5月1日(火)
今日も一日大掃除。くそっ。夕方になってTBS『朝ズバッ!』の取材班がVTR取材に訪れる。テーマはもちろん高校野球特待生問題。「そもそも学校はスポーツをやる場所ではない」「プロもどきの高校野球でなく何十年計画かでクラブ・スポーツに移行すべし」と話す。3日のパーティのために京都から送られてきた筍を大量に湯がいていてガスレンジが満杯。晩飯が作れへんとかでシャーナイいから『213』へ。3日のパーティ用のレーズンバターとレバーペーストももらう。世の中はGW。俺は休みよりも仕事してるほうが好きやな。学校行ってたときも休みよりも学校でクラブ活動するほうが好きやったしな。休みってみんなは何をするんやろ?旅行?仕事でしか行ったことがない。新婚旅行も沖縄のボクシング取材やった。仕事のほうが面白いところへ行けるな…。
5月2日(水)
文化放送とRKB毎日に電話出演する傍ら『朝ズバッ!』をチェック。「そもそも学校はスポーツをやる場所ではない」のコメントはカット。やっぱり…。ラジオでは喋っているし原稿にも書いてるけどテレビはこんなモン?
5月2日(水)つづき
今日も大掃除…と思てたらフジテレビ『スーパー・ニュース』のVTR取材。テーマはやはり高校野球特待生問題。昨日TBSに喋ったのと同じことを話す。トイレ掃除を終えて5時すぎテレビを見るとTBSよりさらにひどい切り方。20分以上も取材を受けて一所懸命話してカメラマンにも音声さんにも「感激しました」といわれた話の内容が使われたのは「誰でも知っていることを何をいまさら…」という一言のみ。うわっはっはっは。もはや嗤うほかない。そうか。高校スポーツという「優良コンテンツ」で金儲けをしたいテレビ局は俺の話を使えへんのやな。それに俺の話し方も悪かったんや。テレビのニュースというのは目先の出来事を騒がんと(面白がらんと)あかんのや。せやのに俺の話は本質論やもんな。20年かかってでもクラブスポーツへの移行を…なんて話はお呼びでないのやろ。もう勝手にせい。それにしても「他のスポーツで認められてる特待生が野球だけはなぜ認められない…」といった「高校野球プロ化後押し論」が聞こえ始めてるのは如何なものか。それはプロのクラブのする仕事であって高校という教育機関のすることやないで。皆さん。5月4日付毎日新聞朝刊をお読みください。テレビでカットされたことを書きましたから。大掃除だけでもしんどいのに疲れる一日やで。
5月2日(水)つづき
高校野球特待生問題がどんなふうに報じられてるか知りたくてニュースを次々と見る。なるほど。テレビで使われるコメントというのは次のようなものなのだ。
- 「学生野球憲章がはたして時代に合ってるかどうか原点に返って考え直してほしい」といった具合にワケのわからん内容をさもワケがわかったような惹句でくるむ。
- 「高校野球に力を入れる高校が減ることが心配だ」といった具合に教育機関でスポーツを行う矛盾に目をつむって(気づかずに?)高校野球を無条件に肯定する。
- 「高野連の責任は逃れられませんよね」といった具合に誰もが疑問に思っていることの表面だけをなぞる。
あぁアホクサ。こういうコメントを『コメント力』という本を出してる有田さんはどないに思わはるんやろ?
