3月1日(水)
三島由紀夫のエッセイのなかに『生徒を心服させるだけの腕力を−スパルタ教育のおすすめ』と題した文章を発見。昔の教師は「教鞭(きょうべん=教師が生徒に使う鞭=むち)」を持っていたとか授業中に無駄話をしていたらその相手の頭と自分の頭を思い切り鉢合わせさせられたとか授業中に後ろの席の友人と睨めっこをしていたら突然教師に机と椅子ごとひっくり返されて「出て行け!」と怒鳴られて詫びたとか…武勇伝にも思える昔話。《私は天才教育などといふアホなものを信じない。「何クソ」といふ気持ちを養はせるだけの力がなければ何事も育ちはしない》《文学書ばかり耽読してゐる子からは無理矢理に本を取りあげてスポーツをやらせる。スポーツにばかり熱中してゐる子は襟髪をつかんで図書館にぶち込み強制的に本を読ませるようにすべきである》わからないでもないがそれは言葉で可能なはず。それに三島が体育部に所属しなかったことは幸いだった。戦後の戦地帰りの体育教師の暴力はかなりのもので特に剣道教師は面を少し持ち上げさせて喉に突きを喰らわせたと聞いたことがある。文豪として有名になってから剣道を始めた三島にはそんなシゴキを加える指導者はいなかっただろうが三島が戦後の学校の体育部を経験していたらスポーツや肉体鍛錬に対する意見も相当に変化していたはずだ。ワン。黒兵衛との散歩の前にRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』ZOOM音声出演。市立船橋高校男子バレー部の顧問による暴行事件を取りあげる。昨日も書いたように校長先生の「今は許されない」という発言はダメ!昔は許されたの?三島の文章のことまでは話せなかったがイギリスでも昔は教師が「教鞭」を使い「暴力的指導」もあったらしいがスポーツではそれはなかったはず。何故ならスポーツは一切の暴力を排除することから生まれたカルチャーだといことをスポーツを生んだ国の人々は知っていたはずですからね。それにそもそもSPRTという言葉は遊び・冗談・お巫山戯…といった意味ですからね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。終日デスクワークは主に雑務。新聞の整理をしていたら中国へ帰るパンダが大きく取りあげられていた。テレビのニュースでも大きく取りあげられていたけど皆さん近くでパンダを見たことがないからでしょうね。小生は上野動物園園長時代の中川志郎さんに檻に入ったパンダを間近で見せていただきましたがあの眼の怖さは忘れられません。やっぱり熊猫は猛獣なんですね。それにしてもあの怖い目つきを白黒のかわいい模様でカモフラージュしているのは見事ですね。さすがは中国の動物という言い方は当たってるのかな?
3月2日(木)
『あなたは現在の恋人と結婚しますか』と題した三島由紀夫の『女性自身』(光文社・昭和39年5月)に掲載されたエッセイも面白かった。男性を「精虫行動型」「セックス・キリスト型」「深謀遠慮型」「健康実行型」「純粋男性型」に分類。順に堀江謙一/エルヴィス・プレスリー/大石内蔵助/金田正一/エジンバラ公を例に挙げる。今の若い女性には(男性にも)ナンノコッチャ?と思うほかないだろうがプレスリーのことを《ヨーグルトを固めたやうな男》と書き《ことごとくセクシーならざるはないといふこの男。しかし男の中の男と呼ぶには何か欠けてゐるやうなこの男》と書く。わっはっは。確かに。祇園で遊ぶ大石内蔵助のことを《俺は酒がうまくて飲むんぢやないぞ。社用で仕方なく飲んでゐるんだ》と言う《社用族の大先輩であり"会社のため”といふ悲愴感に裏づけされた日本的快楽の大原則を打ちたてた》と書く。わっはっはと笑わずにはおられない。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと雑務の一日。『ZAITEN』編集部から後藤逸郎さんとの対談の速記起こしが送られてくる。週末ゆっくりできるかと思ったけれど原稿書きですね。嬉しいこってす(^_^)明日の『ニューズ・オプエド』はゲストが大リーグ評論家の福島良一さんとスポーツ・ジャーナリストの生島淳さんに決定。「世界一を争う(という)WBC」よりももっと面白いベースボールの本当の魅力を語り合いたいですね。
3月3日(金)
三島由紀夫『映画的肉体論』が面白かった。《映画製作の場合には知的戦略よりも感覚的抵抗のはうに分があることを認めなければならない。一例が市川崑の「雪之丞変化」であるがこの絢爛たるデカダン芸術の精華は一体誰が騙されてこんなものを作らせたのかと私をして唖然たらしめた。市川氏の感覚的レジスタンスの猛烈さは「東京オリンピック」で世間周知のものとなつたが氏は決して戦略など使はないから結局勝ってしまふのである》ナルホド。チョイと関係ないけど『雪之丞変化』には『東京オリンピック』の聖火ランナーが暗闇のなかから走り出すシーンとそっくりなシーンがありますね。オリンピックをデカダンスとレジスタンスでやっつけた市川崑はやっぱり凄いですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。桃の節句。梅満開ほどの暖かさは昨日までか?終日デスクワークは『ZAITEN』後藤逸郎氏の対談速記録を読んだり夕方からの『ニューズ・オプエド』の準備をしたり。ゲストは生島淳さん&福島良一さん。特集では「WBCの本当の魅力!世界一決定戦より面白いベースボールとは!?」と題して野球の面白さ&楽しさを語り合う。何しろ野球というのはかつて「逆に走る盗塁」が認められていたくらいで盗塁の好きな走者は何度も行ったり来たりの盗塁をやってプレイした(遊んだ)くらい楽しいものですからね。いろいろ野球の楽しい話題を話す。生島さんはメジャーのアリゾナ・キャンプを見ながらレモネードを飲んだときの楽しさが忘れられないとか。小生は同じアリゾナ・キャンプを楽しんでいたときに出逢ったガラガラヘビが尻尾をガラガラ鳴らしていたのが忘れられないというと福島さんがベースボールは周辺まですべてが歴史ですねえ。レモネードとガラガラヘビと歴史の三題噺。もっと本質的なベースボールの楽しい話もしていますのでhttps://op-ed.jp/にどうぞ。今なら見れます。あっ。車椅子テニスの国枝慎吾さんに国民栄養賞が贈られるとのニューズのときに三島由紀夫の文化勲章大批判を紹介。勲章とはそもそも形を残さない人への栄誉として贈られるもの。だから政治家や軍人が喜ぶ。芸術文化(家スポーツ)で何かを残した人に文化勲章のようなものを与えるのはオカシイ(屋上屋を重ねるだけ)というのが三島の主張。生島さんもサスガ三島の炯眼と認めながらもパラスポーツが国民栄誉賞に加わったことは評価。小生も同意見です。盗塁王の福本選手が「立ち小便ができなくなるから」と国民栄誉賞を辞退したのも見事でしたね。イチローの拒否も見事。オプエドのあと『チコちゃん』…はパッと見再放送とわかって桃の節句のバラ寿司と日本酒に専念。
3月4日(土)
何日か前に朝のNHK-BSで夏目漱石や森鴎外が私的パーティで食べたフルコースの食事を再現した20年以上前の番組の再放送をやっていて(嵐山光三郎さんや池内紀さんや江國香織さんが出ていた)面白かったので久しぶりに『草枕』を読み返したくなってベッドに文庫本を持ち込む。もう何十回目の読み直しかは忘れたがやっぱりコレは最高に面白く素晴らしい小説ですね。春は《猫は鼠を捕ることを忘れ人間は借金のあることを忘れる》のですね。しかし読み進むとあまりに「非人情の世界」への没入が激しくなって仕事ができなくなりそうでヤバいですね。マァ最後は戦地に赴く若者を見送る話になって漱石も俗界から離れられないわけですが…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと月に一度の医者通い。先月行った血液検査の結果が出たけど毎度のことながら無問題。血糖値コレステロール肝臓…すべて検体取り違えかと見紛うばかりの問題なし。小生は以前から何故か血液検査だけは百点満点なのだ。大船でヨメハンとの買い物に少し付き合って帰宅。タクシーの窓から見えた早咲きの玉縄桜が満開で綺麗だった。濃い紅色の河津桜よりこっちの方が可愛いけれど量で負けてますね。しかし早咲きでこれだけ綺麗と今に有名になるかな?帰宅後『ZAITEN』対談の速記を読んだりイロイロ仕事。晩飯は『報道特集』を見ながら。電通が発注して電通が受注したオリンピックの運営。下請け孫請け曾孫請け…で予算が膨らんで…こんなバカなことを組織委の事務局長も会長も知らなかったのでしょうかねえ?今何も話さないのは何故でしょう?五輪汚職問題で頑張ってるテレビはTBSの『報道特集』だけ?NHKが南海トラフ地震のドラマを前編後編に分けて力を入れてやったというので見たけれど…かったるいTVドラマの域を出なかったように思えて残念だったのは小生の性格がそもそもTVドラマのリズムに合わないからでしょうかねえ?しかし地震がテーマのドラマに不倫もどきの逸話を入れなきゃならないものなのでしょうか?それが令和の家族の日常?しかしヒドイ脚本ですよヤッパリ(>_<)
