ナンヤラカンヤラ
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4月1日(火)
真っ青な空を背景に堂々たる富士山。手前に満開の桜。見事な眺望。ちょろちょろせんと佐吉もじっとお座りして眺めんかい!福留も見事。3安打1ホーマー。そうか。日本製の世界一の砲丸は北京五輪をボイコットか。その職人魂も見事。

4月1日(火)つづき
久しぶりに書き下ろし新書に手を着けてフーッと息をついて夕方『大空の翼』を見る。1942年の戦争遂行国策映画。戦闘機隼誕生物語。山本薩夫監督。黒澤明脚本。陸軍宣伝映画を何とか作品として成立させようと真面目な努力が少々虚しい。居直って思い切り宣伝映画にしたほうが作品になったかも。リーフェンシュタールのように。けど真面目な人間にはでけんこっちゃろな。さらに新書を書きつないでから晩飯野球劇場。上原で勝てんジャイアンツはアカンで。そのあと映画『外科室』を見る。坂東玉三郎監督。吉永小百合主演。泉鏡花の世界を映像化した美しい映画。けどカメラワークには冒険なし。アイデアなし。新鮮味なし。あのチェロはやっぱりヨーヨー・マかな。

4月2日(水)
朝ラジオ2本出演したあと元塾生小島君の運転で澁澤龍子さんや鮨処もり山夫妻と一緒に千葉鴨川の高野孟氏邸訪問ミニドライヴ旅行。途中官憲による少々不愉快な事件もあったが大事には至らずアクアラインと海ほたるを初体験して高野邸へ。エエとこやなぁ。陽光桜と山桜と雑木林以外に何もない。クソ田舎やなぁ。たまにはこういう場所もエエなぁ。超モダンな大邸宅の広いベランダで昼からシャンパン。周囲の山で採れる山菜がツマミ。ノビルがめちゃくちゃ美味い!以前御近所さんやった自然木芸術家の馬場さんもでっかいラブラドールを連れて出現。いまは高野さんの御近所さんとか。夕方からはコレまた御近所さんの加藤登紀子さんと鴨川自然大国のスタッフが生まれたばかりの赤ちゃん山羊を連れて出現。総勢15人以上でワイワイ夜まで飲み食い。久しぶりの命の洗濯の一日でした。おれは都会派やから田舎には住めんけど一日くらいならええなぁ。

BOOK
内藤陽介『反米の世界史「郵便学」が切り込む』(講談社現代新書)
内藤陽介『反米の世界史「郵便学」が切り込む』(講談社現代新書)

4月3日(木)
美味しい酒ばっかり飲んだ翌日は二日酔いもなし。ただし一日遊ぶと疲れる。慣れんことすると身体がカッタルイ。短いコラム1本仕上げて読書。『反米の世界史』読了。切手と郵便だけからコレだけのことがわかるとは驚異。晩飯映画劇場は深作欽二監督『バトルロワイヤル』。晩飯の時に見たのがいかなんだのかもしれんけど最低の映画。クソ脚本。クソ映像。リアリティゼロのクソ映画。暴力の意味も価値も考えないクソメロドラマ。映画の作り方を熟知してる職人たちがナンデこんなクソ映画を作ったのか疑問。こんな映画に賞をあげたり騒いだりしたらあきませんよ。夕方のTBSラジオ『荒川強啓のデイキャッチ』で巨人の開幕連敗について話したとき「ナベツネさんももう二度と見に来ないと言ったそうですが」と振られたので「だったらコレから勝つでしょうね」と答える。「できれば巨人関係の会議とかにも来ないでほしいですね」うわっ。ホンマに今日は巨人が勝った。それも見事な逆転劇。しかし勝ち方は良うないな。川上がミスッただけやで。

DVD
『Sickoシッコ』
『Sickoシッコ』

4月4日(金)
佐吉の散歩のあと主治医へ。「他は何も問題ないのに相変わらず血圧だけは高いね」「White Coat Highpertensionでしょうか」「白衣性高血圧症だって?」「病院嫌いでお医者さん怖いですから」「そんなガラじゃないだろ…」本屋とディスクショップに寄って帰る。新年度に向けて3日がかりの仕事場大掃除開始。古本屋さんに来てもらわなあかんな。晩飯食いながら阪神巨人戦。安藤ってこんなにエエ投手やったんか。それにしても巨人は弱い。なんでラミレスが四番やねん。晩飯後映画劇場はマイケル・ムーアの『Sicko』ナンデ日本はこんな阿呆な国を真似たんや?竹中はアメリカの保険会社とつるんだんやろな…。

