6月1日(火)
朝ベッドで『日本人と神』を読んでいたら7時頃TBSからtel。大坂なおみがロランギャロス(全仏テニス)を棄権したので昨日に続き『ひるおび!』で取りあげるという。事情を聞くとやはり記者会見のプレッシャーから。さらに数年前から鬱病にも悩まされていたとか。それを聞いて納得。鬱病や不安症など精神障害に悩まされているアスリートは多数存在している。何年か前にアスリートの神経症について調べたことがあったがイニエスタもフェルプスもそうだった。イニエスタは欧州サッカーのプレッシャーから逃れるために来日とも言える。プロ野球選手やメジャーの選手も開幕前は今シーズンは1本もヒットを打てないのじゃないか…1勝もできないのじゃないか…と眠れない日々を過ごしてペナントレースの突入する。控え室で怖さに震えているボクサーを見たこともある。みんな一流のアスリートでチャンピオンになってから精神障害を発症するアスリートが少なくない…そんなことを思い出しながら何年か前のメモを引っ張り出して用意したあと黒兵衛と散歩して準備してタクシーで大船駅へ。東海道線で新橋へ。再びタクシーで赤坂TBSへ。『ひるおび!』のスタジオで見た大坂なおみの全米オープンで優勝したあとの記者会見の言葉が興味深かった。テニスをやってる子供たちに一言…と言われて「テニスを楽しんで…そして私を目指さないで…」以前は「私のライバルにならないで…」という含意かとも思われたが鬱病が判明した今となっては「こんなにプレッシャーに塗れた非人間的な競技は目指さないで…」とも取れる。高額の賞金などでは癒されることのない大坂選手の「ナイーヴな心」は立ち直ることができるのか?そー言えば江夏豊投手は引退後に草野球に参加していた時が一番楽しそうだったなあ…。テレビを終えてタクシーのなかで爆睡。帰宅してチョイと昼寝のあとデスクワーク。晩飯は次女が持ってきてくれたという生牡蠣にビール&白ワイン。特に胃が変調を来すこともなくなかなか美味しかったです。
6月2日(水)
『亡国の五輪』−小生が『不思議の国のベースボール(野球)』などのパロディを書いていた頃ならこんなタイトルの短編を書いていたかもしれませんね。「ナニィ!東京五輪を中止するだと?そんな女々しいことを言う奴はどこのドイツだ!?」「カイチョー!今の言葉は少々問題が…お取り消しください」「エッ?ドイツがイカンのか?バッハとの日独同盟はイカンのかぁ?」ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。木村元彦さんからメールで「のりこえTV」というネット番組の案内をもらったのでさっそく見せてもらう。以前インタヴューさせていただいた映画『月はどっちに出ている』『ゲロッパ』『パッチギ』『フラガール』などのプロデューサーの李鳳宇さんも出演されていて懐かしかった。テーマは卓球世界選手権で12個の金メダルを取り国際卓球連盟会長として米中のピンポン外交や朝鮮半島の南北統一卓球チームの結成にも尽力した荻村伊智朗の話。「ピンポンさん?異端と自己研鑽のDNA荻村伊智朗伝」(講談社)の著者・城島充さんもリモート出演されて誰もが素晴らしい人物・素晴らしいスポーツマンと認める荻村氏について語る。今もTuTubeで視聴可能なので是非見てください。オリンピックがグチャグチャになってる現在こそ荻村伊智朗氏は振り返るべき人物ですね。木村さんには来週月曜の『ニューズ・オプエド』出演を依頼。いずれ城島さんにもお願いしたいですね。https://youtu.be/DbSOYWXgq_k
6月3日(木)
昨日に続いてパロディが思い浮かぶ。『不思議の国のオリンピック』。40度近い猛暑酷暑とパンデミックのなかで国家がらみのドーピングや民族浄化を非難される国々が参加して「世界平和」を祈るスポーツ大会がワクチン接種の進んでいない国で開かれる…ってパロディにならない現実だというところが怖いですね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。大坂なおみの鬱病告白を受けて一流のアスリートの多くが鬱病や不安症や精神疾患に悩まされていることを話す。スポーツを楽しめなくなった人たちのやるスポーツを見物客たちがまるでローマ帝国のコロッセオで闘ったグラディエーターたちを見るような眼で見てもイイのでしょうか?小生は過去に見たスポーツのなかで一番素晴らしかったスポーツは幼稚園児たちの運動会でのリレー競争だったと拙著『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』に書きました。それが今でもスポーツの真実だと確信しています。ワン。黒兵衛と散歩。紫陽花がますます花やいでますね。ワン。デスクワークの途中に小林信也さんの新刊『長嶋茂雄永遠伝説』(さくら舎)が届く。パラパラと読んで子供向けに書かれた本かな…と思ったら神田伯山の講談を意識して書いたとあとがきに書いてあった。ナルホド。しかし数年前に立教大学の教壇に立って長嶋の話をしたら先輩の日本一の野球選手を知ってる学生が50人中2人しかいなかったことにショックを受けたからねえ…コノ本で長嶋を知る若者が増えてほしいねえ…と御礼のメールを送ると…そうなんですよ。最近は松井を知らない若者も増えましたからねえ…との返事。アジャパー。この国プロ野球は親会社が宣伝に利用し続けたせいか文化に成り得てませんね。晩飯はサッカー。日本代表vsU24代表。メッチャ期待したけどまぁこんなもんですかねぇ…という試合。U24が準備不足でしたね。反対の立場なら良かったですね。
6月4日(金)
佐藤弘夫『日本人と神』やっと読了。メッチャ面白かった。《古今東西カミ(超越的存在)をもたない種族や民族はいまだかつてなかった。カミは国家に先行して存在した。カミは人類にとって常に最も重要なパートナーだった》ナルホド。カミは雷電や噴火の現象そのものだった時代から土偶になり霊異になり霊魂になり神になり仏になり阿弥陀になり浄土が生まれ御先祖様になり現人神が登場し幽霊も生まれ…そしてカミの存在が希薄になった現代日本社会で著者は「ゆるキャラ」に注目する。《もちろんミッキーマウスをはじめ動植物を擬人化したキャラクターは世界中に見られる。しかしその数と活動量においてこれほど密度の濃いキャラクター・ゆるキャラの群生地は地球上の日本以外の地域には存在しない。それは(略)それを求める社会的需要があるからにほかならない。それはなにか。わたしは現代社会の息の詰まるような人間関係のクッションでありストレスの重圧に折れそうになる心の癒しだと考えている(略)現代社会におけるゆるキャラは小さなカミを創生しようとする試みである》なるほど。ふなっしーやひこにゃん…はかつての八百万神(ヤオヨロズノカミガミ)の化身=本地垂迹なんですね。大坂なおみさんの役には立ちそうにないけど…ワン。黒兵衛と散歩。カミを必要としない犬は幸せかな。埋葬文化を持っていたネアンデルタール人にはカミがいたのかな?ワン?終日『ポスト・スポーツの時代』を読んでビッグデータと現代スポーツの関係を勉強。その「成果」はいずれ書かせていただきます。東京五輪は是が非でも観客を入れたいようですね。そりゃそうでしょ。スポンサーに配った入場券は有効にしないとスポンサーに「申し訳ない」ですからね。アスリート・ファーストなんて微塵も考えないスポンサー・ファーストで金権主義のIOCなら当然の指示ですね。晩飯は以前録画したNHK-BSの加古隆のドキュメンタリーを見ながら。『映像の世紀』に使われている音楽『パリは燃えているか』の作曲者ですね。元ジャズ・ピアニストの作曲家だとは知っていたけどコンセルヴァトワール(パリ音楽院)でオリヴィエ・メシアンに作曲を教わっていたとは知らなかった。パリの老ジャズ評論家が彼の最近の音楽を「俳句」と評したのは納得ですね。『パリは燃えているか』もメロディ以前の短いモチーフ(動機)の展開ですからね。まるでベートーヴェンの運命の動機のように。映画『博士の愛した数式』の音楽も加古隆さんなんですね。素敵なドキュメンタリーの後は『チコちゃん』を気楽に見て風呂入って酒呑んで本持ってベッドへ。
BOOK |
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『現代スポーツ評論44』 特集はオリンピックの価値を問う。せっかくの1年延期にもっとオリンピックのこと、IOCのことを、考え直さねば… |
WEB |