3月5日(日)
ベッドで漱石『草枕』読み続ける。いつ読んでも何度読んでも素晴らしいですね。《四角な世界から常識と名のつく一角を摩滅して三角のうちに住むのを芸術家と呼んでも良かろう》そう言えばAlan Tureyの英訳タイトルは"The Three-Cornered World"でした。ピアニストのグレン・グールドが50歳で亡くなったベッドの脇にはこの本が置かれていたそうです。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。綺麗な紅梅や白梅はそこかしこの庭先で見かけるが玉縄桜があるのは1軒だけ。ヤッパリ家に置くには花が長持ちする梅のほうが散るのが早い桜よりも良いのかな。我が家もそうだけど…ワン。散歩のあと午前中は週明けの久々の講演会のレジュメ作り。午後は『ZAITEN』の後藤逸郎さんとの対談まとめ作業。東京五輪2020では大手新聞社がすべてスポンサーになったのだから贈収賄やら談合やらいったい何やってんだぁ!と激怒すべきなのにみんな静かにしてるのは自分たちにも後ろめたいことがあると思われても仕方ないですよねという後藤さんの指摘は常識的で鋭いですよね。今夜も晩飯のあとNHKの『南海トラフ地震特集』を見たけどヤッパリ少々かったるかったですねえ。深刻な話題なのに鋭さがない。小生がNHKの番組審議委員をやっていた10年前くらいには何人かの委員の方と一緒にわかりやすさを追求してお笑いタレントや芸能人を多用することやジャーナリスティックな話題を安易にドラマ化することを批判したんですけどねぇ…NHKの番組も民放化してきましたね。
3月6日(月)
ベッドのなかで読む(たぶん)50回目の『草枕』も凄いけど大谷の2打席連続3ランホーマーはもの凄かったですねえ。今日1日でやった仕事やらナンヤラカンヤラがすべて頭の外にぶっ飛ばされました。まいった。これでピッチャーなんですからねえ(>_<)。おまけに性格も誰もが非の打ち所がないと言う。どーしたらあんな青年が生まれ出てくるのでしょうねえ?マイッタ。
3月7日(火)
朝早くに黒兵衛の散歩を済ませたあと東海道線で川崎へ。タクシーで羽田空港へ。直行便で稚内へ。北海道は何度も札幌や小樽やニセコや函館や釧路や根室や旭川…などに行ったけど日本の最北端稚内は初めてでした。
3月7日(火)つづき
羽田を出発して「異変」に気付く。左下に見えるのは皇居か。しばらくすると遠くに高層ビル街。真横にニョキッとスカイツリーが出現した。東京都心の真上を飛ぶ新コースは初体験。飛行機の飛ぶ下の住民の皆さんの気持ちもわからないわけではないがそれ以上にこの大都市はいったい何を創りあげたいのかと巨大な沢山のビルを見ながら首をヒネってしまった。百年経ったらこれを全部壊して造り替えるのかな?…などと思ううちに爆睡。稚内空港に到着。時事通信旭川支局長の方が迎えに来てくれていてホテルへ直行。宗谷はまなすクラブの人たちに御挨拶のあと少し部屋で休んでから講演会1時間半。今はWBCで大騒ぎし東京五輪でもW杯サッカーでも大騒ぎしけど我々が如何に「スポーツを知らない」かということを面白おかしく話させていただく。ドッジボールやバレーボールやサッカーやボクシングとは「どういう意味か?」と聞かれて答えられる人はほとんどいませんからね。体育の先生に訊いても「屁理屈言わずにグラウンド3周」と言われるだけですからね。そんな体育教育しか受けずに「スポーツ文化」とはどういうものかもや知らないままに電通とか高橋氏とかが政府と手を組んで利益を独占したのが今回の贈収賄事件であり談合事件なんですね…といった話やパラスポーツやスポーツベッティングの話をしたあと懇親会に出席。北海道の最北端宗谷地方の広い土地と少ない人口の問題点や美しい自然がまだまだ知られていない実情を教えてもらったり大道芸人さんのジャグリングやマジックショーを楽しんだり…楽しい時間を過ぎさせていただいて稚内泊。明日は雪も降らず風もなさそうで飛行機は飛んでくれそうだと確信して爆睡。
3月8日(水)
稚内のホテルで目覚める。ベッドでの読書は『草枕』を続行。これは漱石の小説のなかでも絶品ですね。那美さんはナント素晴らしい女性なんでしょうねえ。俗界の人間からキ印などと呼ばれながら寺の和尚に素晴らしい人物と言われる那美さんは男を前にしてザッハリッヒカイトの接触が貫けるところがタマリマセン。エロスがギリシア彫刻の美に昇華する温泉のシーンなど何度読んでも凄い美しさですね。ワン…といういつもの吠え声は聞こえないのでホテルの窓外を見ると濃い雲が垂れ込めている。昨日も曇天で晴れていれば見えるはずのサハリンが見えない。岡田嘉子のようにソ連(ロシア)に亡命したいとは思わないけれど残念。1階のロビーに行くと気温はマイナス1度で凄く暖かいと言われた。ナルホドところ変われば価値観も変わる。部屋に戻ってスタンバイするとRKB毎日放送から電話がかかってきて『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』に電話出演。WBCの盛り上がりを受けて野球の話。明治時代に野球を始めた頃の日本(一高を中心とした旧制高校や大学)では死球でも投球を避けたり逃げたりした打者は一塁へ進めなかったという話を紹介。1899年に発行された『最新ベースボール術』という本には《打ち手たる者の思想盤石なるを称せんとの旨意にて打ち手たる者は抜群の豪漢にあらざれば到底この恩恵(死球で一塁へ進むこと)に預かることを禁ず》と書かれているのだ。さらに明治時代は盗塁を何度も楽しむために塁上の走者は逆走を許されていた話も。野球は面白ルールがいっぱいあったんですね。しかし韓国の投手が大谷にはぶつける以外ない…なんて口を滑らせてしまって内角攻めが遣りにくくなりましたね。日本に有利とは言え私はリリーフ投手陣がチョイと心配です。ラジオを終えてホテルのレストランで朝食を済ませると昨日の講演会でお世話になった時事通信旭川支局長から部屋に電話。東京を飛び立った稚内行きの便が稚内空港の濃い霧と厚い雲のため旭川に着陸するかもしれないという。その際は東京へ帰る便がなくなるので旭川までJRで行って最終の羽田行きに乗るか…または札幌からの便が稚内に着陸できればそれで折り返し札幌(新千歳空港)へ飛んで羽田行きに乗り換えるか…どちらかになるという。マイッタな。サハリンは見えなくても突然本州最北端に来た実感が身に染みる。旭川支局長にとりあえず稚内空港へ送ってもらい少し待っていると羽田からの便が無事稚内空港に着陸との知らせ。そこかしこで良かった良かったと見送りの人と別れた人が(私も含めて)手荷物検査を受けて出発ロビーの待合室へ。そして無事羽田空港に帰って来ることができました。ほっと一息だけど空の上から間近に新宿新宿副都心の高層ビル街や巨大な0(ゼロ)としか見えない新国立競技場などはヤッパリ不気味でしたね。これほど巨大な…それでいてそれほど価値があるとも思えないビルや建造物を山ほど抱えて未来の日本は何処へ向かっていくのでしょうか…なんて感慨を抱くのは『草枕』を読み続けているせいか?
