ナンヤラカンヤラ
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9月1日(土)
朝5時に起きてシゴト。6時から世陸50km競歩を見ながらシゴト。競歩は面白い。東京五輪のときは雨の中の50kmで1位の選手がゴールインのときテープ(当時は紐)を引きちぎったもんな。走ったらアカンという制限のなかで極限まで身体を酷使すると人間がモロに出るもんやな…などと思いながらそろそろゴールとテレビに注目したらナンヤこれは!山崎がガンバってたのにヴォランティアの誘導員が道路コース周回が1周足りひんのにスタジアムへ誘導してしまいよった。おまけに止めよらへん。その結果山崎は棄権扱い。五輪選考を兼ねてるレースめざしてがんばってきた選手に何という仕打ち!ふらふらでゴールインした選手にあまりに残酷な通知!責任者出てこーい!

9月1日(土)つづき
シゴトで机に8時間へばりついたあと夜は晩飯世陸劇場。車椅子1500m男子。応援してる廣道選手は残念無念。しかしタレントの司会の限界はこういう種目のときに出てしまう。なぜ車椅子レースをやるのかその意義は大きい。なのに大阪大会は過去の大会より車椅子レースの種目数が減った。運営委員に文部官僚しか入ってないから?(日本では身障者スポーツは厚労省の管轄)。世界のスポーツ界がバリヤフリーへ進もうとするなかでこういう感覚のままでは日本選手の敗退以上に日本のスポーツ界が世界から遅れてしまうで。おまけに運営委員に加わった官僚のほうが選手よりも高給を取ってるいうのもおかしいで。おまえらスポーツ界に群がるハゲタカか。

9月1日(土)つづき
4×100mリレー日本惜しかった!がんばった!しかしいつも思うのやけど小学校のときの算数では「答え」になる単位のほうを前に書けと習ったはず。それをテストのときに全部逆に書いてしもて答えの数字は全部合ってたのに50点という我が人生最低の点数を付けられたのでよう憶えてる。正しくは100m×4リレーというべきやけど…とはいえ「4人×100m/人=400m」と考えたらこれでもエエはず。小学3年のときのテスト50点の名誉回復を求めに小学校へ行こうかな(笑)。まだあるかな。年のドーナツ化現象で10年くらい前に訪ねたときは全校生徒40人とかいうてたしな。創立120年以上の古い学校なんやけど…。

9月2日(日)
昨晩TBSが「明日の女子マラソンは6時から」と繰り返してたから6時に起きたら出走は7時やないけえ!クソッ。だまされた。そういえば前回の世陸では「つぎは為末もうすぐ為末」と午後11時くらいからいいつづけられて結局午前4時くらいまで待たされた(時刻については記憶が不正確かしれませんが怒りはエスカレートするものです)。まあ朝早よ起きて仕事できたしエエけど。土佐礼子のがんばりは素晴らしかった。根性あるな。午後からフジテレビ「めざまし」のスタッフが来て世陸について話す。競歩の審判の問題…陸連の政治家と文科省官僚癒着の問題…スタジアム建設ばかりでスポーツに目が向いてない問題…学校体育と企業スポーツの問題…短い時間に話しきれへんで。一言で言え?ほな「選手に罪はない」。

9月2日(日)つづき
夜は今夜も世陸。4×400mリレーは面白い。運動会やな。オッフェンバックの『天国と地獄』とかカバレフスキーの『道化師のギャロップ』とかシュトラウスの『トリッチトラッチポルカ』なんてバックに流してほしいな。似合うで。今時小学校の運動会でもやらんか?そういえば乙武クンとメシ食うたときに「今までに見たなかで一番面白かったスポーツは?」と訊かれて「君は?」と訊き返したら「井上康生のナンタラカンタラ」と言うたので「オレは自分のガキの幼稚園の運動会のリレーや」と答えた。ちょっとツムジマガリやけどコレは本音。スポーツって品質的にはそういうもんですよね。この話を乙武クンが最近出版した『大人になるための社会科入門』(幻冬舎)のなかに書いとる。しかし関西弁というのはこういう単行本のなかに書かれるとちょっと下品やな。これからは気ぃつけよ。