4月5日(土)
久方光和春日無寂心花散乱。家の前の通りの花弁の絨毯が綺麗。大掃除捗らず。朝からNHK-hiのカラヤン生誕百周年特集番組を見てしまう。若いときの音楽に専念してたカラヤンはエエ演奏してたな。ウィーン響とのシューマンの四番は最高やな。権力者になるとアカンようなるのは何処も同じ春の曙やな(ナンノコッチャ)。そういえば昨日某新聞社からカラヤンについて電話取材を受けた。「CD200枚以上で30万円のカラヤン・セットが500組以上売れたそうです」「カラヤンで儲けてる関係会社の社長さんの友人だけでもそれくらいは売れるでしょう。コマーシャリズムの輪の中で生き抜いた音楽家ですから」「演奏はどう思います?」「瑕瑾すらない美しさ。いつ何処で演奏しても寸分変わらない美しさ。カラベリときらめくストリングス。仕事中のBGMにはOK。R・シュトラウスの音楽とカラスと協演した若いときの『ルチア』と新ウィーン楽派の音楽をわかりやすく演奏した録音以外はつまらない」「でも人気はありますよね」「驚きがなくて聴きやすいですからね。飽きるのも早いでしょうけど宣伝すれば次々と聴く人は出てきますから。ポルノみたいなものですな。飽きる人も出れば興味を持つ人も現れる」また叱られるかな。晩飯映画劇場は『スーダラ節わかっちゃいるけどためられねぇ』ドーデモええ映画。しかし悪い演奏を聴くとイイ演奏がワカルようになるのと同じで悪い映画を見るとイイ映画がワカル。ポイントはリズムの切れ味と匂いの有無かな。

DVD
『モーツァルト・フォー・ザ・ピープル』
『モーツァルト・フォー・ザ・ピープル』

4月6日(日)
誕生日冥土の旅への一里塚めでたくもナシめでたくもナシ。風に吹かれた桜の花弁は地面の上を車輪のようにころころと転げ回る。『題名のない音楽会』佐渡裕の司会第1回を見る。「司会と指揮はしんどいな。ギャラ2倍欲しいな」というコメントはカット。まぁ他意はないのやろけど(笑)。数日前に高野邸で出逢った少年ピアニストのためにグールドやグルダやポリーニやバーンスタインの映像を選ぶ…はずが久しぶりに見て自分で感激。グールドの『ゴルトベルク変奏曲』はやっぱり凄いなぁ。グルダの自作自演も見事やなぁ。バーンスタインのベートーヴェンの1番P協はジャズ丸出しやな。しかし少年ピアニストにこんな「異端の」映像ばっかり見せたら道を誤ってしまうかも。けどまぁ音楽家であること自体が世の中では異端やもんな。夜は誕生祝いに『鮨処もり山』へ。プレゼント?そんなもんイラン。一人にしてくれ。Please leave me alone.

4月7日(月)
原稿いろいろ書きまくって夕方から新橋へ。『スポーツ・ヤァ!』元編集長が新しいスポーツ・ジャーナリズム雑誌の創刊に漕ぎ着けた。その連載対談を金子達仁さんとやることになって酒飲みながらサッカーの話を聞き野球を語り合いオリンピックの講義をする。楽しい一時。何かに利用され続けてきた日本のスポーツをスポーツを目的とするスポーツへ…で意見が一致。新雑誌はとりあえず季刊で始まるらしいけどこういう有意義な対談は毎月でもやりたいな。

4月8日(火)
朝から大ショック。中村一好さんの訃報。1月に名古屋の中日劇場楽屋裏で色々話したところやったのに…。そう言えばそのときの饒舌がちょっと気になってたけど…。都はるみさんの心中を思うと言葉もない。有田芳生さんにメール。そうか。「諦念のパトス」か。折しも大荒れの天候。花が散りまくる。勧君金屈巵。満酌不須辞。花発多風雨。人生足別離。コノサカヅキヲ受ケテクレ。ドウゾナミナミツガシテオクレ。ハナニアラシノタトエモアルゾ。「サヨナラ」ダケガ人生ダ。