3月9日(木)
ベッドでの『草枕』は熟読と言うよりあらゆる一字一字を楽しんで読める。無人島に持って行く本を一冊と言われれば迷わず『草枕』を選ぶだろう。いや。夢野久作の『ドグラマグラ』も捨てられない。沼正三の『家畜人ヤプー』という手もあるか?いや。谷崎潤一郎の『瘋癲老人日記』だな…などと思った末にヤッパリ『草枕』に戻ってしまう。世の中にこれ一冊あれば十分ですね。グレン・グールドもそう思ってベッドの横に『草枕 Three Cornered World』を置いて亡くなったのですからね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。暖かい。♪も〜すぐハ〜ルですねぇ〜…ですね。ワン。終日雑務処理イロイロ。岩波書店から小林信也さんとの共著『真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球』の表紙が送られてきた。4月1日発売の岩波ブックレット680円+税。売れてほしい…という以上に多くの人に読んでほしいですね。スポーツネットワークジャパンからは『スポーツゴジラ58号』も送られてきた。小生の連載『走』第5回は1964年東京五輪マラソンのエチオピアの哲学者(アベベ)の話。特集は『スポーツ選手が愛した本1冊』。ミドル級世界王者だった村田諒太の愛読書はフランクルの『夜と霧』。シブイですねえ。嬉しいですねぇ。ちなみに柔道の山口香さんはマーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』。五輪体操金メダリストの加藤澤男さんは世阿弥の『風姿花伝』と西田幾多郎の『善の研究』でした。ブラーヴォ!晩飯はWBC対中国戦を見ながら。中国も力を付けてきている…とはいえ少々先行きが心配になる第1戦でしたね。村上を4番に戻さなくても良かったのでは?
3月10日(金)
ベッドで『草枕』の続きを読みたかったが仕事の関係で後藤逸郎氏との対談の速記録を読み直して頭に入れる。締め切りの関係がありますからね。『草枕』を読めないのは残念。だがまだ続きを読むことできると思えると嬉しい。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日原稿書きは午後3時で一端休止。『オプエド』の準備。今日のゲストは相撲ジャーナリストの荒井太郎さんと初登場の日刊スポーツデジタル部長の佐々木一郎さん。佐々木さんは大相撲記者歴10年以上で大相撲中心のツイッターのフォロワー数数万人を誇る大相撲の専門家。世の中WBCの話題一色のなかで伝統文化は粛々と推し進められるべしという荒井さんの言葉(以前オプエドに出演してもらったときにロンドン五輪のときにもセント・アンドリュースでの「ジ・オープン」やウィンブルドンでのテニスが行われていたことを例に挙げての指摘)に従って12日(日)に初日を迎える大阪場所の話題を取りあげる。テーマは「どうなる?荒れる春場所!どうする?綱取り貴景勝!」しかし荒井さんも佐々木さんも指摘したけど大阪場所(春場所)は横綱の優勝が多く意外と荒れていないらしい。だから…ではないが貴景勝の綱取りは成功しそうな気配!?そんな話題が満載の番組は今も視聴できます。https://op-ed.jp/ 番組が終わって晩飯食べながらWBC日韓戦。先制ホームランを打たれて3点リードされたもののすぐさま逆転の上に猛打爆発。あわやコールドゲームの圧勝。投手陣の差なのか打線の差なのか?とにかく「差」はありましたね。ヌートバーたっちゃん人気急上昇は納得。こうなると村上にアメリカ戦やドミニカ戦を見据えてゆっくり調整してほしいですね。しかしこのWBC人気により収益はんほんのや級の発展につながるのでしょうか…?
3月11日(土)
ベッドでの読書は中止して朝6時から『ZAITEN』後藤逸郎さんとの対談の原稿書き。8時頃一端休止して朝食と黒兵衛との散歩のあと再び机の虫に。昼食&昼寝を挟んで2時46分には少し黙祷。あの日は我が家でもかなり大きく揺れて次女が生まれたばかりの長男を抱きしめて叫び声を上げていましたね。幸い被害は軽微に終わってガラスが1枚割れたこととCDが床に散乱したことくらいでギュギュウヅメの本棚の本は迫り出しただけで飛び出さずに済みました。その年の秋から10年連続して石巻を訪れ『武道フェスティバル』に参加したり石巻専修大学の教壇に立たせてもらったりしましたが東京五輪も終わって東京都の支援も終わったようでイベントは終了。小生も訪れることは途絶えてしまった。石巻スポーツ協会や大学の皆さんは元気にやってるかなあ?また機会があれば訪れたいと思います。夕方に原稿完成。晩飯はWBCチェコ戦を見ながら。チェコもなかなかシッカリした野球をやってますね。日本が勝ち進んで大人気のときにケチを付けたくもないですけど日本以外の試合の観客席がガラ空きというのが日本の野球人気の現状の限界とも言えますね。
3月12日(日)
今日もベッドでの読書は中止。朝少々早く起きて昨日完成させた『ZAITEN』対談原稿をチェック。完成させて朝飯&黒兵衛と散歩。山桜の白い花が少し開花。染井吉野はまだまだですね。ワン。午前中に『ZAITEN』原稿をメール送稿してイロイロ準備。午後から東海道線で川崎駅へ。タクシーで羽田空港第2ターミナルへ。ANAで新千歳空港へ。タクシーで苫小牧のホテルへ。晩飯は機内で済ませたのでビールだけ買い込んでテレビでWBC日本vsオーストラリア戦。大谷の超特大3ランホーマーも素晴らしかったけど山本由伸のピッチングも流石でしたね。途中ニュースで貴景勝が3場所連続翔猿に敗れるのを見る。土俵際でちょっとバタバタしてしまったですね。綱取り大丈夫かな?WBCは日本チームがオーストラリアに難なく勝って4連勝で準々決勝へ。『草枕』最終章を読みながらベッドへ。苫小牧泊。しかし『草枕』はメッチャ面白い小説ですけど不思議な小説ですね。ドラマが背景にしか存在せず表舞台は芸術論(小説論)なんですからね。しかし何度読んでも面白い。
3月13日(月)
ベッドのなかで夏目漱石『草枕』約50回目の読了。一番最初に読んだのは中学2年のとき国語の授業で第1章だけを読まされた。難解な言葉の連続に圧倒されながらも辞書を何度も引きながらとにかく画家が旅して芸術論を語るだけの話を読んだ。ふ〜んと感心したことだけを覚えている。その後大学に入って授業はまったく出る気にならなかったけど漱石くらい読んでおかなきゃと思って読んでこれは凄い小説に違いないと感激。その後スポーツライターとして少しは収入を得て漱石全集を買い何度も読んだ。50歳を超えた頃に『草枕』だけは気軽に何度も読みたいと新潮文庫を買ってそれを今も繰り返し読んでいる。もはやボロボロで文章には側線だらけだけどこの本は死ぬまで手放せないですなぁ。苫小牧のホテルでベッドから出てシャワーを浴びてバイキングの朝食を取ったあと岩波書店から送られてきていた小林信也さんとの共著『真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球』(岩波ブックレット)第三校の校正開始。あと少しで自分のページのチェックが終了というところで時事通信社の担当者から電話。時間となったのでこうし控え室へ。苫小牧の財界の方々と昼食を摂ったあと1時間半の講演。先週稚内で話した内容とほぼ同じことを話させて頂いて質疑応答になると子供たちのアイスホッケー・チームを指導している方から勝利至上主義について質問。その弊害がよく語られるけど勝利を目指さないスポーツなんてあり得ないのでは?という問いだったので勝利を目指すのは当然だけど勝利が何よりも素晴らしい(至上)というのは間違いと話す。勝利は単なる喜ばしい勝利だけのことですね。講演のあと時事通信社の用意してくれたタクシーで新千歳空港へ。雨で厚い雲が垂れ込め強風が吹いていたので心配したが無事離陸。機中で『高校野球廃止論』の校正を完成させて羽田へ着いたらちょうど大船行きのバスが10分後に出発。それに乗って帰宅。コロナ明けで1週間に2度の北海道一泊旅行はチョイとシンドイかったかな。吉本新喜劇を笑いながら見ながら晩飯&酒&ネル。
3月14日(火)
ベッドのなかで昨日送られてきた雑誌(?)と言うかムック(?)と言うか佐伯啓思氏監修の『ひらく』(A&F)第7&8号を持ち込み読み始める。7号の表紙と巻頭アートは横尾忠則。8号はロシア絵画で小生の大好きなクラムスコイのアンナ・カレーニナをイメージした『見知らぬ女』。どちらも大判印刷でじっくり見るに値する。編集長になった友人のO氏は良い仕事を始めたようだ。8号のロシア特集から佐伯氏の論文「ロシアの戦争と西欧文化」もマスメディアが指摘しないを「文明の相違」をシュペングラーの「西洋の没落」やハンチントンの「文明の衝突」を引き合いに出して解説。非常に興味深いもので他にも井上道義氏が語るロシア音楽や竹内洋氏と佐伯啓思氏の対談「日本から知識人は消えたのか」など読書欲をそそる企画が満載。ここしばらくは読む本に悩むことはなさそうです。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと北海道旅行の精算など雑務をこなしていると講談社から今月の現代新書が届く。河村小百合『日本銀行 我が国に迫る危機』腰巻きに「金利1%引き上げ2年で債務超過に/新規国債発行ストップで社会保障費も防衛費も一律4割カット」とある。金融政策を自画自賛して辞めた日銀総裁がいたけどチョット眉に唾をつけたくなっていたのでコレは読まねば。篠田英朗『戦争の地政学』も大久保健晴『今を生きる思想福沢諭吉 最後の蘭学者』も読みたいなぁ…と思っていたら玉置悟『地政学と冷戦で読み解く戦後世界史』という単行本も講談社から届いた。著者には特に面識はないがコレも面白そう。読みたい本や読むべき本は一気にまとめて出現する。世の中は上手く進まないものです。あ。大江健三郎さんが亡くなった。高校生のときに最初に読んだ『人間の羊』のショックから『セヴンティーン』『個人的体験』『蔓延元年のフットボール』へと続いた高校時代のショックの連続は忘れられませんね。憲法9条の会&原発反対を引き継ぐ大江さんレベルの人物が出てきてほしいものです。合掌。終日雑務と岩波ブックレット『夏の甲子園はいらないー問題だらけの高校野球』の最終校正を終えて宅急便で送る。あとは表紙・目次・奥付の校正で一段落かな?