5月3日(木)
TBS『ピンポン』のスタッフから電話。『朝ズバッ!』の取材VTRで喋ったスポーツは学校でするものではなく地域のクラブで行われるべしという「ユニークな意見」を紹介したいという。捨てる神あれば拾う神あり?他のテレビ局からも電話。野球特待生をとっていた高校の報告のなかにPL学園がふくまれてないことをどう思うか?との質問。PLは学校ではなく宗教団体として奨学金を支給していたので学生野球憲章には抵触しないという。アホクサ。「高校でスポーツはやるべきではない。地域のクラブで…」との持論を話してその言葉を使ってくれるなら取材は受けるがカットされるなら受けないと返事。再度出演以来の電話はナシ。
5月3日(木)つづき
午後から玉木塾の卒塾式兼破門式。前年の塾生1名を含めて10名が我が家に集結。特別ゲストはロバート・ホワイティングさんほか経営学の大家1名と現役敏腕ジャーナリスト1名。合計13名プラス小生と料理人のヨメハンと娘2人で6時間かけてシャンパン7本・缶ビール約50缶・大瓶5本・赤ワイン4本・焼酎数本を飲み干す。いやぁ楽しい一時やった。今年は関西人が多かったせいかガンガン話が盛りあがる。さぁこれで小生のスポーツジャーナリスト塾は一旦休止。今後はT大学とR大学での講義を通じてスポーツ・ジャーナリズムの講義について考え直します。私塾は折を見て何年後かに復活する予定。
5月4日(金)
延々とパーティの後片付け。まぁ俺よりも嫁はんのほうが大変やったみたいやけど。その間にもテレビ局から3本電話。テーマはもちろん高校野球特待生問題。取材はお断りして考え方のみを電話で述べる。明治時代に野球が大人気になったこと。スポーツをやる場が学校しかなかったこと。(東京)朝日新聞が「野球害毒論」を展開して野球の大流行に警鐘を鳴らしたこと。その朝日新聞(大阪)が掌を返して中等学校野球大会を始めたこと。その結果中等学校野球(高校野球)は極度に「教育的」になったこと。にもかかわらず昭和に入って金銭によるスカウト活動が横行して文部省が野球統制令を出したこと。軍国主義化とともに帝国陸軍が閲兵式形式の開会式を強要したこと。それがなぜか今日まで続いていること…。まぁ喋るのはかまへんけど電話してくるなら俺の本くらい読んでからにしてほしいで。
5月4日(金)つづき
晩飯映画劇場は『父親たちの星条旗』。なるほど悪くない映画や。かつてのアメリカの国民的国家的ヒーローたちの「真実」を描くアメリカはあなどれません。戦後の日本人としては「長嶋茂雄の真実」を書かなあかんのやろなぁ…。
5月5日(土)
鎌倉文学館へ澁澤龍彦特別展を見に行く。生原稿が面白かった。江ノ電がメチャメチャ混雑。まるでディズニーランドの人気アトラクションくらいの行列が鎌倉駅の外まで続いてる。信じられへん。大船へ戻ってT大学関係者と新しい文化スポーツ学部創設についての打ち合わせ。そのあと元西武ライオンズの坂井保之さんと『鮨処もり山』へ。生臭い情報の交換会(笑)。坂井さんはほんまに野球を愛してる人やで。そこへ澁澤龍子さんも登場。わいわいがやがやで楽しい一時。坂井さんの歩んできた道は本に残さんとあかんな。やるべき仕事がまだまだ仰山あるな。
5月6日(日)
さぁ今日から仕事再開。とは思ったものの原稿書けずにアイドリングだけで一日が過ぎる。やっぱり休むと調子がもどらんなぁ。晩飯洋画劇場はジョン・ウェイン主演『硫黄島の砂』。まぁどうでもええアメリカ海兵隊PR映画やけど実写を使った部分の迫力にはまいった。兵隊の顔と立ち姿がやっぱり違う。それにしても昨日坂井さんといろんな話をしたなかで『父親たちの星条旗』についても話題に上ったことを思い出す。坂井さん曰く。「アメリカはPRが本当に巧い」。『硫黄島の砂』も『父親たちの星条旗』も『硫黄島からの手紙』もなるほどアメリカのPRとしては最高の効果を発揮してる。
