3月1日(火)
ベッドでプーシキン『ボリス・ゴドゥノフ』読了。薄いページの本に時間がかかったのはオペラの舞台やクレムリン内のプーチンの姿をいちいち想像したからか。クレムリン(ロシア王朝帝国の支配者)は昔も今もツァーリ(皇帝)の権力を中心に廻ってるのですね。ウクライナがキエフ公国以来の歴史を断ち切って民主化したところへツァーリの軍隊が侵略を始めたわけですね。この構図はクレムリンを紫禁城(中華王朝帝国の支配者)に…ウクライナを台湾に置き換えられるのかな。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。庭の枝垂れ梅が一二輪花を付けた。梅一輪一輪ほどの暖かさ。今日から弥生。草木が「いよいよ生い茂る」という意味らしい。もとは旧暦三月だからもう少し先のことかな。歳を取ると月日の進むのが速く感じるというが最近はそうでもない。コロナはずっと続いている。戦争も続く。朝の明けない夜はない。春の来ない冬はない。?春よ来い早く来い。歩き始めたみいちゃんが赤い鼻緒のじょじょ履いておんもに出たいと待っている。イイ歌ですね。放送批評懇談会の雑誌『GALAC』からスポーツ・ドキュメンタリーの原稿を依頼されて書き始めるがウンウンウンウンムムムム…と悩む。市川崑さんの『東京オリンピック』を中心に…というのは既に書いたからなあ…拙著『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』にも収録したし…編集部に相談して解決法を見つける!!その中味は内緒(笑)。締め切りを金曜まで延ばしてもらってホッと一息。晩飯はウクライナのニューズを見ながら。プーチンは柔道とテコンドーの国際組織の役職から排除されましたね。指揮者のゲルギエフはウィーン・フィル&ミラノ・スカラ座の指揮台から排除されたのに続いてミュンヘン・フィルの指揮者も降ろされましたね。北京パラリンピックのロシアとベラルーシの選手はどーなるのかな?IOCはかなり厳しい措置を執るよう要求しているようですが…中国の組織委はどー出るかな?。
3月2日(水)
ベッドで芥川龍之介『馬の脚』(『芥川龍之介選 英米怪異幻想譚』岩波書店)読む。大正時代北京の三菱商事に務めるエリートが脳溢血で亡くなったはずが脚の腐乱だけで助かりアノ世で馬の脚に付け替えられて生き返り必死になって馬の脚を妻や会社の仲間に隠して行き続けるが…という話。芥川がこんなヘンテコリンな話を書いてるのは面白い。そう言えば『蜘蛛の糸』も結構へんてこりんな話ではありますね。ワン。黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事。ロシアのウクライナ軍事侵攻とスポーツや芸術行為との関係をまとめる。IPCやIOCの北京パラリンピックへの対応やFIFAのサッカーW杯カタール大会予選への対応や国際柔道連盟&テコンドー連盟のプーチン大統領に対する処分…それにプーチンと懇意だったと言われる指揮者ゲルギエフをウィーン・フィル&ミュンヘン・フィル&ミラノ・スカラ座が指揮台から降ろしたこと…等々をまとめて夕方の某出版社からのZOOM取材を受ける。そのためスポーツ立国推進塾は欠席<(_ _)>。ロシアの軍事行為が文化&スポーツにも大きく影響を及ぼしているのはロシアが権力一極集中の専制主義国家である証拠と言えるようですね。アメリカもイラク等へ軍事侵攻していますがそれがスポーツ界や音楽界に影響を及ぼしたことはなかったですからね。久し振りの晩飯映画劇場は『ニック・オブ・タイム』。突然男が娘を誘拐されて90分以内にカリフォルニアの女性州知事を射殺しないと娘を殺すと脅され実行する羽目に陥る。知事の夫やボディガードも殺人計画者の仲間で…なるほどオズワルドモこんなふうにしてケネディ大統領暗殺を強要されて犯人に仕立てあげられたのか…とも連想したが何ともリアリティのないハリウッド娯楽映画。ジョニー・デップ主演でなければ途中で見るのをやめたでしょうね。映画内の進行時間が本当に進む時間とほぼ同じ90分というやり方は『真昼の決闘(ハイヌーン)』と同じ手法でも完成度は雲泥ですね。
3月3日(木)桃の節句
ベッドで坂口安吾『日本文化私感』読み直す。「京都や奈良の寺がみんな焼けても日本の伝統は微動もしない」「我々に仏教が必要ならばそれは坊主が必要なので寺が必要なのではない」「人間はただ人間のみを恋する」ナルホド。ゲージュツはバクハツだあ!の岡本太郎も確か法隆寺の金堂が消失してときに「法隆寺など焼けて結構」という文章を書きましたね。「またつくれば良い」と。ロシアがいくら空爆やミサイル攻撃を重ねてもウクライナ国民が負けそうにないのは長いキエフ文化に対する自信と矜恃があるからでしょうね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。しかしプーチンはどこまで何をするつもりか?在日本のロシア大使が日本のテレビ番組でウクライナ政府をナチス呼ばわりしていたがこの発言の真偽はきちんと検証すべきですね。ワン。チョイと仕事して午後からコロナ・ワクチンのブースター接種。Boosterという言葉を初めて知ったのはスペースシャトルの打ち上げのときでしたね。補助ロケットエンジンのことでしたね。鎌倉武道館でファイザーのワクチンをブースターで打ってもらうが地球を離れて宇宙へ飛び出すような副反応はナシ。当たり前か。北京パラリンピックへのロシア選手とベラルーシ選手の扱いをIPCがミスったですね。FIFAのように最初から出場禁止にするべきだったのに個人での出場を認めるとかヤヤコシイ判断は避けるべきでした。そもそもパラリンピックがオリンピックに準じるのなら国単位で出場することも国別獲得メダル数を発表することも五輪憲章違反のはずですからね。来週月曜の『ニューズ・オプエド』は春日良一さんに出てもらってそのあたりを話し合うことにします。
3月4日(金)
昨日坂口安吾の『日本文化私感』を読み直したくなってベッドに持ち込んだ一冊は『日本近代思想エッセンスちくま近代評論選』という一冊。すべて何年か前に一読したはずだが明治・大正・昭和戦前。戦後に分けられた36人の「有識者」の文章はどれも凄い!徳冨蘆花『謀叛論』(幸徳秋水の大逆事件に怒る)福田恆存『一匹と九十九匹と』(文学と政治について)永井荷風『新帰朝者日記』(荷風はピアノでショパンのソナタを弾けるのですね)中野好夫『悪人礼賛』(ニーチェ&ワーグナー&シェイクスピア『オセロー』まで持ち出して悪人を絶賛)…を拾い読み。本物の有識者の書く文章は面白い。ワン。黒兵衛と散歩。昨日受けたワクチン3度目接種の副反応も一切無く毎日の通りスクワット40回とダンベル運動もこなす。そもそも小生は幸か不幸か頭痛というモノを経験したことがない。もちろん10年ほど前に脳出血に見舞われた時も痛みはゼロ。そもそも脳には痛点が存在しないのだが女房に言わせると神経が鈍いだけだと言う。その通りだろう。世の中は女性の意見に従っておくほうが平和裏に整います。原稿執筆はNPO放送批評懇談会の雑誌『GALAC』が特集する『スポーツジャーナリズム論』について市川崑&リーフェンシュタール&ナンバー創刊&山際淳司『江夏の21球』などを取りあげて纏め直す。ふうう。夜は酒&晩飯&風呂のあと北京冬季パラ開会式。スポーツは戦争と平和に無力…か?IOCとIPCの「平和志向」はどこまで本気か?どこまで現実的か?メディアが伝えるウクライナの現状とムーンフェイスのプーチン・ロシアの懸け離れた現実のなかでパラスポーツを行う意義は?来週月曜の『ニューズ・オプエド』で春日良一さんと諸星裕さんをゲストに迎えて話し合いたいと思います。
3月4日(金)つづき
兵庫県立文化芸術劇場の『佐渡裕プロデュース・オペラ/プッチーニ作曲「ラ・ボエーム」(7月公演)』について昨週金曜に佐渡裕さんと対談・記者会見を行った内容が神戸新聞とクラシック音楽の雑誌「ぶらあぼ」に掲載されました。興味のある方は覗いてみて下さい。
