ナンヤラカンヤラ
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2003年 11月12月

BOOK
菊池寛『真珠夫人』新潮文庫
菊池寛『真珠夫人』新潮文庫
斉藤美奈子さんの本を読んで是非とも読みたいと思いました

7月1日(土)
朝ベッドで斎藤美奈子『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』読み続ける。あと少しで読了。終わってほしくないと思うほどメッチャ面白い。特に有島武郎の『或る女』の解説。このタイトルしか知らなかった小説がコレほど凄い情動的で破滅的で男殺しの物語だとは知らなかった。これは大正8年の作品。『風と共に去りぬ』より《17年も早く書かれたことは特筆に値する。それも男尊女卑で有名な極東の島国で。姦通罪や検閲の網をかいくぐって》確かに。『或る女』がモーレツに読みたくなった。読まねば。ワン。ベッドから出てチョット激しい雨風のなか黒兵衛と散歩。小生愛用の安物雨合羽が風でボロボロになる。懸命に手で押さえて歩いていると白い大型犬を連れた若夫婦がレインコートも着ずに傘も差さずGパンTシャツ姿で笑顔で雨に打たれながら歩いてきた。若いですねえ。こっちまで気分が新鮮になったものの年寄りは黒兵衛の雲古とともにソソクサと退散。ワン。月曜の雑誌『ZAITEN』での小林信也氏との対談のレジュメ作りなど少々仕事のあと昼飯はNHK『探検ファクトリー』でレコード製作工場の職人サンの技術に感心しながら。晩飯はヴィッセル神戸のサッカーとイニエスタの退団セレモニーを見ながら。奥さんと5人の子供つれて出てきたイニエスタの涙を浮かべながらの挨拶も良かったけど最後にサポーターのいるスタンドのなかに入っていって別れの交流を行ったのは美しかったですね。プロ野球の「助っ人外人選手」では絶対に見られない光景でしょうね。

7月2日(日)
五輪アナリストの春日良一さんが『2030年の冬期オリンピック開催をウクライナで!』という緊急提言をYuTubeで行ったので彼の意見を支持する一人としてURLを記しておきます。https://www.youtube.com/watch?v=kcQ945lsPmw 『出世と恋愛』は有島武郎の『或る女』に続いて菊池寛の『真珠夫人』の解説『荘田瑠璃子の戦略』に感激。「男性が女性を弄ぶことを当然な普通なことにしながら社会的にも妾だとか芸妓だとか女優だとか娼婦だとか弄ぶための特殊な女性を作りながら反対にたまたま一人か二人の女性が男性を弄ぶと妖婦だとか毒婦だとかあらゆる汚名を負わせようとする」「男性は女性を弄んでよいもの。女性はそんな間違った男性本位の道徳に妾(わたし)は一身を賭しても反抗したいと思ってますの」荘田瑠璃子の口を通して言わしめた《男性の不貞は許し女性には貞淑を強いる根源的な性差別のひとつ》《性のダブルスタンダード》への批判は《国家公認の公娼制度に向けられたもの》であり《片務的な姦通罪を含むかもしれない》ナルホド。『真珠夫人』はLGBTQに関する法律を中途半端なカタチでしか作れない今の日本社会でこそこそ読っみ直されねばと思いますね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。豪雨被害の地域とは無関係の夏空。被害に遭った方を思うと暑いなんて言ってられないですね。明日の対談準備などほどほどにして夜はテニスを語る会にZOOMで参加。スポーツ団体で一番大切なことは未来の青写真=5年後/10年後/20年後…100年後の青写真を描くことと喋らせてもらう。日本のサッカー界にはそれが存在し野球最大の問題なんですよね。最大の問題なんですよね。

7月3日(月)
斎藤美奈子『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』(講談社現代新書)読了。男性作家の身勝手な「女はワカラン感覚」で書いた戦前の恋愛小説はすべて現実の女性に「向き合わない男」が女性にふられて終わるか「女性の死」で終わる。そんな脳天気な「男の平和」は現実社会が戦争に突き進むなかで崩壊する。男の書いた「女性が死ぬ」パターンの日本の恋愛小説の最後の作品堀辰雄の『風立ちぬ』は学徒動員された学徒兵たちが死に直面した《戦場で最もよく読まれた作品》らしいが結核で死に直面している恋人節子に向かって主人公の男(作者)は《おれはお前のことを小説に書こうと思うのだよ》と語る。そこで著者(斎藤美奈子)は激怒する。《節子の側に立てば「私はあなたの何なの?あなたの小説の道具なの?」くらいはいってやってもよかった枕のひとつでも投げてやればよかったのだ》入院中でベッドに寝ていますからね。しかしこういう言われてみれば当たり前の女性の意見に(書生のような70歳を超えた古い男は)なかなか気付かないものだ。全編そんな指摘に溢れていた本書は本当に勉強になりました。ワン。ベッドを出て真夏の太陽ギラギラの下黒兵衛と散歩。汗だくになった身体をシャワーで流してチョイと仕事のあと出かける準備をして東京へ。あまりに暑いからタクシーに乗ろうとすればタクシーがなく行列が目立っていたので地下道を大手町駅まで歩いて東西線で竹橋へ。徒歩で出来るだけ真夏の日射しを避けて『ZAITEN』編集部へ。スポーツライターの小林信也さんと対談。テーマはもちろん二人の今日チュで出版した『真夏の甲子園はいらない 問(岩波ブックレット)(岩波ブックレット)についての「その後」と今年も地方大会が始まった甲子園大会のついて。喋ることは山ほど。ここに書き切れませんが甲子園大会関係者が「会って話し合いたい」と言いながら「記事にしないこと」と条件を出すのは卑怯という以上に意味不明ですね。オフレコで喋ることと公然と喋ることが違う…というのは基本的に許せないですね。少なくともジャーナリストのすることじゃないですね。そういうことまで対談に書くことにしますがコノ暑さのなかでどーなるのかな?帰りの電車で携帯に届いたSNSで小学生の同級生が癌で亡くなったことを知る。最近はコロナもあって逢えてなかったけど残念としか言いようがないです。合掌。

BOOK
小泉悠『ウクライナ戦争』ちくま新書
小泉悠『ウクライナ戦争』ちくま新書
この戦争の構造がよくわかりました。けど、わかったところでドーニモナラナイ?

7月4日(火)
ベッド内の読書を最近の趣向をガラリと変えて小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書)読み始める。この馬鹿馬鹿しい阿呆みたいな戦争が何故始まったのか?テレビがスポーツの攻防や勝敗のように取りあげている戦況解説ではよーワカラン根本問題を知りたいと読み始める。《大衆が自分の考えで政治的意見を持ったりましてや街頭での抗議活動に繰り出してくることなどあり得ずそのような事態が起きた時には必ず首謀者と金で動く組織が背後に存在するというのがプーチンの世界観なのである》ナルホド。KGB出身のプーチンは可哀想は人ですねえ。いやロシアの歴代皇帝も皆それを恐れていたのですね。ボリスゴドゥノフもリトアニアやポーランドが偽皇帝を押し立てて攻めてくるのを恐れていましたからね。ロシアの専制主義では民衆の声はどの皇帝を支持するかという声しかなく民主主義の入り込む余地などないのですね。プーチンはプリコジンとワグネルの反乱の裏にも「何か」があったと思ってるのかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。空梅雨かと思える夏の日射し。昨晩深夜にはチョイと豪雨もあったのかもしれないけど昨日は東京に出て疲れたのか寝込んでしまって気付かなかった。南関東は線状降水帯ともゲリラ豪雨とも今のところ無縁かな。九州地方の皆さんお見舞い申し上げます。ワン。デスクワークは明日のRKB毎日放送での世界水泳の話題で古式泳法のことを喋りたいので少々勉強。かつてシンクロと言っていた競技で五輪メダリストの奥野史子さんも立花美哉サンも武田美保さんも皆さん京都踏水会の出身で踏水とは古式泳法で水を踏むこと。立ち泳ぎのことですからね。さらに金曜の『ニューズ・オプエド』のゲストが大リーグ評論家の福島良一さんに決まったので彼の新著『もっと知りたい!大谷翔平』を読み直したり『ウクライナ戦争』を読み続けたり…やっぱり自分は活字中毒なのかなと再確認。

