9月1日(火)
朝佐吉と散歩。杖なし万歩計なし。要するに日常に戻ったということ。まぁ焦らんとこ。本棚の整理復活しながら選挙結果を受けたスポーツ雑誌の企画の手配や校正など少々気持ちだけ慌ただしい一日。ゆっくり原稿と取り組む日々を始めたいけどマズは本棚を片付けんとシャーナイな。仕事の合間に加藤文元『物語数学の歴史〜正しさへの挑戦』中公新書読み出す。《人間が「数学する」ことにおいて最も重要なことは「計算する」ことと「見る」ことである》面白い!晩飯映画劇場はローレンス・オリヴィエ製作監督出演マリリン・モンロー主演『王子と踊り子』。モンローがMGMでなくWBに出た唯一の作品。まぁモンローの可愛さをオリヴィエが引っ張り出そうとしてるのはオモロイけどビリー・ワイルダーの偉大さが再確認できた。それにしてもモンローのヒップは大きい!オリヴィエのQueen's English(いやShakespeare's Englishかな)は嫌味なほど美しい。
9月2日(水)
朝ラジオ2本。衆院選結果とスポーツ界への影響。もちろん2016年東京五輪招致にも触れる。今日も一日ナンヤラカンヤラ政権交代関連の騒ぎで一日が暮れる。スポーツ界も影響なしとはいえへんもんな。夜IOCが公式ウェブサイトで2016年招致立候補4都市についての評価報告書発表。東京は財政その他high qualityと誉めてあるところが多いけど世論の低さや選手村の施設のあり方などでマイナス評価。リオの準備状況がvery high quqlityとveryなのはなんでやねん。ワカラン。まぁこの評価と投票は別物やけど…夜のTV報道は総じて「東京に厳しい評価」やったな。いちばん最初の評価が1位やったから今回の「苦言」にメディアが反応しすぎたかな。どこもプラスとマイナス両面書かれてるんやから…。あ。今日は映画も見てへん原稿も書いてへん。佐吉の散歩だけは朝夕ともきちんとこなしたな。いろいろ考える時に散歩はエエモンやな。
9月3日(木)
朝普通の人の出勤時刻に家を出て新宿へ。都庁で行われたIOC評価委員会報告書に関する記者会見に出席。竹田JOC会長はじめ関係者は慌ててへんな。まぁ慌ててもシャーナイしな。竹田会長は昨日某国より帰国。変わって河野一郎招致委事務局長が海外某国へ出張。よっしゃ。いろいろ動いてはるな。会見中おそらく「盤石」という言葉を「バンセキ」と読んだ人がいたけど総理大臣よりはマシやったから(一つだけやったから)許そ。外人から票集めるのが仕事やしな。けど日本人なら漢字くらいちゃんと読め!会見が終わって車椅子アスリートで招致委の成田真由美サンや読売新聞記者で『婦人公論』で五輪招致について座談した読売新聞記者の結城和香子さんや招致委事務次長の槙英俊さんに挨拶。そこへ招致委アスリート委員長の小谷実可子さんが来て「ずいぶん痩せられましたねえ」「ええ脳の内側に血を流しましたから」「?!?!?!」あんまり冗談で言うもんやないんでキチンと説明。「よかったですねえ。軽く済んで」ええ。ありがとさんです。
9月3日(木)つづき
都庁での記者会見に顔を出していた広瀬一郎さんとコーヒー飲みながら情報交換。スポーツ界はまだまだ動きが甘いし理解されてへんことが多いなぁ。別れてタワーレコードへ。“Tough & Cool”というなかなか面白いクラブ系音楽のグループがいるのでCD『unknown』を買う。ついでに近くの棚にあったちあきなおみのディスク『RE-MASTER VOICE』と『赤とんぼ〜ちあきなおみ船村演歌を唄う』も買う。ナカナカ悪くない選択に満足。帰宅してチョイト仕事しながら聴く。めっちゃめちゃエエやん。『東京の花売り娘』『宵待草』『港が見える丘』『上海帰りのリル』『黒い花びら』『夜霧のブルース』…もうサイコー。晩飯映画劇場は『大阪ハムレット』。松坂慶子の大阪のおばちゃんは大阪弁のイントネーションにひっかかって最初は引いたけど岸部一徳サンが飄々と雰囲気作っててこのテンポこのリズム悪くないですね。原作マンガも読んでみとなった。
9月4日(金)
朝佐吉と散歩のあと新幹線で大阪へ。新横浜のホームで阿呆息子とバッタリ。「何してるのん?」「仕事じゃ阿呆」といいながら何年か前ロサンジエルスのホテル・フォーシーズンのバーで朋友と出逢って乾杯したことを思い出す。オーバーすぎるかな(笑)。意味不明やな(爆)。毎日放送で『ちちんぷいぷい』生出演。押尾コータロー氏がゲスト生出演。よく同姓の人物に間違えられて困ってるらしい。けど彼のギターはほんまに素晴らしい。CD『Eternal Chain』をいただいたのでお返しにtough & cool の『unknown』を恐縮しながら渡す。番組終了後スタッフの一人と一緒に神戸元町のジャズ・スポット『木馬』へ。挟間美帆のジャズ・トリオM-unitを聴く。なかなか面白かった。とくに『チャーリーとチョコレート工場』を気に入る。佐渡裕さんの行きつけの店らしく佐渡さんともバッタリ。「あのベースはめちゃ上手いやん。いやホンマ」「イヤもうナンヤわけがわかりまへいで…」ジャズ演奏にカコつけて久しぶりに平尾誠二さんにも会う。「あのベースかっこついてますやん」「へ。おおきに」ナンノコッチャ。もちろん佐渡さんとも懇意で何やらタイガースの話題。俺は大病入院前も含めて久しぶり。今年は久しぶりにラグビーもチョット見に行こかな。W杯も決まったことやし。大阪泊。退院後初めてのお泊まり。酒飲めんとオモロないな(苦笑)。
9月5日(土)
大阪のホテルで爽快な目覚め。梅田タワーレコードに寄って帰ろと思たら11時開店やて!?阪神デパートに寄ってかなり草臥れてきた愛用のタイガース健康スリッパを買い直そうと思たけど緊急の仕事が東京で入ったことを思い出して新大阪から新幹線で東京へ。往復の車中で加藤文元『物語数学の歴史』中公新書読む。オモロイ。そうか。日本人は数学を楽しむ精神にあふれてるんか。和算の本も読んでみよ。松山で懇意になったNHKのスタッフが東京駅で待ってて転勤後俺と初仕事。『おはようニッポン』でとりあげるイチローについてVTR撮り。そのあと大船で少し本を買い込んで帰宅。軽く仕事電話打合せのあとサッカー日本代表vsオランダ戦。そうか岡ちゃんはメンバー交代をせんかったな。次のガーナ戦はどんな闘い方するのんやろ?
