8月1日(水)
そうか。朝青龍は2場所出場停止か。赤城の「辞任」よりははるかにきちんとした処分やな。安倍自民党は見事に崩壊への道を歩み出したけどマサカ小沢と組んだりするのんやないやろな…。仕事はかどらず。晩飯映画劇場は『東京裁判』後半。本で読む以上の実写の生々しさが歴史的事実の重さとばかばかしさを浮き彫りにする。日本人必見の映画やな。
8月2日(木)
コラム2本書きあげ。最近はメールで仕事を受けてメールで原稿を送ってオシマイということが多い。編集担当者の顔も編集部の場所も知らんまま連載が終わることも少なくない。昔は会って打合せをして編集者が原稿を取りに来て…。それは無駄な時間ではなかったなぁと感慨にふけってしもたのは暑さのせいか。そういえば昔はYou might think but today's hot fish.なんてギャグもあったな。横山ホットブラザースが言うとったな。漱石の俳句やったな。云うまいと思えど今日の暑さかな。ビール飲みとなったし「213」へ。
8月3日(金)
書くまいと思えど今日の暑さかな。2冊の本を同時進行。孤独な闘い…なんて阿呆なセンチメンタリズムに酔ってたらお隣のフランス人さんからお誘い。MARGAUXの1978年Grand cru classeがあるので一緒に味わいませんか。いやはや一所懸命仕事をしてるとエエことはある。滅多に飲めんワイン。美味かった。
8月4日(土)
冬はまた夏がましじゃといいにけり。思えば耐えれる暑さかな。まぁ人間なんてエエ加減なもんですからね。昼間『スパイ・ゾルゲ』のメイキングを見だしたら止まらんようなって全部見てしまう。篠田監督の執念も凄いけどCGを駆使したVFXには唖然。昭和初期の銀座を甦らせるほうがマトリックスなんかよりよっぽどシンドイ作業で価値ある作業であることがわかる。晩飯映画劇場は篠田監督に敬意を表して『心中天網島』。学生時代にATGで見たけどコレは歳をとらんとワカラン映画やな。義太夫節と人形浄瑠璃に負けるもんかというこれまた篠田監督の執念に感服。
8月5日(日)
新幹線で新大阪へ。阪急で西宮北口へ。兵庫県立芸術センターで佐渡裕プロデュース・指揮のモーツァルト『魔笛』を見る。いやぁ最高でした。いままでに見た『魔笛』(ナマ舞台約5回映像約10本)のなかで最高の舞台。歌手は全員水準以上という以上に見事なアンサンブルで全体が統一されていたしナント言ってもエマニュエル・バステの演出とアントニー・マクドナルドの舞台装置が秀逸。子供の使い方も楽しかった。そうか…すべては子供の夢か。最後のザラストロの歌と合唱は客席からか…。はっきり言ってこの舞台と音楽は現在の世界のオペラ界最先端の水準をクリヤーしてる。佐渡と兵庫PACがこれほどのレベルをプロデュースしてくれるんならヨーロッパまで足を運ぶ必要がない。関西のオペラファンは幸福やで。いやオペラは初めてというような大勢の観客の皆さんの活き活きとした反応も見事やったな。8回公演全席完売で超満員の観客総立ちのスタンディングオベーション。あ。あんまり興奮したんで佐渡さんに伝えなあかんことを忘れてしもた。うちの隣のフランス人がPACを訪ねたときにプレゼントしてくれたシエナのCD。ケースだけで中味が入ってまへんがな。小生が中味をプレゼントしといたので今度返して下さい(笑)。
8月5日(日)つづき
梅田で大阪在住の朋友と久しぶりに逢ったあと新幹線のなかで保阪正康『昭和史入門』(文春新書)読了。なるほど東京五輪は日本人に自信を与え「このとき初めてナショナリズムの良質さを自覚」したのんや。なるほど「それぞれの(近代日本の)天皇は先帝を否定する、あるいは距離を置く、いや変革するという特質を持っている」というバランス感覚があるんや。帰宅するとNHKスペシャル・アーカイヴで「硫黄島」体験者の話をしてた。壮絶。続けて富山県の村での徴兵の話も興味深かった。保阪正康氏もスタジオ出演。やっと社会主義的「正義」に縛られへん歴史検証を知る時代になった。次は社会主義の良さをほんまにきちんと認識する時代が来るのんかな。