DVD
『フォレスト・ガンプ』
『フォレスト・ガンプ』
小生には駄作としか思えないアメリカ人向けアメリカの現代史映画です

7月5日(水)
朝ベッドで『ウクライナ戦争』読み続ける。ロシアがキーウに向かっての最初の侵攻に失敗したのは結局プーチン(ロシア人)がウクライナ人は「弱い」という「民族主義的優越感のようなもの」もあったのではないか…という指摘はオモシロイ。《ジェイン・オースティンの小説『高慢と偏見』ではそのタイトルにある二つの要素が男女の衝突を引き起こし最後にはロマンスへと結実する。だがロシアの「高慢と偏見」がもたらしたのは手痛い軍事的失敗であった》ナルホド。さらにプーチンが《ゼレンスキーという政治家の力量を見誤った》のも大ミス。ゼレンスキーはロシアの侵攻直後にアメリカから亡命を求められても「必要なのは弾薬であって(亡命のための)移動手段ではない」と断ったほか様々な決断でロシアのキーウ占領と政権転覆を押し返したのですからね。クラウセヴィッツの《戦争の三位一体論》も興味深かった。《フランス革命前の軍隊は貴族の財産》で傭兵のようなものだったがナポレオン戦争以後の戦争は《国家が政治的目標を達成するための手段》であり国の《軍隊による暴力闘争》でありソコには《国家と自己を同一視して大量の犠牲を払う覚悟を持った「国民」という存在が絶対に必要》となる。この《三位一体》を実現していたのはもちろんワグネルなどに頼ったロシアではなくウクライナ。その結果プーチンが《48時間で消滅するはず》と「高慢&偏見」で考えていたウクライナは《クラウセヴィッツのいう「国民」の要素》も大きく働いて長期戦に至ったというわけか…サテこのあとはどーなる?ベッドを出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは福岡で開催される世界水泳第2弾として日本のアーティスティックスイミングと古式泳法(日本泳法)の関係について昨日の本欄に書いたようなことを話す。ラジオのあと黒兵衛と散歩。ヨメハンが少々ギックリ腰気味。年齢的には黒兵衛のほうがかなり年上のはずなのに黒兵衛はメッチャ元気。ヤハリ四足歩行から進化した人類の二足歩行はそもそも身体に無理があるのかな?終日読書や雑務の一日。昼間NHK-BSで『フォレスト・ガンプ』をやっていたけど以前キチンと見て何故この映画がアカデミー作品賞に選ばれたのか理解できなかった。昼飯食べながらちらちら見ても同じ印象。アメリカの歴史を好み懐かしむアメリカ人がこの映画を好んだとしても…ワカラン。晩飯はTBS-BSで統一教会問題を見ながら。自民保守派がこの宗教と仲良くなる理由がサッパリわかりませんね。ただただ票のため?そんな阿呆な…嗚呼。

DVD
レナード・バーンスタイン:コミック・オペラ『キャンディード』
レナード・バーンスタイン:コミック・オペラ『キャンディード』
これまたバーンスタインの大傑作です。聴いたことがないひとはカワイソーです
『ラトル/ベルリン・フィル ジルヴェスター・コンサート2002』
『ラトル/ベルリン・フィル ジルヴェスター・コンサート2002』
バーンスタインのミュージカル「ワンダフル・タウン」の素晴らしい演奏。アンコールのコンガ!が凄い!

7月6日(木)
『ウクライナ戦争』あと少しで読了。ロシアはこの戦争(特別軍事作戦)で多くの失敗を繰り返したがなかでも最悪なのが《プーチンが作戦レベルとか場合によっては戦術レベルの運用にまで口を出しているのではないか》ということだったようだ。《これは多くの戦争を失敗に導いてきたマイクロ・マネージメントそのものである。つまり最高司令官が現場の細かいことまで介入してかえって混乱を招いたのではないかということだ》なるほど。ヒトラーを初めとする独裁者が失敗したやり方ですね。そのプーチンが《どう見ても戦争が起きているにもかかわらず》特別軍事作戦という言葉に固執し戦争が起きていることを《認めようとしないという態度はアントン・チェーホフの戯曲『桜の園』を思い起こさせる》との指摘はオモシロかった。没落貴族の女地主は贅沢な暮らしを続けカネが必要で「桜の園」を売るほかないのだがその買い手が小作農出身の男であることが気に入らず決断できずにいる…つまり《かつての超大国にしてスラヴ世界の盟主であった過去を忘れられない現在のロシアをここに重ねることも出来ようが戦場の現実(=ウクライナに主導権を奪われたこと)を直視しようとせずに「特別軍事作戦」の名称にこだわるプーチンの姿もまたラネフスカヤ(桜の園の主人公)めいたものを感じざるを得ない》なるほど。チェーホフだけでなくトルストイ&ドストエフスキー&プーシキン&ゴーリキー&ゴーゴリ&ショーロホフ&パステルナーク&ソルジェニーツィン…山ほどいるロシアの凄い作家はロシア人の行動をプーチンも含めて全て既に描いてるようですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。雨は夜間のみで昼間は空梅雨状態の南関東。暑い暑い暑い。言うまいと思えど今日の暑さかな…という漱石の一句を昔ドンキーカルテットという漫才バンドがギャグのネタにしてYou might thnk but today's hot fish.なんて英語(?)をテレビの『笑点』で披露していた。昔の漫才グループはレベルが高かった(?)終日デスクワーク。暑い日は読書に限る。そしてビール。久し振りにバーンスタインの『キャンディード』を見ながら晩飯。このヴォルテール原作のミュージカル(コミック・オペラ)は本当に素晴らしいですね。

7月7日(金)
この日を七夕と呼ぶのはさすがに首を捻る。琴座のベガ(織り姫星)と鷲座のアルタイル(彦星)はまだ天頂に上ってないのですからね。守りたい旧暦(太陰暦)は決して少なくないですね。小泉悠『ウクライナ戦争』(ちくま新書)読了。いろんなことを教わりました。ハイテク技術を多用した「新しい戦争」が結局は武力(暴力)のぶつかり合い(殺し合い)という「古い戦争」に修練してしまう理屈がよくわかりました。だから平和を求めて停戦交渉が始まっても《大国の侵略が成功したという事例を残さないようにする》ところが困難とはいえなキモになりますね。《仮想敵国全てが核保有国であるわが国にとってこれは他人事ではない》し「台湾有事」のとき日本はウクライナ戦争のポーランドと同じ立ち位置に立たされるわけですね。それを頭に入れておくことにしましょう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して打ち合わせして『ニューズ・オプエド』はゲストがスポーツライターの小林信也さんと大リーグ評論家の福島良一さん。特集は「大谷の活躍とメジャーから考える甲子園大会」と出して福島さんにアメリカの高校野球やアマ野球事情をイロイロ聞けたのが素晴らしかった。メジャーのオールスター戦の祭典(1週間くらいある)のなかで全米の優秀な高校生野球選手を集めて東西対抗戦をしたり野球の指導をしたり…。アメリカの学校は9月新学期で集まる高校生は全てメジャーのドラフト指名を受ける選手。高校野球はリーグ戦中心の州大会だけで全国大会は存在せず高校野球部の監督は勝利を目指すのではなく高校生の健康管理が仕事だとか…。当然高校野球の試合はアメリカでは誰も注目していないわけで…サテ日本の高校野球改革はどこから手を付けるべきか…私学の宣伝のためとなっている勝利至上主義を改め…野球(スポーツ)が公共の財産であるという認識を広め…そのためには高校生の野球に大騒ぎしているマスメディアが手を引き…マスメディアの関係者や高野連関係者は話し合いには応じても記事にするのはNGのオフレコ会談を希望とかで…サテ今年の真夏の甲子園大会はどーなる!?「オプエド」のあと「チコちゃん」見ながら晩飯。日本の社会は「悪い」とわかっていることでも改めようとはしない社会かもしれませんね。マイナカードも…。

BOOK
志村真幸『未完の天才南方熊楠』講談社現代新書
志村真幸『未完の天才南方熊楠』講談社現代新書
本が面白いと言うよりも熊楠の人柄に圧倒されました。スゴイ!

