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2003年 11月12月
BOOK
井上寿一『吉田茂と昭和史』(講談社現代新書)
井上寿一『吉田茂と昭和史』(講談社現代新書)

7月1日(水)
早朝ラジオ2本。スポーツと音楽とマイケル・ジャクソンという三題噺。ケッコウまとまった。続けて新幹線で大阪へ。退院以来初の介添人ナシの一人旅。品川まで出勤途中の次女が見送りに来る。子供やあるまいし「初めてのお遣い」と違うぞ!しかし自民党は初めてのお遣いのガキみたいなことしとるな。人気の知事を比例の一番になんてアホやで。昔あの人の司会する深夜TV番組に出たことあるけど…やめとこ。その話はモウチョットあとで。あの知事の態度を見てからにしよ。『ちちんぷいぷい』生出演も途中退席せずフルタイム3時間頑張らせてもらって異常なし。いろいろ徐々に戻ってくるなぁ。帰りの新幹線は飲みたいビール我慢して腹の虫の鳴き声を聞く。井上寿一『吉田茂と昭和史』講談社現代新書読み始める。オモシロイ。この孫も岸の孫もサイテーやな。帰宅して缶ビール1本。飲む量の激減した自分を誉めてあげたい(笑)。

7月2日(木)
朝佐吉と散歩のあとBC工房サンが仕事場用の手作り椅子を持ってきてくれる。抜群の出来。蕎麦殻入りの背中のクッションもバッチリ。前後の動かす時に少し絨毯にひっかかり気味だったのを(それほど気にならなかったが)その場で直してもらって(木に鉋をかけてもらって)完成。いい気分や。これで仕事も捗るはず。これまで15年くらい使ったドイツ製の椅子も良かったけど今度のは革の部分が赤と黒で見た目も綺麗。絶対にオススメの家具です。http://www.bc-kobo.co.jp/これで二度と脳溢血にもナランやろ(笑)。

7月2日(木)つづき
午後からフリー編集者のK氏来宅。脳溢血のお見舞い半分で新単行本企画を話し合う。ボチボチいろんなことを始めるか。さて『オペラ忠臣蔵外伝』はどーしょーかな。血圧上がる仕事は絶対にNGやし要再考やな。中日文化センターの秋からの講座は抜群の新しいテーマに気づく。これまでのオペラ講座と同様これは最低5年10回はイケル企画やで。晩飯映画劇場はジョン・ウェイン&ロバート・ライアン主演の戦争映画『太平洋航空作戦』。冒頭にHowerd Hughes Presennts という文字が出たこととHBS(Harvard Business School)出身の航空兵がドジ踏んでJ・ウェインから費用対効果の説教受けること以外面白さの何もない映画。それにしても空気どころかナンニモ読めへん総理大臣は結局ナンニモでけへんで終わるのんかいな。あ。「バカヤロー解散」やるつもりなんや!

DVD
『サハラ戦車隊』
『サハラ戦車隊』
CD
『キアズマ』
『キアズマ』
BOOK
池田弥三郎『日本故事物語(上下二巻本)』(河出書房新社)
池田弥三郎『日本故事物語(上下二巻本)』(河出書房新社)

7月3日(金)
朝佐吉と散歩。かなり身体機能は戻ったけどマダどっかおかしいのは気のせい?発病2か月ちょっとくらいでは完治は無理?それとも歳のせいでこんなもんか(笑)。午前中に井上寿一『吉田茂と昭和史』読了。孫との違いは頭脳・蓄積・胆力やな。結局すべてやないか(笑)。午後からコンピュータのなかを徹底掃除。いろいろ入ってるのを外に出して新しい仕事の準備OK。昨日K氏にもらった池田弥三郎・著/橋本治・解説/岡田嘉夫・絵の『日本故事物語』河出書房新社がめちゃめちゃオモロイ。「式亭三馬の浮世風呂に出てくるおちんちんはちんちんかもかもの省略で「かも」はおそらく鴨の味の鴨であろう」という解説や「宇治の火事茶園火炎と燃え上がり茶摘み茶仕事しっちゃかめっちゃか」とか「南無釈迦じゃ娑婆じゃ地獄じゃ苦じゃ楽じゃどうじゃこうじゃと言うが愚かじゃ」といった狂歌がわんさか紹介されてる。さすがホンマもんの雑学の知識のある粋人は違うな。マイッタ。

7月3日(金)つづき
晩飯映画劇場はハンフリー・ボガート主演『サハラ戦車隊』。これは10枚組1600円の戦争映画DVDとしては掘り出しモノ。戦争映画という以上に黒人真面目スーダン兵やちゃらんぽらんイタリア兵捕虜や厳格ドイツ兵捕虜や頑張りアメリカ兵や文句言いイギリス兵などとドイツ軍との「砂漠での水争奪戦」で人間の存在を考えさせられた。結局はアメリカ国務省がバックの映画とはいえ監督の気合を見る。五月蠅い権力スポンサーがおってもヤル気と才能があれば出来るもんやで。監督は『ジャングル・ブック』のゾルタン・コルダ。これで1枚(1作)160円は安いで。

DVD
『戦場』
『戦場』
SWEETS
上州名物『呑龍まんじゅう』
上州名物『呑龍まんじゅう』
糸屋謹製『手作り五家寶』
糸屋謹製『手作り五家寶』

7月4日(土)
早朝起きて新幹線で名古屋へ一人旅。東海TV『スーパーサタデー』生出演。吉永みち子さんに病状を心配されるが杖を持ってる以外もう大丈夫。とはいえ口が渇いて喋る舌が少々縺れる。気のせいか。自民と民主の見苦しい泥仕合に戦前の政友会と民政党の政争を思い出す。その間隙を衝いて軍部が勢力を拡大したことをお忘れなく。鎌倉へ戻ってヤマダ電器へ修理に出していた2台目のパソコンをとりに行く。基盤交換で費用は4万3千円。新しいのを買ったほうがいいのかさんざん迷った末の修理。どうせインターネットとメールと原稿書きだけやから新品を買うのは差し控える。正解。キイボードも美しく変身。大事に使いましょ。

