コラム「ノンジャンル編」
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掲載日2006-03-27

この「メモ」は、雑誌『ミセス』(文化出版局)から一昨年春頃に寄せられたアンケートに答えたもので、もちろんこの「メモ」がそのまま雑誌に掲載されたわけではありませんが、コンピュータの中を漁っていたら出てきたので、ここに“蔵出し”します。

お薦めの本(2003年夏〜2004年春)

Q. この1年間(2003年7月ごろから現在にいたるまで)で出会ったおすすめの本は何ですか?
A. 『天才に尽くした女たち』(フリードリヒ・ヴァイセンシュタイナー著/阪急コミュニケーションズ刊)
 モーツァルト、ワーグナー、マーラーといった大作曲家、ゲーテ、トーマス・マンといった大文豪、そしてアインシュタインという大科学者。それらの大天才たちに「仕え」「尽くした」夫人たちの悲劇、あるいは武勇譚。

 なにしろ結婚の相手が「天才」となると、何もかもが尋常ではなく、「落ち着きなくちょこまか動きまわり、ころころ気分の変わる躁鬱気質」で「結婚以来2年で5回も引っ越し」をするような勝手気ままな人物(モーツァルト)だったり、「非常に贅沢な生活スタイルを守」り「広いトイレを偏愛していて、場ちがいであろうとも、いつも絹のビロードの上等な衣裳を身につけて」いるような人物(ワーグナー)なのである。
 さらに、「結婚は想像力を欠いたブタによって発明されたもの」などと公言し、愛人に向かって、「私は妻を従業員のように扱っていますが、解雇することができません」などと書いた手紙を送るような人物(アインシュタイン)なのである。妻の苦労は計り知れない。

 が、彼女たちも負けてはいない。傲慢で、自分の仕事(芸術や研究)にしか意識のない夫を手玉にとり、他の男性と結婚していながら「天才」を支えたり(ワーグナー夫人)、夫に隠れて他の男性に走ったり(マーラー夫人)、夫の仕事で会社を設立して大儲けしたり(マン夫人)・・・。
 女性のしたたかさ、強さも、尋常ではない。「男は作品を作り、女はその男を作る」という言葉をあらためて思い出させられた、男にとっては「怖い」読み物ともいえる。

Q. この1年間で「感動した本」は何ですか?
A. 『逝きし世の面影』(渡辺京二・著/葦書房・刊)
 少々古い本(1998年刊)だが、最近数年、この本に優る「感動」は得られない。
 本書は、幕末に日本にやってきた外国人が書き残した記録を集積したもの。そこに描かれた日本と日本人の、何と美しいことか!

 貧しく質素な生活ではあっても、美しい自然と美しい心。家々に鍵はなく、そこに暮らしはじめた外国人は奇異な目で見られても、旅に出て帰ってくると、家の中が近所の人々によってきれいに掃除してあって、衣類が洗濯までしてあるという。
 そして近代文明(黒船)をひっさげて来日した西洋人たちは「これほど素晴らしく美しい国と国民を、我々西洋人が破壊していいのだろうか」と悩む。
 現代日本人が忘れ去ってしまった(捨ててしまった?)美しい日本の姿に、思わず涙が出そうになるほど感動した。

Q. この1年間で「元気をもらえた本」は何ですか?
A. 『日本式サッカー革命〜決断しない国の過去・現在・未来』(セバスチャン・モフェット著/玉木正之・訳/集英社インターナショナル刊)
 サッカー発祥の国イギリス出身で、日本滞在10年を超すジャーナリストが、日本のサッカーの歴史、Jリーグ誕生から日韓共催のワールドカップまでの歴史をまとめたもの。
 いまでこそ、誰もがサッカーに熱狂し、ジーコ・ジャパンやオリンピック代表を熱烈に応援しているが、ほんの15年前、20年前は、サッカー日本代表の監督の名前など誰も知らなかった。サッカーなど誰も応援しなかった。

 それがJリーグの誕生とともに、いかにして革命的変化を起こしたかという激変の現代史、関係者の労苦は、読者に元気を与えてくれる。日本のサッカーを(トルシエのように)バカにしていない視点も新鮮。また、チームやリーグの関係者だけでなく、サポーターの声や活動も数多く取りあげられていて、この原著(Japanese Rules)が発行されたときは、なぜこのような好著が翻訳出版されないのか残念でならなかった。そこで、自分で翻訳出版することになってしまった。

Q. この1年間で「役に立った本」は何ですか?
A1. 『モノの世界史』(宮崎正勝・著/原書房・刊)
 我々の身近にあるあらゆるモノ(カレンダー、文字、ワイン、ビール、コーヒー、紅茶、麺、パスタ、鉄道、船・・・などなど)の歴史(ルーツと変遷)を解き明かすなかで、世界の歴史を読み解いた面白く楽しい本。
 最近流行の「トリヴィア的知識」にもあふれながら、世界史の流れが理解できる。世界の未来を考えるうえで役に立つ。

