1月1日(日)元旦
皆さん新年明けましておめでとうございます。今年こそ素晴らしい年になりますように!
令和6年2024年1月1日(日)元旦
改めて明けましておめでとうございます。年賀状はヤメにして4年目かな。くださる皆さんありがとうございます。しかし…日本サッカー協会の田島会長からの年賀状は少々ヤリスギかな?堂安や三苫や日本代表チームの選手たちの写真と森安監督のサイン入り。そりゃドイツ&スペインに勝ったのは悪くないけどちょっと自慢が過ぎる気がしないでもない。まだ弱いチームが強いチームに必死になって勝っただけのことで強いチームになったわけではないですからね。家族全員で隣家二軒に新年の御挨拶。孫たちはお年玉をいただく。ありがとうございました。昼飯に京風白味噌のお雑煮とお節で正月気分。午後イチに『鮨処もり山』さんからお節料理が届き夕方から家族で長い酒盛り。
1月2日(月)
正月2日目。ベッドの読書はアラン・ライトマン『アインシュタインの夢』(早川書房)。何度も読んだ大好きな短編集を初夢代わりにいくつか読む。気分爽快。ベッドから出て家族全員で黒兵衛と散歩。いつもお会いする近所の初老の男性が長男の着ているNASAのジャンパーに目をつけて「それ本物?」もちろんパッチ物だがその人はかつて宇宙工学をやっていてNASAとも関係があったとか。全員驚愕。しばらく歩くと今度はアメリカで作曲の勉強している青年が家から出てきて挨拶。父上に現代音楽作曲家の藤倉大の本をプレゼントとして預けておいたお礼を言われる。いいんですよ。小生よりも読むべき人が持っているほうが…。いろんな人がいてオモシロイ。散歩のあと幼稚園児の孫がゴジラの映画を見たいというので『ゴジラvsモスラ』と『ゴジラvsキングギドラ』の派手に闘うシーンばかりを見せてやる。午後からは家族みんなで大船観音へ初詣。かなり傾斜の強い坂道がツライ。来年は無理かな?下り坂をなんとか手摺を持って歩き切って駅ビルのルミネのイタリア料理店で生ビールとピザやパスタで家族7人のパーティ。帰りに本屋で正月のお年玉のピタゴラじゃんけんの本と江戸時代の参考書を買って帰宅。一眠りして長女が操作するナントカというビデオ装置で『映像の世紀バタフライエフェクト』から『女性兵士』と『ジェノサイド』のドキュメンタリーを見ながらビール&赤ワイン&つまみイロイロ。いい正月…かな。明日から仕事です。
1月3日(火)
『アインシュタインの夢』とともに正月3日目目覚める。時間の進み方が場所によって異なるドラマがオモシロイ。ワン。ベッドから出て孫たちと一緒に黒兵衛と散歩のあとダンベル体操。ガリガリに細ってる小6の孫が年末から毎日やってるダンベル体操で最初真横に10回持ち上げることのできなかった1.5sのダンベルを軽々と上下に動かせるようになった。やればできるのだ。その後部屋に籠もって『甲子園大会マスメディア大批判』の原稿と格闘。ふううう。明日には完成できるでしょう。晩飯はニューイヤー・オペラ・コンサートともに。20年ほど前に黒柳徹子さんの司会でゲストに出させていただいたことがありました。懐かしいですね。風呂のあとの酒飲みながらのNHKスペシャルが面白かった。仏英独などが帝国主義時代にアフリカ諸国から収奪した歴史的美術品を返却する話。返却は当然にしても返却先が政府か旧王族か博物館か…イロイロ問題があるようですね。しかし過去に犯した「問題」は一つ一つ順々に少しずつでも解決していかなければならないのですね。
1月4日(水)
昨日チョイと本棚を漁っていたらスポーツの資料の奥から読んでない本がゴロゴロ出てきた。なんでやねん。掃除と整理のあと失念したか?ブルーノ・タウト『ニッポン−ヨーロッパ人の目で見た−』(春秋社)『日本雑記』(中公ブックス)これは嬉しい。おまけに黒鉄ヒロシ『千思万考』(幻冬舎)の第2弾『天の巻』も。これは途中まで読んでいて何年か前に行方不明になった本。発見されて無事救出。まるでUFOに掠われて帰ってきた『未知との遭遇』の帰還者のようなものに。さっそく北条政子とシェイクスピアの項目を読んでベッドのなかでゲタゲタ嗤う。政子は「尼寺へ行け」まで含めてシェイクスピアの四大悲劇をすべて体験したのですね。ワン。ベッドから出て今年初めてのRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。新年の挨拶のあと駅伝の話。箱根駅伝という地方大会で近代スポーツの定義も長距離レースのルールも外した大会(特定地域の大学しか出場できず平等性が保たれていないうえコースの高低差がありすぎる)を騒ぎすぎ…という話。首都圏の大学ばかりが注目されてまったく困ったもんですねぇ。来年の100回大会以後は全国の大学が(それに女子も!)出場できるようになることを祈りましょう!ワン。孫たちと一緒に黒兵衛と散歩のあと『甲子園大会批判』の原稿に集中。晩飯前にやっと書きあげてメール送稿。ふうううう。読みたい本が出てきたので早々とベッドへ。
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『蜘蛛の巣城』 戦国映画の最高傑作はコレかな?原作はシェイクスピアの『マクベス』です。山田五十鈴のマクベス夫人も浪花千栄子の妖婆の魔女も見事です
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黒鉄ヒロシ『千思万考天の巻』 黒鉄さんの赤兵衛風歴史学。オモシロイ!『どうする家康』のタイトルはこの本の『どうするガラシャ?』からパクったか?
