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2003年 11月12月

DVD
『白い恐怖』
『白い恐怖』
ヒッチコックはそれなりに面白いですね。バーグマンは美しいですね

12月1日(水)
『台湾VS中国謀略の百年史』は蒋介石VS毛沢東の対立以来蒋経国→李登輝→陳水扁→馬英九→蔡英文と続く台湾総統VSケ小平→江沢民→胡錦濤→習近平と続く大陸側中共主席の丁々発止を描いた現代史の名著ですね。いよい蔡英文VS習近平の最終章に辿り着く。北京冬季五輪後の台湾武力侵攻はあるのか?先週土曜に大阪のテレビで会った著者の近藤大介さんは「習近平は気の小さい男ですからそれはないですよ。威嚇して威張ってるだけ」とおっしゃったけど…はたして…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと集中して『Up & Comming』の連載原稿書き。北京冬季五輪と中国女子テニス選手の人権問題を中心に最後は日本のスポーツ界の「五輪中毒」「五輪依存症」へ。五輪を招致しないと公的資金(税金)がスポール界に出ない現状について触れる。ヤンキースにもドジャースにも巨額の公的援助は出ているけど親会社の所有しているスポーツには税金は出せませんからね。夕方原稿を完成してメール送稿。ふうううう。晩飯映画劇場はイングリッド・バーグマン&グレゴリー・ペック主演ヒッチコック監督『白い恐怖』。途中のフロイト的心理分析が少々五月蠅いとも思えたしバーグマンほどの美女でも突然恋に落ちるものかと首を傾げるけどバーグマンの美しさがすべてを許しますね。最後のドンデン返しの結末も知っていたけど全編をゆっくり見たのは初めて。ヒッチコックのカメラ・アングルは面白いですね。映画造りの妙ですね。夢のシーンの映像をサルバドール・ダリが監修したのはいかにも精神分析的で面白かったけどホントの精神分析ってこんなんじゃないんですよね。

DVD
『風と共に去りぬ』
『風と共に去りぬ』
シンガポールを陥落させた日本陸軍が映画館でコレを見て仰天した。こんな映画を作る国に戦争で勝てるわけがない!と思ったのは本当?

12月2日(木)
『台湾VS中国謀略の100年史なぜ中国共産党は台湾を支配したがるのか?』読了。台湾と中国の現代史を知るうえで非常に勉強になりました。さらに習近平のネライを知るうえでも非常に参考になりました。北京冬季五輪のあと注意しなければならないのは中国の台湾本島への軍事侵攻ではなく太平島・金門島・馬祖島そして尖閣諸島への武力行使なんですね。プーチン・ロシアがウクライナとの全面戦争に入らずクリミア半島だけを奪取してNATOの介入を忌避したように習近平中国もアメリカの介入前に手っ取り早く占領できるところを順に占領してしまえというわけですね。そうなるかどうかはさて措き非常にリーズナブルではありますね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。11月15日付東京新聞夕刊が報じた高校野球リーグ戦について話す。現在は14都道府県に広がり80校を超す高校が参加しているとか。投手の身体的負担の大きいスライダーやフォークを禁止したり投手に危険な反発力の強い金属バットの禁止。反発力の弱い飛ばないバットや木製バットや竹バットの使用を実践してるのも面白い。この動きを高野連が無視して朝日新聞が取りあげないのも問題。やっぱりマスメディアがスポーツ大会を主催するのは禁止すべきですね。メディアが主催者になると現状肯定で自由な言論ができませんからね。ワン。ラジオ出演あと黒兵衛と散歩。終日いろいろデスクワーク。「スポーツジャーナリズム論」は難航の連続…でもライフワークをがんばらねば…と思ってると読売テレビ『す・またん』からZOOM出演依頼。中国のテニス選手の"彭帥事件"の解説を依頼される。喜んで引き受けて夕食前に中国と"握手"したIOCバッハ会長は命取りとなる一歩を犯したかも…といったことを話す。WTA(女子テニス協会)との違いは明白ですよね。晩飯はヴィヴィアン・リー&ロバート・テイラー主演『哀愁』。戦争で幸せ結婚が破綻する男女の純愛物語。ストーリーの流れは古さを感じますね。ヴィヴィアン・リーが可愛いからゆるせますが…『風と共に去りぬ』のほうが映画としてかなり格上ですね。中村吉右衛門さんが亡くなられましたね。あんな見事な熊谷直実・俊寛・弁慶は他になかったですね。声も良く滑舌も良く。客席では見惚れるばかりでした。合掌。送ってきた新刊本間龍『東京五輪の大罪ー政府・電通・メディア・IOC』(ちくま新書)読みながら寝る。

DVD
『追われる男』
『追われる男』
ジェームズ・ギャグニーの西部劇。最後のドンデン返しまで見たのはそれなりに面白かったから?しかしギャグニーはやはり暗黒街でないと

12月3日(金)
『台湾VS中国』を読了したので井沢元彦『汚れた「平和の祭典」2022年北京オリンピックをボイコットせよ』(ビジネス社)をチョイと再読。これは"彭帥事件"が起こる前に書かれた一冊。ウイグル&モンゴル&チベット&香港問題だけでもナルホド北京冬季五輪は十二分にボイコットに値しますね。チベット問題で大荒れになった2008年の北京五輪の聖火リレーで長野の善光寺がリレーの出発点を辞退したのは見事な判断でしたね。反対運動で集まったチベットの人と中国体制側の人の怒号と罵声が飛び交うなか聖火リレーの出発を名古屋のテレビ番組のスタジオで見ていた小生は強風で消えた聖火を百円ライターでトーチに点け直すシーンを目撃。司会の峰竜太さんと目を見合わせて何と言っていいかわからず唖然としていたことを憶えてます。"彭帥事件"がプラスされWTA(女子テニス協会)が中国での全試合の中止を決めた今北京冬季五輪はどうなるのでしょうね?ワン。黒兵衛と散歩のあと今日も黙々と仕事。『スポーツジャーナリズムは日本になぜ生まれないのか?(仮題)』の執筆を続ける。来週月曜の『ニューズ・オプエド』のゲストとして春日良一さんの出演が決定。バッハIOC会長と彭帥さんのTV会談を「IOCにしかできない平和行為」と東京新聞にコメントした彼の真意を知りたいですからね。夕方ZOOMとはまた違う映像会議で(よくワカラン)仕事の打ち合わせ。俺もそろそろスマホを持たないとイカンかな(笑)。晩飯映画劇場はジェームズ・ギャグニーの西部劇『追われる男』。流れ者から保安官になった男がかつて亡くした息子と同年齢の男を息子のように育てようとするが裏切られてギャングの仲間に…しかし最後にドンデン返し。まぁ昔のハリウッド娯楽西部劇特有の疑似家族の物語ですね。ギャグニーはやっぱり西部劇より暗黒街のギャング映画ですね。