9月6日(日)
朝佐吉と散歩のあと『題名のない音楽会』でファジル・サイのピアノを聴く。いやぁオモロイですよ彼のピアノは。2016年五輪開催地に関するIOC評価委のレポートを印刷してたら切れてしまったのでヤマダ電器へプリンターのインクを買いに行く。何しろカラー100ページやもんな…というと娘が「モノクロにして印刷すればいいじゃん」早よ教えてくれんかいな。新潮社のとんぼの本の『東京オリンピック1964』を読む。帯に「堂々と言おう―あの15日間は素晴らしかった!と」とある。ホンマその通りやで。しかしそれ以上に驚いたのは記録映画を製作した市川崑監督の絵コンテ。太陽とかビルを破壊する鉄球とか群衆の足のアップとか東京の雑踏とかランナーの顔のアップとか全部絵コンテに描いてある。こうでないとドキュメンタリーは創れまへんな。見たままに…なんて態度で取材はできまへん。わかっとりますな。塾生の皆さん。晩飯映画劇場はコッポラ監督ジーン・ハックマン主演『カンバセーション…盗聴…』。昔池袋の名画座で見て感激。ハリソン・フォードやロバート・デュバルやジョン・カザール(ゴッドファーザーでアル・パチーノに殺される兄のほか『狼たちの午後』や『ディア・ハンター』にも出ていた演技派俳優)が出てたとは記憶になかった。名画座での併映はロッドスタイガー主演の『質屋』やったと記憶してる。いやマルチェロ・マストロヤンニ主演ヴィスコンティ監督の『異邦人』やったかな。どっちでもエエけどどっちもDVD化されてへん。アンソニー・クインの『二十五時』もマダや。エエ映画はいつでも見られるようにしてほしいですな。
9月7日(月)
朝佐吉と散歩のあとIOCの「Report of the Evalution Commission」を猛読(あんまりたいしたことなかったな)。1964年11月に世界文化社から発行された『東京オリンピック』も引っ張り出して勉強。コレは小生秘蔵の一冊で東京五輪関連図書としては最高の出来。執筆者は清水崑のイラスト付レポートのほか山口瞳・安岡章太郎・池田弥三郎・他。それで320円。安い!(当時の物価的に当然か)しかもマラソン2位の(国立競技場で円谷を追い抜いた)ヒートリー(イギリス)のサイン入り!アトランタ五輪の前にローザンヌのオリンピック博物館でNHK特番作って対談したときにもらった。それは関係ないけど終日オリンピックの再勉強。晩飯は『213』へ。生ビール2杯赤ワイン1杯。これが週に1度の適量になったかな。MXテレビの人と明日の石原都知事との対談番組『東京の窓から』について少々打合せ。まぁナントカなるやろ。
9月8日(火)
朝佐吉と散歩のあと読書。宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫。《淡路西海岸の鳥飼村の庄屋だった斉藤家の由緒書を見ると、この家では長男は大てい二十歳過ぎて嫁を迎えており、嫁を迎えると同時に親は隠居して隠居家に入っている。隠居する親の年齢は四十歳から五十歳までの間で、それからなお十分に働ける年輩である》ふ〜ん。《日本中世の文学が隠者によって保持せられて来たことと、村々の隠居制度には共通するものが多分にあると見られる》なるほど。そういや本棚整理中に再発見した深沢七郎『庶民列伝』のなかの『おくま嘘歌』という短編小説の書き出しに《おくまは今年63で、数え年なら64だが、「いくつになりやすか?」と聞かれると、「そろそろ、70に手が届きやァす」と言って、数え年では66にも67にもなるように思い込んでいた》という一節があった。昔の人は年齢と「老い」をきちんと認識してたみたい。いまは政治家を筆頭にみんな若すぎる―イヤ若う振る舞いすぎるで。
9月8日(火)つづき
昼から新宿のハイアットリージェンシーへ。バー「Eau de Vie」で石原慎太郎氏とMXテレビの都知事対談番組『東京の窓から』収録。テーマはもちろん2016年の東京五輪招致。スポーツの面白さ凄さ1964年東京五輪について喋りまくる。石原さんもヨウ喋る。77歳か。元気やな。「スポーツは肉体のエロスについて教えてくれるでしょ」やっぱりコノ人は政治家というより作家やで。「人間はみんな死ぬ。しかし一人一人は自分だけは死なないかのように振る舞う。それと同じで地球環境問題もポイント・オヴ・ノーリターンを過ぎたという人もいる。人類はオリンピックどころじゃないわけだがそこをオリンピックを通じてメッセージとして発信できれば…」核・憲法9条・その他政治信条についての意見は正反対やけど楽しい一時でした。収録が終わってからも歓談。市川崑監督の映画『穴』で歌ったジャズが見事だというと「弟より俺のほうが歌は上手かったんだ。あの曲は俺がつくったんだ」と上機嫌でキックボクシングの八百長の話まで飛び出した。スポーツと体育の違いなど説明不要(釈迦に説法)で高校野球のハンカチ王子が活躍したときに「ギャラは出てるの?えっ。出てないの」と鋭いことを口にしただけのことはある。多くの文化人の皆さん。政治的立場を超えてオリンピックとパラリンピックの東京招致を応援しましょう!
