総選挙を明後日に控え、メディアの予想通り民主党が大勝するかどうかはさておき、今回の選挙は日本のスポーツ界にも(もちろんその他の各方面にも)大きな影響を及ぼすだろう。
先の国会ではスポーツ庁新設に向けてのスポーツ基本法が提出されたが、解散で廃案になっていた。
最初は超党派で提案されるはずが、トップダウン型(メダリストを育ててスポーツ振興を図る)の自民党とボトムアップ型(地域のクラブや指導者の育成を優先してスポーツの振興を図る)の民主党が、政局もからんで調整がつかず、自民単独提案となっていた。
(トップダウンとボトムアップ……。このあたり、違いが見えないとよく言われる両党の違いが、スポーツ政策だけでなく、表れているようにも思える)。
もちろん日本体育協会(森喜朗会長)や日本オリンピック委員会(JOC竹田恒和会長)も、法案採択に力を入れていた。
が、オリンピックの選手強化費予算の獲得が主眼で、たとえスポーツ庁が新設されても、すべての日本のスポーツが統括され発展するようになるかどうか、大いに疑問だった。
たとえばプロ野球からリトルリーグまで、組織がバラバラに分かれたままの野球は、どんな形でスポーツ庁管轄となるのか?
現在文科省管轄の高校野球や大相撲、厚労省管轄の障害者スポーツはスポーツ庁に移管するのか?
あるいは医療やリハビリ、教育や伝統文化という観点から、身障者スポーツは厚労省管轄のまま、高校野球や大相撲は文科省管轄のまま留まるのか?
それらを考えると、政党の政策となる以前に、まずスポーツ界の意見を集約する必要があるように思われる。
政権を担う政党が自民党に定まっていた時代は、政権政党に陳情して予算を獲得してもらうことが「政治活動」だった。
そのため政権政党の有力議員をスポーツ団体のトップに据えたり、集票に協力するため人気スポーツ選手が選挙に立候補する場合もあった。
しかし今後は、そんな政権政党頼みのスポーツ政策でなく、スポーツ団体が自ら将来の青写真を描き、その青写真を実現してくれる政党を選ぶ時代に入ったようだ。
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