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1月5日(木)
黒鉄ヒロシ『千思万考 天の巻』読み続ける。上杉鷹山・河井継之助・東郷平八郎・山本五十六…面白い。ギリギリ戦中生まれの戦後民主主義社会派の著者とは言え戦後には戦前軍人的ケジメもあったんですよね。著者は鷹山の項目の最後で今日のニッポンを嘆く。《我が国のこの混乱ぶりと程度の低さは何時からで何の所為か。鷹山先生の教えには「何の為に是を為すか」だけではなく「為す精神のバックボーンを隠さないこと」が示されている。平成の改革(?)の「何の為に?」の答えとその対立者とが見すぼらしく感じられるのは精神のバックボーンの周りに付着した「経済」一辺倒の脂肝やら贅肉やらが見苦しい所為であろう》この本が出版されたのは2012年4月。日本は10年間まったく進歩なしか?いやバブル崩壊以来20年以上暗剣殺状態か?ワン。孫たちと一緒に黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。今年最初の晩飯映画劇場は娘が小6の息子(孫)と見たい言ったので『関ヶ原』。歴史好きの孫も興味を持ったかもしれないけど登場人物の多さや台詞の聞き取りにくさのため一端中止して晩飯に専念。婆のつくった美味しい炒飯やらイロイロ食べたあと『関ヶ原』再挑戦。岡田准一の石田三成はそんな感じかと思うが役所広司の徳川家康はちょっと違うかな?彼は『清洲会議』での柴田勝家のほうが似合ってましたね。原田雅人監督が真面目に司馬遼太郎の視点を映像化した意志はわかるけどモウちょいエンターテインメントにしてほしかったかな?孫には次に来たときに黒澤の『蜘蛛の巣城』でも見せましょう。
1月6日(金)
黒鉄ヒロシ『千思万考』楽しく読み続ける。竹中半兵衛・黒田官兵衛・OKハザマの決闘・小泉八雲・夏目漱石…どれも面白かった。漫画家ならではのブッ飛んだ(噸だ)文章も冴えてる。一高の英語教師として人気のあった八雲の後任となったのが神経症気味の漱石で彼が叱責した青年が数日後「巌頭之感」を残して華厳滝に飛び込んで自殺した藤村操だったのか。知らなんだ。人生不可解。ワン。孫たちと家族一緒に黒兵衛と散歩するのも今日が最後。ダンベル体操をできるようになった孫たちは午後に自宅へ帰って行った。静かになった家でイロイロ準備をして夕方から『ニューズ・オプエド』。ゲストはスポーツライ柔道家で教育評論家の柔道家で教育評論家の溝口紀子さん。ペレの死去や駅伝や国立競技場に関して日本のスポーツ予算がいかに少ないかという話など。スポーツ庁の予算が大谷の大気以降の年俸よりも低いという小林さんの指摘は鋭かった。今年5月カタールで開かれる世界柔道に関して溝口さんの斉藤評も面白く世界柔道が楽しみに。番組は今も見ることができますのでそちらをどうぞ。『オプエド』のあとは『サカナ・スター』と『チコちゃん』見ながら晩飯&酒。おおっと…サカナ博士のハゼの話が面白かったのでチコちゃんの駅伝の解説を見落としてしまった.9日(祝)の朝に再放送があるのでそれを見ましょ。『オプエド』セミレギュラーの佐野慎輔さんが解説者として登場しているはずですからね。オプエドのURLです→ https://op-ed.jp/
1月7日(土)
黒鉄ヒロシ『千思万考』フランシスコ・ザビエル/柴田勝家/武田勝頼/細川ガラシャ/ルイス・フロイス/柳生宗矩…読み進む。オモシロイ。何しろ柳生流の無刀心を解説するのに登場した人物が南方熊楠/ユング/ソシュール/ポアンカレ−/カイヨワ/ホイジンガ…なのだからぶっ魂消る。そう言えばこの本をどこで手に入れたのか思い出した。黒鉄氏がテレ朝の昼の番組のコメンテイターをされていたときにイラストとともに歴史的人物を紹介されていたのをまとめてテレ朝で展覧会を催されたのを見に行ったときにお土産にもらった本なのだ。展覧会は原画の即売会になっていて「売ってるんですか?」と訊くと「チョイと資金が入り用でね」「馬ですか?」「はい。まぁ。そんなところですね」との返事。ギャンブルお好きなのですね。柳生の解説もそこでまとまってました。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。孫がいなくなると急に静寂を感じますね。デスクワークはゆっくりとパソコンの整理など。途中高校サッカーを見たり…しかし日テレのアナウンサーの「盛り上げ方」は異常ですね。箱根駅伝でもウルサイ!と思ったけどこの「叫び」は虚無感すら覚えますね。もちろんスポーツ文化とは無縁ですね。ゆっくり晩飯食ってゆっくり酒飲んでゆっくり風呂入ってゆっくりベッドへ。餓鬼どもがいなくなるとゆっくりするものですなぁ。
1月8日(日)
黒鉄ヒロシ『千思万考 天の巻』(幻冬舎)最後に残っていた石川五右衛門/三浦按針/紫式部/長谷川平蔵/ペリー提督読み終えて読了。ほかに2冊出ているらしい。そう言えば昨日読んだ細川ガラシャのなかに「ドウスル ガラシャ?」との一文があった。今年の大河ドラマ『どうする家康』はココからとった?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。見事に晴天続きの正月ですね。日本海側はたいへんですが。チョイと仕事をしたあとお節料理の入れ物の返却と隣家のフランス人家族がパリに帰られるというので一緒に昼飯を『鮨処もり山』で。美味しい魚に舌鼓のあとヨメハンの買い物に付き合って帰宅して昼寝。ゆっくり目覚めて大学ラグビー終盤は予想通り帝京大の大勝。しかしそろそろ大学スポーツや高校スポーツを全国的に大騒ぎするのはやめたほうがいいですね。日本の国力低下と大学の学習レベルの低下がシンクロしているかどうかはわかりませんがラグビー日本一の大学や野球日本一の高校という「頂上」は教育機関に不要でしょうね。大相撲初場所をビール飲みながら楽しんだあと『どうする家康』見る。小生は連続TVドラマはやっぱり体質的に受け入れられないですね。カメラワークも台詞も×××ですから。悪口は伏せ字で。酒飲みながらNHKスペシャルは微生物の話。微生物って凄いですなぁ。しかし微生物解説ドラマは不要でしたね。オペラ『天国と地獄』やってたけど×××××。寝よ。
1月9日(月)
成人の日…らしいけどそれはやっぱり15日の小正月に祝日とすべきですね。10月のスポーツの日もそうですが由緒ある記念日(1964年東京五輪開会式の日)を動かすのは良くないですね。ワン。黒兵衛と散歩のあと録画しておいた『チコちゃんに叱られる』冒頭を見る。駅伝の話を『オプエド』準レギュラーの佐野慎輔さんが解説。読売新聞主催で始まった東京奠都50年記念東海道駅伝を企画した土岐善麿が多額の赤字を出して朝日新聞に移った話までわかりやすく解説。お見事。できれば箱根駅伝が関東だけの地方大会だと付け加えてほしかったですけどね。何日か前にテレビで顔写真や自分の身体の写真を修正する話をしていて気になっていたので本棚から木村泰司・著『名画は嘘をつく』(ビジュアルだいわ文庫)を引っ張り出すとありました。有名な西洋画の貴族の肖像画はほとんどみんな修正されていたのですね。ハプスブルク家特有のシャクレ顎は男女ともに短くなりエリザベス1世もポンパドール夫人も皆さん肌は若々しく…。女の子が顔を修正するのは世の中が豊かになった証拠?午後から高校サッカー。みんな上手いけど少々チームプレイの荒さ(パスミスの多さ)が目立ったかな?昨日も書いたけど高校日本一を決める必要があるのかな?テレビは盛り上げたいでしょうけどね。昨日に続いてゆっくり大相撲。星の潰し合いも面白いけど…抜け出すのは誰?