9月2日(日)つづき
世陸での日本選手の惨敗は所詮は体格の差体力の差身体の差という声を聞く。それをいっちゃぁおしまいよ。けど最近の日本人は昔にくらべて大きなってる。プロ野球の二軍の練習なんか見に行ったら短距離やらラグビーやらをやらしたい身体の若者がゴロゴロおる。女子バレーの高校生のなかにも短距離や中距離をやらしたいと思う選手がいっぱいおる。結局は中学のときからひとつのクラブに固定してしもていろんなスポーツをでけへん環境とシステム(監督が生徒をつかまえたら離さへん?)の問題やろな。

9月3日(月)
くそっ。昨日デュダメルとヴェネズエラの音楽についてのドキュメンタリーをNHK-BSでやってたんや。友達には沢山教えたのに自分が見忘れてどないすんねん。再放送やるかなぁ…。まいったなぁ。夜は晩飯歌舞伎劇場VTRで忠臣蔵四段目。「由良之助はまだか」「いまだ参上つかまつりませぬ」昔見たときはもっとテンポが速かったと思うけど。歌舞伎はいまフルトヴェングラーの時代かも。けど幸四郎の由良之助よかったな。

9月4日(火)
カンヅメ。缶詰というのはナポレオンが軍隊の携帯食料の開発に賞金を出したことからフランスで生まれたらしい。そういえばビストロはロシア語で「早く」という意味。ナポレオンのロシア遠征で冬将軍に敗れて帰ってきたフランス兵がパリの軽食堂で憶えたてのロシア語をつかいまくったところからフランスの軽食堂を「ビストロ」と呼ぶようになったとか。以上ベートーヴェンの資料を読んで気づいたことです。それにしてもカンヅメ状態はいつ終わるのか…。

9月5日(水)
今日もカンヅメ。メシだけは缶詰でないものを…と思ってたら友人から電話。「久しぶりにちょっとメシ食おうか」。渡りに船と思ったら長女がふらりとやってくる。おまけに次女も話があるとかでBFを連れて参上。いろいろ難しい話をふっかけてくる。いや何も難しい話ではない。理屈をきちんと話せば通じる。久しぶりに子供に説教。朝青龍の問題もこの程度のはずやで。区切りのついたところで友人と藤沢の割烹京料理屋へ。50すぎた男の話はやっぱり重い。厳しい。シンドイ話や。20代の悩みなんて悩みと違うで。

DVD
『パヴァロッティ&フレンズ〜フォー・ウォー・チャイルド』
『パヴァロッティ&フレンズ〜フォー・ウォー・チャイルド』
『パヴァロッティ・イン・セントラルパーク』
『パヴァロッティ・イン・セントラルパーク』

9月6日(木)
大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演前の楽屋へ新聞社から電話2本。パヴァロッティが鬼籍に入ったとか。残念やなあ。けどシャーナイな。いつかはその時が来るんやし。ロンドンとパリと名古屋で行った3度のインタヴューを思い出す。頭のエエ人やった。名古屋ではリハのときにわずか5mの近さで彼の歌を聴く。プッチーニの『ボエーム』の『冷たい手』。フェラーリのエンジン・テストを間近で聴いたときと同じ感動で涙が出そうになった。耳に痛くない強烈な声の力に圧倒される。『ぷいぷい』でもそんな話をさせてもらう。番組では一緒に出た堀ちえみさんの言葉に感動。「人生に後悔はしません。振り返ったりしません。それは子供の存在を否定することになりますから」女性は素晴らしい。強い。番組が終わってニュースで新幹線のストップを知る。シャーナイので大阪泊。まぁ半分そのつもりで資料と本を山ほど持参したので想定内。西村雄一郎『黒澤明封印された十年』(新潮社)がおもしろい。映画作りって大変やな。資料が読めへんやないか…。