7月4日(土)つづき
帰宅して腹が減ってるのでmimulaさんにもらった『五家寶』を一切れ食す。娘どもが旨い旨いと騒いでいたがナルホド極美味。黄粉の味が抜群。今は亡き婆さんの黄粉俵握飯を思い出す。『五家寶』というのは熊谷名物らしいがコレは包み紙に『於平和記念東京大博覽會金牌受領關東名物風味高尚澹白滋養埼玉縣深谷市糸屋製菓店謹製』と書かれていていかにも旨そうでナルホド旨い。菓子は京菓子の外見重視の気取った味より関東の素朴な味こそ美味でジャズシンガーのkotsubuさんからよくいただく「元祖呑龍山田屋本店」の『上州名物呑龍饅頭』がこれまた美味。竹箒のミニチュアで塗るミソタレの味が絶妙。麦糀が主なので腹に凭れない。晩飯映画劇場はウィリアム・A・ウェルマン監督『戦場』。これまた1枚160円の掘り出しモノ。ドイツ軍の反抗に苦しむ連合軍歩兵の姿を淡々と描くリアリティあふれる名品。いろいろあるもんやな。

DVD
『第十七捕虜収容所』
『第十七捕虜収容所』

7月5日(日)
朝佐吉と散歩。『題名のない音楽会』で洋輔トリオ第2弾を見る。タモリさんも言うてたけど森山威男さんのドラムはホンマに凄いな。動きも音も何もかもが柔らかい。クラシック時代には演奏中にシンバル落としたって?オチコボレ・パーカッショニストの故・岩城宏之さんでも叩き忘れるくらいでソレはなかったで。終日本棚の整理。今年は古本屋に売る本が少ないと思てたけどそうでもない。あと数日かかるな。晩飯戦争映画劇場はビリー・ワイルダー監督『第十七捕虜収容所』。ピーター・グレイブスとウィリアム・ホールデンなどの演技も光るがドン・テイラー(後に『新猿の惑星』『オーメン2』などを監督)やオットー・プレミンジャー(後に『帰らざる川』『カルメン』『栄光への脱出』などを監督)などの名演技が見られるのも嬉しい。元々原作が戯曲でブロードウェイでヒットしただけあって台詞も場面構成も演劇的。しかし何と言ってもワイルダー。笑いも洒落っ気も悲嘆も怒りもたっぷりの見事な心理構成。コレが160円というのも安い!安すぎる!

7月5日(日)つづき
静岡県知事選で川勝平太さん当選。民主党推薦の勝利なんで衆院選との関連で騒がれてるけど小生にとっては中高の先輩。講演会で何度かご一緒。走り回って握手なんかできん人やと思てたけどできる人なんやな。失礼しました。まぁとにかくコレで民意はわかってきた。自民党は素敵な野党になれるかどうか…。とにかく川勝さんオメデトウ。

7月6日(月)
朝佐吉と散歩。もう書かんでもええか。某君より昨日の静岡県知事選の結果についてtel。そんなに騒ぎなさんな。他人より党より自分に何が出来るのか。それが政治やおまへんかいな。しかしなんやかやと五月蠅うなってきたな。解散近いからな。俺はしっかり勉強し直そ。晩飯戦争映画劇場はノルマンディ上陸とその後を描いた『総攻撃』。まぁこんなもんという映画。160円やしな。実写は所々注目。

7月7日(火)
七夕とテレビは騒いでるけど今の時期牽牛も織姫も見えへんのと違うかな。そういや牽牛(彦星・アルタイル・鷲座のα星)は惑星系を持つ可能性が高く日本人科学者が初めてMETI(Messaging to Extra-Terrestrial Intelligence)を行った。何年前のことやったかいなぁ。織姫(ベガ)にも惑星系ができつつあるということが何年か前にニュースになったな。まぁどうでもエエけどETI(地球外生命体)の映画では『E.T.』も『未知との遭遇』も大好きです(J・ウィリアムスの音楽も抜群やしね)。スピルバーグの映画で好きなのはあと『1941』と最初の『激突』と最初の『ジョーズ』くらいかな。ほかはビミョー。理屈が入るとつまらんようなるのはなんでや。どこやらの知事も理屈をこねまわしはじめたらアカンな。国政に出たいだけやろ?知事てそんなにヒマなんかな。俺も今日は終日読書と本棚の整理。売りたい古本が仰山出るなぁ。晩飯戦争映画劇場はゲーリー・クーパー主演『Task Force機動部隊』。いろいろアメリカの軍事史の背景を知ることは出来るけど映画としては語るに落ちる160円。

DVD
『頭上の敵機』
『頭上の敵機』

7月8日(水)
今日の更新から「ナンデモカンデモ」の写真に「ナンカン6/25」などと書かれているのは「ナンデモカンデモ6月25日」に書いてまっせということです。

7月8日(水)つづき
早朝ラジオ2本。ファウルボールが40代男性の顔面を直撃して視力低下を起こしたことで4400万円の訴訟に発展していることについて。訴訟社会のアメリカでも絶対にないケース。訴えた人は下に置いたビールを取って顔を上げたところで直撃を喰らったらしい。ということは投手の投球動作は見ている(知っている)はず。昔後楽園でも同様の事件がありソレをきっかけにネットだらけになったとか。野球(スポーツ)は「見る」もんやなくて「take in」するもんやという意味を考え直す。そのあと主治医の先生の病院へ。脳溢血後初の御挨拶と報告。ついでに血圧を測ってもらう。130-92「下がちょっと高いですね」「いえいえ。以前に較べたら…」先生は後遺症のほとんどないことを喜んでくださる。「けどまだ3か月経ってないんだからね」「はい。わかっております。酒と煙草はまだ我慢」「ははは。それは80過ぎてから。80過ぎたら何してもいいよ。はははは」オモロイ先生や。大船駅前で本買って昼飯食って帰宅。午後は読書。仕事の整理。晩飯戦争映画劇場はグレゴリー・ペック主演『頭上の敵機』。知る人ぞ知るダリル・F・ザナックのプロデュース。原題は『Twelve O'clock High』。B17が飛ぶのはやっぱり見応えあるけどそのシーンが少ないのが不満。実写も迫力はイマイチ。物語的にはオモシロイ。『キャッチ22』のオーソドックス版。もちろん後者のほうが数等上。

7月8日(水)つづき
書き忘れ。夕方スズキ・ジムニーに乗った取的のような…いや訂正…関取のようなA氏が来宅。見舞いと称して朝顔鉢を置いていってくれる。ありがたいこっちゃ。「恐れ入谷の鬼子母神参拝記念」との札付きで斑入りの葉が見事。「恐れ入谷の鬼子母神」は池田弥三郎の『日本故事物語』にも出ていて同類のレトリックとして「その手は桑名の焼き蛤」「そうか(草加)越ヶ谷千住の先」「いやじゃ有馬の猫騒動」「上総木綿で情(丈)がない」「麻布の生まれで気が知れぬ」などが紹介されている。最後のは麻布近辺には赤坂・青山・白金・目黒があるのに「黄(気)」がないかららしい。あるいは目黒不動尊・目白不動尊・駒込目赤不動尊があるのに目黄不動尊がないからそれは麻布のあたりかなということらしい。上総と麻布のことは知らなんだなぁ。さすが慶応の先生(池田弥三郎)は「牛のケツ」やで。モウの尻で「物知り」やなぁ。

