12期目となったオペラ鑑賞講座は、「オペラは祭りだ! お祭りだ!」と題して、世界の音楽祭でのオペラの名演奏・名舞台を紹介します。そもそも“オペラ”とは、豪華絢爛な舞台装置や衣装、バレエや大合唱を伴い、それ自体が“祭り”と呼ぶべきイベント。“祭り”としてのオペラの楽しさを存分に味わう機会にしたいと思います。
各回予定
第1回(4月) ザルツブルク音楽祭
モーツァルトの生まれ故郷で世界で最も有名な音楽祭は、過去にフルトヴェングラー指揮の『ドン・ジョヴァンニ』やカラヤン指揮の『ばらの騎士』など、歴史に残る名舞台が上演され、最近ではゲルギエフ指揮の『トゥーランドット』(プッチーニ・ベリオ編曲)やリッツィ指揮の『椿姫』(ヴェルディ)などの実験的な舞台が評判を呼んでいます。
第2回(5月) バイロイト音楽祭
ワーグナー自身が大作『ニーベルンクの指環』を上演するため、バイエルン国王ルートヴィヒ2世の援助を受けて建設したバイロイト祝祭大劇場。そこで毎年夏に催される音楽祭は、ワーグナー一家(未亡人=コジマ=リストの娘と、息子=ジークフリート、二人の孫=ヴィーラント、ヴォルフガンク)に引き継がれ、現在で最も前衛的で先鋭的なワーグナー上演の場として注目を集め続けています。
第3回(6月) グラインドボーン音楽祭
イギリスのイースト・エセックス州の田園地帯に建つ屋敷(グラインドボーン)での音楽祭は、ヨーロッパ音楽界の若手歌手、若手指揮者、若手演出家の登竜門的存在。毎年この音楽祭から、のちに世界的一流音楽家と認められるようになる逸材(指揮者や歌手)が巣立っています。
第4回(7月) エクサン・プロヴァンス音楽祭
フランス南部のプロヴァンスにある野外劇場を中心に開催されるこの音楽祭では、ハーディング指揮の『ドン・ジョヴァンニ』『コシ・ファン・トゥッテ』(ピーター・ブルック演出)や、佐渡裕指揮の『椿姫』(ペーター・ムスバッハ演出)など、若手指揮者による斬新な演奏と、鬼才演出家による大胆な舞台が、世界の音楽界に衝撃を与えています。
第5回(8月) ヴェローナ音楽祭
イタリア・ヴェローナで夏に開催される音楽祭では、古代ローマ帝国時代に建設された巨大な野外劇場をフルに使った迫力満点の豪華絢爛な舞台が毎年評判を集め、世界中の音楽ファンが一度は見てみたいと思う大人気のフェスティバルといえます。
第6回(9月) 湖上音楽祭(メルビッシュ、ブレゲンツ、ルツェルン)
“湖”という自然環境を生かし、その上に巨大なステージを組んで上演されるオペラは、“劇場”という空間とは全く異なる開放感にあふれた独特の空気を醸し出します。雨のなかでの『ラ・ボエーム』、船や自転車や自動車などの乗り物をふんだんに用いた『メリー・ウィドウ』など、野外の巨大な湖上ステージならではの楽しい舞台を紹介します。
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