BOOK
小田島雄志『シェークスピアの人間学』(新日本出版社)
小田島雄志『シェークスピアの人間学』(新日本出版社)
『小田島雄志のシェークスピア遊学』(白水社)
『小田島雄志のシェークスピア遊学』(白水社)

4月8日(火)つづき
夜サントリー・ホールへ。三枝成彰さんの新作モノ・オペラ『悲嘆(Grief)』の初演。台本・演出はなんとアーノルド・ウェスカー。小生が演劇を志した中学3年の時に感激した人物。文学座のウェスカーの芝居は見逃さんようにしたもんやったけど歳とらはったなぁ。中味は「二・二六事件の妻」。二・二六に参画して処刑された若い夫を持つ妻が自分の意思で自害する。三島の『憂国』の女性左翼英語ヴァージョン…というとステレオタイプに過ぎるかな。ソプラノの中丸美千絵さんの一人舞台。「ソプラノ殺し」(終演後の島田雅彦さんの評)の音楽を80分間美事に歌いきる。小編成のオケによる音楽の響きも美しく三枝成彰さん渾身の作品。ブラヴォーでした。しかし今何故「二・二六」なのかやっぱりイマイチわからんかった。そういえば都はるみさんに「オペラに挑戦してください」と言うたとき「三枝さんからも言われたけどテーマが『二・二六の妻』だって言うので考え込んでしまって…」という答えが返ってきたことを思い出す。中村一好さんの訃報と重ねると『二・二六』を今舞台に上げる意味がわかったような気にも…。終演後ホールの出口で小田島雄志先生と久しぶりに遭う。お元気そうで何より。やっぱりウェスカーやし来やはったんやな。学生時代は先生のあとばっかり追いかけて研究室や渋谷の『田園』や隣のパチンコ屋でウェスカーやらシェークスピアの話をよう聞かしてもろたなぁ。大学中退するキッカケも先生が新聞の仕事くれたからやったな(笑)。またゆっくり話させてもらお。あ。オペラの感想聞くの忘れた。

DVD
『三文役者』
『三文役者』

4月9日(水)
オリンピックはスポーツではない。それは政治である。「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブメントに属することと相容れない」「(オリンピズムの)目的は人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある」というオリンピック憲章も政治の一種なら「差別する」のも政治である。当然両者は闘争する。聖火はオリンピックの象徴であり政治の象徴である。聖火(政治)がなくてもスポーツはできる。スポーツは政治より上位にあるはずだ。ちなみに次のようなオリンピック憲章の一文があることも紹介しておこう。「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」仕事のあと晩飯映画劇場は新藤兼人監督『三文役者』。怪優殿山泰司に対する愛情こもった伝記映画。面白かった。竹中直人の怪演以上に荻野目慶子の熱演に拍手。『裸の島』『人間』なんかも見直しとなった。近所の焼鳥屋さん『との山』にも久しぶりに行きとなった。

4月10日(木)
朝仕事をしたあと夕方から衆議院第2議員会館へ。民主党のネクストキャビネットスポーツ政策小委員会のヒヤリングに呼ばれて短い講演と質疑応答。座長の藤村修議員や世話人の田島一成議員が中心になってスポーツ振興法の改正や新たなスポーツ政策を考える会。「政局風雲急を告げるこの時期にスポーツを考える会を催すという民主党の見識の高さと文化意識の高さに敬意を表したい」と冒頭で発言したのは半分はウケ狙いやったけど半分は本気。「スポーツと体育」「利用されるスポーツと自立したスポーツ」の違いをきちんと認識したうえでの討論は嬉しい。ようやく国会関係者の間にも真っ当なスポーツ観が浸透し始めたのは感慨深い。残る問題はメディア関係者と体育関係者やな。愛媛FC出身の友近参議院議員や中京女子大学学長の谷岡郁子参議院議員や民主党常任幹事会議長の中井洽衆議員議員それにプロ野球選手会ストライキの時に一緒に闘った鈴木寛参議院議員や国立国会図書館の関係者などが小生の話に耳を傾けてくれる。大船に戻って気分良く「213」へ。まぁ話しただけで気分良うなってもシャーナイのやけど自民党の来年度スポーツ省設立の動きはどないなってるんやろ?高野連はスポーツ省の管轄にする気か?