A2. 『昭和史』(半藤一利・著/平凡社・刊)
 昭和の前半期は戦争の歴史だった。では、日本はなぜ戦争に突入したのか。それを平易かつ詳細に解き明かした本。日本の未来を考えるうえで役に立つ。

Q. この1年間で「笑いをもらった本」は何ですか?
A. 『文学的商品学』(斎藤美奈子・著/紀伊國屋書店・刊)
 現代小説に現れるモノ(ファッション、食事、音楽、オートバイ、野球等々)を切り口にして、日本の小説と作家とは、いったいイカナルモノナノカということを説いた革命的文学論。
 『青春小説とは「知的階級に生まれたボンボンが勝手に苦悩する話」だったりもまあするわけですが』などという記述が随所に出てきて大笑し、『私小説のモチーフが「個人的な貧乏」なら、プロレタリア文学のテーマは「集団としての貧乏」「構造的な貧乏」です』といった記述に呵々大笑しながらも、唸らされる快著。

Q. その他におすすめの本がありましたら、お教えください。
A. 『「祇園」うちあけ話』(三宅小まめ 森田繁子・著/PHP文庫)
 京都祇園のことが京都弁でほんによう書かれておして京都の好きなお方にはお薦めの一冊どす。ほんまもんの舞妓はんが語らはったことをそのまんま書きおこさはったことどすよってにあたりまえのことかもしれまへんけどノンフィクションライターとやらいうおひとなんかが書かはったものより生々しいてそれでいてほんにはんなりした一冊なんどすえ。

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六道珍皇寺・閻魔大王像――幼い頃に恐怖心を刻まれた閻魔様との再会

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京都駅の思い出

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あなたは知ってる!? スポーツの疑問の数々…

五輪のあり方を考える〜ネット中継や交流も…/ロンドン・オリンピックはシェイクスピアに注目!?

「猫もするなり球遊び」スポーツは、世界(オリンピック)と地域社会(クラブ)をつなげる

「猫もするなり球遊び」オリンピックは人類の祭典!日本人にとっては?

二代目市川亀治郎さん(現・四代目市川猿之助)――伝統とは「変える力」

大学の教壇に立って……〜ジャーナリズムとアカデミズム

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読者からの質問への回答

『マーラーの交響曲』発売記念エッセイ〜いつか私の時代が来る、とマーラーは言った。

祇園町の電器屋の初荷

権力志向者がジャーナリストになる危険性――魚住昭『渡邉恒雄 メディアと権力』講談社

かつてラグビーは日本中を湧かせた!(上岡伸雄・著『釜石ラグビー栄光の日々松尾雄治とくろがねのラガーたち』中央公論社)

日本文化「大相撲」は「スポーツ」なのか?

オペラ(音楽)とスポーツの濃密な関係

塾や予備校は学校より大事?

「新道」という名前が消える寂しさ

孤立化、個別化する社会のあり方に警告(杉本厚夫『「かくれんぼ」ができない子どもたち』ミネルヴァ書房)

女心・男心…人間を描くため、肉体を描ききった本物の作家(虫明亜呂無『パスキンの女たち』清流出版)

松本修『「お笑い」日本語革命』(新潮社)書評「みたいな。」の元祖はとんねるずか!?

犬好き男の愛猫記

大魔神を巡る見事な「知的探検の旅」/小野俊太郎・著『大魔神の精神史』(角川ONEテーマ21)

企業の「所有物」と化したスポーツ・文化団体

スポーツ番組作りの「プロ」になっていただくために

「スポーツ放送はどうあるべきか?」を考える前に、考えるべきこと

書評『茶の世界史』/茶が映し出す過去の世界史&茶が匂わせる未来社会

思い出すのは仕事をしている姿

脳出血と恐怖心

現代社会の「怪物性」を説き明かす見事な一冊〜小野俊太郎・著『フランケンシュタイン・コンプレックス 人間は、いつ怪物になるのか?』青草書房

「劣等感・コンプレックス」とは、本当はどんなものなのか

あけましておめでとうございます

脳出血から復活できた理由(わけ)

「何か」を表現しようとする究極の本能

天職人〜あとがき

そばは京都にかぎる

総選挙の行方とスポーツ界

小泉首相の「趣味」と「文化政策」

行きつけの店は恋人に似てる?

アイ・ラヴ・サッポロ!アイ・ラヴ・ホッカイドウ!