8月6日(月)
クソ暑い。エアコン入れっぱなしにしてしもた。原稿が書けんのは暑さのせいかエアコンのせいか…なんて考えてると夜になって突然何か報告があるとかで長男が帰宅。相談ではない。一方的な報告。通告。決意表明。まぁもう二十歳やしな。おれも二十歳のときには東京新聞に原稿書き始めてたしな。けど焦ったらあかん。人生は長い。けどガンバレ。光陰矢の如し。俺の言うことも無茶苦茶やな。まぁ飲も。2時過ぎまで息子と痛飲。しかしこんな話をするときにパット・メセニーなんか聴かせるなよ。オモロすぎて話に集中でけへんやないか。
8月7日(火)
昨日長男と飲んだ酒が残る。こういうのは久しぶりやな。クソッという思いでコラム2本バシッと書きあげる。そうか。翌日まで酒が残るほど飲むと自己嫌悪と自省心が働いてサッサと仕事がはかどるのか。ほな毎日浴びるほど飲むか。阿呆か。早く単行本に専念せねば…。
8月7日(火)つづき
朝青龍の一件で10年以上前に江夏豊さんから渡された新聞の切り抜きのことを思い出した。「コレ調べてほしいのんや」といわれて渡されたのは大リーグのリリーフエースが3試合連続サヨナラホームランを打たれたあと自宅でライフル銃で自殺したという記事。調べてみるとサヨナラホームラン以上に夫人との確執のあったことがわかった。後日そのことを江夏さんに報告すると「そうやろな。ほっとした。スポーツだけではゼッタイにそこまでにはならんはずやから」。他のスポーツマンの例も調べてみたがスポーツの問題だけで精神的に追い込まれた人物はほとんど見あたらなかった。朝青龍も他の問題を抱えてるに違いないと思えるけど…。
8月8日(水)
ラジオ2本こなしたあと高校野球の開会式を見る。高校生の笑顔も選手宣誓も悪くない。文部大臣の挨拶も例年になく良かった。悪いのは単なる高校生のイベントをこれほど大きな大会にしてることやな。脇村高野連会長が特待生問題にちょっと触れたけど…まぁ朝日新聞主催でプロのような興行を続けてる限り高校教育との矛盾は解決できひんわな。暑さに負けずに書きまくる。晩飯映画劇場は『スパイ・ゾルゲ』前半を見直す。映画作りというものの見本のような展開。それよりも文化庁長官の河合隼雄先生が先月19日に亡くなられていたことを知らなんだ。日曜に見た『魔笛』の楽屋で佐渡裕さんの父上から聞かされて愕然。バタバタしててさっぱり新聞に眼をとめんかった。情けない。友人も知ってるものとして連絡くれんかったんやろな。先生とは対談で2度パーティやシンポジウムで数度お目にかかりいろんな話をさせていただいた。小生が「スポーツというのは神々に近づこうとする行為から生まれたもので神々を称えようとした芸術芸能や神々の意向を伺うことから派生したギャンブルと兄弟関係の文化やと思うんです」というと「玉木さん。もう一つ神々と関係あるものがあるで。神々で金儲けするのんが宗教や」と笑っていわれた。面白い人やった。遅ればせながら合掌。
8月9日(木)
クソ暑いなかグワワアアアーっと仕事をして大阪へ。新幹線が子供だらけ。資料を読み込もと思てたのにイライラ。ホテルの中華料理店でMBS『せやねん』のスタッフと食事をしながら企画の打合せ。
8月10日(金)