7月8日(土)
朝ベッドのなかで志村真幸『未完の天才南方熊楠』読み始める。本物の天才とは凡人にとって理解不可能の域に住んでいるのですね。その存在をどう理解するか?読まねば。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。梅雨の豪雨に苦しめられている人もいるというのに南関東はまるで梅雨明け状態。夜中は降ったらしいが日本は広いと言うべきか異常気象と言うべきか。真夏の陽射しに汗まみれで帰宅後シャワーを浴びてスッキリしてからデスクワーク。昨日『ZAITEN』編集部から届いた小林信也さんとの対談速記を読み原稿の構成を考える。真夏の甲子園大会へ向けての地方大会が始まったけどとにかく「犠牲者」が出ないことを祈りたいですね…と思いながら高校野球にはまだまだ不可解なことが多いですね。選手への暴行で活動を禁じられていた高校野球の監督は「復帰」したのですね。4か月謹慎という「刑期」を終えたらOKで良いのかな?保護者などの復帰嘆願があったと言うけど小林さんも言っていたようにやってはいけない「暴行をみんなの見ている前でやった監督」を指導者と現場復帰というのはどんな「指導」を評価したのかな?高校野球の監督はとにかく勝てば(野球部を甲子園に導けば)それだけで高評価されるのですね。夕方からTBS『報道特集』見ながらチョイと早いビール&酒&晩飯。自民党の「憲法改正の会」に旧統一教会の関係者が深く関係。自民党保守派がどうしてこんな明らかな「反日韓国宗教団体」と結びつくのか?コレはホントに不思議な現象ですね…と思っていたら同性愛者左部つん酷い発言をした首相補佐官も職務に復帰とか…日本の社会はこれでいいのかな…?一昨日バーンスタインの『キャンディード』に改めて感動したので今夜はワイン飲みながら『ワンダフルタウン』を見る。ラトル指揮ベルリン・フィルも歌手もノリまくっての大名演。バーンスタインの作曲した音楽というのはメロディも美しいし本当の素晴らしいですね。『ウェストサイド・ストーリー』以外にも素晴らしいミュージカルがあるのをもっと多くの人に知ってほしいですね。

7月9日(日)
『未完の天才南方熊楠』読み続ける。オモシロイ。ただチョイと異論もある。《かつて卓越した記憶力は偉人や天才につきものの要素であり「物知り」であることは記憶力がよいこととイコールであった》なるほど。《熊楠以外にもたとえば柳田国男や牧野富太郎が記憶力を誇ったことが知られている》しかし《パソコンやスマホで調べればすぐに何でもわかりこうした記憶自慢たちが活躍の場を失いつつある。記憶力が必ずしも天才や異能のあかしではなくなってしまったのは残念だ》と書かれているが「何を」「どのように」「大量に」「知ってるか(記憶しているか)」はやはり現在でも「天才」や「異能」の証だと小生は思う。最近のTVのクイズ番組のように「ただ知ってるかどうか」だけを競うのではお話にならないですけどね。熊楠や柳田や牧野の知識はそんな薄っぺらなものじゃないでしょう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。真夏の太陽がガンガン照りつけるのは嫌いじゃない。小学生の夏休みに建仁寺の境内で毎日草野球に興じていたときの暑さが思い出される。ワン。帰宅後は終日デスクワーク。小林信也氏との対談を纏め始める。ふうううう。晩飯は久し振りにお隣のフランス人ご夫妻と共に『鮨処もり山』さんへ。そうか。『もり山』サンも開店30周年か…開店以来のお付き合い…お互い歳をとるはずですね。美味しいお寿司と酒と記念品をいただいて大満足。明日から原稿に集中!

7月10日(月)
ベッドの読書『南方熊楠』はお休み。というのは『週刊現代』に面白い記事が山ほど並んでいたから。保阪正康『安倍家はなぜ天皇に嫌われたのか』鈴木エイト『山上達也がこれから口にすること』岩淵達也『中国の工場に丸投げされた日本人500万人のマイナンバーと年収情報の行方』(ナンデ日本人の情報を中国の会社に下請けさせて暴露させた会社が何億円も儲けるのか!))他に編集部の記事『インド人のIT長者がカースト制度と共存できる理由』『テレサ・テンはなぜ死んだのか-いまの台湾から』も興味深く読んだ。自分が雑誌記者出身だから言うのじゃないけど日本のジャーナリズムは週刊誌が頑張らないといけませんね…あと期待できるのはネットかな。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。暑い(~Q~;)猛暑酷暑惨暑激暑劇薬的熱暑…これはマイッタですね。九州の豪雨も大変ですけど日本の熱帯化の蒸し暑さはタマランですね。散歩に出た黒兵衛も雲古を済ませてサッサと帰宅。我が仕事部屋は2階にあって風通しがいいけど終日の原稿書きに今年初めてエアコンのスイッチをオン。ふううう。晩飯はビデオに入れた大相撲を見ながら。湘南乃海ガンバってますね。続けて神奈川テレビで吉本新喜劇。スチコさん中心のハチャメチャギャグに爆笑して暑さを吹き飛ばす。原稿は明日完成かな?

7月11日(火)
『南方熊楠未完の天才』読みつづける。明治時代というのは漱石のように官費で海外留学を果たした人物もいたけど熊楠のように恵まれた家計の私費で留学した若者も少なくなかったのですね。今は海外に「雄飛」したいと思ってる若者は多いのかな?少ないのかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と猛暑のなか散歩。猛暑は小生にとっては気持ちのいい季節。ただしそれは仕事がなければ…の話。終日のデスクワークに今夏初めて仕事場のエアコンのスイッチを入れる。おかげで『ZAITEN』の小林信也さんとの対談原稿完成。締め切りはまだ先なので少し寝かせてブラッシュアップしましょう。小林さんの「野球が上手くなっても人生の役に立たない」というのは至言ですね。スポーツはすべてそうですね。その「意味」を深く考えるべきですね。明日はアメリカ・メジャー・リーグのオールスター戦。大谷翔平はベースボールの高い技術を身に付けてMLBのマーケットでビジネスを成功させた希有な存在と言えますね。

7月12日(水)
ベッドで『南方熊楠 未完の天才』読み続ける。オモシロイ!熊楠は某氏への書簡で《小生は福沢諭吉氏の天爵説に心酔し今も学位とか学会員と申すは一切辞退いたしております》というのが彼の生き方の根幹と言える。《天爵とは官位などは持たないが自然に備わった立派な人格の人物・在野の貴人のことをいう》らしいが今この文章をATOKで打っていたら最初「在野の奇人」と出た。熊楠にはそれでもいいのかな?ワン。黒兵衛との散歩は後回しにしてベッドを出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは先々週と先週に引き続き福岡で開催される世界水泳の第3弾。日本の水泳は何故強い?という疑問に対して1回目は戦前の猛練習。2回目は古式泳法の伝統を紹介。今回の3回目は子供のカナヅチ回避を多くの母親が望んでスイミングスクールが発展したことを紹介。さらに新種目のハイダイビングやRKBのある百道浜で行われるOWS(オープン・ウォーター・スイミング)を紹介。イロイロ水泳競技のおもしろ話をしたあと黒兵衛と猛暑のなか散歩。ホント。死ぬほどの暑さでした。帰宅してシャワー。シッカリ身体を洗って準備して大船から湘南新宿ラインで渋谷へ。渋谷駅を降りた途端ギョギョギョ。すっかり様変わりして道路がサッパリわからず。『真夏の甲子園はいらない』に関してJB PRESSの取材を受ける予定だったので担当者に迎えに来てもらう。共著者の小林信也さんは先に到着していて女性インタヴュアーの質問の答えるカタチで高校野球の様々な問題点について1時間半たっぷりと話させていただく。しかしコノ猛暑酷暑のなか地方大会が行われてるのは尋常じゃないですね。このビデオ・インタヴューがネットにアップされたら改めてお知らせします。帰宅してビデオ収録した大相撲を見ながら晩メシ。若い力士が元気なのはイイですね。

7月12日(水)つづき
大相撲を録画で見たあとNHKで『解体キングダム』をやってました!巨大重機を使ったビルの解体に加えて巨大重機の操作コンテストに感激。これは『魔改造の夜』と並ぶ最近のNHKの最高の番組です。

7月13日(木)
『未完の天才 南方熊楠』読み続ける。熊楠がエコロジー(環境問題)の観点から明治政府の「神社合祀」に強く反対したのは素晴らしい。《無用のことのようで風景ほど実に人の世の中に有用なものないと知るべきである》と書いた熊楠の一文は深く噛み締める価値がある。本書の著者の志村真幸は《「風景」という言葉は現在では「環境」といいかえていいだろう》とわかりやすく解説を加えてくれていて確かにその通りなのだが「風景」という言葉の有する「環境」という言葉にはない美しい視覚的イメージも含めて風景という言葉の持つパワーを再認識した。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。梅雨は鬱陶しい季節とはいえさらに鬱陶しいのは誤解であり無知ですね。小生は30歳代後半に「同姓同名でクラシック音楽評論家がいるね」とか「同じ名前でオペラの本を出した男がいるぞ」とか言われて以来誤解には慣れていて「名声とは誤解の総体である」というリルケの言葉を見つけて自分を慰めたりもしましたが昨日送られてきた文庫本の解説に無知か読解力不足によるとしか思えない酷い誤解と曲解による小生に対する文章を見つけてコレは絶対に放置できないので抗議文を出版社に送りました。詳しいことはまだ書きませんがスポーツライターという存在を何処かで低く見る性癖を残しているライターはまだまだ存在するのですね。あ。小生はスポーツジャーナリストというような明らかにジャーナリストと矛盾する肩書きは一度も使ったことがないですからね(世の中のあらゆる事象を取材し考え表現するのがジャーナリストですからね)。人の肩書きを間違えて書いたうえに内容も間違えている文章にはつくづくウンザリさせられました。こんなことに時間を取られるのもさらにウンザリですね。嗚呼。ワン。終日デスクワークは小林信也さんとの『ZAITEN』の原稿をブラッシュアップさせて編集部へ送る。ヤケ酒もさもしい気がするのでヤケ寝でもするか。

