲目はガーシュウィンの『キューバ序曲』バーンスタインの『ウェストサイドストーリー・ダンス組曲』そしてショスタコーヴィチの『5番』。いやぁどれもこれもスゴイ演奏でした。気合いの入りすぎでオケのメンバーがぶっ倒れるのんとちゃうかと心配するほどの大名演!終わって楽屋へ行ったらTV司会者の小倉智昭さんもミュージシャンの加藤和彦さんも顔を上気させて大興奮。しかし東フィルのコンサートに行くのはちょっとビビル。お客さんから「次はいつ指揮をするのですか?」なんて2度も聞かれた。はっはっは。喜んでるだけのこっちゃけど。

4月22日(日)つづき
恵比寿に寄ってサッポロのエーデルピルスを飲む。昔はこの苦いビールが売られてて愛飲したのに販売中止になってしもた。ナンデヤネン。こんな旨いビールを…。最近のビールは薄い小便臭いものが多なりやがって…と思いながら喉を潤していてハタと気づいた。昨日見たフランス映画『エレベーターを降りて左』の元ネタはシェークスピアの『じゃじゃ馬ならし』かな。帰宅して『じゃじゃ馬ならし』のDVDは持ってへんのでそれを翻案したミュージカル『キス・ミー・ケイト』を見ながら晩飯。他愛のない話やけど何回見てもオモロイミュージカル。若いときのボブ・フォッシーはやっぱり他のダンサーと動きが違うな。

4月23日(月)
朝6時から8時間連続机に向かって一気に一冊の本を校正。完成した瞬間なぜか下痢に見舞われ関節も痛みだし体温を測ると37.8度。クソッ。風邪か?昔は二晩徹夜しても平気やったのに体力なくなったな。明日は大阪。一晩で治さんといかんのでメシを思いっきりかっ食らって夜8時に寝る。

4月24日(火)
わっはっはっはっは。風邪なんて一晩ぐっすり寝れば気合いで治るのだ。けど大事をとって風邪薬を服んで新幹線で再びぐっすり睡眠。気分爽快で毎日放送『ちちんぷいぷい』生放送。司会の角さんとは一年ぶり?いつも上泉クンや西クンばっかりやったしな。ヘルニア手術で入院中の石田ディレクターの代役という大役をこなして(笑)帰宅。帰りの新幹線で保坂正康・監修/解説『50年前の憲法論争』読了。こういう表現は少々ためらわれるがメチャメチャ面白かった。国民のことを思わず「臣民」と言ってしまう右翼系学者(神川彦松)の発言もカノ辻政信(元陸軍参謀)の質問も勉強になった。飛鳥田一雄と神川彦松の問答も面白かった。なるほど近々問題になるであろう憲法「改正」論争はこの半世紀前の「衆議院内閣委員会公聴会」の記録から出発すべきやな。そうか。内閣は(もちろん総理大臣も)国権の最高機関やなくて行政機関なんやから「憲法を変える」なんて言い出す権限はないのんや。憲法の下に動くべき連中には憲法を批判することはできひんはずなんや。

4月25日(水)
土曜日のオペラ講座のビデオを編集していたら高野連が何やらゴチャゴチャ発言したらしくて我が家の電話は鳴りっぱなし。そもそも学校は勉強や体育を行う場であってスポーツを行う場ではない。なのにスポーツ(興行)を学校で行った結果カネが動くのは当然のこと。学校によるスポーツ興行を廃止して(つまり高野連や全国大会の解体に手をつけて)若者たちがスポーツ(野球)を行う地域のクラブを創り育成しない限り「裏金」や「特待生」の問題はなくならないのだ。朝日新聞にそういう正論を寄稿させていただけることを期待したい。

4月26日(木)
高校野球の「特待生問題」にふりまわされて原稿がすすまへん。ナンデみんな高校や大学でスポーツを行うのは正常なことではないということに気づいてくれへんのやろ。納得してくれへんのやろ。そら今すぐに高校野球をなくすことはできませんよ。けどいずれは縮小して学校の課外活動レベルにして若者たちの本格的野球は地域のクラブに移さんと日本の野球は発展しませんよ。高校や大学にスポーツ興行をやらせていては裏金が横行するだけ。地域のクラブなら有力選手はいくら若くてもプロ契約が可能。ここまで青少年の野球選手が仰山いるなら裏ガネやなく表ガネのビジネスにせんとあかんやろに…。若い野球選手も大学や高校で野球をしようなどと思わずに大学や高校では勉強や学問をしてください。しかし今回こういう問題が噴出したのは誰かが言ったようにロッキード事件と同じようにホンマにアメリカの「陰謀」なんかいなぁ。日本にクラブ組織がきちんとできんうちに高校野球がゴチャゴチャもめる。そして騒動に嫌気がさした若い野球選手をごっそりアメリカが奪う…。まさか…。