9月8日(火)つづき
石原都知事と対談のあと新宿のタワーレコードへ。レナード・バーンスタイン指揮NYフィルのハイドン・セットをboxで発見。パリ交響曲6曲ロンドン交響曲12曲ミサ曲4曲にオラトリオ『天地創造』でCD12枚組2228円。安!しかもバーンスタインのハイドンは定評のあるところ。レニーにしろ佐渡裕さんにしろ金聖響さんにしろ暴れまくる指揮者が皆意外とハイドン(やシューベルトの初期交響曲)を得意にしてるのは面白い。ほかにミンコフスキ指揮ミュジシャン・ドゥ・ルーヴルとマーラー室内オケの合同演奏による『幻想交響曲』輸入盤。こっちはベルリオーズのソプラノをフィーチャーした『叙情的場面エルミニ』が付いて690円。メチャメチャ得した気分。演奏が見事に狂ってるのは知ってましたもんね。帰宅したらさすがに疲れてたのかメシ食うて10時すぎにサッサと寝る。やっぱりまだ疲れやすいかな。シャーナイな。病みあがりやもんな。
9月9日(水)
朝ラジオ2本。イチローのメジャー2000本安打と9年連続200本安打について。すべては1919年のブラックソックス事件と1920年ベーブ・ルースのヤンキース移籍とシーズン54ホーマーから始まったホームラン時代の幕開けと国際社会でのアメリカの時代の始まりの転換点。はたしてイチローはアメリカ社会に受け入れられるか?佐吉と散歩のあと連載原稿1本。昼頃ふとテレビのスイッチをひねるとNHK『みんなのうた』で『かつおぶしだよ人生は』という歌をやってた。サイコーにオモロイ!「ぴっぷや」という集団のアニメもオモロイ。『みんなのうた』のホームページに解説が出ています。http://www.nhk.or.jp/minna/new_song/new_song.html夕方NHKラジオ『私も一言夕方ニュース』に電話出演。柔道のルール変更を早大教授で全柔連専務理事の小野沢弘史さんと語り合う。日本人は国際ルールとか「世界」とか意識しすぎやで。
9月10日(木)
朝佐吉と散歩のあと木之下晃さんの新刊『石を聞く肖像』の書評原稿を『週刊朝日』に書く。原稿を書くと自分で新たに気づくことも多い。木之下さんの写真は被写体の人物がみんなイイ人に見えるなぁ。これは木之下さん自身の人柄やろなぁ。カラヤンはどんな写真やったっけ?そういや俺も撮ってもろたなぁ。ありがたいこっちゃ。久々の晩飯映画劇場は阿呆長女の買うてきたDVDケヴィン・コスナー主演『スコーピオン』原題『3000MILES TO GRACELAND』。ラスベガスでプレスリーのそっくりさんショーが行われる日に何人かのそっくりさんがプレスリーの衣裳でカジノの金庫室を襲撃。アホクサと思いながら見てたらナカナカ迫力もあって面白かった。アメリカの馬鹿さ加減が随所によう出てた。しかしコスナーは悪者には見えんなぁ。
9月11日(金)
朝佐吉と散歩のあと連載原稿1本。映画音楽原稿の校正。毎日よう仕事しとるな。あれはエエけど『スポーツジャーナルズム』の単行本の仕事そろそろ手ぇつけんとアカンな。夕方阿呆餓鬼の部屋の本棚を整理てると何故かドストエフスキー原作の漫画版『罪と罰』が出てきたので読んでしまう。手塚治虫のごく初期の作品。スピドリガイロフの描き方なんかもっと…とも思うけどサッサと概略が読めるのはエエ。ほんで餓鬼は原作を読んどるんかいな。晩飯映画劇場は宇能鴻一郎原作新藤兼人脚色田中徳三監督『鯨神』。のちにポルノグラファー名を馳せた作家の純文学芥川賞受賞作品の映画化。主演は本郷功次郎・勝新太郎・藤村志保。日本の近代化しない漁村での沿岸捕鯨の姿が面白かった。音楽は伊福部昭。ゴジラ以上にリキが入ってたみたい。
9月12日(土)
朝早よ起きて名古屋へ。東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。ビートルズのCDリニューアル新発売について訊かれて『エレノア・リグビー』(バックが弦楽四重奏)の凄さなどを話す。それに…自民党のテイタラクの話題でスポーツ団体が困ってることを話した上に2016東京五輪招致も少々苦戦…の話をする。オバマ大統領がIOC総会に出ん(夫人が出席)はシカゴ市長の側近の建設予定地買い占めや新スポーツTV局開設にIOCが怒り心頭の結果らしいけど変わってリオの株が急上昇。フランスから戦闘機大量購入でサルコジの支持も取り付けたし旧仏植民地も…おまけにリオはニューヨークと時差がなく…南米で初の五輪を同じラテン系のマドリッド(スペイン)も支持するとなると…とはいえリオは一次審査で落ちたドーハよりも評価の低かったところやでぇ。どないなっとるねん。あ。この文章のオバマ大統領が…以降は残念ながらテレビで喋れなかったことです。はたして最も信頼のある東京は選ばれるか。エコ五輪は実現するか。それともバイオ燃料か。鳩山コレカラ総理はIOC総会に出席出席するらしいけど皇太子殿下と雅子妃の出席は…。
9月12日(土)つづき
帰鎌で大船の新星堂へ。オリヴァ・ストーン監督の映画『ブッシュ』購入。ついでにビートルズのコーナーを見てると『フォー・セール』があったので思わず買う。一番好きなLPなのに何故かCDを持ってなかった。帰宅後新体操団体の音を消して見ながら『ロック・ン・ロール・ミュージック』や『ミスター・ムーンライト』や『カンサス・シティ』を聴くがなるほどイイ音になってる。ほかのもほしいな。古いCD持ってるからエエか。新体操と体操とは陸上競技と水泳以上に距離の離れた競技やな。夜鎌倉芸術館へ。木山事務所公演ノエル・カワードの『出番を待ちながら(原題はWaiting in the Wings)』見る。“Wings”という名の元女優だけの慈善ホーム(養老院)でのドラマ。Wingsは舞台袖という意味もあれば保護下にあるときにも使われる言葉。三田和代や新井純などの女優陣が熱演。さすがノエル・カワードで台詞も作劇術も超一級の喜劇。ミラノにある『カーサ・ヴェルディ』(スカラ座に出た音楽家を対象にしたヴェルディのつくった養老院)を撮ったドキュメント映画『トスカの接吻』もおんなじやな。あ。ダニエル・シュミット監督はノエル・カワードの作品を知ってたのか!