4月11日(金)
朝仕事のあと昼から青山のドイツ文化会館へ。ペーター・コンヴィチュニーの演出論を拝聴。なるほどヴァルター・ベンヤミンやブレヒトやフェルゼンシュタインの系譜の人物であるだけに反資本主義で啓蒙主義。異化効果で観衆を覚醒させるわけやね。カラヤンやレヴァインの『パルジファル』の演奏をポルノグラフィ(本質を無視して一部=音の美しさしか表現してない)と断じたことも含めて大いに勉強になった講演会。しかし「舞台(オペラや演劇)は娯楽であってはならない」はどうか?もっと観衆を信じてもいいのでは?パヴァロッティが朗々と歌いあげたヴェルディの舞台でも政治の恐さに気づく観衆は少なくないはず…なんてことを考えながら神保町へ。かつて『GORO』でライターをやってたときに大いに世話になった編集者のSさんと何年かぶりにコーヒーを飲む。アタマの切れる編集者の話は相変わらず面白い。昔は原稿を破られたもんやな。こういう編集者はもう出えへんやろな。いや仕事できる場所がないやろな。昔でもライターから嫌われてたもんな。しかし昔の『GORO』のスタッフはみんなレベルが高かったな。雑誌が売れたはずやな。

4月11日(金)つづき
帰宅して晩飯映画劇場は市川崑監督の『足にさわった女』。めちゃめちゃオモロかった。お色気たっぷりの若い越路吹雪の女スリも軽薄剽軽真面目な池辺良の刑事もカマっぽい山村聰の流行作家もサイコー。軽快な会話のリズムもバツグン。音楽の黛敏郎もスイングジャズでノリノリ。そういえば黛敏郎は川島雄三の映画の音楽も仰山やってたな。崑さんはこんな軽妙な映画もつくってはったんや。この歳になっても知らんことが多いな。増村保造のリメイク版も見なければ。金本の2000本目が出えへんな。やっぱりプレッシャーかな。というよりどっかでいろいろ意識してしまうんやろな。

4月11日(金)つづき
そうか。プロ野球コミッショナーにMLBオタクの駐米大使が就任か。これでMLBの極東進出の日本側受け入れ態勢が整ういうわけやな。折しもMLBも中国韓国の加入は時期尚早(人気がない)と判断して日本の6球団をNリーグかAリーグの極東地区に加えると決断したそうやからナベツネはもう巨人なんてどうでもエエと思とるんやろな。野球を契機に日本は晴れてアメリカの51番目の州になるちゅうわけか。めでたいこっちゃで。NHKの7時のニュースでも北京五輪予選よりもMLBを先に報じるくらいなんやからね。おれはアイランドリーグとBCリーグを応援することにするか。しかしジャイアンツやタイガースはどんな名前に変えるんやろ?

4月12日(土)
忙しいのか暇なのかワカラン毎日。やらなアカンことは山のように貯まってるんやけど…。昨日書いたMLBの極東進出の話はMLBの選手組合の反応とか外国人選手枠問題とかまだまだいくつもハードルはあるけどMLBとしてはバブル(球団資産価値の高騰)をはじけさせないためにもエキスパンションが必要やしヤル気やろな。そこで日本で仮にMLB所属6球団が生まれたとしてNPBはどうなるのか?BCリーグやIリーグと合体してAAA・AA・Aクラスの地域密着型チームが各県にできたらこっちのほうが人気が出たりして…。夕方から独立行政法人日本スポーツ振興センターの某氏と『鮨処もり山』で夕食しながら歓談。聖火問題から五輪招致問題までオモロイ裏話は尽きひんけど現在休業中の小生のスポーツジャーナリスト塾に復活の見通しも。『スポーツ・ヤァ!』元編集長のH氏が出す新雑誌『論スポ』(英和出版・発行発売/スポーツタイムズ通信社・編集)も創刊号が5月22日発売と決まったことやし音楽と映画にかかってた比重をまたスポーツに戻そかな。