12月4日(土)
昨晩布団に入っても寝付けず北京五輪のボイコット問題やIOCについて考えていたら物凄く単純なことに気付いた。スポーツにはスポーツ以外のどんな理屈も付けてはいけないのだ。その意味では「世界平和のためのオリンピック」も「読売新聞を売るための巨人軍」も「高校生の教育のための高校野球」もすべて等価でそのような理屈は全てスポーツを不純なものに変質させてしまうのだ。スポーツという文化を行う意味はスポーツ自身のなかに内在しているのでスポーツを行うということ以外に何も意味を付けてはならないのだ。そうすればスポーツはスポーツの素晴らしさを発揮して人々や社会に幸福や満足感を与えてくれるのだ。眠って目覚めたあとも同じことを考える。スポーツを語るときに纏わり付いたスポーツ以外の属性を排除すれば全てはスッキリする。"彭帥事件"はスポーツ選手が国家権力に巻き込まれた人権問題であってスポーツの事件ではない。北京冬季五輪をボイコットするべきか否かの問題もスポーツの問題ではなく人権問題であり政治問題でありスポーツを政治や経済に利用しようとする勢力のもとで開催される大会などスポーツ大会とは言えないので純粋にスポーツを行いたい人々はボイコットすべきでしょうね。こんな単純なことに気付くのに小生は40年以上半世紀近くもかかったのか…嗚呼。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとデスクワーク。昨晩と今朝閃いたことを文章にする作業。「オリンピックをスポーツと呼ぶのは唐辛子催涙スプレーを食料品と呼ぶのに等しい」というボイコフの言葉は至言ですね。Jリーグが生まれたときに記者たちから「Jリーグを作って何をするつもりですか?」と訊かれた川淵チェアマン(当時)が「サッカーをします」と答えたのも同じく至言ですね。晩飯食いながら『博士ちゃん』と『ブラタモリ』を楽しんで風呂入って寝る。今夜は考え事をせず寝ることに専念。ハムレットは死は眠りに過ぎないと言ったけど眠りは死ではないのかな?人間は毎晩死んでは甦ってるのなら嬉しくないか?ZZZZZ……

12月5日(日)
昨晩ベッドに入ってフト頭に浮かんだのは報道とか新聞のことを何故プレスpressということだった。pressとは言うまでもなく「押す」「押し付ける」「圧縮する」こと。それが何故新聞記者や報道を表しfreedom of pressとなると何故「報道の自由」になるのか?ははーん…なるほど…そうか…と思いながら朝起きてパソコンで調べると予想通り。pressとは印刷のことなんですね。昔の印刷は木版や活版をpressして(押し付けて)印刷したから印刷物や印刷をpressと呼ぶようになり新聞や新聞記者や報道もpressと呼ぶようになったのですね。だから日本国憲法21条のFreedom of assembly and association as well as speech,press,and other forms of expression are guaranteed.というのは「集会結社及び言論出版その他一切の表現の自由はこれを保障する」で良いのでしょうけどやはり「報道(の自由)」という日本語はどこかにほしいですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。今日も終日デスクワーク。書き下ろし『何故この国にはスポーツジャーナリズムが生まれないのか?(仮題)』と格闘。ふううう。まぁ権力を有する為政者はpressを自分の配下に置きたいものでしょうけど自分から配下になりたいpressがあることにはウンザリですね。晩飯は『ダーウィンが来た!』で多摩川の面白い生態系を見たあと昨日に続いてNHKスペシャル『開戦』。真珠湾攻撃のとき武漢三鎮の戦いで負傷して上海郊外の病院に入院していた親父は信頼できる上官が「エライコトになったなあ」と頭を抱えていたので喜んではいられないと知ったという。親父に言わせると一般人は真珠湾の大勝利を喜んだが軍人や兵隊はあまり喜ばなかったという。そんなもんでしょうね。Nスペの映像のなかに橋のない小さな川で兵隊たちが肩に担いだ丸太の上に渡した板で橋を作りその上を兵隊が行軍するシーンがあった。親父もその経験があり肩の上の橋に戦車を走らせたそうです。「ようあんなことしたもんやでぇ」と晩酌のときに話していた。

BOOK
井沢元彦『汚れた「平和の祭典」2022年北京オリンピックをボイコットせよ』ビジネス社
井沢元彦『汚れた「平和の祭典」2022年北京オリンピックをボイコットせよ』ビジネス社
所詮はオリンピックは全体主義と親和性が高いのですよね

12月6日(月)
今日の『ニューズ・オプエド』のメインテーマは中国北京の冬季五輪ボイコット問題。彭帥事件とIOCの関係も取りあげるので朝ベッドのなかで井沢元彦『汚れた平和の祭典2022年北京オリンピックをボイコットせよ』(ビジネス社)と近藤大介『中国VS台湾謀略の100年史』(同)のそれぞれ最終章を読み直す。中国の問題点は「倫理観なき愛国主義」「民主主義を知らない(経験のない)国民」ということになりますね。歴代王朝の延長線上にある共産党王朝は北京冬季五輪後に台湾離島(太平島)に侵攻するのでしょうか?ワン。黒兵衛と散歩のあと『オプエド』準備や打ち合わせ。スタッフに中国がフィリピンから2012年に"奪取"したスカボロー?(黄岩島)と台湾離島(太平島・金門島・馬祖島)と尖閣諸島の地図を作ってもらう。北京冬季五輪後これらの島々を中国が"奪取"する可能性があると近藤大介さんは書いてますね。これはなかなか興味深い地図で近々本HPでも公開します。《プーチン大統領は2014年3月ソチ冬季五輪を終えると間髪を置かずクリミア半島を奪取しました。ウクライナ全土を領土に収めようとはせずにクリミア半島だけを奪ったところがポイントです。欧米のNATO軍が介入してこない「ギリギリの線」を計算して軍を動かしたのです》だから台湾侵攻でなく太平島や尖閣諸島の"奪取"程度なら米軍も動かない?夕方からの『オプエド』ゲストは五輪アナリストの春日良一さんと過去に五輪の日本招致にも関わったミネソタ大元教授の諸星裕さん。春日さんはWTA(女子テニス協会)の中国での試合の全面中止を「強い外交」と評価しながらもIOCバッハ会長の彭帥インタヴューも無事を確認した「静かな外交」と評価。小生は中国に利用されただけと反論。さて北京での「彭帥&バッハ食事会」が実現するかどうか…。春日さんの意見は理想主義で戦争阻止にはつながってないと思うけど(春日さんはロシアのクリミア侵攻も「遅らせた」と言うが)…五輪開催至上主義のIOCがどう動くかを知るうえで傾聴には値しますね。番組を終えて晩飯食べながら録画しておいたNHK-BS『映像の世紀プレミアム第18集ナチス狂気の集団』ミュンヘンでのヒトラー・ナチスの誕生と出発から戦後アルゼンチンで逮捕されたアイヒマンの裁判まで。残念ながらベルリン(ナチ)オリンピックは出て来なかったがヤッパリあれはボイコットすべきだったですよね。ボイコットを止めたのは後のIOC会長ブランデージ。春日さんとこの話もすべきだったなぁ。アメリカが北京冬季五輪に対する「外交(政治)ボイコット」を発表したけどオリンピックでは常にそうすべきかも。選手団も各国の代表でなく各国オリンピック委員会(NOC)代表にすればいいのに…。

DVD
『武士の家計簿』
『武士の家計簿』
磯田道史さんの原作も面白いけど映画になるのかな?と思ったらサスガ森田芳光監督。映画も見事に面白いです
『ライフ・イズ・ビューティフル』
『ライフ・イズ・ビューティフル』
ロベルト・ベニーニのこの映画、私は大好きです。泣けます。音楽も素敵です