1月10日(火)
三島由紀夫の対談で避けていた『世阿弥の築いた世界』を読む。対談の相手はドナルド・キーン氏と中世文学の専門家の小西甚一氏。小生は子供の頃から親父に「能と囲碁は旦那。丁稚は歌舞伎と将棋」と教えられて育ったので能はパープリン。ブリテンのオペラ『カーリュー・リヴァー』から能の『隅田川』に興味を持て見たが死ぬほど退屈した。最近テレビで『安宅』を見て『勧進帳』の元ネタだから楽しんだが『勧進帳』で十分だと思った。しかし能の世界がわからないなりにも対談は楽しめた。《能の場合はどうしても絶対的なものでなければならないでしょう。若い女の人のような歩き方とか手の使い方を全然無視したとき初めて詩としての美しさが現れてくると思います》と語るキーン氏は凄いなぁと思いますね。けど…能を見てそれが感じられるかな…とも思いますけど…。《日本の芸能というものと年齢というものをいちばんよく考えていたのは世阿弥だろうと思います》という三島のほうがすんなりと理解できますね。《日本の芸能はどうして年をとってもできるのかという不思議なことがあそこで発見されてますね。西洋のバレーなら三十過ぎるとそろそろ振り付け師にならなければならんしそれでは最高の芸は見せられませんね。西洋のスポーツも青年が最高のものだと思いますね。日本だけは武道も剣道で七十歳の剣道範士なんていう人がいて誰もかないませんからね。お能や歌舞伎でもそうでしょ。逆に言えば老いというものの芸術的な意味をあれだけ早く知っていた人は世阿弥を置いていないと思いますね。これは文学にも言えるので日本文学は不思議に年とってから妙に色っぽい変なもの書くでしょう》なるほど。年とった三島のポルノを読みたかったなあ。しかし森下洋子さんは70歳を過ぎてバレエを踊ってますよね。アンナ・パヴロワやマヤ・プリンセツカヤも瀕死の白鳥だけは…あの演目だけは世阿弥的なのかな?ワン。黒兵衛と散歩のあと終日スポーツと武道と世阿弥を考える。晩飯はNHK-BS『嘘と政治と民主主義』を見ながら。トランプ前大統領と議会襲撃を扱ったドキュメンタリー。こういうジャーナリズムの存在するアメリカは凄いですね。日本のジャーナリズムはどこへ消えた?
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『ブルース・ブラザース』 この大名作のラストシーンは上のクリント・イーストウッドの映画を参考にしたのかな?
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1月11日(水)
三島由紀夫の雑文…と言うのは失礼だろうが新聞や雑誌に書いた短い文章が面白い。『愛国心』と題したのもあった。《実は私は「愛国心」といふ言葉があまり好きではない(略)この言葉には官製のにほひがする。また言葉としての情緒ややさしさがない。どことなく押しつけがましい。反感を買ふのももつともだと思はれるものがその底に揺曳してゐる》そのとおりですね。《愛国心の「愛」といふ字が私はきらひである(略)日本語としては「恋」で十分であり日本人の情緒的表現の最高のものは「恋」であって「愛」ではない》このエッセイは全部書き写したいくらいだがこのくらいにしておく。彼は政治的右翼ではなく当たり前のことですが文学者ですね。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。今日のテーマはスポーツベッティング。つまり「スポーツを賭けの対象」にすること。アメリカはこれを解禁して40兆円産業になりスポーツ予算も獲得できたとか。日本のスポーツ省の年間予算はネイマール+ロナウド+エムパペの年俸より低い程度。刑法の賭博罪を廃止してイギリスや欧州のようにすれば日本のスポーツ予算が税金抜きで賄える…というのを検討すべきときに来たようですね。何しろウェディング(結婚)のラテン語の原語のウェドゥモニウムは「賭けの対象」という意味ですからね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。終日デスクワークは明日の溝口紀子さんとの対談の準備など…金曜の『オプエド』のゲストに『チコちゃん』に出演した佐野慎輔さんと相撲ジャーナリストの荒井太郎さんが決まったので大相撲も見ておく。豊昇龍強くなりましたね。晩飯映画劇場はクリント・イーストウッド監督主演『ガントレット』。バカスカ撃ちまくってパトカーもヘリコプターも家屋もバスも穴だらけの蜂の巣状態で壊してしまうのにはココまでやるかと笑いますね。『ブルース・ブラザース』のカーチェイスのモデルはこれかな?
1月12日(木)
昨晩は週刊誌を数冊ベッドに持ち込んだがコレといった記事はなし。最近の○○砲と言われて話題になる記事も昔なら女性週刊誌が書いたような話題ばかり。国会で野党の力が衰退しているのと歩調を合わせるように週刊誌月刊誌ジャーナリズムが衰えているような気がしてならないですね。そー言えば数日前の新聞に報道写真展の宣伝が出ていて数葉の写真が紹介されていたけどいちばん大きかった写真がスワローズ村上の本塁打。2番目がW拝サッカー日本代表。それらがウクライナ戦争や沖縄基地問題の写真よりも大きく扱われていたけど…「報道」はそれでいいんでしょうかねえ?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ準備して午後イチで大船駅から東京へ。東西線大手町駅まで歩いて竹橋へ。財界展望新社『ZAITEN』編集部で教育評論家で柔道家の溝口紀子さんと対談。昨年から隔月のペースで小林信也さん春日良一さん平尾剛さんと対談してきた第4弾。初の女性登場で女性のスポーツについて訊きたいことがワンサカあったけど溝口さんのメッチャ鋭い回答に目から鱗が何枚も落ちる。話題は女性スポーツが差別されている実態だけでなく(甲子園大会の女子高生の扱われ方はボクシングのラウンドガールと同じといった話題だけでなく日本のGGI(ジェンダーギャップ指数)の低さ(世界で120位!)や女性議員を増やすためのクオータ制の話まで。これは日本で何とかしなければならない問題だけど…少子化がこの問題の解決に役立つかも…という指摘は興味深かったです。地下鉄と東海道線で帰宅。ちょうど大相撲が終盤。うわっ。豊昇龍負けた。大栄翔強い!横綱不在の混戦もオモシロイですね。
1月13日(金)
三島由紀夫の初期の戯曲が読みたくなって全集の一冊を持ち込んだらラジオ作品で『ボクシング』というのがあった。バンタム級の世界タイトルをなくす男の試合の話だがやたらと様々な効果音の指示があって何じゃコレはと思って解説を読むと黛敏郎のミュージックコンクレートを聴いて面白くなって作品を作りたくなった結果らしい。《楽譜のない音楽。楽譜を通さないで楽譜による解釈の余地を残さないで音そのものによって構成された音楽》で黛氏が三島にラジオの台本を依頼したらしい。そこで《本当は台詞も使いたくなかったが使はないわけにはいかなかった》というところで生まれた作品らしい。短い作品なのでその解説を知ったうえで読み直すといろんな音(街の喧騒やボクシング会場の音)が交錯して響くのを想像するのがオモシロイ。昭和29年にこんな前衛的な試みもしていたのですね。《「事実の世紀」といはれれる二十世紀はこんなものを生み出す必然があるのだろう》と三島は書いている。では「虚構の世紀」である二十一世紀にはどんな音楽やアートが相応しいのかな?コレは考え直す価値ありですね。トランプやボルソナロのテーマミュージックはどんなものになるのかな?Fake Musicってどんな音楽?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとデスクワーク&『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは相撲ジャーナリストの荒井太郎さんと尚美学園大教授の佐野慎輔さん。ナルホド。今場所の大相撲の土俵はかなり中身が充実していると言えるのだ。一人大関で大混戦だがカオスがコスモスに定まってゆく経過を同時代人としてナマで見ることがでいるのは嬉しいことですね。さらに日本のスポーツは…といいうことで札幌五輪の行方からIOCの将来とスポーツベッティングの話まで非常に有意義な話でした。今も部分的に見聞きできますのでどうぞ…https://op-ed.jp/
1月14日(土)
三島由紀夫の戯曲『若人よ蘇れ』読む。戦時中終戦直前(原爆投下の日=第1幕)と終戦の日(第2幕)と11日後(第3幕)の学生動員寮での生活を三島の経験を元に描いた私小説的戯曲。戦争モノは戦場を舞台にしたモノが多いなかで戦争(兵士)から落ち溢れたインテリ(教授や学生)のコンプレックスと未来への希望と虚無感の入り交じった戯曲。こういう戦争物は初めて読んだので興味深かった。昭和29年の作品。様々な事情があったにせよ戦時中とはどんな観念論もどんな思想もすべてが戦争に包み込まれていた時代だったのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日パソコンの整理。古いパソコンから新しいパソコンにデータ(過去の原稿や資料等)を移す作業。こーゆー作業をしているとコンピュータというのは本当に世の中を不便にしたとつくづく思いますね。嗚呼。夕方になって大相撲を楽しんでいると長女がやってきて一緒に晩飯。映画を何でも見ることのできるソフトを入れたとかで食後にスピルバーグ監督がリメイクした『ウェスト・サイド・ストーリー』を見る。……何と言えばいいのか……過去のロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンス監督版と較べれば最低の出来ですね。がっかりしたことと悪口は500例くらい並べ立てることが出来ますが最悪だった点を二つ。ダンスにまったく切れがない。迫力がない。サラリーマンのようなチノは明らかにミスキャスト。評価できる点は一つ。成功したとは言えないけどドクを女性にしたことかな。しかし……ジョージ・チャキリス&リチャード・ベイマー&ラス・タンブリン&タッカー・スミス&ナタリー・ウッド&リタ・モレノ…は最高でしたね。それにバーンスタインの音楽は史上最高のミュージカル音楽ですね。スピルバーグはやっぱり『E.T.』と『ジョーズ』だけの監督かな?
