コラム「ノンジャンル編」
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掲載日2015-10-28
この原稿は、わが母校(というほどの繋がりはなく、同窓会も、これまでに1〜2度しか顔を出してないのですけどね(汗))の『とりおんふ』という同窓会誌に、「何か書け!」と命じられて、書いたものです。小生が原稿料無しで原稿を書くことなど滅多になく、我ながら信じられないのですが(プロはタダの仕事はしませんからね)、ま、1度くらいならと引き受けました。せっかく書いた原稿が、非常にクローズドな場で、限られた人達に読まれるだけというのは残念なので、ここに“蔵出し”させていただきます。

スポーツライターを引退しました

 小生が「スポーツライター」という肩書きを名乗ったのは今から約40年前。アメリカのスポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』でその名を発見して以来のことだ。

 当時フリーランサーの物書きとして活動し始めた小生は、『GORO』『平凡パンチ』といった若者雑誌に、プロ野球やボクシングなどの原稿を書き、ようやく一端(いっぱし)の生活を成り立たせ始めた頃だった。

 が、肩書きがなかった。

 フリーライター、作家、野球評論家、ノンフィクションライター……等々、メディアの担当者から、いろいろ勝手に肩書きを付けられたが、どれもしっくりこなかった。

 そんなときに見つけたSports Writerの文字に、一目惚れ。以来「スポーツだけじゃ食えないよ」「私はスポーツ馬鹿ですと宣言してるの?」「そんな肩書きは聞いたことない……」などと最初は見下された肩書きも、スポーツ人気の上昇拡大とともに、他に使い出す人も現れ、社会的にも認知されるようになった。

 おまけに少々勉強をして、スポーツという人類の生みだした身体文化の素晴らしさに気づくと、音楽、演劇、映画、絵画、文学……等の精神文化についても、スポーツライターの肩書きで扱っても何らおかしくないことにも気づき、いつの間にか仕事の幅を広げるようにもなった(オリンピックの開会式や文化プログラムも「スポーツ」の一種ですからね)。

 スポーツを文字にしたり語ったりする仕事は、もちろん以前から新聞記者やスポーツ解説者やスポーツアナウンサーやノンフィクションライターなど、大勢の人が行っていた。

 しかし、それらは試合結果の報告や分析であったり、スポーツマンの人生物語であったりして、スポーツを「文化」という視座から書いたり語ったりするスポーツライターという仕事は、まったく存在しなかった。

 わずかに虫明亜呂無氏や中村敏雄氏など、文学やアカデミズムの世界にそれを見出すことができたが、マスメディアの世界、ジャーナリズムの世界では皆無。何しろ「スポーツとはどういう意味?」と訊かれても答えられない人たちが、スポーツジャーナリストを名乗って活動してきた(今もしている?)のだから。

 それどころか、サッカー、バレーボール、ドッジボール、サウスポー(南の手)……といった言葉の意味を知らなくても何の問題もないのがスポーツジャーナリズムの世界だったのだ(今でも、そうですね)。

 その元凶は、学校教育の場にあって、体育は教わってもスポーツは教わらないから……と言えるのだろうが、それはさておき、他の人のやっていない仕事、やっているようでまったく別の新しい仕事……に手を付けて喜びを見出したのは、中学高校という脳味噌の襞も心の襞もまだ柔らかかった時期に、創立されて十数年しか経っていない新しい学校で学んだという経験が大きく作用したようにも思う。

 そんな小生も、還暦を迎えたとき、40年近く使い続けた「スポーツライター」の肩書きを捨て、「スポーツ評論家」を名乗ることにした。それは、60歳になってそろそろ「評論」をできる土壌が固まったから、と判断したからでもあったが、「スポーツとは何か?」ということを勉強しないまま「スポーツライター」を名乗る連中が増えたからでもあった。

 味噌もクソも一緒にされたくないからでもあり、スポーツ評論家として若いスポーツライターたちを論評して(虐めて)やろうと思ったからでもある。

 しかし。まぁ。大学も途中で横に抜けた天の邪鬼な男が、年齢を重ねて頑固さを増しただけのことなんでしょうね。これは。

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