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BOOK
中野信子&熊澤弘『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』講談社現代新書
中野信子&熊澤弘『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』講談社現代新書
マイケル・ジャクソンとフレッド・アステアの話も出てくる超面白本です

2月1日(月)
朝ベッドのなかで『脳から見るミュージアム アートは人を耕す』読み続けながら自分は活字中毒者なのかな?と思う。まぁそうなんでしょうね。別に悪いコトではなさそう。副作用もないですからね。「ミュージアム」のルーツとも言うべき「ヴンダー・カンマー(驚きの部屋)」は澁澤龍彦さんの本で知ってたけど「Cabnet of Curiosities(珍品陳列室)」とも言うらしい。面白い。2025年の大阪万博は《経済波及効果が高らかに謳われてい》るらしい。経済以外に価値観を見出せないのでしょうかねえ?《万博本来の意味を考えると世界の英知が集結し新しい技術が集まり新たな未来像が映し出されることがより重要》と著者の熊沢弘氏も言っておられますが…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと『ニューズ・オプエド』の準備。今日のゲストは柔道家でスポーツ社会学者で教育評論家の溝口紀子さん&サッカー・ジャーナリストの大住良之さん。イロイロ準備した後6時から本番。メッシがバルセロナと705億円で4年契約を結んだことについて大住さんは「法外で高額すぎる」と批判。小生も同じ意見でカネの使い方を間違えてますよね。楽天イーグルスに戻ってきた田中将大投手の9億円プラス出来高もメジャーリーグの年俸なども確かに「子供たちに夢を与える」かもしれませんが庶民感覚から離れて高額すぎますね。溝口さんに言わせると柔道世界王者のリネールもパリ・サンジェルマンに所属して高額の年俸を受け取ってるらしい。スポーツ界の格差問題はいずれ噴出するかも。その後昨年大住さんが提起してくれたヘディングと脳障害の問題についてオプエドで継続してとりあげて溝口さんにも柔道の死亡事故について訊く。日本では毎年のように柔道による子供たちの死亡事故が起きているのにフランスではゼロ。その原因は根性で頑張らせる精神主義と勝利至上主義。それに指導者は子供の時から強くてあまり投げられた経験のない人が多いという指摘は興味深かった。あまり投げられたことない人が指導者として投げまくるわけですね。いろいろ参考になる話のあと今年の東京五輪についてどんな形でもいいから開催の可能性は?の質問に溝口さんはフィフティフィフティ(50%)との答え。元々と今日五輪を招致するくらいなら誰もが使えるサッカー場を増やせといっていた大住さんはノーコメント。これも一つの見識ですね。

BOOK
草野進『プロ野球批評宣言』新潮文庫
草野進『プロ野球批評宣言』新潮文庫
ある意味でプロ野球要論の決定版。野球ライター必読本。解説がイイですね。書いたのは私です(^^;)

2月2日(火)
『脳から見るミュージアム』は面白い。アムステルダム博物館はレンブラントや大航海時代を「黄金の世紀」と呼ぶことをやめ植民地政策・貧困・戦争・強制労働・人身売買・飾り窓の女(娼婦)といったネガティヴな要素も注目するようになったとか。要するに大人になったわけですね。日本でも春画展や愛知のトリエンナール展が騒がれたり。しかし歌舞伎を見ると多くの演し物が吉原(娼婦)や任侠(ヤクザ)の世界ですからね。けっこう日本人も「大人」だったはずですが…ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワークは春陽堂Web新小説連載『スポーツはどのように文芸を彩ってきたか』の最終回。もっと続けられるかと思ったら10回でオシマイとか。シャーナイですね。野球が他のスポーツ以上に如何に演劇的(ドラマチック)で小説・映画・演芸等に使われてるかを説明してW・P・キンセラの『シューレス・ジョー』(映画『フィールド・オブ・ドリームス』の原作)やポール・R・ロスワイラー『赤毛のサウスポー』や蓮実重彦『伯爵夫人』や大江健三郎『ピンチランナー調書』を紹介。蓮実重彦氏の『伯爵夫人』は何度読み直してもゲラゲラ笑うほど面白いですね。特に野球のボールが主人公の「おみお玉」に当たって悶絶するなかで看護婦などの女性に見つめられるシーンは笑えますね。これは捕手としても活躍していた著者の経験談でしょうか(笑)。また伯爵夫人とは馥郁たる芳香を漂わせながら和服姿で後楽園のジャンボスタンドに座り長嶋茂雄の活躍を見つめていた女流華道家の草野進さんがモデルなのでしょうか…なんてことを思い浮かべながら原稿執筆。しかし今では草野進の野球論を読んでる野球ライターも少なくなったかな?大江健三郎の『万延元年のフットボール』とサッカーの関係やノーマン・メイラーの『ザ・ファイト』とボクシング論も書きたかったけど10回で完結なら仕方ない。また別の機会に。緊急事態宣言が1か月延長か。それはイイとしてなぜ持続化給付金が法人相手にしか出ないの?フリーランサーは見捨てられたのか?マイッタナ。晩飯風呂の後テレビをつけるとコロナ関連ニュースの後にBS-TBSでロマン・ポランスキー監督ジャック・ニコルソン&フェイ・ダナウェイの『チャイナタウン』をやっていたので見てしまう。何度か見る機会を失していつか観たい観なけりゃと思いながらなぜか見れなかった作品。水利利権を握る超ワルの黒幕を大監督のジョン・ヒューストンがやってるのか!さすがの存在感ですね。ニコルソンの鼻をナイフで切りつけるチンピラはポランスキー監督のカメオ出演なんですね。緊迫感ある作品はコロナを忘れさせてくれますね。

BOOK
『しとやかな獣』
『しとやかな獣』
ヒッチコックのカメラワークの影響も受けたでしょうが、それ以上の面白さに溢れた川島雄三監督の傑作映画

2月3日(水)
『脳から見るミュージアム』読了。メッチャ面白かった。《現代美術家として日本を代表する村上隆は江戸時代の奇想の美術とのつながりで自身の芸術作品を提示してますよね。アニメやドラえもんを題材にしながら自分の立ち位置を見せたりして過去の遺産と向き合いながらそれらを自らのものとして取り込んで見せる(略)マイケル・ジャクソンがフレッド・アステアのステップと自分のムーン・ウォークは関連があるんだというような(略)マイケル・ジャクソンには自分がフレッド・アステアの後継者である意識が明確にありました》なるほど。藝大の先生からこんな素晴らしい認識を教わるとは思いも寄らなかった。《脳における美を判定する領域の一部は(略)「正統」という概念と無縁ではないのです。実は正しいかそうでないかを判定する機能も(脳の)同じところが担っていて美と正の2つの価値は意識的にやらなければ分離することが難しい》ナルホドそーゆーものなのか。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。《美を判定する脳の領域》とは《美醜を区別する脳の領域》という意味に解釈してイイのかな?その場合《美醜は正邪と結びつくことになる》のでしょうね…ワン。終日デスクワークは日本経済新聞の15日からの10回連載「美の十選」の校正。短文をさらに削ったり表現を変えたり…結構時間がかかる。けどヤル気の出る楽しい仕事は嬉しいですね。晩飯映画劇場はヒッチコック1954年の『裏窓』。過去に何度か見たはずなのに中味を忘れているから楽しめた。おまけにカメラワークの勉強。部屋の中を窓の外から覗き見るカメラは川島雄三監督の『しとやかな獣』(1962年)に明らかに影響を与えてますね。しかし主役のジェームズ・スチュアートはどーでもエエけど彼の恋人役のグレース・ケリーは美人ですねえ。『しとやかな獣』の若尾文子もナカナカの美人ですけど…物語はマァどっちも面白いの一言でエエか。五輪組織委の森喜朗会長が女性蔑視発言を口にしたとか。「理事会に女性が多くなると時間がかかる」なんて…いつか大失敗を口にすると持っていたけど世界から非難を浴びる辞任必然級の発言ですよね。東京五輪を「どんな形でも必ずやる」というのも(コロナの実情を無視した)かなりの問題発言だし聖火リレーで(観客が集まらないよう)タレントは「田圃を走れ」というのも阿呆かと思う発言。そもそも著書にオリンピックは「体育の祭典」とスパルタキアードと間違うような無知丸出しの発言を書いている人物だっただけにいつかは…と思っていたけどここへ来て…ですか。そもそも2015年の毎日新聞のインタヴューでは「私の役割はあと3年…」と答えていたのに遅きに失したか…。