1月15日(日)
小正月という言葉ももう死語になったかな。昨晩はベッドに入ってもスピルバーグの『ウエストサイド』について考え続けた。この監督はオペラやミュージカルといった音楽劇を本質的に理解していないに違いない。台詞を多くして物語をリアリスティックに描こうとすればするほど音楽やダンスのリアルさが消えてミュージカルの意味がなくなる。オペラやミューカルは歌や音楽やダンスこそリアルなのにスピルバーグはそれを理解していないようだ。だからせっかくの歌や音楽やダンスが日常的な映像ドラマから遊離してしまった。おまけにトニーが死んだマリアに抱かれる最後のシーンに主題歌(?)のトゥナイトを流したのは最悪の失敗。ココはやっぱりサムホエアでなければ「歌=リアル=ドラマ」の音楽劇的構造を構築できない。前作と同じになってもそれは仕方ないですよね。嗚呼残念。『ラ・ラ・ランド』というミュージカル映画を小生は馬鹿らしくて最後まで見ることができなかったが音楽映画は音楽によるリアルな表現を理解している監督に撮ってほしいですね。バズ・ラーマン監督の『ムーラン・ルージュ』のように!ベッドのなかでの読書は三島由紀夫の近代能楽集のなかから『葵上』。読んでる途中で高校時代に読んで最高にオモシロイと感じたのを思い出す。まるでイヨネスコの心理劇ですね。だから『源氏物語』も『葵』だけは読みました。そこで能の『葵上』も見たけど最高に退屈しましたね(>_<)。ワン。ベッドから出て長女とヨメハンと一緒に黒兵衛と散歩。のあと昨日に続いて長女のソフトで川瀬直美監督『東京オリンピック2020sideA』を見る。sideBは既に見ていたのでsideAも見ておかなきゃ…と思って見たけど…スポーツが描かれていない人間ドラマばかりの物語にがっかり。オリンピック2020の「新しい意義」も描かれておらずAもBもテレビ・ドキュメンタリーのレベルでしたね。スポーツをもっと学んで考えてから描いてほしかったですね。この映画を将来見てみようと思う人がいるのかなあ?午後からデスクワークのあと大相撲。いやぁ!カオスのなかの大相撲はオモシロイですなぁ。誰が飛び出してコスモスを形成するのか…朝乃山が復活してくるのかな?
1月16日(月)
昨晩ベッドに入ったときから今日書く『ZAITEN』連載原稿のことが頭の中をぐるぐると巡る。テーマは「2022年報道写真展」。横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)で4月まで開かれてる企画展の宣伝なのだが新聞広告に使われている写真がとても報道写真とは思えないヒドイ代物ばかり。写真としても低レベルでマイッタ。いちばん大きな写真はスワローズ村上が56号ホーマーを打ったあとのガッツポーズ。これが報道写真?これがスポーツの写真?せいぜい少年漫画雑誌の表紙に使われる程度の代物ではないか!もう1枚のスポーツを取りあげた写真はW杯ドイツ戦で堂安選手が同点ゴールをあげたあと選手たちが抱き合い大騒ぎしている1枚。この写真のどこに「写真展」に選ばれる価値があるのかわからない。2枚とも新聞の雑ネタ扱い程度の写真ではないか!しかもウクライナ戦争を扱った空を見上げる女性の写真も沖縄の「慰霊の日」の写真もまるで芸術写真。断固として報道写真とは思えない!今更ニール・ライファーやロバート・キャパを見習えと言う気はないがカメラマンならスポーツの「何」を撮りたいのか?戦争の「何」を撮りたいのか?ということを考え抜いた末に現場へ行ってシャッターを押してほしいものだ。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあと「報道写真展」のHPを開けてみてさらにガッカリ。北京冬季五輪女子パシュートで金メダルを逃した日本女子チームの表彰台で泣いている姉を慰める妹の写真。こんな写真は誰にでも撮れる。どうして「氷の魔物に足を取られて転んでしまった恐ろしい冬のスポーツの瞬間の写真」がないのか?安倍元首相の国葬の写真?この程度の写真も誰にでも撮れる。しかもウクライナ戦争で防衛費が倍増になった2022年の報道写真展の最も大きな宣伝写真が「村神様56号」とは日本のジャーナリズムとしてあまりにも恥ずかしいことではないのか!そんな気落ちを込めて原稿を書いたので疲れた。ふうううう。疲れた頭を大相撲を見て癒やしてから晩飯。若元春は良い相撲を取ったけど豊昇龍の怪我が心配。優勝争いはますます混沌?やっぱり貴景勝か?晩飯のあと録画していたNHK-BS世界のドキュメンタリー『おばあちゃんのサッカー』を見る。平均年齢70〜80歳のフランスと南アフリカのおばあちゃんのサッカーチームによる国際試合の準備から試合までのドキュメンタリー。両国のおばあちゃんたちのサッカーによる素晴らしい国際親善。めちゃめちゃ面白かった。これこそスポーツの素晴らしさですね。
1月17日(火)
昨晩からベッドでの読書は三島由起夫の『葉隠入門』。オモシロイ。ナルホドこーゆーことだったのかと目鱗ボロボロ落ちる。小生の悪い癖で先人の残した名著と呼ばれるモノを難しく考えすぎることがある。少々気軽に考えるべきなのだ…と思いながらベッドを出て黒兵衛と散歩して終日机の虫。パソコンと格闘。溝口紀子さんとの対談原稿をまとめ始める。情報量が多いからタイヘン。女性の論理は学ぶことが多いからこれまたタイヘン。これは良い意味で。ふうううう。
1月18日(水)
昨夜は午後8時過ぎにベッドへ。今朝は午前4時半にベッドから出て机へ。溝口紀子さんとの対談原稿に集中。ふううう。8時から朝食と準備をしてRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。一昨日の本欄に書いた『報道写真展』の「写真批判」について少々言葉を和らげて話す。しかしZOOMだったのでニール・ライファーの撮影したモハメド・アリvsソニー・リストンのKOシーンの写真を見せるとスタジオの皆さんには即座に小生の話していることを納得してもらえた(と思う)。これぞスポーツ!でガッツポーズや抱き合って喜んでるシーンはスポーツの言わば周辺ですからね。ラジオを終えたあと黒兵衛と散歩。そう言えばご近所さんの某カメラマン氏にヨメハンが小生の「報道写真批判」を伝えたところ賛意とともに「キャプションを読まなければわからないのは写真と言えないです」という返信メールがあったらしい。その通りですよね。散歩から帰って仮眠をとったあと昼前から午後7時までパソコンの虫となって大格闘。ふうううう。晩ご飯は録画した大相撲を見ながら。貴景勝を負かした琴乃若は見事でした。十両では地元力士の湘南の海が頑張ってますね。優勝の可能性も。あ。書き忘れましたが月曜夜の神奈川テレビ放送の吉本新喜劇はメッチャ面白かったですねえ。役者が揃うと吉本の舞台はまだまだパワーがありますね。
