ナンヤラカンヤラ
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4月1日(火)
朝黒兵衛と散歩。桜満開。春爛漫。午前中にコラム1本書きあげて送る。昼飯食って少々昼寝。春うらら。午後から東京五輪資料読み。ふうう。夕方も黒兵衛と散歩。おおーっと。コラム原稿送ったと思てたら保留boxに入ったままになってた。ヤバイヤバイ。送り直して一件落着。フロ。ネル。あ。エイプリル・フールを忘れてた。ま。そーゆー年があってもエエやろ。

BOOK
夏目漱石『倫敦塔・幻影の盾』(新潮文庫)
夏目漱石『倫敦塔・幻影の盾』(新潮文庫)

4月2日(水)
朝RKB毎日放送『ニュース新発見インサイト』電話出演。新国立競技場の建設反対意見を展開。建設賛成の方の意見を待ちます。http://blog.rkbr.jp/insight/

4月2日(水)つづき
昨日送ったと思ってたコラムが送れてなかったので慌てて送り直したのがまだ送れてなかったようで再度送り直す。何をボケーッとしとるんか。春の陽気のせいか。陽気(やうき)の所為(せゐ)で神も気違(きちがひ)になる……とは漱石『趣味の遺伝』にあった言葉。しかしアレは夏の陽気だったか。春の陽気では気違いにはならない。せいぜい色めき盛がつく程度だ。終日東京五輪の資料読み。疲れた。黒兵衛と夕方の散歩のあとさらに資料読み込み。なにい?今日は次女が仕事休みで孫と一緒に友人に連れられディズニーランドへ行ってきたとか。孫はトイ・ストーリーのティラノザウルスの被り物をかぶって上機嫌。パイレーツの帽子にかぶり代えて拳銃パンパン振りまわしてうるさいこっちゃで。新国立競技場がスポーツ・アミューズメント・パークとしてディズニーランドに勝つ日は訪れそうにないな。明日のテレビの打合せをしてフロ。ネル…と思ったら某君からのメールでミュンヘン五輪の映画『時よ止まれ君は美しい』がDVDで発売されたとか。買わねば。昔ロードショウで見た記憶としてはつまらなかったけど見なければ。寝よ。

4月3日(木)
朝黒兵衛と散歩のあとヒゲ剃って東京赤坂へ。TBS『ひるおび!』生出演。浅田真央の去就は引退or現役続行の二者択一ではないこと。長期休養問題先送りという選択もあること。本田マリン選手など日本フィギュア界は黄金時代を迎えているが今こそ変革期。裾野を広げる拠点が東北や九州にもほしい…といった話をしてディレクター氏に控室で新国立競技場の問題点を訴えて渋谷へ。タワーレコードで『時よ止まれ君は美しい』購入。ほかにオペラの日本語字幕ナシのDVDが1枚千円程度で安売りされてたので『西部の娘』『シチリアの晩鐘』など珍しいものを5枚ほど購入。『カラヤンの遺産ダイジェスト』も1300円で購入。ストラヴィンスキイが亡くなったときのロンドンでのバーンスタインのコンサートも購入。冨田勲の『イーハトーブ交響曲』のDVDも購入。何しろ初音ミク+トミタですから買わないわけにはいきません。ついでに冨田勲の『展覧会の絵+シェエラザード』のCDもゲット。帰宅後見まくり。聴きまくり。『時よ止まれ…』はロードショウで見たときと同じ感想。つまり市川崑の『東京オリンピック』のほうが上ということ。ま。あれ以上のスポーツ・ドキュメンタリーは不可能でしょう。ミク+トミタ+宮沢賢治は日本語がちょっと聞き取りにくかったけどサスガの出来栄え。しかし…少年少女合唱団と初音ミクの違和感は…ま…どちらも日本文化ということでしょうけど…前者は1964年の東京五輪で後者は2020年の東京五輪?まさかAKBだけはやめてくださいね。カラヤンも今聴き直すとサスガの演奏ですけど面白味はバーンスタインに較べて圧倒的に小さいですね。

BOOK
和田誠×森遊机『光と嘘、真実と影―市川崑監督作品を語る』(河出書房新社)
和田誠×森遊机『光と嘘、真実と影―市川崑監督作品を語る』(河出書房新社)

4月4日(金)
朝黒兵衛と散歩のあと終日東京五輪1964関係の資料読み。いろいろ興味深いことがあるなあ…と思てたら編プロ三猿舎のYさんから和田誠×森遊机『光と嘘 真実と影 市川崑監督作品を語る』(河出書房新社)という本が送られてきてメチャメチャ面白かった。橋本治さんとの『東京オリンピック』についての対談も収められていて当時の東京の硫化硫黄による公害がアベベのマラソンの映像に映ってることや80mハードルの依田郁子は『ぼんち』の越路吹雪だ…なんて指摘に愕然。《オリンピックを記録したかどうかはともかく東京オリンピックのすべてを記録しちゃった》映画であり《ひいては1964年の日本人を丸ごとカメラに収めた》市川崑はソレを《最初から考えていたと思いますよ》という指摘に大納得。2020年の東京五輪関連で「新国立競技場建設反対派」の人からいろいろメール。そのなかで建築関係者のネット『10+1』に掲載されていた3人の建築家(日埜直彦×フェリックス・クラウス×吉良森子)による座談会『特集東京オリンピックからの問い−2020年の都市計画は可能か 新国立競技場−ザハ・ハディド案を巡る諸問題』は非常に勉強になって面白かった。他にも佐藤信(日本学術振興会特別研究員)の『都市と祝祭−あるいは来るべき不完全なオリンピックへの讃歌』酒井隆史(大阪府立大准教授)の『ブラジルでFIFAのブレザーなんて着たがるヤツはいない。殴り倒されるからだ−020年東京オリンピックにむけての現状とその概観』青井哲人(明治大学准教授)の『建築コンペティションの政治学−新国立競技場コンペをめぐる歴史的文脈の素描』などもスポーツ関係者は絶対に一読すべき論文だった。森某は読まないだろうけど組織の皆さんには読んでほしいなあ。読書疲れの一日。『10+1』はhttp://10plus1.jp/monthly/2013/12/issue01.php

4月5日(土)
朝黒兵衛と散歩のあとU-17女子サッカーW杯決勝に興奮。リトルなでしこ優勝!世界一!凄い!ヤンキース田中マークンのメジャー・デビューにも大興奮。打たれても動じませんねえ。凄いですねえ…と感心したあと文化放送へ。『みのもんたのニッポン・ディスカバー・アゲイン』2週分収録。東京五輪と新国立競技場の話(今の状態のままなら賛成しかねるという話や1964年の体育の祭典から2020年はスポーツの祭典に脱皮してほしい…体育とスポーツの違いの話)や京都祇園の話(50b走で歌舞練場の前を走った話にみのさんは乗ってくると思ったら案の定…笑)などイロイロ話して2週分収録の予定が3週分に。放送は4月27日(日曜)から3週連続…かな。え?みのもんたの番組に出るの?と驚いた人もいるけどかつて番組に招いていただいた方ですからね。義理はきちんと快く返して当然ですよ。文化放送に入るところで声をかけられて誰かと思たら以前ラジオ番組招いてくださった弘兼憲史さんだった。あ。パプアニューギニア=パパは牛乳屋の話したかったなあ…などと思いながら帰宅。夕方の黒兵衛との散歩を終えて晩飯映画劇場…と思たら長女や次女や孫が帰ってきてフィギュア・スケートのビデオを見るとかで高橋大輔の『道』や『道化師』やジャズエレキギターの音楽(曲名は忘れた)の演技を見せられる。どれもオモシロイ。新垣氏(サムラゴーチ)の音楽は選曲ミスですね。浅田真央の演技は涙しには見れませんね。何もかもがスバラシイ。孫とフロ入ってネル。

BOOK
内田樹・小田嶋隆・平川克美『街場の五輪論』(朝日新聞出版)
内田樹・小田嶋隆・平川克美『街場の五輪論』(朝日新聞出版)
石井正己・編『1964年の東京オリンピック:「世紀の祭典」はいかに書かれ、語られたか』(河出書房新社)
石井正己・編『1964年の東京オリンピック:「世紀の祭典」はいかに書かれ、語られたか』(河出書房新社)