5月6日(日)つづき
そうか。PL学園は宗教法人が野球選手に奨学金を出し明徳義塾は野球選手を学業優秀特待生にしてたのか。裏道はいくらでもあるな。せやからというて野球特待生を認めろ(学生野球憲章を「時代に合うもの」に変えろ)というのは明らかに暴論。学校はスポーツ(野球)をする場やないのんやから。それより地域のスポーツクラブや独立リーグを育てなければ。高校野球(高校生の課外活動)なんて早く人気をなくさなければロクなことはない。ユニバーシアードの人気が落ちたからというて誰も困らんのやから。朝日とNHKの責任は大きいなぁ。高校サッカーも高校ラグビーも春高バレーも同じことや。メディアの責任は重いで。
5月7日(月)
《ざ・こもんず》に5月4日付毎日新聞に寄稿した「高校野球特待生問題」に関する原稿をアップしました。興味のある方はお読みください。http://www.the-commons.jp/
5月8日(火)
原稿2本仕上げてから3日の卒塾式でレバーペーストやレーズンバターを提供してくださった御礼を兼ねて「213」さんへ。その前に本屋で池谷裕二『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)濱田穣『なぜヒトの脳は大きくなったのか』(同)保阪正康『昭和史入門』(文春新書)中野美代子『乾隆帝その政治の図像学』(同)購入。そういえば最近読んだ本を書いてない。魚住昭『官僚とメディア』(角川新書)はメディアで仕事をしている人間の必読本。魚住さんの歯ぎしりを我々のクスリにもエネルギーにもしなければ。高校野球ひとつマトモに論じられなくて何がメディアじゃ。いやせめてスポーツくらいマトモに報じてよといいたくなるくらい権力とメディアの関係は…。原信田実『謎解き広重「江戸百」』(集英社新書)はメチャメチャ面白い。広重の絵も素晴らしいが江戸の生活が目の前に甦る。
5月9日(水)
文化放送とRKB毎日放送電話出演のあと原稿1本仕上げて晩飯洋画劇場は『マルコムX』。公開時から是非とも見たかったのに見逃していた1本。3時間の大作。2時間くらいの映画に編集できなくもないと思うがスパイク・リー監督のマルコムXに対する思いはそれでは伝わらんのやろな。その思いはわかるけど宗教のからむ問題は難しい。しかしここに描かれた人物や世界もそれらを描いた映画もすべてアメリカならでは…とも思える。アメリカはあらゆる意味で侮れません。しかし3時間を見せきるスパイク・リーの技量は凄い。
5月10日(木)
ある雑誌をパラパラとめくっていてカート・ヴォネガットが1か月くらい前に亡くなっていたことを知る。メタクソ面白い大好きな作家やったのに…。合掌。近頃は世情に疎くなった。世情を追いかけててもヴォネガットとは無縁やったかもしれん。けど松坂vs大家の投げ合いは忘れてた。仕事の中味が変化してきた証拠かな。晩飯映画劇場は『偉大な生涯の物語』。中学生の時にカトリックの学校に通ってた関係で強制的に見せられて感激した映画。映像は凄いし監督のジョージ・スティーヴンスは流石やと思うけどアメリカ・グランドキャニオン版白人中心主義イエス・キリスト物語は『マルコムX』を見た翌日にはHeavyで前半だけで後半は持ち越し。それにしてもチャールトン・ヘストンというのはメイキングのインタヴューを聞いてもほんまに阿呆やな。
5月11日(金)