9月13日(日)
朝佐吉と散歩のあとチョイト本棚整理。もう整理する本はないな。午後から藤沢市民会館へ神奈フィル演奏会。指揮はモチロン金聖響。チャイコフスキーのP協独奏はアンナ・ヴィニツカヤ。まだまだ若いみたいやけど流石エリザベート・コンクール優勝だけあって見事。派手なパフォーマンスはないけど堅実に色気あり。聖響さんの指揮とマッチしてた。オケ対抗配置の『悲愴』も見事。泣きは入らず速いテンポで鮮やかに進むけどパセティック。3楽章と4楽章の間はノンストップで全曲の統一感もあってナルホドこういうもんがチャイコフスキーの頭に響いていたもんかと納得。藤沢在住家族で来館の講談社A氏は「これで子供はS席2千円ですよ。めっちゃ安いですよ」と興奮。神奈フィル人気は鰻登りかな。終わって聖響さん家族と鮨処『もり山』へ。ドラマ収録終わったばかりで疲れの残るmimulaさんは楽屋で話しただけで残念ながら欠席。楽しい話と旨い寿司に舌鼓。ノンアルコール・ビールでも旨いと思うようになった自分が情けない。いやマァどうでもええか。
9月14日(月)
朝佐吉と散歩のあとイチローの199本目のヒットを見て新幹線で大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演。掛布さんと一緒にイチロー9年連続200本安打の話をする。次はピート・ローズのシーズン200安打通算10回か。まぁ1本1本の迫力がないだけにアメリカ人が騒がへんのも納得できるな。オリックス時代も「あのヒットの何処がオモシロイか教えてくれ」と佐瀬稔さんなんかがむくれてた。きっとインタヴュー断られたしやろな(笑)。イチローは話を伺うだけのインタヴュアーか女性のインタヴュアーしか受け付けへんしな。ホワイティングはインタヴューできたけどあとでいろいろもめてたもんな。俺なんか日本で3年連続首位打者の頃に「まだ玉木さんのインタヴューを受けるほどの人間ではありません」と言われて断られたもんな。その言葉を伝えてくれたオリックスの広報に「慇懃無礼という言葉を教えてあげておいて下さい」と嫌味で返したもんな。いま改めて申し込んだらどないな屁理屈で断られるやろな(笑)。昔話やなぁ(爆)。
9月14日(月)つづき
司会の角さんに『タフ・アンド・クール』のCDプレゼントしたら番組のなかで紹介してくれはる。恐縮です。往きのの新幹線でようやく『物語数学の歴史』読了。やっぱり数学は何遍も読み直さな頭に入らへん部分が多い。簡単には理解でけへん。それにしてもリーマンはスゴイ。リーマン言うてもサラリーマンと違うとこがスゴイ(笑)。帰りの新幹線で『現代美術コテンパン』(晶文社セレクション)読み始める。著者は『ライト・スタッフ』などニュー・ジャーナリズムの旗手の一人トム・ウルフ。1975年(日本版は84年)出版のチョット古い本。オモロイとこも多いけど文章がわかりづらい。原文がそうらしいけどコレはジャーナリストの書く文章やないで。アメリカのニュー・ジャーナリストはこういうもんか。ゲイ・タリーズは素直な英語やからウルフの特徴やろな。帰宅後晩飯映画劇場は『ブッシュ』。さすがオリヴァ・ストーンだけあって面白かった。しかし如何せんブッシュ・ジュニアは小物やで。こんな阿呆ファザコン坊ちゃんを選んでしもたアメリカ人にも唖然とするけど麻垣康三の日本も一緒やな。あ。垣はまだわからんけどプレスリーの話して「優しく撫でてrub me tender」と歌って悦に入ってた日本の元首相も度し難いなぁ(出典・森巣博『越境者的ニッポン』講談社現代新書)。メイキング・ビデオのなかに『民衆のアメリカ史』『テロリズムと戦争』『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史』など著者ハワード・ジンが登場していたのには感激。
9月15日(火)
朝佐吉と散歩。午後から参院議員会館へ。民主党政調副会長の鈴木寛さんと元Jリーガー参院議員の友近聡朗さんにインタヴュー。民主党のスポーツ政策について。そうか。自民党的スポーツ団体の長による予算分捕り合戦はなくなるんか。すべては国民の「スポーツ権」を守り発展させるとこから始まるんやな。ホナ当然マスメディアの利害と国民のスポーツ権はぶつかるわな。オモロなってきたな。このインタヴュー記事は10月中旬発売の『論スポ』に掲載されます。東京五輪招致の裏話は残念ながらオフレコです(笑)。帰宅後晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演の『スペース・カウボーイ』。老人に優しい映画。イーストウッドは漫画みたいなストーリーでもヒューマンな魅力にあふれた作品に仕上げる。楽しめる優秀商業作品です。BOSSの宇宙人も出てます(笑)。
9月16日(水)