7月9日(木)
朝佐吉と散歩。湯河原を出発した日本一周万歩計が大磯に入ってる。とほほ。いつになったら神奈川を脱出できることやら。コラムの校正を処理して部屋本棚の整理。古書店行きの本をまとめて処理。空いた書斎のスペースに画集を並べる。ちょっとやってみたかっただけのことやけどピカソ・マチス・ミロ・モネ・マネ・デュフィ・ポロック・クリムト・ホッパー・マルグリットからワイエス・ジョーンズ・フィニ・ウォーホル・フンデルトヴァッサーなど42人が並ぶと部屋の空気が一変。サァあと3冊仕上げるか。晩飯戦争映画劇場はジョン・フォード監督ジョン・ウェイン主演『コレヒドール作戦』。開戦時日本に押されまくるフィリピンの米軍魚雷艇部隊の物語。時折さすがはジョン・フォードと唸るシーンもあるけど…ウウウ~ン…これは完全な失敗作ですね。台本がダメ。リズムがダメ。ダル過ぎる。『駅馬車』や『真珠湾攻撃』のあとに創られたとは信じがたい。弘法も筆の誤り。フォードもフィルムの誤り。名匠もあるんやね。こういうことが。ホッとした(笑)。

7月9日(木)つづき
平岡正明氏死去。夕刊見て気づく。山下洋輔さんのニューイヤーコンサートで一度御挨拶させてもろただけやけど『大歌謡論』はバイブルやった。筒井康隆さんの『美藝公』を高く評価されたことでも納得。太田竜氏も5月に亡くなってるし一つの時代の終焉かな。合掌。テレビは取りあげへんのやろな。テレビの取りあげへんもんがホンマモンなんかいなぁ。

7月10日(金)
朝佐吉と散歩。ついでに入院中からやってきたリハビリ体操を続けてる。健康は何のためにあるのか?当然仕事をするためだがそれでは健康を維持するのは難しい。仕事が重要性で上に立つと仕事のために酒や煙草が必要という論理が正当化される。だから仕事のために健康を維持するためにも健康は自己目的化する必要がある。手段の必然的目的化の結果としての健康絶対主義。イヤやな。もっと考えよ。などと考えてると仕事が進まん。柿崎明二『「次の首相」はこうして決まる』講談社現代文庫読み出す。言ってることに驚きはないが改めて納得。小選挙区制はすべてを変えつつある。時間はかかるけど世の中は変わるもんや。晩飯戦争映画劇場は『バターンを奪回せよ』。あまりのつまらなさに途中飛ばし見て映画変更。昼にNHK-BSが上映していた『リオ・ブラボー』。ジョン・ウェインにディーン・マーチンにリッキー・ネルソン。若い時に見て『ハイ・ヌーン』と『駅馬車』を見たら十分と思たことを思い出す。今回見ても同じ感想。しかも以前はもっとオモロク感じた。こんなにタルかったかなぁ…。映画にかぎらず己の成長を感じさせてくれないモノ(ヒト)は詰まらん。あ。おれが成長してへんだけのことかなぁ。

DVD
『動物農場』
『動物農場』
BOOK
ジョージ・オーウェル『動物農場』
ジョージ・オーウェル『動物農場』

7月11日(土)
何のためかはよくわかりまへんが健康のためのルーティンワークのあとチョイト仕事。そのあと日産スタジアム隣接のレストランへ。第1回FIPFA(電動車椅子サッカー)ワールドカップで日本代表アドバイザーとして活躍してくれた岡田武史氏を招いての『2010年南アフリカワールドカップ出場おめでとう&ありがとう激励会』に参加。杖持ってる俺を見て「どないしたん?」と岡ちゃん。「オシムみたいなもんですわ」「えっ。脳梗塞?」「イヤ。出血のほう。この前インタビューさせてもらった直後」「ほんとかよう」「もう大丈夫ですから」「俺達も明日何が起きても不思議やない歳になったなぁ」と個人的会話を少し。電動車椅子選手たちを前にした日本代表オフレコ話がオモロカッタ。監督は難しいもんやなぁ。ま。どんな仕事でも真剣にやれば一緒ですけどね。あ。電動車椅子の日本代表のほうが先にW杯でベスト4になってまっさかいね。

7月11日(土)つづき
日産スタジアムから大船に戻って本屋とディスクショップへ。崖の上だか下だかの『ポニョ』の大宣伝をしているコーナーでエッと一瞬驚く映像をチラッと見る。ジョージ・オーウェル『動物農場』のアニメの宣伝。そんなんがあるんかいなと訝りながら店員に訊くと「スタジオ・ジブリ」の発売してるDVDを出してくれたのですぐに購入。そのあと『213』へ。生ビール1杯。旨い!ナルホド。なんのために健康を目指すのかという理由がわかった気がする。旨い酒を飲むために違いない。はっはっは。帰宅してさっそく『動物農場』を見る。イギリスのハラス&バチュラー・カートゥーン・フィルムズが1954年につくった作品(彼らはイギリスの冗談コンサート『ホフヌング音楽祭』のアニメも手がけてる)。レーニン豚(メージャー爺さん豚)もスターリン豚(ナポレオン豚)もトロツキー豚(スノーボール豚)もオモロイ。開高健氏はナポレオン豚をヒトラーにスノーボール豚を突撃隊長のレームに働き者の馬ボクサーをロンメル将軍に置き換えたけどそんな見方が出来るのもオモロイ。どっちも国家社会主義やもんな。豚も馬も驢馬も羊も家鴨も一人の声優(俳優)がやってたことにも驚き(メイキングも面白かった)。最後の終わり方が原作と違うけどソレも妙味。現在の(国家)社会主義崩壊を予感?けど今オーウェルの『アニマル・ファーム』を知ってる人がどれだけいるかなぁ?「国立漫画喫茶」が出来てもこんな作品は置きよらへんのやろなぁ。