4月27日(金)
ごちゃごちゃと雑用を片づけて夕方から名古屋へ。うわっ。新幹線めちゃ満員や。そうか。世の中はゴールデンウィークなんや。毎年この季節はスポーツジャーナリスト養成塾の集中講義と実践塾生の卒塾パーティ(破門式?)やったけど今年は卒塾パーティだけ。スポーツジャーナリスト塾(玉木塾)は一旦お休み。かわりに…というわけでもないけれどスポーツジャーナリズムの講義は近々立教大学で行うことになります。『ただの犬』を写真に撮り続けてる服部カメラマンの捨て犬防止キャンペーン用写真集パンフレットが『Do You Have a Home?』(ジュリアン出版)というタイトルで単行本化。佐吉も登場。見本が送られてきて凛々しい我が家のバカ犬に満足。カメラマンの腕ですな。http://www.julian-pb.com/9784902584455.html

4月28日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。最近新たに加わったスタッフの某氏がピーター・セラーズ演出のモーツァルトのオペラ『フィガロ』で伯爵を歌ってる歌手とソックリ。口で説明してもわからへんのでビデオにダビングしたものを持参。誰もが「似てるー!」。犬好きの大谷昭宏さんに『Do You Have a Home?』を一冊プレゼント。ホテルで休んだあと夕方から中日栄文化センターでオペラ講座。テーマはザルツブルク音楽祭。戦後すぐのカラヤン指揮の『ばらの騎士』やフルトヴェングラー指揮の『ドン・ジョヴァンニ』から最近のカラヤン指揮の『ドン・ジョヴァンニ』やゲルギエフ指揮の『トゥーランドット』そして最新のネトレプコ主演の『椿姫』までをビデオで楽しむ。昔は凄かったなぁ。世の中は豊かになったはずやのに舞台は昔のほうが豊かで豪華。カネはどこに流れてるんや?ガラ空きの新幹線で東京へ戻ってNHKへ。ラジオ第一放送の『土曜ジャーナル』に生出演。テーマは北信越BCリーグ開幕。今日の開幕戦2試合(長野と三条)は雨にたたられたみたいやけど四国アイランドリーグに続く二つめの独立リーグの誕生。成功してほしい。高校野球なんて教育を建前にしたごまかしのセミ・プロ野球よりも本物のプロ野球・地域のクラブが発展してほしい。帰宅したら12時すぎ。長い一日やった。

4月28日(土)つづき
エリツィンが死んだ…ことよりもロストロポーヴィチの死んだほうがショック。彼がバッハの無伴奏チェロ・ソナタを解説し演奏したDVDは何度見直しても聴き直しても素晴らしい。いちど新幹線新神戸駅のホームですれ違ったことがあって挨拶せんかったのが悔やまれる。挨拶されても相手が困ったやろけど。

BOOK
大坪正則『スポーツと国力』(朝日新書)

大坪正則『スポーツと国力』(朝日新書)

4月29日(日)
大坪正則さんの『スポーツと国力』(朝日新書)読了。書評原稿を書く。この本はスポーツ・ビジネスの現状を知りたい人にとっての教科書。副題の「巨人はなぜ勝てない」とか腰巻きの「巨人軍は永久に壊滅ですか」などという惹句は不要やな。世の中GWやのに仕事してる自分をほめてあげたいので(笑)夜は『鮨処もり山』へ。旬の鰹が旨い。目に青葉山不如帰初鰹。そういえば拙宅のすぐそばで毎日のように不如帰が啼いてる。その啼き方があまりに見事で「法法華経」ときちんと聞こえる。あまりに滑舌の良い不如帰なのでまるで録音テープのようにも聞こえる。西洋人はこの声をどう聞くのんやろ?

DVD
『硫黄島からの手紙』

『硫黄島からの手紙』

『フルメタル・ジャケット』

『フルメタル・ジャケット』

4月30日(月)
3日後の玉木塾卒塾パーティに備えて大掃除を開始。夜は久しぶりに晩飯映画劇場復活。本日の演し物は『硫黄島からの手紙』。ハリウッド的あざとさは感じるもののエエ映画やった。いや素晴らしい映画やった。戦争描写の生々しさではキューブリックの『フルメタル・ジャケット』に比肩。リアルな人物描写はそれ以上。親父から何度も聞かされた戦争体験に似たエピソードが次々と出てきて思わず涙。栗林中将にほめられた嵐の二宮が「ただのパン屋です」と言う台詞があったけど工兵隊やった親父も連隊長にほめられたときに「ただの電器屋でんがな」と答えたという話を何度も聞かされた。いつだったかボブ・ホワイティングが「クリント・イーストウッドがこれほど素晴らしい映画監督になるとは誰も想像できなかった」と言うてたけどほんまにエエ監督やで。渡辺謙も好演。二宮は大名演。イーストウッドが引き出した?こういう映画は日本人が創るべき…いや井筒が『パッチギ』でがんばってるからエエか。

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