「笑いだしたら止まらない」と帯に書かれた惹句(じゃっく)はウソではなかった。ウソだというひとがいるなら、惹句(ジャック)ナイフで刺されもしよう。レイ・クーニーの衝撃的な笑劇には、「台本(だいほん)」だけでも「本代(ほんだい)」2500円を、逆立ちして払っても安いと思えるほどのおもしろさがある。
2人の女房と結婚し、2か所の家で、二重生活をしていたタクシー運転手が、ふとした事故からスケジュールを狂わせ、秘密を隠し通そうとしたあげく、ウソを、ウーソ、ローソ、チーソ・・・とエスカレートさせてゆくドタバタ・スラップスティック・コメディ(『ラン・フォー・ユア・ワイフ』=“Run for your Life”のダジャレですな)。
エリート医師の一世一代の講演会の直前に、フリン相手の元看護婦がフリンの子供を連れて現れ、名門病院がフウリンカザンの大騒動(『パパ・アイ・ラヴ・ユー』)・・・などなど。
粗筋(あらすじ)は、アラもスジもひとかけらもないまでに洗練され、台詞(セリフ)は舞台を見なくてもセリフ・サーヴィスで楽しめる(苦しいなぁ・笑)。
しかも翻訳は、シェイクスピアの翻訳で、英語のシャレを日本語のダジャレを見事にシェイクした天才教授・小田島雄志(ゆうし)と、子息の小田島恒志(こうし)の雄恒(友好=ゆうこう)コンビ。
「芸能人は・・・」「ゲイのオジンは・・・」なんて語呂合わせにゴロゴロ笑い転げること請け合いの2本立ての1冊であります。 |