朝ラジオ2本。文化放送は吉田照美サンが海外に逃亡(笑)。かわって上杉隆さん。ちょうどテーマは民主党のスポーツ政策。昨日の鈴寛友近インタヴューをもとに喋ったけど上杉さんのカテゴリー拡大のためには新体操かなんかのほうがよかったかな(笑)。昼過ぎに古本屋さんが来るので整理した本を2階から1階に降ろす。モノスゴイ量。思ったほどの値は付かなかったが(去年に続いて同じ古本屋さんだから?)気分的にはスッとする。古本屋さんの相手しながら首班指名の歴史的国会にも注目。夕方駅前まで散歩。久しぶりに逢った近所の猛虎ファンの弁護士さんから「凄いダイエットですね。どうされたんですか?」と訊かれたので「はぁ脳出血で」と答える。嘘やないけど冗談半分で答えられるようになったのが嬉しい。駅のディスクショップで注文しといたDVD買うて帰る。帰宅して風呂の前に体重を測ると87.4s。別に無理してるわけではないけど暴飲暴食忌避酒量激減無煙数ヶ月毎朝唖鈴体操でこんなもんになるんや。元々減らせる量が多かったからな。あと3s弱。ぼちぼちやるか。
9月16日(水)つづき
晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演『グラントリノ』。かつて朝鮮戦争を経験しフォードに勤めていたエンジニア。息子はトヨタのセールスマン。夫人に先立たれて持病も持ち血痰に悩まされてる頑固老人が隣人の東洋人家族と懇意になり胸襟を開きはじめる。ところが街の親戚東洋人チンピラどもにいじめられていたその家の息子を「アメリカ式」に助けたことからとんでもないことになり頑固老人はたった一人で「リベンジ」に行く。素晴らしい映画!みんなに持てほしい映画。9.11の直後に「やられたらやり返さなきゃ!」と真っ赤な顔で興奮してたアメリカ人のM・Kにも見てほしい。『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『ダーティ・ハリー』は『許されざる者』『マディソン郡の橋』『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』『チェンジリング』を経てここまで辿り着いたか…。アメリカという国にも未来はあるなぁ。少なくとも無責任に「未来は明るい」と言ってのけた前首相より信頼できる。あ。『ミリオンダラー・ベイビー』をまだ見てへんがな。
9月16日(水)つづき
イーストウッドの見事な映画を見たあとテレビで夜遅くまで閣僚記者会見。皆官僚の書いたメモと違て自分の言葉で喋ってるな。やっとマトモで当たり前になってきたな。メディア常連人物の中には二大政党制が機能するためにも自民党に立ち直ってほしいという人がいるけどソレは違うのでは?民主党が肥大化したあと分裂する(民主と共和に?)。それが55年体制解体のための道筋として当然やろ。社会党もあないになってるんやから自民党もいっぺん解体せんとアカンで。それにしても議場の端に座った総理経験者たちの姿は不様なまでに見苦しいな。明らかに引退すべきやな。自民党(新政党?)のためにも。
9月17日(木)
コレを書いてるのは土曜日。2日前に何をやっていたか思い出せない。思い出すには最近見たノエル・カワードの芝居とクリント・イーストウッドの映画に共通していた次の台詞。「歳をとると何年も前の昔のことははっきりと憶えてるのに今朝の朝食のメニューが思い出せない」まぁそんなもんやろ。忘れたことはつまらないこと。無理に思い出す必要はない。これまでインタヴューもその方針でテレコもまわさずメモも取らずにやってきたもんな。さすがに最近はアカンけど。晩飯映画劇場は憶えてる。ロバート・アルドリッチ監督リー・マーヴィン主演『特攻大作戦』。他にチャールズ・ブロンソンやドナルド・サザーランドやテリー・サバラスやロバート・ライアンなどスター総出演史実に基づかない戦争映画。それだけに破天荒な物語はオモシロイが最後が少々シラケル。後味悪いな。というわけで早く寝た…と思う。
9月18日(金)
朝佐吉と散歩。いろいろメモを整理して湘南電車で渋谷へ。タワーレコードにチョイト用があって寄ったあとNHKへ。タワーレコードでは特に買うつもりはなかったのにズラリと並んだビートルズの新ヴァージョンを見てこの前買うた『フォー・セール』に続いて『ラバー・ソウル』と『マジカル・ミステリー・ツアー』を買うてしまう。モウこれでエエやろ。あとはLPやなくCDで持っとるもんな。あ。『ホワイト・アルバム』が紛失しとるんやった。どないしょ…またコンド。NHKで関東甲信越番組審議会出席。あとの簡単な懇親会でビール飲みながら東京五輪招致の話。そうか。東京が決まったらIOCは放映権をまたふっかけてきよるんやろな。そのあと丸の内の丸ビルへ。小生がナンデか知らんけど『万年筆ベストコーディネイト賞2009』とかいうアワードの一人に選ばれてそのうち合わせ。今までに中尾彬サン安藤忠夫サン田中優子サン中沢新一サン太田光サン猪瀬直樹サン麻木久仁子サンなんかが受賞してて受賞者が翌年の受賞者を選ぶ部門があるから詳しく受賞者を書くとナンデ俺に賞が回ってきたのかわかるから書かへんけど(笑)有り難いもんです。受賞なんて小6の健康優良児以来かな(笑)。いやモウ10年以上前に長女の夏休み宿題代わりにチョイト手伝うたって神奈川県知事賞もろてきよったな。あの賞はオレのもんやでェ(爆)。
9月18日(金)つづき