DVD
オペラ『ジョヴァンナ・ダルコ』
オペラ『ジョヴァンナ・ダルコ』
『汚名』
『汚名』

4月13日(日)
仕事をしなければと思いながら日曜やと思うと気合いが入らん(そんな日ばっかしやな)。フリーランサーの一番難しいところは自分で自分にネジを巻かなあかんとこやな。30年以上フリーやのにまだ方法論が身につかん。それがフリーなんかもしれんけど。昼飯オペラ劇場でヴェルディ『ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)』(ボローニャ歌劇場)をLDで見てしまう。シャイーの指揮はエエなぁ。『アッチラ』(ムーティ指揮スカラ座)とかヴェルディの初期作品は「軍歌」のオンパレードで元気が出るなぁ。資料調べばかりで原稿が進まず。あっという間に晩飯映画劇場。昔やったら原稿との格闘を選んだけど今は毎日の勉強スケジュールを優先。フリーには規則が大事なのです。それとも歳とって傲慢になったんかな。もいっぺんヒチコック見てやれシリーズで『汚名Notorious』。やっぱりヒチコックはオモロイ。商売モードで観衆をミステリアスに驚かそうとするから登場人物の心理描写が深くなる。芸術志向と違うからエエんやな。

DVD
『見知らぬ乗客』
『見知らぬ乗客』

4月14日(月)
朝から原稿と格闘。おかげで澁澤龍子さんと小田島雄志先生の鎌倉デートへの特別参加はキャンセル。ええーっ!NYヤンキースの入場料の最高額は400ドルもするんか。レッドソックスは125ドル!東京ドーム開幕戦ネット裏の1万8千円は妥当?俺がMLBの取材をし始めた頃はワールドシリーズのネット裏でも35ドル。公式戦は15ドルやったで。外野席なら1ドル(子供は50セント)なんてのもあった。もはやBaseballもNational Pastime(国民的娯楽)なんて言うてられへんな。けどこのバブルはいつかハジケルな。ハジケさせんためのExpansion(日本進出)なんやろけど共倒れの可能性もあるな。晩飯映画劇場はもいっぺんヒチコック見てやれシリーズ『見知らぬ乗客』。中学生の時に見てメリーゴーランドの馬が怖なったのを思い出した。ちょっと作為があざとすぎるかな。しかしオモロイ。

DVD
『電送人間』
『電送人間』

4月15日(火)
3年後にMLB直轄の極東リーグができて春先とオールスター戦時にインターリーグの形で数試合アメリカ本土のチームと闘いワイルドカードのチームとプレイオフをやってア・リーグかナ・リーグの優勝決定シリーズへの道を開く…。その極東リーグが「日本で1リーグ6球団」…という筋書きは4年前にストライキにまで発展した「1リーグ10(8)球団構想」の焼き直しやな。権力者は何としてでも自分のやろうとしたことをやりよるんかな…。原稿書きまくってふらふら。遅い晩飯映画劇場は『電送人間』。鶴田浩二・白川由美主演円谷特撮の科学ミステリーホラー映画。「大本営」なんてバーが登場したり陸軍の認識票が連続殺人の道具に使われたり戦争の影を再認識。とくに映像に凝ったりせんけど福田純という監督は職人としてリズム作りが巧いな。野球見に行きたいなぁ。岩本とダルビッシュの投げ合いみたいな試合見たいな。

4月16日(水)
朝ラジオ2本こなして原稿書きまくり。夕方に新連載を引き受けた『ゴーギャン』の編集者が来訪。『213』で飲みながら打合せ。色々話したら若いときに『GORO』でバイトしてたとか。懐かしい名前のオンパレードで生ビールが進んでしまう。夕方6時から飲み始めて12時まで。まぁこういうときがあってもええやん。

