約700万年前、アフリカの密林(ジャングル)で樹上生活をしていた猿の一種が地上に降り立ち、「直立二足歩行」を始めた。
それが我々の祖先=人類の進化の始まりだったという。
中学や高校の世界史の教科書にも、最初に「直立二足歩行・火を扱うこと・道具を創ること」が「人類を他の動物と区別する特徴」と書かれていた。
しかし最近では「道具を創る動物」(蟻塚からアリを取り出す道具を木の枝で創ったり、果物を割る石器を創るチンパンジー)も発見され、ヒトと動物の区別は難しくなってきた。
さらに「直立二足歩行」という概念にも、異議が出されているらしい。
確かにペンギンなどの鳥類には「直立二足歩行」に見える動物もいる。が、外見上の問題でない。地上に降りた「猿」は「歩いた」のでなく「走った」のでは? というのだ。
地上で猛獣に襲われそうになったり、獲物を捕まえるときは、「猿」の名残で手も使って4本足で「走った」に違いない。
そのうち背筋が伸びて完全に直立した人類も、猛獣から逃げ、獲物を追うときは、二本足で「走ること」が多く、「歩行」は休息行為か長距離移動の手段と考えられた。
つまり二足「歩行」でなく「二足走行」の《走ることで人類は人間になったのだ》(トル・ダコス『なぜ人は走るのか』筑摩書房)
たしかに「走る」ほうが、「歩く」よりも原始的(プリミティヴ)かもしれない。
子供たちは歩くより走りたがる。競走は紀元前の古代オリンピックから存在したが、競歩は19世紀生まれ。五輪には1912年ストックホルム大会が初採用だった。
「走る」ことで「人間」に進化した人類は、「歩く」ことを追究することで、さらに「未来人」に進化できるのかも……?
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