書き忘れてたことですが渋谷から丸の内へ行くNHKの用意してくれたハイヤーのなかのテレビで久しぶりに大相撲を見たら白鵬が完敗。それは翔天狼の必死の攻めをほめればエエだけのことやけどアノ朝青龍の懸賞金を手にするときの手刀はいったいナンヤ!?あれでも手刀か!?あんな形が許されるのか!?親方衆はナンデ注意せえへえんのや!?朝青龍は土俵入りも腰がぷかぷか動いて汚い。美しさのある型破りは許されても汚い型無しは許されないはず。相撲も汚いしナンデあんな横綱にファンがおるんやろ!?親しい人物なら注意すべきやで。イヤその前に親方がナントカせんかい。
9月19日(土)
佐吉と散歩のあと本棚最終整理。本棚はほぼ完了したけどCDがまだやな…と思いながら燻銀週刊初日であることに気づき仕事はやる気が出ず安売りで買ってきたDVDを昼間から見る。ジーン・ハックマンとアル・パチーノの名作『スケア・クロウ』。隅から隅まで知ってるつもりでいたけどやっぱりエエ映画。とはいえ現代にコノ男の身勝手が通用するか?身勝手だけど純粋な男の寂しさを認めてもらえるか?『明日に向かって撃て』も『真夜中のカウボーイ』も一緒やな。クリント・イーストウッドは今その「落とし前」をつける映画を作り続けてるようにも思える。夜知人が応援してる鎌倉市長選の総決起集会とかいう会合に顔を出す。松下政経塾上がりの一見純粋無垢な政治家志望の若者たちのエネルギーに気圧される。オレにも友人のSにも政治家は無理やな。阿呆に振る舞えへんもんな。けどこの若者たちの参謀をしてる老人は流石やで(笑)。
9月20日(日)
朝佐吉と散歩のあと民主党・緑風会の鈴木寛・友近俊郎両氏へのインタヴュー原稿まとめる。もう少しページがほしいな。けど「新しいスポーツに対する考え方」が少しでも伝わればエエか。『ナンバー』も事大主義的タイトルに自己陶酔してんと新しい世の中の変化をスポーツの変化としてとらえる企画でもやらんかいな。少なくとも日本では何故か権威あるスポーツ誌になってしもたんやからな。あ。鈴寛氏は文科副大臣就任や。おもろなってきたで。晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演『ミリオンダラー・ベイビー』。なるほど。涙が出ないくらい凄い映画です。この映画が公開された頃に見たある若者がワケのわからない感動押し売りのような映画といってましたがこの映画を理解するには見るほうの年の功も必要でしょうね。辻褄の合わない部分があっても素晴らしい映画です。そんな瑕瑾はどうでもエエことです。人生なんて辻褄の合わないもんですからね。
9月21日(月)
昨晩深夜トイレに立ったあとベッドに戻ると天井と窓がビックリハウスのようにぐるぐる回り始める。何だこりゃと思いながら眠る。朝起きるとまたビックリハウス。フラフラしながら起きて階下に行き水を飲むが気持ちが悪い。椅子に座って血圧を測る。そう高くない。薬を飲むが胸がむかむか吐き気がして水とともに吐き出す。ヤバイなぁと思いながら女房に脳出血した4月に運び込まれたERに電話してもらいタクシーで駆けつける。受付で看護師さんに血圧計ってもらうが正常。「低気圧のときは目眩を起こされる患者さんが多いですね。今日も3人ほど来られてるかな」ヘエエ〜…と思いながらCTスキャンで脳検査されたあとイロイロ検診を受ける。結果脳に異常なし。ホッ。平衡感覚を掌る耳の三半規管か耳石の異常でよくあることらしい。ビックリハウス状態が再び訪れたときは安静にするのではなく頭を振ってみて耳石を慣らせば普通の状態になるとか。ふ〜ん。とにかくよかった。ホッとした。とにかく疲れたので夕方から熟睡。夜NHK白洲次郎のドラマを見てまた熟睡。よかったよかった。今まで馬鹿みたいに無病頑健やった身体が少しは普通の人の状態になったらしい。ZZZZZ。
9月22日(火)
朝佐吉と散歩&ダンベル体操&スクワット。身体に異常なし。体重はなんと86キロ台。病気騒動はダイエットに極めて有効のようである。昨日書く予定でいた『論スポ』の野球原稿を書く。編集者サン遅れてスンマセン。夜朋友のSと『鮨処もり山』へ。キリンの『フリー』を置いてくれるようになったのが嬉しい。酒を飲めない者にとっては(笑)。小生の大病回復後坂井保之氏と初の会食。話題は民主政権誕生から『1Q84』まで。「ありゃ単なるエンターテインメントだね。哲学がないね。小説に哲学がなきゃいかんとはいわんけどコレで村上春樹のノーベル文学賞はなくなったね」まったく同感です。「それにしても日本にはトルストイやドストエフスキー級の小説家がいないし作品もないね」「谷崎はどうです?」「う〜ん…耽美派か。ちょっと世界が小さいやな。漱石も康成も三島も…」「その小さな世界が日本なんですかね…」「かもしれん」政治の話も野球の話も面白いけど坂井さんとはブンガクの話も面白い。帰宅後NHK『白洲次郎』第2回。2回までは前にも見たがチョット恰好良すぎるかな。
9月23日(水)