2月4日(木)
ベッドのなかで『脳から見るミュージアム』傍線を引いた部分を再読。日本と「世界」の違いの指摘は面白かったですねえ。《日本語の文化は日本人が消費して膨大な蓄積があっても世界では読まれない。司馬遼太郎は絶対英語に翻訳されないけれど司馬遼太郎は私たち日本人にはすごく面白い。(略)一方中国や韓国は国ぐるみで自分たちの文化・自分たちのテレビ番組を海外に売ることができている。それは外に向けて外の文脈で売ろうとしているからです》ナルホド。《先々のためや皆のために振る舞う行動の規範を私たちは「美意識」と呼びます。がめつくないとか自分の欲を節制できるとか品良く振る舞えるとか。正しい・正しくないという表現よりも美しい振る舞い・醜い振る舞いというふうに表現する》ナルホド。だから《アートは明日生きるためには必要ではないかもしれないけれど100年後も200年後も生き延びるためには必要なものなのです》ナットク。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。北京冬季五輪とウイグル族ジェノサイドや愛知と岐阜の冬季国体で不参加の県が11も出たことや秋田でのスキー大会が中止になったことを簡単に話したあと昨日の森喜朗東京オリパラ組織委会長の「女性蔑視差別発言」や「コロナに関係なく五輪やる発言」や「聖火リレーで有名人は田圃を走れ発言」を大批判。以前から「鮫の脳味噌」と言われた宰相がそもそも組織会長の納まったこと自体が間違いで小生はずっと以前から辞めるべきだ・辞めさせるべきだ・交代させるべきだと言ったり書いたりしてきましたがモウ限界ですね。それだけに五輪のゴルフ場問題でゴルフ改革会議の一員として面会したときに2015年10月16日付毎日新聞のインタヴューでは「私の役割はあと3年」と語っておられますが後任は…?と質問したら「ナンデあんたにそんなこと答えなきゃならんのだ!」と改革委や組織委やマスコミの人々の大勢の前で大声で怒鳴られた。この人は弱いところを衝かれると怒鳴り返すのですね(笑)。小生は平気でしたけどビビる人もいるのでしょうね。ワン。ラジオのあと黒兵衛と散歩。朝チョイと仕事。日経新連載「美の十選Art of Baseball」の追加校正などして後午後2時から森組織委会長の弁明記者会見をテレビで見る。参った。厚顔無恥。「美意識」のカケラもない人物が老醜を曝しただけですね。コレでやるにしろ中止にしろ東京五輪を牽引できるのでしょうか?記者会見のあと共同通信と毎日新聞からコメント依頼の電話。毎日は明日改めて電話をもらうことにして共同は後日の原稿執筆も引き受ける。晩飯のあと映画を観ようとしたらBSフジ『プライムニュース』に森会長が出演していたので見てしまう。世界に恥をさらして辞めるべき人物と一緒にスポーツジャーナリストも仲良く出演していた。こんなジャーナリストを名乗る御用ライターばかりがマスメディアに出てくる世の中は…マイッタナ。

DVD
『勝利への脱出』
『勝利への脱出』
ナチスドイツと連合国捕虜たちのサッカー試合。J・ヒューストン監督の良い映画です。ペレの活躍も見もの

2月5日(金)
ベッドのなかでの読書が久し振りに木田元『基礎講座哲学』(ちくま学芸文庫)に戻る。デカルトの心身二元論はポストモダンの今日でもまだ捨てきれないところがあるのですね。ワン。黒兵衛と散歩のあといろいろデスクワーク。夕方から毎日新聞のZOOMインタヴューを受ける。超巨大恐竜オリンピックの未来と東京大会について。「復興五輪」にしても「コロナに打ち克つ」にしても後付けですからね。東京五輪の元々の開催目的をほとんどの人が知らないということこそ大異常ですよね(その開催目的については蔵出し原稿スポーツ篇にある「いまこそ直視を!オリンピックの抱える根本問題」=「調査情報」に書いた原稿を読んで下さい)。森組織委会長は東京五輪の真の開催目的を知ってるんでしょうねえ?(笑)そう言えば昨日TVメディアが次々と取りあげた森喜朗オリパラ組織委会長批判(なかには批判のふりをした擁護論や高評価論もありましたが)誰もが間違っていたのが彼がまるでボランティアのように無給で働いている(組織委会長を務めている)という点。確かに表向きは無給と言うことになってはいるが組織の仕事で働いた日には日当が出ることになっている。その額がいくらなのか以前組織委広報に訊いたことがあったけど「個人の給与については答えられない」と言われた。給与じゃないはずなのにね。いろいろ手回しして訊いてもわからなかった。IOCのバッハ会長やIOCの理事たちも原則無給。だけどやはり日当は出ていて以前本欄にも書いたけど20年前で1日7〜8万円だと元JOCの春日良一さんが『ニューズ・オプエド』で話してくれた。組織委の日当は如何程なんでしょうねえ?森会長自身が日当の金額について話されたことはないでしょうが2015年10月16日付の毎日新聞のインタヴューでは「私の役割はあと3年(2018年まで)」と話すと同時に「私は日当をプールしていて盆や暮れなどに宴会を開いているんだ」と語っておられる。昨年暮れは宴会はNGだったでしょうから日当はどうなったのでしょうねえ?小生は5年以上前からスポーツと体育の区別もできない人物が五輪のトップにいてはイケナイと言ってきましたけどあと半年に迫った今になって世界から非難される発言とは困ったことです。開会式で彼が登壇して挨拶すれば世界中から大ブーイングでしょうね。あ。無観客でテレビでは拍手を流すのかな。晩飯映画劇場は『チコちゃん』を録画にしてジョン・ヒューストン監督シルベスター・スタローン&マックス・フォン・シドー&ペレなどが出演したサッカー映画『勝利への脱出』第二次大戦中にパリで開かれた連合軍捕虜vsナチス・ドイツ。ナショナルチームのサッカーの試合。その試合を利用して捕虜たちが集団脱走を図るが…さすがヒューストン監督。悪くない映画です。ネタばらしは避けますがやはりスポーツには観客が存在しなければならないですね。ドイツ・チームがゴールを決めてもフランスの観客はシーンと静まりかえっていましたがナチス・ドイツラジオ放送局は大歓声を流してましたね。東京五輪開会式の無観客での開会式での組織委員長の挨拶でも…?

BOOK
木田元&須田朗『基礎講座哲学』ちくま学芸文庫
木田元&須田朗『基礎講座哲学』ちくま学芸文庫
これはホントに勉強になるいい本です

2月6日(土)
朝のベッドで勉強する『基礎講座哲学』は「心と身体」の問題から「死」の問題へ。「汝自身を知れ」というソクラテスの有名な言葉はデルポイの神殿に掲げられていた言葉で「不死なる神々と死すべき汝ら人間との無限の隔たりを知れ」という言葉をソクラテスが独自に深めて「人間の傲慢さを戒める言葉」と解釈したのですね。ところが古代エジプトでにあった《宴会で主人が骸骨やミイラを持ち出して接客する等奇妙な接客の仕方》が古代ローマに伝わりどうせ人間いずれは骸骨やミイラになってしまうのだから《短い人生を楽しもうではないか》と快楽主義と現世肯定主義に走ってしまったのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。少し汗ばむほどの好天太陽の下「memento mori(死を思え/死を忘れるな)」と口ずさみながら。ワン。そういえば大江健三郎の『ピンチランナー調書』の主人公「森」は「mori死」からの連想なんですよね。組織委会長とは無関係でしょうけど。終日デスクワーク。途中某週刊誌から森喜朗組織委会長について電話取材。「昨日の記者会見前に森会長は辞任の意志を固めていたけど武藤事務総長らに説得されて撤回した」ということに対する感想を求められるがその情報はどこから入ってきたの?と訊くと「テレビやいろいろ報道されてます」よの返事だったのでどうせ森会長周辺のお抱えジャーナリストがイメージ挽回のために流したものじゃないの?という言葉は呑み込んで出所のわからない情報に対してコメントはしませんと答える。晩飯は昨日録画しておいた『チコちゃん』とともに。キノコの形と火星人の形と冠婚葬祭についてオベンキョーしたあとDVDを切ると『博士ちゃん』をやっていたので見てしまう。世の中すべて高齢化社会。老いては子に教えられ…の時代に突入したようですね。チコちゃんでも博士ちゃんでもイイから老害と化した五輪のトップにスポーツはあらゆる差別を超克するツールとして存在していることを教えてあげて下さい。小生がそれをしようと何度か挑戦したけど彼は自分の言うことを聞く人間しか近づけないんですよ…とほほ。

DVD
『ブルックナー:交響曲第9番/シューベルト:未完成』
『ブルックナー:交響曲第9番/シューベルト:未完成』
未完の作品を合わせたコンサート。G・ヴァント指揮北ドイツ放送響も素晴らしい演奏です!

2月7日(日)
『基礎講座哲学』第6章『哲学における死の問題』はきわめて濃い内容。現実存在(…がある)と本質存在(…である)の基本的説明から代用可能(補充可能な存在と不可能な存在の認識の違いを経てハイデガーの「可能性としても死」の説明まで。コノ章を読むためにコレまでの哲学史の章があったのかと思うほど興奮。死は代替不可能ですけど自分で経験する(見る)ことはできないのですね。最近読んだ『脳で見るミュージアム』にも出てきた現代アーティストのマルセル・デュシャンの墓碑銘はイイですねぇ。「さりながら死ぬのはいつも他人」。なるほど。在原業平も負けてないですね。「ついに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とはおもわざりしを」ナルホド。《死は死ぬ人にとってはいつでも〈早すぎた死〉なのかもしれません。果実は成熟して落ちていき作品は完成して終わりますが人間は生き長らえて完成成熟したうえで世を去って行くのではない》のですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。シューベルトの『未完成交響曲』ブルックナーの『第九交響曲』マーラーの『第十番』が愛されるのはすべて未完成(人間的)だからでしょうね。ワン。終日デスクワーク。東京新聞での同志社大教授の浜矩子さんのコラム「時代を読む」が見事だった。森喜朗オリパラ組織委会長のJOCでの「女性蔑視発言」について《発言の全文を読めばその蔑視感の深さと認識の愚劣さ浅薄さが嵐の勢いで読み手の感性に襲い掛かる。窒息死しそうだ》そして記者会見については「誰が言ったか言いませんけど」と《「伝聞形」での逃げ切りと責任転嫁を試みている。この種の対応の見苦しさを感じ取ることが出来ないのである。この人の心の闇は深い。この人の魂の救済のために祈るべきだ》嗚呼。「余人を持って代え難い」と信じ込んでいる人もこの「闇の深さ」には気付いていないのだろう。テレビを見ていると「民間人である組織委会長の首を替えられる人はいない。総理大臣でも出来ない」と発言してる人がいたけどIOCと開催を契約したのは東京都と都知事で組織委は都知事の代行ですから都知事なら替えられるはずでは…?晩飯後は片岡仁左衛門の十八番(オハコ)近松門左衛門『女殺油地獄』。DVDも持ってるけど仁左衛門のインタヴュー付で最近録画したEテレを見る。最初に演じたのは仁左衛門が与平衛を初めて演じたのは20歳のときか…スゴイ。若者そのものだったんですね。しかし旧歌舞伎座さよなら公演での最近の舞台は絶品ですね。油まみれの殺しの場面での太棹の現代音楽のような響きもスゴイ。最後に逮捕される北新地の場面はカットされてるけど殺しの場面までで十分ですね。いやぁ満足。