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『TBS報道特集』 現在日本でTVジャーナリズムが生きている唯一の(?)番組ではないでしょうか |
6月5日(土)
朝ベッドのなかで城島充『ピンポンさん荻村伊智朗伝』(講談社)読み始める。今の日本のスポーツ界で見直すべきはこの人物ですよね。丸川大臣や橋本会長は御存知かな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と雨中の散歩。紫陽花が色鮮やかに映えてます。ワン。分科会尾身会長の五輪開催慎重論発言を「尾身の乱」と呼ぶらしい。造反有理なんて言葉を思い出した。WHOはIOCに対して何も言わないのかなぁ。終日原稿書き。大坂なおみの「鬱病問題」についてFORUM8の社内報『UP & COMMING』の連載に書く。かつてメジャーの選手が言った「圧力釜のなかにいるような」強烈な精神的圧力のなかでプレイしている現代の一流スポーツマンの大小は高額の年俸や賞金。しかしカネで済まない問題こそ重要なんですよね。そんなカネを最も大事にしているIOCは近い将来根本的な改革が必要ですね。元早大教授の友添秀則氏は『現代スポーツ評論』(創文企画)の最新号(44号)IOCの国連管理(加盟国のGDPに応じた運営費負担)や大会のアテネでの恒久開催等を提案されてます。そうですね。そしてIOCの下部組織として存在する多くの株式会社やNPO法人をまず解体すべきでしょうね。晩飯はTBS『報道特集』を見ながら。ついに東京オリパラ組織の内部から巨額のカネの不明朗な使い方を内部告発する人物が現れましたね。日当35万円の仕事!?あり得ないですね。タダ働きのボランティアの一方で時給1700円のバイトがあるってのもオカシイですね。政府は民間同士の取引として不介入と言うけどオリパラには巨額の税金が注ぎ込まれているのですからね。広告代理店や人材派遣会社に流れ込んでいる巨額のカネは公表を求めるべきですよね。しかし他のメディアは何故こんな重要なことを報道しないのかなぁ…?http://www.tbs.co.jp/houtoku/
6月5日(土)つづき
U24五輪代表日本veガーナ戦。6-0で日本の勝利。ガーナの調子はイマイチかな?五輪本番が開催されても勝った負けたと騒ぎたくないですね。特に国別メダル獲得数はメディアが報じるべきではないですね。
6月6日(日)
朝ベッドのなかで『現代スポーツ44号特集・オリンピックの価値を問う』を読む。以前民主党鳩山内閣で文科副大臣を務めた鈴木寛氏の「スポーツの価値から見たオリンピック」という文章がオモシロかった。《人間を猛烈な勢いで道具化・手段化してしまう「有用性」優位の現代社会にあって人間疎外の暴力的なまでの加速化・蔓延という難問に世の中の先頭に立って対峙することこそ次なるスポーツの価値でありオリンピックの意義である。(略)今の逆境を選手を道具化する指導者・関係者を即刻退場させ真にスポーツを楽しむ人々によって再スタートさせる絶好のチャンスにしていただきたい》ということは金権主義に走ってスポーツとアスリートをスポンサーの道具として利用するばかりのIOCは解体すべしということですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。途中から雨。そーゆー季節なんですね。ワン。昨日も今日も朝はメジャーで大谷の投打の活躍を楽しむ。青島健太さんが言うように大谷の二刀流はビッグデータ化している現代スポーツのなかでの人間性の回復なんですね。足に打球の当たった菊池は大丈夫かな?昨日書いた原稿を読み直して送稿したりドニゼッティのオペラ『アンナ・ボレーナ』をチョイと楽しんだり『なんでも鑑定団』を見て笑ったりジャイアンツ対ファイターズの一戦を見ながらビールを飲んだり『ダーウィンが来た』で昔我が家で飼っていた雑種犬の佐吉のそっくりな金色狼の生態を見ながら晩飯食ったり風呂入ったあと焼酎呑みながらN響のオペラを楽しんだり…。ま。ゆっくりした日曜でした。最近東京新聞日曜版にある数独を完全にできるようになった自分を誉めてあげたい(^o^)
6月7日(月)
朝ベッドのなかでジュールズ・ボイコフ『オリンピック反対する側の論理 東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動』(作品社)読み始める。著者の前著で小生も書評(拙著『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』に収録)を書いた『オリンピック秘史ー120年の覇権と利権』(早川書房)より相当に過激に進化した「五輪論・IOC論」になってるようですね。《プロスポーツリーグの収入は40%から60%が選手に渡っているのに対しIOCは収入のわずか4.1%しかオリンピアンに還元していない》《オリンピックは高価で資本を生み出す怪物へと変貌を遂げた。これは大会を組織し応援し放送するコネのある経済的政治的エリートに都市や国の公金を流すトリクルアップ経済学の典型的な実践である》《スポーツが異なる手段による聖衣であるのは明らかだ》《オリンピックをスポーツイベントというのは唐辛子スプレー(催涙スプレーの一種)を食品だと言い張るようなものだ》《今日のオリンピックは資本主義の化け物だ》著者はオリンピックを《祝賀資本主義》と呼びそれは《惨事便乗型資本主義》と同類の《もっと晴れやかな顔をした従兄弟》のようなもので《破滅的大変動とは異なりオリンピックは社会が熱狂する瞬間に繰り広げられる。もちろんオリンピックは誰にでも平等にお楽しみの機会をもたらすわけにはいかない。富裕層やコネに恵まれた人々は五輪から利益を得る傾向があるが一方ですでに貧しい人々や周縁に置かれた人々の困窮は往々にして深まり後戻りが訊かないようにされている》オリンピックは《トリクルアップ経済学》の典型だがロスで反対運動を行っている連中は《そんなトリックはもうお終い(the trick is up)と主張》している。急いで読まねば。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。
6月7日(月)つづき
全米女子プロで笹生優花さんが優勝とのニュースで今日の『ニューズ・オプエド』のゲストにジャーナリストの木村元彦さんと元日本代表ラガーマンの平尾剛さんの他にプロゴルファーのタケ小山さんにも出演してもらうことを決定。スタッフとの連絡打ち合わせを終えてところへJOCの経理部長が地下鉄に飛び降り自殺との一報。慌てていろいろ電話。一昨日TBS『報道特集』が報じた東京オリパラ組織委の「不正経理」の内部告発とは無関係らしいが確証は得られず。この時期無縁とも思えないが確証のないまま東京五輪の問題として語るわけにもいかず…自殺問題には大きく触れないことにして『オプエド』開始。タケさんの女子ゴルフに関する日米の「文化の違い」の解説(日本のゴルフ界の伯父さん文化のジェンダー問題の指摘)が面白かった。さらに大坂なおみ選手の「鬱病」告白については木村さんのサッカー界での報告&平尾さんのラグビー界での事例タケさんのゴルフでのイップス問題など興味深い話題の連続。後半はゴリ押し開催に突入しようとしているスポーツ無視&アスリート無視の日本政府とIOC批判。党首討論での野党(立憲など)は安倍首相が五輪「1年延期」を提案したこと(IOCが政治に負けた形を取った=政治を利用したこと)も取りあげるべきですね。菅首相にも延期や中止は主張できるはずですからね。『オプエド』のあと『映像の世紀第11集JAPAN世界が見た明治・大正・昭和』を見ながら食事。日本はさんざん侵略戦争を続けたあとで欧米植民地主義からのアジアの解放を言いだしたのですね。常に理屈は後付け?震災からの復興もコロナに打ち克った証も…どっちおも東京オリパラ招致を決めたあとに出てきたスローガンですよね。ではオリパラを招致した本当の理由と真の目的は…?蔵出しコラムスポーツ編に何本か書いてますので是非お読みください。
6月8日(火)