BOOK
戸田学『上井岡竜太郎話芸一代』青土社
戸田学『上井岡竜太郎話芸一代』青土社
ラジオで2度ご一緒させていただいた上岡さん。「逃亡バテレン=河童論」が素晴らしかった

7月14日(金)
『未完の天才南方熊楠』もうすぐ読了となるのが悲しくなるくらいオモシロイ。妖怪に対する知識も相当なもので水木しげるが熊楠の生涯を『猫楠』と題した漫画にしたのも当然ですね。ただ河童の話題については最近亡くなられた上岡龍太郎さんの「河童=来日バテレン説」が大好きで熊楠も柳田国男も水木しげるもそのアイデアに至らなかったのは残念だ。キリスト教に対する弾圧で山に逃れて隠れていたバテレン(宣教師)が時々川に水を飲みに来てソノ姿を時折見た村人たちが頭頂部を剃ったバテレンの姿から河童のイメージができあがったという。今もかつてのキリシタン大名大友宗麟(洗礼名ドン・フランシスコ)の治めた豊後(大分県)に残る河童祭りにはポルトガル語で歌われる歌が残っているということを上岡龍太郎さん出演(多分プロデュースも)のポルトガル取材も含むTVドキュメンタリーで見たことがある。上岡さんとは2度ばかりラジオでご一緒させてもらったことがあったが「打てば響く」とはこの人のことだと気持ちのよかったことを記憶している。合掌。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。雲が多く涼しいかと思えば湿度は低くならず蒸し暑さは相変わらず。そう言えばカルロス・クライバー指揮ウィーン国立歌劇場公演R・シュトラウス『ばらの騎士』の来日公演を見聴きしたことがあったけど第1幕が終わった瞬間…あああ…こんなに素晴らしい演奏の3分の1が終わってしまった…この舞台は永遠に続いてほしいと思ったものだ…熊楠に関する本を読んでると熊楠という人間の大きさにもそんな凄さがありますね。他には夢野久作『ドグラマグラ』と谷崎潤一郎『乱菊物語』もそうかな?ワン。いろいろゴチャゴチャ雑用のあと夕方から『ニューズ・オプエド』今日のゲストはスポーツライターの小林信也さんと五輪アナリストの春日良一さん。春日さんの主張する2030年冬季オリンピックをウクライナで!!という主張に大賛成で春日さんには2週前に続いて出演してもらった。そしてオリンピックと甲子園大会という「人気イベント」の問題点を語り合う。今も視聴できるのでどうぞhttps://op-ed.jp/

DVD
『ゴッド・ファーザー PARTV』
『ゴッド・ファーザー PARTV』
小生の大好きな映画はディレクターズカットよりも映画館公開版のほうがイイです

7月15日(土)
読書が進まないのは夜の暑さに加えて小生に関するメッチャ阿呆な記事が書かれたこともあるみたいです。ネットに出ている阿呆な記事はまったく気にしないことにしてます(それに関わるとこっちも阿呆と同じレベルに堕すことになりますから)。しかし文庫本の解説に堂々と間違ったことを平気で書かれるとガッカリしますね。読まれる量はネットより少ないのかもしれませんが自分が信頼しているメディアの堕落はショックですね。もちろん抗議の文書は送り担当編集者は非を認め電話で誤ってくれましたが執筆者からの謝罪はまだです。嗚呼。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。猛暑はキツいけど夏は嫌いじゃないですね。ワン。帰宅してシャワーを浴びて仕事。『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」に大谷の活躍ばかりを報じてMLBとプロ野球の構造的彼我の違いを報じないマスメディア批判を書く。MLBの美しい球場のほとんどには大量の税金が投入されているけど日本のプロ野球の球場にはほとんどソレがないことが根本的問題ですよね。東京ドームを建て替えるからといって東京都が税金で支援することに賛成する都民も国民もいないということこそ日本のスポーツ界の最大の問題点と言えるかも…。夕方から久し振りに長女が来宅。大相撲見ながら晩飯(今場所の若手力士大活躍の大相撲はオモシロイですね)のあと酒飲みながら映画『ユナイテッド93』を見る。前半から中盤のドキュメンタリー・タッチの管制塔や軍や航空管理所の場面のスピーディな展開は映画として見事に作られていた。悲劇に終わる後半はチョット見るのが辛いですね。口直しにというわけでもないが『ゴッド・ファーザーPARTV』の終盤をコッポラのディレクターズ・カット版と劇場公開版を見較べて楽しむ。これは完全に劇場公開版のほうがイイですね。監督(ディレクター)が自分のやりたいようにやるのが素晴らしいとは言えないわけでエディター(編集者)の力の見事なことを再認識できました。映画だけでなく書籍も同じですよね。

BOOK
桑瀬章二郎『今を生きる思想ジャン=ジャック・ルソー「いま、ここ」を問いなおす』講談社現代新書
桑瀬章二郎『今を生きる思想ジャン=ジャック・ルソー「いま、ここ」を問いなおす』講談社現代新書
ルソーってスゴイ人みたいですけど、かなりケッタイナ人かな?
DVD
『サイモン&ガーファンクル/セントラル・パーク・コンサート』
『サイモン&ガーファンクル/セントラル・パーク・コンサート』
1981年9月のコンサート。LDで数え切れないほど見直し聴き直しました。今見ても素晴らしい!
BOOK
弘中惇一郎『特捜検察の正体』講談社現代新書
弘中惇一郎『特捜検察の正体』講談社現代新書
小生は[捕まる側]の人間なので(苦笑)特捜部の恐ろしさが身に染みました

7月16日(日)
ベッドの読書で志村真幸『未完の天才南方熊楠』(講談社現代新書)読了。風景(環境)・妖怪・変形菌(粘菌)・キノコ・夢…熊楠が研究対象に選んだ分野はすべて完成があり得ないものばっかりだったのですね。そういう分野を選んでしまう熊楠の感性は素晴らしいですね。未完成を選ぶ感性を未感性と呼びたいですね。ワン。ベッドを出てギンギラギンの陽光の下長女と一緒に黒兵衛と散歩。昔桂枝雀さんはこーゆー天候のことを「お日ぃさんがクヮアアアアー!」と表現されてましたね。おまけに「これは外国語へは翻訳不可能で日本語にはそんな言葉が結構ぎょうさんあるのは嬉しいことでございますね」などと落語の枕に使っていたのを憶えている。ワン。それにしても凄い陽射しでテレビのスイッチを入れると神奈川テレビで高校野球の神奈川大会を放送していたが球審が体調不良を訴えて試合が中断。後に再開したがNHKのニュースが「特別な場合を除いて屋外での活動は止めましょう」と言っていたが高校野球は「特別な場合」なのですね。熊楠の本を読了したと思ったら講談社から現代新書の新刊が送られてきた。桑瀬章二郎『今を生きる思想ジャン=ジャック・ルソー「いま・ここ」を問い直す』これは面白そうで是非読みたいですね。弘中惇一郎『特捜検察の正体』。「まえがき 特捜検察20の手口」で五輪汚職を取りあげ(著者は逮捕された角川歴彦氏の弁護人)紳士服AOKIの前会長に有罪判決が出たことの《一方で大会組織委員会の中枢にいた森喜朗元首相をはじめとする自民党の有力政治家や副会長だった竹田恆一JOC元会長には任意で事情聴取したもののそれ以上のことは何もしていない》と痛烈に批判。絶対読まねば。池上彰+佐藤優『黎明日本左翼史 左派の誕生と弾圧・転向1867-1945』これは太平洋戦争後の『日本左翼史』を『新説』『激動』『漂流』の3冊に纏めたあとの明治に遡っての記述。読まねば。そう言えば一昨日の東京新聞に池内了氏が『「新たな敗戦」迎えるか』と題して『現代版富国強兵策』を書かれていた。明治以降の富国強兵策は結局無残な敗戦という結末に終わったが新たな富国強兵策として「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」と言い換え「強兵」とは言えないので「国家安全保障戦略」と言い換えた安倍政権以来の「軍拡路線」はどうなるのか?(新たな敗戦を迎えるのか?)という文章は納得しながらチョイと恐怖を感じた。焦臭い匂いの漂う昨今ですね。夕方涼しくなってから長女と長男の庭仕事=プランターの花を活ける)を手伝ってみんなで晩飯。久し振りにサイモンとガーファンクルのNYセントラル・パーク野外コンサートを楽しんだりレディ・ガガの♪サウンド・オヴ・ミュージックや♪ニューヨーク・ニューヨークを楽しんで極めつけはブライアン・アダムス&スティング&ロッド・スチュワートによる♪オール・フォー・ラヴ(映画「三銃士」のテーマ)でしたね。パヴァロッティとブライン・アダムスなどが歌ったのより凄かった。