12月7日(火)
スポーツはスポーツ。ただスポーツを楽しめばスポーツの力が発揮される。スポーツに理屈を付けてはダメ。スポーツを政治に利用してはもちろんダメ。スポーツを政治利用するなという理屈もダメ。その意味で外交ボイコットはスポーツにとって自然(ナチュラル)な姿と言えますね。今年コロナ禍のなかで東京五輪開催を強行した菅内閣がそれによって何の利益(内閣延命)も手にできないまま退陣したのもスポーツのナチュラルな姿ですね。IOCは北京冬季五輪の開会式での習近平の開会宣言を禁止すべきですね。バッハIOC会長が五輪のあらゆる政治利用を排除するため開会宣言は俺がやる!と言い出したら小生はIOCをかなり認めますね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとデスクワーク。さてスポーツの真の意義をどう原稿に書くか…いろいろデスクワークのあと久し振りに東京へ。コロナでも大都会は動いてますね。打ち合わせを済ませたあと参議院議員会館へ。久し振りのスポーツ立国推進塾にアドバイザーとして出席。塾長の遠藤利明衆院議員の基調講演を聞く。今年の東京オリパラ開催の意義(日本のスポーツ界の体育からスポーツへの転換)を遠藤さんはわかっておられますね。『オプエド』でもお世話になっている佐野慎輔さんや久しぶりに会った友添秀則さんらアドバイザーの面々にも御挨拶。別用があったので懇親会は遠慮して東京駅で編集者と少々打ち合わせのあと帰宅。晩飯映画劇場は『武士の家計簿』。磯田道史さんの原作が映画になるのかなと思ったけどけっこう面白い。ただ少々疲れたので後半は明日に。送られてきた『スポーツゴジラ』最新号を持ってベッドへ。テーマはスポーツ&政治&メディア。小生も原稿書いたけど表紙の南伸坊さんのヒトラーのイラストが凄いですね。

CD
『アルフレード・シュニトケ:映画音楽集』
『アルフレード・シュニトケ:映画音楽集』
「愚者との生活」のタンゴは浅田真央がフィギュアスケートの音楽に使いましたね

12月8日(水)
アメリカに続いてオーストラリア&イギリス&カナダが北京冬季五輪への外交ボイコットを表明。これが最初政治的ボイコットと報道されたときは思わず笑ってしまった。オリンピックにはボイコットすべき「政治」が存在するのだ!IOCバッハ会長はアメリカの外交ボイコットを「各政府の純粋な政治的決定」と言ったのは正しいですね。「政治的に中立なIOCは全面的にこれを尊重する」と言うなら大会の開会宣言を政治家(習近平)にやらせるのではなくIOCのバッハ会長がやるべきですね。大会の主催者はIOCなんですから。そしてIOCは(彼らの言い分を認めるなら)政治的中立を維持するための財源確保から商業化を推し進めたのですからね。しかしウイグル問題やチベット問題・内蒙古問題・香港問題そして彭帥問題などは本来政治問題でなく人権問題でありあらゆる差別や人権抑圧を否定するIOCは中国では五輪を開けないはずですが…それを言い出したら組織委会長や開会式担当者が女性差別&音楽担当者が障碍者差別&新しい開会式担当がユダヤ人差別だった東京五輪も開けなかったか…いや人種差別主義者やナチス崇拝者が会長をしていたIOCそのものにも問題が…嗚呼。ワン。ベッドから出て黒兵衛と雨のなか散歩のあと終日デスクワーク。昼飯食うときにテレビをつけるとヒットコックの『鳥』をやっていた。鳥が人間を襲うのは憶えてるけど複雑な男女関係があることなどスッカリ忘れてた。人間の記憶とはこんなものか。派手なところだけ憶えるんですね。晩飯映画劇場は昨日に続いて『武士の家計簿』後半。陸軍軍曹だった親父が「輜重輸卒(シチョウユソツ)が兵隊ならば蜻蛉蝶々も鳥のうち」と言っていた言葉を思い出す。「そんな阿呆なこと言うとるさかい戦争に負けたんや」とも。真珠湾の日前後のNHK特集は全てビデオに。なかなか見応えありそうです.

DVD
『トラ・トラ・トラ!』
『トラ・トラ・トラ!』
大日本帝国海軍航空部隊の大活躍でアメリカでは全く不人気な映画。でも歴史映画として良くできてます。これがアメリカの凄さ?
『黄昏』
『黄昏』
ローレンス・オリヴィエが若い女性相手に落ちぶれてしまう男を熱演。最高の役者がやりたかった役柄かな?ウイリアム・ワイラーの映画はどれも見事!

12月9日(木)
世の中に絶えて五輪のなかりせばスポーツの心はのどけからまし。ま。そういうことですね。オリンピックは政治ですから。オリンピックをスポーツだと言うのは唐辛子催涙スプレーを食品だと言うに等しいとボルコフも『オリンピック反対する側の論理』で書いてますからね。専制国家(中国)と見事に強い親和性のあることを示したオリンピック(IOC)はどんな未来に進むのか?ワン。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイトカルチャー』ZOOM出演。アメリカの五輪外交的が実は政治とスポーツを切り離す良い機会になるのでは…と言う話をする。昨日の本欄で書いたように五輪の開会宣言は習近平でなくバッハがやるべきだし選手も各国の代表でなく各NOCの代表にすればいいですね。そもそもメダリストのために起用する「旗」は国旗ではなく各NOCが選んだ旗であり「歌」も国歌ではなく各NOCの選んだ楽曲ですからね。あ。ということは国家ぐるみのドーピングから東京五輪にロシア代表でなくロシア五輪委員会として出場したロシアの選手たちが最もオリンピックの理念に従ってたということになりますね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。スポーツというのは元々アナーキーなものなんですよね。スポーツの勝ち負けは実力主義で長幼の序とか学閥門閥閨閥等には無関係ですからね。ワン。終日デスクワーク。『この国には何故スポーツジャーナリズムが存在しないか?』と取り組む。晩飯映画劇場は久し振りに『トラ・トラ・トラ!』。何度も見て隅々まで憶えてるけどコレは本当によくできた歴史映画ですね。脚本を書いた菊島隆三や日本側監督の深作欣二&舛田利雄のおかげかな。アメリカで全然ヒットしなかった理由もわかりますね。これだけアメリカがやっつけられる映画はやっぱりアメリカ人が見るのはイヤでしょうね。

BOOK
ロジェ・カイヨワ『遊びと人間』講談社学術文庫
ロジェ・カイヨワ『遊びと人間』講談社学術文庫
これは何回も読んで勉強しました
斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社新書
斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社新書
確かに面白い本ですが、これがベストセラーなら日本にマルキストが増えたのかな?

12月10日(金)
昨日の本欄にスポーツとは本来「アナーキーなもの」と書いた。実力だけの勝負ですからね。下克上が簡単に起こる。そこに先輩後輩という長幼の序を持ち込んだのが体育会系運動部なんですね。社会的道徳律をスポーツの場に持ち込んだ。スポーツの場と社会の場を使い分けることが日本人は下手だったんですね。スポーツは若者中心の文化ですが武道は長幼の序が守られますからね。ベッドのなかでホイジンガの『ホモルーデンス』を読み直しながらそんなことを考えた。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。遊びはあらゆる身体動作の基本で犬も遊んでいるとホイジンガは書いてる。なるほど。犬がレッスルする(じゃれ合う)のは遊んでいるとしか思えないですね。しかしそれは人間に飼われた犬の行為であり野生の狼のレッスルは狩りの訓練だろう。だったら人間のレスリングは?遊び?強さを示す示威行為?技術の誇示?いろいろ考えるとスポーツは面白い。ワン。遊ぶ動物は人間に飼われた動物だけ?いや。動物写真家の岩合光昭さんが花と戯れる白熊をビデオに収めたのをNHKで見たことがあったなぁ。アレは本当に遊んで(戯れて)いたのかな?終日デスクワークは『ZAITEN』の連載原稿執筆。昨日の本欄に書いた外交的ボイコットをするほうがオリンピックの理念に近いということを書く。あらゆる政治家&政治行為ををオリンピックの場から一掃したほうがいいですね。晩飯映画劇場はヒッチコック『鳥』の後半。これは安部公房の『友達』などの諸作品やシュニトケのオペラ『愚者との生活』と同様の家庭劇なんですね。突然現れた異物(鳥・友達・愚者)によって家庭が破壊されそうになるが家庭は元々崩壊寸前でむしろ異物によって救われるわけですね。