1月19日(木)
三島由紀夫『葉隠入門』読了。《武士道とは死ぬ事と見つけたり》という文章の意味がよくわかりましたね。この本はニヒリズムの果ての自由の獲得という処世術を説いた書物でもあるのですね。要するに「memento moriメメント・モリ」の日本流ですね。しかし三島由紀夫のゴリ押し解説は非常に読みやすくわかりやすく楽しかったですね。この解説本と黒鉄ヒロシ氏の『マンガ葉隠』と岩波文庫の原本があれば十分ですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとデスクワーク&明日の『ニューズ・オプエド』の準備など。福島良一さんと生島淳さんのリモート・ゲスト出演が決まったのでメジャーとWBCの話を思い切りやりあしょう。湘南の海は今日はどうだったかな?と思ってテレビをつけると既に終わっていて何と朝乃山に負けていた。慌ててパソコンで相撲協会のビデオを見てみると…頑張ったけど実力差だったかなあ…。貴景勝は連敗か…大相撲のカオスの世界はなかなかコスモスに成長しないですね。
1月20日(金)
ベッドのなかで黒鉄ヒロシ『マンガ葉隠』を改めて読み返す。メッチャオモシロイ。巻末の参考文献にやっぱり三島由紀夫の『葉隠入門』が紹介されてました。入門解説書としてはこれだけですがソレで十分ですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事しながら昨日届いた週刊誌2誌を読む。巨人選手の反社団体の人間との不祥事?高校野球センバツ出場校監督の暴行常習事件(今まだそんなことをやってるのか!!)そして長嶋一茂氏が江川事件を起こしたのは父親で江川卓氏に謝ったとか。そんな馬鹿な!江川投手をほしがっていたのは事実でドラフト前に何度か会っていたことは小生も某氏から聞いていましたが「空白の一日」を企んだのは別人ですよね。球界は不愉快な事件が多いですね。そんななかで文春がグラビアで扱っていたセントルイスカージナルスのヌートバー選手の記事は新鮮でしたね。WBCの日本代表選手としての活躍を見たいですね。夕方からは『ニューズ・オプエド』。ゲストは大リーグ評論家の福島良一さん&スポーツ・ジャーナリストの生島淳さん。福島さんにはヌートバー選手の詳しい解説やWBCでの大谷投手vsトラウトの対決やメッツに入団した千賀投手への期待などを話してもらって生島さんにはWBCやメジャーの今季の見所のほかに大相撲今場所の面白いこ!!!やラグビー・イングランド監督からオーストラリア監督にかわったエディ氏の話もしてもらう。両氏のどの話もメッチャ面白かった。番組を終えてから『チコちゃん』見ながら晩飯。オプエドは今も見ることができますからどうぞ!https://op-ed.jp/
1月21日(土)
ベッドでの読書は三島由紀夫の戯曲『黒蜥蜴』。江戸川乱歩原作。明智小五郎vs黒蜥蜴の恋情溢れる探偵捕物劇…なんて書き方は古めかしいけど1956年昭和31年の作品ですからね。昭和に育った小生のような人間にはなかなか面白いけど今の若い人にはNGでしょうね。そう言えば台詞のなかに「写真機」という言葉が出てきて思わず笑った。というのは今年の正月子供や顎たちと食事をしたときにヨメハンがみんなで写真を撮ろうとして子供に「写真機を取って」と言ったので大笑いになったのだ。子供にも孫にも「意味」は通じたがスマホを写真機と表現した婆さんがいることに大爆笑。日頃は若ぶっているけど昭和人であることを暴露してしまった(^_^)しかし子供たちは『黒蜥蜴』での明智小五郎の次の台詞を読むべきですね。《今の時代はどんな大事件でもわれわれの隣の部屋で起こるような具合に起こる。どんな惨鼻な事件にしろ一般に犯罪の背丈が低くなったことはたしかだからね。犯罪の着ている着物がわれわれの着物の寸法と同じになった。黒蜥蜴にはこれが我慢ならないんだ。女でさえブルージーンズを穿く世の中に彼女は犯罪だけは煌びやかな裳裾を5メートルも引きずってゐるべきだと信じている》というわけで「エジプトの星」と呼ばれる113カラット1億5千万円のダイヤモンドを奪い取ろうと策を弄した黒蜥蜴。第二幕まで読んで第三幕はどうなる?黒蜥蜴?初演は水谷八重子/芥川比呂志/田宮二郎/大空真弓…だったとか。京マチ子/大木実…新藤兼人脚本で映画化も。昭和43年には深作欣二監督/丸山(美輪)明宏/木村功…でリメイク。見なければ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあとイロイロ仕事&大相撲。明日は貴景勝と琴勝峰で勝ったほうが優勝か…決定戦で当たることも期待していたけど…まぁイイか。
1月22日(日)
『黒蜥蜴』読了。面白かったという以上に楽しかった。三島由紀夫は芝居や小説で観客や読者を喜ばせる勘所を熟知しているのですね。『黒蜥蜴』も『潮騒』も『豊穣の海』もある意味エンターテインメントとして秀逸ですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。明日からは寒い日が始まるらしいが今日は暖か。冬の暖かい日は何か幸せを感じますね。夏の涼しい日よりも。デスクワークでHP更新の準備をしていたら『黒蜥蜴』の映画は京マチ子主演の古いモノしかDVDがなく深作欣二監督美輪明宏主演のは出ていないことに気づく。残念。しかしネットの動画で一部を見ることができた。黒蜥蜴の隠れ家の恐怖美術館のシーン。殺した人間の裸の剥製が並んでいて若い男女を新たに剥製に仕立てようとするシーン。裸の剥製の役でナント三島自身が演じているではないか!死体だから演技はないが自慢の裸体を惜しげなく曝け出して美輪明宏に撫でられている。ナルシストですね。夕方から大相撲千秋楽。序の口力士の優勝決定巴戦も面白かったし十両で惜しくも優勝を逃した湘南の海が金峰山を破った一番も面白かった。そして幕内最後の取り組みの貴景勝は見事でした。優勝会見での発言も見事。見直しました。晩飯は日曜美術館でアンディ・ウォーホルを見ながら。解説がちょっと的外れかな。NYのMoMAで彼のキャンベルスープを見たときはその大きさとその大きな絵から滲み出す迫力に圧倒されました。彼はただのポップアーティストではないと確信しましたからね。権威や権力をぶっ飛ばし被差別や弱者の側に立ってるのは明白ですよ。続けてクラシック音楽館でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。ありきたりの美しいクラシック入門曲ですが台湾出身のヴァイオリニストであるレイ・チェンの演奏は見事でしたねえ。この聴き慣れた楽曲がこんなにも激しい感情の起伏を表し深い憂いを含むモノかと初めて気づかされました。レイ・チェンという音楽家はタダモノじゃないですね。ブラーヴォ!!