7月17日(月)
朝のベッドの読書で池上彰+佐藤優『黎明日本左翼史 左派の誕生と弾圧1867-1945』読み始める。オモシロイ。「秩父困民党」による武装蜂起事件や車夫(人力車引き)たちの組織した日本初の無産政党である「車界党」など日本史の常識のなかに組み込んでおくべき出来事ですね。ワン。ギラギラの太陽の下長女と一緒に黒兵衛と散歩。梅雨明け宣言はまだとは言え暑さは真夏ですね。仕事さえなければ真夏は大好きですが今週はチョット仕事が立て込んでいるのと少々厄介な腹立たしい出来事の抗議をしたり謝罪を要求したりしなければならないので月末の締め切り連合通信の連載原稿を先に仕上げておく。ふうううう。結構時間がかかって大相撲TV観戦は晩飯を食べながら録画で。一昨日豪ノ山に勝った湘南乃海が琴恵校も破って頑張ってますね。地元力士を応援しましょう。毎週月曜8時からは神奈川テレビで吉本新喜劇。スチコさんと千葉さんの強烈なナンセンスの連続に感激。パターン化した意味のないギャグをこれほど上手く演じる喜劇役者はなかなかいませんよね。笑いで暑さを吹き飛ばした…とはいえ夜寝室で今夏初めてエアコンの世話になる。嗚呼。

7月18日(火)
『黎明日本左翼史』読み進む。オモシロイと言うよりコレは学習ですね。ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』という概念は知らなかったけどスルドイですね。《様々な出来事を一つの紙面の中に提示する新聞が世の中に登場したことで人々はその紙面に書かれている内容がある「一つの社会」で起きているっことだと初めて意識できるようになった。そしてこの意識を共有できる範囲こそが「国民」という「想像の共同体」なのであり18世紀のヨーロッパで国民国家とナショナリズムが芽生えたのは資本主義経済と印刷技術の発展により出版・新聞産業が興隆した必然的結果なのだとアンダーソンは考えた》ナルホド。「想像の共同体」は新聞→ラジオ→テレビ→ネット→SNSと変化したなかでどのように変化したのかな?分断された共同体?ワン。ベッドから出て猛暑でギンギラギンの太陽の下黒兵衛と散歩。そう言えば一昨日の高校野球神奈川大会で球審が体調不良を起こして試合が中断したことはどこも報じませんでしたね。報じられないものは社会(共同体)に共有されず存在しなかったものとなるのですね。高校野球には「存在したのに存在しなかったものになったなってしまった存在」がけっこうありそうですね。ワン。今日から岩佐賞という表彰の一次審査を始める。芸術・スポーツ部門の審査で今年で3年目。面白そうな企画がいっぱい寄せられて結構シンドイ作業ですなあ…。晩飯は大相撲の録画を見ながら。横綱不在でも今場所の土俵は抜群にオモシロイ!翔猿・碧富士ほか魅力ある力士が次々と頑張ってますね。ブラーヴォ!

7月19日(水)
『黎明日本左翼史』読み進む。中江兆民・堺利彦・幸徳秋水・黒岩涙香・内村鑑三・片山潜・安部磯雄…歴史の教科書の紹介だけではわからない各々のキャラが立ってオモシロイ。それにしても明治の知識人たちの語学にかける情熱は大したものです。大杉栄でも《英語とフランス語に加えて「一犯一語」を標榜し監獄に入れられるたびにエスペラント語ロシア語イタリア語ドイツ語スペイン語と使いこなせる言語を増やし》たというから南方熊楠が語学の達人になったのも明治人として驚くことではなかったのかもしれない。そうして海外に雄飛した中江兆民はパリ・コンミューンに遭遇し幸徳秋水はサンフランシスコ大地震の秩序ある無政府状態に遭遇。革命やアナーキズムを体感もしたのですね。ワン。黒兵衛との散歩は後回し。ベッドを出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは大谷の活躍でメジャーリーグ楽しむ基礎知識。ア・リーグ/ナ・リーグなんて言葉がアメリカでは通じないのは当然だがメジャーリーグと言ってもアメリカ人にはわからない。大リーグの野球はmeasure(メジャー=計量器)ではなくmajor(メイジャー=大きいetc)ですからね…といった話をいろいろして番組を終えて黒兵衛と灼熱の太陽の下の散歩を楽しむ。カリフォルニアのデスヴァレーよりはマシですからね。そして終日岩佐賞の一次書類審査に集中。小生を審査員に選んでくれたのは芸術もスポーツも審査できると評価してくれたから。それをまったく知らない男が小生をまるでスポーツのことしか知らないような書き方をしたので現在アタマにきて抗議してる最中です…がそれはさて措き審査は音楽絵画関係が上位に来てサッカーなどのスポーツ関係の点数が伸びないなあ…マァ仕方ないか。審査を続けなければ…その合間に『ZAITEN』の対談や連載の校正もこなして…ふうう。晩飯は大相撲の録画を見ながら。錦木強い!名古屋場所は休場力士が多いのにメッチャ面白いですね。

BOOK
池上彰+佐藤優『黎明日本左翼史 左派の誕生と弾圧・転向1867-1845』講談社現代新書
池上彰+佐藤優『黎明日本左翼史 左派の誕生と弾圧・転向1867-1845』講談社現代新書
明治から戦前の日本史の勉強になりました

7月20日(木)
『黎明日本左翼史』オモシロイ。小生が幸徳秋水&管野スガ・大杉栄&伊藤野枝などの薄い知識を持ち合わせていたのは宮本研の戯曲『美しきものの伝説』を高校生の時に文学座の舞台で見たから。他にも宮本研の戯曲は『阿Q外伝』も素晴らしかった。1970年代までは「革命」が我々の近くに存在してましたね。アナルコサンディカリスムもボルシェビキも近くにあった単語。しかしその時代は日本のメディアがスポーツに狂奔していた戦前の時代でもあり最近そのスポーツの時代を年表に纏めたりもしましたが(『真夏の甲子園はいらない』に書きました)その時代が「革命」とも同居していたことを再認識しました。歴史とは一筋縄で理解できるものではないですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。いつまで続くこの熱波。コロナ前は孫と二人で湘南海岸へ泳ぎにも行ったりもしたけどモウそこまでの元気はないですね。と思ったらいつの間にか孫は中学生になって水泳部に入っている。光陰如矢。學難成。ワン。終日仕事部屋に籠もって岩佐賞の芸術スポーツ部門の一次書類審査。入院患者に音楽を届けたり病院でアートの展覧会を開いたり子供にラグビーを教えたり障害者とサッカーを楽しんだり…みなさん有意義な活動をイロイロされていて頭が下がります。それに順位を付ける作業は少々辛いですね。一日中椅子に座る日が続いて少々疲れた。晩飯は大相撲の録画を見ながら。うわっ。湘南乃海が錦木に勝ったァ!今場所はホントにいろいろとオモシロイことが溢れてますね。

7月20日(木)つづき
大相撲&晩飯に続いて酒&オールスター戦を楽しもうとしたけど昨日に続いてイマイチ面白くないのでチャンネルを変えるとなでしこジャパンがアメリカに勝った2011年の女子W杯の決勝をやっていたので見てしまう。12年前は文化放送の朝の番組に生出演した直後スタジオ横のロビーのテレビでみんなで見て大興奮したのを今も憶えています。その結果を知っていても興奮するコレは名勝負!本当に見事な試合でしたね。延長宮間のCKから澤の同点ゴールで2-2からPK戦。GKの海堀大活躍でなでしこの見事な初優勝!!再放送見ても興奮しました。今年のなでしこも頑張れ!