朝のうちにグワワアアアアーっとホテルで仕事して昼からMBS『ちちんぷいぷい』生出演。そうか。お天気おじさんの今出さんは今日が誕生日で還暦か。番組中は気づかへんかったけど還暦ちゅうのんは数え年で誕生日とは関係ないはずやけどな。まぁエエけど。そういえば今年は大阪の暑さと鎌倉の暑さに差が感じられへんと思てたら大阪は南西の海からの風が多くてちょっと過ごしやすいらしい。おまけにその風がアルプスを越えてフェーン現象気味に流れ込んで関東が暑いそうな。しゃあないな。初めて京都から東京へ出てきたときから2〜3年の間は関東の夏を暑いと感じたこともなかったのに温暖化かな。それとも都会のヒートアイランドかな。いや人間は歳を重ねる事に暑さにも寒さにも感じやすう(弱く)なるに違いない。ほんで全員が「今年は暑い」と声を揃えるのんとちゃうやろか。たしかそんなことを谷崎潤一郎が書いてたな。
8月10日(金)つづき
新幹線で新横浜で降りて横浜線に乗ったら満員で東神奈川で階段のぼって降りて乗り換えて横浜でまた階段のぼって降りて乗り換えて東海道線に乗ったらまた満員で…。どっかで花火大会やってるらしい。そういやここんとこ毎日のように夜になったらド〜ンド〜ンと音が響いて佐吉が騒ぐ。電車と暑さでクタクタになったので大船ついたら一目散に「213」へ。生ビール旨い!しかし最近の若い女の子の浴衣姿は寝間着姿みたいでしゃんとせんなぁ。艶っぽないなぁ。色っぽないなぁ。
8月10日(金)つづき
帰宅するとスポーツジャーナリスト実践塾元塾生の石川哲也さんから著書『歴史スポーツ新聞野球』(大空ポケット新書)が届いていた。寝る前にパラパラ読んだけど面白い。日本の野球の歴史をスポーツ新聞のレイアウトスタイルで並べたアイデアがいい。腰巻には「沢村栄治からハンカチ王子まで」と書かれてるけど野球伝来(「全国で新球技流行」「日本初ベースボールチーム結成」)から始まってる。明治時代の朝日新聞による「野球害毒論」から最近の「西武裏金発覚」「特待生問題に発展」まで取りあげてる姿勢もイイ。新書版でスポーツ新聞ふうを目指したので文字量が少ないのはシャーナイけど歴史が一望できて楽しい。元塾生やからほめるわけやないけど野球ファン必携の一冊ですな。
8月11日(土)
暑い暑い暑い。冬はまた夏がましじゃといいにけり…なんてゼッタイにいわへんぞ。晩飯映画劇場は『スパイ・ゾルゲ』後編。メイキングを見たあとに見直すと面白い。
8月12日(日)
暑い暑い暑い暑い。嫁はんが実家に帰って一人暮らし。とはいえマリリン・モンローは現れず。シャーナイし仕事に専念。しかし暑い。猫にメシもやらないかん。犬の散歩もせなあかん。「家庭」というものはナンデこないに煩雑な邪魔モノを自ら引き入れるのか。この問いを問いつめれば人生論になるのんやろな。晩飯映画劇場はジョン・ウェイン監督主演の『アラモ』。真珠湾もアフガン戦争もイラク戦争も原点はコレ…とたしか心理学者の岸田秀が書いてた。なるほどアメリカ人的稚気に満ちた正義感が溢れ出る“反撃”のモトをつくることこそアメリカの戦略かも。映画としては単純。音楽がデミトリ・ティオムキンやったことに驚く。たしか『ハイヌーン』も『OK牧場の決闘も』も『リオ・ブラボー』も『ジャイアンツ』も『北京の55日』もそして『ローハイド』もこの作曲家の音楽。なるほどジョン・ウィリアムス以上にわかりやすい傾向ですな。
8月13日(月)
暑い暑い暑い暑い暑い暑い。一人暮らしも気ままなモノ…でもないな。カレーの残りを食ったあとの鍋と皿の洗い方が結構難しい。学生時代の一人暮らしのときもメシなんてインスタントラーメン以外つくったことがなかった。ほとんど酒がらみの外食で支払いは出世払い。もう支払い終えてると思うんやけど…。TBS『朝ズバッ!』の取材班が訪れて朝青龍のこと(というより相撲文化論)を話したあと20歳代のときの気持ちを忘れず外食を決行。焼き鳥とタン焼きが絶妙の『との山』へ。数日前に朋友の編集者Iが筒美京平全集のCDを借りたいと言うてきたので今日を指定しておいた。朋友のSも加わって楽しい晩飯。3人で「ハナタレ」1本半を空ける。けっこう酔いが回って水分不足と寝苦しい暑さで夜何度も目が覚める。くそっ。