3月5日(土)
朝ベッドのなかで『ちくま近代評論選』のなかから北村透谷『人生に相渉るとは何の謂ぞ』夏目漱石『私の個人主義』正岡子規『歌よみに与える書』読む。どれも面白い評論と言うよりはエッセイだが目次を見直して我が国の「近代評論」には国際的視点とか戦争論はないのかな…と少々疑問に思う。こんな疑問が頭に浮かんだのはウクライナを巡る情勢があるからかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。プーチンはウクライナに軍事侵攻を始め中国は全人代(全国人民代表大会)を開始。パラリンピックは無視されてる?ワン。確かにウクライナの惨状を伝えるニュースを見るとパラリンピアンには申し訳ないけどスポーツに興じていて良いのかな?という気持ちも湧いてきますね。ヒトラーは第二次大戦で占領したパリからの撤退を決めたときパリを焼き尽くす命令を出してパリは燃えているか?と何度も訊いたらしいがヒトラーの命令に背いた軍人のおかげでパリは燃えなかったという。世界遺産が多数あるキエフは大丈夫か?キエフと姉妹都市の京都は市役所の前に献花台と募金箱を置き難民受け入れを発表。二条城もウクライナ国旗の色にライトアップしたらしい。どんな形でも声をあげて意思表示はするべきですね。もちろんアスリートも!スポーツと政治は切り離せ…という声も一つの政治的発言ですからね。
3月6日(日)
『ちくま近代評論選』のなかから女性筆者ばかり読む。宮本百合子『歌声よ起これ』与謝野晶子『母性偏重を排す』平塚らいてう『元始女性は太陽であった』樋口一葉『みずの上日記』与謝野晶子の文章など女性を子作りの機械などと称した代議士に読ませたいが女性の文章が36分の4というのも淋しいですね。ワン。黒兵衛と散歩のあとデスクワーク。先日ZOOMで取材を受けた『ニュー・メディア』の校正をしたりオリンピックと戦争について調べたり…。日本もドイツと同様第二次大戦後の1948年ロンドン五輪には参加を拒否されましたが40年の東京五輪大会を返上してヘルシンキとなったのがソ連のフィンランドへの軍事侵攻で中止となったことは問題にされなかったですね。フィンランドがナチス・ドイツ側についてソ連と戦ったりソ連がナチスと独ソ不可侵条約を結んでポーランド分割をしたこと等が不問となったのはその後ソ連が連合国側についたから?しかしフィンランド人の故郷とも言われてシベリウスが『カレリア組曲』を作曲したカレリア地方のほとんどはソ連(ロシア)に奪われたままなんですよね。そして今ウクライナに軍事侵攻したロシアに対抗してフィンランドはNATO加盟を考慮しているようです。嗚呼。晩飯は『鎌倉殿の13人』を見ながら。しかし北条時政というのはあんな弱々しいキャラだったのかなあ?
3月7日(月)
ロシアのウクライナ侵略戦争を機にロシアのスポーツを考え直そうと『オプエド』にも何度か出演してもらった一橋大大学院教授の坂上康博さん編著の『スポーツの世界史』をベッドに持ち込み第8章「ソヴィエト/ロシア―スポーツ大国の成立と再生」を読み直す。著者は著者は札幌大学の岩本和久教授。この本は全22章650頁余。どの国のスポーツ史の紹介も面白いがロシア史もスポーツに強い関心を持ったトルストイからプーチンによる国家ぐるみのドーピングまで見事に纏まっている。再勉強。ロシアのスポーツのヒーローは旧帝国内のエストニアやウクライナの出身者もいたのですね。プーチンはその再現を狙ってるのですね?ワン。黒兵衛と散歩のあと構成素の他の仕事を済ませてイロイロ準備して『ニューズ・オプエド』ZOOMリモートMC出演。ゲストは五輪アナリスト春日良一さんとミネソタ州立大特別功労教授の諸星裕さん。国連の五輪休戦決議を破ったロシアの意図をオリンピックが止められなかったことについてイロイロ話し合ったほか労使の交渉が暗礁に乗り上げているメジャーリーグについて福島良一さんに電話出演で解説してもらう。さらにメジャーの守備シフトに関するルール改正や投球時間の短縮や一二三塁のベースの拡大についても解説いてもらう。AIロボット審判の起用は見送られたとか。パラスポーツ・ライターの星野恭子さんには北京パラ五輪現地からZOOMレポート!!コロナ対策バブルは相当厳しいようで春日さんも中国に渡ることはあきらめたとか。いろいろオモシロイ話は今でも(3/7午後5時頃までは)聞けますので『オプエド』へ!! https://op-ed.jp/
3月8日(火)
何年か前に二度ほど執筆させていただいた縁で丸善出版から季刊『學鐙』が送られてくる。これが毎号面白い。今号(春号)は「旅」が特殊のテーマで全卓樹高知工科大学教授が書かれた「ブラックホールの旅」(14億光年離れた太陽の質量の35倍と30倍の2つのブラックホールの合体に起因して0.2秒の間に空間が8周期伸縮する振動が信号として捉えられたらしい!)や岡本亮輔北海道大学大学院准教授の「聖地が終わり巡礼が始まる」(宗教学の先生には霊能系アニミズム系古代系山岳修験系原理主義彼岸系と言える各種先生がいるらしい)や小山慶太早稲田大学名誉教授の連載「科学徒然草―火星の生命探査と明治のジャパノロジスト」(火星に「運河」を「発見」したローエルは明治時代に何度も日本を訪れ日本人は物事をすべて逆に見ている―言葉の順序が逆・筆を右から左へ動かす・濡れた傘を柄を下にして立てかける・マッチを内側に擦る…などと本に書いた)…他にも読み出したら止まらない面白さ満載。そう言えば最近は面白い雑誌が沢山消えたなあ…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとデスクワーク。校正原稿2本。あ。先程『學鐙』の記事紹介の文章は小生が選んだ少々本筋とは離れて面白いと感じた部分で結論はもっと真面目にい面白いものですから誤解の無いように。晩飯はNHK-BSで昼間にやっていたショーン・コネリー&ニコラス・ケイジ主演『ザ・ロック』を見ながら。メッチャ迫力あるカーチェイスなどを笑いながら見ていたら途中でプッツン。DVDハードの残量不足。ま。いいか。どうせハリウッド的結末だから…とウクライナのニュースに変更。アメリカやNATOやトルコや中国よりも戦争終結にはアノニマスに期待するしかないのか?
3月9日(水)
昨日も書いたが『學鐙』(丸善)の今号は本当に面白い。吉岡乾(国立民族博物館准教授)『フィールド言語学者からみた旅』(ヒマラヤの麓で谷ごとに異なる言語を採取されていることを知るだけでも凄い!)榎原雅治(東大史料編纂所教授)『東海道の風景と中世の旅』(近世以前の旅のボディガードに雇わざるを得なかった「兵士」は瞬時に山賊に変身したのですね)神崎宣武(民俗学者)『日本人の様々な旅のかたち』(物見と遊山。人はなぜ観光旅行をするのか?という命題は面白い)水無田気流『「多様な社会」への困難な旅』(セクハラは「和体化語」それに対してダイバーシティは「黒船語」?という分類は面白い)などベッドで眠るのを忘れるくらい興奮した。ただ…長年マスコミの世界で仕事をしてきた人間としては学者先生方の付けるタイトルは温和しすぎますね。エッセイとしても一流の文章が並んでいるのにもっと面白いタイトルを付けて多くの人に読んでもらわないと勿体ないですな。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日原稿書きやら校正やら本HPの更新原稿作りやら…いろいろデスクワーク。晩御飯食べながらロシアのウクライナ軍事侵攻のニュースを見て驚愕。チェルノブイリで電源喪失!?それって「フクイチ(福島第一原発)」で起きたことと同じことが起こるということ!?戦争に「抑止力(核)」が絡むと何を「抑止」しなければならないのか…どこで「抑止力」を働かさなければならないのか…よくわからないなりますね…。ポーランドのミグ29戦闘機をウクライナに送ることは「抑止」しなければ(されなければ)ならない?