DVD
『キングダム・オブ・ヘブン』
『キングダム・オブ・ヘブン』
『ブラックレイン』
『ブラックレイン』

9月7日(金)
新幹線の様子をテレビで見てもようワカランので新大阪駅へ。切符を求める乗客でごった返してる。時刻は9時半なのに掲示板は8時半以降に出発の列車が並んでる。1時間遅れを確認。10時半新大阪発の切符を手に入れて2時間読書するつもりで構内の喫茶店へ。『黒澤明封印された十年』を読みふけってると何やら聞き取りにくい場内アナウンスで何本かの列車運休の案内。オレのはセーフ。とはいえ運休が何本も出たということは…と気づいて慌てて10時半にホームへ駆け上がる。そこへ定刻発車のベル。ぎりぎりセーフ。こういう案内はもうちょっときちんとやってもらわんとアカンで。今度「正之の会」でいわなあかんな。

9月7日(金)つづき
帰宅したら嫁はんが「どうせなら今日も大阪のTVに出してもろたらよかったのに」とはいえ最近10年以上出版社にすら営業をしたことがない。テレビ局には一度もない。仕事は向こうから来るもんやで…。久しぶりに晩飯映画劇場。リドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』。娘がツマランというて置いていったやつ。どこがツマランのやねん。めちゃくちゃオモロイやないか。キリスト教世界vsイスラムのスコット渾身の現代世界に訴える政治映画やないけえ。若い奴にはわからんのか。あかんなぁ。

9月8日(土)
台風で遅れた仕事を取り戻すべく書きまくり。くたくたに疲れて巨人vs阪神戦の後半を見る。イカンイカン。いまタイガースに興奮したら今後の仕事に支障が出る。けど凄いな。若い選手の活躍するチームは気持ちがエエで。そのあと晩飯映画劇場。『Sicko』を見に行く暇がないのでマイケル・ムーアのデビュー作『ロジャー&ミー』。昔買ってまだ見てなかったDVD。GMのリストラによるフリントの町の崩壊を扱ったドキュメンタリー。面白かった。いまの日本も似たようなもんやで。パット・ブーンがそれほどGMの顔やったとは知らなんだ。深夜ラグビーのW杯。日本vsオーストラリア。勝てるとは思わなんだけどもうちょっと…。昔互角に戦ってたアルゼンチンのラグビーは進化した(昨日フランスに勝利)のに日本はニュージーランドに100点以上取られたときと一緒やで。解説の清宮さん何とかしてよ。けど以前彼にインタヴューして「いつまでも早慶明同ではあきませんで」といったところが「それは社会の問題であってラグビー界でどうにかできる問題ではありません」その言葉にガックリ。日本のラグビー界は日本の学歴学閥社会を支えてるのんか…。

9月9日(日)
一日中書きまくり。ほかに書くことなし。こういう穏やかな日が続くのは悪いことではない。締め切りさえなければ最高の日々。締め切りがあるから最悪。

BOOK
西村雄一郎『黒澤明封印された十年』
西村雄一郎『黒澤明封印された十年』

9月9日(日)つづき
安倍総理がテロ特措法が国会を通らなければ退陣するとか。民主党にとっては物凄いブラックユーモア。ほな通したろか。そのほうが選挙に勝てるもんなと思うもんな。某雑誌社から支持政党は何ですか?との調査の電話。ホンマかいなと思いながらも「野党」とマジに答える。それがメディアで仕事をしてる人間の矜恃やと思う。今晩は初めて晩飯TVドラマ劇場で『生きる』。昨晩の『天国と地獄』は15分見ただけであまりのリアリティのなさに呆れてマイケル・ムーアのDVDに変えたけどコッチはなかなか面白かった。やっぱりこの黒沢の傑作は脚本がようでけてる。市川森一さんによる新脚本の赤いマフラーや助役の立候補のアイデアも面白かった。ただし幸四郎の志村喬役はあきらかにミスキャスト。幸四郎のせいではない。顔が役柄と違う。こういうスター主義がTVドラマを好きになれへん最大の理由やな。柄本明でええやないか。そうか。タイガースまた勝ったか…。