8月14日(火)
暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い。こういうあまりに非文学的表現の面白さを教わったのは筒井康隆大先生の小説やったな。とはいえ暑い。仕事にならんのでDVD棚を漁ったら『その男ゾルバ』を発見。端から端まで知ってる物語なのでざっと見直す。去年のドイツW杯でイタリアが優勝してカンナヴァッロがMVPになった時どこかで聞いた名前やと思たけどコノ映画やった。フランス出身の婆さんが昔の恋人名前を呼ぶ。「嗚呼。カンナヴァッロ!」オモロイ映画やな。主役のアンソニー・クインの伝記的オマケビデオも面白かった。面魂通りに逞しい男や。それにテオドラキスの音楽もすごい。ギリシア音楽は面白い。ハジダキスの『日曜はダメよ』もええな。ベジャールが『エロス&タナトス』の踊りで使たハジダキスの『鳥』もよかったな。けどアンソニー・クインの大名作『25時』は何で誰も話題にせえへんしビデオにもならんのやろ。暑い一日。ヨメハン帰宅。『鮨処もり山』へ。なんでやねん。
8月15日(水)
朝7時のラジオ電話出演のときから暑い。クソ暑い。英語の表現は“FUCKING HOT”で“SHIT”(クソ)ではないと友人がメールしてきた。日米文化の違いは“FUCK”と“SHIT”の使い方の違いにある…という文章でも書くか…。論理がうまいこといかへんやろな。終戦記念日に考えるべき問題ではないなと反省して小林英夫『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』(講談社現代新書)を読む。面白かった。蒋介石は戦中に日本軍と中国軍の長所と短所をきちんと分析してたんや。▼日本側の長所=「小ざかしいことをしない」「研究心を絶やさない」「命令を徹底的に実施する」「連絡を密にした共同作業が得意」「忍耐強い」▼日本側の短所=「国際情勢に疎い」「持久戦で経済破綻を生ずる」「なぜ中国と闘わねばならぬかが理解できていない」▼中国側の長所=「国土が広く人口が巨大である」「国際情勢に強い」「持久戦で戦う条件を持っている」▼中国側の短所=「研究不足」「攻撃精神の欠如」「共同作戦の稚拙」「軍民のつながりの欠如」…要するに日本の長所は「兵士や下士官クラスに発揮しやすいもの」で「士官以上の将校レベルになると、逆に視野の狭さや国際情勢の疎さといった短所が目立って稚拙な作戦を立案しがち」になるのだ。対照的に中国の長所は「指揮官レベルの人間は国際経験も豊かで視野も広いが、下士官は資質が低く、訓練が行き届いてない」この蒋介石の分析は現在にも通じるな。末世とは他にはあらじ三代目ぼんぼん政治を見るにつけても。小池某女史も俺と同い年で一度某パーティで顔合わせたことあるけどアノ程度で防衛大臣とは…。陸軍軍曹やった親父が生きてたらなんて言いよるやろなぁ。盆の終戦記念日にじっと親父の飯盒を見つめる。
8月16日(木)
暑い暑い暑い…というてももうすぐ秋が来る。株価が下がったというてもまた上がる。騒いだらアカンと思いながらベートーヴェンの資料読破。そうかフランスの小料理店を表す『ビストロ』というのはロシア語か。ナポレオン軍のロシア遠征のおみやげか。ベートーヴェンからいろんなことがわかった。原稿は進まへんけど…。
8月16日(木)つづき