4月6日(日)
62歳の誕生日。特に感慨はナシ。感想もナシ。朝黒兵衛の散歩をパスして新横浜へ。新幹線で大阪へ。毎日放送『月刊カワスポ』生出演。MBS河田アナウンサーの司会で元阪神タイガースの金本知憲さんやら藤本敦士さんやら東海テレビの『学べるスポーツ・バー』で毎年末一緒に出演してるマスダオカダの岡田圭右さんや『ちちんぷいぷい』で何度か一緒になった安田美沙子さんらとワイワイガヤガヤ阪神タイガース・ネタや田中マークン・ネタで楽しく盛りあがる。金本サンはどこか堂々としてて雰囲気が白鵬に似てる。番組が終わってそのことを言うとソンナン初めて言われましたわぁと目を丸くされた。番組を終えて隣の丸善ジュンク堂で『1964年の東京オリンピック「世紀の祭典」は以下に書かれ語られたか』(河出書房新社)購入。大きな本屋さんはネライ通りの本が置いてあるのが嬉しい。ついでに内田樹・小田嶋隆・平田克美『街場の五輪論』(朝日新聞出版)購入。帰りの新幹線で後者読了。2020年東京五輪反対論。「(オリンピックが)東京に決まったのは(憲法)九条のおかげじゃないか」「東京が安全な都市だからだよ」「戦争できる国でないのが困ると思ってるのはアメリカだけじゃないか」「オリンピックだって99l金儲け」「国家の株式会社化」「スポーツでなく政治」「福島封じ込め」……すべて正論ですね。ただしパラリンピックについて一言も触れてないこと…スポーツ論が甘いこと(これは小生の仕事ですね)…スポーツ・メディア批判が甘いこと(朝日の本だから仕方ないか)…は少々残念。しかし五輪反対論は絶対必要。もっともやるからには少しでもマシな大会にするべくイロイロ意見を言わねば…。帰宅前に家族と大船のイタリア料理店で待ち合わせ。シャンパンで乾杯。一応オレの誕生祝い。孫に毎日放送のディレクター氏から誕生日祝にもらってきた特別仕様のトミカ3台をプレゼント。放送局にはトミカとタイアップしたイベントがありますからね。何で俺の誕生日にトミカやねん…とは言いたくもなりますが(笑)まぁイチバン嬉しいモンですね。MBSさんアリガトさん…でピザとパスタで祝ってもらって帰宅。孫とフロ入ってネル。

4月7日(月)
朝起きて黒兵衛と散歩…をしていたら4月から大阪のテレビのスケジュールに間に合わなくなったので散歩抜きで新横浜へ。まぁ午前7時くらいに散歩すれば悠々間に合うのでしょうけどソレはツライので黒兵衛は家族に任せて新幹線で昨日に続いて大阪へ。午後1時に控室に入って2時から西靖アナウンサーの司会でサブロー師匠やリンゴ姐さんと『ちちんぷいぷい』生出演。STAP細胞やリアス鉄道などイロイロ喋って3時から5時まではナント司会が元関テレで今はフリーのヤマヒロ(山本浩之)さんに交代。ヤマヒロさんとは15年ほど前に関テレでプロレスラーの前田日明さんと一緒に深夜番組『クロスファイア』のMCを3年ほどさせてもらった。懐かしいなあ。まさかMBSで再会できるとは思わなんだ…と番組前にハグして本番でガッチリ握手。何しろヤマヒロさんにカツラを取ってカミングアウトさせたのはコノ私のアドバイスがあったからですからね。『クロスファイア』の番組中にみんなの祝福の元で禿頭を初めて曝したワケですからね。おまけにその後『月刊現代』にエッセイまで書いてもらった。いやあ懐かしくも新たな御一緒。嬉しくも楽しいモンです。ヤマヒロさんは少々緊張しながらもさすがはプロ。アタマの輝きを突っ込まれながらも角淳一さん西靖クンのあとのMCをこなす。小生は少し早めにスタジオを離れたあと次の番組『VOICE』の打合せ。『VOICE』のMCは今月から西クンでコレまでコメンテイターは起用されなかったのが今日からリニューアルでコメンテイター第1号として出演。社会人大学生を教壇に立ってる立場から喋らせてもらったりSTAP細胞で少々メディアの過熱報道を批判する言葉を口にしたり…で4月からのリニューアル番組を無事終了。午後1時に控室へ入って終わったのが午後7時。MBSの報道フロアは初体験。とはいえ西サンもヤマヒロさんも女子アナの松川さんや西村さんも全員過去に御一緒したことがあったのでソレほど違和感もなく無事終了。新幹線でビールを飲んだらさすがに疲れたのかいつものように読書できずに爆睡。ZZZZZZZZZZ。帰宅すれば次女は夜勤で孫もおらずフロ&ネル。こういう日が月に2回。『VOICE』だけの日が月2回で毎週大阪でTV出演。関西の皆様よろしく。リニューアルの『ちちんぷいぷい』のホームページには必見の価値ある(ピーコさんが絶賛した)石田ディレクターの女装写真が掲載されてます。http://www.mbs.jp/puipui/index.shtml

DVD
『パイレーツ・オブ・カリビアン』
『パイレーツ・オブ・カリビアン』
『夏目漱石のこころ』
『夏目漱石のこころ』

4月8〜9日(火〜水)
これを書いてるのは9日(水)の夕方。朝から黒兵衛の散歩に行ってNOBORDER SPORTSの入稿原稿の処理やらメールの処理やらやってオボカタ嬢の記者会見を延々と見てたら前日(8日)に何やってたか完全に忘れてシモタ。彼女はマダ嘘をついているような部分が…と言って悪ければ言い逃れをして切り抜けようとしているところがありますね。STAP細胞を200回成功か。ほな1回に付き10日かかるとして2000日。休まず働いて全部成功して5年。それはあり得ないとして成功率5割で10年。それもあり得ないのかどうかは専門家に訊きたいところ。あ。そうそう。昨日は谷崎の『陰翳礼讃』を引っ張り出して読んでたら凄い文章に出くわしたんやった。《闇の中に住む彼女(日本女性)たちにとっては仄白い顔一つあればいい。胴体は必要なかったのだ。昔の女というものは衿から上と袖口から先だけの存在であり他は悉く闇に隠れていたものだと思う》それって文楽人形ですね。凄い。大阪市長も谷崎を読みなさい。そうそう。それから晩飯映画劇場でビール飲みながら市川崑監督『夏目漱石のこころ』を見て森雅之は先生の役にピッタリで新珠三千代は美人やなあ…と思てたら孫たちが帰ってきて『パイレーツ・オブ・カリビアン』に変えられてしもた。もうちょっとましな映画を見なさい…と思いながらウィスキー飲んでフロ入ってネタのでした。

BOOK
橋本治『さまざまなエンディング』(主婦の友社)
橋本治『さまざまなエンディング』(主婦の友社)
山口瞳『新入社員諸君!』(角川書店)
山口瞳『新入社員諸君!』(角川書店)

4月9日(水)つづき
この日は朝RKB毎日放送の新番組『ニュース新発見インサイト』に電話出演。野球とソフトボールの五輪正式競技復活の声が消えてしまった?ことについて話す。IOCは動いてるのに日本の野球界が全然動かないのは何故?というお話。それはモチロン五輪の正式競技になりたくないから?ソフトボールが可哀想…。黒兵衛と散歩に行って帰ると編プロ三猿舎のYさんからまたまた東京五輪に関する資料が届く。橋本治『さまざまなエンディング』(主婦の友社)と山口瞳『新入社員諸君!』。どちらにも市川崑監督の『東京オリンピック』に関する文章が載っていて前者は映画絶賛の上の犀利な分析。後者ははっきり言って単なる自称スポーツ好きサラリーマンの赤提灯話。サラリーマンの視点(普通人の視点?)というものを頑迷に大切なものと思い込んでいる人物はたとえば女子ハードルの依田郁子のレース前の姿をとらえた市川崑の「視点」を理解できずに徹底的に批判する…という以上にこきおろす。《ハードルで負けた依田はコースを箒で掃き口笛を吹きゴリラのように歩くところを撮られている。この人たち(註・映画を作った人たち)は依田が吉岡と過した長い苦しい歳月を理解しようとしないのだ。依田の口笛が「人生劇場」であることを発見したのがそんなに嬉しいか》…嬉しいですねえ…と言い返したいが映画『東京オリンピック』が見事に1964年の日本をすべて映像に収めたと看破した人物は同じシーンを見てこう書く。《依田郁子はグラウンドに箒を持ち出して自分のコースを掃除する。(略)緊張に呑まれまいとした彼女はその晴れの舞台に自分の日常性を持ち込んだだけだ。だから当時の日本人はみんなそれをとっても人間的な行為として見た。プレッシャーに負けまいとする彼女の行為を可憐なものとさえ思った筈だ。だとすると今度はそこから逆にとんでもない当時の若い娘の“日常性”というものが浮かび上がって来る》両者の違いに関する解説は不要だろう。山口瞳さんが虫明亜呂無さんのお葬式で挨拶して下さり「虫明さん。あなたは見ることのできる人でした」と言ったのは自分にはそれができないという意味だったのだろう。もちろん虫明さんの視点は橋本治氏以上に鋭く本質を抉るものだった…なんてことばかり考えて仕事にならなかった一日。いやコレが仕事か。それ以外はオボカタに暮れて…。月隠れ花は舞い散り恋は闇STAP細胞も雲の間に間に…。