BOOK
『英文対訳日本国憲法』ちくま学芸文庫
『英文対訳日本国憲法』ちくま学芸文庫
マッカーサー憲法がどうのこうのという以上に英訳されてるほうがわかりやすいのは事実です

12月11日(土)
近藤大介さんの著書『中国VS台湾謀略の100年史』に台湾が中国(中華人民共和国)の領土の一部であるということは中国憲法の「序言」にも書かれているとあったので岩波文庫の『新版世界憲法集第2版』(2012年4月刊)を持っていたことを思い出し(アメリカの言論の自由=憲法修正第1条について確認するために以前買ったのでした)本棚の奥から引っ張り出して昨晩から中華人民共和国憲法を読み始める。あった!《台湾は中華人民共和国の神聖な領土の一部分である。祖国を統一することを完成するという大業は台湾同胞を含む全中国人民の神聖な職責である》なるほど。台湾問題は内政問題というのは言った者勝ちとも言えますね。北京冬季五輪後の台湾海峡情勢とウクライナ情勢はどうなるのでしょうか?習近平やプーチンと仲の良いバッハIOC会長はただ五輪経済推進主義を押し進めているだけか?ワン。午後からヨメハンと一緒に大船駅前の玉縄学習センター分室へ。先の衆院選挙で無所属候補として小選挙区で惜敗した浅尾慶一郎さんの報告会に参加。自民候補を1万6千票以上上回りわずか約3千票差で立民候補に敗れたのですから立共野合がなかったら当選してましたね。メッチャ真面目な人で養老孟司さんや宮家邦彦さんも応援していたのに残念でした。無所属でこれだけ支持を集めた真面目な人の再起を応援したいですね。帰りに本屋に寄って斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社新書)購入。ベストセラーには基本的に興味はないのですがこれだけはマルクスの現代社会での再評価らしいので読んで見たかった。帰宅して読み出すとなるほど経済成長しなければ生き延びれない資本主義が地球環境を破壊するという話ですね。読も。

12月12日(日)
『人新世の「資本論」』読み進む。面白い。まだ半分ですが資本主義という制度が残る限り地球環境からの搾取も進み人類は破滅に向かうほかないわけですね。そこで《マルクスは人々が生産手段だけでなく地球をも〈コモンCommon〉として管理する社会をコミュニズムCommunismとして構想していた》というわけですか。「脱成長コミュニズム」。《コミュニズムとは知識・自然環境・人権・社会といった資本主義で解体されてしまった〈コモン〉を意識的に再建する試みにほかならない》というわけでマルクスは《コモンが再建された社会を「アソシエーション」と呼んでいた。マルクスは将来社会を描く際に「共産主義」や「社会主義」という表現をほとんど使っていない》という。本書ではアソシエーションの訳語として「相互扶助」という言葉が使われてますが日本国憲法のFreedom of Associationは「結社の自由」ですね。イギリスのFootball Associationは「サッカー協会」でAssociation Footballの略語はSoccer(サッカー)ですね。もちろんスポーツも公共財産というわけですね。ヤンキースタジアムの建設に多額の税金が投じられたのも当然なんですね。ワン。黒兵衛と散歩のあとも『人新世の「資本論」』読み進む。この本にはもちろん「スポーツ組織」のことは書かれていないけど《水や土壌のような自然環境・電力や交通機関といった社会的インフラ・教育や医療といった社会制度》と同様にスポーツ組織(アソシエーション)も《国家のルールや市場的基準に任せずに社会的に管理運営していこう》というのが〈コモン〉の発想なんですね。日本の社会でスポーツ文化を〈コモン〉にするにはまずメディア(ジャーナリズム)がスポーツの支配や所有から手を引かなければ…といったことを考える一日でした。しかし『人新世の資本論』を日本のスポーツ文化(の貧弱さ)と結び付ける人は他にいないだろうなぁ。イヤ。いるかな?

BOOK
酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』講談社現代新書
酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』講談社現代新書
これもこれからゆっくり読みます
新谷尚紀『神社とは何か』講談社現代新書
新谷尚紀『神社とは何か』講談社現代新書
日本の神様のいろんな知らない情報満載。伊勢「神宮」と出雲「大社」の違いを知っただけでウレシイ!
池上彰+佐藤優『激動日本左翼史 学生運動と過激派1960-1972』講談社現代新書
池上彰+佐藤優『激動日本左翼史 学生運動と過激派1960-1972』講談社現代新書
なるほどこーゆー時代だったんですね

12月13日(月)
昨日講談社から現代新書の今月の新刊4冊が送られてくる。読みたい本ばかり。酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるのか?』新谷尚紀『神社とは何か』橘玲『裏街道を行け ディストピアをHACKする』池上彰+佐藤優『激動日本左翼史学生運動と過激派1960-1972』。さっそく『激動』を読み始める。前著の『新説日本左翼史戦後左派の源流1945-1960』が面白かったですからね。やはり続編も興味深い。日本共産党が過去に暴力革命を肯定してたことは歴史的事実なのにソンナコトハナイと詭弁を弄する。共産党がどんなにイイことを言っても赤旗で見事なスクープをしても信じられないのはコノ点ですね(それと高学歴のエリート意識)。佐藤優氏も「志位和夫の嘘」とハッキリ断じてます。「人新世のサヨク復活」のためにも読まねば。ワン。黒兵衛と散歩のあと『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは成城大学教授の山本敦久さんとジャーナリストの木村元彦さん。テーマは「東京五輪の総括と反省&北京冬季五輪はどうなる?」日本はIOCに対して主権国家として振る舞えなかった(アメリカに対するのと同じクセが出た?)。何が政治的で何が政治的でないかはIOCが自分の御都合主義で判断している。アメリカが言い出した外交ボイコットは五輪が政治に他ならないことを証明した。東京五輪の総括をせずに札幌冬季五輪招致に走るのはナンセンス…などなど意義深い話題をいろいろ話し合わせていただきました。オプエドのあとは晩飯食べながら『映像の世紀プレミアム第19集破壊と創造の150年』。首都移転・関東大震災・復興計画・B29の空襲・戦後復興・高度成長…と興味深い歴史だったけど最後が新国立競技場建設の映像というのは少々ダイナミズムに欠けると思うのは東京五輪後の再放送を見たからでしょうか?

DVD
『イミテーションゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
『イミテーションゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
チューリングという破格の大天才を見事に描き切った素晴らしい映画です

12月14日(火)
池上彰+佐藤優『激動日本左翼史学生運動と過激派1960-1972』読み進む。日本の左翼のゴチャゴチャした動きは日本の政治と社会にどんな影響を及ぼしたのか?ワカラン。戦後左翼活動の徹した人たちはある意味幸せな人々だった?とも思えてしまう。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。寒い。歩き出すと雨がポツポツ。霰(あられ)かな?と思ったら雪だった。初雪。間もなく雨に変わり始めたから慌てて帰宅。午後からNHK-BSでアラン・チューリングの映画『イミテーションゲーム エニグマと天才数学者の秘密』をやることがわかったので録画。原稿に一区切り付いた夕方から見る。以前TVでやっていたのを後半の途中から見てコレは素晴らしい映画に違いないと思ったがその通り全編を通して見ると改めて見事な映画だとわかった。絶対に解読できないと言われたナチスの暗号エニグマを解読した破格の大天才チューリングの物語。対人交流の苦手なホモセクシュアルの大天才を暗号解読仲間の別の天才女性が精神的に支えるという物語の一方で暗号を解けても発表できない(ナチスに解けたことをわからせたくないから)という苦悩に加えてソ連のスパイの疑いをかけられたりするうえに実は上司はソ連のスパイが誰かわかっていて泳がせていたとか暗号解読グループの仲間との確執…等々映画(チューリングの実人生)は見事に重層的に展開する。しかも映画としての映像が綺麗。戦争シーンのドキュメンタリー的処理も素晴らしい。2015年のアカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞・助演女優賞など8部門にノミネートされた作品(脚色賞を受賞)。ラストシーンでチューリングが暗号解読のために創ったチューリング・マシーンが今はコンピュータとして使われているというクレジットが出る。映画評論を生業にしているわけではないので情報として古いが良い映画には古いも新しいもないですね。