DVD
オペラ『アイーダ』
オペラ『アイーダ』

4月17日(木)
朝原稿こなして昼から湯島のサッカー協会へ。新雑誌『論スポ』の仕事で久しぶりに川淵キャプテンにインタヴュー。岡田ジャパンからスポーツと環境問題、スポーツ省問題までいろいろ訊く。7月で定年退任して名誉会長。「院政という声もありますね」「チェアマンを辞めたときもいわれたな。そのときの鈴木チェアマンは何の相談もしてこなかったよ」詳しくは5月下旬発売の『論スポ』で。その後『論スポ』の編集長と一緒に国立競技場のスポーツ博物館へ。スポーツジャーナリスト養成塾に使わせてもらえる会議室などを視察。うまくいきそうやな。突然急用が入ったためオーチャードホールでのコンヴィチュニー演出の『アイーダ』をキャンセル。あまり残念でもないのは先日コンヴィチュニーの講演と解説を聞いたからかな。仕事に疲れたオペラ好きのオッサンなら『アイーダ』はお勉強やなく娯楽として楽しみたいもんな。帰宅したら次女がBFと家にいる。休日で箱根見物の帰りとか。若者は休日に遊んだりせんと勉強せんかい!何?結婚する?勝手にせい。

4月18日(金)
朝仕事場の整理をして午後からNHKへ。関東甲信越番組審議委員会に出席。NHKの夜7時のニュースで北京五輪予選よりもMLBのほうを先に報じている姿勢に少々苦言。やっぱりスポーツ「報道」はスポーツ「放送」と一線を画してほしいですからね。加えて番組製作協力で謝礼をもらったことがないことを指摘。調子に乗って出演料も日本薄謝協会(NHK)と呼ばれるほど安いことも指摘。安いこと自体が問題なのではなく「使ってやる」「出してやる」という意識の生じることが問題。審議会のあと新幹線で名古屋へ。うわっ。携帯を自宅に忘れた。くそっ。公衆電話が見つからん。いろいろ連絡もとれん。不安で不満な気持ちになる自分が情けない。携帯なんかハナからなかったらこんな不便は感じひんのに不便な世の中になったな。名古屋泊。

BOOK
黒岩比佐子『日露戦争勝利のあとの誤算』(文春新書)
黒岩比佐子『日露戦争勝利のあとの誤算』(文春新書)

4月19日(土)
朝東海TV『スーパーサタデー』生出演。善光寺の聖火イベント辞退を評価。聖火が世界の五大陸を廻るようになったのは前回のアテネからというのは意外と知らん人が多いみたい。帰りの新幹線のなかで黒岩比佐子『日露戦争勝利のあとの誤算』(文春新書)読む。近代日本が道を誤り始めるきっかけがよくわかる。夜『鮨処もり山』へ。「なんでかココんとこよう来てるな」と大将に言うと「クセになるようクスリ入れてますから」の返事。そんなアホな。

CD
『サプライズ/ミーシャ・ブルガーゴーズマン』
『サプライズ/ミーシャ・ブルガーゴーズマン』
『イングリット・フリッター/ショパン・アルバム』
『イングリット・フリッター/ショパン・アルバム』
『フィエスタ』
『フィエスタ』

4月20日(日)
今日は日曜サンデーというのにこんなに沢山原稿頼まれ人の気持ちも知らないでワテほんまによう言わんわ…と書いてもギャグの通じる人少ないやろな。原稿書きながら送られてきたCDを片っ端から聴く。ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オケの『フィエスタ』は楽しいラテン音楽ばかり集めた一枚。なんでラテンのメロディは日本音楽と似てるのかな。そういやアルゼンチンで聴いたタンゴで突然『北上夜曲』のメロディが流れて仰天したことがあった。日本のほうがパクッタみたいやけど。知的美人(に見える)イングリット・フリッターの『ショパン・アルバム』も良かった。優しく豊かで品のあるショパン。しかし最高に素晴らしかったのはカナダ出身のミーシャ・ブルガーゴーズマンという名前も顔も大迫力の黒人ソプラノ歌手の歌った『キャバレー・ソング集』。ウィリアム・ボルコムなんていうアメリカの作曲家(知らんで!)の歌やシェーンベルクやサティの軽歌曲(キャバレーソング)を集めた一枚。声にも迫力あるなぁ。ファンになりそうやな。彼女の声にアテられたのか夜になると鼻水たらたらアタマもボンヤリ。誰や俺に風邪を感染させたんわ!アカンで今週は忙しいのに…くそっ。クスリ飲んで早よ寝よ。

4月21日(月)
あかん。風邪や。単にウィルスの味がする。少々長い原稿を仕上げる予定を変更して明日の講演と土曜のオペラ講座の準備だけでクスリ飲んで寝る。チクショー。一晩で治したるぞ!