DVD
『あなたと私の合言葉さようなら、今日は』
『あなたと私の合言葉さようなら、今日は』

4月10日(木)
朝黒兵衛と散歩。そのあと一日中メールと格闘。昨日森まゆみさんから『異議あり!新国立競技場』(岩波ブックレット)が送られてきて昨夜寝る前と今朝起きた直後のベッドで読了。神宮の森の歴史的景観を守る…ことには小生はほとんど興味がありませんがスポーツにもコンサートにも使い勝手が最悪の建物は税金の無駄遣いになってしまいますから建てない方がイイのでは…というのが小生のスタンス。ただしザハ・ハディドのアイコン建築として日本人を元気にする巨大建築ならば面白い…とは思っていたのですが予算の関係で縮小するくらいならばハディドさんに頭を下げて謝ってヤッパリ建築は取り止めた方がイイでしょうね。東京五輪1964の資料を整理しながら終日メールと格闘。メールを送ったり送られたり…そればっかり。こんな一日もあるもんですね。夕方黒兵衛と散歩のあと晩飯映画劇場は市川崑監督『夏目漱石のこころ』。何とも言えない高等遊民の寂寞感は今の若者には通じないかも。いや通じるか…などと思いながら何日か前に孫のために途中で見るのをやめさせられた最後の30分を見る。これは難しく撮ってないのに難しい(考えさせられる)映画ですねえ。ということは漱石の『こころ』をそのまま映画にした…できた…ということか。ナルホド…市川崑オソルべし。続けて市川崑監督『あなたと私の合言葉 さようなら、今日は』を見る。ぎゃははははは。ナンだコノ映画は!と言いたくなるほどオモロイ映画。その内容は…改めて書きます。

4月10日(木)つづき
市川崑監督『あなたと私の合言葉 さようなら、今日は』は資料によると昭和32年にフランク永井のヒットソングに基づく島耕二監督の『有楽町で逢いましょう』が大ヒットしたため二番煎じを狙ったものだとか。そんなお仕着せ仕事でも引き受けた市川氏は小津安二郎のパロディを作ったというわけ。若尾文子と京マチ子の棒読みのような早台詞がケッサク。野添ひとみのお多福風邪もギャハハハと笑えて佐伯孝夫作詞吉田正作曲和田弘とマヒナスターズの歌うハワイアン調演歌の主題歌にも仰天しながら大笑いするうちに妻を亡くした佐分利信の父親と今季を失った娘の若尾文子の会話が胸に染みる。引き受け仕事をやっつけ仕事にせずにイロイロモロモロ見事に取り込んで作品にした市川監督のコレは愛すべき作品ですよ。小津も溝口も大島も…その他モロモロも引き受け仕事はしませんでしたからね。見事。

MOVIE
『ネクスト・ゴール!』
『ネクスト・ゴール!』

4月11日(金)
朝黒兵衛と散歩のあとチョコチョコっと仕事して東京六本木へ。アスミック・エースの試写室でドキュメンタリー映画『ネクスト・ゴール 世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』を見る。FIFAランキング最下位のアメリカ領サモアはオーストラリアに国際Aマッチ史上最大点差の0対31で大敗。公式戦30戦は200ゴール以上の失点で全敗。そんなチームが娘を交通事故でなくしたオランダ人監督を迎えてリオW杯予選で勝利を目指すドキュメンタリー。私は不覚にも泣いてしまいました。試写会で泣いたのは『フィールド・オブ・ドリームス』以来です。しかも今回はドキュメンタリーです。たぶんマオリ系だと思いますがアメリカ領サモアの人々の優しくも高貴なプライドは頭が下がるほどに見事です。彼ら(と彼女ら)の力強く美しいウォー・クライ(ハカ)は素晴らしいものです。しかもサモアには第3の性を認める文化があるのを初めて知った。つまり性同一性障害を持った人物を男性の仕事も女性の仕事もできる人物として何の差別感もなくむしろ尊敬の念とともに社会も人々も受け入れているのだ。「障害」という言葉を使うことがオカシイほどナチュラルな存在でサッカー代表チームにもバックスに一人「私は男でも女でもない。サッカー選手なの」という第3の性の持ち主が大活躍する。いやあ。最後がドーなるかは書きませんが全国のサッカー・ファンに見てほしい。世界中のサッカー・ファンに見てほしい。サッカーが嫌いな人にも見てほしい。なかでも若い人々に見てほしい。中高生に見てほしい。Japanese onlyと馬鹿なバナーを掲げた人物にも見てほしい。涙を拭きながら試写室を出ると武蔵丸さんがいた。「いい映画でしたね」と話しかけると「僕の生まれ故郷だから。きれいなところでしょ。みんな頑張る人たちね」本当にきれいなところを押しつけがましくもなくきれいに描いた映画でした。http://nextgoal.asmik-ace.co.jp/

4月12日(土)
朝黒兵衛と散歩のあとワイシャツを着てネクタイを締めジャケットを羽織って孫の幼稚園の入園式へ。桜は落ちて葉桜の手前になってしまったが天気は快晴。私用でネクタイを締めるのは何年ぶりか…十何年ぶりか…二十何年ぶりか…などと思いながら孫の手を引いて幼稚園の園庭へ。モチロン母親と婆も付き添ってる。ま。孫と母親が主人公で俺はビデオ係。父兄と園児でギッシリの小さな体育館には紅白の幕。式の始まる前から国歌斉唱のときも園長先生の話のときも大声で泣き喚いているチビもいる。なかなか根性の座ってる奴に違いない。かと思うと式の最中に手をあげてトイレに行った奴もいた。こいつもナカナカ…と思たらしばらくして帰ってきて顔が正面から見えるとナント我が孫。慌ててビデオを回す。ナンヤラカンヤラ滞りなく式は終わり園庭や入口の入園式と大きく書かれた立て看の前で記念撮影。『213』のマスターの紹介で以前から懇意の園長先生にも挨拶。今日はこのあたりの選挙区と密接の関係がある代議士がヤッパリ来なかった。まぁ当然。何億円かの疑惑の党首に代わって新党首になったのですから幼稚園の入園式どころではないでしょう。幼稚園から『鮨処もり山』へ直行して昼飯は入園祝いのにぎり寿司。母爺婆も御相伴に与って昼間からビール&ワイン&〆張り鶴。すっかり出来上がって帰宅後昼寝。そのまま夜寝。まぁタマにはこんな一日も。

BOOK
『新明解国語辞典』(三省堂)
『新明解国語辞典』(三省堂)

4月13日(日)
朝黒兵衛の散歩のあと部屋の大掃除。新しい仕事を始めるときの儀式のようなもので本棚や仕事机やその後ろにある大テーブルの上の本を入れ替える。そのためにはリビングやダイニングの本棚の中味まで移動して要らなくなった本を整理しなければならないので…と思て始めようとしたら今日は母と婆が孫の幼稚園のスモックの刺繍やら鞄の名前入れやら靴の……で小生がガタガタ動くのはNGだと言う。仕方ないので原稿を…となると気になっているのが山下洋輔サンに頼まれた新譜CDのライナーノート。『展覧会の絵』と『ボレロ』のライヴ録音なのだがライナーの依頼を受けたときにムソルグスキーの『展覧会の絵』の各曲に付いてるタイトルもジャズ的に変えたほうがイイという意見をメールで送ったところが…だったらオマエがヤレ…と言われてしまった。メチェメチャ光栄なことではあるのだけどコレは四苦八苦七転八倒の作業。なにしろ演奏が七転八倒大暴れしているのだから…。しかし気になって他の仕事もできずデモ録音CDを聴いたりゲルギエフ指揮マリインスキー管のクラシックを聴き直したり辻井伸行クンのピアノ・クラシック・ヴァージョン@カーネギーホールの名演を聴いてみたり再び洋輔ビッグバンドのぶっ飛びサイコー抜群ジャズヴァージョンを聴いてみたりフランス語や英語のや日本語の辞書をひっくり返してみたり…。あ。最近三省堂の『新明解国語辞典』を買い直したのですけど『メイカイさん』とか『シンカイさん』の愛称で親しまれてるコノ辞書はホンマに面白いですね。【ジャズ】という項目は「アメリカ黒人のダンス音楽から起こった軽快なリズムの音楽」と書かれていてソレはちょっと違うだろ…と突っ込みたくなるが(ツッコミを入れられるのもまたオモシロイということだが)その傍にあった【射精】を読んで笑ってしまった。「精液を勢いよく出すこと」って勢いよくなければ射精じゃないのか…(涙)。こんな風に形容詞(形容語)が一つ余計に加わるところが面白いですねえ。ちなみに新潮国語辞典の【射精】は「精液を射出すること」。オモロナ…とナンヤラカンヤラ考えてたら晩飯映画劇場。マタマタ孫の『パイレーツ・オブ・カリビアン』に付き合わされる。これもオモロナイ映画です。若い連中はジョニー・デップを見て楽しんでるの?幸いなことに孫は前半30分で飽きるのでデュダメル指揮シモン・ボリバル・オケの迫力満点の『展覧会の絵』(もちろんラヴェル編曲)のライヴDVDに変更。ヨースケ・ビッグ・バンドの『ジャズ展覧会』と張り合えるクラシックはこれくらいしかないですね。で孫とフロ入ってネル。孫が一人で50まで数えた。ブラヴォー!ナカナカ新しい仕事に手がつかんなあ……。