1月23日(月)
昨晩早く寝たので午前2時頃目覚めてベッドのなかで三島由紀夫の戯曲『十日の菊』一気に読み切る。二・二六事件を題材にしてコレほど波瀾万丈の人間ドラマを創りあげる三島の筆力に脱帽。しかも商業演劇として見所見せ所満載でエロスの香りも漂わせながら「家政婦はミタ」にもつながるサービス精神まである。中身はもちろんずっとずっと高尚で作者本人が解説しているとおり《人間の性格と運命の関はり合いの劇》は青年将校たちに命を狙われる大蔵大臣の逃亡を助ける菊という名の家政婦でもあり愛妾でもあった女性を中心にしたエンタメの魅力満載のドラマです。舞台の設定は昭和27年。発表は昭和36年。杉村春子・岸田今日子・荒木道子・北城真記子・中村伸郎・三津田健らによって文学座創立25年記念として上演されたらしい。三島の戯曲はウヨクもサヨクも無関係ですね。『英霊の声』『憂国』と並ぶ『二・二六事件三部作』らしいけどこの作品が一番オモシロイですね。ベッドから出て黒兵衛と散歩。途中から冷たい小雨。早く切り上げて帰宅。風邪引いたらどもならんですからね。ワン。イロイロデスクワークで通信社のコラム仕上げたら昨年もお手伝いした岩佐賞芸術部門在宅審査の資料がどかっと届けられる。今年の応募はどんな企画があるか楽しみ。大相撲が終わると少し寂しいですね。晩飯は神奈川テレビで吉本新喜劇を見ながら。前回はウチバ&ツジモト大活躍でお笑い。今回もハザマカンペイ&ツジモト&ナマエシラズの老人役トリオの大活躍で大爆笑。ワンパターンの台本でも役者が揃ってるときのヨシモトなら良いのですよね。あ。三島の戯曲の『十日の菊』は「菊(重陽)の節句の翌日の意」で『六日(端午の節句の翌日)の菖蒲』と同様「時期遅れで役に立たないこと」指す慣用句なんですね。知らなんだ。この歳になって(_ _)(_ _)
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『ぼんち』山崎豊子原作 市川崑監督の傑作映画。越路吹雪さんが出てます。他に京マチ子、若尾文子、草笛光子、山田五十鈴,中村玉緒そして市川雷蔵。スゴイ映画です!
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1月24日(火)
ベッドのなかで三島由紀夫の『女は占領されない』一気読み。面白かった。越路吹雪による主演上演を前提に書かれた戯曲でGHQ幹部(中佐)と未亡人有閑マダムの恋物語。戦後の没落貴族や公職追放された男たちに保守革新両政党の権力(選挙)争いも絡んでGHQ幹部と恋仲になったマダムが「人助け」に動くが…最後は破滅とはいえ美しい別離の結末が…「君は世界にも稀な贅沢な女だよ」「それが日本の女といふものよ」「僕は一生忘れないだろう」「私のことは忘れてもいいわ。でも楽しさだけは覚えてゐてね」…ストーリーテラー三島由紀夫の面目躍如たるドラマですね。エッセイでは自分を「女ぎらひ」を何度も書いているのに「いい女」は好きなのですね。ワン。越路吹雪の他に岸田今日子&神山繁などが出演。長岡輝子の演出で昭和34年に上演。再演はされないだろうけど三島の書いた台詞を読むだけで越路吹雪の姿が浮かび戦後の日本社会が眼前に広がるのは凄いですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩のあとデスクワークは北國新聞のツキイチ連載『スポーツを考える』執筆。短いコラムは書いてて推敲の繰り返しが楽しいですけど疲れますね。夕方から急に気温が低下。それが仕事部屋でもわかる。ふうううう。原稿メール送稿して晩飯&風呂&酒。ウクライナへのドイツ戦車の援助はどうなるのかな?戦力の漸次投入が戦争では最も下手な戦法だということくらい小生のような政治(戦争)嫌いの人間でも知ってるのにNATOはウクライナをどうするつもりなのかな?ロシアとの全面戦争を避けた落としどころは?ドウスルNATO?