3月15日(水)
昨日は様々に本が送り届けられてきた一日だったがそのなかに丸善出版発行の季刊誌『學鐙』春号もあったのでベッドのなかでそれを読む。特集は「品がいい 品が悪い」。池内了氏によると「品」とは《その人の挙動や話しっぷりから感じ取れる雰囲気》だが確かに最近は《「品のよしあし」という言葉を聞くことが少なくなった。何事であれ直接的表現によって内容がわかりコスパとかタイパとか言って成果ばかりを気にする。そんな余裕を失った現代においては「品」というようなそこはかとなく包み込む「香り」のような属性は不要になりつつあるのだろう》たしかにそうですね。コスパはコストパフォーマンス。タイパはタイムパフォーマンスのことですね。貧相な考え方ですね。トランプ前大統領に「品がない」のは誰もが認めるところだろうがソレどころではなくポストモダンが過激化して《万人が共有できるような客観的事実は存在しない》という《非常識》にまで至るきっかけを創ったと内田樹氏が書いている。《トランプの大統領就任式に「過去最大の人々が集まった」と虚偽の言明をしたことについて問われた大統領顧問ケリーアン・コンウェイが報道官の言明は「代替的事実(alternative facts)」を伝えたものだと述べた》コレが《「非常識」の起点標識》と言え《無数の代替的事実が等権利的に併存している新しい世界の始まりがこの日に宣告されたのである》と…。ナンデモカンデモFACTSの世界とはヒドイ世界になったものです。こーなると《発声機会の多い人や声のデカい人間の勝ちである。それがポスト・モダンの知的退廃の実相である。知的無法状態が現出した》わけで最早《「品が良い/悪い」などという判断に普遍性が求められるはずもない》とはトホホの世の中。それでも品良く生きたいですね。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。WBC日韓戦で始球式に現れて大暴投した岸田首相を取りあげて始球式についてアレコレ話す。なぜ大統領や首相が始球式をやるのか?という話。これは「交代の儀式」なんですね。どんなエライさんも野球場では選手が主役であることを示す儀式。大統領や首相の私でも野球はできませんので選手に楽しい野球を見せて下さいとお願いして交代する儀式なんですね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。終日原稿書き。『ZAITEN』の連載コラム「今月のスポーツ批評」を完成させてメール送稿。WBCがどんなに盛りあがっても日本の野球界の「発展にはまったく関係がない!」という話。そうですよね。リトルリーグからプロ野球まで日本の野球組織はみんなバラバラなんですからね。そんなヒドイ組織を主導してる「朝毎読」サン!なんとかしてくださいよ!うわっ。若隆景また負けた。貴景勝も!湘南の海は4連勝で頑張ってますね。
3月16日(木)
朝ベッドで『ひらく』第7号の特集「日本人の戦後77年」佐伯啓思『「戦後日本」と言うニヒリズム』を読む。ナルホド日本の「戦後」は三島由紀夫の《場違いなほど真剣な遊戯》だった《クーデターごっこ》で幕を閉じ日本人は《「生きる」のではなくただ「生きている」ことを恥じるどころかその上に築かれた平和と繁栄を世界史の奇跡などという時代》を送ってきたのだ。そして日本は最早《経済大国でもなくなってきている》。《戦後の道徳の崩壊も多様性と言えば聞こえは良いもののただ価値観のだらしない紊乱》に過ぎず《政治家の大演説からツイッターの呟きまですべてが「あり」で(略)まったくしまりのない「重層的非決定」の状態にわれわれは置かれ》ているのだ。かつて三島由紀夫は書いた。《このまま行ったら「日本」はなくなってしまふのではないかといふ感を日ましに深くする》そして三島は《戦後の平和と繁栄を戦争の真摯な反省の上に立った崇高な価値への転換であると言いくるめ自己中心的な保身を「平和主義の理想」と言いつのりカネと地位と権力への強欲を「繁栄」と脚色する虚偽の精神》に充ち満ちた日本社会に警鐘を鳴らすべく自死したのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。山桜が綺麗に花開き始めた。「生きる」の反対語は「死ぬ」ではなく「生きる」と「死ぬ」はひょっとして同義語で「生きる」の反対語は「ただ生きている」なのでしょうね。ワン。終日雑務。新聞の整理をしていると3月13日付の東京新聞夕刊に森喜朗五輪組織会長が女性蔑視発言で辞任したあと組織委理事に就任された來田享子さんが組織委の汚職談合事件について興味深い原稿を寄せられていた。《会長はじめ当時の組織委幹部は深く憂慮しているのだろうが彼らから反省や将来に資する意見はほとんど聞かれない。そのことが事態の根深さを思い知らせる。組織委は政官民とスポーツ界による「オール・ジャパン体制」を誇った。だが個々の専門性を適切に生かせず責任の所在も不明瞭だった。無責任無自覚のまま戦争に国を引っ張った戦前の指導体制を想起させる》《アイデアが出されると「上に聞いてみます」が繰り返されしばらくすると「上がちょっと難しいと言ってます」との回答。上とはどこか明かされることはなかった》《五輪が社会を映す鏡なら東京大会が問いかけるものは日本社会の公正性とそれを支えるモラルの喪失である》嗚呼。晩飯はWBCを見ながら。日本代表は強いですね。野球は面白いですね。素晴らしいですね。ならば改革しなければなりませんね。特にマスメディアに支配された高校野球とプロ野球を!大谷は今日を最後に投手としての登板をエンジェルスから禁じられているとか。何故日本の野球界は抗議しないの?世界一決定戦よりもカネの契約のほうが上位にあるのを誰もオカシイと思わないの?WBCとはその程度の大会なの?