BOOK
アニエス・ジアール『エロティック・ジャポン』(河出書房新社)
アニエス・ジアール『エロティック・ジャポン』(河出書房新社)

4月14日(月)
黒兵衛と散歩。さあ今日から大掃除…には入れず仕事の連続。NOBORDER SPORTSの原稿を書いたりチェックをしたり…来月札幌での佐渡裕さんとのトークショウの準備のために昼飯食いながらバーンスタインとPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)のDVDをチェックしたり…また原稿書いたり…。そんななかで嬉しいことが二つ。一つは山下洋輔サンから『展覧会の絵』の各楽曲のタイトルについて小生のアイデアにOKが出たこと。まだ発表はでけませんけどヨッシャーこのjazzyでfunkyなカンジでいきまっせー。もう一つは黄昏時の黒兵衛との散歩のときに東の低い空に大きな満月が出ていたこと。「菜の花や月は東に日は西に」の世界。綺麗なモンです。ただしこの蕪村の俳句には元ネタがあるそうでソレは「月は東に日は西に愛しお主は真ん中に」という都々逸。上手くパクってますね。「お主」を消して「菜の花」を持ってくると俗謡が芸術に昇華するんですね(笑)。「粋な言葉についほだされて気がつきゃ主と床のなか」(なかは中でも仲でもいいんですね)という都々逸は知ってたけどソレにも「粋な心につい垂らされて嘘と知りてもほんまに受けて…」という元ネタの長唄『軒端松』があるのは知らなかった。それを知ったのはアニエス・ジアールという1969年生まれのフランス人女性が書いた『L'IMAGINAIRE EROTIQUE AU JAPON』(邦題『エロチック・ジャポン』河出書房新社)を読んだからだった。この本は(前にも紹介したかな?)記紀から近松西鶴谷崎三島…卑弥呼からアキバのゴスロリ…吉原からソープ……カブキモノから鳥肌実……とりかへばや物語からやおい(山なし落ちなし意味なし)まで網羅した日本論でメチャンコ面白いです。あ。粋な言葉についほだされて…の「ほだす」は【絆す】と書くのですね。『メイカイさん』で知りました。「つなぎとめる。つきまとう」という意味ですが名詞の【絆し(ほだし)】になると「思考・行動の自由を束縛する物事。うき世の−−」となるそうです。もともと【絆】は「馬の足をつなぐ縄から転じて手かせ・足かせの意」だそうで「もと誤用にもとずく」との註釈付きながらも【きずな(絆)】には「元来平等なるべき人間を理由なく束縛し分け隔てするもの。階級意識や差別意識など」という意味もあり例として「心の−−(先入観。謬見)を解いてくれ」という短文が紹介されている。なるほど「絆」は「絆以外」の存在を排除する意識も生じさせることがあるものなのだ。注意して使わなければイケナイ言葉ですね。しかし「メイカイさん」は面白い。

4月15日(火)
黒兵衛と散歩のあとナンヤラカンヤラ仕事。某受験参考書出版社から手紙が来て今年も小生の拙著が入試の使われたとの連絡。今年は日体大の国語と吉備国際大の小論文の試験に拙著『スポーツとは何か』が使われたらしい。だから入試参考書への転載許可を求められたのだが大学からの連絡は一切ない。昔は(20年くらい前)は入試に使用した挨拶の手紙と事前に連絡できないことを断る詫び状が届き虎屋の羊羹を送ってきた大学もあった。が今は羊羹は愚か挨拶も皆無。何年か前に某有名大学付属高校の教員からホームページ宛に入試に使った旨の連絡だけが届いて(またそのメールの文章が下手糞で)事後になったが使用許諾書をプリントアウトして捺印して送ってくれとの連絡が来た。あまりの無礼さに腹が立たのでそーゆー連絡は返信用封筒を入れて文書で送るものであり○○高校の教師とは信じられない行為で失礼にも程があると返事のメールを書いた。そのメールには返事もなくそのまま。入試料をウン万円ずつ払わせているならその何パーセントかは文章を引用した著者に還元するべきではないか…と思うが今年も連絡は参考書出版社からで印税は雀の涙。まぁ二次使用料でがっぽり儲け洋なんて思ってないし大学の入試に自分の書いた文章が毎年使われるというのは栄誉でもあるから事を荒立てる気はないがチョットは収入にしたいですよね。とりわけ何万円×何万人もの入試に小生の文章を使った大学(3年前だったかな)なんか印税1パーセントでも何十万ですからね…とトラヌタヌキの皮算用を毎年この季節はしてしまうのですね。とほほ…と嘆いていると某TV局からTEL。飛ぶボールについてコメントがほしいというので飛ぶボールが悪いのではないという話をする。日本のプロ野球はどんな野球を見せるかというコンセンサスもなく10年後20年後の青写真もなくボールが飛ぶの飛ばないのと騒ぐこと自体がオカシイ。そもそもジャーナリズムを担うべきメディアが球団を持ったりアマ野球を主催したりするからスポーツ・ジャーナリズムが機能しない…という話をすると「そのとおりだと思いますがそれを放送できるかどうか…」そして数時間後に「申し訳ないですが今回は別の人に…」と断りの電話が入った。断りを入れてくれただけでも評価したいですね(苦笑)。今回はミズノが謝ってシャンシャン手打ち…かな。

4月16日(水)
朝RKB毎日放送『ニュース新発見インサイト』電話出演。「インサイト・カルチャー」のコーナーでプロ野球の飛ぶボールについて話す。ボールは飛んだ方がいいのか飛ばない方がいいのか…どんな野球にしたいのか…の方針を出さずに飛ぶボールを騒ぐのはオカシイという話。メジャーが日本製の飛ぶボールをコッソリ練習用に使ってオーバーフェンスをガンガン放ち相手チームを驚かせた話やメジャーのオールスター戦ホームラン競争では硬式球ではない一回り小さい飛ぶボールが使われてる話やかつて日本のプロ野球は飛ぶボールで優勝した阪神のようなチームがあったことは長年野球を見ている人なら常識…と東京の某公共放送では話せない話を思いっ切り喋る。効きたい方は「インサイト」のホームページへ。http://blog.rkbr.jp/insight/

4月16日(水)つづき
ラジオに出たあと横須賀線と江ノ電を乗り継いでツキイチの病院へ。血液検査してもらってお薬もらって新横浜で立ち食い蕎麦食って新幹線で大阪へ。毎日放送へ。今日はちちんぷいぷいはナシでヴォイスだけの出演。横目でヤマヒロさんやざこば師匠やなるみさんや今岡元選手の出ているテレビを見ながら控室でネクタイを結んだり軽く着替え。今岡さんが藤浪の打ったライトへのホームランは飛ぶボールだからですねと明言されてた。関西は喋りやすいなあ。チャンネルを変えてSTAP細胞笹井氏のインタヴューを見る。ナルホド。責任のパスまわしが始まったか。報道ルームに移動して西アナウンサーやスタッフと打合せ。笹井氏の話や血液検査癌の早期発見の話や神戸の地元アイドルについて…。癌の話で国民の健康のためにオリンピックを開いたオーストラリア・シドニー大会の話をする。アイドルではヤンキースもFCバルセロナも地域密着が基本と話す。最後に西サンから飛ぶボールについて訊かれたのでT・ルーズヴェルト大統領が野球は8対7が面白いと言ったことを紹介してどんな野球をやるかを話さずボールが飛ぶだけを騒ぐのはオカシイ。アメリカに揃えなくてもイイ。WBCで2連覇したときは国内では飛ぶボールを使ってた…等々話してオシマイ。西サンやMC女子アナの西村さんに新国立競技場の建設が何やらヘンな状況であることを話して『異議あり!新国立競技場』の本をプレゼント。西サンは元棒高跳び選手。西村さんは短距離国体選手。2人とも新競技場にサブトラックがないと聞いて愕然。まぁ普通の反応ですね。帰りの新幹線でイロイロ読書。1時間弱のために大阪へ行くとはいえ読書時間が確保できることを考えれば悪くないですね。帰宅…せずヨメハンと待ち合わせて今週末で一端店を閉めることが決まった『213』へ。新装開店は夏頃?晩飯食って帰宅。フロ。ネル。