1月25日(水)
読書inベッドは三島由紀夫『近代能楽集』から3編。『源氏供養』は文学論臭がチョイと臭って理屈っぽかったが『熊野(ゆや)』は桜と女性の魔力を対比させて面白く『弱法師(よろぼし)』も戦争で盲目となった孤児の育ての親と生みの親の奪い合いという大人の論理を成人した孤児が一気にぶっ壊す迫力に魅せられた。しかし三島という人は本当にドラマ(芝居)をドラマチックに仕立て上げるのが見事ですね。シェイクスピアの戯曲を「諺だけで芝居を創った大天才」と評したのは誰だったか忘れたが三島も同じですね。子供の頃から「旦那の囲碁丁稚は将棋。旦那のお能丁稚は歌舞伎」と教えられて未だに『熊野』も『弱法師』も見たことがないけれど『近代能楽集』を読んだだけでも序破急の迫力と魅力が感じられて興奮します。高校時代に読んだ時はパープリンだったけど(>_<)ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。10年に一度の寒波と言われながらメッチャ暖かいやんと思っていたら夕方前頃から急激に気温低下。坂道の夜間路面凍結も怖いし週末のオペラ講座の準備や岩佐賞の審査もあるので日本スポーツ学会大賞の表彰式と記念講演は休ませてもらう。長田渚左さんスンマセン。帰宅が11時というのは相当にヤバいですから申し訳ないけど失礼。村田諒太さんおめでとうございます。ドイツとアメリカからウクライナへの戦車の供与が決まったようですね。終末時計は残り1分30秒という残り時間の意味もよくわからないけどわかっているのは日本の政治家もメディアも頼りにならないと言うことですね。嗚呼。
1月25日(水)書き忘れ
昨日も毎週水曜朝のRKB毎日放送『田畑竜介GroooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演は行いました。書き忘れただけですので書き加えておきます。話の内容は柔道家の溝口紀子さんから教わった全柔連山下泰裕会長(JOC会長でもありますね)が強力に推し進めた高校柔道の文武両道杯について。柔道の創始者である嘉納治五郎が灘の清酒菊正宗の蔵元出身者でもあり進学校の灘高と関係があったこともあって偏差値の高い進学校だけの大会。灘の他に日比谷・筑紫丘・千葉・ラサール・大阪星光・白陵・長崎東…女子は溝口さんの出身校の浜松西・盛岡第一・新発田…などの高校が参加したとか。結果はどーでもいいですね。ちなみに日本のスポーツは明治時代には旧帝大や大学のエリートを中心に発展したので学歴は高かったとか。サッカーの日本代表のサムライ・ブルーも東大のスクールカラーから生まれたという説がありますね。だからなんだってこともないですがイロンナ大会があってもイイですね。大学には各種競技で七帝戦(旧帝大対抗戦)や医大大会もありますからね。アスリートの皆さん!勉強しましょう。
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『地下室のメロディ』 「太陽がいっぱい」と同じカメラマンです。うわっ!カラー化版が出てるんですね。モノクロで十分なのに
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1月26日(木)
読書in bedは三島由紀夫『近代能楽集』から『道成寺』。オモシロイですねエ。大きな鐘がデッカい家具に変わってますねえ。『葵上』の解説として作者が書いてる文章が面白かった。《われわれは無意識のうちにも古典の伝統によって技法上の恩恵を受けてゐるので源氏物語から能楽へ移され能楽からかうして近代劇へ移されながら「身分の高い女のすさまじい嫉妬の優雅な表現」といふ点では諸外国にも例を見ない日本独特の伝統の不滅の力に負うてゐるのである。ことは文学だけにとどまらず芸能の技法のうちでも男の酔態と女の嫉妬は連綿たる伝統の上に洗練されてきた両性の代表的特徴の表出であった。そしてそれはどんな女の美徳の表現よりも女の本質をすなわちその暗い業を射当ててゐた》その伝統はまだ続いてるのかな?どこかで断ち切れたとも思われるけど…。続けて『班女』も読む。男と女による不幸ゆえに美しい狂人となった美女の奪い合い。レズビアンが勝利する。オモシロイですねエ。男の嫉妬も政治家ならずとも深いですね。ついでに三島が日劇ミュージックホールのレビューのために書いた短い台本『恋には七つの鍵がある』も読む。村松梢風・東郷青児・トニー谷らとの競作オムニバス。アポロンやバッカスがヌードダンサーと絡む小品。ジプシーローズは出てたのかな?男優は大泉滉の名前がある。演出は丸尾長顕。懐かしいなあ。昭和30年代にはテレビにも出てましたよね。三島はイロンナ仕事をしてますね。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。机の虫になって岩佐賞芸術部門の審査や土曜のオペラ講座の準備。ふううう。晩飯映画劇場は午後にNHK-BSで『太陽がいっぱい』をやっていたのでDVDを引っ張り出して見る。ルネ・クレマン監督の傑作ミステリー。オモシロイですね。24歳のアラン・ドロンが美しいですね。淀川長治氏は史上最初のホモセクシュアル映画と評したらしいけど納得。ドロンが友人を殺したあとの荒波にもまれるヨットのシーンは圧巻でカメラマン(『地下室のメロディ』『大人はわかってくれない』も担当したアンリ・ドゥカ)はヨットの帆柱に縄で身体を縛り付けて撮ったと映画評論家の山田宏一氏が書いていた。凄い!この荒波とヨットの撮り方は市川崑の『東京オリンピック』のヨットのシーンでもパクってますね。DVDの解説にはニーノ・ロータの音楽はベッリーニの音楽から生み出されたとも書かれているけどコレは明らかにドニゼッティの誤りですね。『ルチア』の二重唱のメロディにソックリですからね。
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三島由紀夫『鹿鳴館』新潮文庫 三島の戯曲は舞台を見なくても想像しながら文章を読むだけでも豊かで楽しいですね。シェイクスピアと同じですね
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1月27日(金)
朝のベッドでの読書は三島由紀夫『鹿鳴館』。一幕読了。テロリストはどのように現れるのかな?明治時代の脱亜入欧の象徴かもしれないが三島は解説に現代のほうが《鹿鳴館時代のやうに外人に阿諛(あゆ)を呈しながらも一方新興国家のエネルギーと古い封建的矜持とを二つながら備えてゐたのとは比べものにならない》と現代(昭和30年代)を批判。三島が生きていたら今の岸田首相のアメリカへの阿諛追従(あゆついしょう)ベッタリの防衛費増額(米古道具平気大量購入)外交をどのように嘆くだろうか?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。いつもの散歩道に沢山貼られている「決断と実行」と書かれた岸田首相の顔のポスターが最近の冷たい雨のせいか色褪せている。存在感の現状を表してるようでもありますね。ワン。終日イロイロデスクワークのあと『ニューズ・オプエド』リモートMC出演。今日のゲストは神宮外苑の再開発による銀杏並木の伐採等に反対しているロシェル・カップさんと秩父宮ラグビー場や神宮球場の新規建て替えに反対している神戸親和女子大学教授の平尾剛さん。あのラグビー場を人工芝にしようとしていることでもわかるようにラグビーや野球のことは何も考えられていないビジネス再開発(R・ホワイティング氏の指摘)でありボストン・レッドソックスの歴史的建造物フェンウェイ・パークがファンの立て替え反対で建て替えられなかったことを見習うべき(M・キーナートさんの指摘)などを紹介してこの「開発計画」が如何に無謀かを示す.ロシェルさんが言ってたけど東京(日本)には都市計画がないのですね。ジャーナリストの上杉隆さんも参加して統一地方選で開発反対派の区議を増やして都知事を動かさねばとの指摘も。研ぎのなかには再開発反対議員もいるそうですね。このオプエドでの討論は今も見聞きできます。https://op-ed.jp/