12月15日(水)
『激動日本左翼史学生運動と過激派』読み進む。慶応早稲田の学費値上げ反対闘争から広がった学園紛争は日大東大へ発展。《「大学の自治を守れ」とと叫んだ東大闘争と「俺たちの学費を悪いコトに使いやがって」という怒りに火が付いた日大闘争という怒りの方向性が異なる闘争が盛りあがったことで全共闘が拡大し他の大学にも飛び火》《本来であれば別の文脈の闘争が同時期に発生し結局は同じ一つのうねりになところがこの時代の学生運動特有のダイナミズムだと思いますね》今はそのダイナミズムが消えてしまったわけですね。大学に学費の不正使用の説明を求めて集まった学生たちを《日大の体育会つまり相撲部や柔道部所属の学生が角材でしかも新聞社やテレビ局の記者たちが取材に来ている目の前で襲撃したんです(略)世論は日大全共闘に同情を寄せました》そうでしたね。《日大という大学は昔も今も相撲部柔道部応援団などが特別の力を持っているわけですがそうなったのが不思議ではない歴史がありますね》《体育会が大学の治安維持組織として機能し(略)「日大アウシュビッツ」と揶揄する声もありました》その「アウシュビッツ」を支配していた理事長が脱税で捕まったわけですね。しかし世の中変わりましたね。学生もメディアもみんな温和しくなりましたね。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。『ジュニアエラ』の依頼で北京冬季五輪の外交ボイコットとIOCについて短文を執筆。こーゆー問題を小中学生にも理解できるように短く完結にレベルを落とすことなく書くことができないとスポーツライター失格だと自分に鞭を入れながら何度も書き直す。ふうううう。日本スポーツ学会の始めた『スターセミナー』というYuTubeの講座がアップされたと連絡が入る。かなり過激なことを喋っています(笑)。昔はこの程度のことはテレビやラジオでも喋れたけど今は…?地方のラジオやテレビや『オプエド』では喋ってますけどね(苦笑)。 スターセミナーはこちら→https://www.sports-gakkai.jp/  『オプエド』ダイジェストはこちら→https://youtube.com/channel/UCy4yOqBdgLDcyOPz4fef4VQ

12月16日(木)
『激動日本左翼史 学生運動と過激派』読了。山ほど勉強になる一冊でした。イスラム教は元々自殺禁止だったのに自爆テロが聖戦ジハードとして讃えられるようになったのは日本赤軍のテルアビブ事件がキッカケだった…そのまたルーツはKAMIKAZEかな?よど号ハイジャックに大菩薩峠事件。赤軍の二大事件とも知人が存在するというのも時代の結果?結局ロマン主義任侠映画的に終わった新左翼は日本人を総ノンポリにしただけ?ポスト新左翼の人々は政治や社会の話題となると《居酒屋論議レベルの無責任な議論しかしない》それって今のテレビのワイドショウのこと?ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOMをつなぐのが遅れてしまって電話出演。スミマセン。パリ五輪の開会式がセーヌ川で…それってテロ対策大丈夫?という話とIOCが自ら「政治的中立」というのなら国家元首(習近平)に開会宣言をさせるのを止めなければ…という話。ワン。ラジオのあとの黒兵衛との散歩でもIOCの政治的中立を考え続ける。散歩を終えて連合通信の原稿執筆でも考え続け…ついに結論!!簡単なことなのだ!IOCがオリンピックを平和運動として続けるというなら開会式で国家元首に開会宣言だけでなく「平和宣言」や「不戦の誓い」も宣言させるべきなのだ。もちろん「人権擁護宣言」や「差別反対宣言」も!!それができない国家元首の国や市長の都市にはオリンピックを開催する資格がないはずですよね。そんな原稿を書いたあと晩飯映画劇場はウイリアム・ワイラー監督ローレンス・オリヴィエ主演『黄昏』。イヤな女房から別れて若い清純な女性と一緒になろうとした男が落ちぶれていく物語。若い女性は最後に男の愛を知って助けようとするが…。ワイラー監督の映画はどれも面白いですね。この落ちぶれてもプライドを示す男の役はオリヴィエがやってみたかったのかな?

DVD
『三文オペラ』
『三文オペラ』
戦前ドイツの爛熟と退廃の世界が味わえます。ワイル夫人のロッテ・レーニャもジェニー役で出演

12月17日(金)
読む本がなくなったので新谷尚紀『神社とは何か』に気軽に手を出したらこれがメッチャ面白い。日本の神の祀り方が磐座祭祀から禁足地祭祀へ移っていったことが沖の島や三輪山の遺跡からワカルとか…伊勢神宮の「宮=みや=御屋」と出雲大社の「社=やしろ=屋代」ではまったく違うとか…『日本書紀』は神代から天武持統まで順々に書かれたのではなく元に戻って書き加えられたり行きつ戻りつして完成された…など(小生には)何の役にも立たない知識ですけど面白くて何故か興奮しますね。ワン。夜来強烈な風雨の音だったけど小雨になったので黒兵衛と散歩。そのうち雨は止んで横須賀線と江ノ電を乗り継いで行きつけの病院で3か月の1度の定期検診。血液検査尿検査異常なし。キラキラと輝く江ノ島を背景にした綺麗な海で多くのサーファーがぷかぷか浮かんでいた。このあたりのサーファーは波に乗っている時を滅多に見ないがソレでも楽しいのでしょうね。帰宅すると大阪梅田の雑居ビルにあった病院で火災のニュース。放火らしい。東京では電車の中で火を燃やした事件が起きたばかり。こういう世の中になった責任は誰にあるのかな?デスクワークのBGMは久し振りにクルト・ワイルの『三文オペラ』の音楽を聴きながら。ベルトルト・ブレヒトの創りあげたメッキ−・メッサ−(マック・ザ・ナイフ)のような「愛される悪」の存在した1920年代のドイツから見たら現代の日本社会の「悪」はどのように見えるのかな?自殺者まで出た森友文書改竄事件にサッサと幕を引く政府の治める社会は…将来どうなる?『三文オペラ』のドイツ社会にはやがてヒトラーが…。通信社の短い連載原稿書きあげる。IOCは習近平に北京冬季五輪の開会式に「不戦宣言」と「人権尊重宣言」をさせろ!という原稿です。

12月18日(土)
『神社とは何か』面白い。日本人の獣肉拒否は10世紀以降のことでそれ以前はいろんな神社で鹿肉猪肉牛肉馬肉が神饌としても捧げられていたのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩ついでに近所の獣医さんへ。狂犬病の予防注射を打ってもらう。昔飼ってた佐吉は獣医さんと二人がかりで押さえつけないと大暴れして注射させなかったけど黒兵衛は温和しくジッとしている。どっちも個性的でイイですけどね。ワン。デスクワークは『日本には何故スポーツジャーナリズムが生まれないのか?(仮題)』執筆継続。ちょっと難しい箇所に入ってきたなあ…とイロイロ悩む。区切りを付けて以前三波春夫さんからいただいた手紙をヨメハンのiPadで撮影。4メートルはある和紙に墨書きの手紙。シベリア抑留中の経験談などが書かれているので是非とも読んでほしい歌手の方へのメール転送は明日にするか…で『報道特集』で遺書まで書いて南西諸島の防衛任務に付いている自衛隊の特別部隊のレポートを見る。台湾海峡有事や尖閣防衛のためで必要なことなんでしょうが彼らが出動しなくていい外交に努めてほしいですね。『博士ちゃん』の「最強アニマル合戦」を見て大笑いしながら晩飯&酒。しかし森友文書改竄問題の裁判は国側の有無を言わさぬ幕引きでこのまま終わらせていいのでしょうかねえ?この問題については日本のジャーナリズム(ジャーナリスト)の姿勢も問われますよね?

