ナンヤラカンヤラ
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タマキのナンヤラカンヤラ バックナンバー 2023年10月
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12月1日(金)
『世界思想49号民主主義』読み続ける。オモシロイ。気候変動の地球的危機を避ける手段として《民主主義の力で権力者に私たちの声を届け無視できないようにする》と言ったグレタ・トゥーンベリさんの「民主主義の使い方」は正しく有効ですね。しかし日本は《戦後の高度成長期から築き上げられた政治経済システムの上で恩恵を受けた立場の人たちが決定権を持ち現状の制度や仕組みを頑強に守っている》そんな日本で「民主主義の力」は発揮できるのか?そう言えば500日後に迫った関西万博を最近マスメディアも問題視するようになったが経費の話ばかりで「世界最大級の木造建築」の大量の材木使用の話は聞かれない。熱帯雨林の伐採と関係はないのかな?「子供の民主主義」の話題も面白かった。子供たちが遊ぶとき《サッカーのポジションや漫画の回し読みの順番を決める》のが「じゃんけん民主主義」。私の子供の頃も草野球の打順や守備位置をすべて「じゃんけん」で決めてました。じゃんけんは「力」に関係なく誰にも平等に「運」で決まるシステムでナルホド「民主的」ですね。《アリストテレスの『政治学』には選挙ではなく抽選こそが民主主義の手法であると書かれており近年は「くじ引き民主主義をめぐる議論が盛んに行われている》という。《選挙では社会的なエリートが当選しやすいのに対して抽選では誰にでも平等に代表者になるチャンスがありマイノリティの代表者を確保する観点からも格好の仕組みであろう》というのだ。ナルホド。二世議員賛成議員の大量発生しているドコゾの国の国会議員も選挙の一部を廃止して抽選民主主義を採用するのもイイかもしれませんね。抽選ならナチスも政権を取れませんからね。実際古代アテネでは公務は地域ごとに抽選で指名された市民が担っていたと塩野七生さんの『ギリシア人の物語』に書いてありましたからね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。夕方からは『ニューズ・オプエド』リモート出演『ニューズ・オプエド』のゲストはスポーツライターの小林信也さんと五輪アナリストの春日良一さん。特集テーマは「ウクライナ・パレスチナ戦争と東京五輪招致新疑惑から改めてオリンピックを考える」その話題に関する春日さんの話もメッチャ面白かったけど日大歴代理事長とスポーツ界との関わりの話も最高に面白かった。近々YuTubeで公開されるので是非とも見てください。春日さんはまだウクライナ冬季五輪開催をあきらめてないようです。オリンピックの朝鮮半島南北共同開催やエルサレム開催はいつになるか?『オプエド』のあと『チコちゃん』見ながら晩飯。NHK-BS再編記念長時間生放送らしいけど最近鼻につく番宣臭が一段と際チコちゃんも寿命?チコちゃんも寿命?

12月2日(土)
世界思想社の『世界思想49特集・民主主義』読了。非常に勉強になりました。現状の経済社会を《これはもはや資本主義ではない。もっと悪い何かなのだ》と捉えて《従来の「資本主義」と「民主主義」というカップルに代わり新たに結ばれた「プラットフォーム資本主義」と「ネオ封建主義」というカップルの姿》の解説は恐ろしくも興味深いモノでした。《Amazonのようにパンデミック以後収益を激増させたデジタル・プラットフォームは離れた安全な場所にいる顧客(ユーザー)には利便性を…配達などのエッセンシャル・ワークに従事する労働者(その多くは不安定な雇用形態で働く「ギグワーカー(ネットで働く個人事業主)」である)には危険性を…最上流の人々(エリート)には財力・金融能力の強化をもたらしてきた》ナルホド。《そのためGoogle・Amazon・Meta(Facebook)・Uberのように多くのユーザーを引き寄せ媒介するのに成功しているプラットフォームには独占へと向かう傾向がそのDNAに埋め込まれているわけである》すなわち《階層化や独占化ひとことで言えばネオ封建主義へと向かう傾向が備わっている》わけで《ネオリベラリズムは労働者階級の敗北の時代でありネオ封建主義はその敗北がもたらした一つの重大な帰結にほかならない》ならばどーすればいいのか?《ユーザー(組合員)の民主的ガバナンスに基づく「プラットフォーム協同組合」》など《平等かつ普遍的な参加と集合的な自己統治からなる真の民主主義の構成は〈共=コモン〉を基盤としたこれまでとは別のプラットフォームの構築と手をたずさえて進まなければならない》ということになるらしい。「デジタル・コミュニズム(コンミューン・イズム)革命」が必要ということなんでしょう…かな?ヤヤコシイ世の中になってきましたなぁ。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。ワンとなく犬は知らない資本主義デジタル社会は封建制へ逆戻り。字余り。オソマツ。ワン。チョイと仕事のあと昼間は東京ヴェルディvs清水エスパルスのJ1昇格合戦を見る。PKでほぼ掌中にしたJ1昇格をエスパルスは試合終了ぎりぎりでヴェルディにPKを与えて逃してしまいましたね。スリリングな試合…と言えるかも…でもチョイと試合内容のレベルは低かったですね。晩飯は近々フランスへ1か月ほど帰国されるお隣さんと一緒に『鮨処もり山』へ。久し振りのお寿司とお酒を美味しくいただきワイワイと楽しひとときでした。

BOOK
『世界思想2023年春50号特集歴史』世界思想社
『世界思想2023年春50号特集歴史』世界思想社
メッチャメッチャ勉強になりました

12月3日(日)
京都にある世界思想社が毎年1冊出版している雑誌『世界思想』から昨日読了した『49号民主主義』に続いて『50号歴史』を読み始める。ノンフィクション作家の堀川恵子×京大人文研准教授藤原辰史の両氏による「歴史の地層を掘る−聴くことと書くこと」と題した対談が興味深かった。『原爆慰霊塔 忘れられた遺骨の70年』(文春文庫)や『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(講談社)などの著作のある堀川氏が「熱いと聞いて何度を想像しますか」と訊く。「100度ですかね」と堀川氏。小生もそう思う。しかし「あの時(原爆投下後)は地表の温度が3000度から4000度です。それを「熱い」と表現できるかと私はいつも怖くなるのです(略)医学的に人間が「痛い」と感じる痛点の深度を測ったものによると皮膚の真皮層が焼かれる痛みがいちばん耐え難いらしいです。原爆はそこをやっているわけです。みんな肌は焼け落ちてずる剥けのべろべろ。その痛みをどうやって書けと。書けないですよね」と堀川氏。彼女の本を『永山則夫 封印された鑑定記録』(講談社文庫)も含めて全部読まねば。藤原氏の『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)も『ナチスのキッチン』(水声社)もタイトルだけで是非とも読みたくなりました。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のルーティン。黒兵衛は12歳(犬の年齢早見表での人間年齢は89歳)のくせにメッチャ元気。負けないようにしないと。ワン。いろいろ雑務処理のあと午後からはJリーグ札幌vs浦和で小野伸二の引退試合を見る。最後の挨拶まで放送してほしかったなぁ。まぁYuTubeで見るからイイか。晩飯は『ダーウィンが来た』を見ながら。ファーブルをテーマに昆虫の話は先週の雑草の話とともに面白かっ。。風呂のあと酒を呑みながら反田恭平指揮JNO(JapanNtionalOrchestra)の東大寺でのコンサート。土砂降りの中での演奏だったけどブラームスの『交響曲第1番』の背後で大きな大仏さんが見守っていたのはナカナカの迫力で素晴らしかったですね。