7月21日(金)
『黎明日本左翼史』読了寸前。日本共産党の歴史の説明のなかでプロレタリアート文学を《エンタメ性抜群》と評していたのには笑いながらナルホドと納得した。《小林多喜二の小説にはエンタテイメント性がものすごくあるんですよ(略)あの凄惨な拷問描写は一種のSM小説のようにも読めてしまう艶めかしさがあります(佐藤)》《当時リアルタイムで読んでいた読者にしても一部はそういった受容の仕方をしていた可能性は否定できませんね(池上)》こういう非政治的な(人間的な)視点は面白いですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と汗まみれになって散歩。南関東に梅雨明け宣言を出すのが遅すぎますね。ワン。帰宅してシャワーを浴びたあとイロイロ準備して大船駅から品川へ。新幹線で名古屋へ。明日の栄中日文化センターと中日ツアーズ主催の兵庫県立文化芸術センターでの『佐渡裕プロデュース・オペラシリーズ「モーツァルトのドンジョヴァンニ」鑑賞ツアー』に解説者として同行するため名古屋へ。前泊するホテルに入ってアシスタントとして協力してくれる名古屋在住のスポーツライターKクンと待ち合わせ。Kクンによるとこのホテルは早くもリニア新幹線名古屋駅付近にその客目当てで建てられたという。リニア…はホンマに出来るんかいな?いろいろ楽しく晩飯&酒で歓談。部屋に戻って『チコちゃん』見たあとシャワーを浴びてベッドへ。大相撲の優勝争いは帰宅してからゆっくり録画を見ましょう。チコちゃんは「海の水はなぜなくならな」」の答えでいろいろ反論が出ているらしい。スポーツの話題でも(オーバーに言えば)抗議したい話もいくつかあった。けどまぁバラエティ番組ですからね。名古屋泊。

7月22日(土)
名古屋のホテルで朝6時半起床。シャワーを浴びて準備して7時20分のチェックアウト。迎えに来てくれたKくんと一緒に栄の久屋中日ビルへ。バスが停まっていて『佐渡裕オペラ観劇ツアー』の参加者が次々集まって合計20数名とスタッフ2人で午前8時にいざ出発。新名神高速道路や第二京阪高速を経由して名神西宮で一般道へ。途中2度のサービスステーション休憩タイムの前後3回にわたって今日見るオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の解説やオペラの歴史やモーツァルトについて喋ったあと兵庫県立文化芸術センターに到着。迎えに出てくれたスタッフの方に挨拶のあと楽屋へ。プロデューサーの小栗哲家さんに挨拶のあとツアー参加者と一緒にホール内のレストラン『テアトル・ボア』で昼食&歓談。デザートとコーヒーを楽しんでいるところへ予定通りのサプライズ企画で佐渡裕さんが登場してくれてツアーの皆さんに『ドン・ジョヴァンニ』の見所を解説。ポロシャツに短パン姿はゴルフをやってきたあとかな(笑)。お話のあとツアーの皆さん一人づつにサイン入りプログラムを配ってくださり最初のサプライズ企画は無事成功。全員でホール客席に入って『ドン・ジョヴァンニ』鑑賞。素晴らしい舞台に素晴らしい音楽の連続。最後にドン・ジョヴァンニが殺害した騎士長の石像が現れ稲妻と雷鳴と煙のなかジョヴァンニが地獄へ引きずり込まれるシーンは迫力満点!満員の観客総立ちのカーテンコールが何度も続いた。最後に巨大なドンペリが舞台に2本現れコルクが抜かれると金色のテープが何本も噴射。出演者も観客も全員手を振って別れを惜しむなか公演終了。サスガは佐渡さんですね。音楽でも舞台でも観客の心を鷲掴みでした。観客が佐渡さんのサイン会に並ぶか帰途につくなか我々オペラツアーの観客は客席最前列に集合。プロデューサーの小栗哲家さんから今回の上演の苦労話や面白話を聞いたあとバックステージツアーで楽屋から舞台裏を見学して舞台のうえへ。そこで再び小栗さんから話を伺ったり写真を撮ったり…舞台で使われ5個のシャンデリアは高さが2メートルもあったらしい。だから貴族ドン・ジョヴァンニ邸の迫力も出たのですね。これですべてのスケジュールを終えてツアーの皆さんは帰りのバスへ。小生も最後の挨拶をさせてもらうと全員が大満足と大喜びで来年の『蝶々夫人』も絶対にツアーを企画してほしいと言われた。小生はそこで別れてタクシーでJR西宮駅へ。新大阪から品川経由で心地よい疲れと共に大船の自宅へ帰宅。このオペラ・ツアーは2008年の『メリー・ウィドウ』以来『カルメン』『キャンディード』『こうもり』『トスカ』『セビリャの理髪師』『コジ・ファン・トゥッテ』『椿姫』『夏の夜の夢』『フィガロの結婚』『魔弾の射手』『オン・ザ・タウン』と12年に渡って続けてきたもの。その後コロナで3年連続中止となったが今年13回目のツアーが4年ぶりに成功。皆さんの喜ばれる顔を見て本当に嬉しかったです。佐渡さん・小栗さん・兵庫県立芸術文化センターの皆さん・それにレストラン『テアトル・ボア』の皆さん!本当にありがとうございました。来年も是非ともよろしくお願いします。

7月23日(日)
昨日のオペラ・ツアーで疲れたのか昨夜は大爆睡。まぁ晩飯が10時過ぎでベッドに入ったのが午前1時前だから当然でしょうね。読書を2日もパスしてベッドを出て黒兵衛と散歩。真夏の太陽も気持ちがいい。やっぱりその仕事は活力を補充出来ますね…と言うより佐渡裕指揮のモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』の迫力が体内にもエネルギーをくれたかも…ワン。デスクワークはゆっくりと通信社のコラムを書き直したり岩佐賞の審査表を完成させたり…そして池上彰&佐藤優『黎明日本左翼史 左派の誕生と弾圧・転向1867-1945』(講談社現代新書)を読了。日本の現実を知らないコミンテルンの指導に従い続けた戦前の日本共産党の失敗とはいえ最近も《新自由主義の導入の失敗を見ると悪弊は左翼に限らない》という池上氏の指摘は納得ですね。さらに現在は《日本の左翼運動が低迷している間に自民党を右から補完する政党や既成の政治を全否定するネット型の政治勢力が伸張して》いる状況。《戦後を「戦前」にしないために私たちに何ができるのか?》難しい状況ではありますね。面白かった名古屋場所の大相撲も豊昇龍の優勝で幕ですね。大相撲もここまでガチにやってくれると大満足ですね。夜はNHKスペシャルの深海調査と奇っ怪な深海魚たちとワインを楽しんで寝る。

DVD
『桂枝雀 落語大全 第十四集』
『桂枝雀 落語大全 第十四集』
枝雀さんの落語は全部面白いのでジャケット写真の面白いのを選びました
BOOK
酒井聡平『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』講談社
酒井聡平『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』講談社
7月31日現在まだ半分ほど読んだところですが、素晴らしいドキュメンタリーです

7月24日(月)
朝のベッドでの読書は弘中惇一郎『特捜検察の正体』(講談社現代新書)読み始める。ナルホド。ロッキード事件の田中角栄逮捕以来「正義の味方」のように思われていた東京地検や大阪地検の特捜部も結構エゲツナイ取調や拘留延長をやって自白調書のでっち上げまでやってるんですね。オーコワ。しかし《特捜事件はいったん動き出したら止まらない。少なくとも私は途中でブレーキを踏んで止まった特捜事件というものを聞いたことがない》と書かれているから東京五輪贈収賄汚職事件もまだ「上」のほうへと続いてるのでしょうね?ワン。ベッドを出て黒兵衛と熱波のなか散歩。木陰に入るとヒンヤリする。植物の力は大きいですね。ワン。デスクワークは連合通信の短いコラムをブラッシュアップして送稿&岩佐賞「スポーツ芸術部門」の一次書類の評価表を仕上げる。ふううう。2階の仕事部屋は風が入るとエアコンは不要。世界中のエアコンを一斉に消すと温暖化はかなり和らぐようにも思えるけど…人類は自分で自分の首を絞めてるのかな?金土のオペラ・ツアーで自宅を離れた間の郵便物の整理をしたら講談社から酒井聡平『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』というノンフィクションが届いていた。帯に《日本兵1万人がいまだ行方不明の謎》とある。著者は北海道新聞記者。《土曜日曜は戦争などの歴史を取材発信する自称「旧聞記者」》という紹介にも惹かれた。読まねば。さらに『東京大学×吉本興業[編]最強の漫才 東大と吉本が「お笑いの謎」に迫ってみた!!』というA4版のデッカい一冊も。「笑い」の分析はベルクソンの『笑い』(岩波文庫)を読んだことがあるが桂枝雀師匠の「笑いと呼吸論」で十分という気がした。息を吸ってるときは笑えず吐いてるとき笑うというわけ。ダニー・ケイがニューヨーク・フィルを指揮したときも確か同じようなことを言ってましたね。晩飯はTVKで吉本新喜劇を見ながら。平均点の面白さ。つっかけの客相手にはそれが大事なんですよね。