4月22日(火)
昨晩玉子御飯かき込んでクスリ飲んで7時に寝て朝8時起床。途中2回目ぇ覚まして汗かいた下着とパジャマを着替えたけど爆睡でスッキリ。風邪なんかに負けるか!新幹線で豊田市へ。豊田中日文化サロンで講演。テーマは『スポーツと音楽の深い関係』。こういうテーマは楽しいな。それでもちょっと疲れたので帰りは三河安城からゆっくりこだまで小田原経由大船へ。クスリ飲んで寝よと思たけど昨晩の寝過ぎで目が堅い。黒岩比佐子『日露戦争勝利のあとの誤算』(文春新書)読む。この本はホンマにオモロイ。現在のメディアと世論の関係を考えるうえでも必読。しかし読むペースが遅い。あかん。やっぱり風邪がぶり返してきたか?自宅に戻ってクスリ飲んで屁ぇこいで寝る(註・「屁ぇこいで寝る」という表現は関西人の慣用語で別に意味はありません)。

4月23日(水)
朝ラジオ2本。体調はスッキリ。ちょっと咳と痰が残る程度。月曜日に先送りした少々長い原稿に挑む。四苦八苦しながら完成。疲れた。知的生活に体力は必須やな。明朝のTBS『朝ズバッ!』から出演依頼。テーマは聖火問題。これは出んとイカンやろな。聖火の所有者はIOCでオリンピックは政治そのものいうことはあんまり喋られてへんしな。早よ寝とこ。これで3日間ほとんどアルコール抜きやな。健康やなぁ…ちゅうのはショーモナイ人生かもしれんなぁ…なんて言うたら健康好きの人から怒られるな。

4月24日(木)
朝5時半起きで迎えのハイヤーに乗ってTBSへ。『みのもんたの朝ズバッ!』スタジオ生出演。オリンピックという政治を実践しながら経済行為に走ってるIOCの責任や過去の政治的聖火リレーについて話す。帰宅してウトウトしながらテレビのスイッチひねったらWOWOWで山本薩夫監督『松川事件』をやってたので見てしまう。戦後占領下での国策捜査事件の裁判劇。いろいろ考えさせられる。死刑判決を下した裁判官の一人がニタニタ笑てたのか…。俺は裁判員制度には批判的消極的やったけどこういうことがあることも考えなあかんのやろな。

4月24日(木)つづき
うわっ。原稿1本今日締め切り忘れてた。必死になって書くが夕方までには無理。ザルツブルク音楽祭プロデュースの『フィガロの結婚』キャンセル。ちょっと悔しいけどDVDで何遍も見てるし…と自分を慰める。その代わりに遅い晩飯映画劇場はヒチコック『断崖SUSPICION』。ちょっと無理あるかなぁと思えるストーリーをリーズナブルやなぁと思わせる力技は凄い。風邪の名残がまだあるかな。クスリ飲んで寝よ。

4月25日(金)
大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演。2001回記念。スタジオは花でいっぱい。角さん西クンの二大スターアナ共演。聖火と五輪について話す。フランス料理風親子丼も美味しかったけど1斤5000円の食パンに仰天。なるほど美味。そのパンを出してる店が『nono piano』というらしくハイヒールのリンゴさんからCM中に「どういう意味?」と訊かれたので「nonoは9番目いう意味やから9階のピアノらしいけど静かにせんでもエエという意味もひっかけてあるのんかなぁ」というと「そんなら『わいわい亭』やね」と絶妙の翻訳。頭の回転早いなぁ。帰りの新幹線で黒岩比佐子『日露戦争勝利のあとの誤算』読了。現代日本を考え直す上で素晴らしい本でした。