『オリンピックに反対する側の論理』読み進む。《オリンピックはさまざまな方法で民主主義の実践を抑制するー五輪には透明性と有意な市民参加が欠けている》ナルホド。IOCは習近平体制やプーチン体制と親和性があるわけですね。IOCの《2017年度末の資金残高は21億ドル(略)非営利組織にしてはとてつもない利潤をあげている。IOCには広報の専門家が山ほどいて臨戦態勢の整った弁護士軍団も備えている》ーIOCは何を守り何と闘い何を推進するために利益をあげてるのでしょうねえ?ワン?ベッドから出て黒兵衛と散歩。梅雨入りも未だと言うのに夏陽射し。季語2つはダメかな?ワン。終日『オリンピックを反対する側の論理』で勉強。五輪が資本主義の先兵として走っているからには本書でオバマ批判やアメリカの社会主義やバーニー・サンダースと反五輪がシンクロするのも当然ですね。ホームページ更新の原稿作りや連載の校正作業を終えてビール&晩飯。酒なくて何の己が五輪かな…と言う人はIOCにはいないのでしょうね。ヒトラーも禁酒派ですからね。「酒はラグビー文化の一部」と断言した五郎丸さんや平尾誠二さんを小生は支持しますね。世界平和を唱える五輪…美しすぎるスローガンにはウソがあるのでしょうね。
6月9日(水)
『オリンピックに反対する側の論理』読み続ける。《IOCとの間に交わされた開催都市契約のどこにも「民主主義」という言葉も「民主的」という言葉も出て来ない。ロス(東京)の組織委とIOCの間に何らかの不同意が生じたとしてもそれは合衆国(日本)の法廷では裁かれない》《オリンピックはグローバル資本主義の完璧なメタファーだ。選ばれたわけでもなく何をしようが説明責任を持たない富裕な人間の一団が色々なやり方で公衆を利用し自分たちを豊かにし普通の人々に損失を与えることに手を染めている。権力に対する有効なチェックを欠いた民主主義は崩壊への処方箋である》そんなIOCを権力者は上手く巧みに利用する(した)のですね。ヒトラーもプーチンも習近平も…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。夏真っ盛りと言いたくなる太陽。生前の枝雀さんに言わせれば「お陽ぃさんがカアアアアアーーー!!」汗だくになって坂道を登って帰宅のあと終日デスクワーク。来週月曜の『ニューズ・オプエド』に『ポスト・スポーツの時代』の著者で『反東京オリンピック宣言』の寄稿者である成城大学社会イノベーション学部教授の山本敦久氏の登場が決定!東京五輪開催賛成派の小林信也氏も出演を快諾してくれたので有意義な討論になると思います。乞御期待!夕方から党首討論をYuTubeで見る。いや呆れてボンヤリ眺める。不毛な議論。「安全安心の開催」の根拠は依然としてナシ。有効な野党の追及もナシ。情けない。それにしても1964年に高校生だった菅総理は本当にヘーシンクやアベベを(テレビで)見たのだろうか?おそらく市川崑監督の映画を見ての感想ではないか。小生の記憶では白黒の14型が普通の小さなテレビ画面ではヘーシンクやアベベの凄さは(市川崑監督の映画を観るまで)よくわからなかった。女子バレーボールと重量挙げと体操と陸上はよくわかったけど…。それにテレビでもニュースで少し流れただけのパラリンピックを本当に「見た」のだろうか?当時はパラリンピックという呼称は一般に浸透していなくて「ストークマンデビル車椅子競技大会」と呼んでいたはず。パラリンピックの「パラ」も「もう一つのオリンピック」ではなく「パラプレジア(脊髄損傷による下半身麻痺)」の略だったはず。野党の誰かが菅総理に「1964年のパラリンピックはどこで見た(行われた)のですか?」と訊けば総理はどう答えたのだろう?正解を答えられただろうか?スポーツやパラスポーツの素晴らしさを語るのは良いことだが「自分の言葉」で「自分の考え」で話してほしいですね。あ。今の首相は誰かの書いた原稿を読んでばかりか…?
6月10日(木)
朝ベッドで今日も『オリンピックに反対する側の論理』読み耽る。昨日の党首討論で菅首相の口にした1964年東京五輪の「想い出」と重なる一文があった。《オリンピックに寄せる希望の多くは過去の大会の亡霊たちによって掻き立てられる》小生は1984年のロス五輪を「税金を1セントも使わなかった大会」として評価する。その商業主義的やり方を全てIOCが奪い取った結果現在の五輪貴族たちの支配と利益収奪による悲惨な状況があると思っていたが《多くの面で1984年ロス大会は1度限りでありまったくそれは成功などではなかった》それは《神話と偽りの誤伝に覆われている》なるほど。ユベロス組織委会長(本書ではウェーバーロスと記されている)による戦略は《オリンピックの「ディズニー化」で(略)企業による現金の注入である(略)企業ブランドに取り憑かれたかのようなこうした管理がやがてオリンピックの規範になってゆく》そうなんですね。たしかに五輪の商業化のきっかけは1984年から始まったとは言えますね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。昨日の菅総理の「不毛な党首討論」を取りあげて菅総理の「東京オリパラの想い出」が「後付け」だろうという話をしたあと(昨日の本欄参照)レマルクの小説『西部戦線異状なし』とベートーヴェンの『第九交響曲』の話をする。第一次大戦の西部戦線で停戦が決められた直後に一人の兵士が狙撃兵に撃たれて死んでもそのときの報告書は「西部戦線異状なし」。安心安全な五輪開催も同様か?またベートーヴェンが「第九交響曲」を作曲した時代には他の作曲家による「合唱付交響曲」やシラーの「歓喜の歌」の詩に音楽をつけた楽曲が沢山作曲された(蔵出し音楽参照)。が現在演奏されるのはベートーヴェンの楽曲のみ。もしベートーヴェンがいなかったら…「第九」の代わりは…ナシ?…という状態が現在の日本の政治状況か?…という話をしたあと黒兵衛と散歩。ワン。終日デスクワークのなか週刊誌記者と情報交換をしたり女性誌記者と電話取材をしたり…。五輪開催中に感染者が急増しても大会中止はないらしい。何しろテロで五輪出場選手に10人以上の死者が出ても大会を続行した「実績」(1972年ミュンヘン五輪)がIOCにはありますからね。ただ恐ろしいのは感染者の数の操作などが始まることですね。あ。だからIOCは習近平やプーチンと仲良くしてるのですね。ネットで『私たちが止めるしかない東京オリパラ〜女性たちの抗議リレー』を見て寝る。毎週火曜日YuTubeで配信されているらしい。https://www.youtube.com/watch?v=YOcpi92qNJs
6月11日(金)
朝ベッドでの勉強を急遽『ポスト・スポーツの時代』に戻す。著者の山本敦久氏を来週月曜の『ニューズ・オプエド』のゲストに招いたので読み切っておかねば。この本を読んでいると「歌は世に連れ世は歌に連れ」という言葉が頭に浮かびました。「スポーツ(人間の身体)は世に連れ世はスポーツ(身体)に連れ」とも言えそうですね。ビッグデータとテクノロジーの発達によるスポーツ(人間の身体)の変化。コロナ禍のもとでの東京五輪は「前時代的スポーツ巨大イベント」の最後の大会になるのかな?もっとシンプルにはできないのかな?販売したチケットやスポンサー用チケットのコンピュータ管理もできてないみたいだし…観戦者を減らすのもママならないのかな?観戦者も感染者も減らせない…なんて洒落にもならんわ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。しかし現IOCの巨大独占独裁体制のもとでは「人類にとって有意義な新しいスポーツ」を生み出すことは無理でしょうね。あ。「オリンピックをスポーツと呼ぶのは唐辛子催涙スプレーを食品と強弁するようなもの」という表現も『オリンピック反対する側の論理』に書かれてましたね。ワン。菅総理はイギリスで行われるG7へ。開催地のコーンウォールがワーグナーの大傑作楽劇『トリスタンとイゾルデ』の舞台…とはどのニュースも報じてくれませんね。ま。ええけど。あの1幕最後のコーンウォールに船が到着するときの虚無感漂う大合唱(秘薬を服んだ男女が不倫の愛に燃えあがるシーン)は素晴らしいですね。いろいろ仕事したあと晩飯は『チコちゃん』をVTR録画してサッカー日本代表のセルビア戦。ストイコヴィッチ監督は太りましたね。セルビアの攻撃がイマイチ鈍重だったのはそのせい?日本はいろいろアイデアを駆使したけど最低もう1点は加えておかなければ…。
6月12日(土)