2月8日(月)
『基礎哲学哲学』第7章『人間の社会性』での「プラトン・アリストテレス・和辻哲郎批判」はスゴイ!プラトンの国家の支配者は善のイデアを知る哲学者でした》が《プラトンの描く支配者は最高の資質を持ち最高の教育を受けて初めて支配者に選ばれますが「最高の」とは誰から見てでしょうか。結局プラトンから見てにすぎません。その判断にはおのずと限界があります》結局《プラトンの哲学者はソクラテスの〈無知の知〉を忘れまったき知者に成り上がってしまったのです》アリストテレスが《社会のために(あくまで彼から見て)健全な子供をつくる条件を事細かに書いている滑稽さは知者を自負することに由来》し《和辻哲郎が滅私奉公を説くのも公(国家ないしこれと混同された天皇)にとって何が最善かを自分は知っているという錯覚があればこそでした》なるほど。《これらの人びとは全体=社会が個人を超えると主張しておきながら全体を見下ろす位置にまで自分(個人)を上昇させるという自己矛盾を犯したのでした》ナルホド。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。毎日新聞デジタルでのロング・インタヴュー原稿を校正。もちろんテーマはオリンピック。水曜か木曜にアップされますのでそのときはURLをお知らせします。『ニューズ・オプエド』の準備のため森オリパラ組織委会長の女性蔑視発言が飛び出したJOC評議委でのゲスト発言を再チェック。このとき40分も挨拶していたのですね。長い(笑)。もちろん無自覚的女性蔑視発言は大問題ですが東京五輪開催の位置づけを「復興五輪」にしか置かずオリンピック本来の意義(平和運動・文化的意義)が語られていないのも組織会長としては問題ですね。夕方から『ニューズ・オプエド』リモート・アンカー出演。今日のゲストはスポーツライターの青島健太さんと小林信也さん。5年前から森喜朗氏は組織委会長として不適格と言い続けている小生としての理屈(著書に「体育の祭典である五輪」と書いたり「表彰台で君が代を大声で歌って」と発言したり「安倍マリオ」を推薦したり…)を認めたうえで最近森氏にインタヴユーした小林さんは「あの人は謙虚」でスポンサー廻りなどを高評価。女性蔑視発言は完全に世界的にOUT!という意見では小林さんも青島さんも同じだが森氏の「クビ」を取って済む問題ではない…これをきっかけにスポーツの価値を見直す五輪にしなければ…には小生も3人とも賛成だし…はたして森氏の存在を残したまま東京五輪を押し進めることが出来るか…これは世界的に認められないのでは?かつてブランデージIOC会長(当時)が1936年のベルリン五輪直前に現地に乗り込みナチスによるユダヤ人迫害は存在しないとの結論を出したけど対象に近づいたからといって真実が見えるわけではないですからね。

DVD
『黄昏のチャイナタウン』
『黄昏のチャイナタウン』
ジャック・ニコルソンが頑張って監督主演したChina Townの続編。私立探偵のJakeが再度活躍。原題はTwo Jakes ナルホド。

2月9日(火)
木田元&須田朗『基礎講座哲学』読了。これは本当に素晴らしい一冊。最後はウィトゲンシュタインのメタ言語の話だったけど「幸せ」の「幸」という漢字の意味(手枷をはめられる危険を危うく逃れたこと)や「しあわせ」という大和言葉の意味(めぐりあわせ)から英語のHappyが偶然・運・気まぐれなどを意味するHapから生まれてることでドイツ語の幸せGluckseligkeitも英語のLuckyにつながる言葉でフランス語のBonheurも「良い時(チャンス)」であることを考えるなら「幸福を求める」という言葉は厳密には成立しない…と言った説明がメッチャ面白かった。文庫本400頁を再読したい気持ち。わん。ベッドから出て黒兵衛と散歩。犬は幸福なのかな?いや犬には自我がないから幸・不幸もないのか…わん。終日デスクワーク。午後から明後日のBS11打ち合わせ。もちろんテーマは森オリパラ組織委会長の女性蔑視発言について。この問題に本人の謝罪で早く終止符を打とうとしたIOCバッハ会長も日本の組織委の理事たちも国会議員もすべて判断を誤ったと言うほかないですよね。世界のメディアやHRW(Human Rights Watcher)は森氏の女性蔑視には黙っちゃいないでしょう。5年前からこの人物はオリパラ組織委会長には不適格で早く辞めてほしいと主張していた小生にとっては今頃騒ぎになって最悪のタイミング(五輪開幕半年前!)と言うほかない。日本のスポーツ界は森ワールド(森帝国)。森氏がすべてのファイナルタッチ(利権)を握っているわけで皇帝がいなくなったら帝国も瓦解する。瓦解しなければ秘密が…どうなる?プーチンや習近平が辞めなければならなくなったらその周辺も全員辞めないとイケマセンよね。さぁどういう形で落とし前を付けるのか…と思っていたら晩飯後に久し振りにTBS『ひるおび』から電話。サテ明日はどんなふうに森ワールドのことを話そうかな。夜になって打ち合わせをいろいろ。おかげでジャック・ニコルソン監督・主演『黄昏のチャイナタウン』はほんのちょっとしか見れず。まぁシャーナイですね。仕事優先。

Article
「東京五輪を何のためにやるか、政府や組織委はっきり言えない」
「東京五輪を何のためにやるか、政府や組織委はっきり言えない」
スポーツ文化評論家・玉木さんが語る五輪と政治」是非とも読んで下さい。「蔵出しスポーツ/今こそ直視を!オリンピックの抱える根本的問題」も一緒にどうぞ

2月10日(水)
朝『基礎講座哲学』の巻末にある註釈集を読む。それだけでも面白い。最近スポーツの面白い本に出逢わないのが残念ですね。わん。ベッドから出て黒兵衛と散歩に出るとき庭の枝垂れ白梅の蕾の多くが膨らんでいるのを発見!おまけに可愛く白く咲かせている花も一つ発見。梅一輪一輪ほどの暖かさ。芭蕉の弟子嵐雪の句。号(名前)と句が乖離してるところが面白い?わん。サッサと準備してタクシーで大船駅へ。東海道線で新橋へ。再びタクシーで久し振りにTBSへ。以前のように坂道を上がった2階の北玄関から入ろうとすると検温があるので1階の正面玄関に回ってほしいとガードマンの人に言われる。これもコロナ対策ですね。検温通路を通ってエレベーターで2階の控え室へ。ディレクターと簡単な打ち合わせのあと久しぶりに逢ったメイクさんに長髪コロナ・ヘアを纏めてもらってスタジオへ。昨日の本欄に書いたようなことを話す。日本のスポーツ界を森帝国とか森皇帝とは言わずに森ワールドと言いましたけどね。それにプーチンや習近平の例は出しません出しかけどね(笑)。コロナで日本がデジタル後進国だったりワクチン後進国であることがわかったけれどスポーツ後進国だということも浮き彫りになりましたね。番組を終えて局のクルマで帰宅。電話がかかってきて明日も出演?というのを了解したら明日は別のコメンテイターになったとか。誰でもイイけど日本のスポーツ界が「民主的に前進」するようなコメントを願いしたいですね。少なくとも森会長が無給でボランティア精神で…なんて言わないでくださいね。給与はなくても日当も経費も出てますから。晩飯前に様々なメディアの人から電話。オリパラ組織委の「ポスト森」に「安倍元総理が決まった」と言う人がいて思わず電話の送話器に向かって「ええええーーっ!」と声をあげてしまう。昨夜の小池・二階会談で小池都知事も了承?ホンマカイナ!?噂にはは聞いていたけど…マイッタナ。電話の主はマダ未確認情報とか。しかしそんなことになったらモリカケサクラに新たなモリがプラスされるだけでは?組織委会長として「別の立場の人」に引き継がれるとマズいことでもあるのかな?酒呑んで寝よ。


2月10日(水)つづき
京都新聞のインタヴューで語った小生のオリンピック論が全文公開されてます。是非御一読下さい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/caedbf31f75ebbe5e584eae0b91a206fe9d324ed?page=1
毎日新聞のインタヴューで語ったもの(これは有料ですが)も読んでいただきたいです。よろしく!
https://mainichi.jp/articles/20210208/k00/00m/040/146000c

2月11日(木)
ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと朝から大騒動。オリパラ組織委の森会長辞任が辞任するというのはほぼ避けられない事態だと思ってはいたが後任は以前からの候補だった安倍元総理ではなく川淵三郎サッカー協会相談役だという。しかし彼は受けないだろうと思って何人かのメディア関係者に訊いてみるとイヤ受けるだろうという。携帯に電話をしようかとも思ったがもうそーゆー取材をする人間ではなくなったので(スポーツ文化評論家なので(^^;)しばらくは静観することを決め込む。うむむむむ。IOCバッハ会長は森氏になんとか会長の座に居続けてほしいようだったけどアメリカNBCの森批判報道でオジャンだとか。小池東京都知事の4者会談拒否の蜂の一刺し(古い言葉だなぁ)も効いたようですね。さて新会長に就任予定となった川淵氏が森氏の組織委相談役就任を要請したとか。これが新しい火種にならなきゃイイけど…英語にするとCounselorでイイのかな?それともConsultantかな?外国ではどう報じられるのだろう?と思いながら簡単な夕食のあと迎えのクルマに乗って東京お茶の水の日本BS放送(BS11)へ。『報道ライブ インサイドOUT』生出演。御一緒は水泳でオリンピアンの田中雅美さん。組織委森会長の女性蔑視発言の根本的問題について話す。そもそもは2018年で組織委会長を辞めると言っていた人ですからね。それにIOCも問題でクーベルタン男爵も女性のスポーツ反対論者だったとか日本のアスリートもいろいろ発言するようになったのはイイことだとか川淵さんとはどんな人かとかいろいろ話す。あ。川淵さんはオペラ好きでイタリアへ行くときはいつもイタリア・サッカー協会がミラノ・スカラ座のチケットを取ってくれるなんてことは話し忘れた。まぁどーでもエエか。そう言えば彼の古稀のお祝い(高円宮妃殿下主催)では川淵氏はお嬢吉三の「月は朧に白魚の…」の名台詞を披露されましたね。歌舞伎もお好きなんですね。私が披露したのはプッチーニの『ジャンニ・スキッキ』のアリア「私のお父さん」を京都弁で…そんなことはどーでもよろし。田中雅美さんのアスリートの体験談にも耳を傾けて番組終了。MCの岩田さんにIOCはブランデージ元会長も人種差別主義者で女性差別主義者で植民地主義者として非難が集まってる話とか雑談のあとクルマでビール呑みながら帰宅。