12月4日(月)
『世界思想50号歴史』読み続ける。オモシロイ。特に「歴史科学としての地球科学」や「一握の土」と題して「土」に注目した「歴史」など理系から語られる歴史がオモシロイ。《地球史46億年・人類史700万年・日本史1万年において生命の躍動ほど注目されてこなかったのが「土」だ》と書き始められ《宇宙塵を集めた惑星から地球》が生まれてイロイロあって《最初はミミズやヤツデなど脚(ミミズは剛毛)の多い地中の土壌生物が登場し次に乾燥に強い6本脚の昆虫が地上で繁栄した。一方4本脚の両生類の上陸後より乾燥に強い2本脚の鳥類やヒトも登場した。「土」踏まずの存在が直立2足歩行を可能にした》こんなオモシロイ「歴史」の書かれ方を読んだのは初めて。そして微生物によって創られた「土」を選び「土」を改良して多くの作物(食物)を獲得して人口を増やしたヒトの歴史が書かれたあとの現代《土壌劣化と肥沃な土地の減少に悩む人類は現在に至るまで土を思い通りに制御するマニュアルも土を作るレシピも持たない。土作りの全てを植物と微生物に依存している状態は5億年変わっていない》だから《土壌動物の持続的なライフスタイルや知性に学び世界人口の扶養と持続的な土壌利用を実現する新たな歴史を作っていくことが今人類に求められている》という。初めて読む「土と地球と人類の歴史」に驚嘆。藤井一至という筆者は森林総合研究所の主任研究員という肩書きで土壌学・生態学を研究している人らしい。世界はいろんな見方があるものですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。最近黒兵衛がよく「土」を食べるのが気になっていたが…藤井先生に訊けば理由を教えてもらえるかな?ワン。終日デスクワークは『週刊エコノミスト』から依頼されたパリ五輪に関する原稿書き。晩飯頃までかかって『平和の祭典の真価が問われる大会/原点回帰へ理想論を愚直に掲げよ』と題した原稿を書く。オリンピックとはメダル争いなどではなく「平和運動」ですからね。サケ&メシで早々とベッドへ。あ。原稿書きに疲れて吉本新喜劇を見忘れる。アッチャー!(>_<)

12月5日(火)
『世界思想50号歴史』には斎藤幸平氏の特別講義も入っていた。言わずと知れた『人新世の「資本論」』(集英社新書)の著者。こんな素晴らしいベストセラーがあるのに日本の社会がいっこうに良くならないのは何故?政治が悪いのか?政治家が本を読まないのか?「新しい資本主義」なんて言ってる政治家やその会議のメンバーは彼の本を読んでないのかな?《そもそも資本主義は私たちがもともと持っていた共有財産を解体し独占し人工的な希少性を生み出して商品化を行い貨幣を増やしていく。こうしたやり方が資本主義の根幹にある以上いくらいろいろなものが作られるようになったとしても全てに値札が貼られておりそれを買うために私たちはたくさん働いて必死に競争する。そういう悪循環を続けなければいけない限り本当の意味で豊かになることはできないのではないかということをマルクスも考えていたと思います》大拍手を送りたい意見だが筆者はマルクスを引き合いに出さなくても自分の考えとして表明していいのでは?ルイス・キャロルは「同じこと」を『不思議の国アリス』や『鏡の国のアリス』でマルクスの考えだとの断りなどなく書いてますから。「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」というピカソの言葉は学者には当てはまらないのかな?『世界思想』に書かれた「歴史」は沖縄の戦争体験の聞き書きの記述(岸雅彦「足首をつかむ指」)などすべてが勉強になりました。こんな素晴らしい雑誌から「スポーツ論」の執筆を依頼されたのはビビるなぁ(>_<)ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。終日デスクワークは昨日書いた「オリンピックは平和運動」の校正や本HPの原稿作りや明日のラジオの下調べ(かつて綱引きは五輪競技だったという話)などイロイロ。あ。今朝の東京新聞「こちら特報部」には日大アメフット部「事件」に関する小生のコメントが出ていました。「大学生の本分は勉強すること」「スポーツよりも大事なのは勉強」「スポーツ推薦入学なんか止めてしまえ!」「学生はもっと発言せよ!」「部活動も学生が自主管理しろ!」といった電話で喋った内容が少々柔らかくなって載りました。まぁ大学にほとんど行ってない人間の意見としては柔らかいほうがイイでしょうね(^_^)

Blu-ray
『日本沈没』
『日本沈没』
この原作者が1970年万博のプロデューサーの一人でした。こんな人が日本にいなくなった金儲けだけの現在の万博は(五輪も)無理ですね

12月6日(水)
『世界思想50号歴史』(世界思想社)読了。このような雑誌を『民主主義』の特集に次いで2冊続けて読破したのは初めてですね。もちろん読み出したら興味深くて止められなくなったからですが他の『日本の将来』『人口問題』『人工知能』『共生』…などの特集号も読んでみようかな?『歴史』の朝鮮戦争の記述なんか目から鱗がバリバリ落ちましたからね。ワン。黒兵衛の散歩は後回しにしてRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。今日のテーマは大谷や日大ではなくて先週チョイと話してスタジオのみんなに驚かれた綱引きの話。綱引きはオリンピックの1900年第2回パリ大会から1920年第7回大会アントワープ大会まで正式競技だったのですね。ところが第4回ロンドン大会でイギリスの選手がスパイクを使用したことにアメリカが猛抗議。騒動は陸上競技でアメリカ選手がイギリス選手の走路妨害をするにまで発展。そこで各国選手団を集めてミサが行われて司教が「オリンピックは勝つことより参加することに意義がある」と説教。この言葉に感激したクーベルタンが宴席で披露したのが広まったのですね。「参加することに意義…」とは元々は綱引きから生じた言葉だったんですね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。終日デスクワークは共同通信から書評を依頼された森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)を読み始める。昼飯時にNHK-BSで映画『カモメ食堂』をやっていた。以前見てイイ映画だと思いましたがコノゆったりしたテンポに小生はついて行けません。北欧でおにぎりを流行らせるアイデアは今は事実になってますから先見の明は凄いですけど小生は昨日放送された『日本沈没』のほうが好きですね。原作者の小松左京氏は堺屋太一氏と一緒にプロデューサーとして1970年の大阪万博に関わった人物ですよね。岡本太郎氏の太陽の塔は今も残ってますね。現在進行中の関西万博のプロデューサーや木造大屋根の設計者は誰なのでしょう?「アレは俺が作ったんだ!と言う人が多いほど素晴らしい」とは建築家・安藤忠雄氏の言葉ですが「関西万博は俺が…」手を上げる人は何人くらいいるのでしょうね?

BOOK
森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と戦うということ』講談社
森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と戦うということ』講談社
素晴らしいドキュメンタリー。人生のなかにボクシングがあるのでなくリングの上に人生がある!
【12/7-9,11】

12月7日(木)
森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)読み始める。これは書評執筆の依頼を受けた本なのでベッドのなかでも赤青のボールペンや付箋を用意して気合いを入れて読む。井上尚弥という怪物の周辺(闘って負けた人物)を取材して書かれた本で言わばドーナツの周囲のカタチを浮き彫りにして真ん中にあるドーナツの穴のカタチを探ろうという試みですね。あるいは太陽の周囲を巡った惑星を詳しく調べて太陽(怪物)の強さ(重力)を計る試み…なんでしょうけどドーナツは穴より(当然)周囲のパンのほうが美味しいわけで…惑星が太陽よりも面白くないということもないわけですよね。というわけで…なかなか面白い本ですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。チョイと風邪気味で黒兵衛に引っ張られると脚がもつれる。スクワットと筋トレのやりすぎかな?ワン。終日井上尚弥の本を読み通す。途中『週刊エコノミスト』のパリ五輪の原稿や年末の『ベートーヴェン連続演奏会』のベートーヴェンは凄い!の原稿の校正なども。根を詰めて終日(8時間も)連続して本を読むと結構疲れますね。小生は肩こりの自覚がない人間ですが凝ってるのかなあ?晩飯のあと風呂入ってそそくさとベッドへ。