『ポスト・スポーツの時代』読了。最近読んだスポーツ本のなかで最も刺激的で素晴らしい著作でした。過度の競争と上昇志向が分断や貧富の格差や人種・ジェンダー・セクシュアリティの差別それにナショナリズムの昂揚と不平等の増進等を促した「近代スポーツ」に対する「ポスト・スポーツ」という視座からの批判と未来への展望を示した一冊ですね。とにかく再読して勉強を繰り返さねば…と思った本ですが俗っぽくアッと驚いて興味深かったのは著者がモハメド・アリの「ポスト・スポーツ性」を彼の「スウェイバック」というボクシングの「身体技法」から記したところで《ちなみに私はこの身体技法を冷戦崩壊後にロシアから日本へボクシングの仕事を求めてやってきた老齢のロシア人トレーナーに習った》と書かれていたこと。うわっ。山本敦久氏はボクシングをやっていたのかな?明後日月曜の『ニューズ・オプエド』で訊いてみましょ。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。真夏の太陽。関東地方の今年は空梅雨?花を咲かせた紫陽花も早くも疲れ気味?ワン。朝日新聞出版から『月刊ジュニアエラjunior AERA7月号』が数冊送られてくる。「特集今こそ学びたいオリ・パラの歴史」というカラー10ページの企画を監修。スポーツが民主主義から生まれたことやオリンピックには「負の歴史」もある(人種差別やドーピングや汚職疑惑や大坂なおみの黒マスクは五輪では許可されないことなど)ということまで見事にまとめてくださいました。最後の小生の結論は「オリンピックには戻るべき原点なんてない。今の時代や未来にふさわしい大会の姿をみんなで考えよう!」。ライターのTKさん。ありがとうございました。子供たちだけでなく大人にも乞一読。ジャマイカ戦のサッカーを見たり『プレジテント』編集部の依頼で「オリンピック本」を10冊選んだり…晩飯は『報道特集』を見ながら。アメリカのサーフィン・チームの宿舎はジャグジーバス付き!こんなとこにも貧富の差?それがオリンピックの現実?はたして千葉で波に乗るサーファーまで「バブル」で囲えるのかな?はてさて今の日本の体制で「安全安心な五輪」は開けるのかな?
6月13〜14日(日・月)
月曜朝(今日)しょぼ降る雨のなか黒兵衛と簡単な散歩のあと今日の『オプエド』の準備のためにメールを打ち出したら突然パソコンがフリーズ。ウンともスンとも動かなくなって強制シャットアウトもできなくなってメッチャ焦って関係各所に電話。マイッタナァ…と思ってパソコン持参で最近大船にオープンしたグランシップ内にあるヤマダ電機へ。電池を外して強制終了してもらおう(以前それで治ったので)とパソコン相談係の人と話すうちに何故かパソコンが動き出す。ハイテクはよーわかりまへんなぁ(>_<)今日の『オプエド』には昨日の本欄にも書いた山本敦久さんに初のゲスト出演をしていただくので原因不明ですがとにかくパソコンが再始動したのはヨカッタです。
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『ドン・ジョヴァンニ』 主演はライモンディ。J・ロージ監督が見事に美しい映画に仕立てあげました。マゼールの音楽も豪華歌手陣も見事です
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6月14日(月)
朝からコンピューターのフリーズで大騒ぎ。何故動かなくなったのかも何故動くようになったのかもわからないまま。ヤマダ電機の人に言わせればパソコンの寿命は5〜6年でソロソロ寿命かもしれない…と。そんな阿呆な。まぁ何とかダマシダマシ使う以外ないかな。疲れて昼寝。起きて準備して6時から『ニューズ・オプエド』リモート・アンカー出演。ゲストはスポーツライターの小林信也さんと初出演の成城大学社会イノベーション学部教授の山本敦久さん。朝乃山の処分の話題から大坂なおみの鬱病の話題まで。ゴリ押し開催間近の東京五輪の話題からビッグデータやITを駆使した未来のスポーツの話題まで。メッチャ刺激的な話の連続に話に加わりながら大興奮。小林さんもテレビでは話せないスポーツの本質論に大満足したようで再会を約して番組終了。見てない方は本日6時前頃まで前半部分を見ることができるので是非覗いてみてください。https://op-ed.jp/
『オプエド』を終えて録画しておいた『新・映像の世紀第1集百年の悲劇はここから始まった第一次世界大戦』見ながら晩飯。毒ガス兵器を創り出した大天才化学者フリッツ・ハーバーと夫人クララの話などこのシリーズはやっぱり見逃せないですね。強力兵器で戦争を早く終わらせるという論理はウソなんですね。毒ガスも原爆も水爆も。そのあと知床半島のキタキツネのドキュメンタリーも見て風呂入って寝る。大騒ぎの一日も終わりよければ全てよし?あ。昨夜=日曜の夜は久し振りにプッチーニの『ラ・ボエーム』を楽しみました。ネトレプコは一番良いときにミミの歌声と映像を残しましたね。オペラ映画としてはジュリア・ミゲネスの『カルメン』やライモンディの『ドン・ジョヴァンニ』と並ぶ傑作ですね。
6月15日(火)
昨日のコンピュータ・フリーズ騒ぎの余波が心のなかでザワつく。パソコンは5〜6年が寿命と言われ本HPの制作に関わってくれているYクンに確認しても同じことを言われた。現代人はそんな柔な基盤の上で仕事をしているのか?マイッタナ。まさに常時累卵の危機ですな。危うい現実に悩んでいても仕方ないので読書。『オリンピック反対する側の論理』を再び読み継ぐ。反五輪のアメリカ(ロス)での動きが民主党サンダースなどの民主社会主義の政策とドッキングするのは納得。そもそも五輪とは政治。IOCとは資本主義新自由主義を推進する団体ですからね。そう言えば昨日講談社から池上彰&佐藤優『真説日本左翼史戦後左派の源流1945-1960』(現代新書)が送られてきた。今社会主義を見直すのは世界の潮流ですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと原稿書き。『ZAITEN』の連載に菅総理の党首討論での1964年東京五輪思い出話の「疑問」を書く。女子バレーはともかくアベベやヘーシンクの活躍は白黒の14型テレビでは詳しくわからずソレは絶対に市川崑の映画を見ての想い出ですよね。それにパラリンピックという名称は当時はあまり浸透せず「車椅子競技大会」と呼んでニュースで報道されただけでしたよね。「想い出」や「夢」は後から創られるものでソレはソレで悪いコトでもないでしょうけど今夏の五輪が「悪夢」になることだけは避けたいですね。晩飯はサッカー日本代表vsキルギスの試合を見ながら。オナイウのハットトリックは先のセルビア戦での悔しいオフサイド・ノーゴールがあっただけに良かったですね。風呂のあと以前録画していた『映像の世紀プレミアム夢と幻想の1964年』を見直す。1964年も反五輪の声は少なくなかったけれど誰もが一所懸命生きていましたね。今のようにしれーっと五輪で金儲けしようというような輩はいなかったことだけは確かですね。雨が降らず東京砂漠と呼ばれた水不足の危機から女子バレーの大松監督と戦争(インパール作戦)や街頭テレビに集まって五輪を見る群衆まで昭和39年という時代がよく描かれているけどあの素晴らしい1964年東京五輪の閉会式が実はハプニングでなく松沢一鶴によって仕掛けられたとNHKなら真実を加えてほしかったですね。
6月16日(水)
朝ベッドで『真説日本左翼史』読み始める。池上彰&佐藤優氏が対談で語る戦後徳田球一や志賀義雄がGHQによって釈放されて日本共産党が連合軍(米軍)を「解放軍」と呼んで以来の共産党&社会党史。小生の年齢(池上氏の2歳下で佐藤氏の8歳上)では知っていることも多い。「講座派」vs「労農派」ナツカシイですね。以前安田浩一『「右翼」の戦後史』を読んだときは知らないことが多かった。戦後社会は「左翼」のほうが「右翼」より一般人に近かったですからね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事。雨が降り出す前に大船駅前まで行って文具やらナンヤラカンヤラ仕入れ。ついでにビールも。ツマミは最近ハマったカズチーを購入。これはチーズに数の子が入ったもの。少々高価だが美味。家呑みの友ですね。そんなことよりIOCと日本政府によるコロナ禍五輪のゴリ押し開催についてイロイロ電話。今回の五輪での最大の失敗は巨大メディアが次々と五輪のスポンサーと化したことですね。ジャーナリズムの自殺行為。今となってはせめてメディアはスポンサーになったことで記者証の他にどんな競技チケットを何枚手に入れたことくらいは公表してほしいですね。五輪中止を社説に書いた朝日もスポンサーとして営業接待用招待券は何枚手に入れたのかな?