TV
『ブラタモリ』
『ブラタモリ』
必ず見るようにして楽しんでいます。我が家が檀家の京都六道珍皇寺が取りあげられたこともあります

2月12日(火)
朝6時にベッドから出て共同通信の原稿書き。テーマはもちろんオリパラ組織委森会長辞任と川淵新会長就任について。わん。黒兵衛との散歩を挟んで午前中に何とか書きあげて送稿。ふうううう。

2月12日(火)つづき
川淵新会長就任に「密室人事」だと横槍が入って人事は白紙。こういう人事は問題だ…と原稿には書いていたもののいろいろ書き直して再入稿。ふうううう。新会長は橋本聖子オリパラ大臣らしいけど…そうなると実質的には…?組織委での森会長の辞任挨拶を誉めていたスポーツジャーナリストがいたけど安倍マリオを使ったことの自画自賛や「女性蔑視発言」はメディアの解釈の仕方の違いとか自分は女性を蔑視してないとか言ったのは全然ダメでしょ…と思っていたらフジTVに出ていた長田渚左さんが「この人はホントにわかってないなあ」と発言。その通りですね。

2月12日つづきのつづき
今度は菅総理官邸からの横槍で川淵氏がオリパラ組織委新会長就任を拒否。原稿また書き直しで晩飯前にようやく完成。一日かかった原稿を校了して晩飯と酒と『チコちゃん』を楽しむ。しかし原稿は何度書き直しても書かなきゃダメですね。字を書く行為は自分の肉体を鍛えますね。さあ呑むぞー。それにしても日本社会の「後進国ぶり」は反省しなければならないですね。デジタル後進国にワクチン後進国にスポーツ後進国。箱根駅伝も甲子園大会の高校野球も男子だけで馬鹿騒ぎ。柔道の日本選手権で日本武道館が使えるのは男子だけですからね。そういう男子偏重大会の主催者の多くがメディアなんですからね。日本のメディア(ジャーナリズム)はオリパラ組織委のドタバタ劇を嗤えない(批判できない)ですね。あ。日本のマスメデイアはオリパラ組織委のメディア委員会にも参加しているのだ!それでイインカイ?風呂のあと録画しておいた『ブラタモリ』で九州日田の町を楽しみながらビール呑んでベッドへ。

TV
『博士ちゃん』
『博士ちゃん』
これも最近定期的に見る数少ないTV番組になりました

2月13日(土)
昨晩は北國新聞から今回の組織委ドタバタ劇の感想を求められる電話を最後に『チコちゃん』見てベッドへ。そして朝の7時半まで爆睡。そりゃそうですね。昨日は朝の6時から夜の7時まで原稿と格闘していたのですから。ワン。朝起きて黒兵衛と散歩。庭の白梅は5輪ほど花を開いていたけど五輪は花開かないですねぜ。?梅〜は〜咲い〜た〜か〜五輪はま〜だかいな〜…。しかし最近のジャーナリストは(スポーツ・ジャーナリストと称する人も含めて)Journalistと呼ぶより解説者Commentatorと呼ぶべきですね。これはある意味Non Fiction Writerの取材方法で取材対象に入り込んで(親しく付き合って/ときには福島原発の作業員になったり暴力団の組事務所にも入り込んで)情報を得る手法で得た情報を武器に作品を仕上げるわけです。がTVでCommentatorとしてCommentする場合は単なるSpokesmanとして取材対象者の代弁者に成り下がる危険性が伴いますね。やはりJournalistとしての矜恃Prideを保ち続けるには批判者Criticとしての視点Viewpointを持ち続ける必要がありますね。そうすればまさか森喜朗氏がオリパラ組織委会長に相応しいとか余人を持って代え難いとか日本のスポーツ界を発展させたなどという結論には至らないはずですから。それは彼が日本のスポーツ界に構築した世界Mori Worldの内部だけで評価できることでそのMori Worldの世界に入り込んでしまえば彼は女性蔑視などしない人物で女性を登用する人物という評価になりかねないのですよね。そんな特殊な世界のなかに入り込んでのViewpointに立った自称JpurnalistがInformant情報提供者として起用されることが最近は多くなったと思うのは小生だけでしょうか?ワン。今日はこれから財界展望社の雑誌『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」を書かねば。

2月13日(土)つづき
夕方『ZAITEN』の連載原稿を書きあげて編集部へ送稿。2日連続TV出演のあと2日連続原稿と格闘してふううう…と溜息ついて録画しておいた映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』を見ながらビール。日本語のタイトルは最低だけどこれは面白い映画でした。ドキュメンタリーと称してもイイ内容。秀逸なテニス映画ですね。ボルグ&マッケンローという実在のキャラがすごかったのでしょうね。晩飯は『博士ちゃん』を見ながら。子供の野菜ソムリエと三国志博士の知識に驚嘆。ただし堀川牛蒡が新潟の人参やどこかの蓮根より値段の高いことは京都人にはすぐにわかりましたけどね。途中『週刊SPA!』から森前組織委会長についての電話取材を受ける。彼に対する評価は「森ワールド(日本のスポーツ界)」のなかでしか出来ないですよね。IOCバッハ会長が彼の「女性蔑視発言」を彼の謝罪(になってない謝罪)で最初簡単に解決済みにしようとしたのは明らかにIOC自身が内包している「女性差別等の差別の歴史」に問題がありますね。そもそもクーベルタンは女性がスポーツをすることに反対していたし(男性の勝利者に冠を与えるのが女性の役割と彼自身が書いてますからね)第5代会長のブランデージはナチス・ヒトラーを高く評価して最近人種差別主義者・女性差別主義者・植民地主義者として批判されました。第7代会長サマランチ侯爵はナチスと親密な関係だったスペインのファシスト党(ファランヘ党)の党員でしたからね。IOCはそういう過去を自ら表に出して反省し日本のスポーツ界も根強く残る「森的なる体質」を反省して完全に払拭する必要がありますね…。風呂のあと日本酒の『湘南』を呑みながらニュースを見たり週刊誌を読んだりしたあと仕事場でメールのチェックをしてベッドへ行こうとするとグラグラグラッと家が揺れた。けっこう長い揺れ。本棚に積み上げていた文庫本がバラバラと床に落ちる。10年前の3.11を思い出して仕事場の窓を開けて脱出路を確保。そのうち揺れが治まってホッ。明らかに3.11の余震はまだ続いてるのですね。テレビを見ると神奈川は震度3とか。ウッソーと思いながらベッドへ(翌朝のニュースでは震度4に訂正されていた)。コロナ&地震&五輪のドタバタ。日本のあらゆる部門のリーダーは全員50歳以下に総入れ替えしたほうがイイようですね。

2月14日(日)
2日連続朝まで爆睡。本を読めないのは残念。だけど疲れて朝まで爆睡は気持ちがいい。オリパラ組織委のドタバタ劇と原稿書きと地震まで加わって…7月の五輪開催がますます不安視されますね。それにしてもメディアのアンケートは「開催」「再延期」「中止」の三択で常に質問してるけど「再延期」はあり得ないのだからそれをカットして二択にしたらどういう結果になるのかな?あるいは「通常開催」「無観客開催」「国内観客のみの制限開催」「外国人観客入国制限開催」「中止」と分けてのアンケートにしたらどうなるのか?それを考えるのが組織委新会長の仕事か…いや最終決定はIOCの仕事?ベッドから出て東京新聞朝刊を見ると一面に米NBCのWebに寄稿した元サッカー選手の米パシフィック大学ボイコフ教授(50歳)の意見が掲載されていた。森発言の「女性差別」は論外だがIOCも長く「性差別にドップリつかっていた。女性が初めてIOC委員に選ばれたのは1981年。今でも女性は全体の3分の1」。やっぱりクーベルタン以来続く女性差別の実態をIOC自身が自ら示して反省すべきでしょうね。もちろん日本の高校野球や箱根駅伝も。わん。ヨメハンも一緒に黒兵衛と散歩。あ。ヨメハンという言葉も女性差別?しかし俺は「嫁」「ヨメサン」「女房」は使わないし…ヨメハンや誰か女性が不愉快だと言われるまで使うことにしまひょかな。わん。終日デスクワークはWeb春陽堂『スポーツはどのように文芸を彩ってきたか?』の最終回校正。『フィールド・オブ・ドリームス(シューレス・ジョー)』『赤毛のサウスポー』に蓮實重彦『伯爵夫人』も取りあげる。野球のボールが金玉(おみお玉)を直撃して年増の女性たちに解放されるシーンに笑いましたからね。大江健三郎の『ピンチランナー調書』も。もっと連載を続けたかったなあ。晩飯のあと渋沢栄一の大河ドラマの1回目を少し見たけどヤッパリ俺はTVドラマのかったるさについて行けず『日曜美術館』に変更。ペストと死の舞踏とルネサンスとアマビエ。面白かった。風呂のあとN響コンサート。コリリアーノの弦楽合奏『航海』もバーバーのヴァイオリン協奏曲も面白かったけどドボルザークの『新世界交響曲』が原田慶太桜(35歳)の指揮する斬新な演奏でヨカッタですね。面白カッタですね。楽しかったですね。アンチェル&ノイマンなどのチェコの大指揮者やカラヤン&バーンスタインそしてアバド&ムーティなどの大御所の次世代のデュダメルやハーディングなどの新世代と共通する思い切ったテンポの変化や副主題の強調など新しい演奏方式を存分に楽しめました。世界はすべて新しい世代への交代が始まってるのですね。森喜朗氏は会長を辞めるとき「老人だから悪いと言われるのは心外」とかおっしゃっていましたがたしかに「老人だから悪い」のではなく「悪い老人」が存在することが悪いのですよね。