DVD DVD DVD DVD
『生きる』 『蜘蛛巣城』 『野良犬』 『七人の侍』
『生きる』 『蜘蛛巣城』 『野良犬』 『七人の侍』

9月10日(月)
メチャメチャ仕事。クタクタ身体。しかし充実。『ベートーヴェンの交響曲』の原稿七番まで進む。そんな仕事をやってるのですよ。もちろん大好きだから。晩飯映画劇場はゆっくり見る時間もなかったので『黒澤明封印された10年』を読んで気になったり昨日リメイクTV版『生きる』を見たので『トラ・トラ・トラ!』を自分勝手なダイジェストで。なるほど黒澤のにおいがする場面もある。そうか。あの戦艦長門と空母赤城の実物大セットで3億円か。映画は凄いな。

9月11日(火)
『ベートーヴェンの交響曲』八番書きあげ。あとは九番を残すのみ。この本は指揮者の金聖響さんとの共著として11月20日に講談社から出版される予定です。乞御期待。相撲協会から元NHKアナの杉山さんが取材証を剥奪されたことについて感想を求める電話が相次ぐ。取材拒否されることなら負けてまへんで(笑)。プロ野球2球団から経験済み。しかしそのときは誰もこんなに騒いでくれへんかった。記者クラブに所属してるのんとしてへんのんの違いやな。それはともかく取材拒否するような組織は腐る。プロ野球2球団も昔の映画いまいずこ状態に落ちぶれた。とはいえ退社後も「会友」として取材証もらえるなんて…。そうか。協会は飼い犬に手を噛まれたから怒ったんやな。ということはコレはジャーナリズムの問題と違うんやな。オシムジャパンvsスイス戦見たいけど絶対あとの仕事に尾を引くと判断。寝る。

9月12日(水)
文化放送『吉田照美のソコダイジナトコ』でパヴァロッティについて語る。その前に照美サンがスイス戦についてぺらぺら喋り出す。喋らんといてえな。これからビデオ見るのに…。RKB毎日放送でもパヴァロッティの想い出を語って出かけようとしたら「安倍辞任」の一報。なんやてぇ!なんで今頃やねん。登校拒否か。お腹でも痛なったんか。責任放棄は子供の教育に悪いで。

9月12日(水)つづき
都内で講演会。建設業界の方々に世界のスポーツ界の現状を語る。そのあと講談社へ。金聖響さんと『ベートーヴェンの交響曲』について打合せ。初心者向けにわかりやすく書き直したために聖響さんの見事に詳細な楽曲分析を生かしきれなかったにもかかわらず「これでオモロイやん」と肯定的に理解してくれる。心の大きい人や。最近太ったせいかな(笑)。細かい原稿チェックのあと編集者も一緒にみんなで久しぶりに『旨いぞお』へ。聖響さんのラヴラヴ細君ミムラさんも合流して飲んで食って楽しい一時。そうか。ミムラさんは本が好きか。俺の小説まで読んでくれてるんか。文章も書いてるのか。よっしゃ。音楽しか頭にない旦那にかわって小生がご教示して進ぜよう(笑)。なんで文語になるねん(爆)。http://mimulalala.com/index.html

9月13日(木)
昨晩ジャパンvsフィジー戦前半接戦のおもしろい試合展開やったのに『旨いぞお』での黒糖酒のせいか眠ってしまう。そうか。接戦のまま負けたんか。残念。サッカー五輪予選はカタールに勝利。けどホンマにアンナ空気の悪いとこで五輪をやれるんかいなぁ…。突然パリに変更とか…。まぁないやろけど…。それにしてもボンボン首相は情けない。ホンマにお腹が痛うなったらしい。まぁ55年体制の一方の社会党(社民党)がアアなったんやから自民党もいずれアカンわな。最後は女性党首が出てきて潰れるのんやろな。社民党まで落ちぶれるのんと違うて健全な野党になってほしいな(笑)。ソレニシテモ相撲協会は追い出した飼い犬をまた飼うことにしたみたいやな。まぁ若いころはよう逃げ出してたウチの佐吉も近頃はすぐに帰って来よるしな。佐吉はジャーナリストにはなれへんな。コラム1本書いてガックリ疲れる。晩飯映画劇場は『マイケル・ムーアのアホでマヌケなアメリカ白人』のまだ見てへんかったところ。見る映画がない。DVD買わなあかん。カネがない。どないしょ。