6月17日(木)
『真説日本左翼史』の読書をいったん中断して昨日送られてきた井沢元彦『汚れた「平和の祭典」2022年北京オリンピックをボイコットせよ!』(ビジネス社)を読み進む。《ジェノサイド・恐怖政治・国際法破壊…中国に五輪を開く資格はない…2022年中国共産党はナチスと化す》井沢さんには先月17日の『ニューズ・オプエド』に出演してもらって中国問題とIOCについて話してもらったけどこれは本当に困った問題ですね。一番マズイのはIOCの副会長に中国人が加わり大スポンサーにも中国企業が2社加わってIOCが習近平体制の中国に乗っ取られていることですね。おまけにIOCの現バッハ体制がこれを促進している。そういう批判に対して中国共産党は常に「スポーツに政治を持ち込むな」と反論する。けど中国は「スポーツに政治を持ち込むなという政治」を推進。そのやり方は巧みですね。そしてウイグル・チベット・モンゴル・香港の人々の人権が蹂躙される。困ったことです。「ボイコット」はIOCの変革のためにも必要のようですね。ベッドを出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。東京五輪はなぜ無観客にできないか?ということを話す。無観客にすると言っても関係者(海外要人関係・IOC関係・スポンサー関係の招待客…等々)だけで開会式なら1万人くらいいますからね。無観客にしましたと組織委か菅総理が宣言してテレビを見たら大勢の観客が…となればナンダコリャ?ですからね。結局国立なら1万人くらい観客入れると言って実際は2万人以上になって人がいっぱいで…。これでコロナ感染拡大になったら誰が責任取るのでしょうね。あ。以前本欄にも書いたけど犠牲者が出ても数が少ない場合は『西部戦線異状なし』なんですね。それが「政治」というものなのでしょうかねえ?ワン。黒兵衛と散歩のあと原稿の校正をしたりデスクワークいろいろ。晩飯は菅総理の記者会見を見ながら。この政治家はホンマに自分の言葉で喋れへん人でんなあ。まったく噛み合わない記者との応答。そのうえ安全安心…とお題目を何回聞かされたことか…。今日の会見で評価できるとすれば『チコちゃん』の邪魔をしなかったことだけですね。しかし…こんな総理大臣でイイのでしょうか?
6月18日(金)
『汚れた「平和の祭典」2022年北京オリンピックをボイコットせよ』読了。中国の人権問題が他国の人権意識と別次元のところで暴走していることがよくわかった。それに対してIOCが「仲間に入れて平和的に是正させること」が不可能なのはヒトラーのナチ五輪1936年ベルリン大会で証明済みですね。困ったことです。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。ヨメハンが買い物ついでに買ってきてくれた『文藝春秋』7月号「五輪特集」を全部読む。池上彰・保阪正康両氏の対談『東京五輪と日本人 リーダーなき国の悲劇』に「五輪中止を決断でない理由」がきちんと整理されていた。第二次大戦時の東条首相と同じで「自信のない」首相が「今さらやめられない」から「安心安全にできる(日本は勝つ」と「願望を元に」「精神論」で突き進む。結果「無原則・無思想・無責任の三無主義」で誰も五輪を開催する大義を語れない。まったく…とほほ…な状態ですね。そー言えば1964年の東京五輪時に次のような歌が流行りましたね。?そーのうちナントカな〜るだ〜ろお〜…。高度成長時は優秀な人材も存在してナントカ成功した。塩田潮さんはこう書いている。《戦後のGHQによる公職追放は世の中の人材の入れ替えという面で画期的な役割を果たした。(軍国主義の)旧体制下の指導者群が一掃され空いた席を二段跳び三段跳びで浮かびあがった新人が占めた。その中には元々指導者となりうる実力と資質を持ちながら戦前の体制に馴染めず長い間逼塞と沈潜を余儀なくされてきた人たちもいた》彼らは《全員が明治生まれである。壮年期を迎えて敗戦に遭遇するが戦争や敗戦など若い頃から辛酸を舐めてきた明治生まれの人たちはへこたれずにもう一度立ちあがったのだ》(『東京は燃えたか オリンピック1940-1964-2020』朝日文庫より)プロンプターを読むだけの首相やアスリートあがりや女子アナあがりの政治家が「率いる」東京五輪に我々はどう対峙すれば良いのか?『オプエド』で東京五輪期間中の2週連続で何がやれるか考えてみます。久し振りに晩飯映画劇場はヒッチコックの『見知らぬ乗客』。タイトルではどんな映画か思い出せず録画したけど眼鏡をかけた女性の登場で全てを思い出す。メリーゴーランドの馬の怖さを見事なカメラワークで描いた映画ですね(笑)。ただ今回見直してコレがテニス映画でもあることを再確認。昔の木製ラケット時代のテニスの試合の優雅さが垣間見えますね。
6月19日(土)
『真説日本左翼史』読み進む。以前本欄で「戦後左翼の歴史」は知ってることが多いと書いたが知らなかったことも沢山。岸信介は巣鴨を出たあと社会党に入党しようとしたんですね。戦前革新官僚として統制経済を推進しようとした彼は戦後同様のことを推進するには社会党だと思ったんですね。ふ〜ん。しかし社会党は戦犯はダメ。自由民主党の総裁として総理になった彼は国民皆保険制度や国民年金や最低賃金制度を法制化。右翼としか思っていなかった彼が左翼史に出てくるのがオモシロイですね。そんな岸が地元で選挙の時に多くの封筒を用意して蚕棚に中味の金額によってABCの3種類に分類して…という話を彼の秘書をしていた人から聞いたこともあるけどソノ話はまたの機会に…。ワン。雨のなか黒兵衛と散歩。やっと関東地方も梅雨らしくなったかな。終日デスクワークでHPの原稿作り。途中電話で某週刊誌から有観客五輪について取材を受ける。ゴルフのギャラリーやサーフィンに伴う音楽イベントなどはどーするのでしょうねえ?という話をする。そもそもゴルファーはどこに泊まって埼玉の山奥のゴルフ場まで「バブル」で通うのかな…?夕方から高校時代の後輩で『日本プロ野球犯罪事典』というオモシロイ本を出版したUクンはじめ数人が「オンライン呑み会」に招待してくれたので缶ビールとツマミ持参でパソコンの前でワイワイガヤガヤ。10歳以上年下の京都の後輩相手に楽しい一時。オンライン呑み会は初めての体験だったけど母校の話題や野球や阪神やヤクザや東京オリンピックやいろいろな話題でなかなか楽しい2時間でした。呑み会終わって晩飯は録画しておいたTBS『報道特集』を見ながら。感染対策が万全でない組織委の内部情報を語る人や組織委を辞めた人の話のほうが菅総理の話より納得しますね。以前建築家の安藤忠雄さんから「良い建築物というのはコレは俺が建てたんだという人が多い建築物のことですね」という話を聞いたことがある。施工主や設計者から現場の大工や住基を扱った人や…誰もが「コレは俺が建てた」って胸を張るのは…ナルホド美しい自慢話ですね。が東京五輪に関わっていたと胸を張って言えないことから組織委を辞めた人は本当に可哀想ですね。本当なら素晴らしい仕事のはずなのに…いや…そうでもないのかな…1964年と違って…。
6月20日(日)