DVD
『ニュールンベルグ裁判』
『ニュールンベルグ裁判』
SOBA
株式会社おびなた『蕎麦の国 本生蕎麦セット』
株式会社おびなた『蕎麦の国 本生蕎麦セット』

7月12日(日)
佐吉と散歩。万歩計は大磯を出て茅ヶ崎へ。それがどないしたちゅうねん(笑)。仕事の整理をしたあと夜は都議選の開票速報があるので昼飯戦争映画劇場『ニュルンベルク裁判』。なかなかよくできた映画で3時間を飽きずに一気に見る。さすがはスタンリー・クレイマー監督。役者陣も好演でドイツ語でなく英語であることの不自然さも感じなかった。スペンサー・トレイシー/バート・ランカスター/リチャード・ウィドマーク/マクシミリアン・ミシェル/ジュディ・ガーランドらが熱演。だがなんといってもマレーネ・ディートリヒの存在感が流石。東京裁判やBC級裁判を考えなおすうえでも『私は貝に…』とは違う視点で参考になるはず。

7月12日(日)つづき
書き忘れたけど昼飯に食った戸隠蕎麦はめちゃめちゃ旨かった。スポーツジャーナリスト塾の教え子4人がお見舞いと称して送ってくれたモノ。卒塾生は全員その時点で縁を切ること(破門=仕事上の対等な関係になること)にしてるけどコンナンはナカナカ嬉しいもんやな。歳かな(笑)。晩飯のあと都議選開票速報。ほほう。民主第1党か。千代田区も若者民主が勝ったか。1人区はほぼ民主。ということは小選挙区も。これが流れやな。自民は見事に下野する方法を考えといたほうがええな。しっかし公明党全員当選か。まぁサスガやな。それでも与党過半数割れか。オリンピックはどないなるかな。

7月13日(月)
佐吉と散歩のあと朝からいろいろ電話。 紅旗征戎非吾事…ともいうてられんようなったかな。そうか。21日解散。8月30日選挙か。バカヤロー解散もでけんようなったんやな。党内野党抗争で政権維持してた自民党一党独裁の時代は終わったかな。二大政党時代がどんなふうに整う(再再々編される?)のかな?けどコンナ「解散予告」ってコレまでにあったかなぁ?政治と関係ないけどホモAVへの出演経験が発覚した大学生アメフット選手が退部させられてたらしい。ナンデ退部処分になったんかちょっと調べてみたいな。学生として…大学スポーツとして…学生スポーツマンとして…どういう「倫理判定基準」なんやろ?しっかし8月末の選挙まで夏の嵐やな。
あ。麻生総理が選挙の争点として「どの党が……」なんて喋ってしもた。自民は小泉が仕掛けたように党内抗争を盛りあげんと勝てんのにコレではアカンで。PR会社の幹部は嘆いとるで。けど万一もしも選挙で自民が勝ったら総理大臣は麻生か。ホンマか?本気か?民主が勝ったら鳩山か。ウウウウムムムム…。やっぱり紅旗征戎非吾事…自分の仕事をきちんとやるべきなんやろな。

7月14日(火)
朝佐吉と散歩。今日も解散選挙関連でいろんな人から電話。なかには俺が大病したことを知らん人まで突然電話してくるんやもんなぁ。しかし今回も特定の人物や政党は一切表立っては応援しないことにしました。理由は簡単。やっぱりマスコミ露出優先です。テレビやラジオや雑誌やらでワイノワイノいうほうが「時代の本質」に迫れると思えるからです。せやからモチロン私自身の立候補もありません(笑)。けったいな電話も多いので明言しときます。各党がどんなスポーツ政策をマニフェストに盛り込むのか楽しみやなぁ。うわっ。日馬富士があっさり負けた。負け方悪いな。ぐわっ。朝青龍のエルボウ・フック!これは反則負けやで。なんでこういう相撲を協会は許すんやろ。朝青龍ファンはどういうんやろ?絶対これは許せへんで。夕方佐吉と散歩のあとお隣のPierre Montyさんらフルーティスト一家と『鮨処もり山』へ。旨い!鮨を味わうには煙草を止めるに限る。鮨ってホンマにこれほど旨いもんやったんやなぁ。

7月15日(水)
朝ラジオ出演2本。愛子内親王と皇太子ご夫妻の神宮球場ヤクルトvs横浜戦ご観戦について。弱くなってファンが離れた巨人。オーナーがヘンなコトしてファンが怒った巨人。強さが戻って勝ってもファンが戻らない巨人。そうして皇室台覧試合はWBCで活躍した内川のいる神宮での試合へ。自民党もそんな歩みをするのかな。時代が変わるのかな。梅雨明けで佐吉と散歩のとき久しぶりに富士山。真っ黒い稜線の黒富士。それもまた美し。

7月16日(木)
原稿コラム1本仕上げたあと映画劇場と思ったところが『ためしてガッテン』などという番組を見てしまう。そうか。低温で蒸すと料理は旨くなるのか。ところで血圧が下がる話はどこへ消えたんや。うわっ。ベイスターズの佐伯が本当に本盗した!これが野球やで。オバマのサインは野球やないで。そうか大臣のYとIは総理官邸へ行ってオマエが辞めろというたらしい。高野孟さんが発行してる『インサイダー』(メイル版)に東京都議選の面白い数字が書かれていた。民主は前回の1,070,893票から今回の 2,298,493票に総得票数を伸ばした。自民も 1,339,548票から1,458,108票に伸ばした。投票率が上がりましたからね。しかし立候補者全員当選させた公明は786,292票から743,427票に減らした(他に共産約2万減/ネット約7万減/社民約1万増/諸派約7千減)。公明は議席を1増やしたものの組織的には衰えてきたのかな。となると自民はますます困るな。衆院選挙の議席数予測は『週刊誌などの予測が言うように、自民党は良くて180前後、自公協力がまともに作動しなければ150議席にまで落ちる公算が大きい』ということらしい。こういう予測が出ることによる揺り戻しにしか期待でけんのかな。

7月16日(木)つづき
先に書いた都議選での得票数で共産を「約2万減」と書いたのは「約2万増」(正確には2万7千4百2票の増)の間違いでした。失礼しました。

7月17日(金)
うわっ。日本一周万歩計がいつの間にか鎌倉まで進んでる。ほなもう一人の俺が俺の家の前を通過するのか。ちょっとしたヴァーチャル・パラドックス気分。朝から午後まで頑張って昨日からのコラム原稿2本仕上げたあと品川へ。金聖響さん夫妻と講談社担当者2名と一緒にイタリア料理店で『ロマン派の交響曲』の打上パーティ。俺の入院で遅れてたけど美味いイタメシ食ってワイワイガヤガヤ。娘が上野博物館前限定カチャポン300円で獲得してきたベートーヴェン像とチャイコフスキー増をプレゼント。ウケルと思たけどやっぱりウケタ(笑)。俺はあとシューベルトとブラームスを持ってるもんね。チューテモ何の価値もないけど(爆)。ワイガヤのなかで次の『マーラーの交響曲』に向けて英気を養う。マーラーの生誕百周年(2011)の開幕を飾るモンとしてチョイト力入れたいな。俺はビール1杯赤ワイン1杯半にグラッパを飲んだけど脳血管は切れず(笑)。帰りは品川駅前タクシー乗り場で解散。聖響mimula夫妻は歩いて帰るとか。LoveLove夫婦は勝手にせい。星は出てへんぞ。