3月10日(木)
「核抑止力」とは所詮は「恐喝力」のこと。どれだけ強く相手を「脅す」ことができるか…ということなんですね。アメリカとNATOがポーランドにあるミグ29をウクライナに譲渡するのを躊躇(ためら)ったのはロシアの「恐喝」にビビったから?もしもそうなら「核抑止力=恐喝力」は先に戦争を仕掛けた側に有利に働くのですね。ヤクザな世界になったモノです。高見順の『文学非力説』を読んでさらに「核抑止力=恐喝力=ヤクザな力」の馬鹿馬鹿しさに納得。戦時中に「大東亜共栄圏での文化的指導」「支那人の教育」を力説する文学者や文化人を高見順は否定。その論拠に岡倉天心の『茶の本』から次の文章を引用した。《自己に於ける偉大なるものの小ささを感じることのできない人々は他人に於ける小さなものの偉大さをも看過しがちである》プーチンはロシアは偉大でウクライナはチッポケと思ってるのでしょうね。バッハIOC会長(やクーベルタン男爵)もスポーツ(の力)は偉大だと思ってるのでしょうね。かつて新聞のコラムで坂本龍一氏が「音楽の力」なんてことをミュージシャンが口にしていけないというようなことを書いていたけど「力」を誇示することはすべて「抑止力=恐喝力」ということですね。ワン。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。メジャーリーグが投手の投球の時間制限や守備位置の極端なシフトの禁止や一二三塁ベースの拡大というルール改正に来年から踏み切るという話。ベースを大きくすると塁間が狭まる(現計画では15センチほど短くなる)わけで盗塁成功率が高まるかな?…など話して黒兵衛と散歩。ロシアの「恐喝」から日本も「核共有論」を口にする人が出てきた。ヤクザに脅されたら敵対するヤクザの子分に擦り寄るほか道はないと考えるのは愚かな選択というほかないでしょう。小生も参加する「エンジン01文化戦略会議」がロシア大使館に抗議文を提出するというので小生も署名に参加する。ヤクザの「脅し合い」への参加を促すよりも小さな声の結集を!!
3月11日(金)
11年前のこの日のことは今も忘れません。烈しい揺れで1階から次女の叫び声が聞こえて2階にある小生の仕事部屋の窓ガラスが大きな音をたてて揺れ机の上からPCの1台が滑り落ちて本棚のCDがバラバラと落ちて慌ててベランダに通じる窓を開けて…揺れが治まって1階へ階段を降りると次女が生後半年の孫を抱きしめて廊下にへたり込んでいました。しかし本棚はすべて本がぎゅうぎゅう詰めに詰まっていたおかげで飛び出すだけで落ちることはなく神奈川県南部の我が家ではガラスのコップが2個割れた程度で済みました。しかし揺れの大きさには驚くほかなくその後続いた余震も震度3や4程度ではそれほど驚かなくなり暫く停電するなかカセットコンロで湯を沸かして暖を取りました。やがて停電が復旧してテレビで見た東北地方の津波の光景のほうがショックが大きく唖然とするほかなかったですね。女房は京都に帰っていたので被災とは無縁。東京に住む長男と長女も無事を確認。その年の秋から9年間石巻専修大学からのお誘いで東京都の復興事業と東京五輪招致運動の一環として石巻市の『武道フェスティバル』に毎年お付き合いすることになりました。他に福島県いわき市での佐渡裕指揮シエナウインド・オーケストラの公演にも参加。原発も含めた被災地には毎年のように訪問させていただきました。しかしコロナの影響もあったとは言え東京五輪が復興とは無関係としか言えない状態で騒がれたのは残念というほかなく今年から政府主催の追悼式もなくなりウクライナでは戦争が…。せめて仕事の合間に午後2時46分の黙祷だけでも…という11年目の3・11でした。
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『新幹線大爆破』 この映画小生は大好きです。70年代は弱者と反体制に暖かい時代でしたね
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3月12日(土)
昨日届いた『スポーツゴジラ』第54号読む。特集は「人材育成」で第12回スポーツ学会大賞を受賞した花巻東高校野球部の佐々木洋監督の記念講演が興味深かった。今年1月22日の表彰式での記念講演をまとめたもので小生も表彰式と公演には参加したが菊池雄星&大谷翔平の遼選手を育てたという以上に本人のあらゆることに興味を持つ性格(庭造りから経営論まで)がユニークな選手たちを育成したというほかない。菊池雄星選手への受賞インタヴュー(上杉鷹山の話や子供たちの読書感想文コンクールを主宰していること)も面白いが小生の新連載「走」も読んで下さい。第1回は『「速さ」は産業革命以後の価値!?』というタイトルで毎回1ページで「走る」という意味を考えてみます。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。昨日の本欄に書かなかったけど昨晩の晩飯時に映画『新幹線大爆破』をやっていたので見てしまう。コレはよくできた映画ですね。1975年の映画は日本の高度経済成長の歪みも描き新幹線に爆弾を仕掛けた犯人(高倉健)へのシンパシーも感じられますね。反体制派が健全に存在できる世の中でなければ良い世の中とは言えませんね。国連でも嘘をつきジャーナリズムの存在を許さないロシアは論外ですが現代日本のジャーナリズムはロシアと違うと自信を持って言えるかな?ワン。週刊新潮にコメントを出しましたが札幌市は2030年の冬季五輪を招致するかどうか市民にアンケートを取るそうですが結果がどうあれ招致する方針は動かさないそうですね。誰が招致を推進しているのか?名乗り出てハッキリと招致理由を表明してほしいですね。東京五輪2020招致には当初小生は意味を見出していました(日本のスポーツを体育からスポーツの完全転換するきっかけにする!)が札幌冬季五輪は今のところ小生は招致する意味を見出せません。
3月13日(日)
ベッドのなかで森田真生『数学する身体』(新潮社)再々読。《眼球を左右に動かすとき活動する(脳の)後頭頂葉のある部位が人が足し算や引き算をするときも同じように活動する》という。《足し算をするときの脳活動は眼球を左から右に動かすときの脳活動とよく似ており逆に引き算をするときには眼球を右から左に動かすときと似た脳活動が見られるという(略)数学的には小さい数字が左にあって大きい数字が右にないといけない理由はないのに脳の中では足すことと右に移動することが分かちがたく結び付けられてしまっているのだ》だから数直線は左から右へ数字が大きくなり魚や動物の絵は頭が左にあり(眼を足し算=左から右へ動かすほうが動かしやすく)陸上競技も野球も走者は左回りに(観客の眼は足し算で走者を追えるように)なっているのですね。ナルホド。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。『数学する身体』は本当に面白い本で最後はチューリングと岡潔に行き着く。岡潔はアポロ11が月面着陸をしたときにテレビのワイドショウに出演してコメントされたのを憶えている。確か「目を閉じれば誰でも月に行けるのに何を大騒ぎして…」というようなコメントを口にされて司会者を慌てさせていた。スゴイ!仕事の合間に岩手グルージャ盛岡vsベガルタ仙台のJ2ダービーマッチを見る。結果は一日の長で仙台が3-0。しかし日本のサッカーはJ2までレベルアップしてますね。夕方は大相撲2年ぶり大阪場所観戦。大栄翔の相撲が良かったとは言え成すところなく敗れた正代はカド番脱出できるのかな?晩飯の後はパラリンピック閉会式。中国国旗やパラ旗の掲揚に軍隊は必要なのかな?東京五輪でも自衛隊が登場する必要はあったのかな?このあたりがオリもパラも平和運動としては中途半端ですね。IOCもIPCも軍隊は排除してメディアは「開催国」という表現は止めるべきですね。開催するのは都市のはずですから。閉会式でもパーソンズIPC会長には開会式に続いてもう一度「PEACE!」と叫んでほしかったですね。なぜ叫ばなかったのかな?