Blu-ray
『インサイドマン』
『インサイドマン』

4月17日(木)
朝黒兵衛と散歩。ナンヤラカンヤラ雑用で終わった一日。この程度しか書けないことがある日があってもイイですよね。あ。昨日の毎日新聞夕刊の『京がたり』というほぼ全面企画に小生が登場して祇園について喋ったんですけど残念ながらコレは関西版には出ないそうです。大阪毎日(大毎)と東京日日(東日)の違いは今も続いてるのかな?晩飯映画劇場は久しぶりに気軽なものを…で今朝WOWOWで暴投をチョット見て面白そうだから録画したデンゼル・ワシントンが警察官で不思議な銀行強盗(金を盗まず人を殺さず)と大格闘する映画。あれはジョディ・フォスターかな…などと思いながらスリリングな展開を見てしまう。ユダヤとナチスが組んだ資本家がどうの…なんて理屈以外のサスペンスが面白かった。タイトルは…わからん。ま。コレがハリウッドB級の上の映画というもんでっしゃろ。フロ。ネル。あ。映画のタイトルは『インサイドマン』でした。

DVD
『陽だまりのグラウンド』
『陽だまりのグラウンド』
CD
『春の祭典/バッハ・トランスクリプションズ』
『春の祭典/バッハ・トランスクリプションズ』
『ブラームス:ピアノ協奏曲第2番』
『ブラームス:ピアノ協奏曲第2番』
『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番皇帝他』
『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番皇帝他』

4月18日(金)
朝黒兵衛と散歩のあと通信社にプロ野球飛ぶボールのコラム原稿を書いて送る。しかし日本の野球の原稿を書いてると虚しさを感じるなあ。誰もこの分裂した組織を統一されたまともなもにしようとせずIOCがあれだけ五輪正式競技化の誘い水をかけても誰も動かんのやから。ま。一番悪いのはマスメディアですけどね。昼飯映画劇場は少年野球映画『陽だまりのグラウンド』。賭けで借金を作った馬鹿青年が犯罪貧民窟に住む黒人少年野球チームの監督を引き受ける。そして…最後は…単純な筋書やのに最後だけ仰天の結末に泣いてしまった。歳かな。いやスポーツを好きな監督がスポーツ映画を撮ったら誰もが感動するモノが出来るのでしょう。主演はキアヌ・リーヴス。たしかこの俳優はレバノン出身でハワイアンの血を引いてるんですよね…という記憶はウィキペディアで調べると正しいことがわかった。けどウィキが正しいかどうかは知りません。午後からはユニヴァーサルから送られてきたCDを聴きながら東京オリンピックの資料読み。ポリーニのピアノとティーレマン指揮ドレスデンによるブラームス『P協2番』。凄いですねえ。堂々たる風格+若々しさというかバックハウスとは違うスマートさがポリーニにはありますね、イタリア人だから?もうひとつはユンディ・リのピアノでハーディング指揮ベルリンpoによるベーとヴェン『皇帝』。ま。女性ファンは喜ぶでしょう。『熊蜂の飛行』が面白かった。最後にヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管によるストラヴィンスキー『春の祭典』とストコフスキー編曲のバッハ3曲。一時期存続が危惧されたフィラ管ももう大丈夫?元常任のストコフスキーを取りあげて再出発?明るく軽く派手で楽しいフィラデルフィア・サウンドは復活しましたね。小生が大学に入って初めて上野の東京文化会館に足を運んだときのコンサートがオーマンディ指揮フィラ管の来日コンサートだった。そのときのプログラムがたしかベートーヴェンの序曲(タイトルは忘れた)と交響曲7番が前半。後半がワーグナー『トリスタン前奏曲と愛の死』とムソルグスキー(ラヴェル編曲)『展覧会の絵』。この分裂症になりそうなプログラムをフィラ管は楽しく聴かせたのですから典型的なアメリカン・オケとは言えますね。ロビイで若い女性が「指揮者のおじさんかワイイー」と言ってたのを今も憶えてます。

DVD
『侍』
『侍』
BOOK
郡司次郎正『侍ニッポン』(春陽文庫)
郡司次郎正『侍ニッポン』(春陽文庫)
吉村昭『桜田門外ノ変 上・下』(新潮文庫)
吉村昭『桜田門外ノ変 上・下』(新潮文庫)
舟橋聖一『花の生涯』(祥伝社文庫)
舟橋聖一『花の生涯』(祥伝社文庫)
DVD
『NHK想い出倶楽部II〜黎明期の大河ドラマ編〜(1)花の生涯』
『NHK想い出倶楽部II〜黎明期の大河ドラマ編〜(1)花の生涯』

4月19日(土)
朝黒兵衛と散歩のあと昨日東宝から送られてきた小包を開けるとDVD2本。あ。忘れてた。最近市川崑監督のDVDを何本か買ったらサービス券が付いていてそれを葉書に貼って欲しい東宝のDVDのタイトルを書いて投函すれば貰えるという得点に応募したのだった。小包の中味は岡本喜八監督『侍』と小林正樹監督『上意討ち』。どちらも三船敏郎主演。さっそく『侍』を見てみると…これは新納鶴千代と桜田門外の変の話ではないか。と言ってわからなければ『侍ニッポン』…と言ってもわからなければ…人を斬るのが侍ならば恋の未練が何故斬れぬ…と小生の大学時代にはマダこの西条八十作詞戦前の大ヒット歌謡曲を歌ってる先輩がいたモノです。それはさておき映画は初っ端から凄いアングル!皇居前…じゃない江戸城前は雪がガンガン降ってる。さすがは岡本喜八監督ってコレまでコンナ凄い映像の映画を見なかったほうがサイテーですねえ…と自己嫌悪。コレって皇居前でロケしたの?と思いながら外出時間になったので東海道線で新宿へ。喫茶店で雑誌『サイゾー』のプロ野球に関する取材を受けたあと甲州街道をチョット西へ行ったところの瑠璃光院百蓮華堂へ。ここの建物を建築家の竹山聖さんが設計して完成した内覧会へ。5階建て(通常なら8階くらい?)で外見を見ただけでも蓮の花が開いたようなオモシロイ建物。コンクリートにはスギの木目の模様。なかには「空の間」なんてのがあってフランスの現代音楽作曲家の創作した音楽が流れてる。そこで竹山さんからイロイロ説明を聞く。書ききれないくらい面白いことの連続で建築の面白さを堪能。ザハ・ハディドみたいに巨大なアイコンでなくてもイロイロできるのだ。そう言えば東大柔道部長で経済学者の松原隆一郎教授が東京新聞にザハ設計の新国立競技場は明治神宮外苑でなくウォーターフロントに建てるべき…という意見を書かれていた。まったくそのとおり!安忠サンにも賛成してほしいなあ。竹山聖さんからいろいろエネルギーをもらって帰宅。黒兵衛と夕方の散歩のあと『侍』の続きを見る。面白い!凄い!東野英二郎の台詞も凄い。新珠三千代も綺麗!三船もオモロイ!それになんと言っても伊藤雄之助が最高!ニヒルな水戸のテロリスト。桜田門外の雪の中のモノスゴイ斬り合いも凄い。マイッタ。メイキングを見たらナント皇居…いや江戸城はオープンセットだとか。いやはやコンナスゴイ映画をまだ見ずに岡本喜八監督はスゴイなどと言ってた自分が恥ずかしい。いやあ今日はいろいろイイモノを見ました。

DVD
『上意討ち』
『上意討ち』
CD
『武満徹ノーヴェンバー・ステップス』
『武満徹ノーヴェンバー・ステップス』

4月20日(日)
朝黒兵衛と散歩のあと東京五輪関係の資料読み。ある文献に青玉を身に付けた女性が競技場に…という文章が出てきて青玉というのは確かサファイアのことだったはず…と思い新明解国語辞典を引くとそのとおりだったが近くにあった【性交】という言葉に目が止まる。「成熟した男女が時を置いて性的な欲望を満たすために肉体的に結合すること」とあったけどホンマカイナ?成熟してない男女はダメ?時を置いてやらないとダメ?子供を作るための肉体的結合は性交と言わない?ホンマにメイカイさんって面白いですねえ。昼飯映画劇場は小林正樹監督『上意討ち-拝領妻始末』。いやあ面白かった。組織と権力vs個人・女性の戦い。まさに戦後民主主義の毅然たる姿がここにありますね。最後が少々長すぎる気もするけど瑕瑾はどーでもいいです。武満徹の音楽の音楽(琵琶と尺八のノーヴェンバー・ステップスのヴァリエーションかな?)も鋭く三船もカッコヨク司葉子も年齢的に適役で満足。60年代の日本映画って小中学生だった小生は不良の見るモンだと思っていましたが実はどれもこれも凄かったってことを改めて確認しました。午後も資料読み。黒兵衛と夕方の散歩のあとも仕事してから晩飯オペラ劇場はNHKが放送した昨年秋のスカラ座来日公演『リゴレット』。主役のヌッチはカンロク。指揮にデュダメルは若々しく迫力十分。ジルダは名前は忘れたけど小さなソプラノで娘役にピッタリ。声も文句なし。マントーヴァ伯爵はマァこんなものか。しかし演出はオモロなかったなぁ。トラディショナルな衣裳と装置はサスガスカラの舞台とはいえ人や群衆の動かし方が下手糞。ま。満足度70%の舞台。コレは好成績。オペラの公演というのは100パーセント近い満足度の得られる舞台を見る確率は1割くらいなものですからね。