2月15日(月) !!特報!!!!
臨時ニューズのことを英語ではNews Flash!とかBreking Newsと言うらしい。つい先程私が編集長・主筆を務める「ノーボーダー・スポーツ」が掴んだ情報が飛び込んできた。それによるとオリパラ組織委の次期会長選びとして設置される会長選考委員会が委員の名前を公表しないなど「透明性」に疑問が出るなか総理官邸で動きがあったようで新会長は現理事のなかから選ばれ「某アスリート」に強い興味を持ってるとのことが判明。その某アスリートについては今日6時からの『ニューズ・オプエド』で報じます。

2月15日(月)つづき……時間を戻して……(笑)
朝起きて土砂降りのなか黒兵衛と散歩。土砂降りの「なか」を「中」と書くのは間違いなんですよね。「中」の訓読みは「あたる」で「真ん真ん中に当たること」。だから本当は「内」と書いて「なか」と読ませるのが正しいらしい。ワン。終日デスクワークはWeb春陽堂の連載最終回の校正を送ったり…明日から始まる日本経済新聞の連載「アート・オブ・ベースボール」の最終校正を行ったり…していたら午後イチの今日の『オプエド』の打ち合わせで「ノーボーダー・スポーツ」のスタッフから新情報。それが前の項目に書いた『ニューズ・オプエド』で発表する新情報というヤツです。なんでこんな書き方をしたのかというと『オプエド』を少しでも多くの人に見てもらおうとスケベ心を出したため(笑)。中味はオリパラ組織委の新会長にパラリンピアンで5度のパラ大会に出場して20個のメダル(15個の金)を獲得し世界的に「水の女王」と呼ばれている成田真由美さん(50歳)の就任に総理官邸が大きな興味を示しているということ。これだけをニューズにしたら良いところをオプエドのスタッフは全く正直に取材の経緯を詳しく報じてしまい「誰か会長への適任者がいないか?」と訊かれたノーボーダー・スポーツのスタッフが何人かの候補者を挙げたところが「組織委の現理事でなければダメ」と言われてだったらと理事のなかから数人名前を挙げ直すと成田真由美さんに大きな興味を示したという経緯を冒頭のニューズですべて報じてしまった。まぁ正直に透明性を確保したところは良いとしてもノーボーダーのスタッフから先に出た名前となると他のメディアは報じたがらないかもしれませんね(苦笑)。小生がキチンと原稿をチェックすれば良かったけど…それはともかく『オプエド』に常にパラ・スポーツ情報を寄稿してくれている星野恭子さんに情報を伝えると「素晴らしいアイデア!成田さんはメダリストとしてだけでなく人格者としても尊敬できる人」と大賛成。ただしご本人がマダ現役選手として東京大会を目指してるので会長職に就くのは難しい…誰かときちんと組めれば…との意見だった。スタッフとして山口香さんや溝口紀子さんや大日方邦子さんや大宅映子さんや長田渚左さんや田中ウルヴェ京さんなどが組織委の内外から加わって一気に「森的なるもの」の払拭を!!というのは出来るはずだしやらねばならないはずだし人材がいないなんてウソですよ……。

2月15日(月)つづきのつづき
夕方6時から『ニューズ・オプエド』本番。今日のゲストはラグビー関係の2人。松瀬学さんと村上晃一さん。組織委新会長にノーボーダー・スポーツとしては成田真由美さんを推薦したいということについて松瀬さんは人間的には全く問題なし。ただ経験的な不足を補う意味でサッカー協会会長の田島幸三さんのような組織のトップ経験者と2人会長がイイかもとの意見。村上さんは「スイマセン五輪にあまり興味がないので…」と2週前のサッカー・ジャーナリスト大住良之さんとまったく同意見。やっぱりサッカーやラグビーに目の向いてる人にとっては五輪は大きな問題ではなさそうだが今週末に1か月遅れで開幕するラグビー・トップリーグのコロナ感染対策についての村上さんの説明は素晴らしかった。ラグビー関係者の全員PCR検査で最初68人が陽性だったのが現在は1人になってリーグ開幕。これから検査は定期的に続けて選手に感染者が出て試合が行えなくなたチームが出た場合は引き分け扱いにするとのこと。そうですよね。コロナに感染するのは個人の責任でもチームの責任でもないはずですからね。ただ徹底したコロナ対策検査の連続がオリンピックで可能かどうかは…かなり可能性が低いで3人の意見が一致。五輪は選手が多すぎますよね。森前組織委会長は元ラグビー協会会長でもあり松瀬さんがその功績を讃える原稿を書いたら激しいSNS上のバッシングに合ったとか。私も森氏の「功績」に対しては疑問視するところは大きいですが話し合って議論を闘わさないと有意義じゃないですよね。オプエド=OPED=Opposite Editorialにもならないですからね。松瀬さんと村上さんとイロイロ話して明日から日本経済新聞朝刊文化面(裏一面)で始まる連載Art of Baseballの宣伝もさせてもらって番組終了。サテ来週は誰をゲストに招こうか…。

DVD
『夜の訪問者』
『夜の訪問者』
C・ブロンソンがフランス語を使いフランスを舞台に次々と危機を脱するサスペンス。監督は007のテレンス・ヤング。お暇ならどうぞ

2月16日(火)
朝起きて黒兵衛と散歩。わん。チョイとゆっくりした一日。今日から始まる日経新聞文化面の連載が気になる。もちろん校正では見ているが新聞紙面としては見ていないので。日経の連載は過去に書評欄で2度夕刊文化面で2度あるけど日経は定期購読していないので(スイマセン)掲載紙が送られてくるまで待つほかない。わん。パソコンで日経のページを開くと小生の連載「美の十選Art of Baseball」第1回の選んだスポーツ・カメラマンのニール・ライファーのニューヨーク・シェイ・スタジアムの夜の写真が出ている。ヤッパリ綺麗ですね。「夜の球場は本物の教会より教会に似ている」と『シューレス・ジョー』(映画『フィールド・オブ・ドリームス』の原作)の作者W・P・キンセラが書いたのは比喩ではなく実際そうなのですね。ただ…Webも有料なので…どうぞ皆さん会員になって読んで下さい。https://www.nikkei.com/culture/arts/

2月16日(火)つづき
終日デスクワーク。『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」を校正。組織委のドタバタ劇を書いたけど「事件」本質は日本のスポーツ界&日本社会の男女平等に対する時代遅れの感覚。高校野球や箱根駅伝や柔道日本選手権の日本武道館使用などがすべて男子だけだということを何故誰も指摘しないのかなぁ?やっぱりマスメディア主催のイベントの批判はマスメディアではできないのかなぁ?それでは一向に日本社会はGender Equalityに向かって進めませんね。組織会長が明日にも決まれば原稿校正の一部をやり直し…いや書き直しかな?…と思ってると『スポーツニッポン』編集部から電話。組織委会長選考委員会の透明性について電話コメントを求められたので非公開にしないと自由に話せないという感覚自体が問題と話す。委員会のメンバーの山下JOC会長はJOC理事会も非公開にしてしまった。全柔連で暴力体罰問題を話し合ったときに非公開にしたのはわからないでもなかった(自分たちのやってきたことをまず洗いざらい話すには非公開も仕方ない面がありましたからね)しかしJOC理事会や今回は公開にしなければダメですね。よほど聞かれたくないこと知られたくないことがあるのかな?しかしそういう内容の話しなら電話で個別にも出来るでしょうに…ドタバタ劇の延長にだけはなってもらいたくないですが「森的なるものの払拭」ができるかどうか…それはメディアの問題でもあるわけですけどね。晩飯&ニューズ&風呂のあと昼間途中まで見たチャールズ・ブロンソン主演『夜の訪問者』を見てしまう。監督が007のテレンス・ヤングでブロンソンの珍しいフランス語でのフランスが舞台のサスペンス映画だったから見たけど…見なくてもヨカッタかな。

BOOK
高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』講談社現代新書
高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』講談社現代新書
本物の天才が次々に登場。アインシュタインが普通の人に思えます

2月17日(水)
ブレーキング・ニュースが飛び込んできた。組織委の新会長候補者検討委員会が橋本聖子五輪相を新会長候補に選んだとか。ハッハッハと思わず笑いましたね。茶番ですね。断られる女性を選んでおいて女性に断られたから仕方なく男性(山下?)で…なんて筋書だけはやめてほしいですね。えっ!?明日も検討委員会が開かれる!?選んだら終わりとちゃうんかいな?!ほな明日には橋本五輪相以外の人を選ぶ予定なの?こーゆーミエミエの茶番劇の筋書だけは避けてほしいなぁ…すべてを俺の邪推で終わらせてほしいなぁ……