7月18日(土)
午前中原稿書きのあと渋谷へ。NHK関東甲信越番組審議会出席。雨があがったので鬼の反吐のなかをハチ公前からNHKまで歩く。危ないなぁ。ちゃんと前見て歩け。と言いたくもなるが雑踏をケッコウまともに人を避けて歩けるようになる。杖は必要やけどマァちょいと気取った気分にもなれるからエエか。ゆくゆくは仕込み杖にも変えたいし(笑)。会議では都議選の開票速報について。慌てて当確を出す必然性があるのか。出口調査が如何に正しいとはいえ開票率0%での当確は有権者に対して無礼ではないかと発言。帰りは東京駅で打合せを一つ済ませて帰宅。ケッコウ疲れるな。当たり前か。

7月18日(土)つづき
午前中校正作業のあと午後から上野文化会館へ。病み上がり後初のオペラ。朋友のSクン夫妻と佐渡裕プロデュース『カルメン』。林美智子さんのエロカワのカルメンも佐野成宏さんの純朴田舎男のドン・ホセもお見事。来週土曜は名古屋でオペラ講座の受講生オバサマオジサマ方と見るため詳しくは書きませんがレベルの高い舞台です。最後のホセのカルメンの殺し方も納得。不満は一箇所。これは内緒。名古屋公演のあとに詳しく書きましょう。公演後佐渡さんと佐野さんに挨拶してS氏夫妻と共に『213』で食事。オペラの会場でも『213』でも久しぶりのあった友人から「復帰」を喜ばれて嬉しかった。飲み過ぎないよう要注意。

7月19日(日)
脳出血卒倒3か月記念日。ほぼ全快。原稿執筆・TVラジオ出演・講演その他仕事にはすべて支障なし。右腕上腕と右脚大腿部に軽い重みを感じるのみ。血圧正常。体重約10キロ減。介護保険認定要支援1。但し4か月限定。自宅階段の手摺取付作業費援助と杖購入費風呂場の椅子購入費合計約ウン十万円は非認定。理由は援助の申請をしてから工事をしなくてはいけないのに先に工事をしたり購入してしまったから。はっはっは。お役所は必要な時には助けてくれヘンちゅうこっちゃな。毎月多額の保険金を払てるなかからチョッピリ返してくれ言うただけやのにツレナイ返事。まぁ俺は元気やしエエわい。いっぱい保険金払て人助けしたるわい。とほほほ。

7月19日(日)つづき
隣家の仏人フルーティストと一緒に日比谷野音へ。結成40周年記念山下洋輔トリオ復活祭を聴きに行く。野音は2004年のプロ野球選手会ストライキ決起集会以来。懐かしいな。山下トリオは懐かしいを飛び越えて神話復活。客席は立ち見がイッパイの超満員。現場で阿呆餓鬼SHOTARO横兵衛ベーシストやHAZAMA天才少女MIHOアレンジャーと合流。客席にはオーボエ・ジャズ奏者ホンマや N響の茂木氏や作家の村松友視ご夫妻や林英哲さん。『カルメン』終えて駆けつけた佐渡裕さんやAVEXのN氏。演奏は…書くことナシ。見事の一言。坂田明さんのサックスも森山威男さんのドラムも凄すぎ。その他中村誠一・小山彰太・林栄一・国仲勝男も凄すぎ。菊池成孔だけが若かったけど生意気互角に突っ張ってた。というても40半ば過ぎやもんな。けど今の40代の男って金子達仁もそやけどナンデああいう話し方になるんやろな。一言でいうと糞生意気。まぁ全然問題はないのやけど司会の77歳の相倉久人さんゴクローさんでした。それにしても凄いコンサートでした。『キアズマ』のときにデッカク綺麗な虹も出たし。おまけに二重の虹で完璧な半円形。フリージャズが実は美しいもんやと語ってるようでした。終わってみんなで人であふれる楽屋へ。洋輔さんと久しぶりに挨拶してジャズメンたちの笑顔を見ながら音楽って消えていくからエエのんやなと改めて納得。昨日今日と豊かな脳出血卒倒3か月記念日でした。どうでもエエけど痩せたせいか昨日も今日も思い切り拍手をすると掌が痛かった(笑)。

DVD
『大陸横断超特急』
『大陸横断超特急』
『バルジ大作戦』
『バルジ大作戦』
『欲望』
『欲望』
『連合艦隊』
『連合艦隊』
BOOK
いしいしんじ『赤ずきん』(フェリシモ出版)
いしいしんじ『赤ずきん』(フェリシモ出版)

7月20日(月)
一昨日昨日とビッグイベントが続いたので何もせん仕事もせん遊びもせん休日の一日。庭職人さんが5人ほど来て我が家と隣家の庭を綺麗にしてくれる。リハビリの体力はあっても役に立つ体力はマダないのか。とほほ。朝佐吉と散歩で日本一周万歩計が鎌倉を出て逗子に入る。名物は牛肉と出てる。葉山牛か?朝から終日映画見ることにして第1弾は『大陸横断超特急』。カルト映画に分類されるらしいけど微妙。虫明亜呂無さんは何故これを絶賛したのかな。まぁ面白くなくもないし大破壊ラストシーン迫力満点やけどちょっとたるい。英語が理解できればもっと面白かったかな。午後から『バルジ大作戦』。流石は商業映画職人のケン・アナキン。飽きさせない迫力満点。ラストシーンが少々陳腐やけど…。気分を変えて読書。いしいしんじ・文/ほしよりこ・絵『赤ずきん』フェリシモ出版「おはなしのおたからばこ」シリーズ最初の3冊の1冊。不思議に優しいいしい節を味わう。単純な言葉に多彩な意味と書いたつもりが最初「難渋な言葉に野菜な意味」と打ち間違える。キイボードは時々面白い創作をする。本日映画3本目はミケランジェロ・アントニオーニ監督『欲望』。原題は『BLOW-UP』。そうか。Blow-upにはネガを拡大するという意味もあるんか。アントニオーニの作品として見れば面白さも認められたけど不条理は日常に当たり前に存在するもんで芸術家が探し求め見出し創作するもんやないわなぁと言いたくもなる。うわっ。朝青龍連敗やと叫んだあと映画の一日のトリ晩飯戦争映画劇場は『連合艦隊』。CGのない時代のプラモ・マニア必見映画。森繁久弥や財津一郎や古手川祐子のドラマだけで十分。最後の歌にはマイッタ。まぁ好きな人もいるんやろけど。第二次大戦の日本映画は描く時代のほうが出るから面白い。この時代(1981)にはまだ戦時中の顔をした役者はいたな。今は消えたか…。