3月14日(月)
『数学する身体』は本当に何度読んでも面白い。数学を身体的感覚(図形・幾何)としてしか捉えてなかった数学が虚数などという「存在」まで発見してやがて計算機(コンピュータ)が計算以外のあらゆることまで行い始めて人間の思考と心にも迫る…。チューリングも凄いけどやっぱり岡潔の芭蕉的東洋思考に行き着くのは小生も日本人だからかな?この本には出て来ないけど第二次大戦で京都に原爆を落とすことを主張した悪魔的天才科学者フォン・ノイマンが現代に生きてたらプーチン・ロシアに対して何と言うのかな?ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。オリンピックでの国旗の歴史を調べる。五輪大会で国旗を使用されるようになったのは日本が初参加した1912年ストックホルム大会からで大国が帝国主義的権威を見せつけたわけですね。だからフィンランド自治大公国はロシアに従いベーメン王国(チェコスロヴァキア)はオーストリアに続いて従って行進。入賞者が出たときはすれぞれの「主権国」(オーストリアやロシア)の国旗に各自治領の小さなペナント付けた主権国の旗が掲揚されたそうです。早い話がそれ以前の大会のようにそもそも帝国主義的主権の主張=国旗の使用など行わないほうが良かったのですね。今日の『ニューズ・オプエド』のゲストはジャーナリストの木村元彦さんと柔道家の溝口紀子さん。RPCの選手個人としてしか北京冬季パラ大会に参加できなかったロシア選手を排除しベラルーシの選手をロシアの同盟国の選手という理由で排除たのはスポーツとして正しい姿勢だったのか?プーチンと親しい(はずの)山下JOC会長は何をするべきか?等々難しい話題だけど根本問題を話し合う。今も見ることができます聞けますhttps://op-ed.jp/
3月15日(火)
昨日の『オプエド』で柔道家の溝口紀子さんがロシアのウクライナへの烈しい軍事侵攻でパラリンピックのゲームをゆっくり見ていられなくなったと言われたのは本当に自然な反応と言えるだろう。戦争となればスポーツどころではなくなるのだ。ところが大相撲は見て楽しむことができるという点でも意見が一致した。これが伝統の力というものだろうか。大相撲は東京大空襲で国技館の天井に穴が空いたときでも相撲を取ってましたからね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと『ZAITEN』の連載原稿執筆。テーマは戦争とスポーツ。途中講談社から送られてきた今月発売の現代新書3冊のうち千葉雅也『現代思想入門』を読み出すと面白くて止まらなくなる。まずはデリダの脱構築の解説。二項対立のマイナスの側を絶対にマイナスと疑問を向けるのが脱構築の基本的発想。なるほど。昔から日本の諺で盗人にも三分の理(ことわり)と言っていたことですね。この「理」を「屁理屈」と決めつけると脱構築にならないわけですね。ロシアにも三分の理を認めての休戦か?夕方までかかって90%仕上げた原稿の完成は明日にまわして大相撲。宇良は照ノ富士に惜しかったねえ。あれは同体取り直しでも良かったのでは?御嶽海や阿炎は安定。正代と貴景勝は心配ですね。晩飯は昼間NHK-BSを録画した『俺たちは天使じゃない』を見ながら。ロバート・デニーロ&ショーン・ペン&デミ・ムーアによるキリスト教お笑い劇場。脱獄した男2人がひょんなことから高名な神父に間違えられて大きな祭に乗じて脱獄を完全に成功させる喜劇。他愛ない楽しい映画。イスラム教でも同様の映画を作れるようになるのは何年後かな?
3月16日(水)
一昨日の『オプエド』でジャーナリストの木村元彦さんがプーチン・ロシアの軍事侵攻は絶対に許せない悪だが反対デモでウクライナ国旗を振るのにも抵抗がある。ウクライナ人が東部でロシア人を弾圧迫害していた事実もありますからねと言われたことが心に残る。白黒の二項対立で語れない現実を確認しておかなければ…というのが千葉雅也『現代思想入門』の脱構築のイロハのイなんですよね。朝のベッドで同書のドゥルーズからフーコーへと読み進む。面白いけどちょっとシンドイ。何度も読み直して理解できたのかできてないのか判然としないまま(脳味噌が脱構築・笑)次章「現代思想の源流」のニーチェに進んでホッとする。ディオニソス的なものとアポロン的なもの。これは理解できますワーグナーですからね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。毎年庭に現れてホー・ホケ・ケ・キョと啼くシンコペイテッド鶯(うぐいす)の啼き声も澄み渡ってすっかり春ですね。昨日完成前まで書いた『ZAITEN』の連載原稿を仕上げて送稿。内容はIOCは平和運動(休戦協定)を徹底せよ!そのためには国のためにメダルを取るとプーチンの前で宣言したロシア選手のような行動もIOC憲章違反だと注意しろ!というもの。憲章にはオリンピックは「国家の競争ではない」と明記されてますからね。夕方からゆっくり大相撲を楽しむ。正代は出直せるかなぁ。心配。晩飯映画劇場は西部劇『大砂塵』。原題は"ジョニー・ギター"で主題歌が有名な古典ですね。中味はジョニーよりもジョーン・クロフォードが活躍する女同士の戦い。その意味で斬新で映画史に残る古典的西部劇と評価されるのかも知れないけど古さを感じましたね。急いで風呂に入ってウクライナ・ベレンスキー大統領のアメリカ連邦議会での演説を聞く。真珠湾&9・11&(キング牧師の)I have a dreamまで持ち出して巧みな演説でしたね。日本の国会ではどんな内容の話になるのかな…。
3月16日(水)つづき
夜ベッドに入って『現代思想入門』を読み始めたらニーチェからフロイトを読み始めたところでグラグラッときました。グラグラッとかなり家が揺れていったん止まった後グラグラグラグラッと相当の強く長い揺れ。チョイと肝を冷やしてベッドから出て仕事場をチェックして本やCDの無事を確認した後1階に降りてテレビで臨時ニュース。神奈川南部も震度4ありました。東北は震度6強。深夜ですから被害状況は夜が明けてからですね。
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『大砂塵』 主題歌はかの有名なジョニー・ギターです。原題もJohnny Guitarですがジョーン・クロフォード主演の女性が女性と対決する古典としては斬新な西部劇です
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高橋繁行『いぶきどうじ〜オニたんじょう』星雲社 70歳を前にして絵本デビュー。伊吹山は小生も大好きな山です
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3月17日(木)
高校時代のバドミントン部の後輩の高橋繁行さんが70歳を前にして絵本作家としてデビュー。『いぶきどうじ〜オニたんじょう』(星雲社)という切り絵の絵本が送られてきた。高橋さんは『土葬の村』(講談社現代新書)など葬式と墓についての興味深い本を何冊も書かれている。頑張って下さい。ベッドのなかの読書『現代思想入門』はフロイトからマルクスを経てミシェル・フーコーへ。ちょっと頭が痛くなってきた…というのは嘘で小生は頭痛というものを未だに一度も体験したことがないのだ。思い切り考えたこともあれば悩んだこともあるが頭が痛くなったことがない。脳出血による1か月の入院は経験があるがその時も頭に痛みは一瞬たりとも感じなかった。だから今の頭痛も文章が理解できないという意味。よし。明日また読み直そう。読書百遍意自通。ワン。とりあえずベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。ウクライナへのロシアの軍事侵攻を取りあげてオリンピックは休戦を実現できないのか?という話をする。休戦協定が形骸化しているのは事実ですけど五輪での国旗国歌の使用や国別のメダル争いや政治家の「参加」を徹底して排除すれば新しい休戦思想は築けるはずだと最近イロイロ考えた結果そう思うようになりました。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク&大相撲観戦&ウクライナ・ニュース&晩飯&酒。玉鷲が照ノ富士を破った一番は見事!御嶽海の敗戦は余裕を持ちすぎたかな?BSフジ『プライムニュース』面白かった。いろいろ勉強になりました。日本はウクライナ難民は受け入れてもアフガニスタン難民は日本大使館の協力者でも救わなかったのですね。嗚呼。アイスランドは国軍も持たず防衛省もないのにNATOに加盟。核よりこっちのやり方を考察してみるべきかな?