3月17日(金)
昨日に続いて『ひらく/日本人の戦後77年』の特集で佐伯啓思氏&竹内洋氏の対談「日本から知識人は消えたのか」を読む。《ワイドショーなどではお笑い系(の人物)はたしかに井戸端会議での八っつぁん熊さんの役を果たしてますが同時にかつての文化系教授が担っていた横町の御隠居役も兼ねているんですね。今や公共知識人はお笑い系が担っているのではないかと思うほどです》(竹内)《毒にも薬にもならないポリティカルコレクトネスしか言えない芸人なんていったい何なんでしょうか(略)これでは社会の周辺から冷や水を浴びせるようなお笑いの意味はなくなってしまう(佐伯)》人生幸朗師匠が懐かしい?《誰も社会を揺さぶるような際どい球を投げられないからみんなが非常に平板なリベラリズムとか平和主義だとかそんなありきたりの価値観に寄りかかりながら目の前の出来事に対して差し障りのないコメントをするというだけになってしまいました(略)本当に大事なことはそういう公共的な場所ではないもっと私的な空間でしかたぶん表現し得ない気がします(佐伯)》残念な世の中?仕方ないメディアと言うべきか?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。メディアの開花宣言などと無縁に玉縄桜は散り山桜は五分染井吉野はちらほらですね。ワン。終日デスクワーク…と言うよりデスクと抽斗(ひきだし)の整理。人生は散らかしと整理の繰り返し。カオスとコスモスの往復。わが仕事部屋は小宇宙かと思って動くと掃除も楽しい?BGMはトスカニーニ指揮NBD交響楽団のヴェルディ『レクイエム』余白に『カンタータ諸国民の賛歌』が入っている。コレは1943年12月にアメリカから第二次大戦中のヨーロッパに向けて放送された録音で演奏の最後に英仏伊の国歌に続いてインターナショナルとアメリカ国歌が歌われてます。何気に凄い時代でしたね。??立〜て〜飢えたる者〜よ〜…は何故か私も今も歌えます。夕方から『ニューズ・オプエド』ゲストは2週前に続いて生島淳さんと福島良一さん。解説委員として上杉隆さんにFCバルセロナの審判買収事件について語ってもらったあと(コレはチームの存続に関わる大事件ですね)『WBC日本代表5大会連続ベスト4で考える MLBとNPBの格差』というタイトルで語り合う。今も聞けますのでどうぞ。https://op-ed.jp/最後は高校野球の話にまで至り小生も生島福島両氏も甲子園大会の現在のトーナメントのやり方に大反対しています。野球は全試合をトーナメントでやったりするもんじゃないですからね。『真夏の甲子園はいらない』(岩波ブックレット)は4月6日発売ですと宣伝も入れて番組終了のあとは『チコちゃん』見ながら晩飯&酒&ネル。
3月18日(土)
ははははは。思わず大笑いしてしまうオカシナ出来事が甲子園のセンバツ大会で起こったぞ。第1試合の東北高校vs山梨学院の試合で東北高校の選手が出塁したときにベンチで「ペッパーミル」をやったところが審判がそのイニングが終わったところでその行為をダメだと注意して禁止したというのだ。馬鹿馬鹿しい!! 小生は開会式をテレビで見てその試合のその瞬間は見なかったが大阪の新聞社の記者が教えてくれた。感想を訊かれたので何故「ペッパーミル」が禁止されたのかと記者に訊いたところパフォーマンスはダメだと判断されたというのだ。ハハハハハハ。思わず笑ってしまったね。大日本帝国陸軍が推奨して定めた開会式の閲兵式のようなパフォーマンスや自衛隊の行進と同じ握り拳を前後に振るパフォーマンスはOKだけどペッパーミルのパフォーマンスははNGなのですね。高野連にその理由を訊きたいですね。
3月18日(土)つづき
『ひらく/7号日本人の戦後77年』を読んでいたらの座談会「言論の戦後史」を読んでいたら評論家の宇野常寛氏が東京オリンピック2020について次のような発言をしていた。《僕は誘致段階から反対していました。非常に無策ノーコンセプトであり国策としてほぼ無意味であるオリンピックというものを何かある種のその場のノリのようなものでまるで戦艦大和を建造するかのような無為無策の下に招致してしまったことに疑問を抱いてオリンピックに対して批判活動を行いました。ただそれはやめろというのではなく決まってしまったオリンピックはやはり国家の五十年百年の大計であるべきだと「どうせならこれくらいの大きなコンセプトのあるオリンピックにすれば沈みかけた日本にとって少しは資するものがあるだろう」という形でもう一つのオリンピックの計画というものを立ち上げました。ところが全く話題になりませんでした》小生もそんなものを主張されているとは全く知りませんでした。今からでもそれがどんなものだったか知りたいものですが《商業的にも言論戦的にも大きな敗北をしたと思っています》と言われているのは日本のスポーツに関する意見でて何度も何度も「敗北」を喫している小生としては少々大袈裟な感想かなと思いますね。小生は今も東京五輪の「後始末」を雑誌『ZAITEN』で繰り返したり高校野球のナンセンスさに対する批判を繰り返したりしてますから。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとセンバツ高校野球開会式を見る。相変わらずの軍隊閲兵式のような入場行進を「気持ち悪い」と思わず「美しい」と言うNHKのアナウンサーに対してオルタナティヴな開会式を高校生自身が考えるべきでしょうね。などと思いながら仕事をしていたら某大手新聞大阪支社の記者から高校生がペッパーミル・パフォーマンスをしたことをどう思うか?との電話が入る。小生の回答は本欄前項目に書いたとおりですが高校生も流行に流されないで自らの表現を行うべきでしょうね。大相撲は湘南の海は頑張ったけど朝乃山に負ける。惜しい!高安が負けた!碧富士はしぶとい相撲を取りますね。晩飯のあとはNHKスペシャル『メルトダウン前編原発事故危機の88時間』を見る。こんな事故を起こしながら…しかも使用済み核燃料の処理もできずに山ほど核ゴミが溜まるなかで…よく原発の「新方針」なんてのを打ち出せるものですね。
3月19日(日)
『ひらく/8号ロシアとは何か?』の指揮者・井上道義氏へのインタヴューがメッチャ面白かった。小さい頃にバレエを習っていた井上氏はロシア音楽への道筋が早くから付いていたのですね。《ロシア人くらいベートーヴェンの演奏の下手な民族はいない》という言葉には笑ったけど《日本の若い指揮者がロシアでチャイコフスキーなんかやっちゃダメ》という言葉に納得。《「アテネにフクロウを連れて行く」ような真似だけはやめた方がいい》ということですね。わかりますよね。バレエの本場でチャイコフスキーを演奏するのはソクラテスやプラトンやアリストテレスを生んで育てた街に「賢人=梟(ギリシアの通貨にも彫られている賢人の象徴)」を連れて行くようなものだということですね。ショスタコーヴィチの「交響曲4番」を《岡本太郎の芸術は爆発だ!としたら交響曲5番は「完全にコントロールされた原子炉」》と表現されているのも凄いですね。なるほど原子炉の完全コントロールはショスタコーヴィチという大天才の音楽にしてのみ可能な行為でソノ恐ろしさも描かれている音楽(第3楽想は核の冬?)にはナルホド納得ですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。静かな日曜の朝に山桜が満開。♪霞か雲か〜というのは山桜のことで染井吉野は坂口安吾が言ったように根っこに死体が埋まってる?ワン。終日雑務。4月6日(ナント小生の誕生日)に発売が決まった『夏の甲子園はいらない』(岩波ブックレット)の送本先リストを作ったりホームページの更新原稿を作ったり…で夕方から大相撲見ながらビール飲んで(湘南の海は逸ノ城にも勝てなかったですねぇ…碧富士ナカナカですね)ニュースと『ダーウィンが来た』見ながら晩飯。サンダルのコレクションで巣を作る鼬を見ていると筒井康隆大先生の『虚構船団』を思い出しますねえ。ワッカルカナア…古いなあ(>_<)。風呂の後昨晩に続いてNHKスペシャル『メルトダウン後編原発事故危機の88時間』。新型の原子力発電の原子炉にはメルトダウンした燃料デブリを受ける受け皿が付いているという解説には恐ろしさを感じましたね。原子炉の「完全なコントロール」はショスタコーヴィチの音楽にしかできないことですよね。おまけに核のゴミの処理の話は出てきませんでしたね。相変わらず現代人はトイレのないマンションに住み続けなければならないのでしょうか…?テレビのニュースショー番組では甲子園での「パッパーミル事件」は取りあげないみたいですね。ネットメディアとマスメディアは完全に乖離したようですね。
3月20日(月)
朝ベッドのなかでの読書は篠田英朗『戦争の地政学』(講談社現代新書)。いやあ初めて気付かされることが多いですね。《広範に誤解されているがポツダム宣言は国家としての日本の無条件降伏を要求したものではない》エエーッ!!と思ってしまうが《無条件降伏は大日本帝国軍に対して要請されている》もので《ポツダム宣言には日本が戦争指導者を追放したうえで「自由で責任ある政府」を新たに樹立するまで連合国が占領を続けることが規定されいた》が《日本が国連憲章を中心とする国際法秩序を遵守する国に生まれ変わった時にはポツダム宣言に則って占領が終了する》というもののだった。ではその後戦争指導者(A級戦犯)たちが靖国神社に合祀され天皇が靖国神社に詣らなくなった今日はアメリカの占領が復活したというわけか!?ワン!?ベッドを出て黒兵衛と散歩。山桜が満開のうえに鶯の鳴き声がピッコロの高音のように綺麗に響く。おまけにホーホケッケキョとシンコペーションで。梅は終わったのにまだ元気。終日『ZAITEN』後藤逸郎氏との対談原稿の校正や連載『今月のスポーツ批評』の校正。ただしWBC日本代表の最終結果が出るまで仕事は区切りが付かないですね。まぁシャーナイか。
3月21日(火)
いやああああああ…WBC準決勝日本vsメキシコ戦は素晴らしい試合内容で凄い結末になりましたねぇ。不振に喘いでいた村上のサヨナラ逆転打は見事でした!!よかった!よかった!村上が打ってくれて本当に本当によかった!明日のアメリカ戦が楽しみですね。もっとも…楽しむだけで日本野球の「発展」につなげるにはどうすればいいのか?そろそろそれを考える時期が来ているはずですが…岸田首相のウクライナ入りを日本のサヨナラ勝ちでブッ飛ばしただけというのもねえ…プロから社会人・大学・高校・中学・そしてボーイズリーグ&リトルリーグ&女子野球まで…一つの組織で日本野球の発展を考えるようにはならないものですかねえ?朝毎読サン考えてくださいよ。
3月22日(水)
いやあああああああああ…昨日の試合が最高に凄かったのに今日はさらに一段凄さのヴォルテージが上がったモノスゴイ試合になりましたねぇ!!日本代表チーム全員の力には驚嘆と共に大拍手です。日本vsアメリカの最後の最後に大谷vsトラウトとは!!もう言葉もないですね。ただただ凄い!!凄かった!!と言うばかりです。しかし…これで「日本の野球の未来は明るい」と断言するのはマスメディアの無責任なコメントですよね。選手は頑張った。ユニフォーム組は頑張った。次は背広組(球界を動かしている組織やメディア)が真に日本野球のために頑張って改革その他に動かなければこのWBCの栄冠がただの素晴らしい思い出にだけに終わってしまいますよね。さぁ日本の野球だけでなく日本の野球界もアメリカに負けずにアメリカ並に発展させましょう!そのためにはマスメディアが日本野球の運営(チームの所有や野球大会の主催)から手を引いて野球の組織を(サッカー協会JFAのように)一元的に統一するべきでしょうけど…発行部数の落ちてる新聞社にとってもその方が望ましいのでは…?