DVD
『怒りの葡萄』
『怒りの葡萄』
BOOK
川淵三郎『「51歳の左遷」からすべては始まった〜大逆転のリーダーシップ論』(PHP新書)
川淵三郎『「51歳の左遷」からすべては始まった〜大逆転のリーダーシップ論』(PHP新書)

7月21日(火)
朝佐吉と散歩のあと衆院解散関係のニュースに見入る。なんや自民党はシャンシャンか。これでは勝てんで。揺り戻しに期待するほかないで。この解散でスポーツ庁設立に関するスポーツ基本法が廃案に。どこも報道せんのはその程度の重要性ということか。確かにJOCが強化費を欲しいだけの法案で日本のスポーツに対する考察はナシ。高野連や相撲協会は文科省に留まり障害者スポーツは厚労省に留まるようなスポーツ庁なんてできんほうがマシやな。ことスポーツに関してはトップ選手の競技力向上を目指す自民党より地域スポーツの基盤整備を重視する民主党の政策のほうがよさそうやな。サテ各党どんなマニフェストでスポーツ政策を訴えるかミモノやな。午後サッカー協会へ。川淵サッカー博物館長に退院後初挨拶。小倉副会長もおられて歓談。夕方一つ打合せをこなしたあと帰宅。晩飯映画劇場はジョン・フォード監督ヘンリー・フォンダ主演『怒りの葡萄』。映画として良くできてる以上に当時の小作農のほうが家族と一緒にいるだけ現代の派遣労働者よりマシなことにショック。

7月22日(水)
朝ラジオ2本。スポーツ基本法と衆院解散について。佐吉と散歩のあと鎌倉高校前の病院へ定期検診。そのあと薬局へ足を運ぶところで厚い雨雲の雲間より部分日蝕。十分神秘的。風に流される雲が灰色の色眼鏡の役割を果たしてくれて光り輝く三日月形の美しい太陽の形をくっきりと見せてくれる。周りの人はなぜか気づかず。残念というより何故?。今日は日蝕なのに。日蝕は小学生のとき京都の自宅前商店街で体験して以来。そのときは近所の人がみんな道に出て大騒ぎ。晴天の太陽が見事に欠けた。形状は憶えていないが皆既に近く周囲が暗くなった。今回は目の前に江ノ島。暗い雨雲に覆われた湘南海岸の荒波に何人かのサーファー。江ノ電の音。風に動く雨雲の雲間に神秘的な欠けた太陽。悪くなかった。帰宅のあと少し仕事。うわっ。朝青龍も白鵬も負けた。朝青龍はショーモナイ負け方。白鵬は琴光喜の見事な取り口。琴欧洲も千代大海に負けた。やれるやないけえ日本人力士。日蝕のせいかな。

BOOK
『占領期雑誌資料大系 大衆文化編1 虚脱からの目覚め』(岩波書店)
『占領期雑誌資料大系 大衆文化編1 虚脱からの目覚め』(岩波書店)
DVD
『スターウォーズ シスの復讐
『スターウォーズ シスの復讐』

7月23日(木)
散歩とコラム1本と読書。村上春樹『1Q84』新潮社。上巻353頁まで読んだがやっぱりさすがに面白い。しかしこのまま読み続けていいのかどうか迷う。面白く小説を読むことを楽しむならばいいけれど仕事としては昨日買った『占領期雑誌資料体系大衆文化編T虚脱からの目覚め』岩波書店なんかを読んでるほうがずっと勉強になる。水原茂のシベリア抑留記なんかマイッタ。そもそも『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』にしろ『ノルウェーの森』にしろ『ねじまき鳥クロニクル』にしろ『ダンス・ダンス・ダンス』にしろ今は面白かったという感想しか残っていない。どんな内容だったかは本をパラパラとめくりなおさなければ思い出せない(パラパラとめくれば思い出す)。でも今回は違うかな。『アンダーグラウンド』のこともあるし。マァ読むか。晩飯映画劇場は『スターウォーズ・エピソードV』。餓鬼が勝手に持って行ったまま見ようと思って見なかったもの。やっと見れた。これで全6話ようやく完観(なんちゅう言葉や)。感想はそれだけ。『スターウォーズ』はW〜Yだけで十分やで。

DVD
『ヘンゼルとグレーテル』
『ヘンゼルとグレーテル』

7月24日(金)
朝佐吉と散歩。午前中読書。午後から原稿コラム1本。こういうテンポかな。仕事は1日1本が限界かな。脳出血後は疲れやすうなった。まだ3か月とちょっとやもんな。しゃーないか。『クラシックジャーナル』38号の書評欄に『ロマン派の交響曲』が取りあげられてて絶賛されてる。うれしい。晩飯オペラ劇場はフンパーディンク『ヘンゼルとグレーテル』。去年のグラインドボーン音楽祭のビデオでローラン・ペリーの演出が抜群。大野和士の音楽作りも切れ味鋭く(こういう表現嫌いですが・笑)歌手陣も美人姉妹(おおっとヘンゼルは男役やけど)も腹毛剥き出し禿頭ブラジャー姿の超グラマー魔女も(なんちゅう恰好や)全員大熱演。これは出色の楽しい舞台でした。ハイ。

7月25日(土)
朝から新幹線で名古屋へ。愛知県芸術劇場大ホールで佐渡裕プロデュース指揮『カルメン』鑑賞会。我が「オペラ講座」を受講してくださってるオバサマオジサマ方30名と佐渡さん挨拶付の昼食会のあとレベルの高い舞台を楽しむ。東京で見たときより新たな発見もあり(ふ〜ん。ホセは妊娠したミカエラを連れて帰ってくるのか)面白かった(けど演出は1回見て誰にもワカランとあかんでえ)。林美智子さんのカルメンと佐野成宏さんのドン・ホセは東京で見た時より出来が良く(今日が千秋楽やからかな)大熱演(ホセがカルメンを背中から刺すのは納得)。舞台終了後オバサマオジサマ方とバックステージツアー。佐渡裕さんと佐野成宏さんに御挨拶。小栗哲家さんに舞台の上で少々演出の説明を受けて楽しい一日に幕。来年は『キャンディード』やでえ。これまた楽しみ。秋からのオペラ講座は『玉木正之の音楽道場入門〜クラシックはオモシロイ』と中味を変えてヨリ面白く展開する予定です。夜帰宅。さすがに疲れた。そうか琴欧洲も白鵬も勝ったか。