12月8日(金)
『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』読み進む。面白い。という以上に素晴らしい!従来のスポーツ・ノンフィクションは人間ドラマに足を踏み入れるあまりスポーツから離れることが多かったがコノ著者はきちんとスポーツ(ボクシング)に両足を付けた立場でアスリート(ボクサー)としての素晴らしさを描いている。つまり人生のなかにスポーツ(ボクシング)があるのではなくスポーツ(ボクシング)のなかに人生があるのだ。井上尚弥と闘って敗者となったボクサーから得られた井上尚弥の人物像も素晴らしい。《井上尚弥の凄さ。それは敗者があまりの強さに脱帽し拳を交えたことに感謝し誇りにさえ思うことではないか。そして真のチャンピオンは闘った相手に恩恵をもたらし幸せにする》まだ30ページほど残しているけど素晴らしいスポーツ・ノンフィクションである以上に今年最高の一冊かな。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。少々体調不良で短いコースで引き返す。タマにはさぼってもエエやろ。ワン。イロイロ仕事の合間に大リーグ評論家の福島良一さんに連絡。最近電話に出られなかったのでテッキリメジャーのウィンターミーティングにでも行っておられるのかと思っていたらナントUAE(アラブ首長国連邦)に行って来年開幕するベースボール・ユナイテッドのエキジビジョンを取材されていた。素晴らしいことですね。大谷の去就などいずれわかることですがアラブと南アジア(UAE・カタール・パキスタン・インド)で初のプロ野球リーグの誕生のほうが世界の野球界にとっては大事件ですからね。帰国後少々体調を崩された福島さんの『ニューズ・オプエド』出演は叶わないとのことですが現地レポートと5枚に写真を送ってくれたので今日のオプエドで公開することに。他のゲストはパラ・スポーツライターの星野恭子さんと千葉大大学院でオリンピックやパラリンピックの研究をしている都築則彦さん。パラスポーツについて語っているとスポーツの本質論に広がってイイですねオリンピックやプロスポーツを語ると政治や経済の話になってスポーツの話が消えそうになりますからね。ラジオのあとは『チコちゃん』見ながら晩飯&酒&寝る。

12月9日(土)
森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)読了。スポーツ(ボクシング)というジャンルを抜きにしても素晴らしい超一級のノンフィクションでした。政治家や経済人のドキュメンタリーが政治や経済(企業経営)を徹底的に描くことによって人物像が立ち上がってくるのと同様に井上尚弥と対戦し敗北したボクサーのボクシングを徹底的に描くことによって挑戦者の人物像も井上尚弥の人物像も見事に浮かび上がらせた傑作ドキュメンタリーですね。太陽系の周囲を回る惑星を徹底的に調査することによって太陽の重力や光線や熱量の凄さを浮かび上がらせたわけですね。お見事でした。こんな作品が誕生したこともまた井上尚弥のの凄さの賜物と言っても著者に対して失礼ではないですよね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。2日間ほど風邪気味かと思える体調不良で少し散歩の距離を短めにしていた距離を通常に伸ばす。俺より歳をとってるはずの黒兵衛は俺より元気。ワン。負けじと散歩後のスクワットと筋トレを復活。チョイとキツい。ワン。最近久し振りにベートーヴェンに関する原稿を書いたので終日デスクワークのBGMにベートーヴェンの「運命」の演奏をイロイロ選んだけどブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の迫力にマイッタですね。古い19世紀的な正しく「運命」と呼ぶべき演奏ですがフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュやトスカニーニと並んで昔の指揮者の気合いは凄いもんですね。午後からはサッカー天皇杯の決勝を楽しむ。川崎フロンターレvs柏レイソルはイヤァ面白かったですねぇ。両チームのキーパーが互いに大活躍。延長からPK戦も10人目までにまで縺れた試合は川崎のキーパーが柏の26歳の若きキーパー松本のキックを止めてようやく決着。両チームに拍手。とりわけ押し気味に試合を進めて柏とキーパーの松本には大拍手ですね。イイ決勝戦でした。続けてTBS『報道特集』見ながら晩酌と晩飯に雪崩れ込む。政治資金問題は嗤うほかないですね。新聞記者の皆さんは知ってるんでしょ?だったら検察の特捜部より早く書きなさいよ。関西万博は早くやめたほうがイイですね。やめる決断はやることを進めた人が「やめる!!」と決断して自ら責任をとるべきですね。そーゆー根性のあるカッコイイ政治家はいないようですね。

BOOK
田中久美子『地獄百景』ベスト新書
田中久美子『地獄百景』ベスト新書
これは地獄入門のお手軽本と言えますが,ケッコウ内容が濃い一冊です
【12/10-20】

12月10日(日)
ベッドで読書する本がなくなったので年末年始は稲垣足穂全集読破に挑もうと思ったけど…その前に田中久美子・監修『地獄百景』(ベスト新書)を軽く楽しむことにする。様々な地獄に関する面白いイラストは何度も眺めたが文章はきちんと読んでないので熟読開始。ナルホド。仏教の地獄行きの審判は閻魔大王だけが司るのではなく亡くなって四十九日のうちに不動明王・釈迦如来の審判を受けて三途の川を渡り文殊菩薩・普賢菩薩・地蔵菩薩・弥勒菩薩・薬師如来の面談を受けて六つの鳥居のどこを通ってどの地獄へ進むかが決まるのですね。何やらオモシロソウで『地獄八景亡者之戯』という面白い落語が生まれたのも納得ですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。日曜の朝の住宅街の散歩は本当に静かで冬の暖かさも心地よいですね。ワン。散歩のあと終日デスクワークは雑誌『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」を書きあげる。ふううう。今朝大谷のドジャース入り決定が報じられたので明日からテレビはまたまた大谷の契約の10年7億ドルで大騒ぎすることを見越してソレより重要な「ベースボール・ユナイテッド(アラブ&南アジアプロ野球リーグ)」とソレより面白い「ベースボール5(ファイヴ)」の話を書く。ふうううう。書きあげてテレビをつけるとラグビーをやっていたので見る。南アのW杯優勝SHのデクラークやニュージーランドの選手など多くの素晴らしい選手の動き回るレベルの高いラグビーは確かに面白いけど分かり難い(リアリティの感じられない)チーム名を何とかしてほしいですね。コノ試合は結局サンヨーvsキャノンの試合だったの?晩飯はNHK-Eテレの日曜美術館で浮世絵の素晴らしさを堪能しながら。雨や毛髪まで版木に彫る彫り師の技量は凄いですね。風呂のあとは酒飲みながら高関健指揮N響のシベリウス交響曲2番を楽しむ。ベルクルンドや渡辺暁雄さんの指揮のようにいかにも北欧的な澄んだ水彩画のようなシベリウスではなくバーンスタインのように色彩感こってり迫力満点の油絵のようなシベリウスでしたが素晴らしかったですね。年老いたブロムシュテットが椅子に座って指揮したマーラー9番の最終楽章も良かったですね。