9月14日(金)
『第九』を書くのはやっぱり難しいなあ。『宗教事典』『悪魔事典』『魔物事典』なんてのを引っ張り出してまで悪戦苦闘。夕方NHKの『アインシュタインの眼』のスタッフが訪れVTRを見ながら打合せ。1秒間に160コマというハイビジョンのスーパースロー映像に驚嘆。無回転のサッカーボールや激しく回転するピンポン球に感激。体育の日特集で放送は10月8日。皆さん見て下さい。あまりにも興奮したのでナデシコジャパンと世界柔道に後ろ髪を引かれながらもスタッフと一緒に「213」へ。話の合うスタッフと飲むビールは旨い。

9月15日(土)
『第九』の原稿と大格闘。指揮する方が簡単やで(笑)。そうか大学野球の名物男の長船さんが亡くなったか。昔何回怒鳴られたことか。「日本の野球の中心は東京六大学だということを君はわかってない!」「天皇賜杯を賭けて戦ってるときに世界大会なんかに選手を出せるか!」「神宮はアマチュア。プロは後楽園。日本シリーズでも学生野球が優先するのは当然!(スワローズ初優勝のとき)」「オリンピックはアマチュアに決まってるだろ!野球もアマの指揮下に入って当然!」晩年は時代の流れに沿ってそうとう意見を変えられたようですが…。取材拒否をしなかったことは認めます。合掌。なでしこはアルゼンチンに勝ったけど康生も鈴木も判定で負けたか。国際化というのは難しいなぁ。相撲協会の人は見たかなぁ。原稿が書けんなぁ。

9月15日(土)つづき
原稿にくたびれたので晩飯映画劇場はNHK-BSの『スパルタカス』。うわっ。サイテーの映画。ローレンス・オリヴィエやピーター・ユスチノフまで出てるのに脚本がアホ。いやプロデューサー兼主演のカーク・ダグラスがどーしょーもない。ラヴシーンはまるでUCLAのラインバッカーとチアガールの恋物語のイモ演技。どこにも古代ローマ時代の空気がない。ハリウッド丸出し。音楽もうるさい。キューブリックが自分の作品と認めなかったのは大納得。

9月16日(日)
『第九』とうとう書きあげる。面白なったと思うけど…聖響さんの細かい見事な解説は相当カット。すんません。別に『第九』だけで一冊つくりまひょ。晩飯映画劇場はなんとDVD棚の奧から引っ張り出してきた『クレオパトラ』。メイキングだけ見てその規模の大きさとエリザベス・テイラーの我が儘に呆れかえって放っておいたもの。4時間以上の大作なのでとりあえず前半だけ。レックス・ハリスンのシーザーはどうしてもヒギンス教授やドリトル先生を連想するけど台詞は見事。さすがはシェークスピア俳優。エリザベス・テイラーも堂々たるもの。豪華絢爛セットはただ呆れかえるだけ。昨日のカーク・ダグラスよりはよっぽど見応えがある。脚本が違う。台詞が違う。シェークスピアの『アントニーとクレオパトラ』という下敷きがあるからかな。

9月17日(月)
『ベートーヴェンの交響曲』1〜7番の原稿を聖響さんのチェックに基づいて書き直し。音楽を文字にするのは難しいなぁ。朝の8時から夜の8時までほとんど椅子に座りっぱなしでオシリがオカシなったで。本を作るというのは大変なことです。でも楽しいと思えるのは俺がこれに向いてるからやな。晩飯映画劇場は『クレオパトラ』後半。リチャード・バートンのアントニーも悪くない。歴史大作も所詮は男と女の話。『ニーベルンクの指環』も同じ。そこがきちんとでけんと『スパルタカス』のようなイモ映画になるのんやな。けど音楽は『スパルタカス』も『クレオパトラ』も同じか。そういやコルンゴルトの影響を妙に受けたみたいなケッタイな現代音楽。キューブリックが『2001年宇宙の旅』の音楽でクビにしたのもわかるな。そうか。谷亮子が金か。日本で2位の選手が世界一。まぁエエやろ。けどスターが一人君臨すると時代が前へ進まん傾向はあるな。