2月17日(水)つづき……時間を戻して……(笑)
朝ベッドで昨日講談社から送られてきた現代新書のなかから高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』を読み出す。これがメッチャメチャ面白い!もう半世紀程以上前のことになるが高校時代の尊敬すべき物理の教師に「原子爆弾と言えばアインシュタインやオッペンハイマーを思い出すのが普通だけどジョン・フォン・ノイマンというハンガリー生まれのユダヤ人の大天才がいて彼は数学でも物理学でも大天才ぶりを発揮したけど原爆製造にも関わって日本との戦争では東京の皇居の真上や京都に原爆を落とせと主張した」という話を聞いたことを憶えていた。以来ノイマンのことは忘れてしまっていたけど初めて彼に関する本と出逢ってナルホド本物の天才とはこーゆー人物のことを言うのか…とよくわかった。何しろこの本の帯には「人類史上最恐の頭脳」と大きく書かれ「コンピュータ・原子爆弾・ゲーム理論・天気予報…現代社会の基本構造をつくった天災の影響と苦悩」とあるのですからね。何しろ6歳のときに電話帳のある頁に書かれた電話番号の総和を暗算で足し算したうえ母語のハンガリー語の他にドイツ語イタリア語フランス後映画をマスターして父親と古典ギリシア語で冗談を言い合ったというのですからね。チコちゃんも博士ちゃんの真っ青ですね。マダ半分しか読んでませんがナチスの迫害を逃れてアメリカに渡ったときにプリンストン高等研究所が生まれた逸話なども書かれていて面白い。おまけにユダヤ人への迫害を誤魔化すためにナチスがベルリン・オリンピックを開催する話しも出てくる!このときナチスのユダヤ人への迫害は存在しないと報告したアベリー・ブランデージ(第5代IOC会長)はサイテーですね。不完全性定理を発見したゲーデルをナチスから救い出してプリンストン高等研究所に招いたのもノイマンだったのですね。そんな彼が何故「悪魔」に…?半分読んだところでベッドから出て黒兵衛と散歩。わん。

2月17日(水)つづきのつづき
『ZAITEN』の校正作業をしているところで組織委の会長候補検討委が橋本聖子に絞ったとの情報。校正をいったん中止したところへ大阪共同通信から電話。島根県知事の聖火リレー中止発言に対してコメントを求められる。中止も検討するのは当然ですね。何が何でもやるという方向が間違ってる…等々とコメント。晩飯時に東京新聞の夕刊を見ると共同通信経由で書いた小生の原稿が出ていた。「遅きに失した森会長辞任 スポーツ界意識改革の時」と題されている。よっしゃ。次期組織委会長は橋本聖子大臣かぁ…まぁスケート連盟会長として組織改革に取り組んだ実績はあるにしても文楽人形のようにだけはなってほしくないですね。『ZAITEN』の校正を送って風呂入って『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 人類最恐の頭脳』を持ってベッドへ。あ。今日の日経の小生の連載第2回『美の十選 アート・オブ・ベースボール』は1840年代の野球の様子のリトグラフがカラーで綺麗に美しく印刷されていて小さい絵でもよくわかりましたね。よっしゃー。

2月18日(木) Breaking News
今日もブレイキングニューズ…といっても橋本聖子さんのことではありません。それについては文化放送で話したので…また別に書く機会もありますから…それではなく日本経済新聞の連載を読んでくれている読者から問い合わせがあったのでそれにお答えします。第1回のスポーツ・カメラマン/ニール・ライファーが写真に撮った美しい「夜のシェイ・スタジアム」の文章として《「夜の球場は本物の教会よりも教会に似ている」と書いた作家がいる》と書いたら「その作家の名前を教えて下さい」というメールが来た。それはウィリアム・パトリック・キンセラで彼の作品『シューレス・ジョー』のなかに主人公の台詞として出てきます。主人公がサリンジャーとアーチ-・グラハムを連れて夜の野球場行ったときの台詞です。ご愛読ありがとうございます。それからもうひとつ。今日の大坂なおみがセリーナ・ウィリアムスに勝った試合は凄かったですね。大坂なおみは強くなったですねえ。2セット目でブレイクされたのをすぐにブレイクで取り返したのは本当に見事でした!組織委のドタバタ劇よりこーゆーニューズのほうがイイですねぇ。

2月18日(木)つづき……時間を戻して……
朝ベッドのなかで『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』読み進む。アインシュタインからチューリングまで真に天才と呼ぶべき人物が次々と現れて圧倒される。ノイマンは原爆の「標的委員会」で京都に落とすことは主張したけど皇居(東京)に落とすのは反対したのですね。《そのおかげで日本は命令系統を失わないまま三カ月後に無条件降伏できた。その意味でノイマンは無謀な「一億玉砕」から日本を救ったと考えられる》もっとも《もし日本が降伏しなければ8月19日に「東京ジョー」と名付けられたプルトニウム型原子爆弾を東京に投下する予定があった。それでも日本が抗戦を続けたら札幌から佐世保まで全国12の都市へ順番に原爆を投下する計画もあった》恐ろしい話しだがさらに次の記述は知らなかったので驚いた。アメリカの1945年《7月16日の「核実験成功」のニュースは外国通信社が配信している。日本の大本営も情報を得ていたし物理学者の湯川秀樹は広島が投下目標であることまで知っていて友人に広島を離れるように伝えたという証言もある》情報は昔も今も手にできる人とできない人がいるということか?《230万人の戦没兵士のうち120〜140万人が栄養失調に起因するマラリアや赤痢などの病死を含めた広義の「餓死」で亡くなった(略)ナチス・ドイツはユダヤ人を「大量虐殺」したが当時の日本の戦争犯罪者は日本人を「大量虐殺」したのである》ノイマンとは無関係とも思える記述だがこういう記述は原爆を落とされた国の姿をきちんと描いておく意味で貴重ですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。次期組織委会長にミエミエの橋本聖子五輪相が周囲から口説き落とされた情報が次々と入ってくる。何としてでも女性でないと…で官邸は動いたとか。そして弁護士も大学教授もお抱えジャーナリストも動いたとか。しかし森会長もそうだったけど東京オリパラを「成功させたい」という言葉は聞けても「こんな大会にしたい!」という言葉はトンと聞けなかったですね。そうしていつの間にかオリパラの目的は「震災からの復興」となり「コロナに打ち克った証」となって…そして新会長にメディアが求めるのも「ジェンダー・イクォーリティ」や「交渉力」や「調整力」…「理想」や「新時代のカタチ」が出て来ないのは残念ですね。メディアもスポーツ界(高校野球や箱根駅伝や柔道日本選手権など)の「男性優位」を指摘しないのはオカシイですよね。あ。ヤッパリ自ら主催している大会のことは指摘できないのですね。それでもジャーナリズムかね?

DVD
『パットン大戦車軍団』
『パットン大戦車軍団』
日本語タイトルは酷いけどパットンという人物を見事に描いたジョージ・C・スコットの演技は最高です

2月19日(金)
朝ベッドのなかで『フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔』読了。オモシロイ本でしたねぇ。あ。関西人は強烈な毒気のある悪意溢れる本でも興味深かったらオモシロイと表現してしまいますので誤解のないように。ノイマンは朝鮮戦争の起こった頃にソ連を核攻撃すべきだと語っている。「ソ連を攻撃するか否かはもはや問題ではありません。問題はいつ攻撃するかということです。明日爆撃するというなら何故今日ではないのかと私は言いたい!今日の5時に攻撃するというなら何故1時にしないのかと言いたい!」この発言で彼は「マッド・サイエンティスト」の代表と見なされるようになりこんな発言をしたノイマンをモデルにしてキューブリック監督はブラックコメディ映画『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』の主人公ストレンジラブ博士を描いたという。ナルホド。この本のあとがき「おわりに」で著者の高橋昌一郎氏が書いていた《もしノイマンが生きていたら「だからアメリカが圧倒的に優位な1950年代初頭にソ連を原始時代に戻しておくべきだったと何度も言ったじゃないか!」と叫んでいたかもしれない。犠牲を最小限にして最大利得を求める「ミニマックス戦略」を生み出した超合理主義者ノイマンならば朝鮮戦争では北朝鮮への原爆投下ベトナム戦争では北ベトナムへの原爆投下を躊躇なく大統領に進言していたに違いない。第二次大戦後仮にアメリカやヨーロッパの自由主義国がノイマンの思い通りに動いていたらもしかすると世界地図から独裁国家や共産主義国家は消え去り今頃は民主的な「世界政府」が樹立されていたかもしれない》との文章には断じて賛同できませんがオモシロイ想像ではありますねえ。存在していないものを想像するのは人間は苦手のようでオリパラ組織委会長が結局は橋本聖子五輪相になったように何事も誰もが簡単に想像できること(現状の延長線上にあること)に落ち着くようですね。「コノ世に新シキモノハナシ」というソロモンの言葉は正しいのかな?ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。真に新しい発明や発見をしたノイマンのような男は遂には「マッド・サイエンティスト」と呼ばれるほかない運命だったのか?ワン。映画でマッド・サイエンティストを演じているのはピーター・セラーズですね。優しい英軍人と大統領の1人3役!反共主義者のマッド軍人はジョージ・C・スコットは『パットン』で主役を務めてるところがオモシロイ。スゴイ配役ですね。