3月18日(金)
千葉雅也『現代思想入門』読了。非常に面白かったです。精神分析から現代思想へ続く説明でのフロイトの「死の欲動」からラカンの(快楽ではない死の偶然性と隣り合わせの)「享楽」などチョイと精神分析を勉強したいとも思いましたが帯に書いてあった「人生が変わる哲学」というほどではなかったですね。そもそも哲学って70歳を目前にした「老人」にとっては「面白い/面白くない」で判断する遊び(享楽かな?)でしかないですからね。ワン。黒兵衛と散歩しながらいまウクライナの人たちはどんな本を読んでいるのだろう?と思ってしまう。聖書?まさか哲学書ではないですよね。そこが宗教と哲学の違い?ワン。散歩のあと行きつけの病院で定期検診。3か月の1回ほどの検診のたびに江ノ島周辺の海を眺められるのは悪いコトではなかったが少々遠いので今日を最後に近くの病院に移らせてもらうことにする。13年前に脳出血してリハビリに入院させていただいて以来のお付き合いも今日で最後。I先生や看護師の皆さん長い間お世話になりました。ヨメサンと一緒に御挨拶を済ませて大船まで戻って次女のクルマに拾ってもらって(これだけ「て」を連発するのは下手な文章の見本と言われるけど小生はこのリズムが結構好きです)行きつけの美容院へ。かなり伸びた髪の毛を切ってもらう。次女の髪の毛の手入れが済む間に待合スペースのカウンターに置いてあった『鬼滅の刃』全巻の第1巻を初めて手に取って読み始める。が何処の何が面白いのかわからなかった。一緒に来ていたヨメサンは第10巻当たりを手にして読んで面白いオモシロイと喜んでいたが…ホンマカイナ?次女に自宅まで送ってもらって大相撲。うわっ!阿炎負けた。正代また負けた。照ノ富士は休場。荒れる春場所か。連載原稿の校正をして晩飯は久し振りに『チコちゃん』見ながら。ねえねえオカムラ…戦争は何故起きるの…?なんて質問を5歳+64歳の男が訊いたらチコちゃんはどう答えるかな?なんて考えてしまう…。
3月18日つづき
昨日本欄に書いた高橋繁行『いぶきどうじ〜オニたんじょう』はここをチェックして下さい。→https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784434299858
3月19日(土)
昨晩寝るときにそー言えばいま読むべき面白い本があったはず…と気付いて音楽の本棚から弓狩匡純(ゆかりまさずみ)著『国のうた』(文藝春秋)を抜き出してベッドに持ち込む。世界87か国の国歌を集めて見開き2頁ごとに原詞と日本語訳と解説を書いた本。早速ウクライナ国歌の頁を開く。《ウクライナはいまだ滅びず 兄弟よ幸運はなおも我らに微笑む 敵は陽にさらされた朝露の如く死に絶える そして兄弟よ我らは幸福に満たされ祖国に生きるだろう 自由を勝ち得んと魂も肉体さえも顧みず 兄弟よ我らのコサック魂を知らしめよ》この歌は1917年ウクライナ人民共和国の国歌に制定されたがソ連が歌うことを許さずゴルバチョフのペレストロイカによる反体制派の人々の権利回復や宗教の復活ののち1991年の独立と共に(悲観的な歌詞を少々手直しして)歌われるようになったという。次いでロシア連邦国歌。《ロシア聖なる我らが帝国 ロシア愛する祖国 断固たる意志偉大なる栄光 常に汝の徳とならん 我らの自由なる祖国よ讃えられん 諸民族との同盟は何世紀にもわたり 先人より与えられし知恵は民のもの 祖国よ讃えられん 汝は我らの誇り》これは1944年にスターリンが「インターナショナル」に変わって国歌と定めた「ソビエト連邦国家」の歌詞(レーニンの党は私達の力を共産主義の勝利へ導く)を少々修正して2001年1月1日にプーチンがロシア連邦国家として定めたという。なるほど「国と人々の距離感」が「人々が国をつくってる」ウクライナと「人々が国を讃えている」ロシアでは全然違いますね。しかし国歌には「戦いに勝つ」といった詞が多く1992年のアルベールビル冬季五輪の開会式ではではフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の《起ち上がれ祖国の子供たちよ…血まみれの旗翻り…敵兵たちは…子供たちや妻の喉を掻き切ろうとしている…武器を取れ…我らの地に奴らの穢れた血を降らせろ》という歌詞を少女に歌わせたことが問題になり歌詞を変える議論も巻き起こったという。古今和歌集の長寿を寿ぐ賀歌から詞を取った『君が代』は本来は平和的なんですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩ぼあろいろいろデスクワーク。大相撲(高安&若隆景イイネ)を楽しんだあとは久し振りにニュースを離れてDVDでオペラを楽しみながら晩飯&酒。往年の最高のメゾソプラノ歌手シミオナートの『カヴァレリア・ルスティカーナ』やカラスのライバルだったテバルディの『トスカ』を楽しんだがやっぱりカラスとゴッビの奇蹟的名舞台の『トスカ』第2幕を見てしまう。こんな凄い歌と演技の二人によるオペラは2度と再現できないでしょうね。でも今年の夏の兵庫県立文化芸術センターでの佐渡裕さん指揮の『ラ・ボエーム』には大期待!
3月20日(日)
《起ち上がれ!奴隷となりたくない人々よ!我らの血と肉をもって築こう我らの新しき長城を(略)敵の砲火をついて前進しよう!》これは中華人民共和国の国歌。題名は『義勇軍行進曲』。1935年の映画『風雲児女』の主題歌だったとか。作詞した詩人の田漢は文化大革命中に獄死したらしい。《赤き閃光を引く砲弾の降りそそぐ夜を徹して我らの星条旗は揺るぐことなくはためいていた》これはアメリカ国歌。昨日に続いて『国のうた』(文藝春秋)より。国歌には戦争を歌ったものが多いですね。サッカーW杯の試合前やオリンピックの表彰式では演奏だけで歌詞を歌う人が登場しないのはそのためかな?ワン。黒兵衛と散歩のあと午前中に少々仕事。午後から長女がやってきてオモシロイDVDを持ってきたというので映画鑑賞。ドイツ映画『グッバイ・レーニン!』東ベルリンで壁が崩壊する直前に心臓発作で倒れた母親の話。8か月間昏睡状態で眠り続けた後目覚めた共産主義賛美者の母親にショックを与えないため東ドイツが存続しているという芝居を姉弟家族や近所の人々と続ける話。一見喜劇仕立てと思いきや個人の人生と国家の関係を描いたナカナカ見事な名作映画。晩飯は久し振りに『鮨処もり山』へ。ヨメハンと小生の古稀の誕生日を祝って鮨屋の大将がシャンパンを奢ってくれる。寿司も美味で満足。帰宅後2本目のドイツ映画は『善き人のためのソナタ』。東ドイツで反国家的人物(劇作家と女優)の盗聴を続けていたシュタージ(秘密警察)の一員の話。公開時話題になりアカデミー賞外国語映画賞を獲得したが小生にはイマイチの印象。ソナタの音楽も人物像もぼやけ気味でテンポもユルくちょっと残念。風呂のあと録画しておいた大相撲後半戦を見てからベッドへ。3大関揃い踏み。高安初優勝か?