NHKスペシャルで京都五山送り火の実況中継をみる。これは毎年やってほしいなぁ。うちの霊は電器屋やからテレビで送られてあの世に帰るのもエエで。夏の終わりに寝る前に戦争映画を見たくなって何にしようか…と思いながら『カンゾー先生』のDVDに手を出す。やっぱり今村昌平は面白い。山下洋輔の音楽も絶妙にマッチ。中味はよく知ってるので飛ばし飛ばし最後の鯨と原爆のシーンへ。最初に見たとき以上にいろいろ意味の考えられる結末やな。セ・リーグはオモロなってきたけどこの日のタイガースの敗戦(審判の判定?)は大きいな。そうか。40.9度の日本新記録か。「暑さのせいで人も気違いになる」たしか漱石の『趣味の遺伝』の書き出しやったはず。調べ直したら「陽気のせいで神も気違いになる」やった。こういう誤解や誤記憶はある意味オモシロイ。こういう微妙な誤解の上に人間のコミュニケーションが成り立ってることが多いから。昨日のNHKの(全部は見いひんかったけど)憲法論争番組もそうやったもんな。
8月17日(金)
暑い暑いなか午後から三枝成彰夫妻が来宅。伊豆で断食合宿を終えたあととかで4.5キロ減量してスッキリ。まぁリバウンドするのんやろけど(失礼)。事務所の方2名も駆けつけ日比野克彦さんも加わって『忠臣蔵外伝』上演に向けての勉強会兼飲み会大パーティ。モーツァルトからタン・ドゥンまで20本以上のオペラを演出の変遷を中心にダイジェストで見まくる。ヴィーラント・ワーグナーやゼッフィレッリからシェローやクプファーやセラーズを経てペリーやクシェイやグートやビエイトまで各時代に「新演出」といわれた舞台を見まくり喋りまくり午前1時半まで食いまくり飲みまくり。三枝氏は我が家のピアノを使ってメロディよりもハーモニーがいかに重要かを講義。我が家のピアノをプロの音楽家が使ったのは世良譲さん以来二人目。幸福なピアノやで。さぁこれでだいぶコミュニケーションがとれたからあとはオランダ公演の成功に向けて…。
8月18日(土)
オペラを見ながら飲むと飲んだ量がわからんようになる。朝起きたら買ったばかりの黒糖焼酎がカラになってた。ちょっと身体が重い。暑さは少々やわらいだので仕事仕事。晩飯映画劇場はDVD棚を漁ったら奧から『危ない話』なんてのが出てくる。いつ買うたのかわからん。子供のかな…と思いながら見る。井筒和幸・黒沢清・高橋伴明の競作オムニバス短編3作品。井筒のが竹中直人の怪演もあっておもしろかったけど…どれも映画学校卒業制作のような…。こういうときは早く寝るに限る。それにしても白い恋人の事件は残念。石屋製菓の石水社長はコンサドーレ札幌を誕生させ育てた第一人者。札幌市長を前に涙まで流して協力を取り付けた人物。潔い辞任は仕方ないかもしれんけど後任の社長もコンサへの協力は続けてほしい。
8月19日(日)
午前中にメールと部屋の整理。さぁ仕事と思たらユニヴァーサルからCDとDVDの試聴盤が届く。仕事をせにゃ…と思いながらもプレイヤーにかけて面白い!と興奮したのはデュダメル指揮SBYOV(シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オヴ・ベネズエラ)のマーラーの5番。青春の憂いとでもいえばいいのか若々しく瑞々しい爽快なマーラー。しかしもっと驚いたのがデュダメルの振った『新世界交響曲』。これは今年4月バチカンでの教皇ベネディクト16世の誕生祝いコンサートでシュトゥットガルト放送響を振ったDVD。エネルギッシュな迫力と豊かな情感にあふれているうえ大胆なテンポの変化もアクセントの付け方も確信に満ちた納得のゆくものでアイデアに満ちた素晴らしい演奏。弱冠26歳のデュダメルの指揮ぶりはミロス・フォアマンの映画『アマデウス』のモーツァルト(トム・ハルス)そっくり。いやはや素晴らしい。ベートーヴェンの5番と7番でCDデビューしたときも驚いたけどこういう指揮者がベネズエラの麻薬と非行少年撲滅音楽プロジェクトから出現するとは…。それに較べて一緒に送られてきた「大家」と呼ばれてる指揮者の演奏のつまらないこと!いかんいかん。仕事をせねば…。