12月11日(月)
夜と朝のベッドで『地獄百景』読み続ける。地獄は楽しいですね。阿鼻地獄も叫喚地獄も黒縄地獄も灼熱地獄もどれもオッカシくケッサクだけど「邪淫」の罪を犯した者が堕ちる衆合地獄はめっちゃオモロイですね。あまり詳しく書けませんが(笑)「邪淫」の種類によってイロイロ堕ちる地獄が細かく分かれてるのも凄い。昔から「邪淫」の種類は沢山あったのですね。我がオペラの師匠故・永竹由幸氏は日本のオペラ作家たちが尾崎紅葉の『金色夜叉』をオペラ化できなかったのが日本オペラの「限界」と言ってたけど地獄の面白さをオペラ化できなかったことにも問題がありそですね。オッフェンバックは見事に『天国と地獄(地獄のオルフェ)』を創りましたからね。三枝成彰さんも『地獄のエンマ(閻魔)』ぐらい創らなきゃ(笑)。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。地獄に堕ちて畜生道に堕ちて生まれ変わった黒兵衛は幸せそうに歩いてますね。ワン。終日デスクワークは共同通信配信の書評執筆。対象の本は森合正範『怪物と出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)。スポーツというジャンルとは関係なく素晴らしいノンフィクションですね。原稿を書き始めると11字×70行という文字数に収まらないので本欄で書いていた「ドーナツの穴」や「太陽系」の喩えはすべカット。人生のなかにスポーツ(ボクシング)があるのではなくスポーツのなかに人生があるという一文だけを残す。ふううううーっと原稿を書きあげてメール送稿すると担当者から「素晴らしい原稿」との返事。編集者の褒め言葉は物書きにとって何歳になっても(お世辞でも・笑)嬉しいですね。一息ついてると講談社から現代新書の今月の新刊3冊が送られてくる。岩内章太郎『〈私〉を取り戻す哲学』。帯に「なぜスマホを見続けてしまうのか 気鋭の哲学者が明かす行きづらさへの処方箋」とある。青山和夫『古代アメリカ文明マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』「ヨーロッパ人発見以前の新大陸の歴史を私たちは軽んじていないか?」中野珠実『顔に取り憑かれた脳』「だから顔写真加工はやめられない!」−どれも興味深いモノばかり。読まねば!晩飯は吉本新喜劇を見ながら。マキバオー大活躍。刑事とヤクザが次々とマネキンに化ける台本も面白かった。

12月12日(火)
『地獄百景』面白い…というより楽しい。「六道」の一つの「人道」には「生老病死」の「四苦」に加えて「愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五?盛苦」の「四苦」があり合計「八苦」で「四苦八苦」するのですね。地獄雑学ですね。ワン。ベッドを出て雨のなか黒兵衛と散歩。ワン。人間に従って生きなきゃいけない畜生道も大変で畜生は仏法を学べないから輪廻転生しても畜生道を繰り返すことが多い…というのは少々不公平ですね。しかしもっと不幸なのは阿修羅道に堕ちた阿修羅ですね。天人の一人である帝釈天に娘を陵辱されて怒り狂ったアスラ王(阿修羅王)は怒りの感情が三大煩悩の一つだとして阿修羅道に堕とされて人間以下の鬼神の存在に貶められたのですね。仏法では怒りは最悪の煩悩とは言え悪いのは帝釈天だと言いたくなりますね。ワン。「天人」が「五衰」するのはそんな悪い天人への罰かな?そー言えばかつて阿修羅原というプロレスラーがいましたね。名付け親は作家の野坂昭如氏。昔はロープの上を歩く悪僧レスラーとかプロレスと仏教は近かったのかな(ーー;)?終日デスクワークはアラブと南アジアの野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」をイロイロ調べる。英語の資料を読むのは疲れますね。「マネー・ボール」って何だと思ったらMoney Ballを宣言した打者がソノ打席で打点を挙げると点数が倍になるらしい。走者満塁でマネー・ボール・ホームランを打てば一挙8点か。ハッハッハ。これがオイル・マネー・ベースボールか?日本のプロ野球のマネー・ベースボールは差し詰め裏金野球かな?契約金や年俸を一切公表してませんからね。自民党派閥の裏金キックバックのようなことは…これ以上書くと証拠を出せといわれるのでやめときます。元選手の「あの球団は推定年俸の2倍を出してる」といったイロイロの発言や新聞記者の知ってることは誰も公には喋らないし証拠になりませんからね。メジャーは契約内容を公表するのにプロ野球がしないのはオカシイですよね。

12月13日(水)
『地獄百景』は仏教を離れてユダヤ教キリスト教の世界に入ってつまらなくなる。元々ユダヤの地には地獄の概念がなかったのですね。だからダンテの『神曲』やミケランジェロの『最後の審判』が現れるまで地獄の面白さ&怖さは一般化しなかったのですね。堕天使ルシファーと言ってもゲームのキャラになるだけだしボッシュ(ボス)の『音楽地獄』はブッ飛びすぎオカシすぎで仏教系の『帷子ノ辻』の『九相図』のようなリアルな地獄(死後)の怖さは西洋にはなさそうですね。だからジェノサイドなんてできるのかな?ワン。黒兵衛の散歩は後回しにしてRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。今日は最初に大谷のドジャース入りを取りあげてDodgersってどういう意味?のクイズから。意外と皆さん答えられないのですよね。DodgeがDodge BallのDodgeでドッジボールが「当てるボール」ではなく「よけるボール」という意味でニューヨーク郊外のブルックリンが本拠地だった頃は狭い道路にトロリーバスが走っていて道路で遊んでいる子供たちに向かって両親や大人たちが常にDodge! Dodge!と叫んでいたのでブルックリンの子供たちがDodgerと呼ばれるようになったのですね。だからロサンジェルスのように広々とした土地に越してきたチームが未だにDodgersと呼ばれているのもオカシイうえに「ロサンジェルスのブルックリンの子供たち」というのもホントはオカシイけど伝統ある名前なので残してるんですね…てな話をしたあとアラブ&南アジアのベースボール・ユナイテッドについて話す。しかし言葉の意味を知らなくても疑問を感じずに使ってしまうのは「理屈を言うな!」という体育教育の名残ですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと共同通信の書評やZAITENの校正などいろいろデスクワーク。「裏金疑惑」は自民党だけでなくスポーツ界も調査すべきですよね。KK野球のMaymon学校とかSport推薦のMaymon大学とかPro野球のMaymonTeamとか…アメリカのスポーツ界のカネに対する潔癖さを見習ってほしいですね。

12月14日(木)
田中久美子・監修『地獄百景』(ベスト新書)読了。文章も画像も結構面白かった。古代メソポタミア・エジプトからゾロアスター教・イスラム教の死後の世界(地獄)まで触れられていたがメッカのカーバ神殿のすぐ横が高さ最大601mの超高層ビル群が聳え並んでる写真には驚いた。以前エジプトのスフィンクスの前には道路を挟んでマクドナルドの店があることに驚いたことがあるけどこーゆー当たり前の情報ってもっと必要ですよね。とりわけイスラム世界やアフリカでは…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。しかしゾロアスター教って結構マジにオモシロソウですね。ワン。終日デスクワークは『ZAITEN』連載や共同通信書評の最終校了などイロイロやってると『スポーツゴジラ』第61号が届く。特集は「スポーツのこれからを考える」で以前出席したブレイキンの選手を含めたシンポジウムや慶応高校森林監督のインタヴューが載っている。読まねば…と思ってると世界思想社から『世界思想』の43号「人口問題」44号「人工知能」48号「共生」の3冊も届く。コレも読まねば。面白いことにコノ日送られてきた雑誌は両方とも無料配布の雑誌なんですね。偶然でしょうが面白い。最近の有料の雑誌は何故かイマイチですからね。いや『週刊文春』今週号の「裏金は森から始まった」は面白かったですね。日本のスポーツ界の裏金はどのあたりから始まったのかな?映画『あなた買います』のモデルになった南海の穴吹選手あたりから?イヤもっと古い難解から巨人に引き抜かれた別所投手あたりからかな?よーわかんけど野茂投手がアメリカで大活躍した結果メジャーのスカウトが多勢日本のアマ野球に押し寄せたところが次々と裏金を要求されてウンザリした…という話を関係者から聞いたことがありますね。