DVD
『ドン・ジョヴァンニ&コジ・ファン・トゥッテDVD決定盤オペラ名作鑑賞シリーズ5』
『ドン・ジョヴァンニ&コジ・ファン・トゥッテDVD決定盤オペラ名作鑑賞シリーズ5』
チューリヒ歌劇場の舞台。バルトリの貴重な舞台姿と見事な歌声が堪能できます。

7月25日(火)
『特捜部の正体』読み進む。非常に興味深い指摘の連続だが小生はどちらかと言うと捕まえて尋問する側ではなく捕まえられて取り調べられる側の人間と言えるので(笑)特捜の異常と言うほかない激しい取り調べを読んで「御上」の怖さを感じるほかなかった。もっとも庶民感覚としてカルロス・ゴーンに同情の念を抱く気にはなれないが…そういう庶民感情も特捜は利用して「目的」を達成するのですね。村木厚子・角川歴彦・小沢一郎・堀江貴文・鈴木宗男…らを窮地に追い込んだ特捜の「目的」って何?もうすぐ読了。その「何」がわかるのかな?ワン。ベッドを出て猛暑熱波のなか黒兵衛と散歩。犬を飼ってる多くの人はもっと早い時刻に散歩に出ているらしいが小生は猛暑も極寒も午前9時を動かさない。別に大きな意味はないがルーティンとはそんなものでしょう。黒兵衛も真っ黒な身体に真夏の陽射しを浴びてギラギラと黒光りしながら元気に歩いている。もう12歳。元気だな。ワン。デスクワークは北國新聞の連載『スポーツを考える』70回目の連載執筆。今年もまた「魔夏の甲子園」じゃなく「真夏の甲子園大会」に向けて狂気の…と言うほかない高校野球が始まっている。屋外で運動禁止の猛暑のなか大人たちが高校生を使って楽しんでいる大会…とも言える異常事態を批判。自著の宣伝は控えました(苦笑)。そう言えば一橋大の坂上先生は「理屈のないものは強い」という言い方をされてましたね。誰も高校生の「教育」などとは思っていない高校野球が高体連や教育委員会から独立して「何」のためにやってるかわからないまま100年以上続いてるのは「強い」のですね。朝日新聞の利益になっているとも思えないし…「売名」で利益を得るのは甲子園に出場した私学高校だけかな?明日のRKBラジオの準備(女子サッカー)をして晩飯は先週のオペラツアーに刺激されてチューリヒ歌劇場の『ドン・ジョヴァンニ』を見ながら。マッティ・サルミネンの騎士長は迫力ですね。

7月26日(水)
弘中惇一郎『特捜部の正体』(講談社現代新書)読了。正義の味方と思われる地検特捜部が実は《捜査権・逮捕権・起訴権の"一体化"により暴走を止めることはますます難しくなった(略)。しかし強大な権力を持つ特捜部をチェックする機関はどこにもない》《概して検察官というのは「自分たちは日本のために仕事をしている」という意識を持っているようである。ことに特捜部の検察官は自分たちで事件を探し出し自分たちで立件するのでそのような意識が強い》こんなところから《「自分たちは日本のためにやっている。強引な捜査をして何が悪い」という歪んだ正義感が彼らを暴走させる要因の一つになっていると思う》と書く著者は「人権」よりも「治安維持」を優先させた終戦直後の「人質捜査=長期拘留」等のアナクロ反人権捜査を批判してリーズナブルな特捜部改革案を提示している。誰もが読むべき一冊だと思ったが特に検事やヤメ検の皆さんの「反論」を聞いてみたいですね。ワン。黒兵衛との散歩は後回しにしてベッドを出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマはW杯なでしこジャパンの活躍が期待される女子サッカーについて。サッカー発祥の地であるイングランドではサッカーは男子のスポーツと考えられて女子サッカーはなかなか発展しなかったが男子の球技はアメリカン・フットボールでサッカーは女子のスポーツと考えたアメリカで女子サッカーが発展した…とかサッカーを主に男子のスポーツ考えたヨーロッパ(デンマークやドイツ)で女子の球技としてハンドボールが生まれた…なんて話をして朝のラジオを終えて黒兵衛と散歩。殺人的猛暑のなか夏は暑いのが当然!と頑張って散歩。しかし殺されはしなかったけど暑い。家に帰るとNHKーBSで高校野球神奈川大会決勝をやっていた。殺人的猛暑のなか審判の足が攣って試合が中断。試合再開後今度は球審が体調不良だか何だかで球審が交代して試合が再開。神奈川高野連の解説者が「横浜球場の人工芝の上は気温が60度にも70度にもなりますからね」と平気で言っていたのには唖然とした。そんななで野球をやるのはギネス新記録級か?異次元の野球か?夏目漱石が『趣味の遺伝』の冒頭に《暑さのせいで神も気違いになる》と書いた(日露戦争を批判した)ことを思い出す。とにかく尋常ではないですね。午後からは冬のニュージーランドでの女子サッカー日本vsコスタリカ。なでしこジャパンが見事に2-0で勝利。昨日の本欄に書かなかったけどパリ・サンジェルマンのクダラナイ試合よりよほど見る価値のあるイイ試合でした。北國新聞の原稿の校正をして晩飯は今日も『ドン・ジョヴァンニ』を見ながら。トーマス・ハンプソンのザルツブルク音楽祭の舞台。演奏は素晴らしいけど現代版の演出は?

7月27日(木)
朝ベッドのなかでの読書で酒井聡平『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』(講談社)読み始める。なぜ小生に送られてきたかわからない一冊だが北海道新聞記者で土日は「旧聞記者」と自称して第二次大戦の取材を続けている記者の硫黄島での遺骨収集ドキュメンタリー。《「終戦」とは戦闘の終了に過ぎない。「戦禍」には終わりがないのだ》《大腿骨を持った際のずしりとした感覚はしばらく僕の手から消えなかった。兵士はまだ戦っているのだ。僕は強くそう思った》《ここでは毎日がお葬式なのだ》読み始めてすぐに気付いたのは読む価値アリの一冊だということ。良い本を送っていただき感謝です。ワン。殺人的猛暑のなか黒兵衛と散歩。昨日の高校野球神奈川県大会で「誤審」が騒がれているが猛暑で審判が倒れたことは騒がれない。不思議な高校野球。中日新聞の高校野球特集の連載で巨人二軍投手コーチの桑田真澄さんが「改革しないとマイナー競技になる」と憂いていた。高校野球はマイナー競技になったほうがイイとも思いますが主催社(朝日新聞射)は高校生の健康や野球の健全な発展よりもデッカい話題で騒ぎ立てたい(新聞を売りテレビの視聴率を上げたい)から桑田氏のような危機感は抱いてないでしょうね。嗚呼。ワン。終日デスクワーク。請求書を書いたり明後日のオプエドの手配をしたり(ゲストは小林信也さんと氏原英明さん)。思い切り高校野球の「前向きの話」をしましょう。NHKがテレビ中継を止めれば私学の宣伝効果もなくなり、高校野球も高校生の健全な部活動に戻るでしょう(と小林さんも言ってます)がテレビや高校野球ファンは反対するでしょうね。まるで古代ローマ時代にグラディエーターの戦いを見て楽しんだローマの貴族や市民のように殺人的猛暑のなかでの「戦い」を楽しむ人がいますからね。夜は阪神巨人戦や世界水泳を見ながら晩飯。スポーツの話題は尽きないけど小生の最大の注目は2030年のオリンピック冬季大会のウクライナ開催ですね。ロシアもベラルーシも参加してウクライナ五輪ができればオリンピックの平和の理念も復活ですよね。