渋谷で広瀬一郎さん主宰のSMSが中心になって編集してる『スポーツのハローワーク』の取材を受ける。これから若い人がフリーのスポーツライターとして食っていくのは相当難しなるやろな。過当競争の時代やからメディアと深い関係を持つかスポーツマンと深い関係を持つか…ということはスポーツジャーナリストは育たんということかも。青山のライヴハウスでガキのグループがライヴをしてるというのでちょいと聴きに寄る。もうプロの技量は持っとるし面白いサウンドやとも思うけどウケルかどうか…。メッセージの出しにくい時代やしな。まぁいつの時代もそんなもんかな。せっかく青山まで出たので久しぶりに『ポンテヴェッキオ』に寄ってウニのキッシュやらニョッキのスープやらイカスミのスパゲッティを食べる。美味。ワインも旨い。
5月12日(土)
近所の私立中高校で学園祭。佐吉の散歩のついでにプログラムをもらうと吹奏楽の演奏会があるというので夕方足を運ぶ。レベルは低いけど楽しい演奏。全国大会目指して体育会系のような特訓を繰り返してる演奏よりはよっぽどマシ。一所懸命の『ラプソディ・イン・ブルー』がよかった。おまけに指揮者がすべて生徒。先生が指揮せんところがエエ。生徒に指揮させる先生がエエ。高校野球も監督は生徒にやらせるべきやで。高校生をダシにして大人がしゃしゃり出たらアカン。20年くらい前にその意見を某高校野球監督に話してみたところが「そうなったらレベルが落ちて人気が落ちますよ」と言われた。高校生の課外活動なんやからそれでエエはずやないけえ。晩飯映画劇場は『偉大な生涯の物語』後半。原題は"The Greatest Story ever told"。なるほど"history"やなくて"story"なんやね。
5月13日(日)
これを書いてるのは火曜日。この日もなんやらかんやら雑用をこなしたと思うけど何をしたのか思い出せへん。ぼけたかな。とにかく夜は新幹線で大阪へ向けて発ち大阪泊。
5月14日(月)
関西テレビ『痛快!エブリデイ 男がしゃべりでどこが悪いねん』久しぶりに生出演。もう一人ののゲストは梅沢富美男さん。控え室での簡単な打ち合わせのときに披露された「テレビでは喋れない」泥棒捕り物騒動の裏話がメチャクチャ面白くて全員大笑い。それを本番でも「これはテレビでは喋れないことですけどね」と言いながら披露。これが関西(地方)のテレビのオモロイところ。「タテマエ」の東京の対して「ホンネ」の大阪(関西)が生きる道なんやろな。
5月14日(月)つづき
東京へ戻って銀座山野楽器店で晩飯映画劇場用のDVD購入。大きな店でもオレが見たいと思てる映画は少ないなぁ。やっぱりAmazonかな。けどAmazon開けたら買いすぎてしまうし…。銀座のあと紀尾井町で講談社の編集者と待ち合わせて某音楽事務所へ。五嶋節さんの著書『「天才」の育て方』の見本ができあがったので届ける。帯にデカデカと「アホンダラ神童くそったれ天才」の文字。これはオモロイ本になったで。けど節さんは御自身のHPで自らこのコピーを書いたことを反省したはる。「あんなこと書くんじゃなかった。(略)我が愛する子供たちにしたら良かった。(略)我が子が「あほ」と「くそったれ」だったら私は「くそばばぁ」…」節さんらしい「反省」やなあ。けど「ホンネ」が出てて良うおまっせ。編集者と一緒に大船へ戻って本が完成したことを「213」で乾杯。http://gotosetsu.asablo.jp/blog/cat/1setsu/
5月15日(火)
『興亡の世界史16 大英帝国という経験』(講談社)読了。某雑誌に書評を書く。このシリーズはホンマに面白い!面白くてためになる。本はそうあらねば。それで必要十分なんやから。晩飯映画劇場は『緋牡丹博徒』。お龍さん第1作。大昔に見たけど今見てもなかなか面白かった。そういえば澁澤龍子さんの愛犬の名前は「ボタン」。「緋牡丹お龍」からとったらしいけど肥満しすぎやで。他人(他犬)のこといえへんけど。
5月16日(水)