BOOK
青山和夫『古代アメリカ文明マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』講談社現代新書
青山和夫『古代アメリカ文明マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』講談社現代新書
古代アメリカの実像を教えてくれました。もう一度ボリビアへ行きたくなった

12月15日(金)
青山和夫・編『古代アメリカ文明マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(講談社現代新書)を読み始める。面白い。世界四大文明(黄河・インダス・メソポタミア・エジプト)といのは学術用語でなく単に日本の教科書に使われただけの言葉で文明は大河の傍に生まれるというのも間違った認識なのですね。他の文明の影響をまたく受けずに独自に文明を開化興隆させた「世界四大一次文明」はメソポタミアと中国とメソアメリカ(マヤ・アステカ)とアンデス(インカ・ナスカ)の4カ所になるわけですね。面白い。マヤ文字の芸術性にも驚かされるがコロンブスアメリカ「発見」500年でボリビアにテレビ番組で取材に行ったことを思い出す。チチカカ湖畔で伝統舞踊を披露してくれたインカの末裔の人たちにソノ衣裳は何年くらい前に作られたものですか?と訊いたら「日本のテレビのために先週作りました」と答えられて困惑した。そのデザインはいつの時代の?と訊き直したら「先祖からずっと続いてます」と言われた。何年くらい前から?と訊いたら「古すぎてわからない」と言われた。時間の感覚の違いにマイッタことを今も憶えてる。高度4千mで酸欠に悩んだことも…5千mを突破すると自動車パンクの連続で雪が下から上に降っていた…そんなところにもリャマがいた…湿度5%でカラカラの空気にマイッタ…ホテルで寝るときに毛布やシーツをお湯でべとべとに濡らしても翌朝にはカラカラに乾いていた…頭がぼけないためにコカの葉を噛まされた…酸欠で煙草に火がつかなかった…ホテルの風呂の水が回転せずに流れた…気温が昼間が35度で夜が氷点下になった…夜空の天の川と空一面の星が見事に輝いて「星の数ほど」あった…足下にボンヤリと自分の身体の月影と星影が現れた…いやはや南米は面白いところです。首都ラパスは酸素が少ないから火事は起こらないそうです。もう一度行きたいけど歳取ったから無理ですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。イロイロ準備して夕方の『ニューズ・オプエド』は今年最後のスポーツ特集。ゲストに今年のスポーツ界の三大出来事を選んでもらう。小林信也さんは「WBCの大騒ぎ/甲子園大会猛暑でも強行開催/様々な大学スポーツで大麻事件」大住良之さんは「年末まで続くWBC騒ぎ/サッカー日本代表4−1でドイツに勝利/国枝慎吾さん引退と後継者の台頭」小崎仁久さんは「政治的思惑イッパイのアジア大会/神宮外苑再開発にスポーツ界は沈黙/千賀滉大投手育成選手からメジャー入り」小生は「川淵三郎氏文化勲章/ベースボール・ユナイテッド開幕宣言/ベースボール5五輪ユース正式競技に」…他にもイロイロありましたね。

12月16日(土)
『古代アメリカ文明』読み続ける。メッチャ興味深いのだけど素人にはモウ少々簡単な説明でもイイかも(>_<)。しかしメソアメリカのピラミッド文明がこんなに沢山あるとは驚きです。ナスカの地上絵に関する記述を早く読もう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。メディアが大谷の話題を大きく取りあげるのは自民党の「派閥裏金疑獄事件」を「スポーツウォッシング」するためか?どうせならDodgersの意味の説明とメジャーは契約金や年俸を公表している(日本のプロ野球は公表していない=推定の発表しかない=裏金があるのかな?)ということも解説してほしいですね。ワン。終日デスクワーク。年内締め切りはあと3本。今年も押し詰まってきましたね。実感はないけど。

12月17日(日)
『古代アメリカ文明は』ナスカ文化に突入。有名な巨大な地上絵は数百もあるうえ近くには巨大な神殿などもあったのですね。それが気候変動で乾燥化が進み「誰もいなくなった」になってしまったわけか…人間の力って小さいものですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。日曜の朝の散歩は本当に静か。静謐は善きこと哉。ワン。ちょっとだけ仕事をして大船へ。東海道線で横浜へ。中高時代の友人4人と一緒に横浜駅近くの中華料理店で昼から酒&中華料理で会食。京都から来る予定の一人は風邪で残念ながら突如欠席。ワイワイガヤガヤ何でも話せる古友達と年に1回の歳忘れ憂さ晴らし。数学者・コンピュータ技術者・銀行マン・経営コンサルタントの面々と岸田内閣批判や五輪批判からテロリズム礼賛やAIとは何ぞやまで楽しく歓談。心の洗濯には恰好の仲間と隣のビール・バーに移動して午後5時頃まで呑み続ける。皆さんよく呑みますね。高校時代から変わりませんね(笑)。マァ年に1度の大宴会くらいエエでしょう。

12月18日(月)
朝のベッドでの読書『古代アメリカ文明』はインカ文明に突入。《アンデス山中に生きる人々はその不動の「真実」である山や丘を宇宙・世界に影響を及ぼす神々と捉えておりそれを巡って祭祀・儀礼も行う。巨大な山や丘の前では生きとし生ける者は皆小さな存在である。山々を敬い怖れ自然と共に生きる人々の思想・思考は調和を重んじるが故に柔らかで優しさに満ち謙虚でもある》ナルホド。インカ「帝国」などという言い方はヨーロッパ(スペイン)人が間違ってつけた名称なのですね。《山々はその姿・形を変えないが故に「真実」でもある。(略)ビルの林立する大都市ではその「真実」がなく不安な気持ちに襲われる。その時あの山々があるから自分が存在するのだと無意識の内に心と体が捉えていたことに気付かされる。都市ではあのビルがあるから自分が存在するのだとは到底思えない。一方で少しでも町の景観が変わると妙な気持ちになる。景観は宇宙における自己の位置づけに大きな影響を及ぼしている》確かに!最近渋谷や横浜を歩いたけど都市の景観の変化が自分という存在もメチャメチャ不安にすることを実感しました。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。錣山親方(元寺尾関)が亡くなりなりましたね。「鶴ヶ嶺(井筒)三兄弟」を最初にマスメディアに書いたのは小生だったと思います。寺尾関が序の口の頃。『平凡パンチ』に書きました。小生の初の相撲の記事でした。合掌。デスクワークはイロイロ調べ物&雑用。締め切りあと3本の実感が出てきたかな?晩飯は吉本新喜劇を見ながら。すち子さんオモシロイ。

12月19日(火)
『古代アメリカ文明』読み続ける。これほど素晴らしい見事な文明が他の文明に滅ぼされてしまったのは「進化」が「進歩」ではないということの証明と言えそうですね。電気自動車も空飛ぶ自動車もリニアモーターカーも原発もIRも「進化」なのでしょうけど「進歩」かどうかは不明ですね。「退化」するのも「進化」の一種ですからね。そういえば宇宙物理学者のホーキングは「宇宙の地球以外の惑星に地球人と同じような高度な知性を持った宇宙人は存在するでしょうか?」という問いに対して「地球人の知性が高度かどうかは疑問ですが…」と答えていたのは面白かったですね。アンデスのインカ人とそれを滅ぼしたスペイン人のどちらが「高度な知性の持ち主だったか」はビミョーですからね…イヤその答えはもう明白ですよね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。Jリーグが欧州リーグに合わせて秋春制にすることを決定しましたね。「Jリーグが世界的なリーグに発展するため」とチェアマンは言いました。プロ野球は米メジャーと肩を並べるつもりはないのかな?読売新聞をアメリカで売る気はないでしょうからね。ワン。デスクワークは北國新聞連載「スポーツを考える」第75回を執筆。ドジャースとはどういう意味?という疑問を持つことからスポーツの面白さがわかるという話。過去にいろんなところに書いた内容だがまだドジャースの意味も知らずに騒いでる人が多いので手を変え品を変えて書きまくる。スポーツに疑問を持たないこと=体育としか考えずに身体を動かすこと…が日本のスポーツをダメにしているのですからね。原稿をメールで送ったあと晩飯はテレビでイロイロニュースを見ながら。裏金疑惑と政治改革はどこまで「改革」されて「進歩」するのかな?プロ野球の契約金や年俸も「推定」のママで良いわけがないのに誰もソレ(裏金疑惑)を指摘しないですね。新聞社(ジャーナリズム)がみんな野球と関わってるからでしょうね?