DVD
『タンホイザー/DVD厳選コレクション珠玉の名作オペラvol.3』( 世界文化社)
『タンホイザー/DVD厳選コレクション珠玉の名作オペラvol.3』(世界文化社)

7月26日(日)
朝佐吉と散歩。昨日の疲れが残ってるかな。いつもよりゆっくり歩く。ま。いろいろあるわな。終日読書。夜は晩飯オペラ劇場はワーグナーの『タンホイザー』。世界文化社のDVD厳選コレクション珠玉の名作オペラvol.3でメータ指揮バイエルン国立歌劇場1994年版。ルネ・コロ(タンホイザー)ヴァイクル(ヴォルフラム)ヴァルトラウト・マイアー(ヴェヌス)らの歌手陣も秀逸。オールデンのセミ現代版演出は賛否分かれるだろうけど悪くない。しかし個人的事情と思うがどうもワーグナーの舞台芸術そのものに飽きた。しつこすぎるで。『指環』以外は歌詞の意味を無視してCDで音楽だけを楽しめば十分とちゃうかな…というのが小生の昨今のワーグナー観です。

7月27日(月)
小生に体調(体力)その他の問題もあって今夏のスポーツジャーナリスト塾集中講義と今後の予定をどうするか検討し始めた(だから本HPでの開塾予告通知もいったん外させたもらった)ところがパソコンと携帯による申し込みフォーマットにシステム・トラブルの発生していたことが判明。現在調査中ですので申し込まれた方は少々お待ち下さい。今週末までには結論をお伝えする予定でいます。

7月27日(月)つづき
朝佐吉と散歩のあと静かに読書。午後から校正やらHPの更新準備やら資料調べやらなんやらかんやら少々慌ただしく過ごして夜NHK-hiで恐竜のテレビ。ホホウ…ティラノザウルスは子供のとき全身が羽毛に覆われてたんかと驚いてると隣家のモダンなお婆さまから電話。月下美人が咲いたらしい。早速駆けつける。うわっ。でっかい強烈な花が8個も咲いている。美しいけどそれ以上に凄い迫力。マリリン・モンローやらブリジット・バルドーやらソフィア・ローレンが集団で現れたみたい。絶景といえるほど。素晴らしい絶景いや絶花をしばし鑑賞。

7月28日(火)
朝佐吉と散歩。チョイト2日間ほど家を留守にするので佐吉を近くの獣医さんにあずかってもらう。ようコンナ阿呆犬をあずかってくれるわと感謝。佐吉はちょっと嫌がるが勝手知ったる他人の我が家に付いて行く。たくさん秋田犬のいる場所で小そうなっとるんやろなぁ。新幹線で新大阪へ。『ちちんぷいぷい』生出演。解散前の国会でスポーツ基本法が廃案になったことなんてやっぱり誰も知らんわなぁ。まぁ廃案になってもエエ程度の法律やったけど。番組終了後太平サブローさんに病気でちょいとブランクのあったことを伝える。病名にギョエッと驚かれたあと「ホンマ頼むでえ。気ぃつけてくださいや」。よっしゃ。病気になったことがわからん程度までは回復したな。番組終了後家族全員with次女のBF総員6名全員京都に集合。『ぐりる金星』でビールとワイン一杯づつで快気祝。久しぶりの料理が最高に美味い!『酒肆G』にも寄ってノンアルコールで挨拶。次いで長男が秋に出演するライヴハウス『RAG』をみんなで下見したらしいけど俺は疲れたので『オゥ・ヴィラージュ』に戻って寝る。

7月29日(水)
朝ラジオ2本。白鵬のスポーツ論文とサイエンティフィック・トレーニングについて。朝『オゥ・ヴィラージュ』の絶妙の朝ご飯(豆腐は近喜さん/漬物は村上重)に舌鼓のあと家族全員で建仁寺を抜けて大椿山六道珍皇寺へ。京都在住の姉も参加。最近京都市民になった作家のいしいしんじ夫妻も参加。和尚さんに快気後の挨拶。「そらモウお父さんとお母さんが守ってくれはったんでっせ。さっそく御経あげまひょ」でありがたい御経を神妙に聴く。いつ聴いてもエエ声や。鍵善の京菓子を食べながら世間話のあと京の丑寅を睨む猿の木像や手水場の落とし水が土に染みこんで綺麗な音を出す装置(名前は忘れた)や小野篁が冥界に渡った井戸などを見せてもらって帰ろうとすると和尚さんが来て重要文化財の薬師如来座像が収めてある薬師堂の扉を開けて重文の像を見せて下さる。ありがとうございました。そのあと木屋町の『あと村』の美味しい昼弁当で足洗の昼飯。そのあと『有次』でちょっとオモシロイ買い物のあと上賀茂神社の女房の実家へ挨拶。帰りに藤原家隆の「風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりけり」で有名な上賀茂神社のなかを流れるならの小川の横を通ってタクシー乗り場へ。昔の夏はじいさんとばあさんが子供をこの小川でよう遊ばしてくれはったな。京都駅から小田原止まりのひかり経由で来鎌。帰りの新幹線で村上春樹『1Q84 BOOK2』最後の一章を残してほぼ読了。病気回復後のええ家族旅行でした。ひとつの区切りでした。いろいろとこれからの仕事を考えました。

7月29日(水)つづき
スペシャル京都ツアーです。ご参考までに。
『ぐりる金星』http://www.grillkinsei.com/
『オゥ・ヴィラージュ』http://haut-village.com/flash/index.html
『RAG』http://www.ragnet.co.jp/live_spot_top.html
『近喜』http://www.kamo-tofu.com/
『村上重』http://www.japan-kyoto.net/meisanhin/syoku/murakamijuhonten.htm
『建仁寺』http://www.kenninji.jp/
『珍皇寺』http://www5e.biglobe.ne.jp/~hidesan/rokudou-tinnou-ji2.htm
『あと村』http://www.kyoryori-atomura.co.jp/
『有次』http://www.aritsugu.com/
『上賀茂神社』http://www.kamigamojinja.jp/
これであなたも京都通。そんなもんにならんでもよろしおすけど。もちろん『酒肆G』のHPは存在しません(笑)。