日本文化の「型」と「カタヤブリ」と「カタナシ」の関係を横綱・朝青龍の「カタチ」から読み解く。

いま、ベネズエラで起きている「大事件」

「文化」の持つ本当の力

あけましておめでとうございます

煩悩の世界史〜『要約世界文学全集』(木原武一・著/新潮社)

「夢かうつつか…」逝った者へ…、残された者は…

オリンピックはスポーツではない

「天才」の多くなった世の中

『二十五時』との数奇な出逢い

わたしは猫になりたい。

紅旗征戎不有吾事 金は天下の周りの持ちもの…

アメリカ珍道中〜This is American Way

仕事人間の弁明

変わらないことの素晴らしさ

<二人袴>

女人狂言『茶壺 de Hermes』

私の行きつけの店・好きな店

島田雅彦vs玉木正之 ドイツW杯特別対談「選手を自由にさせたら高校生になっちゃった」

あけましておめでとうございます

個人的パラダイム・シフトに導かれた三冊

ゴシック・万博・ストリップ・吉本…を読む

現代と未来の世界を考えるうえでの「真の世界史情報」(井野瀬久美恵・著『興亡の世界史16 大英帝国という経験』)

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第3弾!

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第2弾!

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第1弾!

知識や情報なんて、ないほうがいい

現代日本人必読の一冊

タクシーと自家用車の違い

「天才」って何? ――まえがきにかえて

「ある女の一生」

「戦争映画」が好きな理由(わけ)

とかく京都のスポーツマンは……

道はどれほど重要なものか

祇園町の「生活」=「文化」

地獄八景万之丞乃戯(じごくばっけいまんのじょうのたわむれ)

わたしは猫になりたい。

読書日記〜稲垣足穂から梅原猛まで

アッピア街道に乾杯(ブリンディシ)!

「質より量」の読書は「質」が残る?

スポーツは究極の道楽?

久しぶりに「銀ブラ」でもするか・・・

行きつけの店は恋人に似てる?

権力志向者がジャーナリストになる危険性――魚住昭『渡邉恒雄 メディアと権力』講談社

ロジャー・パルバース著『旅する帽子』生身のラフカディオ・ハーンが幻想のなかに甦る

作者の名前も作品の題名も消えるほどのノンフィクションの名作〜デイビッド・レムニック著『モハメド・アリ』

戦争と軍隊の歴史

スポーツと音楽を通して出逢ったトリュフ

スポーツ・ジャーナリストにはスポーツよりも大事なものがある?

お薦めの本(2003年夏〜2004年春)

日本人は元気だ――24人の元気な日本人

美しい最後の素晴らしさ

「若い国」アメリカ

京都人の溜息

経済には倫理が必要である

オススメ脳味噌のマッサージ

吉本興業は匈奴である『わらわしたい――竹中版正調よしもと林正之助伝』竹中功・著/河出書房新社

虚実の皮膜――『イッセー尾形の都市カタログPART2』イッセー尾形/森田祐三・共著 早川書房・刊

胡散臭さ礼賛――竹内久美子『賭博と国家と男と女』(日本経済新聞社)

衝撃的な笑劇――レイ・クーニー『笑劇集』劇書房

翻訳って何?――『翻訳史のプロムナード』(辻由美・著/みすず書房・刊)

脳細胞の組み替え――『世界史の誕生』岡田英弘・著/筑摩書房(現・ちくま文庫)

長老の話――堀田善衛・著『めぐりあいし人びと』を読んで

古典の楽しさ

ドリトル先生 不思議な本

京都が消える

嬉しいこと――喜びは常に過去のもの

野村万之丞 ラジカルな伝統継承者(2)

野村万之丞 ラジカルな伝統継承者(1)

事典・辞典・字典・ジテンする楽しみ(第5回=最終回)

事典・辞典・字典・ジテンする楽しみ(第4回)

事典・辞典・字典・ジテンする楽しみ(第3回)

事典・辞典・字典・ジテンする楽しみ(第2回)

事典・辞典・字典・ジテンする楽しみ(第1回)

先達はあらまほしきか?

旅の衣は篠懸(すずかけ)の

パチンコと飢餓海峡

最近の映画はつまらない?いや、やっぱり、映画はおもしろい?

神道、天皇、韓国・・・を読む。

はかなく、素晴らしい、味わい

京の祇園の極私的元服之儀

コースケ(野村万之丞)の遺言

ミレニアム歳末読書日記 楽しい世紀末

お金と勉強

親父ゆずりの数学好き

わたしの本棚(4) スポーツを読む

わたしの本棚(3) 祭りの原型

わたしの本棚(2) ドラマの感動

わたしの本棚(1) 振動する快楽

夏休み読書日記/スポーツ・身体・ジャーナリズム

銀行は痰壺処理会社

親父の隠したエロ小説

野村万之丞――伝統と格闘するパワー

女が動く時代、男は思索せよ

バック・オーライ

二十五時――わたしの好きな世界文学

「私の京都」

わたしの東京体験

SPレコードは生演奏と同じ〜蓄音機にはまってしまった!

感銘した一冊の本〜鈴木隆『けんかえれじい』

「情報過多時代」の楽しみ方

内面より外面

不味いものが食いたい!

ああ、肩が凝る。

父の勲章

京の昼寝

祇園町の電器屋の初荷

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