朝佐吉と散歩…もうエエか…のあとラジオ2本。スポーツ選手のretirement(引退)とadjustment(スポーツ人生の精算と新生活への適応)の話。その後徹底的にCD棚の整理。1Fリヴィングルームに置いていたマリア・カラス全作品を2Fに移してピアノ曲はピアノの上の棚ジャズと歌謡曲は長男の空き部屋へ大移動。あ〜シンド。夜までかかる。晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演『トゥルー・クライム』ダーティ・ハリーの新聞記者版。死刑執行直前の無実の黒人男性を無頼の記者が女房との離婚騒動を起こしながら救う。ほぼたった1日の出来事。見事なハリウッド商業映画。夜『白洲次郎』最終回。ホモの話は出てこんかったな。当たり前か(笑)。中谷美紀の白洲正子が見事。さすがは嫌われ松子。
9月24日(木)
シルヴァ・ウィーク終わって世の中正常に戻る。何が正常で何が異常かは不明のまま(笑)。このまま巨人優勝3連覇にまったく触れない日記というのも乙なものですな(爆)。しかし貯金40以上か…。昔V9時代の名ヘッドコーチ牧野茂氏から「貯金20を超したらノーサイン。自由にやらせた」という話を聞いたことがあった。自由の2倍って何やろ?昨日に引き続きCD棚の整理。汗まみれで完成!ヤッホー!晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演チャーリー・シーン共演『ザ・ルーキー』。カー・チェイス有りクルマ(メカ)マニア有り格闘技有りセックス・シーン有り爆破脱出シーン有り純愛有りのてんこ盛り。西部警察ハリウッド豪華版。ダーティ・ハリーからこういう映画を経てイーストウッドは成長したんやな。
9月25日(金)
朝原稿1本。『HITOIKI』連載コラム1年12回の最終回を書く。連載が終わるのは少々寂しい。昼から不要の本を数冊手にして新規古本屋開拓。新しい店が家電量販店のビル内にできたらしいので偵察(笑)。女性店員が小生の持って行った古本を値踏み。本の価値は無視して元の値段と汚れ具合で判断されたのは明白。まぁエエけどね。店内を見渡して池田晶子X陸田真志『死と生きる・獄中哲学対話』新潮社787円(正価は1500円)で購入。池田晶子さんの本は全読破につもりがコレはチョット敬遠してた。作者が2人とも亡くなった今読んでみるか。島森書店に寄って保阪正康『昭和史の大河を往く第八集本土決戦幻想コロネット作戦編』毎日新聞社購入。さらに渡辺京二『逝きし世の面影』平凡社ライブラリー購入。これは帯に推薦文を書いてるくせにスグに誰かにプレゼントしてしまうため自宅からいつもなくなる本。素晴らしい本なので持っていたい。うわっ。文庫版のくせに1900円!高!しかも4年間で19刷!本が売れるのはめでたいコッチャ。晩飯映画劇場は『マディソン郡の橋』。クリント・イーストウッドを連続してみてるため避けられない作品としてキチンと見直したがビミョー。メリル・ストリープの演技力は認める。60年代の時代背景もアイオワの特異性も理解したうえで甘すぎる作品。男の純情をどこまで信用できる?イーストウッドはマジメやなぁ。『マディソン郡のドブ』というパロディが生まれた理由も理解できる。
9月26日(土)
朝佐吉と散歩他。この2〜3日東京五輪招致2016の情報がいろいろ舞い込む。相当苦戦のよう。世界の動き(南米新興国の台頭とバイオ燃料)と国内の動き(鳩山外交人気と民主党スポーツ政策)と日本のスポーツ界のフットワークの鈍さ(いつまでも森・麻生体制!)と東京五輪計画(石原都知事主導)は乖離してるもんなぁ…。午後から中日新聞の取材を受ける。テーマは来月から始まる名古屋でのクラシック音楽講座にについて。話はアッチコッチに飛んで澁澤龍彦氏の話題になったので龍子さんに電話して記者と一緒に即訪問。龍子さんは最近ミラノ・スカラ座の『ドン・カルロ』に痛く感激されたとか。話盛りあがる。こういう予定外のコトが起こる(起こす)生活がこれからのテーマやな。久しぶりの澁澤邸に大満足。お土産に『トスカの接吻』のビデオと『古仏巡礼』をプレゼント。予定調和拒否の毎日はどこまで可能か…。無理やろなぁ。
9月27日(日)
渋谷へ。青山にあるスポーツワークス主催のプロスポーツ・マネジメント講座で講演。というか主宰者の小島克典氏や主任研究員の増田元長氏とトーク。民主党政権のスポーツに対する考え方と基本的人権としての「スポーツ権」について語る。そういや小生が「(国民の)スポーツ権」という考え方を初めて知ったのは多田道太郎氏の著作で梅原猛氏や梅棹忠夫氏との野球をテーマにした古い対談本だった。その本は15年ほど前に他のスポーツ本と一緒に段ボール10箱ぐらいにして某スポーツライターにプレゼントしたが読みよったやろか?読んどらへんやろなぁ…その後の雑な仕事ぶりを見聞きするにつけ…。
9月27日(日)つづき