3月21日(月)春の彼岸
アメリカによるイラク戦争をワシントン・ポストのボブ・ウッドワードは「ブッシュの戦争」と名付けた。今回のロシアのウクライナ侵攻は明らかに「プーチンの戦争」。ならばNATO諸国にプーチン宮殿をピンポイント・ミサイル攻撃するという選択肢はないのか…などとふと思ってしまう。それにしてもウクライナはその国歌に「ウクライナはいまだ滅びず」とある通り複雑な国だ。蒙古(クリミアハン国)との戦争・ロシア&トルコとの戦争・ナチスとの戦争・ソビエトとの戦争そしてプーチンとの戦争。クリミア戦争に従軍記者として参加したトルストイが今生きていたら現状についてナント発言するだろう?『スポーツの世界史』から「ソビエト/ロシアのスポーツ―スポーツ大国の成立と再生」(札幌大・岩本和久教授・執筆)を読み直す。20世紀初期(帝政期)の「ロシア」のスポーツのヒーローはレスラーのポドドゥブヌイ(ウクライナ人)同じくレスラーのハッケンシュミット(エストニア人)サイクリストで冒険家のロートチキン(ウクライナ人)などが他の2人のロシア人と共に書かれている。フクザツですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。執筆中のスポーツジャーナリズムの書き下ろしが思ったとおりには進まないところへ別の企画が持ちあがる『オリンピックを正しくすれば世界は本当に平和になる』というタイトル。ある人物からこのタイトルを聞いたときは一瞬アホか…と思ったがよく考えてみるとオモシロイかも知れない。ウン。考えてみましょ。夜徐々に寒くなる。毎年よ彼岸の入りが寒いのは。これは確か子規の一句ですね。
3月22日(火)
『週刊現代』での連載「『ビジネスパーソンの教養講座 名著再び』で佐藤優氏が興味深い一冊を紹介されていた。アレクサンドル・カザコフ著/佐藤優・訳『ウラジーミル・プーチンの大戦略』(東京堂出版)。プーチンが描いてるロシアの「心の地図」とはロシア連邦ではなくイワン雷帝がカザン汗国をモスクワ大公国に併合して以来のロシア帝国だという。だから《まずは米国を庇護者としているウクライナの現体制を打倒しロシアと協調的な新政権を作る(略)少し時間を置いてウクライナを分割し東部から徐々にロシアに併合していく》この《野望を経済制裁で押さえることはできない》ならばどうする?《米軍が介入し軍事力でロシアを排除するか話し合いでプーチン氏との間で折り合いを付けるか選択は二つに一つ》だという。なるほど。プーチンは狂ってなどいないのですね。いやメッチャ狂ってるのかな?国連での拒否権も核も持つ大国をどうする?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。子規が詠んだ通り彼岸の入りの毎年の寒さ(昨日の本欄参照)のなか桜の多くが蕾を膨らます。なかには幹の下のほうの小枝で花を咲かせている木もある。今年の春は世界のどこへも訪れるのか?ワン。終日デスクワーク。『北國新聞』の連載『スポーツを考える』でウクライナへのロシアの軍事侵略を取りあげオリンピックが本気で反戦平和運動に踏み出せる簡単な方法を書く。夕方送稿した後大相撲観戦…しかしスポーツも相撲も「観戦」という言葉は使わないほうがイイですね。「戦い」を観るわけではなく技を楽しむのですからね。高安は落ち着いてますね。初優勝まで走るかな?琴乃若&若隆景もイイですね。テレビ(BS-TBS「報道730」) でようやくソ連スターリン時代のウクライナに対するホロコースト(ホロドモール)を取りあげましたね。今のニュースの意味を知るには過去の歴史を知らないといけませんからね。
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『惑星ソラリス』 タルコフスキー監督の名SF映画。未来都市に東京が出てくる以外は納得の面白さです
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3月23日(水)
小生がロシアを初めて訪れたのはソビエト連邦崩壊直前。モスクワでプロコフィエフのオペラ『修道院での結婚』を観たときは(これは映画『惑星ソラリス』の監督タルコフスキー演出の見事な舞台だった)ボリショイ劇場の周囲にも戦車が2台停まっていた。レニングラードではマールイ劇場でムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』『ホヴァンシチーナ』チャイコフスキーの『エウゲニー・オネーギン』を観たが早朝にタクシーを雇ってエストニアまで走らせた。途中戦車を100台ほど追い抜き一緒にいたカメラマンが写真を撮るというのでタクシーから降りたら周囲の3台くらいの戦車から一斉に機関銃を向けられて仰天。両腕を挙げて慌ててタクシーに戻った。「2度とクルマから出るなよ」と言ったタクシーの運転手は自称オリンピックの射撃競技の金メダリストだと言っていた。ソ連時代にはロシアとエストニアに国境はなかったが小さな川を渡るとそれまで真っ白の雪景色だった風景が(2月だった)突然草花の綺麗に咲いている雪のない綺麗な光景に変わった。首都のタリンは美しい街。エストニアは(多分バルト3国も)ロシアではなくヨーロッパなんですね。タクシーの運転手には米ドルで100ドルとマールボロを1カートン渡した。ロシア人のコーディネイターの男女からは勝手な行動はやめてほしいと強く言われたが2人ともイイ人でロシアの街もイロイロ案内してもらった。彼らは今プーチンをどう思っているのだろう…?2度目のロシア訪問はマリインスキー劇場でゲルギエフ指揮のワーグナー『ニーベルンクの指環』を観るため。プーチンと懇意で欧州楽壇からパージされた彼はどうしてるのかな…?ワン。イロイロ想い出に浸ってベッドから出て黒兵衛と散歩。寒いけど桜の蕾はピンク色に膨らんできた。今日も終日デスクワーク。午前中は高校野球も見たけど感想は書きません。高校生の部活動ですからね。昨日書いた北國新聞の原稿の校正や笹川スポーツ財団のネット原稿の校正などイロイロ仕事して大相撲を楽しむ。高安敗北。若隆景いいねえ。大関まで突っ走れ!
3月24日(木)
ベッドで『スポーツの世界史』の「ソヴィエト/ロシアのスポーツ」を読み直す帝政ロシアでエストニアやウクライナのスポーツマンがロマノフ朝ロシア帝国でヒーローになる活躍をしたのは被支配民族だったから社会で認められる手段としてのスポーツだったのかな?これは著者の岩本和久札幌大教授に訊いてみたいですね。他の頁もパラパラと眺めていたら「アルゼンチン・チリ・ウルグアイ―スポーツから見る南米の政治史」のところで《19世紀中葉以降の多くの南米諸国では(略)「オリガルキア」と呼ばれる少数のエリートによる政治支配が卓越した》という一文を発見。いまプーチン・ロシアのウクライナ侵略のニュースで盛んに登場する「オリガルヒ」のスペイン語系。ルーツはギリシア語で「寡頭制」を意味する言葉(oligarkh?s)らしい。貧富の差が激しいところに生まれた言葉(人物の階級層)で民主政では使われなかった言葉ですね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。なんで今日のサッカー日本代表vsオーストラリアのTV中継がないねん!?という話題でユニバーサル・アクセス権が日本で確立されないのはスポーツが文化として認められてないから…といったことを話す。『桜井浩二インサイト』は今週で終了。来週からは『田畑竜介Grooooow Up』となり小生の出演は水曜日になります。この時間帯のRKBラジオへの小生の出演は隈部崇之さんの『スタミナラジオ』以来34年間も続いて35年目に入ります。RKBのスタッフの誰よりも長い(笑)我ながらスゴイ長さの仕事ですなあ。ワン。黒兵衛と散歩のあと週末のオペラ講座の準備。2時間でワーグナーの『ニーベルンクの指環』を解説するなんて企画を立ててしまったのでタイヘン。ああしたら…こうしたら…と悪戦苦闘して一日かかって資料作成。ふうう。大相撲は高安が御嶽海を破って優勝は若隆景と2人の争い?続けて晩飯食べながらウクライナのニュースを見ていたらサッカー日本代表がオーストラリアを2-0で破る臨時ニュース。これでW杯出場決定…以上にアウェーで豪州に勝ったのがスゴイですね。すぐに長女がDAZNのハイライト映像を送ってくれる。後半試合終了寸前の先制点は三笘のゴール以上に山根のマイナスのパスが見事。2点目は三笘の個人技が冴えましたね。でもそれ以上にディフェンスがしっかりしていたみたいですね。ヨカッタヨカッタ。来週月曜の『ニューズ・オプエド』では大住良之さんの他に後藤健生さんが初登場。2人のサッカージャーナリストに存分に語ってもらいます。
3月25日(金)
朝ベッドで永竹由幸さんのワーグナー『ニーベルンクの指環』に対する名解説!(新潮社CDブック)を読み直す。しかし永竹さんというオペラ学者は凄い人だったなあ。サッカーの長友がインテルに入ったときはすぐに電話がかかってきて「長友のインテルの試合とミラノ・スカラ座のオペラを観るツアーをやろう!」と言われたので苦笑いしたことを思い出す。「オペラとサッカーのどっちも好きでツアーに参加する人はいないんじゃないかなあ…」と言うと「そうかなあ…」と少々不機嫌になられたなあ…素晴らしい人だったなあ…。『ニーベルンクの指環』で憶えてるのは2度目のロシア旅行でゲルギエフ指揮マリインスキー劇場の『ラインの黄金』『ワルキューレ』を見たこと。あと2つ『ジークフリート』『神々の黄昏』も見る予定だったけど野村万之丞の訃報が飛び込んできて急遽帰国。ゲルギエフはめっちゃエネルギッシュにNHKの人にビデオ化を売り込んでたけどさほどオモシロイ演出の舞台ではなく(音楽は良かったけど)NHKの担当者は困ってたなあ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。プーチンと仲良しでウィーン・ミュンヘン・ミラノの仕事をキャンセルされたゲルギエフは今どうしてるのかなあ。TVの朝のワイドショウでロシアのバレエの『白鳥の湖』で白鳥たちが「Z」の文字に並んで踊ることをウクライナへの軍事侵攻と合わせて紹介してたけどアノ振付は軍事侵攻とは無関係に昔からありましたよね。プーチンの戦争非難は思い切りやるべきだけど坊主憎けりゃ袈裟まで式のゴリ押しの批判は止めるべきですね。北海道では札幌大学ロシア文化センターの「疫病とロシア文学」展(企画したのは昨日の本欄に書いたロシアのスポーツの著者でもある岩本和久教授)が延期になったそうだけど今こそロシアを知る必要があるはずですよね。ワン。連合通信社の連載原稿を仕上げて送稿のあと明日の名古屋でのオペラ講座のため『ニーベルンクの指環』の映像を昨日作成した資料と共に見直す。やっぱり14時間の楽劇を2時間で紹介するのは思い切りカットするほかないですね。大相撲は高安優勝街道突っ走り…かな。プロ野球開幕戦チェックしながら『チコちゃん』。大観衆はイイけど声をあげない大観衆というのはチョイと異様ですね。阪神情けないトホホ。風呂入ってニュース見て寝る。21世紀に起きてしまった20世紀のような戦争はどうなるのか…専制国家に民主政は根付かないのか…?!