BOOK
多木浩二『スポーツを考える−身体・資本・ナショナリズム』ちくま新書
多木浩二『スポーツを考える−身体・資本・ナショナリズム』ちくま新書
これもスポーツ関係者の必読本だと思います

12月20日(水)
『古代アメリカ文明』面白い。アンデスの山々は宇宙とつながってるのですね。そこからインカやマヤやの文明を宇宙人が作ったとかUFOが飛来したとか馬鹿馬鹿しい糞説を近代文明人がでっち上げたわけでしょうけどアンデスの海抜4000mの一角で深夜に空一面に広がる天の川を見たことのある小生は宇宙と山が一体になって我々を包み込んでいることを実感しましたから「山=宇宙」ということがよくわかります。ワン。黒兵衛との散歩は後回しにしてRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。今日は先週に続いて大谷のドジャース入りを取りあげドジャースと日本野球の関係を話す。元亜細亜大学野球部監督のアイク生原さんがドジャースの2代目オーナーであるピーター・オマリーさんの秘書になって日本とアメリカの野球を繋いだのですよね。そこで川上監督時代の読売ジャイアンツが2度にわたって春のキャンプをドジャー・タウンで行いヘッドコーチだった牧野茂さんがバントシフトやダウンスイングなどのドジャースの戦法を取り入れたのですね。バントの構えから強打する「バスター」もドジャース・キャンプで取り入れたものでしたがソレはただ「バスター!(すっげえ!)」と周囲のアメリカ人が叫んだだけの言葉を牧野さんが「戦術用語」にしたのですよね。ワン。他にも生原さんとの関係を中日監督時代の星野仙一さんが奪ってドジャースそっくりのユニフォームを作った…とかイロイロ喋ったあと黒兵衛と散歩。そー言えば最近テレビで♪ジャ〜ンボ!ジャ〜ンボ!年末ジャ〜ンボ!と歌って宝籤の宣伝をしてますけどあの音楽はベートーヴェンの交響曲第7番第1楽章第2主題のメロディですね。最近書いた『ベートーヴェンは凄い!』という原稿に入れておけばよかったですね。ワン。終日『世界思想』の原稿『いまスポーツとは何か?を考える』の原稿に四苦八苦。とりあえず「スポーツのブックリスト」だけを仕上げて送る。カイヨワ『遊びと人間』中村敏雄『著作集全8巻』多木浩二『スポーツを考える』あと2冊は拙著『スポーツとは何か』と『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』で合計5冊。ホイジンガは落としたけど誰か他の方が選んでくれるでしょう。

12月21日(木)
青山和夫・編『古代アメリカ文明マヤ・アステカ・ナスカ・インカの実像』(講談社現代新書)読了。非常に面白かったです。「効率」を考えない文明が豊かな文化を生むと理解できました。かつては「効率」を優先する西洋文明に滅ぼされた古代アメリカ文明だけどソロソロ人類も「効率優先進歩絶賛文明」の煩わしさに気付いて「循環型文明」の良さに気付くべきでしょうね。それにはまず日本人は大阪関西万博を止めるべきでしょうね。そして国会議員や県会議員や市会議員を全て半数に削減すれば良いかも…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。近所にマックスとかボビーという名前の洋犬がいることに気付き黒兵衛も洋犬だからやはり西洋風の名前がイイのかなと突然気付きこれからはCrobeeとでも呼ぶか…とも思ったがヤッパリ似合わないかな(>_<)ワン。そういえばウチの虎太郎が餌を食べているときの背中の丸みを帯びた曲線は国芳の絵にあった化け猫が油を舐めている後ろ姿にそっくりなことに気付いた。虎太郎は和猫に間違いないですね。デスクワークは『世界思想』のスポーツ特集に四苦八苦。やはり『世界思想』という本のタイトルにプレッシャーを受けたのかな?ジャーナリズムをフィールドにしているライターはアカデミズムの世界に弱い?トホホ。

Blu-ray
『ローマの休日』
『ローマの休日』
この素晴らしい映画もトランボが偽名で脚本を書きあげたのですね

12月22日(金)
《私はマックス=プランクが量子常数hを発表してから約3週間後に大阪市船場北久宝寺町に生まれた》朝の読書に稲垣足穂全集全12巻の第9巻を選ぶ。ソロソロお正月ですからね。関係ないか(ーー;)ずっと前々から読みたい読みたいと思っていたものでとりあえず無作為にエッセイ的なモノの多い巻を本棚から引っ張り出したがどのページを開けても面白い。瀬戸内晴美・吉行淳之介・三島由紀夫・谷崎…といった名前が飛び出すかと思えば(川端康成については糞味噌の最低の評価)A感覚V感覚P感覚から空中飛行&宇宙の話に飛ぶ。面白すぎる。教養ありすぎ。小生の大好きな(色紙に必ず書く)荘子の「知魚楽」の話も出てきたかと思えばプラトン&ゲーテも突然登場。天狗の話も面白い。「天狗」は元々「天の狐」で昔の狐は羽根があって空を飛んでいたとか。だから「鼻高天狗はニセ天狗」で江戸時代に創作された鼻の長い赤い顔をした怪物は本物の天狗ではないらしい。天狗はいろいろな山に棲んでいて鳥は化身で烏(カラス)天狗だけでなく天狗の鼻と嘴は鳥と同じ形のが本物だという。ナルホド。いろいろブッ飛んだ話を読むと頭の中が空っぽになって早速ベッドを出て昨日四苦八苦して書いた原稿を新鮮な頭で読み直して書き直し。しかし最後が上手く書けない…黒兵衛と散歩のあとウンウン唸って昼飯抜きで書き直し。ようやく夕方に完成したのは『世界思想』のスポーツ特集。タイトルは「老スポーツライターの嘆き」。ふううう。校正でまた読み直しましょう。晩飯は録画しておいた『映像の世紀バタフライエフェクト/ガンジーの無抵抗主義』を見ながら。ガンジーは凄い人だったですね。彼のような人物を哲人と呼ぶのでしょうね。続けて映画『トランボーハリウッドに最も嫌われた男』第二次大戦後冷戦期のアメリカに吹き荒れたマッカーシズム(共産党員排除)で仕事を失い逮捕収監までされた脚本家の実話。共産党員だということで仕事失った彼が別名で書いた脚本が『ローマの休日』でアカデミー賞は別名で取ったのですね。素晴らしい家族が彼を支えた素晴らしい映画でした。さぁ年内の締め切りはラスト1本に。

NETFLIX
『マエストロ その音楽と愛と』
『マエストロ その音楽と愛と』
映画監督兼主演の人物がレニーに惚れ込み過ぎて作った失敗作ですね

12月23日(土)
原稿書きに行き詰まってるときの本欄の記述は間違いだらけですね。日付の間違いや漢字変換の間違いは訂正しておきました。失礼しました\(__ )