3月22日(水)=追記
朝起きて歯磨き洗面のあとWBC決勝アメリカ戦。途中でRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマはもちろんWBCと野球のことだが野球の国別世界選手権の開催が何故難しかったかという話をする。それは審判のストライク・ボール&アウト・セーフへの「判定」に抗議が溢れてしまうからだった…がルールで審判のジャッジについての「抗議」や「不服の意志表示」が禁止されたことによって国別世界選手権が可能になった…という話をする。ラジオを終えて黒兵衛と簡単な散歩のあとWBCのビデオ録画をチョイと早送りで見直し途中で実際の試合の進行に追い着いて日本代表チームの勝利を喜ぶ。しかしアナウンサーは「日本野球の未来は明るい!!」と絶叫していたけどソレはステイクホルダー(利益共有者)の希望的発言であって現実は違うと言わざるを得ないですね。今回のWBCの日本選手の活躍は偏(ひとえ)に試合に臨んだユニフォーム組とスタッフの大活躍であり背広組(日本野球の運営者たち)は組織がバラバラに分裂したままですからね。しかもメディア(新聞社)がバラバラに運営して選手をトータル的に育てるシステムはなく利益を分捕りし合って結局最終的には利益をアメリカ・メジャー・ベースボールに持って行かれるのですからね。まるで日本が第二次大戦の敗れた戦後体制そのものですね。さぁ日本の野球を「どうする新聞社!?」運営から手を引いて日本の野球は「野球を運営する一元的組織」に任せて自らはスポー・ジャーナリズムに徹する批判的精神で日本野球を健全に育てる側に回った方がいいのではないでしょうか?午後から北國新聞の月イチ連載「スポーツを考える」の原稿をWBC優勝おめでとうと同時にそーゆー内容でまとめて送稿。雑誌「ZAITEN」の連載の校正もそーゆー内容にWBC優勝部分を書き加えて送稿。校正を何度もやりとりして…ふううう…一段落。大相撲は若元春が素晴らしい。晩飯食いながらWBC決勝を見直したり…岸田首相ウクライナ入りやプーチン習近平会談のニュースを見たり…。ここ3日間で読了した篠田英朗『戦争の地政学』(講談社現代新書)が現代の国際情勢を考えるうえでが非常に参考になったが習近平中国は二つの一帯一路でランドパワーとシーパワーの両方を手に入れようとしているようですね.それを海から阻止しようとしているのが「クアッド」と「自由でひらかれた太平洋戦略」で大陸で利用しようとしているのがロシアのウクライナ侵攻なのでしょうか?「地政学」というのは確かに「世界観のぶつかり合いの分析」かもしれませんが解説として納得しているだけでは少々重苦しいですね。明るい未来が見えないから…。その重苦しい現代社会をスポーツの勝利でウォッシングしてスポーツを消費するのも辛いですね。やはりスポーツはカルチャーとして育てないと…。
3月23日(木)
昨日まで2日連続WBCのTV観戦で黒兵衛との散歩が手抜きになっていたことを反省して今日はきちんと歩こうと思ったら雨。まぁシャーナイですね。ワン。終日デスクワークは連合通信『スポーツ博物館』執筆。月イチの連載で145回目とは長く続いている。WBC優勝を喜ぶと同時に「日本野球の未来は明るい!」と絶叫したTVアナウンサーを批判。マスメディア主導の野球界に「スポーツ・ファースト」の組織改革を求める内容を描いて送稿。途中NHK-BSでチャーチル英首相の映画をやっていたので少し見る。3度目かな。忘れている部分が多くなってるので改めて見直したくなった。昔見た映画は内容を結構憶えていて最近見た映画の方が忘れているというのはどーゆーこっちゃ?原稿を送って手紙の整理をしていたら『夢剣士自伝』(左文右武堂)という本が送られてきていた。著者は惠上孝吉という人物で《身長157センチの体躯で昭和30年の剣道界を華々しく彩った人物》らしい。《全日本学生選手権4年連続決勝進出。全日本選手権2位1回3位3回》の成績で剣道指導者として《中京大学で幾多の名選手を鍛え上げ東京大学を全国出場に導き金沢大学を全国レベルに押し上げた》という。本の中味は《ライバルとの激闘/名勝負秘話・独創的トレーニング・戦後剣道の歴史・剣道技術の変遷…》とある。一昨年の共同通信書評として同じく左文右武堂(この出版社名前イイですね)の『剣道の未来』を「今年の三冊」のうちの一冊に選んだ関係で送られてきたみたいですが478ページ2段組の強烈に分厚い鈍器本!でも面白そうだからぼちぼち読みましょう。大相撲は碧富士が頑張ったけど若隆貴に敗れる。さぁ優勝の行方が面白くなりましたね。4敗優勝くらいにもつれたら面白いけど…碧富士&大栄翔にも頑張って神奈川県民として応援してるけど神奈川県民として応援してるけどいつの間にか美ノ海や炎鵬にも負けて黒星続きで6勝6敗。勝ち越して幕内へ上がってほしいですね。
3月24日(金)
ベッドのなかの朝の読書は週刊誌3冊。「現代」の台湾有事の記事が興味深く沖縄と本土を結ぶ何本もある海底ケーブルを海底ドローンで切断されると沖縄は完全に孤立するらしい。政治は高市大臣がどーのこーのと言う以前に弱体すぎる野党をなんとかしなければどーしょーもないですね。ゼレンスキー大統領に広島名物"必勝"杓文字をプレゼントするような情けないセンスしか持ち合わせておらず国会答弁でメモを読むだけの首相で日本は本当に大丈夫なのでしょうか?「文春」と「現代」の故ジャニー喜多川氏の記事が興味深かった。少年に対する性暴力を英メディアBBCが報じて外国人特派員協会でも記者会見があったというのに日本のマスメディアは無視。これは芸能界の問題以上に日本のジャーナリズムとメディアの問題ですね。芸能界とTV業界の癒着は野球界とソックリかも。ワン。久しぶりに黒兵衛とゆっくり長く散歩。山桜は葉桜気味になり染井吉野はアッという間に七分咲き。流石に綺麗ですね。ワン。午前中イロイロ準備して午後早くからZOOMで『ニューズ・オプエド』録画撮り。今日のメインテーマがサッカー森保ジャパンでゲストはサッカー・ジャーナリストの大住良之さんと後藤健生さん。ご両人が新国立で行われる日本代表vsウルグアイの試合を取材されるため録画撮り。中味はWBCでの森安監督の下手な始球式の解説(大住さん)や横綱大関抜きの今の大相撲が開幕直後のJリーグにソックリで面白い(後藤さん)など面白話満載。もちろん日本代表サッカーのまだ選ばれていない期待のフォワードの話などサッカーの面白話もイッパイ。今も聞けますよ。https://op-ed.jp/録画収録を終えてチョイと仕事のあと大相撲。湘南の海は勝ったけど碧富士…負けたかぁ。残念。明日大栄翔に勝つと3敗で並んで面白いけど…。あ。今日は『チコちゃん』がない。ナンデヤネン(>_<)と思いながら録画せずに済んでサッカー日本代表vsウルグアイ。前半はタルかったですね。後半はマァマァかな。まだまだ第二期森保ジャパンは始まったばかりですね。どんな若く新しい元気な選手が出てくるか?楽しみですね。
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『バグダッド・カフェ』 いやぁイイ映画ですね。面白い映画ですね。貴種流離譚ですね。ドイツ映画は理屈っぽいですね
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『憂國』 バックの音楽はワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』から前奏曲と愛の死です。バーンスタインはこの映画を見た後トイレで吐いたそうです
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3月25日(土)