4月26日(土)
朝6時起き。迎えのハイヤーでテレビ朝日へ。『サタデースクランブル』生出演。東ちづるさんとは10年近く前に大阪のテレビで一緒になって以来久しぶり。その前は佐々木信也さんの番組『ザ・ウィーク』でアシスタントをされてたときに海江田万里さんや塩田丸男さんと一緒にレギュラーやらせてもろてたんで毎週会うてたな。なんやらなつかしいな。長野での聖火騒動生中継を見ながらコメント。それ以上に朝青龍のガッツポーズを批判するコメントをきちんと口にできたのが嬉しかった。もちろんやくみつるさんも大賛成してくれたし。番組終了後東京駅から新幹線で名古屋へ。栄中日文化センターでオペラ講座。14期目(丸7年)の新学期の1回目。よう続けてるなぁ。受講生の皆さんも顔なじみ。楽しいな。オペラはやっぱりオモロイな。モンテヴェルディの『オルフェオ』を解説したあと特別企画でスポーツと音楽について話す。終了後受講生の一人の新聞記者の男性が「ザルツブルクのフィガロ見てきましたよ」ちょっと悔しい。

BOOK
村井則夫『ニーチェ―ツァラトゥストラの謎』(中公新書)
村井則夫『ニーチェ―ツァラトゥストラの謎』(中公新書)
ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』(氷上英廣・訳/岩波文庫)
ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』(氷上英廣・訳/岩波文庫)
CD
R・シュトラウス交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』
R・シュトラウス交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』

4月27日(日)
久しぶりに朝寝。佐吉の散歩に行こうとすると既に長女が行ったとか。勝手なことばっかりしてるうえに親の健康の邪魔までしやがって。校正をいろいろやっつけて夕方から大阪へ。新幹線車中で村井則夫『ニーチェ〜ツァラトゥストラの謎』(中公新書)読み進む。先に読み始めてちょっとしんどくなってやめたけど今回は面白く頭に入る。そうか。R・シュトラウスの『ツァラトゥストラ』の交響詩の冒頭(2001年宇宙の旅のメロディ)は「正・反・合」やなくて「駱駝・獅子・幼子」なんやね。ニーチェをヒトラーにまで結びつけた阿呆はどこのドイツや?大阪泊。

4月28日(月)
朝関テレ『痛快!エブリデイ 男がしゃべりでどこが悪いねん』生出演。司会の桂南光さんに「すっかりおなじみになりました…」などと紹介されるようになったせいか「仕事と違うときに外泊するときなんか奥さんにどないに言わはりますのん?」などと突っ込まれる。「イヤハヤアノソノ…」でウケルようでは素人やな。「ウチのヨメハンはほんまにええヨメハンですねん」とでも切り返さなあかんな。今度はそうしょ。大ファンの中川家の弟さんと初めて同席。電車アナウンスのパフォーマンスはホンマにオモロイな。帰宅してコラム1本必死に仕上げる。TV出演と原稿書きはやっぱり水と油かな。晩飯映画劇場はヒチコック『白い恐怖』。イングリット・バーグマンとグレゴリー・ペックとフロイトとダリやで。オモロかったけどちょっと無理あるな。その無理を押し切るヒチコックの手法がわかってきた。

4月29日(火)
久しぶりに佐吉と散歩。若葉が綺麗。花もいっぱい咲いてる。昭和の日。エエ気分やな。事務処理のあと昼飯食いながらNHK-BSダッカ・ハイジャック事件のドキュメンタリーを見る。前にも見たけどよくできた番組。バングラデシュの司令官は素晴らしい人格者やな。原稿校正しながら柔道天皇杯。井上康生あかなんだな。シャーナイな。いっぺんスカされた内股を意地でもういっぺん挑んで失敗したのは彼らしい。棟田の支え釣り込み足は見事。鈴木の逆転勝ちもナカナカ。石井の柔道だけはツマランかったな。本人も優勝しても悔しくて泣いてたけど「いつもああいう柔道です」という篠原の解説は秀逸やったな。このルールとこの審判のやり方とこの礼儀作法を世界の柔道に広めてほしいな。

4月30日(水)
朝ラジオ2本のあと佐吉の散歩。さぁ今日から大掃除!と意気込んでは見たものの昼飯抜きでガンバッテ机の引き出しと郵便物の状差しと机の下の資料棚の整理だけで大汗かいて日が暮れる。こういうツライ一日に朋友S君からありがたい電話。『213』で待ち合わせ。ビールと旨いメシ。何?S君は社長になったんか。そらめでたい。出世欲も支配欲もない奴がリーダーになるのは最適。一番の友人の肩書きが社長なら俺もこれからは大学教授を肩書きに使おうかな(笑)。

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