『真説日本左翼史』読み進む。メッチャ面白い。宗教学者の中沢新一さんの伯父さんが歴史学者の網野善彦さんであるとか小生が無知で知らなかったオモシロ情報も満載。イロイロ書きたいこともあるけど、コレを書いてる月曜が朝から久し振りの講演や『オプエド』や五輪の五者会議やTVの取材やらで…明日(火曜)ゆっくりたっぷり発信します。乞御期待。
6月20日(日)つづき
黒兵衛との散歩のあと『真説日本左翼史』読了。本当に面白かったと言うか勉強になりました。中国共産党がソ連と一線を画すようになったのはフルシチョフのスターリン批判から。ソ連はスターリンを否定したけど中国共産党は現在もマルクス・レーニン・スターリン・毛沢東という系譜を認めてスターリンの大きな写真を掲げて行進したりしているのですね。知らなんだ。それに毛沢東は中国共産党=人民共和国の抱える最大の問題点として「漢民族と少数民族」の関係を取りあげていたのですね。少数民族のほうが漢民族と較べて《圧倒的に人口が少ないのに居住地域は圧倒的に広い》しかも《資源があるが(開発が)遅れている》だから《中国共産党はそのバランスを取らなければならずそのためにはほんの少しだけ少数民族を優遇するほうが良い》と毛沢東は書いていて《内部報告としても非常にすぐれている》と佐藤優氏は語っている。ただしこの毛沢東の言葉は『毛沢東選集』のなかで《極端に手に入りにくい五巻目》でしか読めないらしい。ウイグルの「ジェノサイド」を続ける習近平は読まれ困るのかな?本を読んだりPCの整理をしていると某週刊誌記者から電話。明日の東京五輪五者会談について無観客はあるか?の質問。そんなモノあるわけないでしょと答える。無観客と言いながらIOCの関係者やスポンサーの招待客や1万人も入ってる様子がTVの画面に映るのはマズイでしょうからね。開催は「IOCファースト」なんですから(>_<)。晩飯は『ダーウィンが来た!』を見ながら。「カタツムリ大研究」は面白かったですねえ。続けて見た『日曜美術館』も見応えあり。タイガー立石という素晴らしい画家で漫画家でイラストレーターを私は知りませんでした。凄い天才ですね。天才バカボン(赤塚不二夫)が絶賛しているんですからね。本物の天才ですね。明日は朝から忙しいので『クラシック音楽館』の日本のさまざまな地方交響楽団の演奏会はパスしてベッドへ。ビデオ入れ忘れた(>_<)
6月21日(月)
朝ベッドのなかで久し振りに『オリンピック反対する側の論理』の続きを読む。当然のことだがオリンピック精神に明らかに反する中国の人権状況の問題も取りあげられている。「IOCファースト」「スポーツ大会開催ファースト」「放送権料&スポンサー料の収入ファースト」のIOCバッハ会長は中国共産党習近平と握手するのでしょうね。ベッドから出て黒兵衛と散歩したあと準備をして東海道線で東京へ。タクシーで江戸川橋に近い某ホテルへ。時事通信社主催の内外情勢調査会で久し振りに講演。東京五輪の問題点やオリンピックの問題点それに日本のスポーツ界や世界の最新スポーツの問題点等について1時間半話す。最後に「オリンピックは既にオワコンかもしれない」と結論づけると笑った人が50人くらいのディスタンスを取った聴衆のうち4分の1くらいだったので「オワコン=終わったコンテンツ=過去の遺物」の説明。しかし間違ってほしくないのはスポーツは素晴らしい人類の文化でオリンピックとは別物であると説明して締めくくる。久し振りの講演会で少々内容を詰め込みすぎたかなと反省しながら帰路。自宅に戻って準備して『ニューズ・オプエド』。その前に丸川五輪大臣や橋本組織委会長の記者会をテレビで見る。はっはっは。やっぱり無観客は無理。有観客にしないと「関係者」が入れませんからね。武藤事務総長に「関係者」の人数について記者から質問が飛ぶと「IOC関係者やキイクライアント(スポンサー関係者)は運営者」との返答。屁理屈ですね。さらに「運営に関わらない関係者もいるのでコレから精査」して人数を減らすらしい。だから開会式の観客は2万人にはならないらしい。結局1万9千人?コレマタ苦しい言い訳ですね。
6月21日(月)つづき
6時から『オプエド』今日のゲストはジャーナリストで『オリンピック・マネー』の著者の後藤逸郎さんと産経新聞論説委員で「東京五輪無観客開催」を主張する佐野慎輔さん。もちろん佐野さんは「関係者」の存在も御存知だが原則無観客以外今のコロナ禍で開催できないはずとの意見。結局有観客開催にいなったことで3人で未来の五輪について話し合う。後藤さんは大会の大幅規模縮小。小生はIOC解体。佐野さんはそーいった改革案をまずすべてオープン話し合うこと。それが東京五輪2020のレガシーになることできればそれがせめてもの救いですね。番組のあとテレビ朝日『グッドモーニング』から電話取材。IOCの関係者は「運営者」なんかではなくコロナ禍では多数が押しかけてくる必要はない。バッハ会長以下数人いれば十分。競技の運営は各IF(国際競技団体)のもとで行うから主催者としてのIOCは極端に言えば3人もいれば十分と答える。晩飯は録画しておいた『新映像の世紀第2集グレートファミリー新たなる支配者』を見ながら。これは素晴らしいドキュメンタリーだった。モルガン&ロックフェラー&デュポン&フォード&エジソン…などアメリカの富豪による世界(経済)支配の話。ロックフェラーは採掘に高いギャンブル性のあった石油を自ら採掘することなく採掘者から買って売ることで石油王となり巨万の富を手にしたのですね。自らスポーツを「運営」することなく「オリンピック」という「スポーツ集合体イベント」をプロデュースして参加に多数の株式会社やNPOを抱えて「巨万の富」を手にしたIOCのやり方もロックフェラーととよく似てますね(>_<)。
6月22日(火)
ボイコフ『オリンピックに反対する側の論理』読了。既にオリンピックは歴史的役割を終えた…要するにオワコンだとNYタイムズは本書の書評に書いたそうだけど資本主義支配者側からは先兵としてオリンピックを利用し続け生き延ばそうとしてIOC(バッハ会長)もその「期待」に応えようとしているのですね。来月開幕の東京大会の行方と来年の北京冬季五輪での人権問題が時代の分かれ目となるのかな?さて五輪はどう転ぶか?継続?廃止?ワン。黒兵衛と散歩のあと終日原稿書き。『北國新聞』の連載を仕上げたり東京五輪期間中の『ニューズ・オプエド』の新たな企画を考えたり…。しかし五輪会場で酒類の販売を許可…とは組織委も何を考えているのでしょうね?そんなコトしたらスポンサーのイメージダウンですよ。そうなっても「IOCの五輪貴族たち」は会場でビールやワインを呑みたいのかな?過去の大会がそうでしたからね。しかし東京五輪の「レガシー(遺産)」は素晴らしい!何しろIOCの醜いまでの金権体質と見苦しいまでの唯我独尊を浮き彫りにしたのですからね。
6月23日(水)
今日(木曜)はチョイと日記をサボリます。いつも翌日に書いてるのですが木曜は朝がラジオ昼がTBS『ひるおび!』夕方がプレジデントのZOOM取材で前日(水曜)を振り返る余裕なしです。歳取ると疲れやすくなりますねえ(>_<)ただ昼の昼食時にテレビで見た見た「沖縄慰霊の日」の追悼行事に触発されて夜晩飯前に岡本喜八監督の映画『激動の昭和史沖縄決戦』を半分だけ見ました。この映画は岡本喜八監督の大傑作ですね。
6月24日(木)