DVD
ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番皇帝』他
ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番皇帝』他
DVD
『不毛地帯』
『不毛地帯』

9月18日(火)
ハッと気づいたら仕事部屋は二つある机の上も床の上も音楽辞典や楽譜や年表やCDでぐちゃぐちゃ。その上に封を開けてない郵便物がドサッ。一つの仕事にかかりきるといつもこうなる。コンピュータのなかも返事してないメールだらけ。みなさん御容赦!というわけで本HPの更新も遅れます。平に御容赦。けどもうすぐ300万ヒットか…。何か記念にせんとアカンかな…。

9月18日(火)つづき
部屋の掃除をしながらテミルカーノフ指揮ロシア・ナショナル・オケのベートーヴェン交響曲全集を順々に聴く。「大指揮者時代」の延長の演奏。しかし面白かった。特に2番と4番と田園(1楽章)が気に入った。けどノリントンなんかのほうが面白いと思うようになったのは聖響さんの影響か?もっともテミルカーノフ以上にエレーヌ・グリモーの『皇帝協奏曲』がよかった。まぁ美人やし許せる(笑)という部分がいくつかあったけど許せるからいいのだ(爆)。夜BS-iで『不毛地帯』後編を見る。瀬島龍三が死んだのでやったのかな?けど墓場まで秘密を持って行くのは男らしないことやな。暗躍と腹芸を男(政治家)の仕事と思うのは不毛やな。そういや原作は女性やったんやと改めて気づく。自民の総裁選もそんなもんやな。そうか…長嶋亜紀子さんが亡くなられたか…。インタヴューを断られたのは残念やったけど誰か女流作家がその生涯を書いてくれへんかな。タイトルは『輝く星のすぐそばで』。

9月19日(水)
聖響さんと共著の『ベートーヴェンの交響曲』前書きと対談部分を仕上げて夕方からNHKへ。『アインシュタインの眼』体育の日特番のVTR収録。9時に始まって終わったのは深夜11時半。しかし中味が面白いからゲストとして飽きなかった。森末慎二さん田中律子さんと一緒に大はしゃぎ。10月8日放送のこの番組は必見です。収録語NHKスタッフと近くのそば屋で打ち上げ。みんな収録に満足で一緒になってメチャメチャ飲んでしまう。タクシーで家に着いたのが5時。午前様は何年ぶりやろ?10年ぶりかな?昔はよう飲んだな。

9月20日(木)
午後0時起床。寝たのが朝の5時半やもんな。しゃあないわな。こういうときは郵便物の整理と部屋の掃除。と思ったら郵便物のなかにポール・オリバー『世界の宗教を読む事典』(講談社現代新書)なるものを発見。読み出したらオモロウて止まらへん。結局部屋の整理は手つかず。

9月21日(金)
朝医者へ。高血圧気味以外は異常なし。自覚症状もなし。せやのに血液検査とCTスキャンをやらされる。せやからどないやちゅうねん。そこで何か悪いことが発見されたらどないするちゅうねん。仕事やめるのか?俺は安倍首相と違うぞ。帰りに大船の島森書店へ。そういえば最近寄ってなかったので『レコード藝術』3冊と『興亡の世界史』2冊(『ケルトの水脈』『地中海世界とローマ帝国』)が貯まってた。ついでに『世界史は日本史をどう記述してきたか』(青春新書)と小宮正安『愉悦の蒐集ヴンターカンマーの謎』(集英社新書ヴィジュアル版)と梅原猛『神殺しの日本』(朝日新聞社)を買う。「ヴンターカンマー」(不思議の部屋)はメチャメチャおもろい。そういえば中学3年の時の文化祭で「ヒトラーの屁」とか「恐竜の卵」とか「宇宙人の手」なんかを展示して(でっちあげて)先生に怒られたな。いまも趣味は変わってへんな。三つ子の魂百までやな(笑)。夕方聖響さんと『第九』に関する長電話。そうか。市民第九合唱団の人々というのはこんなケッタイナわけのワカラン歌詞を歌てはるのんか…。意味がワカランから歌えるのんやろな。夜名古屋へ。