2月19日(金)つづき
終日デスクワーク。某週刊誌から電話。島根県知事の「聖火リレー中止するかも発言」への感想を求められる。当然のことで政府と東京都の感染対策が不十分かどうかとは関係なくコロナの現状では聖火リレーだけでなく五輪も含めて中止「も」考えておくのは当然のことで考えないほうが異常と言うべきですよね。夕方から『ニューズ・オプエド』臨時特別ゲスト出演。橋本聖子新組織会長就任を受けて東京オリパラを開催する「真の理由」とは何か?ということを話させていただく。大震災からの復興もコロナに勝利した証もアトヅケの理由で五輪大会招致の本当の理由は…「蔵出しコラム・スポーツ編」にある「今こそ直視を!オリンピックの抱える根本的問題」をお読み下さい。番組後半はカメラマン初沢亜利さんが撮った「コロナ禍の東京」の写真をいろいろ見せたもらう。写真とか絵はオモシロイですねぇ。詰まるところ「見えないもの」を撮ったり描いたりするんですよね。人間の心とか…町の空気とか…そしてコロナとか…。初沢さんは「オリンピックを撮りたい」という。オリンピックも「見えないもの」ですよね。1964年の東京五輪のサッカー会場で映画の撮影をしていた市川崑監督は何人かのお婆さんから「オリンピックは何処でやってますか?」と訊かれたという。日本中が大騒ぎしているので切符をもらって来てみたら男たちがボールを蹴っているだけ(このエピソードは拙著『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』(春陽堂書店)に詳しく書いています。御一読を!)初沢さんがどんなオリンピックを撮ってくれるか?楽しみですね。番組を終えて「チコちゃん」見ながらビール&酒&晩飯&風呂&ネル。

BOOK
高橋繁行『土葬の村』講談社現代新書
高橋繁行『土葬の村』講談社現代新書
小生も小学生の時に母の出身地の徳島の田舎で土葬の葬式を経験しました。貴重な体験でした
筒井康隆『ジャックポット』
筒井康隆『ジャックポット』
二階からコロナ。火事とコロナは江戸の花。七コロナ八起き。コロナは気から。一富士二鷹三コロナ…ははははは

2月20日(土)
『フォン・ノイマンの哲学』を昨日読了したので今日から立花隆『サピエンスの未来 伝説の東大講義』読み出す。ナルホド。すべては進化のフェイズ(位相)野本で考えるわけですね。宇宙も銀河も地球も「生物」として捉えるわけですね。手塚治虫の『火の鳥』の世界ですね。《ホメオスタシス(内部環境の恒常性が維持されていること)が保たれている状態が生命の本質》で《内部環境と外部環境が同じになってしまうこと》が《死》という説明は簡潔でわかりやすいですね。そのとりですね。それを仏教の世界では「土に還る」と言うんですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。今月講談社から送られてきた現代新書は他に高橋繁行『土葬の村』もあって面白いですね。なくなりつつある土葬の風習ですが土葬の墓地を分譲で売り出している墓地もあるんですね。土に還りたい人も多いのかな?きちんと読んでみましょ。著者は高校時代のバドミントン部の1年後輩。エエ仕事やってるやん。ワン。終日ゆっくり仕事してたら新潮社から筒井康隆大先生の新刊『ジャックポット』が届く。本の腰巻き(帯)に《嗤え歌え踊れ狂え。今日の世界中が大当たりジャックポット》とある。さらに《コロナ・戦争・文学・ジャズ・映画・嫌民主主義・そして息子の死−。かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす超=私小説爆誕!》爆弾と誕生をくっつけて「爆誕」とは素晴らしい!人生というのは断じて連続していなくて途切れ途切れに進むものですね。読みたい本も一気に集まる。集まらないときはゼロ。無。宇宙の銀河の分布も同じですね。晩飯はTBS報道特集で福島の聖火リレーの「現状」を見ながら。復興五輪という言葉がいかにcook-upされたfabricationかということがよくわかりました。誰もが支持する美しい五輪はframe-upすることも無理なのかな?昨日の日経にも《福島原発1の処理水 来秋にも満杯「廃炉作業暗証の恐れ」》なんて記事も出ていましたし…どうなるんでしょうね?TBSのあとNHKで大坂なおみの全豪オープン決勝を見る。強い。素晴らしい優勝!こんな素晴らしい選手の素晴らしいテニスは国籍や人種も軽々と超越しますね。相手のジェニファー・ブレイディ選手も素晴らしいプレイが随所に光りましたね。スポーツはオリンピック競技大会が存在しなくても素晴らしいですね。

BOOK
廣瀬陽子『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』
廣瀬陽子『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』
ロシアは今もロマノフ王朝の帝政なんですね

2月21日(日)
昨晩立花隆『サピエンスの未来』を持ってベッドに入ったと思ってそのまま読まずに眠ってしまったら同じ講談社現代新書の今月の新刊・廣瀬陽子『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』だった。そのまま読み出すと面白い。プーチンの「料理長」だったエブゲニー・プリゴジンがいつの間にかプーチンの国家戦略ハイブリッド戦争を担ってしまう!?ロシアはラスプーチンとかケッタイナ奴が宮廷の権力を握るのですね。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。あっという間に枝垂れ梅が満開。白梅もきれいけど紅梅も見たいなぁ。近くの家の玉縄桜が早咲きだからそれで満足しておこう。ワン。仕事の合間に筒井康隆『ジャック・ポット』を読んで一人でニヤニヤ。コロナで《故事ことわざのさまざまなパロディが生まれやがてそれが本来のものと間違われるようになった》ということでズラリとコロナ・パロディ諺が並ぶ。人を見たらコロナと思え。火事とコロナは江戸の花。獅子身中のコロナ。七コロナ八起き。国破れてコロナあり。憎まれッコロナ世に憚る。四面コロナ。嘘から出たコロナ。一富士二鷹三コロナ。衣食足りてコロナを知る。寝耳にコロナ…笑い飛ばすだけでなく何故か納得してしまうのもあるのがオモシロイ。筒井先生の本の大欠点は読み出すと仕事が出来なくなることだ。癌で亡くなった息子さんとの「再会」を描いた一編は凄い作品でした。晩飯前にビール呑みながら映画『博士の異常な愛情』のメイキング・ビデオを見る。そうか。最後は「核司令室」でパイ投げ大合戦をしたショットも撮っていたのか。それをボツにして次々と「美しく」水爆が爆発するシーンにしたのはスゴイですね。ケネディ時代の国務長官マクマナラのインタヴューもオモシロかった。冷戦は本当の核戦争の一歩手前まで行った「熱戦」だったのですね。晩飯後に作品を通して見る。笑えない大喜劇ですね。ピーター・セラーズの一人3役演技も凄いけどジョージ・C・スコットの空軍大将の演技もスゴイ!広島長崎に原爆を落とし東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイという将軍もこんな人だったのでしょうか?!確か彼は日本から何故か勲一等旭日大綬章の勲章をもらってますね。昭和天皇自らの手による親授はなかったそうですが。風呂のあと酒呑みながら原田慶太桜指揮N響でバーンスタインやコープランドのアメリカ音楽を楽しむ。反田恭平のピアノによるガーシュウィン『ラプソディ・イン・ブルー』がオモシロかったですね。

BOOK
高島俊男『中国大盗賊・完全版』
高島俊男『中国大盗賊・完全版』
前にも紹介しましたが秦の始皇帝から共産党の毛沢東まで中国の「王朝」はすべて盗賊出身。中国を知るには欠かせない一冊

2月22日(月)
ベッドで『サピエンスの未来』読み進む。宇宙の進化から人間社会や人間の知性の進化までを同一線上に捉えるのは面白いけどジャレ・ド・ダイヤモンドやユヴァル・ノア・ハラリの出現した後となってはちょっと古さを感じるかな?ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。最近は個人的成長も「進歩」と言わずに「進化」と言うようになった。人間的交流で影響を受けることを「化学反応」と言うようにもなった。それらはいずれ変わる(消える?)流行語なのかな?ワン。朝から仕事をしながら夕方の『ニューズ・オプエド』の準備。ゲストは産経客員論説委員の佐野慎輔さんだけど今秋予定の東京五輪に加えて北京冬季五輪と中国の人権問題も取りあげるので『米中新冷戦とアフター・コロナ』の著者の近藤大介さんにも電話で緊急出演依頼。突然だったにもかかわらず快く引き受けてくださる。あとでわかったことだが佐野慎輔さんはスポーツの専門家だけでなく外信部=国際報道にも5年ほど籍を置かれたことがあって東チムールの独立紛争の時には現地にもおられたとか。小生が大興奮して読んだ高島俊男『中国の大盗賊』も読まれていた。だから近藤大介さんの参加は大歓迎。おまけに近藤さんは講談社で『オプエド』創設者の上杉隆の担当者でもあって『オプエド』に今まで出演されなかったのが不思議なほどの存在だと判明。世の中広いようで狭いですねえ。類は友を呼ぶということかな?そんなわけで今日の『オプエド』は東京五輪の組織委会長に女性が就任したとは言えマスメディア主催のスポーツ大会の女性差別解消Gender Equalityがナカナカ進まないのはメディアの責任という話題から中国の人権問題へ。北京五輪を当時のIOC理事だったバッハ現会長は「壮大な実験」と言ったと佐野氏が自らの取材から紹介。胡錦濤時代は経済自由化から中国が政治的民主化に移る可能性もあり五輪がそれを後押しする可能性もあったが習近平になって独裁体制が進みウイグルを初めとする漢民族以外の民族への弾圧も強まったとか。ただチベット語やモンゴル語と中国語のバイリンガルであるチベット族やモンゴル族と違ってウイグル族はトルコ語に近い独自の言語とイスラム教を信仰する異民族。彼らへの弾圧(ジェノサイド?)に対してトルコやイスラムが叛旗を翻すと中国習体制も危険信号?習近平は明の永楽帝と言うよりも清の雍正帝にソックリの独裁者だと近藤氏。ヒトラーのベルリン五輪やプーチンのソチ冬季五輪でもわかるように五輪というビッグイベントは独裁国家と親和性があるのですね。はたして東京五輪&北京冬季五輪はどうなるか?いろいろとメッチャ勉強になったオプエドでした。佐野さんや近藤さんに小生の日経の連載「アート・オブ・ベースボール」を誉めていただいたことも嬉しかったですねえ。学習&評価。人生の喜びはそれしかないですね。それにつけても五輪はどーなる?