12月23日(土)つづき
稲垣足穂の拾い読みは楽しい。けれど昔エッセイにアポロ11号が月面着陸したことについて書かれていたような記憶があるけど見つからない。たしか数学者の岡潔氏はテレビでアポロの月面着陸を嗤っておられたように記憶している。「目を閉じれば月世界くらい誰でも 行くことができるのに…わざわざ行く必要はない」と。足穂氏ならさらにラジカルなことを書かれている気がするので見つけたいのだが見つからない。まぁ焦る必要もないか…正月休みのテーマにしましょう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。原稿に四苦八苦する日が続くと仕事部屋が何故かグチャグチャになるのでそれを整理整頓。乱れる→正す。それが人生?腹が減る→飯を食う→また腹が減る→また飯を食う→……それもまた人生。嗚呼。午後になって大学ラグビーを見ていると長女がやってくる。黒兵衛にクリスマス・プレゼントだといってカッコイイ防寒コートを着せてくれる。虎太郎には暖かい小さなワンルーム。最近のペットは恵まれすぎているけどマァエエか。晩飯はヨメハンと長女と3人で今年いっぱいで店を閉めるというイタリア料理の『センプリーチェ』へ。せっかく美味しい本格的ナポリ料理を食べることのできるイタリア人シェフのお店だったのに閉店は残念。新しいお店は沖縄だとか。みんなで記念撮影してアリベデルチ。帰宅後Netflixで『マエストロその音楽と愛と』を見る。レナード・バーンスタインの生涯を描いた映画だがコレは明らかに失敗作。バーンスタインのことを知っている人でないと楽しめませんね。監督・主演のブラッドリー・クーパーがレニーそっくりのメイクと立ち居振る舞いと指揮で頑張ってたけど彼のバーンスタインに対する思い入れが強すぎて映画作品としては破綻。脚本も悪い。編集も下手。バーンスタインの音楽の使い方もイマイチ(『オン・ザ・タウン』のシーンだけちょっと面白かったけど)映画としては素人の作品。残念でした。クーパーはバーンスタインになりきってマーラーの『復活』を指揮したりしていて嬉しかっただろうけど…それはバーンスタイン自身の映像で見れば良いことで…嗚呼。

LP
『ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」』
『ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」』
コレが小生が小学5年のときに初めて買ったクラシックのレコードです

12月24日(日)
昨日見たレナード・バーンスタインの伝記(?)映画『マエストロ』についてベッドで考え続ける。映画としては完全に失敗作でバーンスタインを知っている人でないと見ていられない映画で監督兼主役のブラッドリー・クーパーがバーンスタインという人物に惚れ込みすぎた結果だろうという感想は間違っていないと思うけど…だったらどんなバーンスタインの描き方の映画が可能かと考えると難しい。作曲家としても指揮者としてもピアニストとしても指導者としても超一流で音楽的才能の全てに満ち溢れて女性も男性も家庭も友人もあらゆるジャンルの音楽も音楽仲間も全てを愛してアメリカでもヨーロッパでも世界を股にかけて大活躍した人物を2時間程度に纏めることなど不可能だろう…と思うほかない。個人的には小学5年の時に彼の指揮するドヴォルザークの『新世界交響曲』のLPを買って以来彼の大ファンになり日本での最後の一度だけの指揮(ブリテンの『ピーター・グライムズ組曲』&ベートーヴェン交響曲7番)にヨメハンと一緒に接することができたことを喜ぶほかない。あのときのオーチャード・ホールは演奏後の拍手がいつまでも鳴り止まずオーケストラのメンバーがすべて去ったあとも鳴り止まず空っぽになった舞台に白いマフラーを首に巻いたレニーが登場して合わせた両手を頬に当ててもう寝る時間だから帰ってくれというジェスチャーをして一段と拍手の音が大きく鳴り響いたあと満員の聴衆が(私たちも)ようやく帰り始めたのでしたね。私の生涯でベスト3に入る素晴らしいひとときでした。そんな体験がある私はアノ映画を批判してはいけないのかもしれませんね。

12月24日(日)つづき
ベッドを出て長女やヨメハンと一緒に黒兵衛と散歩。ワン。長女は黒兵衛にカッコイイ灰色の防寒コートの他に真っ赤に白の2本線が入ったアディダスに似てるトレーニングウェアも買ってくれたのでそれに着替えて散歩。ペットの動物をオモチャにするのはあまり好きじゃないけど子供のやる愛情表現だからマァいいか。ワン。午前中に長女と一緒にディズニー・プラスが製作配信した大谷翔平に関する1時間半番組のインタヴュー・ドキュメンタリー番組『Beyond the dream』を見る。松井やダルビッシュたや栗山監督やマダックスなどメジャエンゼルスのエンゼルスのGMも登場。丁寧な番組作りで大谷も高校時代の書いた将来の計画表を中心に作られていて興味深かったけど…日本人野球選手の最高の舞台がアメリカにしか存在しないのは困ったことですね。午後からはデスクワーク。今年最後の短いコラムを書く。連合通信の連載『スポーツ玉手箱』第153回。月イチの連載だからモウ12年も続いているのかと思うと少々感慨深い。晩飯はMANZAIを見たりニュースを見たり團十郎の南座での襲名披露を見たり…しながら。最近のMANZAIはみんな叫びすぎですね。

BOOK
稲垣足穂『A感覚とV感覚』河出文庫
稲垣足穂『A感覚とV感覚』河出文庫
性感覚は宇宙まで飛翔するのですね

12月25日(月)
ベッドで稲垣足穂『少年愛の美学』や『A感覚とV感覚』拾い読み。メッチャ面白いけど抜き書きするのは自重します(笑)。昨日送られてきた筑摩書房のPR誌『ちくま』も読む。蓮實重彦氏が「久方ぶりに烈火のごとく怒ったのだがその憤怒が快いあれこれのことを思いださせてくれたので怒ることも無駄ではないと思い知った最近の体験について」と題して小津安二郎の生誕百二十周年記念のシンポジウムが如何に酷かったかということと生誕百周年を祝い没後四十年を追悼したときの小津安二郎の国際シンポジウムが如何に素晴らしかったかを書かれていたのが面白かった。前者のほうは《オリンピックをはじめこの組織が絡むと碌なことにはならない》という組織が絡んでいたうえ司会者が《小津についてはまったく無知としか思われない》女子アナでパネリストにマトモな質問もできなかったらしい。最近ではよくあることですね。あらゆる「劣化」も「進化」の一種ですからね。毎号愛読してる斎藤美奈子さんの『世の中ラボ』は「一から学ぶイスラエルとパレスチナ」で今回も参考にさせていただきましたが『読んで出会ったすごい人』という斎藤真理子さんの新連載で紹介されていたルーチェ・デーラモというイタリア人女性の《苛烈すぎる自伝的小説『逸脱』》の紹介文を読んでマイってしまった。ファシスト党幹部の家に育っただった若き女性が噂に聞くナチス・ドイツの強制収容所がどんなものか?噂通りか?と思って自ら様々な強制収容所に「体験収容」されに行くのだ!なんという「すごい人」だ!コレは読まなきゃと興奮しました。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。世の中クリスマスらしいが小生と我が家は臨済宗だから無関係。袈裟衣姿の坊さんがクリスマスケーキを買って持ち帰るのを見て「イイ風景」だとエッセイを書いたのはたしか永六輔さんだったと記憶しているけどアレは皮肉だったのかな?ワン。昨日書いた連合通信のコラムを読み返してメール送稿。あと今年の仕事は明後日のラジオと『世界思想』の校正でオシマイですね。今年もマァいろいろありましたけど日本のスポーツ界は野球が完全にアメリカ・メジャーの二軍になってしまったのは自民党政治と同じ構造になったということですね。明日の井上尚弥は勝つだろうなぁ。