午後からサントリーホールへ。東芝フィルハーモニーのコンサート。演目はオネゲル『パシフィック231』ラフマニノフ『P協』チャイコフスキー『5番』。協奏曲は独奏者もオケも互いに遠慮してか面白なかったけどチャイコは大熱演。ホルンもクラリネットも独奏見事。こういうチョット聴いてる者が気恥ずかしくなるくらい表面的にドラマチックな音楽はアマチュアに向いてるというのは新発見でした。もう一つ新発見はオケに男性の多いこと。最近の日本のプロのオケは女性ばっか。とりわけヴァイオリン・フルート等は女の苑。ところが東芝社員のオケは弦楽器も木管も男性天国。やっぱり男は音楽で身を立てるヤクザな稼業には飛び込みにくいのかな。帰宅して大相撲。実力伯仲の2力士が同じ相手に連勝するのは難しい。しかし朝青龍に対して相撲協会幹部はナンデ注意を与えへんのかな。どうせプロレスに行く力士やからと思てるんやろか。晩飯映画劇場はセルジオ・レオーネ監督クリント・イーストウッド主演というよりリー・ヴァン・クリーフ主演エンニオ・モリコーネ音楽『夕陽のガンマン』。昔中学時代に京都美松名画座で見て興奮した憶えがある。今回は興奮せず。上映時間が30分は軽くカットできると思いながら見る。まぁカットしたらマカロニ・ウェスタンの魅力がなくなるんやろけど…アメリカではスパゲッティ・ウェスタンと呼ばれたらしい。日本人は中心空洞が好きなんかな(笑)。
9月28日(月)
avexから金聖響指揮OEK(オーケストラ・アンサンブル金沢)の『ブラームス交響曲全集』が送られてくる。第4番が発売されてようやく完成。この第4番の演奏がなかなかにオモシロイ。とりわけ第3〜4楽章は冷静にコントロールされたなかにもチョット狂気走ってる。1〜4番を順に聴くのも面白い。小編成対面配置のオケによるブラームスの4曲で一つの作品として聴ける。そういやOEKにとってもこれが初のブラームス(ロマン派)演奏やったとか。聖響さんとOEKに次はシェーンベルクの『浄められた夜』かスクリャビンの『法悦の詩』くらい録音してほしいなぁ。
9月28日(月)つづき
仕事しなあかんのやけどドーモ調子が出ず村上陽一郎『科学の現在を問う』読了。そうか。日本は理学系よりも工学系が優勢なんか。これは世界でも珍しいらしい。続けて栗田伸子・佐藤育子『興亡の世界史03通商国家カルタゴ』(講談社)読み出す。このシリーズは久しぶり。そうか。紀元前10数世紀から続く旧約の世界も凄いもんやなぁ。晩飯は『213』で。酒のあまり飲めなくなった小生のために(べつに小生のためだけではないと思うけど)キリンの『フリー』を置いてくれるようになる。しかもこれに秘密のエキスを加えてアルコール分ゼロ・カロリーゼロのままさらに味わいをビール的にしたオリジナル。さすがテクニカル・バーテンのクロちゃんの秘技であります。これ飲んでるとビールはモウいらんなぁ。
9月29日(火)
朝チョイト仕事のあと西新宿へ。東京中野ロータリークラブの昼食会で「卓話」と称するミニ講演。テーマは今週末の2016東京五輪招致について。終わって都庁に寄ってみたが五輪招致グッズはポロシャツとキイホルダーだけでバッジやTシャツやファイルやビスケットはなくなってた。ええタイミングで完売やな。何らかの理由で価値が出ると思た人が買い占めたかな(笑)。渋谷のタワーレコードに寄ったらエレベーターのなかで見知らぬ白髪の老人に「タマキさんでしょ」と声をかけられる。「私もタマキと言いまして音楽の本を書いてます。ラジオで貴方が喋ってると声が変わったのかとよく友人に言われるんですよ」何と答えていいのかわからず「ハア…」とだけ返事。そういえば今日の昼食会で同席した弁護士さんもタマキ。先週まで
続いたNHK朝の連ドラやらノダメに出てた役者やら歌手やら最近はやたらとタマキが多い。俺が初めて本を出版したときは玉置宏さんくらいしかおらんかったのになんでやねん。帰宅して晩飯映画劇場は『ダーティ・ハリー』と同じコンビのクリント・イーストウッド主演ドナルド・シーゲル監督『白い肌の異常な夜』。南北戦争当時アメリカ南部の女子学校に迷い込んだ北軍傷痍軍人のサスペンス・ミステリー。面白かった。ナカナカの映像。女は怖い。『蝿男』をハリウッド版カフカと評した人がいたけどコレはハリウッド版女の苑。シーゲル監督はベット・ミドラー主演『ジンクス』のように時々驚くほどの失敗作を撮るがコレは台詞が多いのはハリウッド商業映画やから仕方ないとして映像もストーリーも大成功です。
9月30日(水)
朝ラジオ2本。東京の五輪招致について。相当危うくなってきたなぁ。開催計画は良うても東京は(というより日本は)スポーツ・コンシャスな街と言えへんことがココへ来てクローズアップされてきたなぁ。東京ヴェルディの消滅の危機と東京五輪招致を結びつけて語る人はおらんもんな。リオを犯罪が多い街やと非難でけへんで。そんなこと言うたら東京はスポーツクラブの存在しない街と言い返されて仕舞いやで。昼間ヨーロッパから情報集め。いいニュースはないなあ。鳩山夫妻はIOC総会の開会式には間に合わへんのか。森喜朗前首相が体協会長兼ラグビー協会会長として出席するとか。英語か仏語の喋れへん人にロビイ活動ができるのか?晩飯映画劇場は『ダーティ・ハリー』。こうなったらクリント・イーストウッド全篇制覇やで。
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