今頃になって日曜日に「感激」したことを思い出した。それは大阪のホテルで見たNHK教育テレビの芸術劇場。ロストロポーヴィチの解説と演奏によるR・シュトラウスの『ドン・キホーテ』。この曲がこんなに面白い曲やとは気づかへんかった。小澤征爾指揮のサイトウ“ハバツ”オーケストラいやサイトウ・キネン・オケも熱演。
5月16日(水)つづき
晩飯映画劇場は『日本誕生』。小学生のときに親父に連れられて見た初めての映画(2本目は電器屋の番頭さんに連れて行ってもらったトニー・ザイラーの『白銀は招くよ』)。三船敏郎のヤマトタケル兼スサノヲを初め東宝オールスターキャスト。アマテラスはなんと原節子やった。けどガキが憶えてたのは朝汐太郎が手力男をやったことと円谷特撮に興奮したことくらい。しかし見直して驚いたのはなんと戦後民主主義的な古事記の世界かということ。安倍某も見るべし。明らかに時代は後退してるな。そうか監督は稲垣浩やったんか。そういやウッディ・アレンの『マンハッタン』でマンハッタンの映画館にかかってた看板は『Hiroshi Inagaki CHUSHINGURA』やったな。
5月17日(木)
大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演。『世界指揮者列伝』と『天才の育て方』の本の紹介をしてくれる。ありがたいこっちゃ。売れたら嬉しいな。エエ本なんやから。往復の新幹線で中野美代子『乾隆帝』(文春新書)読了。この著者の中国モノはいつもメチャクチャ面白いけどその細かい図象分析にはいつも脱帽。
5月18日(金)
何本か校正をして六本木の三枝成彰氏の事務所へ。『忠臣蔵外伝』打ち合わせ。大舞台監督の小栗哲家さんが前回の打ち合わせで使いたいと言った福島県の「小沢の桜」を配した舞台模型を持参してくださる。スケジュールもフィックスされ(2009年3月13〜15日)オケ(東京交響楽団)も決まりまだ先とはいえ身が引き締まる(少々ビビル・笑)。夜名古屋へ。ホテルの有料テレビでオリバー・ストーン監督の『ワールド・トレード・センター』を見る。9・11をプライベートな出来事に特化した映画。悪くない。さすがはオリバー・ストーン。そういえば『JFK』も『ニクソン』も個人の物語やな。それだけに普遍性を得るのやろけど。
5月19日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。もう一人のゲストは漫画家のやくみつるさん。やくさんは創刊以来続けていたベイスターズのファンマガジンへの寄稿を止めたとか。何かトラブッて怒り心頭に発したらしいけどベイスターズは素晴らしいファンいや最高の支援者を失ったことに気づいてるのかいな。ドラゴンズのコーナーのゲストは鈴木孝政さん。孝政さんはこれまでに野球を観客として楽しんで見たことがないとか。「一度でイイからビールを飲みながら見てみたい」というのはホンマに可哀想やなぁ。
5月19日(土)つづき
名古屋から急いで帰宅したあと水道橋の後楽園飯店へ。野球文化學會総会に出席。書評を書いたばかりの『スポーツと国力』の著者である大坪正則先生とビルの入り口でばったり。と思ったら受付で西武ライオンズの調査委員会委員長を務めた池井優先生とばったり。ほかに野球ジャーナリズム界の重鎮である田村大五さんや高田実彦さんとも。さらに脇村春夫高野連会長まで。「今日は生臭い話は抜きで。今後ともお手柔らかに」と言われたので少々遠慮したけど「昔は高校で野球をやるのも仕方なかったですが今はもはや学校でスポーツをやる時代ではないですよね」とだけは言わせていただく。大先輩方といろんな話ができて素晴らしい会。幹事で世話役の上田龍さん御苦労様でした。大先輩方に囲まれてあまり飲み食いできなかったので「213」で飲み直し食い直し。
5月20日(日)