1月28日(土)
朝の読書は中止。少々早く起きて黒兵衛と散歩のあと新幹線で名古屋へ。去年の秋台風で中止になった名古屋栄中日文化センターでの『オペラ講座「椿姫」とは誰のことか?』を開講。アレクサンドル・ドゥマ・フィスの『椿姫』を原作にしたヴェルディのオペラ『ラ・トラヴィアータ(道に迷った女)』を舞台映像を見ながら解説。フランコ・ゼッフィレッリという演出家の衣裳や舞台装置の色使いは本当に見事ですね。レナート・ブルゾンというバリトン歌手も絶品ですね。みんな過去の人になってしまいましたね。ゼッフィレッリの師匠だったヴィスコンティ演出マリア・カラス主演の舞台は録音だけで映像が残っていないのが悔やまれますね(ジュリーニ指揮。男声はステファノ&バスティアニーニ。凄い!)オペラのレベルは過去から現代へと下がってきている?いやオペラ以外も?そう言えば鈴木邦男氏が亡くなりましたね。彼も三島も「愛国心」を政治家が言う(強調する&押しつける)ことに反対してましたね。当然ですよね。スポーツで君が代を大声で歌えと言った馬鹿な政治家がいましたが君が代は大声で歌う歌ではないですよね。1964年の東京五輪の表彰台では誰もが静かに聴いて大声で歌ってなどいない。それこそ国を想う美しい姿でしょう。三島の本を鞄に入れ忘れて行きも帰りも新幹線では爆睡するほかナシ(帰りはビールを飲みましたが)残念。帰宅後晩飯は「ブラタモリ」みながら。時々天下を取った足利氏(市)。面白かった。
1月29日(日)
読書inBED三島由紀夫『鹿鳴館』読了。三島の戯曲は読んでも本当に面白いですね。ドラマの盛り上がりの勘所をきちんと押さえている。登場人物の背景+物語の展開の巧みさですね。政治家伯爵夫人に収まった元新橋の芸者が昔付き合っていた政敵とのあいだに男子を産んでいて彼がテロリストとして夫の命を狙う。男の政治vs女の愛の闘いの結末は…?政治vs愛はシェイクスピアでもヴェルディでもワーグナーでも普遍のテーマですが最近のTVドラマでは政治がなくなり浅薄な愛だけになったようですね…ってあまりTVドラマを見ていないので断定はできませんが…ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。静かな日曜日。終日デスクワークはココ数日コツコツと取り組んでいた第2回SDGsジャパン・スカラシップ岩佐賞芸術部門の一次審査のマトメ。昨年度から審査に関わらせてもらっているが第2回目は安定した企画の取り組みが多くなったのは悪いことではないけど破天荒な面白さのある企画は減ったかな?まるまる一日かかって仕事を終える。ふううう。第1回の内容はHPをご覧ください。https://sdgs-iwasazaidan.com/ 他に兵庫県立芸術文化センターでの佐渡裕プロデュースのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』のツアー企画を考えたりして晩飯はNHK『さかなクンのサカナスター』を見ながら。さかなクンの解説とイラストは素晴らしいですね。ゴンズイの話も面白かった。ニュースのあとは『ダーウィンが来た!』。ブッポウソウとアカショウビンの飛ぶ姿を撮ってるカメラマンは凄いですね。続けて『日曜美術館』は農民画家と言われてた坂本直行氏の話題。雪を頂いた日高山脈の絵が素晴らしい。六花亭のチョコの包装紙のイラストは彼の作品なんですね。続けて昨年9月の歌舞伎座公演『仮名手本忠臣蔵七段目一力茶屋』仁左衛門の由良之助は見事ですね。海老蔵は現代劇っぽくなるんですよね。しかしワインが進んで久々の歌舞伎を堪能。俺はNHKのまわし者か!?しかし『どうする家康』はちょっとミタだけでパスしました(>_<)。
1月30日(月)
『鹿鳴館』初演の頃(昭和32年)の三島の文章が読みたくなって全集29巻をぱらぱらめくっていたら朝日新聞連載の『きのふけふ』(昨日今日と読めますよね?)と題されたエッセイで面白い文章を見つけた。《首相特使一行が水爆事件中止要請のため英国へ旅立った。日本政府といふものがかふいうことをやる能力があるとは夢にも思ってゐなかっただけにこのニュースは嬉しい驚きである。動かないはずの政治の筋肉が動いたといふ驚きである。ついでに英国にもまた隠された未知の能力があって意外にも「OK中止しよう」といふことになればなあ!》三島は原水爆実験に反対だったのですね。これは昭和32年4月1日掲載の文章で当時は石橋湛山内閣から岸信介内閣に代わるところ(3月)だったが年表を見ると3月9日に政府がソ連に核実験中止を要請。同月15日参院が原水爆禁止を決議。4月25日に政府(岸内閣)が攻撃的核兵器保有は違憲との統一見解を発表。29日には政府がアメリカにも核実験中止を要請と書かれている。もっとも岸首相は自衛権の範囲なら核保有も可能と参院で答弁した(5月7日)とある。「自衛権の範囲の核保有」ってまさか自国内で使うわけにはいかないし…半世紀後の今日の「敵基地攻撃能力]がまさか核保有につながるのではないでしょうね?広島出身の岸田さん!ワン!ベッドを出て黒兵衛と散歩。三島の昭和32年1月の朝日新聞のコラム「猫の首に鈴」にも興味深い記述があった。猫の首に鼠が鈴をつけるには《まづ実現しうる事から手をつけて行かうといふわけで1月18日原水爆実験の事前登録制ならびに実験に関連する世界の放射能の観測を実施する制度の確立を要望する日本・カナダ・ノルウェー三国の共同決議案が国連総会に提出された。(略)この共同決議は日本が国連へ入って最初の意義ある仕事だと言っていい。日本は鼠でも古株の鼠だから国連における日本の思考は大人の知恵であってほしい。(略)日本も苦労して大人になったはずだ》最近の日本が少しでも大作家に褒められるようなことをしたことがあったかなあ?ワン。終日デスクワークは『甲子園大会はいらない』の初稿校正と格闘。ふうううううう。晩飯はヨシモトを見ながら。メダカさん活躍。
1月31日(火)
三島は昭和30年代に渡米。ニューヨークでミュージカルをたくさん観ていて感想を残している。『マイ・フェア・レディ』はレックス・ハリスンもジュリー・アンドリュースも絶賛。バーナード・ショーの『ピグマリオン』からの翻案も高く評価。『南太平洋』は「バリハイ」の歌以外はケチョンケチョン。『ウェストサイド・ストーリー』もシェイクスピアの『ロメオとジュリエット』の《現代化の必然性が感じられない》と批判。序曲は「だらだらした古典調」でケンカの振り付けの迫力やストーリーから脇道に逸れた「女だけのシーン(「アメリカ」?)」や「男だけのシーン(「クール」?)」を評価し「クルプキ巡査」の歌と踊りを「白眉」と評価しているもののニューヨーク・タイムズの「惰眠をむさぼっていたブロードウェイの目を覚ました」大傑作という評価も《私にはこの評価は少々誇張に思はれた》と低評価。三島はバーンスタインの音楽の革命的サウンドには気付くことができなかったようだ。《人々はロメオのソロ(「マリア」?)をほめるが私には面白くなかった》《筋は最後のところがロメオとジュリエットから離れてゐて(略)ロメをだけが死んでジュリエットは葬列に加はるところで幕となるので終末のクライマックスが著しく減殺されてゐることは否めない》いやいやジュリエットまで誤解から毒薬を飲んだりしていては終幕がだらだら長くなるだけでしょう。ここは三島の意見が間違いだと断定できる。大作家も評価を誤ることはあるのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワークは岩波ブックレット『甲子園大会はいらない』の初稿と格闘。小林信也さんも校正に大格闘しているようで対談部分の「赤入れ」が多いのでその部分だけでも早く戻してほしいと編集部から指示。イイですねえ。小生も気合いを入れてやらねば!!
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