3月26日(土)
朝ベッドで『ちくま4月号』(筑摩書房営業部)の愛読している連載斎藤美奈子さんの『世の中ラボ144/戦争ではいったいなにが起こるのか』を読む。取りあげられた本は逢坂冬馬『同士少女よ敵を撃て』(早川書房)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』(岩波書店)平井美帆『ソ連兵に差し出された娘たち』(集英社)の3冊。どれも小生は未読ですが最後の開高健ノンフィクション賞を受賞した《満洲で終戦後に起こった悲劇》を取材して書かれた作品はNHKのドキュメンタリーで見てショックを受けました。アレクシエーヴィチの作品も読んでみたいけどウクライナも「男の論理」それも「マッチョの論理」で動いてるのですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと体操をカットして準備して大船駅へ。品川から新幹線で名古屋へ。栄中日文化センターで20人くらいの受講者の皆さんにワーグナー『ニーベルンクの指環』の講義。4部作の最初の『ラインの黄金』を大急ぎで解説。映像はヴァレンシア歌劇場の舞台。空中に浮かんだ小さなプールに潜ったりして歌うラインの娘たちの演出も面白いけどメータ指揮の音楽と歌手も見事。そして最後の『神々黄昏』からジークフリートの死とブリュンヒルデの自己犠牲。最後の最後の大団円で神々(権力者)も滅びて世の中何もかもなくなって振り出しに戻るなかでワーグナーは何を描きたかったのか?人間の愚かさ?近いうちにプーチンを主人公にした演出が生まれるかも!?しかしワーグナーを取りあげると男性の受講者が増えて半分以上になりますね。勇ましい音楽に興奮するのか?権力が滅びるドラマに共感するのか?イタリア・オペラの『椿姫』『蝶々夫人』では圧倒的に女性ファンが多いのにワーグナーは男性の観客だらけ。他に男性の客が多いイベントを経験したのは都はるみさんのステージくらいですね。2時間たっぷりワーグナーを味わっていただいたあとサッポロビールの浩養園スターホールへ。そこで催されていた『体育とスポーツの図書館10周年記念パーティ』に少しだけ参加。この手作りの素晴らしい図書館は故・中村敏雄先生ゆかりの図書館で小生も公演をさせてもらったことがありパーティで一言挨拶させてもらったあと帰鎌。うわっ。高安が正代に負けた。若隆景と琴乃若は元気ですねえ。明日が楽しみ。体育とスポーツの図書館のホームページはこちらです。皆さん応援してください。http://sportslibrary.web.fc2.com/aisatu.html
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『東海道四谷怪談』 天知茂主演&中川信夫監督。一見の価値アリの怪談映画。なんで歌舞伎の舞台の映像がないねん!?
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3月27日(日)
『ちくま4月号』のもうひとつの愛読連載・吉見俊哉氏の『敗者としての東京―巨大都市の「隠れた地層」を読む11』は『学生ヤクザと戦後闇市』安藤昇の話。この映画俳優としてスターの座に上り詰めた「学生ヤクザ」についてはR・ホワイティングさんも『ふたつのオリンピック』のなかに書かれていた。芸能界やプロスポーツ界を支配していたヤクザたちは今は一掃されて半グレになったようですね。プロ野球が1リーグ化とストライキに揺れたとき宮崎学さんや安倍穣二さんとシンポジウムに参加。会場にいた学生から「ヤクザとプロ野球とか芸能界は関係があったのですか?」という質問に対して御両人とも「関係があったとかじゃない。ヤクザが運営していたんだ」と断言されたのを今も憶えてる。そういう時代を経ての今日なんですね。ベッドから出て黒兵衛と散歩。暖かくなって桜並木の木々が一斉に花開く。七分咲きかな。はんなりときれいな風景。はんなりは花成りから生まれた言葉なんですね。終日過去の資料整理や確定申告の雑務。ふうううう。夕方からビール&大相撲。いやあ面白かった。本割では優勝候補3力士全員に土がついたけど優勝決定戦の若隆景vs高安の一番は素晴らしい内容でしたね。これぞ大相撲。若隆景の成長も素晴らしいけど高安のリベンジ期待。晩飯&ニュースのあと『鎌倉殿…』を見ようとしたらEテレ『日曜美術館』で月岡芳年をやっていたのでそっちを見てしまう。鳥獣戯画が漫画の元祖なら芳年は劇画の元祖ですね。ただしNHKでは「責め絵」は出てきませんでした。急いで風呂に入ったあとEテレで仁左衛門&玉三郎の『東海道四谷怪談』を観る。昨年9月歌舞伎座の舞台。仁左衛門の民谷伊右衛門も素晴らしいけど玉三郎のお岩は絶品の演技でしたね。いやぁ仕種も台詞廻しも声色もスゴイ迫力でした。マイッタ。
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『戦艦ポチョムキン』 エイゼンシュタイン監督と言えば何と言ってもコレですが少々古くなった感がするかな?