9月22日(土)
東海TV『スーパーサタデー』生出演。特集は子供のネットによるイジメ。大人の世界も一緒やもんな。世の中には陰湿な性格の人間が多いということやな。けど俺は法律家と違うから性善説です。ネットに他人の悪口を匿名で書き込む人も何か心に傷を負ってるのんやろな。寂しいことやで。午後から栄文化センターでオペラ講座。今回のテーマは湖上音楽祭。ブレゲンツ音楽祭の『ラ・ボエーム』を解説。しかしこの舞台はスゴイ。最後はメルビッシュ音楽祭の『メリーウィドウ』のフレンチ・カンカンと花火で〆。日本の音楽祭もまだここまでは不可能やな。

9月22日(土)つづき
往復の新幹線で木村凌二『興亡の世界史04地中海世界とローマ帝国』読了。塩野七生さんの『ローマ人の物語』で親しくなってる世界だけに読みやすかった。なるほど一大帝国を築いたローマ人とは「活力ならばガリア人より弱く、多才さではカルタゴ人にゆずり、学芸ではギリシア人におよばない」けど「神々への敬虔さと慎みではいかなる人々にも引けをとらない」とキケロはいうたらしい。日本も「普通の国」にならなくていいのですな。嫁ハンが藤沢で御喜美江さんのコンサートに行ってたとかで「213」で待ち合わせ。御喜美江さんのアコーディオンは最高やったらしい。俺もいつか聴かねば。バーテンのクロちゃんがパヴァロッティの『ラ・ボエーム』をビデオで見てるというのでブレゲンツ音楽祭のDVDを貸してあげる。ついでにマスターにメルビッシュ音楽祭の『メリーウィドウ』を貸してあげたら「メリーウィドウ」という名のカクテルが出現。オペラとカクテルの関係も調べなあかんな。

DVD
『ショコラ』
『ショコラ』

9月23日(日)
聖響さんとの共著『ベートーヴェンの交響曲』最後の『第九』の部分を書きあげる。イエーイ!と快哉を叫んで晩飯映画劇場と思たら見るDVDがないので空き部屋になってる娘の部屋を物色。すると『ショコラ』なんてのが出てきた。ジョニー・デップが好きやから買うとったんやろけどオモロイ!コレはハリウッドにしてはなかなかの映画。女性版マレビト物語。大人版メリー・ポピンズ。女性版だけに最後が幸せになるのはシャーナイな。そういえば野球版マレビト物語もあったな(ジョージ・プリンプトン『シド・フィンチの奇妙な事件』)。よっしゃ。これから取りかかる映画の脚本はコノセンで行こ。ハワイを舞台に日米のマレビト野球選手。とりあえず明日から資料集めやな。

9月24日(月)
朝佐吉の散歩。ナンデ世の中こないに静かやねんと思たら連休やで。一日中部屋の大掃除。

DVD
『パリの恋人』
『パリの恋人』>

9月24日(月)つづき
大掃除のインターミッションで『ショコラ』のメイキングを見る。そうか。どっかで見た女優さんやと思たら『存在の耐えられない軽さ』に出てた二人やったのか。オマケにレスリー・キャロンまで出てたんや。再び大掃除のあと晩飯映画劇場は娘の部屋シリーズ第2弾(笑)『パリの恋人(Funny Face)』。ヘップバーンとアステアの他愛ない恋物語。しかし商業映画(商品)を作る職人技は見事。芸術作品よりも勉強になる。素早いストーリー展開もアメリカ人とフランス人を馬鹿にするバランスも秀逸。現像室の暗がりのシーンは見事。デジタルカメラの普及でこういうシーンは不可能になったな(笑)。