BOOK
『学研の日本文学 谷崎潤一郎 少年 神童』
『学研の日本文学 谷崎潤一郎 少年 神童』
谷崎の初期の短編はほんとうに素晴らしいですね

7月28日(金)
酒井俊平『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』読み進む。戦時中硫黄島はサイパンから飛び立った米軍B29爆撃機が日本軍の攻撃で帰還困難になったときの中継地や護衛の戦闘機の発着基地として利用するため大急ぎで滑走路が整備されたらしい。その結果多くの日本兵の遺骨が今も滑走路の下にあるかも…その滑走路を今も自衛隊や米軍が利用しているのですね。なるほど《戦禍に終わりなし》なのですね。ワン。殺人的暑さのなか黒兵衛と朝の散歩。そう言えば谷崎潤一郎の『少年』という題名の小説だったか少年が大人の様子を見て「暑い暑い」と騒ぐのが理解できないといった表現があったのを思い出した。確かに若いときは暑さも真夏の太陽も無視して草野球に興じていたのを思い出す。谷崎が生きていたら現在の地球規模の殺人的暑さでも同じ表現をしたかな?ワン。帰宅すると高校野球埼玉県大会決勝が「危険な暑さで特別な場合を除いて外出を控えるように」という警告が出るなかで行われていた。高校野球は「特別な場合」なんですね。メジャーのダブルヘッダーでの大谷の投打に渡る大活躍は素晴らしいけど高校野球が現在のまま改革なしに続行されて良いわけはないですよね。プロ野球もメジャーのように税金の十分な援助を得られるとように企業の支配を離れて公共の文化財になるべきですね…と40年以上言い続けてきた思考を頭に浮かべながら『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは小林信也さんと氏家英明さん。二人に中日新聞の高校野球連載(昨日の本欄に書いた桑田真澄さんの危機感や高校野球のリーグ戦化の話など)をPDF.にして資料として送る。あとで小林さんが言ってたけど我々が『真夏の甲子園はいらない』に書いたような「改革案」を口にする球界関係者が確実に増えてきたとか。我々の出版も無駄じゃないですね。『オプエド』本番では氏家さんが貴重な意見を提案。高校野球をやってる高校にはプロを目指す選手を多く抱えた高校から不登校の高校生たちを野球を通じて登校させるように努力している高校まで様々な高校があるのだから試合はカテゴリーに分けて行うべしと主張。さらに各都道府県の高野連が独自に様々な改革に手を付けることができる(実際神奈川県高野連はベンチ入りできる選手数や指導教師を増やしたりしている)ので各地方から改革を進めてほしいと主張。貴重で有効な意見ですね。番組終了のあと『チコちゃん』見ながら晩飯&酒&寝る。夜もエアコンをつけないと寝られない熱帯夜の連続。南関東は雨がまったく降りませんね…人間のやることを地球が怒ってるのかな?

7月29日(土)
『硫黄島上陸』読み進む。令和元年度第2回硫黄島遺骨収集団にヴォランティアとして参加した北海道新聞記者は《連日炎天下のなか地熱でサウナ状態の地下壕に入り全身汗と泥にまみれながら》奮闘。しかし《総勢37人が2週間で発見した遺骨は4体》だけだった。帰国した記者は厚労省に残された過去の遺骨調査団や収集団の大量の記録を調べ上げて行方不明の遺骨のあまりに大量な原因の背景に米軍の存在と日米の核密約に辿り着く。まだ半分手前までしか読み進めていませんが多くの人に読んでほしい素晴らしい力作です。ワン。ベッドから出て殺人的猛暑のなか黒兵衛と散歩。小さな公園でも木陰に入るとヒンヤリする。エアコンより植物のほうがよほど優秀な機能を備えてますね。帰宅するとNHKがニュースで「身体に危険な猛暑。特別な場合を除いて外出は控えるように」と警告を出すなか高校野球の西東京大会決勝が行われていた。石川県の馳浩知事は石川県大会決勝の正午過ぎ(午後0時半)開始に異議を唱えたらしい。当然ですよね。しかし甲子園大会の決勝もいつも午後2時とか暑い盛りの開始ですからね。1974年9月上旬にテヘランで行われたアジア大会のマラソンを思い出しました。それは正午スタートで暑さのため中止になったのですが古代ギリシアにマラソンの戦いで敗れたペルシャの末裔を自認していた当時のパーレビ国王がマラソン競技をやりたくなかったからでした。ひょっとして高野連も本当は真夏の野球など高校生にやらせたくないから中止になることを期待して午後0時半や2時といった暑さ真っ盛りの時間帯に試合開始を設定しているのかもしれませんね(笑)。ちなみに馳浩知事は甲子園大会のあり方に高校生の教育(部活動)として疑問を抱かれていて文科大臣時代には開会式を欠席。副大臣を行かせたと本人から聞いたことがあります。またスポーツ議員連盟時代の馳氏はNHK時代のOK氏が講演に来られたときに小生が「何故NHKはたかが高校生の部活動を全国ネットで放送するのか?」と質問すると横の席から大拍手してくれました。その経緯は匿名ですが拙著『真夏の甲子園はいらない』に書いてます。夕方から長女が来宅。晩飯&酒は井上尚弥vsフルトンの試合や井上のドキュメンタリーを見ながら。ナルホド面白いボクサーであり面白い親(トレーナー)子ですね。

DVD
『父親たちの星条旗』
『父親たちの星条旗』
日本側からとアメリカ側からと…両面から描いた「硫黄島」を巡る物語。イーストウッドは素晴らしい感性の持ち主ですね

7月30日(日)
『硫黄島上陸』は素晴らしいドキュメンタリーです。戦後は米軍の核戦略の中心として扱われ核戦争を想定したキノコ雲も使った訓練が行われたという。日本に返還されてからは自衛隊が米軍と共に支配して旧島民の復帰や遺骨収集が妨げられているという。著者はその現実を現地調査に加えて膨大な資料分析と取材で明らかにしてゆく。そして2度目の硫黄島上陸へ…。ナルホド戦争は終わっても戦禍は終わらないのですね。完読まであと少し。多くの人にも読んでほしい一冊ですね。ワン。ベッドを出て長女と一緒に黒兵衛と散歩。終日本HPの原稿締め切りに向けて原稿の整理。ふううう。この作業って結構時間がかかるんですよね。晩飯はクリント・イーストウッド監督の『硫黄島二部作』を夕方から見ながら土用の鰻とビール。『父親たちの星条旗』はメイキングを見て『硫黄島からの手紙』はメイキング+本編を見てしまう。後者の作品は明らかに日本人映画マンが手がけなければならない作品と言えますね。しかしイーストウッドは本当に素晴らしい映画監督ですね。『ローハイド』のロディからは想像できません。

7月31日(月)
『硫黄島上陸』読み続ける。著者は硫黄島にいた「朝鮮人軍属」の存在にも触れる。ネットには《朝鮮人を好まない人たちが》硫黄島では《朝鮮人たちの軍属が真っ先に投降して守備隊の地下壕の位置を米軍側に伝えそのことによって大勢の守備隊兵士が犠牲になった。だから朝鮮人は怪しからん》などと書いていているらしいが著者は《その根拠となる一次資料をいまだに見たことがない》と書く。そして硫黄島発の電報では《朝鮮人を含む「工員」が硫黄島には約1600名いて〈続々ト切リ込ミ肉攻ニ参加〉していると報告。中でも〈大多数半島人ヲ以テ編成シ〉た部隊は〈最モ勇敢〉だったという〉と書く。そしてそれまで《硫黄島の朝鮮人について発信したことがない》自分(新聞記者)を《僕も批判されるべき側の一人》とも書く。こういう謙虚な人は信じられると小生は思います。ワン。ベッドを出て命に危険な暑さの炎天下黒兵衛と散歩。高校野球の会場だけは運動が許されるのは不思議ですね。それにしても南関東はモウ連続何日間も雨がない。なのに蒸し暑い。嗚呼。ワン。本HPの更新原稿を(株)bitさんのスタッフに送って夕方からはサッカー女子W杯なでしこvsスペイン戦。いやあマァなでしこジャパンの守備と攻撃は素晴らしかったですねえ。強豪スペイン相手に4-0は予想できませんでした。お見事!ノルウェー戦も頑張れ!晩飯は吉本新喜劇を見ながら。あいちゃんが頑張って面白かった。報道ステーションが異常気象の猛暑と暑さ指数などを報じていたので高校野球はどんなふうに報道するのかなと思って最後まで見たら高校野球には触れず。このままずっと高校野球に触れずにいたら最高に評価しますけどね…。

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