メチャクチャ素敵なCDを発見!『スティングmeetsグレイテスト・スターズ』。中味はスティーヴ・ナイーヴが作曲したオペラをテーマにしたオペラのような物語音楽『ウェルカム・トゥ・ザ・ヴォイス』。スティングの他にエルヴィス・コステロやロバート・ワイヤット。それにバーバラ・ボニーなど。ブリティッシュ・ロック界やオペラ界のスターが参集。そういえばコステロは以前アンネ・ゾフィ・フォン・オッターとも素敵なアルバムを出してた(『フォー・ザ・スターズ』)。ということはコステロはカルロス・クライバーが指揮した『ばらの騎士』のオクタヴィアンとゾフィの二人と協演してることになる。次はフェリシティ・ロットと?まさか…。しかし最近のスティングの挑戦は面白い。夜長男が晩飯を食いにやってくる。晩飯映画劇場は中止。代わりに長男が加わってる二つのバンドのCDを聴きながら。クラブ系かなんかようわからんけどオモロイしプロの技量もあるのんやろ。あとは売れるかどうかやな。
5月21日(月)
朝佐吉の散歩の前にフジテレビの『とくダネ!』を見てたら15歳で男子ゴルフツアーに優勝した高校生のことを「彼も特待生です」と紹介してた。何を言いたいのかようワカランかったけど高校生ゴルフは高校野球の甲子園大会みたいな「興行」はやってないから高校野球と一緒に語ってはいけません。昼過ぎ講談社の担当者から『天才の育て方』重版決定の電話。まぁ当然やろうな。
5月21日(月)つづき
世の中メタボリックメタボリックと騒ぎ始めたときからその言葉を口にする人に対して「そもそもメタボリックってどういう意味?」と訊き続けてきたけど誰も答えられへん。腹の周りが何センチ以上をメタボリックというなんてウソを言う人までいる。そのことを突然思い出したので英和辞典を引く。出てた言葉は「変態する…」。要するに昆虫の成長のように変態することらしい。肥満や内臓脂肪や高脂血症等々から生じる症状に対してケッタイナ命名やなぁ。けどメタボリックになるとカフカの『変身』みたいになるのんか?と考えると凄い!"Die Verwandlung"は英語は"Metamorphosis"やけど"Metabolism"もなかなかオモロイ。明日朝起きたらオレはゴキブリか?それともハリウッド版カフカの蝿男か?そんななってたらオモロイなぁ…。メタボリック万歳!ところで任天堂DSのDSってどういう意味?言葉の意味を知らんと口にしたらアカンで。
5月21日(月)つづき
晩飯映画劇場は何故か『暗闇でドッキリ』。タイトルの漫画は古くなってないのにピーター・セラーズのギャグのリズムには古さを感じる。
5月22日(火)
雑用だらけの一日。秘書がおらんもんなぁ…別におってほしいとも思わんけど(笑)。晩飯映画劇場はリチャード・アッテンボローの『ガンジー』。『興亡の世界史 大英帝国という経験』を読んだからというわけではないけど堂々たる映画というのは素晴らしいものです。こういう映画がアカデミー賞をとってもアメリカ人の考え方は変わらないものなんですな。チャールトン・ヘストンの感想を聞いてみたい。
5月23日(水)
早朝文化放送とRKB毎日放送で新刊『天才の育て方』と『指揮者列伝』の話をさせていただいたあと新幹線で大阪NHKへ。『その時歴史は動いた』のVTR収録。テーマは日本サッカー「メキシコ五輪奇蹟の銅メダル」。VTRが面白くて東京五輪アルゼンチン戦での川淵キャプテンの同点ゴールを初めて映像で見る。メキシコ五輪は高1のときにテレビを見て興奮したのを憶えてるが久しぶりにキーパー横山がメキシコのPKを止めるシーンを見て再興奮。放送は6月6日の予定です。帰宅して晩飯映画劇場は『死刑台のエレベーター』。マイルスの音楽がエエなあ。ジャンヌ・モローの顔もエエなあ。高校生の時に見て以来のストーリーも大人になるといろいろわかって面白い。しかし最後の不倫写真は誰が撮ったんやろ?