ベッドで三島由紀夫の戯曲『喜びの琴』を読む。舞台は公安警察。アカ(共産党の党員)が首相の乗った列車の転覆事故を計画して失敗。その事件に関わっていた犯人の一人が公安警察官。彼を上司として尊敬していた若い公安警察官の挫折と苦悩と再出発の物語。要するにワーグナーのオペラに登場する若者(ローエングリンやジークフリートやパルジファル)と同様のビルドゥングス・ロマンとして読んだが執筆当時(昭和39年)は文学座(杉村春子座長)が緊急総会と理事会を開き上演保留を決定。三島は上演中止を申し入れて文学座は「思想上の理由による上演中止を申し入れ作者も応諾」して三島は何人かの追随者と共に文学座を脱退。作品は少々改訂されて日生劇場で浅利慶太プロデュース演出で上演された。三島は《第一幕を反共思想/第二幕がそのアンチテーゼ/第三幕第一場がそのジンテーゼとしてのニヒリズム/第二場が救済の主題と高揚》と書き直したそうだがやっぱりコレは昔の共産主義の活動をネタにした「ワーグナー劇」ですね。映画『憂国』のバックに三島が延々とワーグナーの音楽(トリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死)を流したのも理解できますね。ワン。雨の中黒兵衛と散歩。雲古したらすぐ帰宅。イロイロ仕事&雑務。その最中にエッ!?と驚く情報が!!指揮者の佐渡裕さんがトーンキュンストラー・オーケストラとウィーンの楽友協会ホールで練習中に指揮台から客席に落っこちて肩と背中を強く打ちつけたとか。あそこの指揮台は狭いしなぁ…佐渡さんは暴れるしなぁ…(>_<)骨折はせず大事なくWBCの日本の優勝見て元気を取り戻したらしいけど気ぃつけておくれやっしゃ。大相撲は大栄翔が一歩リードか。千穐楽で3力士並んでの優勝決定の巴戦が見たいですね。十両湘南乃海は幕内水戸龍に勝って勝ち越したけど9-6で初入幕を確かなモノしてほしいですね。湘南乃海って名前が桃太郎なんですね。益々応援したくなった( ^o^)ノ録画しておいた『報道特集』を見ながら晩飯。放送法とテレビの関係も重要だけどメディアとスポーツの関係も取りあげてほしいですね。一般的なニュースとスポーツニュースは番組を分けるべきかもしれませんね。スポーツの社会的側面の事件は一般的ニュースで報じるべきでしょうが勝敗はスポーツニュースに独立させた方がいいかな?風呂のあと久しぶりに映画&酒。『バグダッド・カフェ』ハッハッハ。面白かった。『フィールド・オブ・ドリームズ』などと同じ貴種流離譚ですね。やっぱりドイツ映画は何かと理屈っぽいですね。
3月26日(日)
ベッドの読書は河合小百合『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社現代新書)。経済は小生の最も苦手なジャンル。多くの折れ線グラフや棒グラフや円グラフの「意味」はナカナカ理解できないがアメリカやEUが必死になって金融経済を運営しているのに日本銀行(異次元の量的緩和)と日本政府(アベノミクス)は先のことを何も考えずに目の前の株価上昇と維持のみを目指したため今やタイタニック(日本)は霧のなかから突然現れる氷山にぶつかって沈没するという話。まだ半分ほどしか読んでないが黒田前日銀総裁の大批判ですから小生のような経済音痴を納得させるには是非とも両者の(意見を支持する人の)直接対決討論を聞かせて欲しいものですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。外はまた雨。せっかく満開を迎えた染井吉野が可哀想。花ニ嵐の譬ヱモアルサ サヨナラダケガ人生ダ そんな一節を思い出す雨中の散歩。コノ一杯ヲ受ケテクレ 君ニナミナミ注ガセテオクレ と自分が自分に呟く散歩ですね。ワン。チョイとイロイロ仕事したあと午後からは民家(明治時代に建てられたらしい)を改造したobi gallerry(オビギャラリー)で開かれていたご近所さんのアーティスト佐藤実さんのインスタレーション「失われた三角形と隠れた三角形Lost ando Hidden Triangles」を見に行く。面白かった。正四位の人物が墨痕美事に書いた「敬天愛人」の額のかかった古民家に置かれた25音階の天球の音を振動させるオブジェも面白かったが古民家の隣の細長い台形のスペースに持ち込まれたモーリーの定理で現れる正三角形が光るインスタレーションも面白かった。どんな形の三角形でも各頂点を3分割した線分が混じわるところには正三角形が生まれるというモーリーの定理なんて知らなかった。作者の佐藤さんと漱石の草枕(The Three-Cornered World)やモネの睡蓮やピカソやニューヨークのMoMa美術館などの話をしてメッチャ楽しいひとときを過ごす。昔某代議士がテレビ番組のゲストに呼んだ赤塚不二夫氏と対談して自分の「教養」を自慢しようとして台本に書いてあったピカソのことをピカリと読んでしまって赤塚さんが「ピカリは最高の画家ですよ」と反応されてピカリピカリピカリで盛りあがった番組が没になった話で大盛りあがりました。これは赤塚さんが小生の『不思議の国の野球』の文春文庫の解説を書いてくださったときに長谷邦夫さんから聞いた話。ギャラリーでの楽しいひとときのあと帰宅して大相撲千穐楽は霧馬山が2連勝で大栄翔から優勝を奪い取る。しかし小生は愚直な押し相撲も好きですね。晩飯のあとは少し休んでからNHK-BSで愛之助の河内屋与平衛と孝太朗のお吉による『女殺油地獄』。去年の京都南座公演。仁左衛門の狂気よりも優しい愛之助だがそれだけに殺しの場面のリアリティもあって素晴らしかった。しかしこの近松の作品のバックの太棹三味線は最高の現代音楽ですね。
3月27日(月)
河合小百合『日本銀行 我が国に迫る危機』(講談社現代新書)読了。《安倍政権は"デフレ脱却”と銘打って日銀に事実上の財政ファイナンスをやらせて国債に付く市場金利が上がらないように力ずくで抑えつけてきました。しかしながら市場メカニズムを無視した金融政策が永続させられるはずもなくその日銀が本当におかしくなりかけ財政運営も行き詰まる瀬戸際にきているというのが我が国の現実なんです》そうですよね。国債を山ほど発行しても札束を刷れば問題ない…などと言っていた人がいたけど山ほど謝金して問題ないわけないですよね…という意見に対してイヤ問題ないんだ…と言っていた人の反論を改めて聞きたいですね。記者会見でココは演説の場ではないと言って説明を拒んだ黒田前日銀総裁はどう言うのかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。久し振りに桜を見ながら長距離を歩く。ワン。テレビではマダWBCの話題。もしも優勝できなかったとしても栗山監督に対して高評価を下すのならイイですが…勝たないと評価されない騒がれない…という日本野球の現状(カルチャーになり得ていないという現状)を忘れてはならないですね。『真夏の甲子園はいらない』(岩波ブックレット)の出版が近づき共著者共編者の小林信也さんとイロイロ連絡。高校生に読書感想文や高校野球改革案を求めるコンテストは是非とも実現したいですね。大阪の読売テレビ『すまたん』からスポーツの胴上げについて問い合わせ。始球式や胴上げや開会式の入場行進や表彰式などスポーツの周辺に存在するスポーツ以外の様々な要素についてはイロイロ調べたこともあるので喜んで答えることにする。そういうスポーツ周辺の行為で最も不思議なのはスポーツの表彰式でヘンデルのオラトリオ『ユダス・マカベウス』のが局が使われてることですね。『見よ勇者は帰る』と歌詞が付けられた楽曲ですが大相撲千穐楽の表彰式でユダヤの英雄を讃えるのもオカシイけどスポーツで戦争勝利の音楽を使うのもハテナ?ですね。晩飯は吉本新喜劇を見ながら。内場さんの芸歴40周年記念座長公演。オモシロカッタ。
3月28日(火)