8月19日(日)つづき
晩飯前に新幹線で大阪へ。ところが京都米原間落雷停電で遅れが出てるとか。復旧したと思たら今度は広島徳山間で落雷停電。三河安城で1時間近く停車。結局90分遅れで新大阪着。おかげで高城修三『神武東征』(構想社)読了。この神武実在論が正しいかどうか小生には判断はつかんけど日向の位置や卑弥呼の処理もふくめてリーズナブルに思え津田左右吉・直木孝次郎・井上光貞批判は面白かった。
8月20日(月)
関テレ『痛快!エブリデイ男がしゃべりでどこがわるいねん』生出演。ざこば・サブロー・きん枝・ボタン・南光の各師匠と話すのは相変わらず面白い。この日のもう一人のゲストは石原良純さん。クソ暑い天気を解剖。ラ・ニーニャもエル・ニーニョがもっと激しいなったらラ・ムチャーチャやエル・ムチャーチョになるのんやろか?なんてことを思いながら朝青龍のことについて話してたら臨時ニュース。那覇空港で航空機炎上とやらの現地中継が入って番組は中断。しゃーないな。けどあれだけ燃えたのに全員助かって良かった。
8月20日(月)つづき
テレビに出たあと自分の髪の毛がむさ苦しく伸びてきたことに気づき理容店へ行こうとしたら休み。しゃーないし子供たちが通ってるという店へ。何故か熱烈タイガース・ファンの親子の店でさっぱりしてもらう。晩飯映画劇場は昨日の新幹線延着のため見れへんかった『出口のない海』をビデオ録画で。ラストシーンは最低。安物の青春ドラマ。これほど深刻な人間魚雷というテーマをこの程度で…。つくってる人に思想がないとこうなるのんやろな。最近増えた日本製第二次大戦モノ映画はどんなもんなんやろ?見てみんとあかんな。
8月20日(月)つづき
最近本HPとメールを通じて親しくなった方からドゥダメルとSBYOVが今年のイギリスのプロミスに出演したとの情報。おまけにその演奏をBBCのインターネットで聴けるというのでさっそくアクセス。うわっ。バーンスタインの『ウェストサイド組曲』をやっとる。「マンボ!」の声も張りあげて面白い。「クール」も迫力満点。「サムホエア」も美しい。昨日のイギリスでの演奏会が聴けるインターネットって凄いな。http://www.bbc.co.uk/proms/2007/promsbroadcast/radio/
8月21日(火)
クソ暑い暑い暑い暑いなか渋谷へ。某人物の紹介で某映画プロデューサーと面談。日米関係を軸にした野球映画の構想について話し合う。ナカナカ面白そうな話。しかし最近は3年がかり4年がかりという仕事の話が多くて…。ちょっとキャッシュフローが心配になるで(笑)。そのあと松濤の某料理屋さんへ。第2回目の「正之の会」。「正之」と名の付いた人物6名が集合。高校の先輩もいて小生がいちばん若輩者。いろいろ話して勉強させていただく。フォアグラの酒蒸しがめちゃくちゃ美味かった。
8月21日(火)つづき
帰りの東海道線で久しぶりに『日刊ゲンダイ』を買って読むと高校野球大分県代表の楊志館高校の校歌が勝手に変えられていたという記事が目にはいる。もともとは『ハチのムサシは死んだのさ』などで有名な作曲家の平田隆夫氏が作曲した女性ヴォーカルのポップス調の校歌。その音源を高野連に送ったところが「これではちょっと」といわれて甲子園では吹奏楽がバックの男性の歌に変えられたとか。「逆らわないバッティング」が賞賛されるのと同様に高野連には(朝日新聞とNHKにも)「理想の高校野球像」があるようなのだ。そういうものがあるのはケッコウやけどそういうことを決めてる人が表に出てこんのはナットクがいかん。浅井慎平作詞山下洋輔作曲の高校の校歌があると慎平さんから聞いたけど高野連公認かな…?