2月23日(火)
朝ベッドのなかで「文藝春秋」最新号を開く。後藤逸郎氏の「東京五輪を中止すべき7つの理由」を読みたかったので。ごくごく真っ当な理由が並んでいるが開催推進者たちの心を翻させるにはイマイチか。著書『オリンピック・マネー』(文春新書)も読まねば。ほかにコロナ第三波「失敗の本質」の特集から塩野七生「ロックダウンしなかったヴェネツィア」養老孟司「コロナの壁を乗り越えよ」やジャレド・ダイヤモンド「それでも中国の時代は来ない」などを読む。どれも面白く勉強になった。しかし現在日本の世論形成に月刊誌ってどれくらい関わってるのかな?テレビは?ラジオは?ネットは?SNSは?YuTubeは?よーワカランなぁ。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩のあと終日デスクワーク。北國新聞月イチ連載「スポーツを考える」書く。オリンピックという超ビッグ・イベントは必然的にナチスなどの全体主義と強い親和性を持つことに触れて「開催も中止も出来る民主主義国家」のほうがイイですね…といったことを書く。夕方は大野勢太カさんがパーソナリティを務める「ラジオFM NACK」の「THE SEITARO☆RADIO SHOW 1700」に電話出演。東京オリンピックの問題点を話す。政治の力(安倍総理=当時)を利用しての1年延期で何とかGo To Olympicを実現させようとしている日本政府とIOCの何としてでも開催に漕ぎつけようとする「意志」は怖いですねえ…「経済効果」なんてのもコロナ禍のもとでは眉唾でしょうね…こんなことばかり言ってるとマスメディアから呼ばれなくなるかな?(苦笑(^^;)

2月24日(水)
小生が選んでコラムを書いた「アート・オブ・ベースボール」が日本経済新聞文化欄連載「美の十選」に連日掲載されている。新聞の印刷されるとカラーの絵もモノクロの写真も校正で見ていたときとは違って見える。月曜の元ヤンキース監督ケーシー・ステンゲルの銅像なんか本のきれいなグラビア印刷よりも新聞紙面のほうが雰囲気が合ってヨカッタですね。ナンノコッチャワカラン人はネットで見てください。https://www.nikkei.com/culture/arts/ 有料ですがアイコンだけでもオモシロイ絵が並んでます。スポーツの話はイイですね。オリンピックの話題はスポーツじゃないですからね。今夏の東京五輪の海外からの見物客の人数はIOCが4月末頃に決めると発表。なんで日本の感染に関係ある話をIOCが決められるのか意味不明。2032年の五輪はオーストラリア・ブリスベンが優先候補地になったとか。どこまで続く泥濘ぞ…。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。近所の黒柴のマダ半年くらいの子犬のAmiちゃんが駆け寄ってきて黒兵衛も尻尾を振って喜んで走り出した瞬間にリードを引っ張られてスッテンコロリンと引っ繰り返る。我ながら見事に背中で受け身。まだ若いかな。ワン。終日デスクワーク。連合通信のコラムを仕上げて昨日書いた北國新聞の校正をやって…。駅へ買い物に出ていたヨメハンが日経を買って帰る。ベン・シャーンの木版画「National Pastime」はやっぱりナカナカの迫力ですね。以前日経に連載した「スポーツする身体」でもベン・シャーンの絵「ハンドボール」をマチスの「ダンス」やピカソの「マタドールの死」と並んで選びました。そのときはイラストレーターの安西水丸さんに「ぼくもベン・シャーンが好きなんですよ」と言われたのを憶えている。その水丸さんも既に鬼籍か…。

BOOK
後藤逸郎『オリンピック・マネー誰も知らない東京五輪の裏側』文春新書
後藤逸郎『オリンピック・マネー誰も知らない東京五輪の裏側』文春新書
東京五輪を控えて日本人-説くにマスコミ人の必読書です

2月25日(木)
普通オリンピックの開催地は7年前に決定されるのだが2032年のオリンピックの優先候補地にオーストラリアのブリスベンが選ばれたというのは東京は今年開催しないと32年への延期はないですよというメッセージ(プレッシャー)のようでもありますね。ベッドのなかで後藤逸郎『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』(文春新書)読み始める。そうか。IOCは20年で収入が3.4倍に増えたのですね。聖火リレーまでスポンサー付けて…だったら聖火リレーの費用は(島根県の費用も)全部IOC持ちにすればいいのに…バッハ会長の給与は年間12万5千ユーロ(2947万円)。他の数多くのIOCの子会社の社長職や会長職などは基本的に無報酬らしいけど経費は全部出ているとか。ならば自家用ジェットで日本に来たときの経費も?この一冊はオリンピックを考えるうえでの必読本ですね。ベッドから出てRKB毎日放送『インサイト・カルチャー』ZOOM出演。日経の連載が今日はベーブルースが主人公。そこでベーブが現れてホームランを連発したときNYタイムスなどの新聞が「野手が手を伸ばしても捕れない打球を打つのは卑怯だ」と非難した話をする。野球は塁間の90フィート以外はルールも価値観もどんどん変化したボールゲームなんですよね。ワン。黒兵衛と散歩のお後デスクワーク。スポーツナビの連載企画『プロ野球・最強外国人助っ人列伝』のランディ・バースの項目を書く。将棋と飛ぶボール(頭脳的な流し打ちのホームラン)と神戸ビーフの話で5000字弱。ふううううううう。久し振りに阪神タイガースの原稿を楽しみながら晩飯前に完成して送稿。サケ&メシ&フロのあと『オリンピック・マネー』を手にベッドへ。この著者には『オプエド』出演依頼をしたいですね。

2月26日(金)
後藤逸郎『オリンピック・マネー』読み続ける。IOCが「世界平和」という誰も否定できないタテマエを巧く掲げて超巨大スポーツイベント・プロモーターとして大成功(大金儲け)していることがよくわかります。さてこれをどーすればいいものか…。ワン。黒兵衛と散歩に出て帰ってきたあたりから何故か身体がだるく…これが倦怠感という者か…と思って体温を測れば37,3度。う〜ん…チョイヤバいなあ…と思いながら本を持ってベッドで横に。体温がどんどん上がって38度に。明日フランスへ帰国するお隣さんとの寿司会食もお断りしてひたすらべっど。仕事はリモートばかりで他人に会ってないのにナンデヤネンと思いながら。ベッドで過ごす。体温は最高38.3度マイッタナア。IOCの呪い?まさかぁ。

CD
『プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番』
『プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番』
このコンサートに熱を出していけませんでした。一生の不覚ですね

2月27日(土)
夜中に熱冷ましを飲んで少し体温は下がったが今日の予定は全部キャンセル。ミューザ川崎での反田恭平さんのピアノ佐渡裕さんの指揮での共演に行く予定だったけど事務所に電話して行けなくなった旨を連絡。残念。ハイドン&ラフマニノフ&プロコフィエフ聴きたかったなぁ。コンサートのあとの大阪毎日新聞記者の取材もお断り。後日電話取材か何かに変更してもらう。食欲はありカレーの味も味噌汁の味も美味しく賞味。コロナではないと思うけど…体温は37度を下らず。元気が出るのはベッドで読む筒井康隆『ジャックポット』。小説・メタ小説・メタメタ小説とはいうもののチョイと評論めいてるところが面白い。嫌民主主義論・嫌マスメディア論その通りですね…とベッドで一人溜飲を下げる。PL錠のおかげか体温は37度を超えず。

DVD
オッフェンバック:オペレッタ『美しきエレーヌ』
オッフェンバック:オペレッタ『美しきエレーヌ』
ペリーの演出と振付は最高!フェリシティ・ロットの歌もお色気も最高です!

2月28日(日)
夜中に体温を測ると36.3度。ようやく平熱維持状態に戻る。ベッドのなかで筒井康隆『ジャックポット』を読んでいたら『レダ』という短編があったので驚いた。いや別に驚くことはない。昨日一昨日と発熱して仕事にならず仕方ないので横になってDVDでオッフェンバックのオペレッタ『天国と地獄』や『美しきエレーヌ』を改めて見聴きしていたのだ。前者はナタリー・デッセーのコロラチューラが見事で出演者全員でパラパラ踊りをする面白い舞台。後者はフェリシティ・ロットが女の魅力をぷんぷんさせて歌に演技に魅力を発散する喜劇。いずれもミンコフスキー指揮でローラン・ペリー演出。90年代は2人とも30歳代で溌剌とした音楽と演出が大いに話題となり久し振りに見ても吹き出すほど面白かった。後者の主人公エレーヌ(ヘレナ)はオリンポスの主神ゼウスが白鳥に化けて絶世の美女レダとの間に産んだ女性。白鳥になってたゼウスの子供だから卵から生まれてメネラオスという夫がいたにもかかわらずアフロディテ(ヴィーナス)にそそのかされたトロイの王子パリスが彼女を奪い取ったためにトロイ戦争が起きた…ということになっている。筒井先生はそんなことを一言も説明せずレダとヘレナの逸話を下敷きにボンクラ息子たちのために会社の業績が傾く一方の老社長が時空を超えて子供を作り産まれたはずの卵を探す…どっちかというと続く筒井式太平洋戦争総括大喜劇の短編『南蛮狭隘族』のほうが好きだったけどギリシア神話のパロディも面白かった。何より自分が見たばかりのオペレッタとシンクロして読めたのが嬉しかったですねえ。ベッドから出てヨメハンと一緒にゆっくり黒兵衛と散歩したあと少し睡眠。昼間は体温36.8度。もう大丈夫だろうと思って午後は確定申告の書類整理。トホホ去年の収入は悲惨ですなぁ。まぁ講演会がコロナで40近く消えたのだからシャーナイか。ある友人に「キャンセル料は出ないの?」と訊かれたけどそーゆー発想自体が全然なかったですね。ぼちぼちと自分の満足できる原稿でも書くか…。原因不明の熱病は今日で全快…かな。

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