12月19日(日)
『神社とは何か』面白く読み進む。厳島神社の歴史に感動。清盛・泰時・秀吉・元就…大武将が全てこの神社の魅力に取り憑かれて再建増築に力を入れたのですね。以前野球の取材で全国を飛び回っていた35歳の頃だったか野球場の往復だけではもったいないと思って必ず周縁を見て歩く時間をとるようになった。そこで広島球場での取材のときに厳島神社へも行ったけどやはり素晴らしいところでしたね。近くの博物館にあった平家納経も見事でした。そうして太宰府や仙台城や松山城や首里城や仙台城跡にも足を運びました。イロイロ行きましたね。もう行かなくてもいいですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。そういえばロサンゼルスでのも投手を取材したとき彼が新聞記者たちに向かって嫌味を言ってましたね。「せっかくアメリカに来たんだから野球場以外にも足を運んだら?」と。彼の正直な気持ちだったでしょうね。ワン。TBS特集『報道の日』を見る。何故『報道特集』が加わらないのか?残念。CMの多さにウンザリ。ビデオに録画して仕事したあと夕方から早送りで見る。つまらないところは飛ばしてナイスアイデアでした。ワクチン接種が遅れたことに関して過去のワクチン政策の大失敗としてジフテリアの予防接種で大勢の子供たちが亡くなった話題が取りあげられたけどその時の京都での死亡第1号が小生の姉(長女)でしたね。2歳くらいだったのかな。そのことをほとんど何も話さなかった親父とお袋はエラかったですね。夜は『M1グランプリ』の決勝ラウンドだけを見る。錦鯉でマァ良かったんじゃないですか。しかし以前吉本興行の木村政雄専務がダウンタウンの出てきた頃に「私には何が面白いのかワカラン時代になりました」と言っていた意味が最近ワカルようになってきた。嗚呼。

12月20日(月)
『神社とは何か』読了。本の帯に《神社がわかれば日本がわかる》と書かれていたけどナルホド磐座(巨岩)や杜(森)に宿る精霊への意識から生まれたアニミズム的優しさを持つ日本人の穏やかさがよくわかった。けどそれを国家神道に利用したのも同じ日本人なんですよね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと今日の『ニューズ・オプエド』の準備。打ち合わせで今日は進行役のスポーツナビゲーター小林厚妃さんが不在で小生が初めて進行役も務めるというので夕方から浜松町のスタジオへ。リモート出演のゲストは評論家で大宅文庫理事長の大宅映子さんとスポーツライターの小林信也さん。それにノーボーダー社主の上杉隆さんもスタジオに。特集では今年1年をスポーツで振り返るということで大宅さんと上杉さんは何を措いても大谷翔平の活躍と人間性の素晴らしさをあげる。小林さんと小生は3本ずつ重大ニューズを選ぶ。(小林)@「東京五輪反対」の大合唱:冷静な議論なしに戦後初めてスポーツが敵視された年に。A多くのことを気付かせてくれたパラリンピック:日常への反映は?B大谷翔平は突然変異:日本から生まれた不思議・その認識の甘さと反省しない野球界。(玉木)@コロナ禍で反対延期80%+不祥事続出の東京五輪をIOCと政府が強行開催。A大谷翔平2刀流メジャーMVP大活躍にプロ球界(MLBの人材供給二軍?)は反省ゼロ。B松山英樹マスターズ優勝:ゴルフの高度なスポーツ性を再認識。次点で選んだ項目も順に書いておくと…▼大坂なおみ全仏オープン途中棄権。理由は鬱▼春夏の甲子園(高校野球)議論もなく普通に開催▼日本シリーズ全戦1点差。稀に見る熱戦の連続も新庄の話題が上に▼スポーツ日大の崩壊は体育会的日本社会の終わり?/▼女子高校野球決勝甲子園開催も男女組織は別々のまま▼照ノ富士序二段落ちから復活横綱へ▼大坂なおみ全仏オープンで鬱病告白棄権▼東京五輪女子重量挙げに元男性(トランスジェンダー選手)が出場▼東京パラリンピック各種競技で様々な衝撃…ということでイロイロ話し合って…今年もあと10日ですね。嗚呼。

BOOK
筒井康隆『美藝公』文春文庫
筒井康隆『美藝公』文春文庫
映画愛を語るとキイは欠かせない傑作小説。これが『GORO』に連載されたとき小生は編集部で働いてました(^^;)

12月21日(火)
ベッドのなかの読書は「神社」に寄り道して中断していた『人新世の資本論』の第5〜6章へ舞い戻る。《世の中は経済成長のための「構造改革」を繰り返されることによってむしろますます経済格差が溢れるようになっている。実際世界で最も裕福な資本家26人は貧困層38億人(世界人口の約半分)の総資産と同額の富を独占している。これは偶然だろうか。いやこう考えるべきではないか。資本主義こそが希少性を生み出すシステムだという風に。私たちは普通資本主義が豊かさや潤沢さをもたらしてくれると考えているが本当は逆なのではないか》《希少性を維持増大することで資本は利潤をあげていく。そのことは99%の私たちにとっては欠乏の永続性を意味しているのだ》ではどうすれば良いのか?ということでマルクス登場。「コモン(社会的公共的共有財産)の再生」につながるのだが「新しい資本主義」を模索していると思われる岸田総理はこの本読んだかな?あ。あくまでも「資本主義再生派」だからコミュニズムは無視かな?ワン。黒兵衛と散歩のあとデスクワークは北國新聞の連載「スポーツを考える」を執筆。IOCはオリンピックの「開会宣言」を開催都市の国の国家元首にさせる。ならば「平和宣言」も「反戦宣言」も「差別反対宣言」も「人権擁護宣言」も国家元首にやらせるべきですよね。やれない元首の国では「平和の祭典」は開けないはず。習近平はやるかな?晩飯映画劇場は三谷幸喜『マジック・アワー』。映画大好き人間たちが映画のパワーを虚構と現実の虚実皮膜の間に思い入り爆発させた作品。なかなか面白かったです。ベースになっているアイデアはトリュフォーの『アメリカの夜』かな?