朝ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。先週「五輪無観客はありえない(関係者と招待客が山ほどいますからね」という話に引き続き五輪の杜撰なコロナ感染防止策を話す。ウガンダ選手団にPCR陽性者が出たのに飛行機の同乗者(濃厚接触の疑いがある人)が無視されて他のウガンダ選手たちは成田空港から大坂泉佐野まで移動。コレはどう考えてもマズイっすよね。ウガンダの五輪委というのはIOCのJ・コーツ副会長・東京五輪調整委員長がシドニー五輪招致委員長時代に7万ドルの「賄賂」を送った国…という情報は今回のコロナ陽性と何の関係もありませんがどこか不愉快になる情報ですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと急いで準備して東海道線で新橋へ。タクシーで赤坂TBSへ。『ひるおび!』生出演。2時間近く出っ放しで五輪とコロナの話題・過労で倒れた小池都知事の話題・五輪貴族の傍若無人ぶりの話題についてイロイロ話す。時間が押して最後の話題があまり話せなかったのは残念でしたね。政治アナリストのIサンに耳元で「IOCはまるでGHQだね」と囁かれる。ハイ。日本の政治家は逆らえませんね。逆らう気概もないですね。残された手段は…「血のメーデー」?TV局の用意してくれたタクシーで爆睡しながら帰宅。ZOOMで『プレジデント』編集部のインタヴューを受けて「オリンピックを理解するための本」10冊を選ぶ。ダイジェストはいずれ『プレジデント』に掲載されたあと本HPでも発表するつもりです。晩飯後は岡本喜八監督の大傑作映画『激動の昭和史沖縄決戦』後半を見る。丹波哲郎と仲代達矢の両参謀が意見の食い違いから激論を交わす演技が凄い。田中邦衛も加山雄三もイイ味出してますね。沖縄を捨て駒にする本土の大本営と航空機の援護が期待できないなかで苦悩し自決する沖縄の人々。あまりに大きな悲劇のなかで岡本監督は人間への愛情を失わない演出で見事な映画に仕立てあげましたね。毎年6月には沖縄の悲劇を忘れないために見直したい映画ですね。
6月25日(金)
朝ベッドのなかで千野帽子というエッセイストの編集した『オリンピック』を読み直す。昨日取材を受けた『プレジデント』で選んだ「五輪本10冊」のなかから残念ながら落ちたもの。三島由紀夫・田中英光・沢木耕太郎それにあいりあのす『ギリシア奇談集』などが選ばれていて面白いアンソロジーになっているのだけど抄録になっていて少々残念。仕方ないですけどね。ただ小川洋子の『ハモニカ兎』や筒井康隆『走る男』は五輪関連短編としてメッチャ面白いうえ中野好夫の1964年パラリンピック(ストークマンデビル車椅子競技大会)のルポ『明るく朗らかな運動会パラリンピック観戦記』(週刊朝日1964年11月20日号より転載)はすばらしいですね。東京五輪の選手村選手練習場だった織田フィールドで皇太子ご夫妻(現上皇&上皇后)を迎えて開催された慎ましやかな観衆5千の開会式は神宮球場で行われた早慶戦や国立競技場で行われた創価学会文化祭が《7〜8万人の大観衆》を集める隣で行われていたのですね。《プロリンピック(プロのオリンピック)》を《見る気など毛頭なかった》中野好夫は皇太子ご夫妻が車椅子の選手に丁寧に話しかけられている様子などを活写したあと《これでいいのだとぼくは思う》と書く。そしてパラリンピックが終わったあとの身体障害者の日本大会も《できるだけ沢山の人が見てあげてほしい》と書く。中野氏が現在のオリパラを見ればどんな文章を書かれることだろう?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。ウガンダ選手団から2人目のコロナ陽性者。仕方ないですね。テレビで見ていてもバブル(泡)が破けてるのがわかるくらいですからね。インド由来のデルタ株に東京の感染者数の漸増。五輪はどうなるのでしょう?日本はどうなるのでしょう?晩飯のあとは昨日見た『沖縄決戦』に続いて堀川弘道監督映画『激動の昭和史 軍閥』。小林桂樹が東条英機を熱演。勝算なく合理性なく被害者妄想と気合いと根性と希望的観測だけで戦争に突き進む様子がよく描かれている。五輪委突き進む現在の日本人も同じですね。嗚呼。
6月26日(土)
昨日の本欄に「終日デスクワーク」なんて書きましたけどソレはウソです(笑)。横須賀線と江ノ電に乗って掛かり付けの病院に定期検診に行きました。血液検査&尿検査&心電図。特に大きな異常はなし。久し振りに見る目の前に広がる江ノ島の横の太平洋は美しかったですね。波もなくサーファーたちが「ひねもすのたりのたり」と漂っていました。その後帰宅してウガンダ・コロナ情報でバタバタしてすっかり美しい太平洋のことを忘却。今は太平の世の中ではないのですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと今日はホンマに終日デスクワーク。通信社の連載コラムを書いて送稿。そー言えばここのところ何ヶ月もスポーツについての原稿を書いてない。オリンピックについてのウンザリする原稿ばかり。《オリンピックがスポーツだと言うのは唐辛子催涙スプレーを食品だと言うようなもの》とはナボコフの「五輪反対本」に出ていた言葉だけどオリンピックの美しい幻想を利用して金儲けしている現代社会の支配者層にはいつか罰が当たるのでしょうか?それとも賄賂を使ってシドニー五輪を招致したコーツIOC副会長のように多くの人々は逃げおおせるのかな?そー言えば立花隆さんが亡くなられました。2度ばかりインタヴューさせていただいたことがあって小生がスポーツの話をすると「僕はスポーツ音痴だけどその話は面白いね」と耳を傾けてくださいました。おかげで調子に乗ってスポーツ論をぺらぺら喋ってこっちが聞くべきことが不十分になって…駆け出しの頃の失敗談ですね。合掌。そー言えば原信夫さんもなくなりましたね。中学時代に親父とコンサートに行ったのは2回。ニュー・グレン・ミラーと原信夫とシャープス・アンド・フラッツでしたね。親父はジャズと青江美奈と都はるみと歌舞伎が好きでクラシックは門外漢でしたね。晩飯後の映画劇場は昨日に続いて『軍閥』の後半。日本が負けるとわかってるのを記事にした正義漢溢れる新聞記者(加山雄三)は激戦地に飛ばされますね。ソレをナントカ新聞社は助けますが一緒に飛ばされた老年兵たちは犠牲に…。東条英機首相(小林武樹)は徹底した言論弾圧。天皇の言葉にも従わず最後は失脚しますね。今の世の中も似てるかな…?蘋果日報はなくなりましたね。日本の新聞もそーならないよーに。いや。もうなってるか…。
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『小説吉田学校』 講和が終わったあとのお父さん(吉田茂=森繁久弥)は我が身を守るだけと娘(夏目雅子)に叱られます。映画として良くできてます。
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6月27日(日)