Blu-ray
『秋刀魚の味』
『秋刀魚の味』
この映画の素晴らしさは70歳になってやっと心の底からわかりました

12月26日(火)
朝起きてゆっくりと東京新聞の「数独」をやりながらパンと牛乳の朝食をとってるとヨメハンがラジオの時間でっせーというので慌てて準備。しかし昨日RKB毎日放送の担当者からメールが来なかったしオカシイなぁと思ったら今日は火曜日一日早いやないかぁ!と大笑い。まぁこんな間違いをするのも年の瀬ですナァ。朝飯済まして黒兵衛と散歩。一日中かけて部屋の整理。カレンダーを2024年1月にして締め切りや仕事を書き入れて年末の雰囲気ですなあ。昼間NHK-BSで小津安二郎監督の『秋刀魚の味』をやっていたので晩飯の前後に見る。ナルホド。70歳を過ぎてこの映画の素晴らしさがようやくわかりました。昨日読んだ蓮實重彦氏の文章《小津安二郎は間違っても日本を代表する映画作家などではない。そんなことは黒澤明にでも任せておけばよろしい。小津は(略)国籍・性別・年齢を超えて宇宙と無媒介的に触れあってしまった例外的な映画作家》ということがナルホド腑に落ちた。しかし笠智衆が日本画家のヨメハンの親父さんにそっくりで笠智衆の同窓で若いヨメハンをもらった男が俺の親父によく似ているのにはまいったな。みんな昭和の戦争体験者ですね。

DVD
『マーラー::交響曲第9番・第10番・大地の歌』
『マーラー::交響曲第9番・第10番・大地の歌』
なるほどこれらの音楽は彼岸の響きというべきでしょうね。マーラーは凄い!

12月27日(水)
《凡そ絵画とは(ダリの言葉を俟つまでもなく)男女関係の複雑化である》稲垣足穂を読んでいると難解というか理解できそうでまったく理解できそうにない文章が出てくる。《スポーツとは他者の排除である》という一文は彼にしては珍しく浅薄な思考とも言えるが現実認識としては的を射た言葉とも言える。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』に今年最後のZOOM音声出演。今日は井上尚弥の「強さ」について。昨日の本欄には書かなかったけどYuTubeで見た「強さ」の感想を話して森合正範『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)を紹介する。井上尚弥の凄さ《それは敗者があまりの強さに脱帽し拳を交えたことに感謝し誇りにさえ思うことではないか。そして真のチャンピオンは闘った相手に恩恵をもたらし幸せにする》これは良い文章ですね。ラジオを終えたら何故か身体がだるく疲れた感じがするので体温を測るとウワッ37・5度。黒兵衛の散歩は最短距離で済ませてリビングのソファで寝る。毎年のように最後の仕事が終わると熱の出ていた癖がココ2年ほどなくなっていたのにぶり返したか。そう言えば師走は沢山原稿を書いたと思いながら一日で治すぞと気合いを入れて寝る。食欲もなくカロナール(熱冷まし)服んで午後も小津安二郎の映画『お早よう』を見ながら横いなる。この映画は好きですね。こんな昭和の時代から現代の喧噪の未来は創造できないですね。映画が終わると寝っぱなし。マーラーの9番と10番を聴きながら寝ているとヨメハンにそんなん聴いてたら死んでしまいまっせと言われる。ホンマ。そーゆー音楽です。たしかルキーノ・ヴィスコンティはマーラー聴きながら亡くなりましたね。いやブラームスだったかな。晩飯に昼飯に食う予定だった蕎麦を食ってまた睡眠。体温37・2度。気合いを入れて眠る。

Blu-ray
『ジュラシック・ワールド』
『ジュラシック・ワールド』
クダラナイ映画ですね

12月28日(木)
一晩寝てスッキリした気分。体温も36・5度と平熱。身体も軽く黒兵衛と散歩に出ても問題なし。しかし大事をとって軽く部屋の整理のあと昼寝にたっぷり時間をとって『ジュラシックワールド』なんてクダラナイ映画まで見てゆっくり休んで……までは良かったがその後の仕事部屋や寝室の掃除で汗だくになって調子を崩す。食欲もなく晩飯もそこそこに再びリビングでテレビ見ながら横になるとNHKで『魔改造の夜』をやっていたので見てしまう。この番組は最近のNHKで『解体キングダム』と並ぶ好番組ですね。とは言え体調戻らず。翌29日も何とか黒兵衛の散歩はこなすが終日寝たり起きたり。まいったなぁ。仕事納めのあとにはよくあることだが一日で回復したのがダラダラと長引くのは歳のせいか。本を読む気にもなれず『週刊文春』持ってベッドへ自民党の裏金・宝塚のパワハラ・羽生結弦の離婚・松本人志のセクハラ疑惑…明るい記事はないですね。

12月29日(金)
体調戻らず。最悪の年末。若いときは一晩寝れば治ったのがぐずぐずと体調不良が続く。ヨメハンには申し訳ないけど今日も一日寝て暮らす。年を越して書き直さなければならない原稿のことなどいったん忘れねば。締め切りまでにはまだまだ充分時間があるんやから…(>_<)夜『チコちゃん』見ても元気にならず。とにかく寝て回復を待つほかなさそう…とほほ。

DVD
『怪盗ジバコ』
『怪盗ジバコ』
北杜夫原作のクレイジー・キャッツの大作。高校時代に観て感激。日本の風景が懐かしい
『日本一の男の中の男』
『日本一の男の中の男』
植木等&古沢憲吾監督のコンビとしては失敗作?しかし『雨に唄えば』のパクリなど見所はいっぱいです

12月30日(土)
ベッドなかで『週刊新潮』読む。新年号は文春のほうが面白かったですね。ただ宝塚の記事だけは創価学会との関係を書いた新潮のほうが面白かったかな。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。少し歩いて雲古させて帰る。今日一日で体調を治さなければ…とヨメハンのほうが気を利かせてくれて「今日も寝とって」と言ってくれる。その言葉に甘えてリビングで横になる。元気を出そうと意識して映画はクレイジーキャッツの『怪盗ジバコ』。1968年の映画か…マンションと名付けられた東京の住まいが隣の部屋と薄壁一枚の1DKのボロ長屋。日本はまだまだ貧しかったですね。しかしみんな元気でしたね。続けて植木等の『日本一の男中の男』。監督は古澤憲吾で戦中派のこの監督は多くの映画で突然意味なく軍艦マーチを大音量で鳴らしますね。何日か前に見た小津安二郎の『秋刀魚の味』でも軍艦行進曲が極めて意味深く印象的使われていたけど小津が哀愁としての軍艦行進曲なら古澤憲吾は戦前の軍国主義と戦後の高度経済成長が本質的に同じだということを示す軍艦マーチダと言えそうですね。そんなことを考えながら一日中横になって晩飯に卵2個入りの卵饂飩を食って気合い入れて眠って体調を戻すためにベッドへ。明日は大晦か…。

12月31日(日)大晦日
体調はやっと戻ったかな。しかし油断せずようやくベランダ掃除や部屋の掃除に手を付ける。ヨメハンがコロコロと読んでいる粘着テープの掃除道具を初めて使ってその集塵力に感動。カンドーなどという使い過ぎられた言葉はこーゆーときに使うのですよね。夕方になって長女が来宅。次女も孫2人を連れて来宅。長男は明日らしいけどみんなでワイワイガヤガヤ鴨鍋に蕎麦入れて年越し。紅白とゆく年くる年はBGM…とはいえ年末〜大晦日は碌なテレビ番組がないですね…と思いながら年を越して…あけましておめでとうございます&おやすみなさい。

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