12月22日(水)
『人新世の資本論』読み進む。《コロナ感染の第一波が襲った際先進国ではマスクも消毒液も手に入らなかった。安くて快適な生活を実現するためにあらゆるモノを海外にアウトソーシングしてきたせいである(略)巨大製薬会社の多くが精神安定剤やED(勃起不全)の治療薬といった儲かる薬の開発に特化し抗生物質や抗ウイルス薬の研究開発から撤退していたことも事態を深刻化させた。その代償として先進国はレジリエンス(障害に直面した際の復元力)を失ってしまったのだ》同じ先進国でもノーベル賞級の研究者が出ていく国と受け入れる国があることをジャーナリズムは鋭く指摘すべきですよね。日本出身者のアメリカ国籍の日本人がノベル賞!なんて騒いでいてはダメですね。《資本主義は必然的に人工的希少性を生み出し富の偏在を作り出す》それに対して《コミュニズムはコモンズを再建し「ラディカルな潤沢さ」を回復することを目指す(略)潤沢さこそが資本主義の天敵なのだ》その一例が《市民電力やエネルギー協同組合による再生エネルギーの普及である。これを「民営化」をもじって市民の手による「〈市民〉営化」と呼ぼう》日本の政治の野党政党はこのような学者の意見をどう受けとめているのかな?実践に移そうとは思わないのかな?ワン。黒兵衛と散歩のあと『北國新聞』や『ジュニアアエラ』に書いた原稿の校正や週末のオペラ講座のレジュメ作り。講座のテーマはプッチーニ。『西部の娘』を楽しみながら晩飯。ゴールドラッシュ時代のカリフォルニアが舞台のオペラだけど最後に主人公の男女がハリウッドへ行って映画デビューするなんて演出の舞台もあります。舞台の上にMGMの巨大なマークが現れてライオンが吠えます。オペラの演出はナンデモアリですから。

12月23日(木)
『人新世の資本論』読了。《経済・政治・環境三位一体の刷新を!》大賛成ですね。日本は新しい左翼の出現を待ち望んでいるはずですね。しかし次の記述には思わずプッファーと吹き出し笑いをしてしまった。《現在高給を取っている職業としてマーケティングや広告やコンサルティングそして金融業や保険業などがある。こうした仕事は重要そうに見えるものの実は社会の再生産そのものにはほとんど役立っていない(略)これらの仕事に従事している本人さえも自分の仕事がなくなっても社会に何の問題もないと感じているという。世の中には無意味な「ブルシット・ジョブ(クソくだらない仕事)」が溢れているのである》この本の著者に次作には是非とも「五輪祝賀資本主義」と「メディア・スポーツ資本主義」についての考察もお願いしたいですね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。オリンピックと政治がくっつくのは五輪の開会宣言を国家元首にやらせているからという話をする。五輪と政治を切り離す方法がありますか?と訊かれたので開会宣言と同時に国家元首に五輪の理念も宣言させたらいいと答える。すなわち「平和宣言」「不戦宣言」「人権擁護宣言」「差別撤廃宣言」を習近平にやらせるべきなのだ。IOCは理念を貫け!妥協するな!と話したあと黒兵衛と散歩。今日は終日週末のオペラ講座のためにプッチーニ『蝶々夫人』『西部の娘』『トゥーランドット』の勉強。爛熟した世紀末の西洋文明(オペラ)はエキゾチズム(異国情緒)に延命策を求めたわけですね。夜ベッドに持ち込んだ本は酒井隆史『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるのか』(講談社現代新書)おっ。「東京五輪とブルシットの力学」なんて項目もあるぞ。読まねば。

12月24日(金)
『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』読み出す。面白い。workとjobとlaborの違いもよくわかったし《ウソをつくことlyingとブルシットすることbullshitingを区別することが肝心》ということもよくわかりました。《ウソをつく人は自分が真実や事実をごまかしているということがわかっています。ブルシットする人はそもそも真実や事実なんてどうでもいいんです》ナルホド。bullshitのbullは《つきつめればフランス語で詐欺・欺瞞を意味するboleに由来している》bullを雄牛とするのは《間違い》だという。知らずに完全に間違えていました。マフィアやヤクザの「殺し屋」はBSJ(ブルシット・ジョブ)ではないのですね。反社会性を自覚してますからね。読み進むとついに出てきました。テレビのコメンテイターという仕事!《ブルシットの蔓延する現代の一つの理由]》は《誰もが自分のよく知らないことまで意見を持たねばならないという強迫》があるからだという。《テレビのコメンテイターは学者もふくめて何でオマエがそのテーマについてエラそうに喋ってるんだという場面だらけですがまさにそこは「ブルシット・アーティスト(テキトーなことをそれらしく巧みに言う人のことです)のお披露目会なわけです》思わず吹き出しましたが自戒せねば。しかしこういうことを書く学者に対しては某政治ジャーナリストが某TV番組のCM中に小生に向かって吐いた言葉と同じ台詞を放つでしょうね。「そんなこと言ってたらテレビに呼ばれなくなりますよ」ワン。黒兵衛と散歩のあと明日のオペラ講座の準備。PAC(途中兵庫県立芸術文化劇場)のNさんから電話。来年の佐渡裕プロデュースのオペラは昨年コロナで中止になったプッチーニの『ラ・ボエーム』になったとか。来年こそはツアーを成功させたいですね。晩飯は『チコちゃん』見ながらヨメハンとお隣さんにいただいたフランスの赤ワインで乾杯。イヴですからね。

DVD
プッチーニ:オペラ『蝶々夫人』
プッチーニ:オペラ『蝶々夫人』
フレーニ&ドミンゴで指揮はカラヤン。見事な音楽ですが過剰なエキゾチズムに映像はゲンナリ

12月25日(土)
『ブルシットジョブの謎』読み進む。《巨額の資金が動く時その分配に関わるシステムに隙間があれば寄生者のレイヤー(層=集団)が作り出される。この力学は日本でも即座に思い浮かぶ事例がないでしょうか?現在の政権あるいは政府と電通とかパソナとの関係ですね。政府はかつて公共あるいは行政に属していた機能を「市場原理」の導入によって「効率化」するとの名目で大手広告代理店などに委託しています。たとえば今回の東京五輪です。そこでは数兆円という巨額の資金がこうした代理店を通して大量にばらまかれました。準備期間中に日給数十万円の謎のポストがあることが発覚してちょっとしたスキャンダルにもなりましたよね。おそらくそこではほとんど何の意味もないポストが作られそこに資金がバラ撒かれていたのではないかと想像されます(略)その資金のほとんどは税金で基本的に私たちから徴収された富ですよね。その膨大な富を彼らは仲間内にバラ撒き…そしてより土台にあたる必要不可欠な仕事はなるべく無償でそして医療従事者にもなけなしの報酬しか払いませんでした。まるでこうした必要不可欠な仕事は報酬は要らないだろ…とでも言わんばかりです》嗚呼!!石流葉沈!ワン。黒兵衛と散歩のあと準備して東海道線で品川へ。新幹線で名古屋へ。栄中日文化センターで久し振りにオペラ講座。プッチーニのエキゾチズムと題して『蝶々夫人』『西部の娘』『トゥーランドット』を解説。西洋文化の歪んだ東洋感(エキゾチズム)を日本的に正した浅利慶太の演出ミラノスカラ座の舞台やプッチーニ自身が西洋と東洋の融合した完成形を示した『トゥーランドット』のゼッフィレッリ演出の舞台を楽しんでいただく。『西部の娘』の最後にMGM映画のライオンが出現する舞台には皆さん驚かれたようですね。講義を終えて新幹線で帰鎌。今年最後の出張仕事。少し疲れたかな。