DVD
『大菩薩峠』
『大菩薩峠』
『大菩薩峠』
『大菩薩峠』
『大菩薩峠 竜神之巻』
『大菩薩峠 竜神之巻』
『大菩薩峠 完結編』
『大菩薩峠 完結編』

4月21日(月)
朝黒兵衛と散歩のあとNOBORDER SPORTSへの原稿アップを手配して東京五輪関係の資料読み。今日はとくに新明解を引くチャンスとは出会わず。チャンスと出会わなくても辞書は楽しんで読めばいいのだけどそんな暇もなくテレビ見ながら昼食掻き込んだあと午後からも東京五輪関係の資料読み。要するに一日中本読み。夕方になって市川崑監督の映画『東京オリンピック』が封切られた直後の角界の反応を載せた1965年のサンデー毎日コピーが届く。みんな好き勝手を言ってますなあ。五味康祐さんなんかボロクソやなあ。「史上最高のスポーツ映画」と言う人から「史上最悪」と言う人まで。言論が活発なだけ今よりマシか。夕方黒兵衛と散歩のあと再び資料読み。ふうう…で晩飯映画劇場は岡本喜八監督『大菩薩峠』。仲代達矢のほうが市川雷蔵よりもニヒルさも狂気も優ってる。いやあコレも凄い喜八映画です…けど最後はチョット物足りないというか中途半端。続編を作るつもりだったらしいけど誰か代わりに作ってくれないかなあ。監督はいても机龍之介を演じられる役者がいないか。

BOOK
中里介山『大菩薩峠』(ちくま文庫)
中里介山『大菩薩峠』(ちくま文庫)

4月22日(火)
朝黒兵衛を散歩のあと新横浜へ。新幹線で大阪へ。MBSの隣の丸善ジュンク堂でチョイト東京五輪関係の資料になる本を仕入れたあと毎日放送で『ちちんぷいぷい』生出演。西サンや山浩さんの司会で(ヤマヒロさんもすっかりぷいぷいの一員になってますね)ロザンの二人やモモコさんらといろいろ楽しく話してキッチンぷいぷいでは久しぶりにモデルのアン・ミカさんともお会いして美味しいキーマカレーをいただいて一端楽屋へ。ちょいと休憩したあと『ぷいぷい』に続く『VOICE』に出演。大阪がカジノ構想を推進してるらしい。東京もしてるらしいけどソレよりもギャンブル解禁法のほうが成熟した社会を創るうえでは肝要でしょう…という話をほんの少し喋る(この話を短くまとめるのはムズカシイ)。本がテーマのところで司会の西サンに「心に残った本は?」と訊かれ思わず中里介山『大菩薩峠』と答える。打合せの時から用意しといてくださいねと言われて『ドリトル先生全集』とかゲオルギウの『25時』とか筒井先生の『虚構船団』とか谷崎の『乱菊物語』とかイロイロ考えてたけど本番でスカッと大菩薩…と言ってしまったのは昨日映画を見たからでしょうねえ。西サンのお薦めの一冊はナント『新明解国語辞典』。メイカイさんのファンは多いのですねえ…で2時頃から7時頃までテレビに出演してチョイト疲れて新幹線で帰宅。

DVD
『勅使河原宏の世界』
『勅使河原宏の世界』
『砂の女』
『砂の女』
BOOK
『安部公房全集』(新潮社)
『安部公房全集』(新潮社)
『安部公房全作品』(新潮社)
『安部公房全作品』(新潮社)
DVD
『処刑の部屋』
『処刑の部屋』

4月23日(水)
朝RKB毎日放送『ニュース新発見インサイト』電話出演。2020年の東京五輪でIOCは野球とソフトボールを正式競技にしたがってるのに日本のメディアは動かない(プロ野球や高校野球にとってマイナスですからね)という話に加えて平均3時間半に達しようかという野球の試合時間を短くするためにも(それにメディアと野球を切り離して野球の健全な発展を目指すためにも)野球とソフトボールを五輪正式種目にする運動を展開するべきだという話をする。五輪の野球は試合時間を短くするためにWBSC(World Baseball Softball Cnfederatin)は7イニング制を提唱してますからね。いっそのこと7イニング制に加えて3ボール・ウォーク(一塁へ)2ストライク・アウト制も取り入れたらどうか?賛否両論あるでしょうがそうすると野球は娯楽(Pastime)から競技(Athletic)に変わると思いますが…。まぁどっちも(Sports)には変わりないですけどプロはPastime Rule(9回4ボール3ストライク制)でもいいかもしれないけど五輪や学生野球はAthletic Rule(7回3ボール2ストライク制)にするべきでしょうね。特に学生野球は娯楽でやる意味などないですからね。それにそうすれば肩や肘を壊す高校生も減るはずですから。午前中NOBORDER SPORTSの入稿の仕事やら1964年の資料読み。そこへ市川崑監督の映画で未見のモノを取り寄せたDVDがamazonから届く。ついでに『勅使河原宏の世界』6枚組BOXも届く。この監督の作品は安部公房原作の『砂の女』『他人の顔』『燃え尽きた地図』し見てないけど池袋の名画座のボンヤリした記憶しかないので見直したかった。とはいえとりあえず昼飯映画劇場は石原慎太郎原作市川崑監督『処刑の部屋』。昭和31年の慎太郎太陽族映画。なるほど市川監督はドンナモノ流行も作品にしてたんですね。えっ!?石原慎太郎の原作には両親は出てこない!?すると父と息子が言い争ってるいる別室でフクちゃんの漫画を読んでる母親は…。市川崑監督&和田夏十オソルベシ。午後チョイ資料読みの仕事のあと東京へ。新国立競技場反対を表明している建築家や市民の記者会見とシンポジウムに出席。

4月23日(水)つづき
新国立競技場の建設に異議を唱える建築家や市民運動のシンポジウムに出る前に新橋から地下鉄で外苑前に行き絵画館の銀杏並木前を絵画館まで歩いて神宮球場の横を通って神宮前の日本建築家会館へ。地下鉄の駅には警官。青山通りには機動隊。あ。オバマ来日か…と思いながら美しい銀杏並木を歩く。この横に東京ドーム3個分の屋根付き競技場か…その大きさは戦艦大和よりもはるかに大きい豪華客船のクイーン・エリザベスV世号がラクラクすっぽり屋根の下に納まるくらいで……しかも銀杏並木を潰してサブトラックか…うむ…と思いながら記者会見へ。共同通信や朝日新聞の記者に挨拶。サッカージャーナリストの後藤健生さんにも挨拶。しかしスポーツ界からの参加は見られへんなぁ。スポーツジャーナリストも少ないなぁ。記者会見とシンポの間に一番最初にザハ・ハディドの新国立競技場とそのコンペのやり方に異を唱えた槇文彦氏に御挨拶することができたので現在の東京体育館の設計者でもある氏に東京体育館の床が堅すぎて室内テニスが出来なくなったことを御存知かどうか確かめる。案の定御存知なかった。実はボリショイ・サーカスを毎年行っていたときに10頭以上の象が乗っても大丈夫な床を作ったためにテニスが出来なくなったとの話をすると「そういうことは私たち設計者とは関係のないところで話を進めるんですよ」との返事。新国立競技場でも作家の森まゆみさんによると絵画館前サブトラックの計画の「稚拙な図面」を誰が描いたのか不明だとか。シンポジウムでは後藤健生さんに続いて少し喋ることを求められたので最初ザハ暗に大賛成していた自分の不明を恥じてる旨を述べたあと新国立競技王とサブトラックはスポーツ施設としてもコンサート施設としても最悪であり日本では最悪のスポーツ施設ばかり作られてる一例として日産スタジアムの例を話させていただく。シンポでは隣席の中沢新一さんに久しぶりにお会いし共通の知人でもある桝添東京都知事への働きかけを話し合う。桝添氏は話せば理解できる人ですからね。立場上「動ける」かどうかはワカリマセンが動けなかったら動けないで新国立競技場を建設しようとしている主体が「何者」であるかが少しはわかるでしょう。スポーツとも音楽その他の文化活動ともまったく無縁にただ大きな建築物を造って利益を上げたいだけの人々とそれを応援することによってオコボレに与るステークホルダー(利害関係者)の存在が…。まずメディアもステークホルダーだというところがコノ運動の最大の障害といえるのは読売ジャイアンツや箱根駅伝や高校野球をマスメディアが主催することでスポーツを歪めているのと同じ構図ですね。いや戦前に戦争を煽ったマスメディアと同じというべきか……。建築家の松隈洋氏や森山高志氏と近いうちに京都でゆっくり呑みましょう…などと挨拶して別れて広島ヤクルト戦で賑わう神宮球場を横目に帰宅。飛田穂洲氏がその昔甲子園と並んでアメリカ大リーグに負けない素晴らしい球場と絶賛した神宮球場も早晩建て直さなければならないはず。どんな球場になるのか…。しかしスポーツ施設に対してスポーツマンやスポーツジャーナリストが意見をほとんど言わないことも不思議だが元々明治天皇を顕彰する事で生まれた明治神宮の外苑がこれほど痛めつけられようとしてるのに右翼団体が何も言わないのも不思議と言えば不思議ですね。とはいえ構造設計も含めた基本設計が先月には出来ていなければならないはずなのに発表されないと言うことはこの馬鹿でかい建造物が本当に出来るかどうかわからないということなのか?

