コラム「ノンジャンル編」
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掲載日2014-07-30
この原稿は『連合通信・生活文化特集』9月号(8月上旬配信)に書いたものに、大幅に手を加えたものです。毎年夏になると「問題」になる高校野球夏の甲子園大会での若い選手の酷使。とりわけ投手の多投……投げすぎ。酷暑のなか、高温注意報や光化学スモッグ注意報が発令され、屋外での活動を控えるよう注意が喚起されるなかで、堂々と「教育的野球」が行われることが、そもそも異常であり異状というほかない事態であることは確かだが、どうして、こんな異常事態が続くのか?やはりこの問題は(マスメディアが正しく取りあげないだけに)何度も取りあげる必要がありそうだ……という強い気持ちを込め、スポーツだけではない社会的問題であるからノンジャンルの項目として“蔵出し”します。

夏の甲子園・投手の酷使……最大の問題点は?

 ヤンキースの田中将大投手が深刻な肘の故障に見舞われ、メジャーの中4日での投手起用が「苛酷」だとする意見がメディアで騒がれた。

 それも一因かもしれない。が、メジャーで日本人投手だけが次々と肘や肩を故障することを思うと、高校野球での球数の多い完投や連投こそ最大の原因と言うべきだろう。

 そのことを日本のメディア(特に朝日新聞やテレビ朝日の報道ステーションなど)が指摘しないのは、朝日新聞社が、夏の甲子園大会の主催社で、自らの「責任問題」になりかねないからだろう。

 田中投手の肘との因果関係はさておき、ここ数年の大会で、多くの球数を投げすぎた投手が、次々と肘や肩を壊していることも事実で、それに気付いた結果(でもないだろうが)高野連も、ようやく投手の起用法の見直しに手をつけ始めた。

 タイブレーク方式(延長回は一塁か一、二塁に走者を置き、試合が早く終わる可能性を高める)や、投手の球数制限など、最終的にどんな「ルール」が採用されるのか、まだ判然としないが、最大の問題は高野連などの野球を統括する団体が、野球選手の最終目標をはっきり規定できないことだろう。

 サッカーの場合ならば、最終最大の目標がワールドカップと定まっている。だから優秀な若い選手たちを、高校の試合で使い潰す(連続して多くの試合に出す)ことなどは日本のサッカー界にとって大きな損失であり、絶対に許されない行為として禁止することができ、サッカー・ファンも、それを納得する。

 では、日本の野球界の最終最大の目標とは何だろうか?

 WBCでの優勝が目標……という世論(野球選手や野球ファンの声)は、まだ形成されていない。いや、そもそもメジャー主催のWBCが、この先いつまで続くかもわからないような「世界大会」でしかない。

 選手がメジャーや日本のプロ野球で活躍することも、個人の目標にはなり得ても、日本球界全体の目標とは言えない。

 そうなると、高野連にとっては高校野球の盛りあがりが最大の目標となり、母校の勝利めざして投手が少々無理を承知で投げ続けることも、美談でしかなくなる。

 そのとき、自分の目標はプロ野球(メジャーリーグ)の選手としてプレイすることで、高校野球で「酷使」されたことによって、その夢が断たれたとして、多額の賠償金を求める訴訟を起こすよう選手が現れ、何十億円、あるいは何百億円の賠償金の支払を、主催社である朝日新聞社と高野連に命じる判決でも出れば、話は非常に簡単で、高校野球での投手の球数制限が、すぐにでもルール化されるだろう(アメリカの高校や大学で、投手の球数制限がやかましく言われ、高校野球や大学野球があまり盛りあがらないのは、アメリカが「訴訟社会」だから、と言えるだろう)。

 結局はプロ野球から少年野球まで、日本の野球組織はまったく統一性を欠いたままバラバラで、そのため「日本野球の最終最大の目標」が確定できないことこそ、最大の問題といえそうだ。

 ならば、なぜ日本の野球組織はバラバラのままかというと、プロ野球は讀賣、高校野球は朝日、社会人野球は毎日と、それぞれに大手新聞社によって支配されているからにほかならない。

 マスメディアのなかには、自社の企業利益を考える連中ばかりで、ジャーナリストは存在しないのか?……。

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