「ゆとり教育」に対する批判が高まり、ようやく文部科学省も重い腰をあげようとしているようだが、いったん緩んだタガが、どこまで締め直せるのか、甚だ不安である。
昨今の子供たちや親たちは、勉強は学校でするのでなく、学習塾や予備校でするものだと信じ込んで疑わない。なにしろ小学校の授業では丸暗記はダメで考えさせるらしいから、最近の小学生は、県庁所在地の都市名も、何県が日本列島のどこにあるのかも、明治維新が西暦何年なのかも、頭に入れることができない。
考えるには知識がないとダメなはずだが、私立中学を受験する小学生だけが、かろうじて塾で基礎知識を叩き込まれる。高校受験にも塾通いは必須で、大学となると受験する高校生のすべてが公立私立を問わず予備校通いを始め、なかには学校を休んで予備校へ通う生徒もいるという。
かくして親の子供にかける教育費は莫大な額に達し、少子化に拍車がかかる。しかも学校と塾や予備校の二重の教育を受けているはずなのに、子供の学力が伸びたという話はまったく耳にしない。
小学校の低学年の頃から背中にリュックを背負って塾通いを続けた連中だけが、いわゆる一流大学から一流企業や官庁へ進むエリートと呼ばれる人々になる、という現象を、おぞましいと思うのは私だけだろうか?
先般JR西日本で起きた悲惨な事故では、亡くなった大学生の通っていた学習塾の先生がテレビに登場し、故人を悼む言葉を口にした。これほどまでに塾が社会的に認知されていることを、教育関係者が「恥」と感じなければ、日本の教育改革は前へ進まないだろう。
(付記:昨今の国会議員の度し難い堕落も「学校と塾」の「二極化両極端二重教育」のせいなのだろうか?) |