8月22日(水)
高校野球には「試合をつくる審判」が少なからず存在する。勝ってるチームに辛く負けてるチームに甘くという審判。それを高校野球の「善」だと(無意識に?)思っているのかと思えるほど何度もそういうケースに遭遇した。それは小生の高校時代に同級生がやっていた試合を見ても感じた。その後甲子園に何度も足を運んで取材したりテレビ観戦をしたときも毎年のように感じた。その後高校野球はあまり見なくなり…あまりの暑さに仕事にならず久しぶりに決勝戦を見る。あの2球がストライクと判定されてたら佐賀北の「奇蹟」はなかったやろけど…。まぁ所詮は高校生の課外活動やからどうでもエエことやけど監督も審判も高校生がするようにすれば?大人は子供を助ける存在のはずで大人が高校生をダシにして楽しんだらあかんで。
8月22日(水)つづき
夜はサッカー2試合。本気でないカメルーンに勝ってよかった。大久保は面白い。U22の五輪予選はお粗末の一言。あの程度のチームにこの程度の試合しかできないとは…。「情熱と誇り」もエエけどそんなもん当たり前のことでしっかりやらんとアカンのは「戦術と技術」でっせ。
8月23日(木)
昨日の高校野球決勝で負けたチームの監督が球審の判定を批判したらしい。けど「子供たちは命がけでがんばってるのだからしっかり判定を…」という言葉はおかしい。高校生の課外活動は「命がけ」でやるものではありません。それにしても暑いなぁ。夏やししゃーないなぁ。晩飯ビデオ劇場はピアソラのドキュメンタリー。タンゴとクラシックの融合。オペラ『ブエノスアイレスのマリア』をまた聴きとうなった。
8月24日(金)
朝J-WAVEに臨時電話出演。世陸の見所について話す。相変わらずのクソ暑さ。「クソ暑い」は英語では“Shit”ではなく“Fucking Hot"…という友人の某指揮者からのメールを本欄で紹介したらそれを読んでくださった某ピアニストさんから別のメール。「shit は演奏を間違えたときにとっさに出る言葉です。(略)shitは自分で関わる状況。fuckは自分では変えられない客観状況でしょうか」なるほど。この「Shit-Fuck論」は素晴らしい。キューブリックの映画『フルメタル・ジャケット』で訓練中の若い海兵隊員がさかんに“Yes!Fuckng,Sir!"と言うてたんは「自分では変えられない客観状況」やからやったんや。明日のオペラ講座で使うDVDを最近オペラとクラシック音楽に目覚めたバーテンダー君に貸していたことを思い出したのでそれを返してもらうために「213」へ。そこで久しぶりに常連客の社会人オケのクラリネットさんと遭遇。生ビール2杯で少し話してから名古屋へ。
8月25日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。MCの峰竜太さんは夏休み。なんで俺は夏休みをとれへんのやろ?それはさておき名古屋の人がドラゴンズの首位争いに一喜一憂してるのはなんで?関西の人はタイガースの3位以内ほぼ確定で満足してるのに…。この日の名古屋は「日本のど真ん中祭り」。通称「ど祭り」。ヨサコイソーラン以来全国に広がった「暴走族ファッション文化」もここまで来たか…。クソ暑さを避けてホテルに帰って仕事に集中。仕事以外にすることないで。トホホ…と思ったら世界陸上があった。朝原一次予選突破。そのあと栄中日文化センターでオペラ講座。今日のテーマはアレーネ・ディ・ヴェローナ。野外大劇場でのド演歌的イタリアオペラの面白さに酔う。よく聴くと演奏は無茶苦茶。けどイタオペはそれでええねん。暑さ負けの疲れが出たのか新幹線のなかでは本も読めずにぐっすり。目が覚めると気分爽快なので「213」で生ビール。今年の夏はよう飲むなぁ。ビールの売上げと日本経済に貢献してるなぁ。
8月26日(日)
暑い暑い暑い暑い。仕事仕事仕事仕事仕事。ははははは。5対4で暑いに仕事が勝ったわい。ナンノコッチャ。夜はテレビで朝原を応援。しかし…。まぁしゃーない。一次予選のときの走りができてたら…。為末もしゃーない。陸上競技は難しい。それにしても最近の陸上選手の国籍移動は激しいなぁ。いやサッカーもおんなじやな。スポーツは国境を越えるとはこういうことかもしれん…?夜になって長男が顔を出す。飯を食ったらすぐにソファでぐっすり。最近は大学より仕事らしい。まぁ勝手にせい。