DVD
『私は二歳』
『私は二歳』
『プレーンズ』
『プレーンズ』
BOOK
ホセ・トレス『カシアス・クレイ』(朝日新聞社)
ホセ・トレス『カシアス・クレイ』(朝日新聞社)
BOOK
広瀬一郎『新しいスポーツマンシップの教科書』(学研教育出版)
広瀬一郎『新しいスポーツマンシップの教科書』(学研教育出版)

4月24日(木)
朝黒兵衛と散歩のあと仕事。当たり前か。しかしTPPはどーなるのですかねえ。日米安保はどーなるのですかねえ。すべて2020年の東京五輪パラ五輪をどーするかということをキチンと考えればある程度の答えは見えるはずですが2020が1964の拡大版としか考えられないようでは日本の未来もクライですねえ…などと思いながら1964の資料を読んでいると広瀬一郎さんから『新しいスポーツマンシップの教科書』(学研教育出版)という本が届く。イチロー・ジーコ・瀬戸大也まで引っ張り出して模擬授業まで提示した教科書。はてさて体育の授業でどれくらい使われるか?あ。道徳の授業で使ってもらえればいいのですよね。昼飯映画劇場は市川崑監督『私は二歳』。監督に子供が生まれた時期に奥さんの和田夏十さんが松田道雄の育児書を「原作」にして脚本を書いた作品。文句なしに面白かった。1962年の作品だけど赤ん坊を中心にした夫と妻と老婆と御近所と…の問題は今も同じ。しかし山本富士子という女優さんは単なるミスユニヴァースではないのですね。レッキとした大女優さんだということを再々確認。午後からも仕事。当たり前か。晩飯映画劇場は勅使河原宏監督の短編集。『東京1958』の面白さに舌を巻く。昭和33年の日本の若者は和製デル・シャノンも和製アニタ・オデイもいたのだ。しかし昭和30年代の日本は貧しかった。家も道路もぐじゃぐじゃ。しかし夢は確かにあった。エアコンの付いた部屋で40インチ薄型テレビの前で二極化社会を嘆くのは貧乏が悪いのではなく夢が持てないのが悪いのだ。さらに勅使河原監督がボクサーのホセ・トレスの短編ドキュメンタリーを撮っていたことに衝撃。ライトヘビー級王者のホセ・トレスがモハメド・アリについて書いた『カシアス・クレイ』(朝日新聞社)はボクシング・ライティングの教科書ですからね。抜群の教養も魅力もあるチャンピオンだったのですね。しかもバックの武満徹の音楽が抜群!…などと思っていると孫たちが帰ってきたので晩飯映画劇場は『プレーンズ』に変更。農薬撒布の飛行機が世界一周レースに挑戦。カーズのヴァリエーション航空機編…と思っていたら飛行機は戦闘機にもなるわけで物語はチョット違う方向へ。主人公の農薬撒布飛行機はグラマン(F6Fヘルキャットとドイツのユンカースが合体したような第二次大戦時の戦闘機)のコーチを受けたうえに太平洋上で空母アイゼンハワーに助けられる。レースカーは戦争とは無縁だったけど航空機はこーなりますか…。ま。これもアメリカのウマイトコロですね。しかしグラマンが闘った相手は太平洋戦争で日本の零戦だったはずだけど…日本と戦争したのかどうかよくわからなかったなあ。メキシコの飛行機と仲良くなるサクラという日本の女性飛行機は出てきたけど…。戦争付きカーズの二番煎じならカーズで十分ですね。

シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』(白水社)
シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』(白水社)
DVD
『ジュリアス・シーザー』
『ジュリアス・シーザー』

4月25日(金)
朝黒兵衛と散歩のあと仕事。当たり前か…と今日も昨日と同じ言葉を並べる(ただし書いているのは日曜早朝)。同じ言葉が並ぶのはイイコトですね。ずっとそーゆー言葉が並んで1年が終わるくらいイイコトはない…などと思いながら明日のオペラ講座のレジュメを準備。昼飯掻き込んだあとは東京五輪1964資料読み。何処まで続く泥濘ぞ…状態になってきた。そろそろマトメのメモを整理し始めないと…と思いながら夕方の黒兵衛と散歩のあと勅使河原宏監督のDVD全集に収められていたテレ東のために作ったドキュメンタリーを見る。うわっ。仲代達矢が『ジュリアス・シーザー』でアントニウスの演説をやってる。長嶋茂雄氏が一度目の巨人監督を解任されて日本中が大騒動になった時このシェイクスピアが書いた名演説のパロディが週刊誌(朝日か?毎日か?)に載ってその見事さに感激したことがあった。シゲザー(シーザー=長嶋茂雄)を殺したフジータス(ブルータス=藤田元司)の両者をワントニウス(アントニウス=王貞治)が称えて民衆の怒りの声を収める。「嗚呼シゲザーは高潔の人でありました。しかしフジータスもまた高潔の人であります」とかなんとか。昔読んだときはヤラレタァーと思いましたね。俺がやるべきパロディだったから。あの切り抜きは何処へ行ったかな…。仲代達矢のアントニウスもナカナカだったけど勝新太郎のドキュメンタリーの方が面白かった。座頭市の監督主演をしている光景をフィルムに収めてのインタヴュー。昔大島渚さんから「六分の侠気四分の熱という歌があるけど勝新は八分の侠気二分のスカタンやと大映の永田雅一さんが言ってた」という話を聞いたことがあった。永田さんは呆れて言ったが大島さんはこれを最高のホメ言葉と取った。なるほど勝新は凄い人だと勅使河原監督のインタヴュー映像を見てるとわかる。昔の人はデカかったなあ。続けて勝新主演安部公房原作勅使河原宏監督の映画『燃え尽きた地図』を見始める。コレコレ。昔池袋の地下の名画座で見たヤツ…。再度見ると映画そのものよりも昭和の光景や昭和の役者に目が止まって引かれますねえ…。

DVD
『かぞくモメはじめました』
『かぞくモメはじめました』
CD
『Butte Midler』
『Butte Midler』
『ROSE』
『ROSE』

4月26日(土)
朝黒兵衛と散歩のあと仕事…と今日も書きますけどジツはコレはすべてウソです。というのは黒兵衛と散歩の前に本を読んだりこのコーナーの原稿を書いたりしてるからです。黒兵衛との朝の散歩は午前8時半頃から約40分間(その後体操10分)。その前に午前5時半頃から毎日目が覚めてますからね。何しろもう還暦を過ぎてますから…と書きましたがコノ文章はホントウでしょうか?ウソでしょうか?…なんて質問は愚の骨頂でイエス・キリストが世界史に登場して以来質問や疑問の答えは二択ではなく三択になった(ということを書いたのは確か別役実だった…かな?)。つまりYESと思うか?NOと思うか?に加えてキリストが「どちらでもない」という「解」を与えた。天国は存在するか?存在しないか?…答えはどちらでもない。天国は信じる者の心の中に存在する…というわけだ。天国に行けるのですか?行けないのですか?信じる者は既に…というわけ。では本欄に書いてる小生の文章はホントウか?ウソか?ドチラデモナイか?正解はドチラデモナイですよね。ある私の知らない人物から「いつも楽しく読んでますが書かれてることはすべて本当なのですか?」というメールをいただいたので(そんなメールは2通目かな?)コレが回答です。うわっはっはっはっはっは…と何故か高笑いしたくなる…なんてことを考えながら(ホンマカイナ・笑)新幹線で名古屋へ。今日からオペラ講座新学期。今学期はモーツァルト三大オペラ徹底解剖。まず今月と来月は『フィガロの結婚』。凄いオペラですねえ。おもけに2006年のモーツァルト生誕250年紀年にザルツブルクで上演されたアーノンクール指揮グート演出の舞台は凄いですねえ。原作のスラップスティック吉本新喜劇流ドタバタ喜劇をここまで暗い人間ドラマとして描けるのですねえ。いやぁモーツァルトは凄い。ピーター・セラーズの現代ニューヨーク版演出もチラッと見て今日は第1幕と第2幕。残りは来月…で新幹線でビール飲みながら資料読み。仕事してるのか?酒呑んでるのか?答えはどちらでもない……。