5月24日(木)
原稿1本仕上げたあと「鮨処もり山」で澁澤龍子さんと来週のトークショウの打合せ。鎌倉文学館を運営してる文化芸術振興財団の人も加わって話は大いに盛りあがる。鎌倉文学館は史上最高の入場者を記録しているらしいけどそれが職員のボーナスにつながるわけでナシ。年金の確かな地方公務員に縛られることなく独立したアート・ビジネス・マネジメントをなんとかせんとあかんで。
5月24日(木)つづき
帰宅したら編集者からメール。拙著『スポーツとは何か』(講談社現代新書)の12刷目の増刷が決まったとか。嬉しいこっちゃけど『スポーツ解体新書』(朝日文庫)も売れてほしいなぁ。自分で言うのもちょっとアレですがどっちゃもエエ本なんやから。
5月25日(金)
一日中原稿と格闘。晩飯映画劇場は竹中直人『無能の人』。いい映画でした。公開された十数年前に見なくてよかった。見てたら俺も石屋をやり始めてたかもしれん。風吹ジュンが石のセリで「5マ〜ン!」と叫ぶシーンが最高。
5月26日(土)
午前中お茶の水へ。新刊『指揮者列伝』のなかでもオモシロイ「音楽絵」をいっぱい描いてもらった漫画家の小沢一雄さんの展覧会へ。テーマは猫と音楽家。メチャメチャ楽しく素晴らしい絵ばかり。女房にベートーヴェンとワーグナーを買うよう指示して東京駅から名古屋へ(ほんまはラフマニノフもドビュッシーも欲しかったなぁ)。中日文化センターでオペラ講座。テーマはバイロイト音楽祭。ヴィーラント・ワーグナーやパトリス・シェローの果たした革命的演出について喋る。クプファーも凄いけどやっぱり両者には勝てまへん。いやクプファーの『さまよえるオランダ人』だけは別格やけど。名古屋から戻って久しぶりに大船の『との山』で美味しい焼き鳥を頬張る。焼酎の「はなたれ」も最高!『213』へ寄ってフェルネ・ブランカで胃を調整。家に帰って小沢一雄さんの展覧会で買った絵を見て仰天。なんと額縁の裏に即興で小沢さんが絵を描いてくれててベートーヴェンの絵の裏にはベートーヴェン(ベース)バッハ(ドラムス)ヴェルディ(ピアノ)がジャズトリオで演奏してる。そしてワーグナーの絵の裏には小生が指揮をする姿!その横にチラリ〜ンと冷や汗を垂らしてるワーグナー!小沢さんオオキニ!家宝です。
5月27日(日)
昨晩さんざん飲んで帰ってさらに調子に乗ってテレビでアジアチャンピオンズリーグのレッズとフロンターレのドキュメンタリー見ながらワイン1本空けて寝たのは午前4時。起きたのは午前10時。な〜んもやる気が出んので読書三昧。今谷明『近江から日本を見直す』(講談社現代新書)は面白かった。継体天皇から大津事件まで。なるほど近江は日本の中心。東西の要。京都人は滋賀県をバカにしてるけどそれはアカンと気づかされた。池谷裕二『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)も面白かった。なるほど脳ちゅうもんは凄いモンや。一週間の郵便物を整理したら永竹由幸大先生から(この大先生というのはギャグではなく本心です)新刊『ロココのスカートをめくった男モーツァルト』(扶桑社)が届いてた。夜になって読み出したらあまりの面白さに止まらへん。おかげで二日連続夜更かし。そうか。イタリア人は免罪符なんか買わんかったんや。振り込め詐欺もイタリアには存在せえへんのや。やっぱり日本はドイツのほうに似てるんやな。
5月28日(月)
今秋公開されるスイス映画『ViTUS』(ヴィトゥスという名の大天才少年の物語。邦題『僕のピアノコンチェルト』)の原稿を書くため事前に送ってもらったビデオを見る。面白い音楽映画。素晴らしいお伽噺。エエ映画や。主演のピアニストの少年テオ・ゲオルギューの演奏と演技はまるでグレン・グールドの子供時代かと錯覚。爺さん役のブルーノ・ガンツ(『ヒトラー最後の12日間』のヒトラー)も好演。どこかチェン・カイコー監督の中国映画『北京ヴァイオリン』にも通じるところがある。節さんやみどりちゃんや龍君が見たらどう思うやろ?