VHS
『身替座禅』
『身替座禅』
勘三郎さんは本当に素晴らしい役者でしたね

12月26日(日)
『ブルシットジョブの謎』読了。勉強になりました。冷静の終結を資本主義の勝利と考えることは大きな間違いなのですね。《資本主義はもはや老いたる恐竜》で《若々しい活力も柔軟さも失った恐竜はますます荒れ狂います》というわけでパンデミックのなか《グローバル資本とそのエリートたちが最初にとった戦略は「生命」と「経済」とを振り分けたうえで「生命」のために「経済」を一旦停止させるというものでした(略)もちろんそれも「経済」の命法ありきで実際には「生命」を維持する理由は経済のために必要だからです(略)経済の正常運営への圧力は強まります。その典型がブラジルでありすべてにわたってぐだぐだの我らが日本です。本音は一瞬たりとも「(資本主義)経済」を止めたくないのです》GoToを強行した事情がよくわかります。ただすべては「老いたる恐竜(資本主義経済)の延命策」のためでそれは《ブルシットエコノミー》というべきものなんですね。「経済も回さなければ」と言う前に考えなければならないことが…だったらどうすべきか?本書の結論は『人新世の資本論』と同じCommunismなんですね。「市場的価値」を否定して「社会的価値」を優先する社会へ。そのための手段としてのベーシックインカムという方法論も現実的に理解できます。もはや「新しい資本主義」などという「死にかけの恐竜へのモルヒネ投与」のような政策ではアカンということに政治家の皆さんは早く気付いてほしいですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと本棚の整理&ベランダの掃除。年末ですからね。箒と塵取りを使うとすぐ腰が痛くなるのはトシかな。掃除の途中に有馬記念。エフフォーリア3歳馬。メチャ強いですね。晩飯歌舞伎劇場は仁左衛門と芝翫の『身替座禅』を見ながら。喜劇をキチンと演じられるのは名優の証ですね。勘三郎のこの舞台もよかったけど仁左衛門もサスガですね。

Blu-ray
『曽根崎心中』
『曽根崎心中』
宇崎竜童&梶芽衣子の映画。監督は増村保造。もう少し暴れてほしかったかな?

12月27日(月)
朝ベッドで丸善出版のPR誌『學鐙』冬号を読んでいたらメッチャ面白い原稿に出逢う。国立極地研究所の渡辺佑基准教授が書いた『生物の生きるペースは体温で決まる』。ナント北極海の深海に棲むニシオンデンザメという鮫は体長4〜5mで大人になるのに150年かかり推定寿命は400年!徳川幕府誕生時に産まれて明治維新太平洋戦争を経験…はしなくても2度目の東京五輪まで生きてる!スゴイ!この変温動物の体温は0℃。遊泳速度が時速0.8キロという鈍(のろ)さで尾鰭を1往復させるのに7秒もかかる。なんというスローライフ!ベッドから出てウィキペディアの画像でその姿を見るとちょいと剽軽な鮫といったおもむき。駿河湾の深海にも棲んでいて500年以上生きた個体もいるらしい!室町時代に生まれてまだ生きてるわけですね!ワン!黒兵衛も10歳になってソロソロ寿命なんて思いながら散歩しているのが馬鹿馬鹿しくなりますなあ。ワン!原稿の校正やらナンヤラカンヤラ今年最後の仕事をこなしながら合間に仕事部屋や寝室の掃除。うわっ。ベッドの下から本が5冊とボールペン4本出てきた。晩飯歌舞伎劇場は京都南座顔見世で『身替座禅』に続いて『曽根崎心中』。扇雀&鴈治郎の兄弟の舞台ですね。小学校低学年の頃に先代の扇雀&鴈治郎の舞台を南座へ連れて行かれて見て歌舞伎とはクソ面白くもないものだという感想を抱く。いまはもちろん江戸のシェイクスピア近松門左衛門はサイコーと思ってます。一緒に行ったおふくろは「扇雀はんの足は大きおすなあ」と笑ってた。

DVD
プッチーニ:オペラ『トゥーランドット』
プッチーニ:オペラ『トゥーランドット』
江沢民だからできた?紫禁城での大野外公演!テノールのセルゲイ・ラーリンが素晴らしい!メータの指揮も!

12月28日(火)
寿命500年のオンデンザメは漢字で書くと隠田鮫となるらしい。年貢を逃れるために隠していた田圃が隠田。深海でジッと動かないでいる鮫に相応しい名称かな。鼠のなかでは長寿で30年もの寿命を誇るハダカデバネズミは漢字で書くともちろん裸出歯鼠。癌と老化に耐性を持ち無酸素でも18分生きるらしい。より早くより高くより強く…というのは長寿と無関係なんですね。ベッドに持ち込んだ新刊本があまりにつまらない独善的な作家の手慰みだったので活字を追いながらそんなことばかり考えた。本の題名を書いたところで建設的でないので書かないでおきます。世の中にはこんな本でも面白いと思う人もいるでしょうから…ワン。黒兵衛と散歩のあと仕事部屋の整理。パソコン内部の大掃除。年末ですね。晩飯オペラ劇場はレオンカヴァッロの『道化師』。パヴァロッティ&ファン・ポンス&ストラータスでレヴァイン指揮ゼッフィレッリ演出メトロポリタン歌劇場とデル・モナコ&プロッティ&トゥッチでエレーデ指揮NHK交響楽団1961年来日公演を見較べ聴き較べる。どっちもスゴイですね。風呂のあとは『トゥーランドット』。メータ指揮フィレンツェ五月祭オケが北京紫禁城へ引っ越し公演。広大な城のスペースを存分に使ったチャン・イーモウの演出も素晴らしい。江沢民時代の出来事。習近平はやらせないかな?いや。誰もやろうとしないかな?

12月29日(水)
昨日見た北京紫禁城での『トゥーランドット』のDVDのタイトルにForbidden Cityという文字があった。なるほど中国語では「城」は「都市」を表すと聞いたことがある。Forbidden Cityとは紫禁城のことか。天安門は紫禁城の第一門だからDemonstrationはForbiddenで天安門事件が起きたのかな。ワン。黒兵衛と散歩のあと年末の掃除。以前は息子と窓ガラス拭きとかやったけど今は活動縮小でイロイロ整理するだけですね。独り者四角い部屋を丸く掃き…独り者ではないけど似たようなモノかな。晩飯オペラ劇場はプッチーニ『つばめ』。栄中日文化センターのオペラ講座でプッチーニを取りあげて以来講師(自分)のほうがプッチーニの甘美なメロディにハマってしまいましたね。またいずれヴェルディやワーグナーやR・シュトラウスやモーツァルトの魅力にハマるのでしょうけど…中学生の時にオペラにハマって以来半世紀以上飽きずに聴き続け見続けているというのもオペラの力も(歌舞伎の力も)スゴイモノですね。クラシックの力ですね。『ウェストサイド・ストーリー』もビートルズも美空ひばりも三波春夫も都はるみもクラシックですね。

BOOK
『ウンベルト・エーコの世界文明講義』河出書房新社
『ウンベルト・エーコの世界文明講義』河出書房新社
何度読み直しても、どこを摘まみ食いしても、メッチャ面白い本です

12月30日(木)
ベッドで読む本がなくなったら『ウンベルト・エーコの世界文明講義』(河出書房新社)をパラパラめくる。どこを読んでも面白い。4ページに1枚はあるカラー図版を見るだけでも面白い。《文法とは言語は教えるが話すのは妨げる道具である》アフォリズムも面白い。そのうち静かに再度の眠りを招いてくれるということでも最高の本である…などと言いたくもなる。ワン。黒兵衛と散歩のあとメールチェックなどの少々のデスクワークのあと今日は買い物日。ヨメハンの正月用仕入れに付き合う。草臥れる。女性の買い物へのパッションほど理解不能なモノはないと思えるのは貴方が男性の証拠だ…というアフォリズムが浮かぶが「男性/女性」の分類は最早無意味ですね。昨日の東京新聞だったか斎藤美奈子さんも紅白歌合戦はいつまで続く?といった文章を書いていましたね。今年もあと一日。ニュース番組が消えてヴァラエティ番組ばかりになったテレビで正月の到来を知る日本の歳末。ナルホド。オリンピックも正月もハレ(祭)の時空間でニュース(事件・事故)は消失するのですね。

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