8月27日(月)
どこまで続く泥濘ぞ…。泥船内閣のことでなく仕事のこと。しかし泥船に乗って喜ぶ人も多いのんやなぁ。大臣ってそんなに嬉しいものなんかいなぁ。泥濘でもがきながらもやってる仕事はやっぱり楽しいからやけどそれとはちょっと違うみたいやな。夜所用があって『鮨処もり山』へ。次女とBFが合流。そうか。職場を変わるのか。好きなことしたいんか。まぁみんな勝手にせい。俺も勝手にしてるんやから。
8月28日(火)
原稿と格闘する合間に一日中次から次へと電話。世陸のこと。朝青龍のこと。いまさら日本人選手が不甲斐ないというてもシャーナイのに。土建屋と政治家と結びついてスタジアムばっかり造ってきた陸連に何ができるというのか。友人の相撲関係者によると朝青龍の病気は本物らしい。おだてられがんばりバッシングされてもがんばってきた朝青龍は巡業に出るつもりで日本に戻ったのに「来なくていい」といわれたのがショックやったらしい。なるほどね。理解できる気もする。俺は仕事で精一杯やというのに次女とBFの若い二人は休日とやらで昼間から映画三昧。『マーズアタック』だの『ビッグフィッシュ』だのティム・バートンのDVDを引っ張り出して昼間から映画三昧。そうやな。俺かって若いときは暇がいっぱいあったもんな。ちらりと見直した『ビッグフィッシュ』が新鮮。そうか。この映画はむかし早稲田小劇場で見た白石加代子主演鈴木忠志の『劇的なるものをめぐって』とおんなじつくなんやと納得。夜はBFが特製のスパゲッティと鶏料理をつくってくれる。旨い。
8月28日(火)つづき
夜NHKラジオ「NHKジャーナル」に臨時電話出演。朝青龍問題について。「朝青龍問題」という単純な問題(巡業に出て土俵入りくらいはするつもりだったのに「来なくていい」といわれてふて腐れたことと家庭の問題で悩んでいること)よりもその単純な問題を複雑化させてしまった相撲協会の改革のほうが重要ということを話す。ふつうスポーツ団体はすべて制服組(スポーツ経験者)と背広組(スポーツを外から見てきた人)によって運営されるが、相撲協会は制服組(まわし組)のみ。それは強い縦関係の組織で横綱といえども先輩からは「オイ・コラ・オマエ」呼ばわりされる。プロ野球OBにもそういう人がいるがそれだけではアカンで。
8月29日(水)
暑さは少しやわらぐ。けれど仕事ははかどらず。ということは暑さと仕事は無関係ちゅうこっちゃな。世界陸上は日本人選手が不振。とはいえ現場の選手やコーチの責任というよりスタジアム建設時だけ政治力を発揮するような陸連の問題やで。
8月30日(木)
昼はぎんぎんに仕事。とはいえ快著『モスラの精神史』を本欄で取りあげたことをきっかけにメール交換の始まった小野俊太郎さんが送ってきてくれた『日経小説でよむ戦後日本』を読み出したら止まらへん。アカンアカン仕事せにゃと思いつつ夜は世陸。MLBのコミッショナーはセリグ。ナンノコッチャ。しかし陸上競技は面白い。
8月31日(金)
仕事しごとシゴトShigoto…。漢字で書こうが平仮名にしようが片仮名にしようがローマ字にしようがシンドサは同じ。まぁ好きでやってるこっちゃしシャーナイな。そういえばテレビ関係者から番組の題名のナンバーワンは『世界まるごとHOWマッチ』やという話を聞いたことがある。なるほど。七五調であるうえ漢字平仮名ローマ字片仮名がすべて使われて耳にも目にもリズム感がイイ。しかも『HOWマッチ』『まるごと』と略されてもでも通じるところがすごい。夜は世陸。日本リレーはガンバッタ。けど本番は明日。400mも槍投げも110ハードルもオモロイ。選手の背景なんか知らなくても人間がもろに見える。映画もオペラも最近見てへんしアカンなぁと思たらNHK教育で『仮名手本忠臣蔵』三段目(松の廊下)と四段目(判官切腹)。すごく勉強になるな。という以上にオモシロイな。
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