5月28日(月)つづき
短いコラム1本書いたあと晩飯映画劇場は『ノッティングヒルの恋人』。娘たちが絶賛してたこの映画を見る気になったのはもちろん『大英帝国という経験』を読んだから。映画は単純に面白かったしジュリア・ロバーツは可愛かったけど西インド諸島出身の移民者は一人も登場せず。「ノッティングヒル暴動」にも「ノッティングヒル・カーニヴァル」にも触れず。そうか。新しいノッティングヒルは大英帝国の過去とは縁を切ってハリウッドとともに歩むというワケか…というのは深読みのしすぎでしょうが…。一日映画2本立ては疲れる。
5月29日(火)
午後から鎌倉市生涯学習センターへ。鎌倉文学館主催のトークショウで司会役。澁澤龍子さんに澁澤龍彦氏の「カマクラの日々」を語っていただく。龍子さんの話は司会役を忘れるくらい面白い話題の連続。そうか。澁澤龍彦氏のプロポーズの言葉は「僕が世界中どこへでも連れて行ってあげる」やったのか。ちょっと言えん言葉やな。『新婚さんいらっしゃい』の桂三枝師匠の気分になる。小生から龍子さんへの最後の質問は「男は作品を作り女はその男を作るという言葉がありますがどう思われますか?」龍子さんの答えは「その通りです」。二の句を継げず。トークショウのあと文学館のスタッフも含めて打ち上げ。ビールをガバガバ。龍子さんも焼酎のおかわり連続。気持ちのいいトークショウやったので龍子さんをお送りしたあと「213」で飲み直し。また飲み過ぎやで。
5月30日(水)
原稿2本仕上げて晩飯オペラ劇場。2002年バルセロナ・リセウ劇場公演モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』。いやぁマイッタマイッタ。のっけからドン・ジョヴァンニがドンナ・アンナをカーセックスでレイプ。しかもヘソ出しルックのドンナ・アンナがドン・ジョヴァンニと間違えたレポレッロをオーラルセックスのあと酒でうがい(!)までした。最近のオペラの演出は相当に過激やけどオペラにオーラル・セックスの描写を見たのはこれが初めて。演出家カリスト・ビエイトも過激やけどその演出に従う女性歌手もなかなか過激。おまけに最後に地獄に引きずり込むはずの亡霊をドン・ジョヴァンニがやっつける。そして生き残ったドン・ジョヴァンニをドンナ・アンナやドン・オッターヴィオやマゼットやツェルリーナがなぶり殺し。鮮血だらけ。いやぁマイッタマイッタ。けど『ドン・ジョヴァンニ』を現代版にしたらこうなるのは必然かもしれん。マッチョ黒人のドン・ジョヴァンニをブリーフ一枚で歌わせたピーター・セラーズの演出もおとなしいもんやで。最近のヨーロッパのオペラは女性のヘア全裸も男性のオチンチンぶらぶらも当たり前。警察もまさかオペラが…と思てて気づいてへんのんやろな。
5月31日(木)
突然の雷雨に仕事進まず。関係あれへんけど(笑)。仕方ないので一昨日の澁澤龍子さんとのトークショウを聞きに来てくださった御礼に「鮨処もり山」さんへ。これも関係あれへんけど(笑)鰹と鱒が旨かった。
|