4月26日(土)つづき
名古屋から帰宅して晩飯映画劇場はWOWOWを録画しておいた『かぞくモメはじめました』(日本語タイトルは平仮名と片仮名なんですね)。小生の大好きなベット・ミドラーが婆さん役で登場している家族崩壊(と言うほどオーバーなものではないが)コメディ。ネット産業で成功してる若夫婦と若夫婦に育てられたコマシャクレタ3人の孫の面倒を見る老夫婦の奮闘劇。面白かった。しかしベット・ミドラーは老いても達者ですね。この大歌手が新譜LPでグレン・ミラーのin the moodを歌ってるのを聴いたとき(学生時代だったかな?)はぶっ飛ぶほど驚きましたね。小生の大好きな同時代外国人女性シンガーの3人のうちの1人です。あとの2人はクレオ・レーンとバーブラ・ストライザンド…かな。

DVD
『おはん』
『おはん』

4月27日(日)
朝黒兵衛と散歩のあとゴールデンウィークとは無縁に原稿書き。家族も仕事や買い物でGWとは無縁の様子。昼飯掻き込んでまた原稿書き。一人だから仕事が捗るというわけでもないけど夕方の黒兵衛の散歩まで一気に集中。しかしナカナカ音楽の原稿はムズカシイ。ま。GWですから…と原稿は途中で放棄して晩酌映画劇場を始める。市川崑監督吉永小百合大原麗子二大女優競演宇野千代原作『おはん』。タイトルバックの五木ひろしのド演歌はある意味衝撃的ですねえ。映像は美しいですねえ。ミヤコ蝶々の関西弁の台詞は見事ですねえ。とはいえイマイチ煮え切らないのは監督が原作に惚れ込みすぎたから?あるいは石坂浩二が阿呆な男に見えないから?しかし宇野千代の原作を読みとなった…のは映画として成功?失敗?どちらでもない…が正解でしょうねえ。

DVD
『アザー・ファイナル』
『アザー・ファイナル』
『ザ・カップ 夢のアンテナ』
『ザ・カップ 夢のアンテナ』
『ネクスト・ゴール』
『ネクスト・ゴール』

4月28日(月)
朝黒兵衛と散歩のあと原稿書き。山下洋輔さんからスペシャル・ビッグバンドのライヴCDのライナーノートを書けという光栄余りある栄誉を受けて喜び勇んで書き始めたけどナカナカ上手くイカン。音楽はムソルグスキーの『展覧会の絵』とラヴェルの『ボレロ』(6月新譜)。ライヴで聴いたときの興奮を整理し直そうと思って「クラシック+アフリカンビート=ジャズ」なら「クラシック+ジャズ=メタ・ジャズ」……という論法で行こう!とは思ったものの視聴盤を聴いてると面白すぎて聴き入ってしまってキイボードが打てん。しかしこの演奏はスゴイなあ…。おまけに次回の洋輔さんとスペシャル・ビッグバンドのコンサート(7月17日)のプログラムは『展覧会の絵』とドヴォルザークの『新世界交響曲』だという。どんなメタメタ・ジャズになるのか…楽しみと言うよりちょっとコワ〜イ気もする。なんせ『新世界』はバーンスタインによるとアメリカ音楽ではなくチェコの音楽ですからねどんなジャズになるのか…あ。大阪ミナミの新世界になったりして…それはないか(汗)。昼飯映画劇場はNOBORDERのS氏が送ってくれたサッカー映画の『アザー・ファイナル THE OTHER FINAL』。2002年の日韓W杯の決勝日に行われたブータンvsモントセラトのFIFAランキング最下位決定戦ドキュメンタリー。ホンモノのW杯に予選落ちしたオランダのサッカー・ファンが仕掛けたイベント。なかなか面白かったけど野球などのアメリカン・ゲームに較べて試合中の中断が少ないヨーロピアン・ゲームにドラマを持ち込むとどうしても試合前後の物語となりますね。午後から原稿書きの続き。一応書きあげて一晩寝かせることに。寝て起きて読み直すとアホ書いてたと思うことが多いですからね。夕方の黒兵衛との散歩のあと晩飯映画劇場は市川崑監督『ビルマの竪琴』。昔小学校に巡回してきたのを見た映画と85年のリメイクを15分ずつ比較して見る。なるほど市川監督がカラーで撮り直したかった理由がわかる…とはいえメシを食いながら出来る作業ではないので途中からメシとサケに専念。しかし『ビルマの竪琴』は大名作映画ですね。フジテレビも1985年にはこんな素晴らしい映画にカネを出してたんですねえ。大和だ零戦だと騒いでる人は『ビルマの竪琴』も見ましょう。

BOOK
ガルシア・マルケス『百年の孤独』(新潮社)
ガルシア・マルケス『百年の孤独』(新潮社)
ガルシア・マルケス『族長の秋』(集英社文庫)
ガルシア・マルケス『族長の秋』(集英社文庫)
LIQUOR
『百年の孤独』
『百年の孤独』
『ハナタレ』
『ハナタレ』

4月29日(火)
昭和天皇誕生日。これを書いてるのは30日の朝〜正午前。前日の28日の分もそうだったけど…どーやら28日の出来事として書いたことのいくつかは29日の出来事だったようでこんなふうに時間がごちゃごちゃに入り混じるのはガルシア・マルケス的と言えるかも…。そういえばマルケス死にましたね。何年か前に南米を旅行したときブエノスアイレスの原宿のような繁華街の小さな本屋の店先にマルケスやらリョサの本が平積みされてるのを見て驚いたことがあった。まあ日本でも村上春樹がズラリと並んだりするとはいえあの小ささの日本の本屋なら店頭には写真集ですね。電話がイロイロかかってきたのは今日か昨日かよくわからんけどNBAでは黒人差別の発言が問題になったとか。スペイン・サッカーではブラジル人差別が。日本でもJapanese onlyの垂れ幕が問題になったけどすべてはスポーツの素晴らしさの結果。つまりあらゆる面で平等の参加を求めるスポーツは社会に存在する差別の構造や差別的な考え方を浮き彫りにしてくれるのだ。アベノミクスでは女性の管理職を増やすことに力を入れているらしいけどそれなら女子高校野球や女子大学野球の選手を増やして女子大会を行うことにも力を入れて欲しい。あ。柔道の天皇杯全日本選手権は21歳の東海大学の学生が優勝したけど何故男子だけ?女子の皇后杯は武道館ではなく横浜文化体育館で別の日に行うのは差別的ではないの?NBAやバルセロナの問題を語るには日本の足元も見直さなければ…。しかし東京六大学野球とか箱根駅伝とかが存在しても別にかまわないけどそれらは誰もが参加できるスポーツではなく反スポーツ的な組織でありイベントであるということは知っておくべきでしょうねえ。昨日と一昨日がゴッチャになった一日。どうせなら一昨日昨日今日明日明後日がゴッチャになって現れればオモシロイのに…。マルケスの『百年の孤独』を読み直すか。いや焼酎の『百年の孤独』にするか…。

4月30日(水)
朝RKB毎日放送『ニュース新発見インサイト』電話出演。天皇杯柔道と皇后杯柔道と日本の社会(スポーツ界)の男女差別について話したあとイロイロ仕事して昼過ぎに新横浜へ。新幹線で大阪へ。車中『文学者の見た世紀の祭典東京オリンピック』講談社文芸文庫を読み直し読み耽る。三島由起夫石原慎太郎大江健三郎遠藤周作獅子文六井上靖亀井勝一郎石川達三有吉佐和子瀬戸内晴美武田泰淳北杜夫松本清張大岡昇平柴田錬三郎壇一夫小林秀雄阿川弘之…皆さんスポーツに無知であることを告白しながらスポーツを見る目は確かですね。いや表現が確かなのかな。いやいや確かな表現方法を持つということは見る目が養えるということか。虫明亜呂無氏の文章がないのが残念。あれ?そういえば氏の東京五輪に関する文章は…読んだことがないか…?夕方毎日放送『VOICE』出演。徳島ヴォルテスが9連敗で連敗から脱出をとりあげるけどドンマイドンマイ。パープルサンガ時代の京都は17連敗しましたからね。あ。ドンマイというのは関西ではダンナイ(ドーモナイ)が訛ったものと思われています(?)。他に学校の授業に出ずに保健室で過ごす生徒の話題(ムズカシイ問題ですね)やら吉野熊野の社寺の仏像神像の話。仏像はヘレニズム文化以来の洗練された形がありますが神像というのは素朴でオモシロイですね。最後にMCの西アナから今日の視聴者からの声のテーマで「宝物は?」と訊かれたので「三波春夫さんからいただいた長さ4メートルの手紙」と答える。もちろん墨痕鮮やか朱印付。ちょっと脅かしすぎたかな…で新幹線で帰宅。帰りの車中もビール飲みながら文学者のオリンピックを読み耽る。日本人が劣化してるのは政治家や官僚だけではないのですね。文学者も…スポーツを見る目も…スポーツを表現する技術も…?

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