朝ベッドのなかで『現代スポーツ評論44号オリンピックの価値を問う』(創文企画)を読んで勉強。寒川恒雄静岡産業大教授の「オリンピックの文明論」が面白かった。12世紀のイギリスではsportというジャンルのなかに運動競技・動物闘技・盤上遊戯・狩・ギャンブル・歌舞音曲・どんちゃん騒ぎ・観劇・酔っ払いまで入り《快楽快感を誘発する行為つまり遊び》は全て含まれ《見世物でありリアルな観劇である公開処刑》もsportの一種だったという。OED(Oxford English Dictinary)には《男女のいちゃつきあるいは性行為(sex)》もsportの語義として書かれシェイクスピアも『オセロー』のなかで《官能をもたらすセックスもsportであると表現する台詞が登場する》という。知らなんだ。小生のsportの定義ではsexは直接的な生産性を有するが故にsport(遊び)ではないとなるが…『オセロー』読み直さねば。ワン。黒兵衛と散歩のあとこの日はホンマに終日デスクワーク。東京五輪開催中の『ニューズ・オプエド』の企画を考える。近く発表します。晩飯前後映画劇場は『小説吉田学校』。最近の政治家が語るに落ちる酷さなので昔の政治家の様子を見直してみたくなる。吉田茂を森繁久弥が演じていて外見も喋り方も本物と見紛うばかり。田中角栄は西郷輝彦。官僚出身の政治家と党人派の政治家の闘い。三木武吉&鳩山一郎vs吉田茂&池田&佐藤&宮沢etc。すべては吉田の娘(夏目雅子)の台詞に集約されてますね。「講和条約までのお父さんは日本のことを考えて立派だった。でもそのあとは政権の延命を考えるだけ」今も「そのあと」が続いているようですね。風呂のあとはワイン呑みながら『土蜘蛛』と『三人吉三大川端庚申塚の場』月も朧に白魚の篝も霞む春の空…ほんに今夜は節分か…黙阿弥の七五調の台詞は本当に心地良いですね。右近や隼人など若手役者も悪くなかった。東京五輪の危機的状況も一先ず忘れて久し振りの歌舞伎を堪能。「ひとまず」って「一先ず」と書くのですね。ATOKに教えられる。70を前にして未だひよっこですね。
6月28日(月)
今朝も『現代スポーツ批評44号』でオリンピックの勉強。IOCも生き残りに必死なんですね。それを支えているのが現資本主義経済体制なんですが中国ロシアなどの専制主義政治に頼らなければならない資本主義そのままにIOCは中国ロシアと手を組むわけですね。嗚呼。ワン。黒兵衛と散歩のあと『オプエド』の準備イロイロ。今日の準備と五輪期間中の準備。今年だけ特別の祝日がイロイロあるためスタッフの働き方にも影響。五輪期間中のゲストの手配もイロイロありますね。そして今日の『ニューズ・オプエド』は五輪からチョイと離れて大相撲名古屋場所を展望。ゲストは相撲ジャーナリストのお二人。荒井太郎サンと十枝慶二サン。国技館が五輪ボクシング会場となったための名古屋開催。白鵬vs照ノ富士の一番はナルホド見ものですね。白鵬は途中休場するようでは引退必至ですね。その他貴景勝・若隆景・遠藤・高安・明星・宇良…などの話題を楽しく…で五輪がどうあろうとも日本の大相撲は揺るぎもしないことで番組終了。あ。朝乃山の話題が出なかったなぁ。まぁしかたないか。晩御飯は『新・映像の世紀』を見ながら。『第3集時代は独裁者を求めた』ヒトラー&スターリンを中心にフォードやリンドバーグやデュポンもナチスに協力したという話。見ておかなければならない知っておかなければならない歴史ですね。風呂入ってビールを飲んでテレビをつけると神山征二郎監督『ハチ公物語』をやっていたので見てしまう。山城新伍サン懐かしかった。殿山泰司も八千草薫も。ハチの飼い主の大が樹教授を演じた仲代達矢は市川崑の『吾輩は猫である』の珍野苦沙弥とそっくり同じキャラですね。別に良いですが…動物モノは見てしまいますがヤッパリ…つまらないですね。吉本興行が(今は知りませんが)昔は動物と子供だけは舞台に上げないという不文律があたのも頷けます。動物と子供には役者も勝てませんからね。だからといって動物と子供がスゴイわけでもないし…新藤兼人の脚本は悪くなかったけど…市川崑の『猫』の方が上ですね。
6月29日(火)
『スポーツ批評44号』で今朝もオリンピックの勉強。eスポーツとは別種の身体の動きを実際に伴う仮想スポーツ(自宅で自転車を漕いだりランニングマシンを使って仮想現実のコースの画面を走ってタイムを競い合う等)をオリンピックが取り入れればコロナなどの感染症を心配せず肥大化した大会の開催も可能…しかしボールゲームや格闘技は無理だし…そこはeスポーツに任せる?ま。未来のオリンピックのことなど心配せずに幼稚園や小中学校の運動会のことを考えるほうが健康的ですな。ワン。黒兵衛と散歩のあとヤンキースvsエンジェルスの試合。大谷ホームラン!コレを書いてる翌日(30日)には2ホーマー。スゴイとしか言い様がないですな。終日デスクワーク。『スポーツゴジラ』や『月刊hanada』から依頼されたオリンピックや現代スポーツの原稿の構成を考えるなどイロイロ。晩飯映画劇場は『ピンポン』。少々話題になった宮藤官九郎脚本のスポーツ映画なので見てみるがコレは評価街の作品でした。スポーツ(卓球)の描き方に何の考えもない最低の映画でした。マイッタ。
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『ピンポン』 現代スポ根映画。スポーツ理解のためには見るべきところは皆無です
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6月30日(水)
今朝もベッドのなかで『スポーツ批評44号』でオリンピックの学習。神戸大の小笠原博毅教授『逆説と倒錯-「問題」としての五輪』に多くのことを教えられる。そうですよね。「おかしなことを本来の姿に戻す」と言っても五輪にはそもそも「(クーベルタンの言った)本来の姿」に「オカシナこと」が多いのですよね。「(五輪の)オカシナ現状」という「結果」はそもそも「原因(IOC)が結果(五輪)に内在している」のですよね。だから結果(五輪)を正そうとすれば原因(IOC)に手をつけるほかないのですよね。IOCのバッハ会長とコーツ副会長は広島を訪れるらしい。Youは何しに広島へ?ノーベル平和賞狙い?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。いやぁ大谷はスゴイですねぇ。最新ハイテク機器を使ってバットスイングのスピードや角度を割り出しているのも凄いけどソノ最新テクノロジーの結果が打って走って投げて守っての投打二刀流三刀流というベーブ・ルースよりもさらに古いスタイルになっているところがスゴイですね。歴史は常に円環を描く?双六で言えば振り出しに戻る。ということはSDGs(Sustainable Development Goals)にGoalという言葉が入ってるのはオカシイ?所詮は現代資本主義の創り出した新しいキャッチ・フレーズだから言葉なんて軽くてイイのかな?「復興五輪」「アンダー・コントロール」「おもてなし」「レガシー」「安全安心」…と同じかな?ワン。終日勉強。晩飯後は「三人吉三」を玉三郎・染五郎(幸四郎)・松緑の旧歌舞伎座の舞台で見直す。うん。歌舞伎はイイナア。東京五輪の文化プログラムはどーなってるのかな?
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