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3月28日(月)
朝ベッドで『週刊新潮』を読んでいたら片山杜秀氏が連載コラム『夏裘冬扇』で13世紀のロシアの英雄アレクサンドル・ネフスキーのことを書いておられた。ジンギスカンの孫バトゥと手を組みドイツ&スウェーデンをやっつける。小生がネフスキーのことを知ったのはプロコフィエフに『アレクサンドル・ネフスキー』と題したものがありそれがエイゼンシュテインの映画音楽から作り直されたことからCDやDVDにあった解説を読んでいたからだった。映画は第二次大戦中ナチス・ドイツにオデッサなどを占領されたときにスターリンの命令で創られたものらしいがエイゼンシュテインの映画『イワン雷帝』(この映画も音楽はプロコフィエフ)も含めて『戦艦ポチョムキン』を撮った監督もプロコフィエフもソヴィエト・ロシアの愛国主義者なのかなあ…スターリンには逆らえなかったのかなあ…ショスタコーヴィチとはチョイと違うかなあ…なんて思っていた。片山杜秀氏はこう書く。《東スラヴ世界がアジアの騎馬民族に支配された何百年を「タタールのくびき」と称する。その現代版にもなるかもしれない中国の大経済圏構想を受け入れてドイツ騎士団に相当するEUとNATOを退ける。プーチンがネフスキーで習近平はバトゥ。歴史は繰り返すものなのです》ひょっとしてアメリカやNATOがロシアを疲弊させるためにウクライナを犠牲にしてロシアを戦争に引っ張り込んだ…なんて声も聞くけど(日本に真珠湾を攻めさせイラクにクウェートを攻めさせた陰謀論の一種?)現代は過去の結果ですから過去はしておきたいですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。桜満開。きれいです。美しい。プロコフィエフの音楽もきれいで美しい。美しいものは怖いところがありますね。
3月28日(月)つづき
イロイロ仕事や打ち合わせのあと『ニューズ・オプエド』リモート出演。今日のスタジオ案内役はJリーグ中継のDAZNなどでリポート役も務める浅野有香さん。元々は野球ファンだったけどサッカーが90分で終了時間がわかることに魅力を感じてサッカー・ファンになったとか。ゲストはサッカー・ジャーナリストの大住良之さんと後藤健夫さん。後藤さんはオプエド初登場。森保ジャパンの采配などについて大住さんとは意見の違いもあってそれが非常に興味深く内容が濃く面白かった。W杯への七大会連続七回目の出場を決めた日本代表。思い切り選手を入れ替えて新しい戦力を発掘してほしいと言う大住さんとW杯まで試合数も限られてるのでマイナーチェンジでW杯の準備をしてほしいと言う後藤さん。いろんな考えがあってオモシロイですね。他に大相撲大阪場所を振り返って途中相撲ジャーナリストの荒井太郎さんも出演。若隆景vs高安の「歴史に残る名勝負」の優勝決定戦を解説してもらう。小生と同い年の後藤さんも栃錦や若乃花の時代は若隆景くらいの身体の大きさの力士が横綱だったから若隆景にがんばってほしいとのこと。荒井さんは大関候補筆頭だけど余尾綱までは…と苦笑い。最近はオリンピックと政治と戦争の話が多かったけどスポーツそのものの話はやっぱり面白いですねえ。それにしてもサッカー日本代表の選手たちは大住さんも後藤さんも言ってたけど層が厚くなって誰が出ても変わらない強さがありますねえ。そのあたりがオーストラリアに勝てた要因でしょうねえ。
3月29日(火)
朝ベッドのなかでレスコフ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』読み返す。週末に札幌大学のロシア文学の岩本教授にインタヴューするので同書の「女性相撲」についてチェックし直す。この平然と勝負する「ロシアの女性の格闘対決」にも驚きだったが小生が同書に最初に接したのはショスタコーヴィチのオペラから。主人公の女性が夫を毒殺する筋書も強烈だったがセックス・シーンを描写した音楽も強烈でクプファーの演出ではバックでヤッテル行為をモロに見せながら烈しい喘ぎ声の二重唱が歌われた。スゴイ演出と音楽で作家の島田雅彦さんが「オペラを観て○○○のは初めて」と言われたような舞台だった。初演当時の演出はモウチョット柔かったはずだがスターリン共産党は即座にプラウダで大批判。ショスタコーヴィチはすぐに手直しさせられて『カテリーナ・イズマイロヴァ』という柔な女性物語に改訂したという曰く因縁の作品。今は原典上演のDVDも発売されているが独裁ぶりがスターリンに似ているプーチンは上演を許可するのかな?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。桜満開。町内会でのお花見会が3年連続見送りなのは残念ですね。コロナはまた復活?イロイロ仕事。東京新聞特報部や共同通信から電話。全柔連が小学生の全国大会を中止したことについて。勝利至上主義に走りすぎるからだそうだが当然ですね。小学生から特定種目の「日本一」など決める必要はありません。オリンピックでも金メダルを授与するのは本来なら世界平和に貢献したアスリートであるべきで勝負に勝った選手は勝っただけで良いはずですよね。「勝者には何もやるな」(ヘミングウェイ)ですよね。
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『トータル・リコール』 暴力ばかりで小生にはこの映画の面白さがサッパリわかりません。物語の面白さはわかったので小説読んだほうがイイのかな
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3月30日(水)
朝ベッドのなかで『ムツェンスク郡のマクベス夫人』(集英社世界文学全集ロシア編)再読了。ロシア文学は高校大学時代によく読んで大人になってから読む機会は少なくなったけどドストエフスキーやトルストイはどれも奥深いですね。札幌大学での『ロシア文学と感染症』の展示企画がロシアのウクライナ軍事侵略の結果中止になったとの記事が何日か前の東京新聞「こちら特報部」欄に出ていたけど反対の声があがったのは酷いですね。第二次大戦中に敵性語として英語などを禁止したのと同じナンセンスですね。その結果ロシアやアメリカやイギリスについて知る機会を自ら無くしたのですからね。嗚呼。ベッドから出てRKB毎日放送ZOOM出演。先週までの『桜井浩二インサイト』は番組改編で今週から『田畑竜介 Grooooow Up』となり小生は毎週水曜日の朝8時40分頃から約7分間の出演となります。よろしく!第1回目としては全日本柔道連盟が小学生の全国大会を廃止したこと(当然ですよね)とパラスポーツラーターの星野恭子さんに教えていただいた小学生から社会人まで障碍者も健常者もまぜこぜで持ちタイムに合わせて参加した『オール陸上競技』について話しました。MCの田畑竜介さんが「オリンピックもパラリンピックと一緒になれば良いですね」と素晴らしいリアクションをくださったので「パラリンピックの健常者部門を作ればすぐにオリパラが一緒になれるんですよね」と答える。ラジオを終えて黒兵衛と満開の桜の木の下を散歩のあと終日デスクワーク。ふううううう。晩飯映画劇場はNHK-BSを録画したシュワルツェネッガー主演『トータル・リコール』。以前見てSFのストーリーは面白そうだけど映画はサイテーとの感想だったので見直して映画の面白い部分を探したけど…うんんんん…小生にとってはよくワカラン映画ですね。ハリウッドの無意味で過剰な暴力は最近少しは収まったのかな?ウィル・スミスはアカデミー賞での暴力を謝罪したけど…。
3月31日(木)
朝ベッドのなかでヴォルフガング・ベーリンダー『スポーツの文化史 古代オリンピックから21世紀まで』(法政大学出版局)再読始める。ロシアのウクライナ侵略とオリンピックを考えるうえで読み直したい部分があるのを思いだしたので手に取ったらその部分のページが「ドッグイヤー(犬の耳)」に大きく折られていたのですぐにわかった。《射撃スポーツが1896年(第1回大会)からオリンピックの正式種目だったのはクーベルタンがピストル射撃を熱狂的に愛好していたからである。もうひとつの理由はヨーロッパ諸国の軍備拡張だったろう。射撃競技に主として軍用武器が導入されたのも偶然ではなかった。1904年と1928年の大会を除き射撃スポーツはすべての大会で実施されているだけでなく常に新種の武器が採用された》クーベルタンも女性のスポーツを否定した19世紀の人ですからね。今から考えると間違ったこともやりますよね。1972年の札幌冬季五輪の日本選手団は開会式で今では禁じられているナチス式敬礼を堂々とやってますからね。当時はスポーツ式敬礼と解釈されて国民体育大会などでもやってましたからね。篠田正浩監督の記録映画はテレビで上映できないですね。五輪の開閉会式での軍隊式分列行進は今では消えてしまったけど国旗や五輪旗の掲揚に今も軍隊や自衛隊が出てくるのはいつの大会が最後になるのかな?あ。高校野球では未だに軍隊式行進をやってますねぇ…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。桜満開。ピンクの染井吉野よりも白い山桜のほうが趣深いかな。終日デスクワークで本HPの更新原稿を作成して送付。ふううううう。原稿料の入らない仕事も大切にしなければいけませんからね(^o^)
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