DVD
『ロリータ』
『ロリータ』

9月25日(火)
部屋の大掃除に続いてコンピュータのなかの大掃除。メールの山を処理。なかなか仕事を再開できひん。晩飯映画劇場はキューブリック全集でまだ見てないのを発見!『ロリータ』。そうか。ロリコンというのは大人になれへん男のことなんやな。ピーター・セラーズが怪演。白黒映像が綺麗けどキューブリックも若い。商品としての映画は失敗が許されへんけど作品としての映画は失敗を許される…のかな?監督の成長のために…。

9月26日(水)
うわ。300万ヒット超えてるやんか。近々とは思てたけれどその歴史的瞬間を見逃してしもた。どーでもえーこっちゃけど。ナンヤラわからんけれどもスゴイやん。

9月26日(水)つづき
相撲協会はどうしようもない。「まわし組」だけの組織に「背広組」を加えてシヴィリアン・コントロールせんとどないもならんやろな。しかし「かわいがり」は昔は竹刀でしたもんやで。ビール瓶に金属バット!?あらゆる格闘技は「殺すな!」というメッセージを発する平和的なものであるということを知らんのかいな…ということをフジテレビ「目覚ましテレビ」のVTR取材で喋る。

DVD
『バリー・リンドン』
『バリー・リンドン』

9月27日(木)
時津風部屋問題で電話が相次ぐ。「私は相撲には素人で…」なんていいながら電話をかけてきた週刊誌記者は双葉山も知らなんだ。残り3人は双葉山の名前は知ってたけど69連勝も双葉山道場も新興宗教事件も知らなんだ。政治評論家に電話するときに「私は政治には素人で…」なんていうのんやろか。「へええ。福田首相のお父さんも総理大臣だったんですか…」なんていうたら怒られるで。スポーツは誰でも無知でも取材できると思われてるのんやな。晩飯映画劇場はキューブリック『バリー・リンドン』前半。美しい!面白い!ヴォルテールの『カンディード』級のピカレスク・ビルデゥンクス・ロマン。明日の後半が待ち遠しい。しかしまだ見てへん映画が仰山あるなぁ。映画評論家って全部見とるんやろか?タイガース終わったな…。藤川疲れたな。クライマックスシリーズまでたっぷり休んだらエエ。

9月28日(金)
大物の仕事を終えて次の大物に入る前にコラムを2本。晩飯映画劇場は『バリー・リンドン』後半。冒険活劇でないところがキューブリックの思想やな。あらゆる人生は等価値である。自然のみが偉大である…とでもいいたいのやろな。面白かった。そうか…巨人にマジック2か。これで2連勝したあとクライマックス・シリーズに負けたりしたらまた昔のやり方に戻そうといいだしたりするのんやろか?

9月29日(土)
なんでこないに寒いのやねん。短パンをGパンに変え靴下を履きTシャツの上にトレーナーをはおる。夕方は鎌倉芸術館へ。パット・メセニー&ブラッド・メルドー2007ジャパン・ツアー。阿呆息子どものミュージシャン仲間にもチケットを確保してやる。営業モードとジャズモードを上手く使い分けてるメセニーよりもメルドーの堅い音のピアノに感激。この若者はグールド並みやで。それにしても奇妙な客層。「大人びた若者」と「若者ぶった大人」の男の集団。理屈っぽい奴らやで。コンサートが終わって『との山』へ。日頃貧困な食生活の阿呆息子ども3人に思い切り肉を食わせてやる。「旨い旨い」といいながら本気で喜んで食う姿は初々しい。これから音楽で食っていこうとする巫山戯た連中とはいえ文学部あたりに通うとる若者よりはマシかな。親の欲目(笑)。

9月30日(日)
F1富士グランプリ。短パンとTシャツ姿で見てたら突然悪寒。あかん。熱ある。朝は調子よかったのに…38.3度。まいったなあ。卵ご飯かっくらってサッサと寝る。

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