BOOK
村上春樹『1Q84』(新潮社)
村上春樹『1Q84』(新潮社)
DVD
『チェンジリング』
『チェンジリング』

7月30日(木)
『1Q84』読了。二つの月の下で愛を語れなかった幼馴染みの物語。なるほど面白い小説。けど小説は何のために存在するのかわからなくなった。別に読まなくても何も変わらない。小説は所詮エンターテインメントともいえる。作品以上に作家が騒がれる理由がわかるような気がする。コンナ発想をしてコンナ小説をモノにする作者には興味が湧く。もっともカフカは人物より作品だけでも凄い。『1Q84』上下巻で200万部以上売れて10分の1の人が上下巻読破してさらに10分の1の人が作品を(自分なりに)理解して日本人1億2千万人のうち1万人がそれなりに騒いだというわけか。それはさておきヤナーチェク(村上春樹風に書くとヤナーチェック)の『シンフォニエッタ』はオモシロイ音楽です。続けて岡田英弘『歴史とは何か』(文春新書)を読み始める。コッチノホウガヨホドイギブカイサクヒントイエヨウ。

7月30日(木)つづき
晩飯映画劇場は長女の買って帰ったDVDアンジェリーナ・ジョリー主演クリント・イーストウッド監督『チェンジリング』。ナカナカにヨイ映画。という以上に素晴らしかった。ジョリーの演技もイーストウッドのメガホンも抜群。幼児誘拐殺害犯に最愛の息子を誘拐され堕落したロサンジェルス警察の不正に立ち向かう女性の背後に大不況の時代背景がのしかかる。これほど猟奇的な事件を描いてきちんと見せるイーストウッドの監督としての力量に静かに興奮。そういえばボブ・ホワイティングが「ローハイドのあのカウボーイがこれほどの大監督になるとは信じられない」と言ってたけどソウかもしれん。そういえば『ダーティ・ハリー』もイーストウッド。そのダーティ・ハリーが過去のロス市警の不正を暴く映画を作るとは。ところで『チェンジリング』とは子供を誘拐した悪い妖精が代わりに醜い子を置いていく「取り替えっ子」のことだそうです。

BOOK
木之下晃『音楽家のオフステージ』(東京書籍)
木之下晃『音楽家のオフステージ』(東京書籍)

7月31日(金)
朝佐吉と散歩のあと今夏のスポーツジャーナリスト養成塾を熟慮の結果残念ながら中止にした旨関係者や申込者にメール。以下申込者に通知した文章を(改行せず句読点付で)添付しておきます。《玉木正之のスポーツ・ジャーナリスト養成塾申込者の皆様へ/先般は、小生のスポーツ・ジャーナリスト養成塾夏期集中講座に申し込みいただき、誠にありがとうございました。/小生も、皆さんと一緒に学習する機会を楽しみにしていたのですが、いくつかの事情が重なりまして、今年は本塾本講座の開講を中止することになりました。/ひとつには、小生の健康状態です。4月下旬に脳出血という大病という以上にアクシデントともいうべき事態に陥ったのですが、その後の回復状態やリハビリが良好で、現在ではテレビ、ラジオ、連載執筆等、幸いなことに、ほぼすべての仕事を復活させるまでに至りました。が、いくつかの仕事ではドクター・ストップがかかる状態で、未だに血圧と相談しながら仕事に臨んでいる自分としても、朝から夕方まで連続して教壇に立つこの講義は、時期尚早と断念するほかないとの結論に至りました。/また、小生が客員教授を務め、会場に予定していた桐蔭横浜大学は、現在新しい学舎と研究室の建設中で、その工事自体は夏休みに入って講義に支障を来すことはないのですが、来年度には新学舎も新研究室も完成するという状況の下、今年の開塾は見送り、新たな環境のもとでスタートを切ろうという結論に至りました。/来年度の計画内容については、まだ話を進める状況にはありませんが、もし開塾開講のスケジュールや詳細が決定したときには、お知らせしたいと思います。今夏の講座に申し込みのうえ、今夏の予定を組んでいた皆さんにはまことに申し訳ないのですが、以上のような経緯ですので、事情斟酌のうえ御諒解くださるよう御願い申しあげます。/2009年8月27日玉木正之》

7月31日(金)つづき
午後から六本木のメイ・コーポレーション(三枝成彰事務所)へ。今年の塾の中止のほかにもう一つ。オペラ『忠臣蔵』の演出も医者と相談のうえ断念したことについて作曲者でプロデューサーの三枝氏に挨拶。上演が来年3月に迫っての予定変更ながら快諾していただく。申し訳なくは思うものの血圧上昇の要因であることは確かなだけに仕方ない判断。小生の健康維持上最も悪いと思われるのは対人関係の齟齬対立軋轢なんやからシャーナイな。残念無念。三枝オペラ忠臣蔵の再構成を行ったということでスポンサー集めやチケット販売のできる範囲で協力させていただくことにする。血圧についてや特攻隊(次作のオペラ)について話し合ったあと辞去。

7月31日(金)つづき
銀座山野楽器でDVDとCD数枚買ったあと川崎ミューザでカメラマン木之下晃さんの写真展『音楽の決定的瞬間』を見る。川崎ミューザの音響が素晴らしいためそこで指揮(演奏)する音楽家の表情が素晴らしいという話を木之下晃さんに聞いたうえ小生の杖に気づかれて「どうしたの?」事情を話すと「そりゃいい時に事故ったよ。まだ若いから節制もダイエットも可能だからね」たしかに。晃さんの言葉は御自身も大病の経験があるだけに重い。今回の写真集を晃さんからサイン入りでいただいたので『音楽家のオフステージ』(東京書籍)と題された写真集を一冊購入。表紙のメニューイン夫妻の写真も凄いけど佐渡裕とバーンスタインのツーショットも素晴らしい。一見の価値あり。展示場を出て女房と澁澤龍子さんと合流。金聖響指揮神奈川フィルのバーンスタイン・プログラムを楽しむ。『キャンディード序曲』『セレナーデ』『ウェストサイド』どれもお見事!BRAVO!でした。なにより神奈フィルの上手さとノリの良さと音の良さに仰天しつつ感激。ホールがイイから?指揮者がイイから?神奈フィルが巧くなった?そのすべてかな。終わって聖響さんとmimulaさんとTさんK君に挨拶したあと『鮨処もり山』へ。疲れた。長い一日でした。それにしても龍子さんはよく食べるなあ(笑)。

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