朝ベッドで『ひらくG』の「特集 保守のこころ」に掲載されていた佐伯啓思『「保守の精神」を失った保守主義』を読む。勉強になりました。ナルホド「本来の保守主義」とは《西欧の近代主義への抵抗思想》であり《進歩主義への異議申し立て》だったのですね。だから《功利主義・経済主義・合理主義などとはまったく無縁の精神》で《人間にとって大事なものは統計的数値やランキングのなかにあるのではなく数値化したり序列化したり比較したりできない日常の具体的な活動において表現される以外になく我々の生を支えるものは経済活動による物的な富の蓄積だけではなく精神的な愉楽や安楽でもあると考える》のが《保守のこころ》だというのだ。《見知らぬものよりも慣れ親しんだものを好むこと(略)完璧なものよりも重宝なものを好み理想郷における至福よりも現在の笑いを好むこと》こそ《保守的な性格》だという。つまり冷戦時代のアメリカもソ連も「反保守の進歩主義」で現在のアメリカにも日本にも「本来の保守主義の政党」は存在しないのですね。かなり昔(20年くらい前に)偶然佐藤優さんと酒を呑み交わす機会を得たとき彼が「アメリカのネオコンはトロツキストなんだ」といった意味が今頃よくわかりました。共産主義の世界革命もアメリカ自由主義の押しつけも進歩主義急進派として同根なんですね。イラク戦争を主導したネオコンを新保守(Neoconservative)などと呼ぶのは根本的に間違ってるんですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。染井吉野の悪口を何度か書いたけど満開の花を見るとやっぱり綺麗ですね。ウチの近辺には玉縄桜に始まって山桜・染井吉野・八重桜・枝垂れ桜と順に見ることがでるだけでも幸せですね。こういう近所の桜を愛でるのも本当の保守主義でしょうね。ワン。イロイロ仕事のあと夕方から読売テレビ『すまたん』のZOOM取材を受ける。テーマは胴上げについて。起源は善光寺だとか。大相撲では土俵千穐楽千穐楽神送りで若い行事さんを若い力士が胴上げしますね。スペインや東欧などにも胴上げの伝統はあるみたい。小生はインターハイ出場が決まったあと仲間にチョイと胴上げされましたが怖くてすぐに2〜3回で止めてもらいました。あれは怖いものです。ヌートバー選手の気持ちがわかります。晩飯はコロンビア戦見ながら。監督が試合中に選手にメモを渡して選手がピッチ上で回し読みするなんてサッカーで初めて見ましたね。バングーナガンデいいですねえ。
3月29日(水)
ベッドのなかの読書は昨日に続いて「保守のこころ」の特集。出雲神話の古代史や天皇の歴史関係の記述を読む。保守と革新という分類に沿えば日本書紀や近代明治の天皇制は「革新」で出雲神話が「保守」なのかな?面白いですね。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。WBCでの栗山監督へのメディアの「絶賛の嵐」を取りあげる。そしてもしも優勝しなかったとしても監督として「絶賛」されたか?「評価」されたか?と問題提起。勝ったから騒いでるだけではタダ勝利至上主義を肯定しているだけで日本の野球もスポーツも進歩しませんよね…といた話をしたあと黒兵衛と散歩。ワン。青空をバックに桜が綺麗。ワン。終日このホームページの改訂原稿作り。コレが結構時間かかるんですよね。途中NHK-BSでやっていた映画『キネマの神様』を見る。うむむむむ。小生は山田洋次監督のリズムが合わないんですよね。かったるい。脚本も怠い。沢田研二の良さも(私には)感じられない。寅さんの好きな人には受けるのかな?山田洋次監督で私が好きなのはハナ肇と岩下志麻の出ている戦後日本を喜劇で見事に描いた『馬鹿が戦車でやってくる』だけですね。午後からもデスクワーク。晩飯のあと映画2本目。ロバート・デニーロ&シルヴェスター・スタローン主演の『リベンジ・マッチ』若い頃にライトヘビー級王者として1勝1敗のライバルで恋人まで奪い合った両者が80歳近くなってリベンジ・マッチを行うというブッ飛んだ話。イヤァ面白かった。年老いたロッキー対ジェイク・ラモッタ(レイジング・ブル)の闘い。老人が主人公の娯楽映画としてはクリント・イーストウッドの『スペース・カウボーイ』と双璧かな。最期は壮絶なリング女王でファイトが繰り広げられて…亀の甲より年の功と言うべき大人の解決。イイ映画でした。デニーロは上手いですねぇ。
3月30日(木)
ベッドのなかの読書はまたもや漱石の『草枕』。四角い世の中の一つの角を切り落とし三角の世界に住むのが芸術家…と記憶していたがその切り落とした一つの角がどんな角だったか…たしか書いてあったと思って読み直すと…あったあった「常識」という角を切り落とした三角の世界Three-Cornered Worldが出現するのですね。改めて納得。この言葉を忘れるようじゃダメですね。反省。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと仕事部屋の大掃除。ふうううう。いつの間にかイランモンがいっぱい溜まるもんですね。本棚にある本も乱れていたのを直す。仕事部屋の掃除は頭の中の整理ですね。晩飯はニュースを見ながら。いつまで騒ぐWBC!コレは勝利至上主義の典型かも。勝つことで人気が出る…勝たなければ人気が出ない…というのはかつての読売ジャイアンツそのビジネスモデルは落合ドラゴンズとともに過去のものになったはずですが…。北海道の新球場とファイターズはどんな発展をするのかな…?と思いながら東北楽天イーグルスとの新球場での試合を観たけど…新球場にもあれほど多くのダサい広告を並べなきゃイカンのでしょうかねえ…?明日の『ニューズ・オプエド』で小林信也さんと佐野慎輔さんと一緒に話し合いましょう。日本に野球文化はあるのか?あるとするならソレはどんな文化なのか?…ということを…。
3月31日(金)
岩波書店の担当者から岩波ブックレットNo.1077『真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球』著者用10冊が届く。出版祝いをするような本ではないけど喜ばしいのはこの本をベースに今からイロイロ動けること。発信できること。共著者の小林信也さんと一緒にイロイロ動きましょう!動かしましょう!夕方からは『ニューズ・オプエド』。ゲストの小林信也さん&佐野慎輔さんと一緒にテレビの騒ぎすぎのWBC「報道」を批判。どんどん野球という素晴らしいスポーツから離れていってますからね。今日送られてきた『真夏の甲子園はいらない』で小生の書いた原稿『第三章「廃止論」どころか「改革案」まで封殺する日本のジャーナリズム(マスメディア)の根本問題』はWBCの結果を知らない時点で次のような文章で書き出している。日本代表が《どんな結果になろうと断言できることが一つある。それはWBCの結果を踏まえて日本の「野球文化」を大きく広げよう…という声はまったく出てこない(!)ということだ。じっさいメジャーに行った「侍」やプロ野球の「侍」たちは騒がれてもプロ野球・社会人野球・大学野球・高校野球・女子野球・少年野球…の組織をキチンとまとめなければ…なんて話は全然出てきませんからね。このままではいつか騒がれなくなって(消費されるだけで)終わるのでしょうねえ。その問題点をイロイロと書きましたので是非ともご購入のうえ御一読ください。平尾剛さんや溝口紀子さんや佐野慎輔さんも興味深い原稿も寄せてくれています。高校野球の諸問題を抉る小林信也さんと小生のロング対談も掲載されてます。定価は680円+税です。高校野球だけでなく日本の野球界&スポーツ界にも変革を起こすためにも!よろしく!『オプエド』のあとは『チコちゃん』と晩飯+酒。野球の監督が何故選手と同じユニフォーム姿なのかは知ってましたよ。野球の監督(フィールド・マネジャー)は元々選手でしたからね。しかし背広姿でベンチに入った監督もいたとしてコニー・マックが紹介されていたけどフィラデルフィア・アスレチックスで50年間監督をしたときは球団の経営者でもありオーナーにもなったことも説明してほしかったですね。でなければそんなに長い間監督もできなかったし背広姿でベンチにも入ることもなかったでしょうからね。
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